説明

液晶駆動装置、液晶装置、電子機器、及び液晶駆動方法

【課題】複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれ等があっても画質の劣化を抑える液晶駆動装置等を提供する。
【解決手段】液晶パネル20を駆動する液晶駆動装置100は、S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により液晶パネル20を駆動するコモンドライバー120及びセグメントドライバー134と、コモンドライバー120及びセグメントドライバー134による液晶パネル20の駆動信号をn(nは自然数)ライン毎に極性反転制御を行う極性反転制御回路200とを含み、W(Wは自然数)フレーム内の1又は複数のタイミングで、駆動信号の極性反転期間をP(Pは自然数)水平走査期間だけ増加又は減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶駆動装置、液晶装置、電子機器、及び液晶駆動方法等に関し、特に複数ラインを同時選択する同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液晶パネルは、複数のコモン電極と、複数のコモン電極に交差するように設けられた複数のセグメント電極とを備えており、各コモン電極と各セグメント電極との交差位置に対応して画素が形成される。液晶パネルを駆動する液晶駆動装置は、液晶パネルの複数のコモン電極及び複数のセグメント電極を所定の液晶駆動方法に従って駆動することで、液晶パネルに画像を表示する。液晶パネルを駆動する場合、画素に同一極性の電圧を印加し続けると焼き付けが発生するため、一般的に、液晶駆動装置は、画素に印加される電圧の極性を周期的に反転して交流化する極性反転駆動を行う。
【0003】
この極性反転駆動として1フレーム毎に極性反転するフレーム反転駆動が知られている。ところが、液晶パネルのセグメント電極に応じて出力周波数が異なってクロストーク等の原因となることがあり、より短い時間間隔で極性反転することを目的として、nライン毎に極性反転を行うnライン反転駆動が行われる場合がある。
【0004】
このような極性反転駆動に関する技術については、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1には、4ライン同時選択駆動法において、1フレーム(1フレーム期間)を分割した複数のフィールド各々に1水平走査期間分をダミー期間として追加する技術が開示されている。これにより、サブグループ数を奇数にして、極性反転駆動の効果を得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−160919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いわゆる線順次駆動では、デューティーdtと極性反転するライン数との関係は、表示ライン数をL、デューティーdt=1/Lとすると、Lが奇数であり、Lとの公約数がないように極性反転ライン数は素数であることが望ましい。同時選択駆動法についても、例えば特許文献1に、サブグループ数が奇数であることが望ましいことが開示されている。
【0007】
しかしながら、4ライン同時選択駆動法では、1フレームが4フィールドに分割され、フィールド毎に走査されるため、1フレームで4回の走査が行われる。従って、特許文献1に開示されているように4ライン同時選択駆動法でnライン反転駆動を行う場合、1フレームにおけるサブグループ数が偶数になってしまう。そのため、バイアス電位のずれがあると実効電圧の差が生じ、濃淡の縞模様が見えてしまい、画質が劣化する場合があるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑える液晶駆動装置、液晶装置、電子機器、及び液晶駆動方法等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の第1の態様は、液晶パネルを駆動する液晶駆動装置が、S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により前記液晶パネルを駆動する駆動部と、前記駆動部による前記液晶パネルの駆動信号をn(nは自然数)ライン毎に極性反転制御を行う極性反転制御部とを含み、W(Wは自然数)フレーム内の1又は複数のタイミングで、前記駆動信号の極性反転期間をP(Pは自然数)水平走査期間だけ増加又は減少させる。
【0010】
本態様においては、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合に、Wフレーム内の1又は複数のタイミングで、前記駆動信号の極性反転期間をP水平走査期間だけ増加又は減少させる。これにより、例えば1フレーム内の全フィールドと各フィールドにおいて画素の印加電圧について正極性の期間と負極性の期間とを一致させることができるようになる。この結果、バイアス電位のずれや駆動波形の歪みのバランスに起因することなく、コモン電極に印加される実効電圧の差が生じず、液晶パネルにおける濃淡の縞模様の発生を抑え、表示品質を向上させることができるようになる。しかも、デューティー比が大きくなることなくコントラストの低下を抑えながら、表示品質を向上させることが可能となる。
【0011】
(2)本発明の第2の態様に係る液晶駆動装置では、第1の態様において、前記極性反転制御部は、nライン反転駆動により極性を反転させるライン数をカウントする極性反転ライン数カウンターを含み、前記極性反転ライン数カウンターは、Wフレーム内の1又は複数のタイミングで、カウント値をPだけ増加又は減少させる。
【0012】
本態様によれば、簡素な構成により、Wフレーム内の1又は複数のタイミングで、カウント値をPだけ増加又は減少させる液晶駆動装置を提供することができるようになる。これにより、簡素な構成で、バイアス電位のずれ等に起因することなく、コモン電極に印加される実効電圧の差が生じず、液晶パネルにおける濃淡の縞模様の発生を抑え、表示品質を向上させる液晶駆動装置を提供することができるようになる。
【0013】
(3)本発明の第3の態様に係る液晶駆動装置では、第1の態様又は第2の態様において、Pは、奇数である。
【0014】
本態様によれば、前後のフィールド間で極性をずらしながら極性反転制御の効果を得ることができるようになる。
【0015】
(4)本発明の第4の態様に係る液晶駆動装置では、第1の態様乃至第3の態様のいずれかにおいて、Pは、1である。
【0016】
本態様によれば、非常に簡素な制御で、前後のフィールド間で極性をずらしながら極性反転制御を行うことができようになる。
【0017】
(5)本発明の第5の態様は、液晶装置が、第1の態様乃至第4の態様のいずれか記載の液晶駆動装置と、前記液晶駆動装置によって駆動される前記液晶パネルとを含む。
【0018】
本態様によれば、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑える液晶装置を提供することができるようになる。
【0019】
(6)本発明の第6の態様は、電子機器が、第1の態様乃至第4の態様のいずれか記載の液晶駆動装置を含む。
【0020】
本態様によれば、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑える液晶駆動装置を備えた電子機器を提供することができるようになる。
【0021】
(7)本発明の第7の態様は、電子機器が、第5の態様記載の液晶装置を含む。
【0022】
本態様によれば、複数ラインを同時選択する同時選択駆動法でnライン反転駆動により液晶パネルを駆動する場合にバイアス電位のずれがあっても画質の劣化を抑える液晶装置を備えた電子機器を提供することができるようになる。
【0023】
(8)本発明の第8の態様は、S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動方法が、前記液晶パネルの駆動信号をn(nは自然数)ライン毎に極性反転制御を行う極性反転制御ステップと、前記極性反転制御ステップにおいて極性反転制御された駆動信号を用いて前記液晶パネルを駆動する駆動ステップとを含み、前記極性反転制御ステップは、W(Wは自然数)フレーム内の1又は複数のタイミングで、前記駆動信号の極性反転期間をP(Pは自然数)水平走査期間だけ増加又は減少させる。
