説明

液晶配向剤および液晶表示素子

【課題】液晶配向性、電気特性などの諸性能に優れるとともに、塗布性の向上された液晶配向剤を提供すること。
【課題を解決するための手段】上記液晶配向剤は、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸のイミド化物よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する液晶配向剤であって、
前記2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物のexo体含量が90%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤および液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板表面に液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙内に正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90°捻れるようにした、いわゆるTN型(Twisted Nematic)液晶セルを有するTN型液晶表示素子が広く知られている。また、TN型液晶表示素子に比して高いコントラスト比を実現できるSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や視角依存性の少ないIPS(In−Plane Switching)型液晶表示素子、VA(Vertical Allignment)型液晶表示素子、視角依存性が少ないと共に映像画面の高速応答性に優れたOCB(Optical Compensated Bend:光学補償ベンド)型液晶表示素子が開発されている。
これらの液晶表示素子における液晶配向剤の材料としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどが知られており、特にポリアミック酸またはポリイミドからなる液晶配向膜は耐熱性、機械的強度、液晶との親和性などに優れており、多くの液晶表示素子に使用されている。
【0003】
ポリアミック酸またはポリイミドからなる液晶配向膜は、基板上にテトラカルボン酸二無水物およびジアミンから得られたポリマーを主成分とする薄膜を形成し、これをレーヨンなどの適宜の布材で擦るか(ラビング法)、あるいは薄膜が放射線に感応して異性化する基を有している場合にはこれに放射線を照射する(光配向法)などの方法により、薄膜に液晶配向能を付与することにより得られる。そして、原料のテトラカルボン酸二無水物の少なくとも一部に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を使用して得られたポリアミック酸またはポリイミドが、液晶配向性、電気特性などの諸性能に優れることが報告されており(特許文献1〜5参照。)、液晶配向膜として好適に使用されている。
しかしながら近年、各種の液晶パネルの価格を下げたいとの要望が強く、それに伴って配向膜製造の各工程において、工程時間の短縮、製品歩留まりの向上が、従来よりも極めて高いレベルで要求されるようになりつつある。特に、液晶配向剤溶液の塗布工程において塗膜の均一性の向上が求められているが、従来知られている液晶配向剤では、かかる高水準の要求に応えられていない。
【特許文献1】特開昭61−205924号公報
【特許文献2】特開昭62−165628号公報
【特許文献3】特開2000−336168号公報
【特許文献4】特開2004−325545号公報
【特許文献5】特開2007−47222号公報
【特許文献6】特開平6−222366号公報
【特許文献7】特開平6−281937号公報
【特許文献8】特開平5−107544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、液晶配向性、電気特性などの諸性能に優れるとともに、塗布性の向上された液晶配向剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ポリアミック酸またはポリイミドの原料のテトラカルボン酸二無水物の少なくとも一部に使用される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物の立体構造と、得られる液晶配向剤の塗布性との間に関連があることを見出して本発明に到達した。
すなわち本発明の上記目的は、第一に、
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸のイミド化物よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する液晶配向剤であって、
前記2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物のexo体含量が90%以上である液晶配向剤によって達成される。
本発明の上記目的は、第二に、
上記の液晶配向剤から得られる液晶配向膜を具備してなる液晶表示素子によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物>
本発明で使用される2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物は、exo体含量が90%以上である。
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物の立体構造としては、下記式(A)
【0007】
【化1】

