説明

液滴吐出ヘッド及び記録装置

【課題】ノズルの内壁面の液状体に対する前進接触角及び後退接触角を最適化することによって気泡の巻き込みを低減し、安定的な吐出を行うことができ、高速化を図ることができる液滴吐出ヘッド及び記録装置を提供すること。
【解決手段】ノズル13から液状体を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記ノズル13の内壁面は、前記液状体に対する前進接触角が50°以下であり、後退接触角が90°以上であることを特徴とする液滴吐出ヘッド、及び、前記液滴吐出ヘッドを備え、前記ノズル13から吐出される液状体を被記録材に着弾させることによって記録を行うことを特徴とする記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴吐出ヘッド及び記録装置に関し、詳しくは、ノズルから液状体の吐出動作時の気泡の巻き込みを低減し、安定吐出を可能とした液滴吐出ヘッド及びこれを搭載した記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液状体を吐出する液滴吐出ヘッドとしては、液状体としてインクを使用し、このインクをノズルから微小なインク滴として吐出するインクジェットヘッドが一般に知られている。
【0003】
インクジェットヘッドは、ノズル内にインクを満たして正の圧力を掛け、インクを圧力室から押し出し、続いてインクに負の圧力を掛けてノズル内に引き戻すことにより、押し出したインク柱を引きちぎって、ノズルからインク滴を吐出するものである。このとき、メニスカスはノズル内に深く引き込まれ、また、この負圧によりインクタンクからノズル内に新たなインクが満たされ、次の吐出に備える。負圧が反転して正圧になると、メニスカスが再び押し出され、ノズルの吐出口方向に移動する。
【0004】
このようにインクを吐出するために掛けた圧力は、インクを吐出した後も圧力室内に残留して振動するため、ノズル内のインク圧力が変動してメニスカスが振動する。この振動は数回繰り返され、次第に減衰して次の吐出が可能となる。また、ヘッドのインク吐出方式によっては、一つの圧力室からインクを吐出すると、隣接する圧力室にも吐出圧力が伝わってメニスカスが振動する。
【0005】
この圧力変動によりノズル内のインクに正圧が掛かるとき、メニスカスがノズルから飛び出すことがある。ノズルから飛び出したメニスカスは、次の負圧でノズル内に引き込まれるが、特にインクを連続して吐出すると、メニスカスが大きく飛び出しすぎる場合がある。大きく飛び出したメニスカスは、メニスカス振動のためにノズル内への気泡の巻き込みが起り、結果として吐出が不安定になることが判った。気泡の巻き込みが発生してインク中に空気の泡が入ると、気泡がインク中を伝搬する圧力の圧力変動を吸収してしまうために、インクを吐出するための圧力の伝搬が弱くなり、吐出エネルギーが不足してインクの吐出量や吐出速度の低下が生じる。さらに気泡の巻き込みによる吐出エネルギーの不足が甚だしい場合には、圧力を掛けてもノズルからインクが吐出しないという不具合も発生する。
【0006】
特に、隣接する圧力室間の隔壁をアクチュエータとし、この隔壁の変形動作によって圧力室内のインクをノズルから吐出させるせん断モード型のインクジェットヘッドの場合、圧力室同士が共通の隔壁を介して隣接しているために隣の圧力室の吐出によって発生するメニスカス振動の影響を大きく受ける。従って、このようなメニスカスの飛び出し及びメニスカス振動による気泡巻き込みが発生し易い。
【0007】
本発明者は、気泡の巻き込みの原因について鋭意解析した結果、ノズルの吐出口側における内壁面の動的な濡れ性が重要であることを突き止めた。そのメニスカスの挙動を示すシミュレーション結果を図6に示す。図中、300はノズル、400はインクである。インク400は、ノズル300の図示右端の吐出口付近にメニスカス401を形成している。
【0008】
メニスカス振動によってノズル300から飛び出したメニスカス401は、負圧によってノズル300内に引き込まれ始める(図6(a))。しかし、ノズル300内に引き込まれようとするインク400は、ノズル300の内壁面301に接する部分が該内壁面301との間で摩擦抵抗が生じることにより、ノズル300の軸芯付近の中央部にあるインク400との間に速度差が生じ、ノズル300の中央部のメニスカス401aに比べ、内壁面301に接する部分のメニスカス401bが遅れて引き込まれるようになる(図6(b)(c))。その後、ノズル300内に正圧が掛かってメニスカス401が押し出されると、そのタイミングで、内壁面301に接する部分のメニスカス401bは、ノズル300内に引き込まれる前に押し出されることにより、ノズル300の中央部のメニスカス401aを包み込むように繋がってしまい、内部に気泡500を巻き込んでしまう(図6(d))。
【0009】