【0024】
本態様によれば、例えば1フレーム内の全フィールドと各フィールドにおいて画素の印加電圧について正極性の期間と負極性の期間とを一致させることができるようになる。この結果、バイアス電位のずれや駆動波形の歪みのバランスに起因することなく、コモン電極に印加される実効電圧の差が生じず、液晶パネルにおける濃淡の縞模様の発生を抑え、表示品質を向上させることができるようになる。しかも、デューティー比が大きくなることなくコントラストの低下を抑えながら、表示品質を向上させることが可能となる。
【0025】
(9)本発明の第9の態様に係る液晶駆動方法では、第8態様において、Pは、奇数である。
【0026】
本態様によれば、前後のフィールド間で極性をずらしながら極性反転制御の効果を得ることができるようになる。
【0027】
(10)本発明の第10の態様に係る液晶駆動方法では、第8の態様又は第9の態様において、Pは、1である。
【0028】
本態様によれば、非常に簡素な制御で、前後のフィールド間で極性をずらしながら極性反転制御を行うことができようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶装置の構成例のブロック図。
【図2】4ライン同時選択のMLS駆動法により液晶パネルを駆動する場合の7レベルの電圧の関係を示す図。
【図3】4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネルの画素の印加電圧の極性の一例を示す図。
【図4】4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネルのコモン電極の選択電圧の説明図。
【図5】4ライン同時選択のMLS駆動法における画素の印加電圧の極性の一例を示す図。
【図6】図5における画素の全オン時の印加電圧の説明図。
【図7】4ライン同時選択のMLS駆動法における72ラインの液晶パネルの画素の印加電圧の極性の一例を示す図。
【図8】本実施形態における液晶駆動方法のフロー図の一例を示す。
【図9】本実施形態において4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネルのコモン電極に接続される画素の印加電圧の極性の一例を示す図。
【図10】本実施形態において4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネルのコモン電極に接続される画素の印加電圧の極性の一例を示す図。
【図11】本実施形態における4ライン同時選択のMLS駆動法における画素の印加電圧の極性の一例を示す図。
【図12】図11における画素の全オン時の印加電圧の説明図。
【図13】本実施形態における液晶駆動装置の構成例のブロック図。
【図14】本実施形態におけるコモンアドレス及びラインアドレスの説明図。
【図15】図13の極性反転制御回路の構成例のブロック図。
【図16】フィールド数カウンターの動作例のフロー図。
【図17】コモンアドレスカウンターの動作例のフロー図。
【図18】ラインアドレスカウンターの動作例のフロー図。
【図19】VSYNC0生成回路の動作例のフロー図
【図20】nライン反転数カウンターの動作例のフロー図。
【図21】極性レジスターの動作例のフロー図。
【図22】極性反転制御回路の動作例のタイミング図。
【図23】本実施形態における液晶駆動装置の駆動タイミングの一例を示す図。
【図24】図24(A)、図24(B)は本実施形態が適用された電子機器の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するために必須の構成要件であるとは限らない。
【0031】
〔液晶装置〕
図1に、本発明の一実施形態に係る液晶装置の構成例のブロック図を示す。図1は、液晶装置が液晶駆動装置を備える構成例を表すが、液晶駆動装置が液晶装置の外部に備えられていてもよい。
【0032】
電気光学装置としての液晶装置10は、液晶パネル(広義には、表示パネル、電気光学パネル)20と、ホストプロセッサー30と、電源回路40とを備えている。
【0033】
液晶パネル20は、パッシブ型の液晶表示パネルであり、一対の透明なガラス基板の間に、透明電極で形成され互いに交差するように配置された複数のコモン電極、複数のセグメント電極、配向膜及び液晶等を封入して形成される。液晶パネル20は、画素形成領域22を有し、画素形成領域22には、第1の方向に配設されたコモン電極と、第1の方向と交差する第2の方向に配設されたセグメント電極との交差位置に対応して画素が形成される。図1では、複数のコモン電極COM0〜COMQ(Qは自然数)のコモン電極COMj(0≦j≦Q、jは整数)と複数のセグメント電極SEG0〜SEGR(Rは自然数)のセグメント電極SEGk(0≦k≦R、kは整数)とを図示している。コモン電極COMj及びセグメント電極SEGkの交差位置に対応して画素Pjkが形成される。この液晶パネル20を構成するガラス基板には、液晶駆動装置100がCOG(Chip On Glass)実装される。
【0034】
液晶駆動装置100は、コモン電極に所与の選択電圧を供給するための複数のコモン電極出力端子と、セグメント電極に画像データに対応した駆動電圧を供給するための複数のセグメント電極出力端子とを有する。複数のコモン電極出力端子の各々は、対応するコモン電極に電気的に接続され、複数のセグメント電極出力端子の各々は、対応するセグメント電極に電気的に接続される。液晶駆動装置100は、液晶パネル20の画素形成領域22に形成されたコモン電極COM0〜COMQ及びセグメント電極SEG0〜SEGRをMLS(Multi Line Selection)駆動法(同時選択駆動法)により駆動する。即ち、液晶駆動装置100は、複数のコモン電極を同時選択し、1画面を表示するのに必要な期間としての1フレーム(1フレーム期間)を分割した複数のフィールド(フィールド期間)で、複数回に亘って駆動する。液晶駆動装置100は、フィールド毎に、同時選択した複数のコモン電極を選択パターン(走査パターン)に基づいて駆動すると共に、該選択パターン及び画像データに基づく所与のMLS演算結果に対応した駆動電圧を複数のセグメント電極に印加する。
【0035】
ホストプロセッサー30は、内蔵するメモリー又は図示しないメモリーに記憶されたプログラムを読み込んで、該プログラムに対応した処理を実行することで、液晶駆動装置100の駆動制御を行う。このため、ホストプロセッサー30は、液晶駆動装置100が内蔵する設定レジスターに設定値を設定することで、液晶駆動装置100の動作を制御することができる。また、ホストプロセッサー30は、液晶駆動装置100に、液晶パネル20に表示させる画像に対応した画像データを供給する。図1において、ホストプロセッサー30は、液晶パネル20を構成するガラス基板上に実装されていてもよい。
【0036】
電源回路40は、ホストプロセッサー30及び液晶駆動装置100の各々に、動作電源電圧及び液晶パネル20の駆動電源電圧、或いはこれらの電圧を生成するための基準電圧を供給する。図1において、電源回路40は、液晶パネル20を構成するガラス基板上に実装されていたり、液晶駆動装置100に内蔵されていたりしてもよい。
【0037】
液晶駆動装置100によって行われるMLS駆動法は、単純な駆動法と比較して、コモン電極が選択される期間の間隔を狭めることができ、画素の透過率の低下を抑えると共に、平均の透過率を向上させることができる。また、複数のコモン電極を同時に選択することで、コモン電極に印加する駆動電圧(選択電圧)を低くすることができる。このようなMLS駆動法においては、各セグメント電極の駆動電圧は、画像データと同時選択されるコモン電極の選択パターンとにより決まる。例えば4ライン同時選択のMLS駆動法では、1フレーム内に4フィールドを設け、各フィールドにおいて、画像データ及び選択パターンに応じて決定される駆動電圧を用いて各セグメント電極が駆動される。複数のフィールドを設けているため、非フィールドにおける透過率の低下が少なくなり、液晶パネル20における平均の透過率を向上させ、液晶パネルのコントラストを向上させることができる。