【0008】
で表されるexo体と、下記式(B)
【0009】
【化2】

【0010】
で表されるendo体とが知られている。上記exo体含量は、原料たる2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物のうちのexo体が、exo体とendo体との合計量に占める割合(%)として定義される。このexo体含量は、好ましくは95%以上であり、より好ましくは99%以上である。
exo体含量は、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物のH−NMR測定および13C−NMRによって知ることができる。
このような立体構造の2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物は、例えば以下の方法により得ることができる。
すなわち、先ずジシクロペンタジエンを水和して得られるヒドロキシジシクロぺンタジエンを原料として、これを少なくとも反応の初期段階(反応開始から好ましくは少なくとも30分間、より好ましくは少なくとも1時間、さらに好ましくは少なくとも2時間)においては50℃未満、好ましくは45℃以下の温度において酸化することにより、立体構造の制御された2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸を得ることができる。ここで、酸化反応の全部を通じて温度を50℃以下に制御することが好ましい。この酸化反応は、例えばバナジン酸アンモニウムを触媒とする硝酸酸化などの適宜の酸化方法を採用することができる。ここで得た2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸は、酸析などの適当な方法により精製してから次工程に供することが好ましい。次いで立体構造の制御された2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸を、60℃以下の条件下で脱水閉環することにより、立体構造の制御された2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を得ることができる。この脱水反応は、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸などの公知の脱水剤によることができる。この脱水反応のとき、脱水閉環触媒は使用しないことが好ましい。さらに必要に応じて再結晶などの適宜の精製を1回、または複数回行ってもよい。
上記の如き方法により、exo体含量の高い、反応条件を最適化すれば実質的にはexo体が100%の2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を得ることができる。
【0011】
<他のテトラカルボン酸二無水物>
本発明に用いられるポリアミック酸またはそのイミド化物は、上記の如き立体構造を有する2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得られるものである。
本発明に用いられるポリアミック酸またはそのイミド化物を製造するにあたって、exo体含量が90%以上の2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物とともに用いることのできる他のテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、下記式(T−I)および(T−II)
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立に芳香環を有する2価の有機基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を示し、同一分子内に複数存在するRおよびRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
のいずれかで表される化合物などの脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,2,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(T−1)〜(T−4)
【0014】
【化4】

【0015】
で表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
これらのうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,2,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(T−I)で表される化合物のうち下記式(T−5)〜(T−7)
【0016】
【化5】

【0017】
で表される化合物および上記式(T−II)で表される化合物のうち下記式(T−8)
【0018】
【化6】

【0019】
で表される化合物が、良好な液晶配向性を発現させることができる観点から好ましい。特に好ましいものとして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ「5.3.1.02,6」ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物および上記式(T−5)で表される化合物を挙げることができる。
本発明に用いられるポリアミック酸またはそのイミド化物を製造するにあたってexo体含量が90%以上の2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物とともに他のテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、他のテトラカルボン酸二無水物の使用量は、全テトラカルボン酸二無水物中の60モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましい。
【0020】
<ジアミン>
本発明のポリアミック酸またはそのイミド化物を製造するにあたって使用することのできるジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル-2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルなどの芳香族ジアミン;
【0021】
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6-ジアミノカルバゾール、N-メチル-3,6-ジアミノカルバゾール、N-エチル-3,6-ジアミノカルバゾール、N-フェニル-3,6-ジアミノカルバゾール、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジン、下記式(D−I)
【0022】
【化7】

【0023】
(式(D−I)中、Rは−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−から選ばれる2価の基であり、Rは1個以上の不飽和結合を含有していてもよい炭素数1〜40の1価の炭化水素基であり、ただしこの1価の炭化水素基の水素原子の一部または全部はフッ素原子により置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(D−II)
【0024】
【化8】

【0025】
(式(D−II)中、Rは、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基であり、Xは2価の有機基である。)
で表される化合物、下記式(D−III)
【0026】
【化9】

【0027】
(式(D−III)中、Rは2価の有機基であり、Xはピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基であり、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物、下記式(D−IV)
【0028】
【化10】

【0029】
(式(D−IV)中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基であり、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
で表される化合物および下記式(D−1)〜(D−5)
【0030】
【化11】

【0031】
【化12】

【0032】
(式(D−4)中のyは2〜12の整数であり、式(D−5)中のzは1〜5の整数である。)
で表される化合物などを挙げることができる。
これらのうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、上記式(9)〜(13)で表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6-ジアミノカルバゾール、N-メチル-3,6-ジアミノカルバゾール、N-エチル-3,6-ジアミノカルバゾール、N-フェニル-3,6-ジアミノカルバゾール、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジン、上記式(D−II)で表される化合物のうち下記式(D−6)
【0033】
【化13】