本発明者が実験により鋭意検討したところ、このような気泡の巻き込み現象は、ノズル内壁面のインクに対する前進接触角が小さく、後退接触角が大きいものについては見られなかった。このことから、ノズルの内壁面のインクに対する前進接触角及び後退接触角が気泡巻き込みに大きく関係していることが判った。
【0010】
一般に、静止した液滴が固体面となす角度を平衡接触角θe又は単に接触角θと呼ぶ。図7(a)に示す静止した液滴に、図7(b)に示すように、矢印で示す方向の外力を掛けて移動させると、平衡接触角が消滅して、前進接触角θaと後退接触角θrが現れる。前進接触角θaとは、液滴を前進させるときに現れる接触角で、まだその液体で濡れていない固体表面に対する接触角である。また、後退接触角θrとは、液体を後退させるときに現れる接触角で、既にその液体で濡れた固体表面に対する接触角である。
【0011】
θは静止した液滴の示す接触角であり、液体が固体表面を濡らし易いか否かを示す。大きいθを示す液体は固体表面を濡らしにくいので、接触面積が小さくなって固体表面上を移動し易いが、液滴が移動を開始すると前進接触角θaと後退接触角θrが現れるので、液滴の移動性はθではなく、θaとθrの影響を受けるようになる。通常は、θa≒θと見做せるので、θの値だけでも液滴の移動性を推定できるが、ノズル内のメニスカス振動はノズルからの押し出し(前進)と引き込み(後退)とを繰り返す運動であるため、気泡の巻き込み現象を考慮する際は、ノズルの内壁面の液状体に対する前進接触角θaの値のみならず、後退接触角θrの値も重要となる。
【0012】
また、このような気泡の巻き込み現象は、ノズルの中央部のインクとノズルの内壁面に接するインクとの間の速度差によって生じるため、この速度差が大きくなる低粘度のインク程顕著となることがわかった。
【0013】
従来、液滴吐出ヘッドの良好な安定吐出を行うために、ノズルの吐出口側における内壁面の前進接触角及び後退接触角に着目した技術として、特許文献1〜4がある。
【0014】
特許文献1には、ノズルの内壁面にノズル内撥液膜を形成し、該ノズル内撥液膜の吐出口側について、吐出する液状体に対する前進接触角を50°以上90°以下とし、後退接触角を25°以下とすることにより、メニスカス端部が毎回ほぼ同じ位置となるようにすることで、吐出安定性を良好にすることが記載されている。
【0015】
しかし、前進接触角と後退接触角の規定によって気泡の巻き込みを低減することについては全く言及されていない。本発明者の知見によると、ノズルの吐出口側における内壁面の前進接触角と後退接触角を上記のように規定しても、気泡の巻き込みを低減することはできないことが判った。すなわち、気泡を巻き込まないためには、メニスカスが圧力室内部に戻るときに素早く戻らなければならないので撥水性が必要となり、この場合、後退接触角は90°以上が必要となる。このため、特許文献1のように25°以下の後退接触角では、ノズルの内壁面に接するインクの戻り速度が遅くなる結果、メニスカスの戻りが遅くなり、気泡を巻き込み易い。また、前進接触角が比較的大きいため、押し出し時の吐出性能が不安定となるばかりか、メニスカスの押し出し時にノズルの内壁面が濡れにくくなり、今度は押し出し時に内壁面との隙間に気泡を巻き込み易くしてしまい、気泡の巻き込みを低減するには全く役に立たなかった。
【0016】
更に、後退接触角よりも前進接触角が大きいことにより、やはりメニスカスがスムーズに押し出されないために、吐出特性でいうところの液滴量のばらつきが大きくなってしまい、実使用には耐えないものであった。
【0017】
特許文献2には、ノズルの内壁面の吐出口近傍に、吐出する液状体に対する後退接触角と前進接触角との差が大となるノズル内撥液膜を形成すること、及び、前進接触角の具体例として60°、後退接触角の具体例として20°、両者の差が40°であることが記載されている。
【0018】
しかし、ここにも前進接触角と後退接触角の規定によって気泡の巻き込みを防ぐことについては全く言及されておらず、また、本発明者が実験により確認したところによると、やはり、気泡の巻き込みを低減することはできないことが判った。すなわち、気泡を巻き込まないようにするには、後退接触角を大きくしてメニスカスが圧力室内に素早く戻ることができるようにしつつ、吐出時には安定な特性を得るために、前進接触角は小さくなければならないからである。このためには、後退接触角>前進接触角の関係が殊更重要であるが、特許文献2に記載の技術は、これとは真逆の構成となるものであり、気泡の巻き込みを低減し、かつ、安定な吐出特性を得ることは到底できないものであった。
【0019】
特許文献3には、ノズルの内壁面にノズル内撥液膜を形成し、該ノズル内撥液膜の、吐出する液状体に対する前進接触角を50°以上90°以下とし、後退接触角を25°未満とすることが記載されている。しかし、この技術は特許文献1と同様の構成であり、結局、気泡の巻き込みを低減することはできず、また、安定な吐出特性を得ることもできない。