【0038】
以下で説明する本実施形態では、4ラインのコモン電極を同時に選択するMLS駆動法を採用するものとする。この場合、1フレーム内に4回のフィールドを設けることができ、液晶パネル20のコントラストをより一層向上させることができる。この4ライン同時選択のMLS駆動法では、7レベルの電圧が用いられる。なお、本実施形態は、MLS駆動法における同時選択ライン数に限定されるものではない。
【0039】
図2に、4ライン同時選択のMLS駆動法により液晶パネル20を駆動する場合の7レベルのバイアス電圧の関係を示す。
【0040】
電圧V3、MV3は、コモン電極の選択電圧である。電圧VCは、コモン電極の非選択電圧であり、セグメント電極の駆動電圧である。電圧V2、V1、MV1、MV2は、セグメント電極の駆動電圧である。そして、交差するコモン電極及びセグメント電極の電圧差に応じて、画素の透過率が変化する。
【0041】
ここで、電圧V3とセンター電圧VCとの電圧差をv、電圧V2とセンター電圧VCとの電圧差をv、電圧V1とセンター電圧VCとの電圧差をvとする。このとき、センター電圧VCと電圧MV3との電圧差はv、センター電圧VCと電圧MV2との電圧差はv、センター電圧VCと電圧MV1との電圧差はvである。ここで、電圧V2と電圧V1との電圧差(=電圧MV1と電圧MV2との電圧差)が、電圧V1とセンター電圧VCとの電圧差(=センター電圧VCと電圧MV1との電圧差)と等しい。
【0042】
このような7レベルのバイアス電圧のうち、電圧MV3の電位が最も低く、本実施形態では、電圧MV3として接地電圧VSSが採用される。
【0043】
液晶駆動装置100は、図2に示す電圧を用いて、MLS駆動法によりコモン電極及びセグメント電極を駆動する。このとき、液晶駆動装置100は、n(nは1以上の整数)本のコモン電極を走査する毎に極性を反転させるnライン極性反転制御を行うことで、液晶の劣化を防止し、画質の向上を図る。
【0044】
ところが、MLS駆動法においてnライン反転駆動を行う場合、次のような問題がある。以下では、説明の便宜上、132ラインの液晶パネル20を駆動する例について説明する。
【0045】
図3に、4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネル20の画素の印加電圧の極性の一例を示す。図3は、コモン電極毎に、nライン反転駆動においてnが20(=5ブロック)のときの画素の印加電圧の極性の一例を表す。
【0046】
図3では、液晶駆動装置100の内部信号である極性反転信号FRが20ライン(=5ブロック)毎に反転することで、極性反転信号FRにより規定される画素の印加電圧の極性が反転し、極性反転周期は5フレームとなる。ここで、コモン電極COM0〜COM3に着目すると、5フレームの間の全フィールドにおいて極性反転信号FRがLレベルの期間が「10」、極性反転信号FRがHレベルの期間が「10」となる(L:H=10:10)。ところが、1フレームを分割した第1フィールド〜第4フィールドの各フィールドにおける極性反転信号FRがLレベルであるブロック数とHレベルであるブロック数とが異なる。例えば第1フィールドにおいてL:H=3:2、第2フィールドにおいてL:H=2:3、第3フィールドにおいてL:H=3:2、第4フィールドにおいてL:H=2:3となる。
【0047】
同様に、コモン電極COM4〜COM7に着目すると、5フレームの間の全フィールドにおいて極性反転信号FRがLレベルの期間が「10」、極性反転信号FRがHレベルの期間が「10」となる。一方、例えば第1フィールドにおいてL:H=2:3、第2フィールドにおいてL:H=3:2、第3フィールドにおいてL:H=2:3、第4フィールドにおいてL:H=3:2となる。
【0048】
ここで、MLS駆動法においてnライン反転駆動を行う場合の問題点を把握するため、4ライン同時選択のMLS駆動法において全オン時の画素の印加電圧について着目する。
【0049】
図4に、4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネル20のコモン電極COMp(0≦p≦Q、pは整数)〜COMp+3の選択電圧の説明図を示す。図4は、極性反転信号FRにより規定される極性及びフィールドに応じて、コモン電極COMp〜COMp+3に印加される選択電圧を表す。
【0050】
極性反転信号FRがLレベルのとき、液晶駆動装置100は、駆動対象の画素の印加電圧が例えば正極性となるように、対応するコモン電極に選択電圧を供給し、且つ、対応するセグメント電極に駆動電圧を供給する。また、極性反転信号FRがHレベルのとき、液晶駆動装置100は、駆動対象の画素の印加電圧が例えば負極性となるように、対応するコモン電極に選択電圧を供給し、且つ、対応するセグメント電極に駆動電圧を供給する。このとき、MLS駆動法では、同時選択されるコモン電極の各フィールドにおける走査パターンが決まる。4ライン同時選択のMLS駆動法では、コモン電極COMp〜COMp+3には、フィールド毎に、極性に応じて、図4に示すように選択電圧V3、MV3が印加される。
【0051】
図5に、4ライン同時選択のMLS駆動法における画素の印加電圧の極性の一例を示す。図5は、コモン電極COM0〜COM7の各コモン電極に接続される画素について示すが、他のコモン電極に接続される画素についても同様である。なお、図5において、極性反転信号FRがLレベルのときにコモン電極の選択電圧として電圧MV3が印加される画素と、極性反転信号FRがHレベルのときにコモン電極の選択電圧として電圧V3が印加される画素については、丸で囲んで表記している。
【0052】
全オン時のセグメント電極の駆動電圧は、極性反転信号FRがLレベルのとき電圧MV1となり、極性反転信号FRがHレベルのとき電圧V1となる。そのため、例えば第1フレームのコモン電極COM0に接続される画素は、第1フィールド(FR=L)では、コモン電極COM0に選択電圧V3、セグメント電極にMV1が印加され、当該画素の印加電圧は、(V3−MV1)となる。また、第3フィールド(FR=H)では、コモン電極COM0に選択電圧MV3、セグメント電極にV1が印加され、当該画素の印加電圧は、(MV3−V1)となる。
【0053】
同様に、各コモン電極に接続される画素の全オン時における印加電圧は、次のようになる。
【0054】
図6に、図5における画素の全オン時の印加電圧の説明図を示す。図6は、コモン電極COM0〜COM15についてのみ図示しているが、他のコモン電極も同様である。なお、図6では、極性反転周期の間の全フィールドにおける印加電圧を表している。
【0055】
全オン時の画素の印加電圧は、極性反転信号FRにより規定される極性によって、コモン電極の選択電圧とセグメント電極の駆動電圧とにより定まる。即ち、コモン電極の選択電圧V3,MV3と、セグメント電極の駆動電圧V1,MV1との組み合わせにより、印加電圧は4種類となる。印加電圧(V3−MV1)は、図5においてFR=Lで、丸で囲んでいない箇所に相当する。印加電圧(V3−V1)は、図5においてFR=Hで、丸で囲んでいる箇所に相当する。印加電圧(MV3−V1)は、図5においてFR=Hで、丸で囲んでいない箇所に相当する。印加電圧(MV3−MV1)は、図5においてFR=Lで、丸で囲んでいる箇所に相当する。
【0056】
図6の場合、極性反転周期の間の全フィールドにおける印加電圧は、輝度パターンA,Bの2パターンに分類される。印加電圧は画素の輝度に対応するため、バイアス電位のずれや駆動波形の歪みのバランスに起因して、全オンにもかかわらずブロック単位(=4ライン単位)の輝度差が発生し、液晶パネル20に濃淡の縞模様が発生するという問題がある。
【0057】
なお、図3〜図6では、132ラインの液晶パネル20を駆動する例を説明したが、72ラインの液晶パネルについても同様である。
【0058】
図7に、4ライン同時選択のMLS駆動法における72ラインの液晶パネルの画素の印加電圧の極性の一例を示す。図7は、コモン電極毎に、nライン反転駆動においてnが20(5ブロック)のときの画素の印加電圧の極性の一例を表す。
【0059】