【0034】
で表される化合物、上記式(D−III)で表される化合物のうち下記式(D−7)
【0035】
【化14】

【0036】
で表される化合物または上記式(D−1)で表される化合物のうちのドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼンおよび下記式(D−8)〜(D−13)
【0037】
【化15】

【0038】
で表される化合物が好ましい。
本発明のポリアミック酸またはそのイミド化物を製造するにあたって使用されるジアミンは、その少なくとも一部にステロイド骨格を有するジアミンを含むものであることが好ましく、特に上記式(D−I)において基Rがステロイド骨格を有する基であるジアミンを含むことが好ましい。
【0039】
<ポリアミック酸>
本発明に使用することができるポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは2〜10時間行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が反応溶液の全量(a+b)に対して好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%となるような量である。
【0040】
なお、前記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを挙げることができる。
ポリアミック酸の製造に際して有機溶媒中に上記の如き貧溶媒を併用する場合、その使用割合は生成するポリアミック酸が析出しない範囲において適宜に設定することができるが、好ましくは全溶媒のうちの50重量%以下である。
【0041】
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得てこの析出物を減圧下乾燥するか、あるいは反応溶液につきエバポレーター用いて減圧下に溶媒を留去することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解し、次いで貧溶媒で析出させる工程もしくはエバポレーターで減圧留去する工程を、1回または数回行うことによりポリアミック酸を精製することができる。
【0042】
<ポリアミック酸のイミド化物>
本発明に使用することのできるポリアミック酸のイミド化物(ポリイミド)は、上記の如きポリアミック酸の有するアミック酸構造を脱水閉環することにより製造することができる。
ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるポリイミドの分子量が低下することがある。ポリアミック酸を加熱する方法における反応時間は、好ましくは0.5〜48時間であり、より好ましくは2〜20時間である。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、アミック酸構造単位の1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃、より好ましくは10〜150℃であり、反応時間は好ましくは0.5〜20時間であり、より好ましくは1〜8時間である。
このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の単離、精製方法と同様の操作を行うことにより、ポリイミドを単離、精製することができる。
【0043】
本発明に用いられるイミド化物は、アミック酸構造の一部のみ脱水閉環されたイミド化率の低いものであっても良い。本発明に用いられるイミド化物のイミド化率は、好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。ここで、「イミド化率」とは、重合体におけるアミック酸単位およびイミド環の総数に対するイミド環の数の割合を%で表したものである。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
イミド化率は、イミド化物を適当な溶媒に溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH−NMRを測定し、下記数式(1)で示される式により求めることができる。

イミド化率(%)=(1−A/A×α)×100 ・・・(1)