【0020】
特許文献4には、ノズルの面に対する前進接触角を65°以上、後退接触角を55°以上、前進接触角と後退接触角との差を20°以下とすることが記載されている。
【0021】
しかし、この技術は、前進接触角と後退接触角の規定によって、微粒子状着色剤を含有する水性インクであってもノズル面への固着を防いで安定吐出を行うことを課題としており、気泡の巻き込みを低減することについての言及はない。この技術は、更にインクの物性(表面張力)を規定することで、上記の前進接触角及び後退接触角を得ることを開示するが、やはり、前進接触角が大きく濡れにくいことと、それよりも後退接触角が小さく濡れ易いために、気泡の巻き込みを低減することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2005−40979号公報
【特許文献2】特開2005−7654号公報
【特許文献3】特開2005−40978号公報
【特許文献4】特開2003−277651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
そこで、本発明は、ノズルの内壁面の液状体に対する前進接触角及び後退接触角を最適化することによって気泡の巻き込みを低減し、安定的な吐出を行うことができ、高速化を図ることができる液滴吐出ヘッド及び記録装置を提供することを課題とする。
【0024】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0026】
1.ノズルから液状体を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記ノズルの内壁面は、前記液状体に対する前進接触角が50°以下であり、後退接触角が90°以上であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
2.前記後退接触角から前記前進接触角を差し引いた角度が60°以上であることを特徴とする前記1.記載の液滴吐出ヘッド。
3.前記液状体の粘度は、6cp未満であることを特徴とする前記1.又は2.記載の液滴吐出ヘッド。
4.前記液状体が供給される多数の圧力室が並設され、隣接する前記圧力室間の隔壁が、印加電圧に応動して変形動作するアクチュエータによって構成され、前記隔壁の変形動作によって前記圧力室内の前記液状体を前記ノズルから吐出するシェアモード型のヘッドであることを特徴とする前記1.、2.又は3.記載の液滴吐出ヘッド。
5.前記1.〜4.のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを備え、前記ノズルから吐出される液状体を被記録材に着弾させることによって記録を行うことを特徴とする記録装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ノズルの気泡の巻き込みを低減することができ、安定的な吐出を行うことができ、高速化を図ることができる液滴吐出ヘッド及び記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)はシェアモード型の液滴吐出ヘッドの一例を示す概観斜視図、(b)は断面図
【図2】ノズルプレートの作製方法の一例を示す図
【図3】ノズルプレートの作製方法を説明するための図
【図4】記録装置の概略構成を示す図
【図5】実施例におけるノズルプレートの平面図
【図6】従来のメニスカスの挙動を説明するための図
【図7】前進接触角と後退接触角を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明における液滴吐出ヘッドは、ノズルから液状体を吐出するものであればよく、その具体的な構造は問わない。
【0030】
例えば、溝状に形成された多数の圧力室(チャネル)と多数の隔壁とが交互に並設されると共に、隔壁の少なくとも一部を圧電材料によって形成することで、該隔壁を印加電圧に応動して変形動作するアクチュエータとし、圧力室内の液状体に対して隔壁の変形動作によって圧力を付与し、ノズルから吐出する構造の液滴吐出ヘッド、液状体を収容する圧力室の一壁面を振動板とし、該振動板上に圧電材料を積層し、該圧電材料を機械的に変形動作させて振動板を振動させることによって圧力室内の液状体に圧力を付与し、ノズルから吐出する構造の液滴吐出ヘッド、液状体を収容する圧力室内に電気熱変換素子を配置し、該電気熱変換素子の通電による液状体の加熱によって気泡を生成させ、該気泡の破裂作用によって圧力室内の液状体に圧力を付与し、ノズルから吐出する構造の液滴吐出ヘッド等があり、本発明は何れの液滴吐出ヘッドにも適用できる。
【0031】