図7では、極性反転信号FRが20ライン(=5ブロック)毎に反転することで、極性反転信号FRにより規定される画素の印加電圧の極性が反転し、極性反転周期は5フレームとなる。この場合、同時選択されるコモン電極について、5フレームの間の全フィールド合計の極性反転信号FRがLレベルの期間と、極性反転信号FRがHレベルの期間とが一致しない。その上、デューティーと極性反転するライン数とによって、各フィールドにおける極性反転信号FRがLレベルの期間とHレベルの期間とが一致しない場合もある。このように、MLS駆動法においてnライン反転駆動を行う場合、バイアス電位のずれや駆動波形の歪みのバランスに起因して、全オンにもかかわらずブロック単位の輝度差が発生する。
【0060】
以上のように、液晶パネル20のライン数にかかわらず、MLS駆動法においてnライン反転駆動を行う場合、液晶パネル20に濃淡の縞模様が発生するという問題がある。
【0061】
〔液晶駆動装置〕
本実施形態では、S(Sは2以上の自然数)ラインを同時選択するMLS駆動法でnライン反転駆動を行う場合、W(Wは自然数)フレーム内の少なくとも1垂直走査期間内の1又は複数のタイミングで、極性反転期間をP(Pは自然数)水平走査期間だけ増加又は減少させる。以下では、1フレーム内の1又は複数のタイミングで極性反転期間をP水平走査期間だけ増加又は減少させる例を説明するが、極性反転期間を増加又は減少させる1又は複数のタイミングが、1フレーム内に設定されるものに限定されるものではない。1フレーム内で極性反転期間を増加又は減少させる場合、例えば、4ラインを同時選択するMLS駆動法では、1フレーム中に4回走査するが、そのうち少なくとも1回の走査中に、極性反転期間をP水平走査期間だけ増加又は減少させる。
【0062】
図8に、本実施形態における液晶駆動方法のフロー図の一例を示す。
【0063】
本実施形態における液晶駆動装置100は、液晶パネル20の駆動信号をn(nは自然数)ライン毎に極性反転制御を行う(ステップST1、極性反転制御ステップ)。続いて、液晶駆動装置100は、ステップST1において極性反転制御された駆動信号を用いて液晶パネル20を駆動する(ステップST2、駆動ステップ)。ステップST1において、1フレーム内の1又は複数のタイミングで、駆動信号の極性反転期間をP水平走査期間だけ増加又は減少させる。ここで、1フレーム内に設定されるタイミングの各々は、フレームの開始タイミングを基準に所定の時間を経過したタイミングに固定されていればよい。また、1フレーム内に設定されるタイミング数や、増加又は減少させる水平走査期間数であるPは、液晶パネルのデューティーと極性反転ライン数とに応じて設定される。
【0064】
また、増加又は減少させる水平走査期間数であるPは、奇数であることが望ましい。こうすることで、前後のフィールド間で極性をずらしながら極性反転制御の効果を得ることができる。更に、Pは、1であることが望ましい。こうすることで、非常に簡素な制御で、前後のフィールド間で極性をずらしながら極性反転制御を行うことができる。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、バイアス電位のずれや駆動波形の歪みのバランスに起因することなく、コモン電極に印加される実効電圧の差が生じず、液晶パネル20における濃淡の縞模様の発生を抑え、表示品質を向上させることができるようになる。しかも、デューティー比が大きくなることなくコントラストの低下を抑えながら、表示品質を向上させることが可能となる。
【0066】
以下では、1フレーム内に極性反転期間を増加又は減少させるタイミングとして、フレームの切り替えタイミングであるものとし、Pは1であるものとして説明する。
【0067】
図9及び図10に、本実施形態において4ライン同時選択のMLS駆動法における液晶パネル20の画素の印加電圧の極性の一例を示す。図9及び図10は、コモン電極毎に、nが20(5ブロック)のときの画素の印加電圧の極性の一例を表す。
【0068】
図9及び図10では、極性反転信号FRが20ライン(=5ブロック)毎に反転することで、極性反転信号FRにより規定される画素の印加電圧の極性が反転し、第6フレーム以降で第1フレームと逆の極性となり、極性反転周期は10フレームとなる。ここで、コモン電極COM0〜COM3に着目すると、10フレームの間の全フィールドにおいて極性反転信号FRがLレベルの期間が「20」、極性反転信号FRがHレベルの期間が「20」となる(L:H=20:20)。各フィールドにおける極性反転信号FRがLレベルであるブロック数とHレベルであるブロック数とについても一致する。第1フィールド〜第4フィールドの各フィールドにおいてL:H=5:5となる。コモン電極COM4〜COM7に着目しても、コモン電極COM0〜COM3と同様である。
【0069】
図11に、本実施形態における4ライン同時選択のMLS駆動法における画素の印加電圧の極性の一例を示す。図11は、コモン電極COM0〜COM7の各コモン電極に接続される画素について示すが、他のコモン電極に接続される画素についても同様である。なお、図11において、極性反転信号FRがLレベルのときにコモン電極の選択電圧として電圧MV3が印加される画素と、極性反転信号FRがHレベルのときにコモン電極の選択電圧として電圧V3が印加される画素については、丸で囲んで表記している。
【0070】
全オン時のセグメント電極の駆動電圧は、極性反転信号FRがLレベルのとき電圧MV1となり、極性反転信号FRがHレベルのとき電圧V1となる。各画素の印加電圧は、図5と同様に定められる。その結果、各コモン電極に接続される画素の全オン時における印加電圧は、次のようになる。
【0071】
図12に、図11における画素の全オン時の印加電圧の説明図を示す。図12は、コモン電極COM0〜COM15についてのみ図示しているが、他のコモン電極も同様である。なお、図12では、極性反転周期の間の全フィールドにおける印加電圧を表している。
【0072】
全オン時の画素の印加電圧は、極性反転信号FRにより規定される極性によって、コモン電極の選択電圧とセグメント電極の駆動電圧とにより定まる。即ち、コモン電極の選択電圧V3,MV3と、セグメント電極の駆動電圧V1,MV1との組み合わせにより、印加電圧は4種類となる。印加電圧(V3−MV1),(V3−V1),(MV3−V1),(MV3−MV1)の各々は、図11において図5と同様の箇所に相当する。図12に示すように、本実施形態によれば、極性反転周期の間の全フィールドにおける印加電圧は、輝度パターンCの1パターンに統一される。そのため、バイアス電位のずれや駆動波形の歪みのバランスがあったとしても、ブロック単位(=4ライン単位)の輝度差が発生することなく、液晶パネル20における濃淡の縞模様の発生を抑えることができるようになる。
【0073】
以上のような液晶駆動方法を実現する液晶駆動装置100は、次のような構成を有することができる。
【0074】
図13に、本実施形態における液晶駆動装置100の構成例のブロック図を示す。図13では、画素形成領域22をあわせて図示している。
図14に、本実施形態におけるコモンアドレス及びラインアドレスの説明図を示す。
【0075】
液晶駆動装置100は、ホストプロセッサー用インターフェイス110と、発振回路112と、制御回路114と、コモンアドレスデコーダー116と、コモン出力演算回路118と、コモンドライバー120と、ページアドレス制御回路122とを備えている。また、液晶駆動装置100は、カラムアドレス制御回路124と、ラインアドレス制御回路126と、画像データRAM128と、画像データラッチ回路130と、MLSデコーダー132と、セグメントドライバー134とを備えている。画像データRAM128は、フレームメモリー(画像データメモリー)として機能する。制御回路114は、極性反転制御回路(極性反転制御部)200を有する。本実施形態における駆動部は、コモンドライバー120及びセグメントドライバー134を含んで構成され、コモンアドレスデコーダー116、コモン出力演算回路118、及びMLSデコーダー132の少なくとも1つを更に含んでもよい。
【0076】