(数式(1)中、Aは10ppmに見られるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは脱水閉環反応前のポリアミック酸におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
【0044】
本発明の液晶配向剤にexo体含量が90%以上の2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および他のテトラカルボン酸二無水物を用いて得られたポリイミドを使用する場合、他のテトラカルボン酸二無水物としては脂環式テトラカルボン酸二無水物を含む他のテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
この場合に特に好ましい脂環式テトラカルボン酸二無水物は、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物または4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンである。
【0045】
本発明の液晶配向剤にexo体含量が90%以上の2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを用いて得られたポリイミドを使用する場合におけるジアミンとしては、上記式(D−I)で表される化合物を使用することが好ましく、特にドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、上記式(D−8)〜(D−13)で表される化合物が好ましい。
この場合、上記式(D−I)で表される化合物とともにその他のジアミンを併用してもよい。ここで使用されるその他のジアミンのうち好ましいものとして、例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、上記式(D−1)〜(D−3)で表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジン、上記式(D−II)で表される化合物のうち上記式(D−6)で表される化合物、上記式(D−III)で表される化合物のうち上記式(D−7)で表される化合物などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤にexo体含量が90%以上の2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを用いて得られたポリイミドを使用する場合、使用されるジアミンのうち上記式(D−I)で表されるジアミンが全ジアミンの0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましい。
【0046】
<末端修飾型のポリアミック酸、そのイミド化物>
上記ポリアミック酸またはそのイミド化物は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。このような末端修飾型のものは、ポリアミック酸を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。ここで酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
<ポリアミック酸、そのイミド化物の溶液粘度>
上記ポリアミック酸は、10重量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液とし、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した溶液粘度が20〜800mPa・sであることが好ましく、30〜500mPa・sであることがより好ましい。
上記ポリアミック酸のイミド化物は、10重量%のγ−ブチロラクトン溶液とし、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した溶液粘度が20〜800mPa・sであることが好ましく、30〜500mPa・sであることがより好ましい。
【0047】
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、上記のポリアミック酸およびそのイミド化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を必須成分として含有するが、これ以外に本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含有することができる。かかるその他の成分としては、例えば上記のポリアミック酸およびそのイミド化物以外の重合体(以下、「他の重合体」という。)分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物、官能性シラン化合物等などを挙げることができる。
上記他の重合体は、本発明の液晶配向剤の溶液特性および得られる液晶配向膜の電気特性をより改善するために使用することができる。かかる他の重合体としては、例えば上記のポリアミック酸以外のポリアミック酸、そのイミド化物、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤が他の重合体を含有するものである場合、その使用割合は、重合体の全量に対して80重量%以下であることが好ましく、50重量%未満であることがより好ましい。
【0048】
上記分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(以下、単に「エポキシ化合物」という。)は、得られる液晶配向膜の基板表面に対する接着性を向上させるために使用することができる。エポキシ化合物としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、例えばポリアルコールのグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物などを挙げることができる。
上記ポリアルコールのグリシジルエーテルとしては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオールなど;