中でも、圧力室と隔壁とが交互に並設され、該隔壁を印加電圧に応動して変形動作するアクチュエータとするタイプの液滴吐出ヘッド(せん断モード型の液滴吐出ヘッド)は、隣接する圧力室同士が共通の隔壁を介して隣接しているために、隣の圧力室の吐出動作によって発生するメニスカス振動の影響を受け易く、メニスカスの飛び出し及びメニスカス振動による気泡巻き込みが発生し易い。従って、本発明の適用によって顕著な効果を得ることができるために好ましい。
【0032】
本発明において、ノズルの内壁面は、液状体に対する前進接触角が50°以下であり、後退接触角が90°以上である。
【0033】
本発明は、このノズルの内壁面における液状体に対する前進接触角が50°以下であることにより、該内壁面の液状体に対する濡れ性がよく、この内壁面に接するメニスカスがスムーズに押し出され、この押し出し時に気泡が巻き込まれることを低減できる。しかも、押し出しがスムーズであることで、液滴量のばらつきを抑え、吐出の安定化を図ることができ、高速化を図ることができる。
【0034】
また、後退接触角が90°以上であることにより、ノズルの内壁面と接するメニスカスがノズル内に素早く戻ることができ、ノズルの中央部(軸芯)に位置するメニスカスとの速度差を小さくできる。このため、ノズルの内壁面に接するインクとノズルの中央部に位置するインクのそれぞれのメニスカスの速度差に起因する気泡の巻き込みを低減することができる。
【0035】
気泡の巻き込みの原因となるノズル内のメニスカス振動によるメニスカスの位置は、専らノズル内の吐出口側、すなわち液状体が吐出する出口側となるので、上記の前進接触角及び後退接触角が規定されるノズルの内壁面の部位は、必ずしも当該内壁面の全面である必要はなく、少なくとも該内壁面における吐出口側にあればよい。
【0036】
本発明において、後退接触角から前進接触角を差し引いた角度が60°以上であると、上記の通りの吐出の安定化効果と気泡の巻き込みの低減効果を顕著に発揮することができる。
【0037】
本発明において使用できる液状体は、液滴吐出ヘッドのノズルから液滴として吐出可能であれば特に問わず、例えば画像形成用のインクの他、液晶パネルのカラーフィルターや半導体装置等の製造装置といった各種産業用途に使用される機能性液体が挙げられる。
【0038】
特に、粘度が6cp未満(25℃における粘度)の低粘度の液状体は、メニスカスが大きく変動し易く、その結果、気泡を巻き込み易い。従って、本発明の適用によって顕著な効果を得ることができるために好ましい。
【0039】
次に、具体的な液滴吐出ヘッドについて図面を参照しながら本発明を更に説明する。
【0040】
図1は、液滴吐出ヘッドとしてシェアモード型の液滴吐出ヘッドの一例を示しており、図1(a)はその概観斜視図、(b)は断面図である。
【0041】
同図に示す液滴吐出ヘッド1において、11はインクチューブ、12はノズルプレート、13はノズル、14はカバープレート、15はインク供給口、16はチャネル基板、17は隔壁である。そして、圧力室となるチャネル18が隔壁17、カバープレート14及びチャネル基板16によって形成されている。
【0042】
各隔壁17は、分極方向を互いに反対方向としたPZT等の圧電材料からなる上壁部17aと下壁部17bによって形成されているが、圧電材料は例えば符号17aの部分のみであってもよく、隔壁17の少なくとも一部にあればよい。隔壁17はチャネル18と交互に並設されることによって、一つの隔壁17をその両隣のチャネル18、18で共用している。各チャネル18の一端は、ノズルプレート12において各チャネル18に対応する位置に開設されたノズル13につながり、他端はインク供給口15を経て、インクチューブ11によって不図示のインクタンクにつながっている。
【0043】
チャネル18内に臨む隔壁17の表面には、不図示の電極が形成されており、この電極に所定の駆動電圧を印加することによって隔壁17をくの字状に変形動作させ、インクチューブ11を介してチャネル18内に供給された液状体に吐出のための圧力を与え、該チャネル18内の液状体をノズル13から液滴として吐出する。
【0044】
この液滴吐出ヘッド1において、各チャネル18に対応してノズルプレート12に開設されたノズル13の内壁面の液状体に対する前進接触角が50°以下、後退接触角が90°以下とされる。ノズル13の内壁面を液状体に対してこのような前進接触角及び後退接触角を有するようにする具体的な方法としては、一般には、ノズル13の内壁面、特に内壁面における吐出口近傍に、液状体に対する接触角が適宜調整された膜を形成することによって行うことができる。
【0045】
膜による接触角の調整方法、すなわち、内壁面と接触する液状体の前進接触角及び後退接触角を調整する方法は、ノズル内壁面に形成した撥液膜の一部にエネルギーを付与することによって、その撥液性を変化させることによって行うことができる。
【0046】
すなわち、ノズルプレート12を、例えばポリイミド等の親液性の樹脂で作製し、その片面に撥液膜121を設け(図2(a))、この撥液膜121の反対面側に所望のノズルパターンを有するマスクを掛けてから、例えばエキシマレーザー(発振波長:248nm、パルス幅:150nsec)を用いてノズル13を穿孔する(図2(b))。