ホストプロセッサー用インターフェイス110は、液晶駆動装置100が有する入力端子又は入出力端子を介してホストプロセッサー30から入力される入力信号の入力インターフェイス処理を行う。またホストプロセッサー用インターフェイス110は、液晶駆動装置100が有する出力端子又は入出力端子を介してホストプロセッサー30に出力する出力信号の出力インターフェイス処理を行う。
【0077】
発振回路112は、液晶駆動装置100が生成する表示タイミング信号の基準となる発振クロックOSCを発振動作により生成する。例えば、制御回路114は、発振クロックOSCに基づいて、複数種類の表示タイミング信号を生成する。この制御回路114は、コモンアドレスデコーダー116等の液晶駆動装置100の各部を制御する制御信号を生成する。極性反転制御回路200は、コモンドライバー120及びセグメントドライバー134等が液晶パネル20(具体的には画素形成領域22)に供給する駆動信号の極性反転制御を行う。駆動信号としては、コモンドライバー120がコモン電極に出力する選択電圧、セグメントドライバー134がセグメント電極に出力する駆動電圧がある。
【0078】
コモンアドレスデコーダー116は、制御回路114において生成されMLS駆動において同時選択される複数のコモン電極に対応したコモンアドレスをデコードする。このデコード結果はコモンドライバー120に出力される。コモンアドレスは、同時選択される複数のコモン電極毎に割り当てられ、MLS駆動を行う際にコモンアドレスを指定することで、対応するコモン電極が選択される。
【0079】
コモン出力演算回路118は、制御回路114において生成される極性反転信号FR、MLS駆動パターンを識別するフィールド識別信号F1,F2に基づいて、コモン出力の出力レベルを制御する。フィールド識別信号F1,F2により、1フレーム内のフィールドが規定され、フィールド信号FIELDが「1」になるとフィールド識別信号F1,F2が更新される。
【0080】
コモンドライバー120は、コモンアドレスデコーダー116のデコード結果に基づいて、コモン出力の選択又は非選択を制御し、選択されたコモン出力として、コモン出力演算回路118で生成された出力レベルを出力する。
【0081】
ページアドレス制御回路122は、ホストプロセッサー用インターフェイス110を介してホストプロセッサー30から入力される画像データを画像データRAM128にアクセスするためのページアドレスを制御する。ページアドレスは、ホストプロセッサー30から入力される画像データのバス幅をアクセス単位として定義される。
【0082】
カラムアドレス制御回路124は、ホストプロセッサー用インターフェイス110を介してホストプロセッサー30から入力される画像データを画像データRAM128にアクセスするためのカラムアドレスを制御する。カラムアドレスは、画素形成領域22のセグメント電極に対応して定義される。
【0083】
ラインアドレス制御回路126は、画像データRAM128に保存された画像データのうち読み出しラインを特定するラインアドレスを制御する。ラインアドレスは、画素形成領域22のコモン電極に対応して定義される。本実施形態におけるコモンアドレス及びラインアドレスは、図14に示すように定義される。例えば、制御回路114がコモンアドレス「0」を出力したとき、コモン電極COM0〜COM3が同時選択される。このとき、画像データRAM128に記憶される画像データのうち、ラインアドレス0〜3に対応する画像データが読み出される。同様に、制御回路114がコモンアドレス「1」を出力したとき、コモン電極COM4〜COM7が同時選択される。このとき、画像データRAM128に記憶される画像データのうち、ラインアドレス4〜7に対応する画像データが読み出される。このように、コモンアドレスにより、同時選択される4ラインのコモン電極を1ブロックとするブロック単位で指定でき、ラインアドレスも一意に決まる。
【0084】
図14において、画像データRAM128は、画素形成領域22の画素の並びに対応して、各画素の画像データが記憶される記憶領域を有する。各記憶領域は、ページアドレス及びカラムアドレスにより特定される。これにより、画像データRAM128には、ページアドレス及びカラムアドレスにより特定される領域に画像データが書き込まれる。一方、画像データRAM128からは1ライン単位で画像データが読み出される。
【0085】
画像データラッチ回路130は、画像データRAM128から読み出された画像データを4ライン分ラッチする。
【0086】
MLSデコーダー132は、画像データと、制御回路114において生成されMLS駆動を行うための表示タイミング信号とをデコードする。より具体的には、MLSデコーダー132は、画像データラッチ回路130によってラッチされた画像データと、制御回路114によって生成される極性反転信号FR、フィールド識別信号F1、F2とに基づいて、セグメント出力の出力レベルを制御する。このMLSデコーダー132のデコード結果は、セグメントドライバー134に出力される。
【0087】
セグメントドライバー134は、MLSデコーダー132のデコード結果に基づいて、セグメント電極に、MLSデコーダー132でデコードされた出力レベルを出力する。なお、セグメントドライバー134には、制御回路114において生成された表示オフ信号XDOFにより、MLSデコーダー132のデコード結果にかかわらずセグメント電極に所与の出力レベルを出力して表示をオフにする制御を行うことができる。本実施形態では、表示オフ信号XDOFにより、コモン電極と同電位となるような出力レベルをセグメント電極に出力することで、表示をオフする。
【0088】
MLS駆動法において1フレーム期間内に設けられる各フィールドは、液晶駆動装置100においてフィールド識別信号F1、F2により特定される。液晶駆動装置100は、2ビットのフィールド識別信号F1、F2で表される4状態に対応したフィールド毎に、各コモン電極に電圧V3又は電圧MV3を出力する。各フィールドにおける各コモン電極への出力パターンは、選択パターンとして直交関数系により定義される。液晶駆動装置100は、予め決められた直交関数系により定義される選択パターンに従って、3種類の駆動電圧V3、VC、MV3のいずれかを適宜選択し、同時選択されるコモン電極の各々に印加するようになっている。
【0089】
各フィールドは、同時選択される複数のコモン電極毎に割り当てられる複数のサブ選択期間に分割される。第1フィールドを分割した複数のサブ選択期間のうち、同時選択されるコモン電極COM0〜COM3が選択されるサブ選択期間では、次のような動作が行われる。液晶駆動装置100は、電圧(V2,V1,VC,MV1,MV2)のいずれかを選択し、セグメント電極SEG0に選択した電圧を印加する。このとき、液晶駆動装置100は、セグメント電極SEG0と同時選択されるコモン電極COM0〜COM3の各々との交差位置に対応した各ドットの表示パターンと選択パターンとに応じて電圧を選択する。同様に、他のセグメント電極に対して、選択した電圧を印加する。
【0090】
次に、第1フィールドを分割した複数のサブ選択期間のうち、次に同時選択されるコモン電極が選択されるサブ選択期間において、各セグメント電極に同様に選択した電圧を印加する。こうしてすべてのコモン電極について、以上の手順を繰り返すと、第1フィールドにおける動作が終了する。同様に第2フィールド以降についても、すべてのコモン電極について上記の手順を繰り返すと1つのフレームが終わり、これにより1つの画面の表示が行われる。
【0091】
このような構成の液晶駆動装置100では、コモンドライバー120は、同時選択される複数のコモン電極を1ブロックとするブロック単位に複数フィールドに亘って各フィールドに対応した選択パターンでコモン電極を走査する。また、セグメントドライバー134は、同時選択される複数のコモン電極に対応した画像データ及び上記の選択パターンに対応した駆動電圧でセグメント電極を駆動する。この駆動電圧は、画像データ及び表示タイミング信号に基づいてデコードされた結果により得られる。
【0092】
図15に、図13の極性反転制御回路200の構成例のブロック図を示す。なお、以下では、1フレーム内のフレーム切り替えタイミングにおいて、nライン反転駆動により極性を反転させるライン数のカウント値を1だけ強制的に進めることにより、カウント値を1だけ増加させる例を説明する。この場合、極性反転期間は、1水平走査期間分だけ短縮される。