上記グリシジルアミン化合物としては、例えばN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサンなどを、それぞれ挙げることができる。
エポキシ化合物としては、グリシジルアミン化合物が好ましい。
エポキシ化合物の使用割合としては、重合体の全量100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは0.1〜30重量部である。
【0049】
上記官能性シラン化合物は、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン化合物の配合割合は、重合体の全量100重量部に対して、好ましくは40重量部以下である。
【0050】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記のポリアミック酸およびそのイミド化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種ならびに任意的に添加されるその他の成分を、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の総重量に占める割合をいう。)は、粘性、揮発性などを考慮して選択される。好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得難く、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって同様に良好な液晶配向膜を得難く、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜60℃である。
【0051】
本発明の液晶配向剤に使用される特に好ましい有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
<液晶表示素子>
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ脂環式オレフィンなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。また、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布しておいてもよい。
液晶配向剤塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜300℃であり、より好ましくは40〜200℃であり、特に好ましくは50〜150℃である。その後、溶剤を完全に除去することなどを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。この焼成(ポストベーク)温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。
本発明の液晶配向剤はこのように塗布後に有機溶媒を除去することによって液晶配向膜となる塗膜を形成するが、本発明の液晶配向剤がアミック酸構造を有する重合体を含有する場合には、さらに加熱することによって脱水閉環を進行させ、よりイミド化された塗膜とすることもできる。形成される塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0053】
(2)次いで、上記のようにして形成された塗膜面を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。
また、本発明の液晶配向剤により形成された液晶配向膜に、例えば特許文献6(特開平6−222366号公報)や特許文献7(特開平6−281937号公報)に示されているような、紫外線を部分的に照射することによってプレチルト角を変化させるような処理、あるいは特許文献8(特開平5−107544号公報)に示されているような、ラビング処理を施した液晶配向膜表面にレジスト膜を部分的に形成し、先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去して、液晶配向膜の液晶配向能を変化させるような処理を行うことによって、液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成する透明基板側に、偏光板を配することにより、液晶表示素子が得られる。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶;商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、さらに添加してもよい。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例および比較例におけるイミド化重合体のイミド化率、電圧保持率、液晶配向剤の塗布性は以下の方法により評価した。
[イミド化率]
イミド化率は、イミド化物(イミド化重合体)を室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH−NMRを測定し、上記数式(1)により求めた。
[溶液粘度]
重合体の溶液粘度は、ポリアミック酸の場合にはこれを10重量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液とし、イミド化重合体の場合にはこれを10重量%のγ−ブチロラクトン溶液とし、それぞれE型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[電圧保持率]
液晶表示素子に5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。電圧保持率は、95%以上の場合を「良好」と判断した。
【0055】
<exo−2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物の合成>
合成例1
(1)ヒドロキシ−ジシクロペンタジエンの合成