【0047】
撥液膜121としては、有機溶剤可溶性で塗布可能なフッ素ポリマーやシリコン樹脂等を好ましく用いることができる。パーフルオロポリマーの結晶性を低下させて溶剤に対する溶解性を向上させ、同時に架橋性基を導入した、フルオロオレフィンとビニルエーテルの交互共重合体(FEVE、旭硝子(株)製;ルミフロン、大日本インキ(株)製;フルオネート、セントラル硝子(株)製;セフラルコート、ダイキン(株)製;C−1等)、非晶質で撥液性が高く溶剤溶解性のパーフルオロシクロポリマー(旭硝子(株)製;サイトップ、Dupont社製;テフロンAF等)、パーフルオロ基を側鎖に有するポリマー(旭硝子(株)製;旭ガードAGシリーズ等)、室温硬化型シリコン樹脂、室温硬化型有機変性シリコン樹脂、シリコンハードコート材料、シランカップリング剤、フルオロアルキルシラン等(東レダウコーニングシリコーン社製;SR2410、2411、2107、2115、東芝シリコン社製フルオロアルキルシラン;TSL−8233、8257等)を挙げることができる。
【0048】
このノズルプレート12表面の撥液膜121は、ワイパーや紙、布地等により擦られるので、耐久性が必要になる。撥液剤同士を強く結合し、かつ、ノズルプレート12に強く接着するため、水酸基やカルボキシル基を有する撥液剤を採用して、イソシアネート硬化剤やエポキシ硬化剤で架橋させたり、空気中の水分と反応して架橋するシラノール基を有するシリコン化合物を採用してもよい。
【0049】
ノズル13を形成した後、ノズル13内について、もう一度、上記同様の撥液処理化合物を用いて、ノズル13の内壁面に対して浸漬等で表面処理を行うことで、ノズル内撥液膜122を設ける(図2(c))。
【0050】
そして、ノズル内撥液膜122の撥液性を変化させるために、ノズル13の吐出口側と反対側から、例えばエキシマレーザー(発振波長:248nm、パルス幅:150nsec)を用いてノズル13内を露光する。ノズルプレート12の撥液膜121側には、表面に微細な凹凸を有する反射板20を設けておき、この反射板20の凹凸による反射と干渉とによってノズル13の内壁面を露光して、ノズル内撥液膜122に強露光部と弱露光部とを形成する(図2(d))。
【0051】
反射板20は、使用されるレーザー光の波長(例えば248nm)と同程度の凹凸パターンを有するアルミニウム、ステンレス等の金属板によって形成することができる。
【0052】
このような反射板20としては、凹面基板・平行平面基板に誘電体膜をコートしたレーザー共振器ミラーを手に入れ用いることができる。本発明では、凹凸パターンとしては、下記の干渉パターンとして露光部、非露光部のパターンが所定のパターン、例えばそれぞれ約0.2μm、0.4μmの繰り返しとなるように設計したミラーを用いた。
【0053】
ノズル13内ではエキシマレーザー光の入射光と反射ミラーでの反射光との間で干渉が起こり、干渉縞(干渉パターン)が生じる。そして、この干渉縞でノズル内撥液膜122が露光されることになる。すなわち、このノズル内撥液膜122には、干渉縞によってリング状の露光部と非露光部とが例えば約0.2μm/0.4μmピッチで交互に形成されることになる。
【0054】
このようにしてノズル内撥液膜122に強露光部(露光部)と弱露光部(非露光部)とを形成することにより、強露光部では、ノズル内撥液膜122中のアルキル基やアリル基がエキシマレーザー光によって破壊され、雰囲気中の酸素が取り込まれることにより、撥液の特性が減少もしくは破壊され、最終的には親液性の領域を形成するようになる。一方、弱露光部は、もともと撥液処理されて形成されているので撥液性の領域となる。
【0055】
また、ノズル内撥液膜122には、接触角が90°〜120°のものを選び、かつ強露光部と弱露光部の面積比を調整することで、結果としてノズル13の内壁面の前進接触角と後退接触角を調整することができる。その結果、更に後退接触角と前進接触角との差も制御できる。
【0056】
このようにノズル12の内壁面に、ノズル内撥液膜122の強露光部による親液性領域と弱露光部による撥液性領域とが交互、かつ面積比で強露光部を多く設け、前進接触角を小さくし、後退するときの接触角を小さくすることができる。
【0057】
強露光部と弱露光部の面積比を、前進接触角が50°以下、後退接触角が90°以上となるように調整する具体的な方法としては、例えば、前述のように、反射板20の凹凸をある規則性を持たせ、例えば面積比、ピッチ等を工夫することで強露光部を弱露光部より増やして調整できる。
【0058】
また、強露光部/弱露光部のピッチを0.4μm/0.2μmより、例えば0.6μm/0.2μmピッチ等に差を大きくすることで、前進接触角、親水部→疎水部の接触部の影響による移動速度を上げて、結果として前進接触角は大きく、しかし後退接触角は小さくするように適宜調整することができる。