【0093】
極性反転制御回路200は、フィールド数カウンター210と、コモンアドレスカウンター220と、ラインアドレスカウンター230とを備えている。また、極性反転制御回路200は、VSYNC0生成回路240と、nライン反転数レジスター250と、nライン反転数カウンター(極性反転ライン数カウンター)260と、極性レジスター270とを備えている。
【0094】
フィールド数カウンター210は、1フレームを分割することにより得られるフィールド数をカウントする。コモンアドレスカウンター220は、同時選択される4ラインのコモン電極を特定するコモンアドレスに対応するコモンアドレスカウント値をカウントし、コモンアドレスカウント値に対応したコモンアドレスを出力する。また、ラインアドレスカウンター230は、同時選択される各コモン電極に対応したラインアドレスに応じたラインアドレスカウント値をカウントし、ラインアドレスカウント値に対応したラインアドレスを出力する。
【0095】
VSYNC0生成回路240は、nライン反転数カウンター260のカウント値を強制的に変更するためのフラグ信号VSYNC0を生成する。nライン反転数レジスター250には、ホストプロセッサー30により、極性反転させるライン数nに対応した設定情報が設定される。即ち、nライン反転駆動において極性反転させるライン数nが可変に構成される。nライン反転数カウンター260は、nライン反転駆動により極性を反転させるライン数をカウントする。極性レジスター270は、極性反転制御回路200を構成する各部により生成されるレジスター値を保持し、該レジスター値に対応した極性反転信号FRを出力する。
【0096】
以下、極性反転制御回路200を構成する各部の動作例について説明する。なお、説明の便宜上、ライン数が「16」、nが「12」(=3ブロック)とする。
【0097】
図16に、フィールド数カウンター210の動作例のフロー図を示す。
フィールド数カウンター210には、垂直同期信号VSYNCと、フィールド信号FIELDとが入力される。フィールドの開始タイミングで、フィールド信号FIELDが「1」に設定される。図16では、フィールド数カウンター210のカウント値をフィールド数カウント値と表記している。
【0098】
垂直同期信号VSYNCが「1」になると(ステップST10:Y)、フィールド数カウンター210は、カウント値を「0」に初期化し(ステップST12)、ステップST10に戻る(リターン)。垂直同期信号VSYNCが「0」で(ステップST10:N)、フィールド信号FIELDが「1」になると(ステップST14:Y)、フィールド数カウンター210は、カウント値をインクリメントする(ステップST16)。その後、ステップST10に戻る(リターン)。
【0099】
ステップST14においてフィールド信号FIELDが「0」のとき(ステップST14:N)、フィールド数カウンター210は、カウント値を更新することなく(ステップST18)、ステップST10に戻る(リターン)。
【0100】
以上のように、フィールド数カウンター210は、垂直走査期間毎に初期化されるカウント値をフィールド信号FIELDに同期してインクリメントすることができる。フィールド数カウンター210のカウント値「0」が第1フィールドに対応し、カウント値「1」が第2フィールドに対応し、カウント値「2」が第3フィールドに対応し、カウント値「3」が第4フィールドに対応する。
【0101】
図17に、コモンアドレスカウンター220の動作例のフロー図を示す。
コモンアドレスカウンター220には、フィールド数カウンター210のカウント値と、垂直同期信号VSYNCと、水平同期信号HSYNCと、フィールド信号FIELDとが入力される。
【0102】
垂直同期信号VSYNCが「1」又はフィールド信号FIELDが「1」のとき(ステップST20:Y)、コモンアドレスカウンター220は、コモンアドレスをスタートアドレス「0」に設定し(ステップST22)、ステップST20に戻る(リターン)。垂直同期信号VSYNCが「1」又はフィールド信号FIELDが「1」ではないとき(ステップST20:N)、コモンアドレスカウンター220は、水平同期信号HSYNCに基づきコモンアドレスに対応したカウント値の更新判定を行う(ステップST24)。
【0103】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST24:Y)、コモンアドレスカウンター220は、コモンアドレスをインクリメントする(ステップST26)。その後、ステップST20に戻る(リターン)。具体的には、コモンアドレスカウンター220は、コモンアドレスに対応するカウント値をインクリメントする。
【0104】
ステップST24において水平同期信号HSYNCが「1」ではないとき(ステップST24:N)、コモンアドレスカウンター220は、コモンアドレスに対応したカウント値を更新することなく(ステップST28)、ステップST20に戻る(リターン)。
【0105】
以上のようにコモンアドレスカウンター220は、コモンアドレスに対応したカウント値を更新することができる。このようなコモンアドレスを受けたコモンドライバー120は、コモンアドレスに対応したコモン電極を走査する。
【0106】
図18に、ラインアドレスカウンター230の動作例のフロー図を示す。
ラインアドレスカウンター230には、フィールド数カウンター210のカウント値と、垂直同期信号VSYNCと、水平同期信号HSYNCと、フィールド信号FIELDとが入力される。
【0107】
垂直同期信号VSYNCが「1」又はフィールド信号FIELDが「1」のとき(ステップST30:Y)、ラインアドレスカウンター230は、ラインアドレスをスタートアドレス「0」に設定し(ステップST32)、ステップST30に戻る(リターン)。垂直同期信号VSYNCが「1」又はフィールド信号FIELDが「1」ではないとき(ステップST30:N)、ラインアドレスカウンター230は、水平同期信号HSYNCに基づきラインアドレスに対応したカウント値の更新判定を行う(ステップST34)。
【0108】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST34:Y)、ラインアドレスカウンター230は、ラインアドレスカウンター230は、ラインアドレスをインクリメントする(ステップST36)。その後、ステップST30に戻る(リターン)。具体的には、ラインアドレスカウンター230は、ラインアドレスに対応するカウント値をインクリメントする。
【0109】
ステップST34において水平同期信号HSYNCが「1」ではないとき(ステップST34:N)、ラインアドレスに対応したカウント値を更新することなく(ステップST38)、ステップST30に戻る(リターン)。
【0110】
以上のようにラインアドレスカウンター230は、ラインアドレスに対応したカウント値を更新することができる。このようなラインアドレスを用いて読み出された画像データに基づいてセグメントドライバー134が、画素形成領域22のセグメント電極を駆動する。
【0111】
図19に、VSYNC0生成回路240の動作例のフロー図を示す。
VSYNC0生成回路240には、フィールド数カウンター210のカウント値と、ラインアドレスカウンター230のカウント値とが入力される。図19では、フィールド数カウンター210のカウント値をフィールド数カウント値と表記し、ラインアドレスカウンター230のカウント値をラインアドレスカウント値と表記している。
【0112】
フィールド数カウンター210のカウント値が「3」、且つ、ラインアドレスカウンター230のカウント値が「13」のとき(ステップST40:Y)、VSYNC0生成回路240は、フラグ信号VSYNC0を「1」に設定する(ステップST42)。その後、ステップST40に戻る。ステップST40において判定されるラインアドレスカウンター230のカウント値は、フレームの切り替えタイミングに対応したカウント値として設定したものであり、該カウント値は「13」でなくてもよく、1フレーム内の所定のタイミングであればよい。