3リットルの三口フラスコに水153gおよび78%硫酸72gを加えて60℃に加熱した。ここにジシクロペンタジエン76gを加え激しく攪拌しながら100℃で6時間反応した。反応混合物を室温に冷却し、層分離するまで静置した。有機層をとり、これにトルエン76gを加え55℃に加熱した後、水76g、重曹7.6gおよび塩化ナトリウム7.6gを加え、さらに55℃で30分間攪拌を継続した。再度層分離するまで静置して有機層をとり、減圧濃縮してトルエンを除去した。残存物に水40gを加え75℃に加熱し、さらに100℃に加熱して減圧蒸留によりトルエンと水を共沸除去することにより、ヒドロキシ−ジシクロペンタジエンの粗生成物を78g得た。
この祖生成物78gにつき、温度を150℃以下に維持して減圧蒸留することにより、精製されたヒドロキシ−ジシクロペンタジエン60gを得た。
(2)ヒドロキシ−ジシクロペンタジエンの酸化
3リットルフラスコに67.5%硝酸およびバナジン酸アンモニウムを加え、43℃に加熱した。ここに、上記で合成したヒドロキシジシクロペンタジエン54gを滴下した。このとき、滴下中の反応溶液温度は42〜45℃に維持した。滴下終了後、43℃で2時間反応を行い、さらに48℃で8時間反応を継続した。62℃で減圧濃縮して残った溶液約108gにつき、さらに50℃で8時間反応を行った。反応混合物を10℃に冷却し、1時間かけて結晶化させた。結晶を含むスラリーに67.5%硝酸を加えろ過して結晶を回収した。ろ過器上に回収された結晶はろ過器ごと減圧乾燥して、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸を含む粗結晶約46gを得た。ろ過器に超純水16gを加え60℃で攪拌しフィルター内に残った結晶(回収できずろ過器上に残った結晶)を溶解し、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸を含む水溶液を回収した。
【0056】
(3)2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸の酸析
上記で得た2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸を含む粗結晶46gおよび回収した2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸粗結晶を含む水溶液に超純水5.8gを加え、75℃で攪拌して結晶を溶解した。この溶液に、反応器の内温度を75℃に維持しながら35%塩酸の51.4gを30分間かけて滴下した。滴下終了後75℃で2時間反応を継続した。次いで反応混合物を−3℃まで冷却し、10時間放置して結晶を析出させた。上澄みを廃棄し、残ったスラリーを遠心ろ過装置に移し、メチルイソブチルケトン24gを加えた。遠心分離により固形分と上澄みに分離し、上澄みを廃棄して結晶を含むスラリーを回収し、再び遠心ろ過装置に移し、上記と同様の操作を2回繰り返し、得られた結晶をメチルイソブチルケトンで洗浄した。
このようにして、酸析された2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸38gを含むメチルイソブチルケトンスラリーを得た。
【0057】
(4)2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸の無水化
2リットルフラスコに窒素雰囲気下、無水酢酸118gを投入し、ついで上記で得た精製された2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸の結晶33gを投入した。混合物を90℃に加熱し、窒素下で3時間反応させた。反応器の内部温度を一旦45℃に冷却し、内部温度を60℃以下に保って減圧濃縮して流出液約100ミリリットルを廃棄した。内部温度60℃以下の条件でさらに無水酢酸20gを投入し、内部温度60℃以下の条件でさらに減圧濃縮し、留出液約18ミリリットルを廃棄した。窒素ガス流通下、反応混合物を攪拌しながら7℃まで冷却し、この温度で10時間攪拌して結晶を熟成した。次いで、結晶を含むスラリーを窒素ガスで加圧ろ過して粗結晶を得た。
次に、内部に乾燥窒素を充たした−5℃に冷やした2リットルのフラスコに上記粗結晶と、−5℃に冷やしたメチルイソブチルケトン67gを投入した。窒素気流下、内部温度5℃で2時間スラリーを攪拌した。スラリーを窒素加圧ろ過し、得られた固形物をメチルイソブチルケトン12gで洗浄した。ろ過器内部の固形物をろ過器ごと60℃で減圧乾燥した。乾燥器内をアルゴンガスで置換し、アルゴンガス流通下でろ過器より22gの結晶を回収した。
次いで、ろ過器の排出口を閉じて、ろ過器内にアセトン332gを加え、30℃に加熱してろ過器内部に残った結晶を溶解した。ろ過器にアセトン20gおよび先に回収した結晶22gを加え、ろ過器にコンデンサを装着して内部を55℃まで加熱した。還流状態で固形物を溶解した後、、ろ過器内温度を50℃に調整した。ろ過器下部の排出口を開けてろ過し、さらにろ過器にアセトン12gを加えてろ過器内をフラッシングした。ろ液とフラッシング液を2リットルフラスコに移し、これを60℃に加熱してアセトン約350gを留去した。その後、窒素ガス流通下でフラスコ内の温度を−3℃まで冷却し、この温度で10時間熟成し結晶を析出させた。得られたスラリーを予め冷却しておいたろ過器に移し、窒素下で加圧ろ過を行い、0℃に冷却したアセトン16gを投入して結晶を洗浄した。ろ過器に残った結晶を、ろ過器ごと40℃で減圧乾燥した。ろ過器より2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物の結晶18gを回収した。
【0058】
(4)2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物の分析
上記で得た2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物の結晶につき、H−NMRおよび13C−NMRを測定したところ、exo含量は約100%であった。H−NMRチャートおよび13C−NMRチャートを図1および図2にそれぞれ示した。また、2次元NMR(HH−COSY、HH−NOESY、HMBC、HMQC)のスペクトル測定の結果により特定した各スペクトルの帰属を下記に示した。
【0059】
【化16】