【0059】
また、例えば、疎水部の本来の性質の接触角が大きい材料を用いてノズル内撥液膜122を形成することで、移動速度を大きくして前進接触角はそのままで、後退接触角を大きくするように調整し、本発明を得ることができる。
【0060】
ノズル13の内壁面を、前進接触角が50°以下、後退接触角が90°以上となるように形成する他の方法として、ノズル13の内壁面に撥液膜を形成せずに、上記の前進接触角及び後退接触角を得ることもできる。
【0061】
その場合は、ノズルプレート12をポリイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のノズルプレート自体の接触角が液状体に対して撥液性の特性、つまり水に対する接触角が50°以上となるものを選んで使う。
【0062】
このような材質を用いてノズルプレート12にノズル13を形成すれば、ノズル13の内壁面に前もって撥液膜を形成する処理を省略しても、ノズル13の内壁面は撥液性となる。このノズル13の内壁面に、図2(d)と同様にして、反射板20を用いてレーザー光を照射すると、ノズル13の内壁面に、−OH、−COOH等の親液性官能基が生成し、更に内壁面の表面が粗面化されて、接触角を0°〜10°程度にまですることができる。同時に、干渉パターンを上記同様の方法により調整することで、結果として、ノズル13の内壁面に親液性領域と撥液性領域を形成することができる。
【0063】
特にレーザー照射回数を多くすれば、ノズル13の内壁面に微小な凹凸を形成することができ、この凹凸による形状効果で、いわゆるカッシーの接触角と同等に部分的に撥液性を発現させ、接触角が90°を超える領域を形成することができ、結果として、ノズル13の内壁面の前進接触角と後退接触角を調整することができる。
【0064】
ノズルプレート12に樹脂を用いる場合、好ましくはポリイミド樹脂であり、Dupont社製;カプトンや宇部興産(株)製;ユービレックス等が寸法安定性、耐インク性、耐熱性に優れている。その他、シリコンプレート等を用いてノズルプレート12を作製することもできる。
【0065】
ノズル13の内壁面の前進接触角及び後退接触角を規定する他の方法としては、プラズマ重合によってノズル13の内壁面を被覆する領域を制御することもできる。
【0066】
例えば、シリコン樹脂をプラズマ重合させ、図2(c)と同様にしてノズル13の内壁面にプラズマ重合膜を形成する。プラズマ重合膜は、−Si−からなる主鎖を有し、アルキル基やアリル基等の炭素含有基を側鎖とするものとなることから、撥液性を示す撥液膜となる。
【0067】
その後、図2(d)と同様に反射板20を設け、吐出口側と反対側からノズル13内に酸素存在下で、エキシマレーザー(発振波長:248nm)を用いてレーザー光を照射し、反射板20で反射させてプラズマ重合膜を不規則パターンで露光し、強露光部と弱露光部とを形成する。すると、強露光部はプラズマ重合膜中の側鎖であるアルキル基やアリル基がレーザー光によって破壊され、雰囲気中の酸素が導入されることで、親液性のSiOを形成し、これによって親液性領域となる。一方、弱露光部は、親液性が比較的少ないか親液性が発現されないことで撥液性領域となり、結果として、不規則な親液性領域と撥液性領域とを形成することができる。
【0068】
ノズル13の内壁面にプラズマ重合膜を形成する場合、吐出口側とは反対側からノズル13内に酸素存在下で超短パルスレーザー光を照射し、この超短パルスレーザー光でプラズマ重合膜を露光するようにしてもよい。超短パルスレーザー光でプラズマ重合膜を露光するので、得られるプラズマ重合膜は、大きなエネルギーで瞬間的に露光されたことによって不均一に露光し、これによりプラズマ重合膜には強露光部と弱露光部とが形成される。すると、前述したように、プラズマ重合膜には、親液性領域と撥液性領域とが混在することになり、その結果、このノズル13の内壁面の前進接触角及び後退接触角が調整される。
【0069】
なお、ノズル13内にレーザー光を照射する際、図3に示すように、レーザー光源1001とノズル13との間に集光レンズ1002を配し、集光レンズ1002によってノズル13内に集光させることが好ましい。1003は、レーザー光源1001から発振されたレーザー光を集光レンズ1002に平行に入射させる光学レンズ系である。このようにすれば、集光レンズ1002によってレーザー光をノズル13内に集光させることにより、露光効率を高めることができ、露光時間の短縮や露光度の向上を図ることができる。
【0070】