【0113】
一方、フィールド数カウンター210のカウント値が「3」で、ラインアドレスカウンター230のカウント値が「13」ではないとき(ステップST40:N)、VSYNC0生成回路240は、フラグ信号VSYNC0を「0」に設定する(ステップST42)。その後、ステップST40に戻る。
【0114】
以上のようにVSYNC0生成回路240は、第4フィールドでラインアドレスカウンター230のカウント値が「13」となるフレームの切り替えタイミングにおいて、フラグ信号VSYNC0を「1」に設定することができる。
【0115】
図20に、nライン反転数カウンター260の動作例のフロー図を示す。
nライン反転数カウンター260には、水平同期信号HSYNC、nライン反転数レジスター250のレジスター値、フラグ信号VSYNC0が入力される。図20では、nライン反転数カウンター260のカウント値をnライン反転数カウント値と表記している。
【0116】
水平同期信号HSYNCが「1」又はフラグ信号VSYNC0が「1」のとき(ステップST50:Y)、nライン反転数カウンター260は、カウント値が(極性反転ライン数/4−1)であるか否かを判定する(ステップST52)。ステップST52における極性反転ライン数は、nライン反転数レジスター250のレジスター値により設定される。カウント値が(極性反転ライン数/4−1)であると判定されたとき(ステップST52:Y)、nライン反転数カウンター260は、カウント値を「0」に初期化し(ステップST54)、ステップST50に戻る(リターン)。カウント値が(極性反転ライン数/4−1)ではないと判定されたとき(ステップST52:N)、nライン反転数カウンター260は、カウント値をインクリメントし(ステップST56)、ステップST50に戻る(リターン)。
【0117】
ステップST50において、水平同期信号HSYNCが「1」又はフラグ信号VSYNC0が「1」ではないとき(ステップST50:N)、nライン反転数カウンター260は、カウント値を更新しない(ステップST58)。その後、ステップST50に戻る(リターン)。
【0118】
以上のように、nライン反転数カウンター260は、nライン反転数レジスター250に設定された極性反転ライン数毎に、nライン反転駆動のためのライン数をカウントすることができる。このとき、フラグ信号VSYNC0が「1」のとき、nライン反転駆動のためのライン数をカウントするカウント値を強制的にインクリメントすることができる。
【0119】
図21に、極性レジスター270の動作例のフロー図を示す。
極性レジスター270には、水平同期信号HSYNC、nライン反転数カウンター260のカウント値が入力される。図21では、nライン反転数カウンター260のカウント値をnライン反転数カウント値、極性レジスター270のレジスター値を極性レジスター値と表記している。
【0120】
水平同期信号HSYNCが「1」のとき(ステップST60:Y)、極性レジスター270は、nライン反転数カウンター260のカウント値が(極性反転ライン数/4−1)であるか否かを判定する(ステップST62)。このカウント値が(極性反転ライン数/4−1)であると判定されたとき(ステップST62:Y)、極性レジスター270は、極性レジスター270のレジスター値を反転後の論理レベルの極性反転信号FRを出力する(ステップST64)。ステップST64では、極性レジスター270のレジスター値を反転させた値が、再度、極性レジスター26に設定される。その後、ステップST60に戻る(リターン)。
【0121】
カウント値が(極性反転ライン数/4−1)ではないと判定されたとき(ステップST62:N)、極性レジスター270は、極性レジスター270のレジスター値に対応した論理レベルの極性反転信号FRを出力する(ステップST66)。或いは、ステップST60において水平同期信号HSYNCが「1」ではないとき(ステップST60:N)、極性レジスター270は、極性レジスター270のレジスター値に対応した論理レベルの極性反転信号FRを出力する(ステップST66)。その後、ステップST60に戻る(リターン)。
【0122】
以上のように、極性レジスター270は、極性反転させるライン数nに応じて、極性反転信号FRを出力することができる。
【0123】
図22に、極性反転制御回路200の動作例のタイミング図を示す。図22は、ライン数が「16」、nが「12」(=3ブロック)のときのタイミング例を表している。
【0124】
垂直同期信号VSYNCが「1」になると、1垂直走査期間を分割した各フィールドが開始される。各フィールドでは、水平同期信号HSYNCが「1」となるたびに1水平走査期間が開始される。コモンアドレスカウンター220のカウント値は、1水平走査期間毎に更新される。ここで、1フレームの最終フィールドである第4フィールドになると、コモンアドレスカウンター220のカウント値「3」で、ラインアドレスカウンター230のカウント値が「13」になると、フラグ信号VSYNC0が「1」に設定される。これにより、nライン反転数カウンター260のカウント値が強制的にインクリメントされ、これ以降、極性反転制御が継続される。nライン反転数カウンター260のカウント値を強制的にインクリメントすることで、極性反転期間(極性反転信号FRがHレベルの期間又はLレベルの期間)がインクリメントされた分だけ短縮される。
【0125】
以上のように、極性反転制御回路200は、ライン数nに応じて論理レベルの反転が繰り返される極性反転信号FRを出力する一方で、フレームの切り替えタイミングにおいて1水平走査期間分を短縮することができる。
【0126】
図23に、本実施形態における液晶駆動装置100の駆動タイミングの一例を示す。図23では、図22と同様の条件におけるコモン電極の波形及びセグメント電極の波形を表す。セグメント電極の波形は、全点灯オン時の波形である。
【0127】
図23に示すように、4ラインのコモン電極が同時選択され、選択パターンに応じた選択電圧が供給される。第1フレームから第2のフレームのフレーム切り替えタイミングにおいて、極性反転期間が短縮される(図23のT1)。この後、コモン電極及びセグメント電極は、4ライン同時選択のMLS駆動法でnライン反転駆動が引き続き行われる。これにより、デューティー比を変化させずに、バイアス電位のずれや駆動波形の歪みのバランスに起因することなく、コモン電極に印加される実効電圧の差が生じず、液晶パネル20における濃淡の縞模様の発生を抑えることができるようになる。
【0128】
〔電子機器〕
上記の実施形態における液晶駆動装置又は該液晶駆動装置が適用された液晶パネル20や液晶装置10は、次のような電子機器に適用できる。
【0129】
図24(A)、図24(B)に、本実施形態が適用された電子機器の構成の斜視図を示す。図24(A)は、モバイル型のパーソナルコンピューターの構成の斜視図を表す。図24(B)は、携帯電話機の構成の斜視図を表す。
【0130】
図24(A)に示すパーソナルコンピューター800は、本体部810と、表示部820とを含む。表示部820として、上記の実施形態における液晶パネル20又は液晶装置10が適用される。本体部810は、ホストプロセッサーを含み、この本体部810にはキーボード830が設けられる。即ち、パーソナルコンピューター800は、少なくとも上記の実施形態における液晶駆動装置100を含んで構成される。キーボード830を介した操作情報がホストプロセッサーによって解析され、その操作情報に応じて表示部820に画像が表示される。
【0131】
図24(B)に示す携帯電話機900は、本体部910と、表示部920とを含む。表示部920として、上記の実施形態における液晶パネル20又は液晶装置10が適用される。本体部910は、ホストプロセッサーを含み、この本体部910にはキーボード930が設けられる。即ち、携帯電話機900は、上記の実施形態における液晶駆動装置100を含んで構成される。キーボード930を介した操作情報がホストプロセッサーによって解析され、その操作情報に応じて表示部920に画像が表示される。
【0132】