【0060】
<イミド化重合体の合成>
合成例2
テトラカルボン酸二無水物として上記合成例1で得たexo−2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物(以下、「exo−TCA−AH」という。)110g(0.50モル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン160g(0.50モル)、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン95g(0.88モル)、2,2−ジトリフルオロメチルー4,4−ジアミノビフェニル32g(0.10モル)、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン(上記式(D−1)で表される化合物)6.4g(0.010モル)およびオクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン4.0g(0.015モル)をN−メチル−2−ピロリドン960gに溶解し、60℃で9時間反応させ、ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を小量分取して重合体の溶液粘度を測定したところ、溶液粘度は58mPa・sであった。
得られたポリアミック酸溶液に、N−メチル−2−ピロリドン2,740g、ピリジン396gおよび無水酢酸409gを添加し110℃で4時間脱水閉環反応を行った。反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度15重量%、イミド化率約94%のイミド化重合体(これを「イミド化重合体(A−1)」とする。)の溶液約2,400gを得た。
このイミド化重合体(A−1)の溶液粘度は69mPa・sであった。
【0061】
合成例3
テトラカルボン酸二無水物としてexo−TCA−AH 112g(0.50モル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン157g(0.50モル)、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン96g(0.89モル)、ビスアミノプロピルテトラメチルジシロキサン25g(0.10モル)および3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン13g(0.020モル)ならびにモノアミンとしてN−オクタデシルアミン8.1g(0.030モル)をN−メチル−2−ピロリドン960gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を小量分取して重合体の溶液粘度を測定したところ、60mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン2,700gを追加し、ピリジン396gおよび無水酢酸409gを添加して110℃で4時間脱水閉環を行った。反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度15重量%、イミド化率約95%のイミド化重合体(これを「イミド化重合体(A−2)」とする。)の溶液約1,900gを得た。
このイミド化重合体(A−2)の溶液粘度は77mPa・sであった。
【0062】
合成例4
テトラカルボン酸二無水物としてexo−TCA−AH 112g(0.50モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン43g(0.40モル)および3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン52g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン830gに溶解し、60℃で6時間反応をおこない、ポリアミック酸の溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を小量分取して重合体の溶液粘度を測定したところ、2,100mPa・sであった。次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,900gを追加し、ピリジン40gおよび無水酢酸51gを添加し110℃で4時間脱水閉環を行った。反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度15重量%、イミド化率約50%のイミド化重合体(これを「イミド化重合体(A−3)」とする。)の溶液約1,400gを得た。
合成例5
テトラカルボン酸二無水物としてexo−TCA−AH 112g(0.50モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン49g(0.45モル)および3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン26g(0.05モル)をN−メチル−2−ピロリドン750gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸の溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を小量分取して重合体の溶液粘度を測定したところ、2,000mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,800gを追加し、ピリジン40gおよび無水酢酸51gを添加し110℃で4時間脱水閉環を行った。反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度15重量%、イミド化率約50%のイミド化重合体(これを「イミド化重合体(A−4)」とする。)の溶液約1,500gを得た。
【0063】
合成例6
テトラカルボン酸二無水物としてexo−TCA−AH 112g(0.50モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン38g(0.35モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン20g(0.1モル)および3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン26g(0.05モル)を、N−メチル−2−ピロリドン750gに溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸の溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を小量分取して重合体の溶液粘度を測定したところ、2,000mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,800gを追加し、ピリジン40gおよび無水酢酸51gを添加し110℃で4時間脱水閉環を行った。反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度15重量%、イミド化率約50%のイミド化重合体(これを「イミド化重合体(A−5)」とする。)の溶液約1,500gを得た。
<ポリアミック酸の合成>
合成例7
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物98g(0.50モル)およびピロメリット酸二無水物109g(0.50モル)、ジアミン化合物として4,4’−ジアミノジフェニルメタン198g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン230gおよびγ―ブチロラクトン2,060gからなる混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応を行った後、γ―ブチロラクトン1,350gを追加し、固形分濃度10重量%のポリアミック酸(これをポリアミック酸(B−1)とする。)の溶液約3,600gを得た。
このポリアミック酸(B−1)の溶液粘度は125mPa・sであった。
合成例8
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物196g(1.0モル)、ジアミン化合物として2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル212g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン370gおよびγ―ブチロラクトン3,300gからなる混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応を行うことにより、固形分濃度10重量%のポリアミック酸(これをポリアミック酸(B−2)とする)の溶液約3,700gを得た。