また、ノズル13の内壁面の前進接触角及び後退接触角を調整するその他の方法として、ノズルプレート12を作製する際、ノズルプレート形成材料自体を、撥液性の材料と親液性の材料の2種類の材料を用い、蒸着や塗布等によって積層して、いわゆる積層ノズルプレートとし、その後にノズル13を穿孔してノズルプレート12を作製することもできる。このとき、ノズル13の内壁面には、撥液性材料の層と親液性材料の層とが露出するので、レーザー光でノズル13の加工を行うだけで、親液性領域と撥液性領域とを形成でき、各層の厚みを調整することによって、前進接触角と後退接触角を調整することができる。
【0071】
例えば、撥液性材料の層を0.5μmとし、親液性材料の層を0.5μmとし、これらを1層ずつ交互に積層すると、前進接触角を30°、後退接触角を100°とすることができた。
【0072】
次に、本発明に係る記録装置の一例を図4に示す。
【0073】
図4は、被記録材上に画像を形成する記録装置の概略構成を示す図であり、記録装置200において、被記録材Pは、搬送ローラ対201に挟持され、更に、搬送モータ202によって回転駆動される搬送ローラ203により図示Y方向に搬送されるようになっている。
【0074】
液滴吐出ヘッド1は、搬送ローラ203と搬送ローラ対201の間に被記録材Pの記録面PSと対向するように設けられる。液滴吐出ヘッド1は、被記録材Pの幅方向に亘って掛け渡されたガイドレール204に沿って、不図示の駆動手段によって、上記被記録材Pの搬送方向(副走査方向)と略直交する図示X−X’方向(主走査方向)に沿って往復移動可能に設けられたキャリッジ205に、ノズル側が被記録材Pの記録面PSと対向するように配置されて搭載されており、フレキシケーブル206を介して不図示の駆動信号発生部に電気的に接続されている。
【0075】
液滴吐出ヘッド1は、キャリッジ205の主走査方向の移動に伴って被記録材Pの記録面PSを図示X−X’方向に走査移動し、この走査移動の過程でノズルから液滴を吐出することによって所望のインクジェット画像を形成する。
【実施例】
【0076】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
<ノズルプレートの撥液処理>
厚さ120μmのポリイミド板(宇部興産社製;ユーピレックス)の片面に、下記の撥液化合物をスピンコート法で0.1μmの厚さに塗布し、30分間自然乾燥させた後、120℃で1時間加熱処理することにより、撥液膜を形成した。
【0077】
17CHCHSi(OCH 1重量部
Si(OC 10重量部
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 1重量部
メタノール 38重量部
水 30重量部
酢酸 20重量部
【0078】
次いで、撥液膜を形成していない側から、エキシマレーザー(発振波長:248nm、パルス幅:150nsec)を照射して、180dpiとなるように、直径40μm、テーパー角度30°、長さ50μmの二段形状のノズルを64個作製した。
【0079】
更に、撥液膜を設けた面に、ノズル中心を中心として、ノズル径の5倍の部分を覆う円形マスクを掛け、吐出口周囲を保護してから、同様にエキシマレーザーを照射して撥液膜を除去することで、吐出口側の面に図5に示すように親液性領域31と撥液性領域32を形成した。
【0080】
その後、ノズルプレートの撥液膜を形成した面にマスキングを施して、もう一度撥液化合物を浸漬して塗布することにより、ノズルの内壁面にも、撥液膜(厚さ0.5μm)を形成した
【0081】
次いで、図2(d)と同様にして、吐出口側の面にノズルを覆うようにして、微細な凹凸を有する反射板を密着させ、エキシマレーザー(発振波長:248nm)を酸素存在下でノズルの軸方向に沿って照射した。これにより、ノズル内では、エキシマレーザー光の入射光と反射板での反射光との間で干渉が起り、干渉縞パターンが生じ、ノズル内壁面の撥液膜には強露光部と弱露光部とが形成される。
【0082】
強露光部は酸素が導入されることで親液性を示す親液性領域となり、一方、弱露光部はもともとの撥液性を示す撥液性領域となる。これらを干渉縞によってノズル軸方向に沿ってリング状の強露光部と弱露光部とが0.3μmピッチで交互となるように形成した。
【0083】
(接触角の測定)
後退接触角及び前進接触角は、動的接触角と呼ばれるもので、その測定法としては、例えば(1)ウィルヘルミー法、(2)拡張収縮法、(3)転落法等が知られている。なお、以下の測定法において固体試料としては、ノズルを作製するノズル板と同一材料の板片の表面に上記と同様の方法を用いて前記ノズル内撥液膜と同様の親液性領域と撥液性領域とを備えた撥液膜を形成したものを用いるものとする。
【0084】
本発明では特に断りがない限り、(3)の転落法を用いている。これは、注射針やガラス毛細管等の先端から、測定対象の固体試料表面上に液体試料を一定量置き、固体試料表面をある角度に傾け、滑落直前の状態から測定する方法である。
【0085】
実際の測定では液滴量として、約15plのインク液滴を固体試料に載せた後に徐々に固体試料を傾けていき、その様子をビデオ画像に撮影して観察した。そして、インク液滴が約1μm移動したときの画像から前進接触角θa及び後退接触角θrを算出し測定した。