なお、上記の実施形態又が適用された電子機器として、図24(A)、図24(B)に示すものに限定されるものではない。例えば、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS(Point of sale system)端末、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0133】
以上、本発明に係る液晶駆動装置、液晶装置、電子機器、及び液晶駆動方法等を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、次のような変形も可能である。
【0134】
(1)上記の実施形態では、液晶駆動装置がMLS駆動法により駆動する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0135】
(2)上記の実施形態では、4ラインを同時選択するMLS駆動法を例に説明したが、同時選択ライン数に本発明が限定されるものではない。また、上記の実施形態において説明した液晶パネルの表示ライン数、nライン反転駆動において極性反転させるライン数n、又はコモン電極の選択パターンに、本発明が限定されるものではない。
【0136】
(3)上記の実施形態において、極性反転制御回路200が図15の構成を有するものとして説明したが、本発明は極性反転制御回路200の構成に限定されるものではない。例えばVSYNC0生成回路は、レジスター等によっても実現することができ、この場合には、判定条件のラインアドレスカウンター230のカウント値「12」とすればよい。本実施形態のように組み合わせ回路で実現することで、回路規模を小さくすることができる。
【0137】
(4)上記の実施形態では、nライン反転数カウンター260が、カウント値を「1」だけインクリメントするものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、インクリメント値Pをレジスターに設定するようにし、このレジスターのインクリメント値だけ、nライン反転数カウンター260のカウント値を更新(加算又は減算)するようにしてもよい。
【0138】
(5)上記の実施形態では、フラグ信号VSYNC0により1フレーム内に1度だけ、nライン反転数カウンター260のカウント値を強制的に更新するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複数のフラグ信号を1フレーム内の予め決められたタイミングで「1」に設定できるようにし、複数のフラグ信号のいずれかが「1」に設定されているときにnライン反転数カウンター260のカウント値を強制的に更新するようにしてもよい。こうすることで、1フレーム内の複数のタイミングで、極性反転期間を所定数の水平走査期間だけ増加又は減少させることができるようになる。
【0139】
(6)上記の実施形態では、フラグ信号VSYNC0により1フレーム内に1度だけ、nライン反転数カウンター260のカウント値を強制的に更新するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばVSYNC0生成回路が、複数フレーム内に1又は複数回だけフラグ信号VSYNC0を「1」に設定するようにしてもよい。この場合、複数フレーム内の1又は複数のタイミングで、極性反転期間を所定数の水平走査期間だけ増加又は減少させることができるようになる。
【0140】
(7)上記の実施形態において、液晶駆動装置、液晶装置、電子機器、及び液晶駆動方法等として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば本発明に係る液晶駆動方法により実現される液晶パネルの画像表示方法等であってもよい。
【符号の説明】
【0141】
10…液晶装置、 20…液晶パネル、 22…画素形成領域、
30…ホストプロセッサー、 40…電源回路、 100…液晶駆動装置、
110…ホストプロセッサー用インターフェイス、 112…発振回路、
114…制御回路、 116…コモンアドレスデコーダー、
118…コモン出力演算回路、 120…コモンドライバー、
122…ページアドレス制御回路、 124…カラムアドレス制御回路、
126…ラインアドレス制御回路、 128…画像データRAM、
130…画像データラッチ回路、 132…MLSデコーダー、
134…セグメントドライバー、 200…極性反転制御回路、
210…フィールド数カウンター、 220…コモンアドレスカウンター、
230…ラインアドレスカウンター、 240…VSYNC0生成回路、
250…nライン反転数レジスター、 260…nライン反転数カウンター、
270…極性レジスター、 800…パーソナルコンピューター、
810,910…本体部、 820,920…表示部、 830,930…キーボード、
900…携帯電話機、 COM0〜COMQ…コモン電極、
FIELD…フィールド信号、 FR…極性反転信号、 HSYNC…水平同期信号、
SEG0〜SEGR…セグメント電極、 VSYNC…垂直同期信号、
VSYNC0…フラグ信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルを駆動する液晶駆動装置であって、
S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により前記液晶パネルを駆動する駆動部と、
前記駆動部による前記液晶パネルの駆動信号をn(nは自然数)ライン毎に極性反転制御を行う極性反転制御部とを含み、
W(Wは自然数)フレーム内の1又は複数のタイミングで、前記駆動信号の極性反転期間をP(Pは自然数)水平走査期間だけ増加又は減少させることを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記極性反転制御部は、
nライン反転駆動により極性を反転させるライン数をカウントする極性反転ライン数カウンターを含み、
前記極性反転ライン数カウンターは、
Wフレーム内の1又は複数のタイミングで、カウント値をPだけ増加又は減少させることを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
Pは、奇数であることを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
Pは、1であることを特徴とする液晶駆動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか記載の液晶駆動装置と、
前記液晶駆動装置によって駆動される前記液晶パネルとを含むことを特徴とする液晶装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか記載の液晶駆動装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項5記載の液晶装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
S(Sは2以上の自然数)ライン同時選択駆動法により液晶パネルを駆動する液晶駆動方法であって、
前記液晶パネルの駆動信号をn(nは自然数)ライン毎に極性反転制御を行う極性反転制御ステップと、
前記極性反転制御ステップにおいて極性反転制御された駆動信号を用いて前記液晶パネルを駆動する駆動ステップとを含み、
前記極性反転制御ステップは、
W(Wは自然数)フレーム内の1又は複数のタイミングで、前記駆動信号の極性反転期間をP(Pは自然数)水平走査期間だけ増加又は減少させることを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項9】
請求項8において、
Pは、奇数であることを特徴とする液晶駆動方法。
【請求項10】
請求項8又は9において、
Pは、1であることを特徴とする液晶駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−61381(P2013−61381A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197987(P2011−197987)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】