このポリアミック酸(B−2)の溶液粘度は160mPa・sであった。
【0064】
実施例1
上記合成例2で得られたイミド化重合体(A−1)、合成例7で得られたポリアミック酸(B−1)、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを、(A−1):(B−1)=20:80(重量比)、且つ、溶媒組成がγ−ブチロラクトン:N−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=71:17:12(重量比)となるように混合し、さらにN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを重合体の合計量100重量部に対して5重量部加え、固形分濃度3.5重量%の溶液とした。この溶液を、十分に攪拌後、孔径1μmのフィルターを用いて濾過し、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱後、200℃のホットプレート上で10分間加熱し、平均膜厚1,000オングストロームの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡にて観察したところ、印刷ムラおよびピンホールは見られず、印刷性は良好であった。
次いでこの塗膜にナイロン型の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数500rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.4mmでラビング処理を行い、液晶配向膜を形成した。
上記と同様の操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を2枚(1対)作成した。
上記一対の液晶配向膜を有する基板のそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より基板の間隙に、ネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶表示素子を製造した。
得られた液晶表示素子に、交流6.0V(ピーク−ピーク)を重畳した30Hz、3.0Vの矩形波を70℃の環境温度で500時間印加して素子を目視で観察したところ、液晶表示素子の表示不良は見られなかった。
また、この液晶表示素子の電圧保持性は良好であった。
【0065】
実施例2
イミド化重合体(A−1)に代えて、合成例3で得られたイミド化重合体(A−2)を用いたほかは実施例1と同様にして、液晶配向剤を調製し、基板表面上に塗膜を形成した。実施例1と同様にしてこの塗膜を観察したところ、印刷ムラおよびピンホールは見られず、印刷性は良好であった。また、当該液晶配向膜が形成された基板を用いて液晶表示素子を製造し、実施例1と同様にして観察したところ、表示不良は認められなかった。この液晶表示素子の電圧保持性は良好であった。
実施例3〜4
ポリアミック酸(B−1)に代えて、合成例8で得られたポリアミック酸(B−2)を用いたほかは実施例1または2と同様にして、基板表面上にそれぞれ塗膜を形成した。実施例1と同様にしてこの塗膜を観察したところ、いずれも印刷ムラおよびピンホールは見られず、印刷性は良好であった。また、当該液晶配向膜が形成された基板を用いて液晶表示素子をそれぞれ製造し、実施例1と同様にして観察したところ、いずれも表示不良は認められなかった。これらの液晶表示素子の電圧保持性はいずれも良好であった。
【0066】
実施例5
合成例4で得られたイミド化重合体(A−3)100重量部(固形分)とN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン0.2重量部とを、N−メチル−2−ピロリドンとブチルセロソルブの混合溶媒に、溶媒組成がN−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=50:50(重量比)となるように溶解して固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
上記の液晶配向剤を用いて実施例1と同様にして基板表面上に塗膜を形成して観察したところ、塗膜に印刷ムラおよびピンホールは見られず、印刷性は良好であった。また、液晶としてネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6601)を用いたほかは実施例1と同様にして液晶表示素子を製造し、観察したところ、表示不良は認められなかった。この液晶表示素子の電圧保持性は良好であった。
実施例6〜7
イミド化重合体(A−3)に代えて、合成例5〜6で得られたイミド化重合体(A−4)または(A−5)を用いたほかは実施例5と同様にして、基板表面上にそれぞれ塗膜を形成して観察したところ、いずれも印刷ムラおよびピンホールは見られず、印刷性は良好であった。また、当該液晶配向膜が形成された基板を用いて液晶表示素子をそれぞれ製造し、実施例5と同様にして観察したところ、いずれも表示不良は認められなかった。これらの液晶表示素子の電圧保持性はいずれも良好であった。
【0067】
上記の実施例から明らかなように、本発明の液晶配向剤は、液晶配向性および電気特性に優れるとともに、塗布性の向上されたものである。本発明の液晶配向剤がかかる有利な効果を奏する理由は未だ明らかではないが、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物の立体構造を均質とすることにより、ポリアミック酸またはそのイミド化物の分子鎖のねじれが均質となり、このことによって重合体の溶解性が向上したことによるものと推察される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】合成例1で得たexo−2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物のH−NMRチャート(全領域図)。
【図2】合成例1で得たexo−2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物のH−NMRチャート(部分拡大図)。
【図3】合成例1で得たexo−2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物の13C−NMRチャート(高化学シフト領域)。
【図4】合成例1で得たexo−2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物の13C−NMRチャート(低化学シフト領域)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸のイミド化物よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する液晶配向剤であって、
前記2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物のexo体含量が90%以上であることを特徴とする液晶配向剤。
【請求項2】
ジアミンが、ステロイド骨格を有するジアミンを含むものである、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
ジアミンが、下記式(D−I)
【化1】

(式(D−I)中、Rは−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−から選ばれる2価の基であり、Rは1個以上の不飽和結合を含有していてもよい炭素数1〜40の1価の炭化水素基であり、ただしこの1価の炭化水素基の水素原子の一部または全部はフッ素原子により置換されていてもよい。)
で表される化合物を含むものである、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
(D−I)式中の基Rがステロイド骨格を有する基である、請求項3に記載の液晶配向剤。
【請求項5】
さらに、分子内に2個以上のエポキシ基を含む化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項6】
分子内に2個以上のエポキシ基を含む化合物がグリシジルアミン化合物である、請求項5に記載の液晶配向剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜を具備してなることを特徴とする、液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−58867(P2009−58867A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227494(P2007−227494)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】