【0086】
(吐出特性)
得られたノズルプレートを用いて、図1と同様のシェアモード型の液滴吐出ヘッドを作製し、25℃における粘度5.7cp、表面張力40dyn/cmのインクを供給し、7.2kHzで連続吐出した。吐出中に時々吐出を中断してノズルプレート表面を観察しワイピングした。吐出量を精密天秤を用いて計測し、インク1滴当たりの平均吐出量を求めた。同時に吐出状態を光学顕微鏡を用いて観察し、吐出速度を3m/secから徐々に上げていき、吐出量変動と吐出状態について以下の基準に従って評価した。その結果を表1に示す。
【0087】
◎:吐出速度10m/secまで問題なく吐出し、吐出量変動が5%未満であった。
○:吐出速度8m/secまで問題なく吐出し、吐出量変動が5%以上10%未満であった。
△:吐出速度8m/sec未満で曲がりが発生、もしくは吐出量変動が10%を超え15%未満であった。
×:吐出量変動が15%を超えた。
【0088】
(気泡巻き込み)
液滴吐出ヘッドの全ノズルの1/3以上のノズル数から1時間連続吐出を行った後の、気泡巻き込みによるノズルからの吐出不良(駆動しても当該ノズルからインク滴が吐出しない現象、以下「ノズル欠」と称する。)の発生具合を観察した。ノズル欠の発生の有無は、駆動に応じたノズルからのインク滴の吐出有無を高速ビデオ撮影によって観察することにより行い、以下の基準に従って評価した。その結果を表1に示す。
【0089】
◎:ノズル欠の発生なし
○:ノズル欠は3ノズル以内
×:ノズル欠は4ノズル以上
【0090】
(実施例2〜5、比較例1〜3)
ノズル内に対する撥液膜の処理液の濃度、レーザー加工の干渉パターンのピッチ及び強度を変えることにより、それぞれ表1に示す前進接触角及び後退接触角とした以外は、実施例1と同一の方法により評価した。
【0091】
【表1】

【0092】
表1に記載のように、ノズルの内壁に設けた撥液膜の前進接触角が50°以下でありかつ後退接触角が90°以上であると、ノズル欠は3ノズル以内であって気泡の巻き込みは許容レベルであると共に吐出特性も許容レベルである。特に後退接触角から前進接触角を差し引いた値が60°以上である実施例1、実施例2、実施例4、実施例5では、吐出量変動は10%未満であって吐出特性が良好である。さらに、後退接触角から前進接触角を差し引いた値が85°である実施例4では、ノズル欠は全く見られず、気泡の巻き込みと吐出特性において特に良好な結果が得られた。
【0093】
これに対し、比較例ではいずれもノズル欠は4ノズル以上であった。なお、比較例1では、インク液滴の吐出する方向が変化して着弾位置がずれてしまう現象(射出曲がりと称する。)が発生した。
【符号の説明】
【0094】
1:液滴吐出ヘッド
11:インクチューブ
12:ノズルプレート
121:撥液膜
122:ノズル内撥液膜
13:ノズル
14:カバープレート
15:インク供給口
16:チャネル基板
17:隔壁
17a:上壁部
17b:下壁部
18:チャネル
20:反射板
200:記録装置
201:搬送ローラ対
202:搬送モータ
203:搬送ローラ
204:ガイドレール
205:キャリッジ
206:フレキシケーブル
P:被記録材
PS:記録面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液状体を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記ノズルの内壁面は、前記液状体に対する前進接触角が50°以下であり、後退接触角が90°以上であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
前記後退接触角から前記前進接触角を差し引いた角度が60°以上であることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
前記液状体の粘度は、6cp未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
前記液状体が供給される多数の圧力室が並設され、隣接する前記圧力室間の隔壁が、印加電圧に応動して変形動作するアクチュエータによって構成され、前記隔壁の変形動作によって前記圧力室内の前記液状体を前記ノズルから吐出するシェアモード型のヘッドであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを備え、前記ノズルから吐出される液状体を被記録材に着弾させることによって記録を行うことを特徴とする記録装置。












【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−22794(P2013−22794A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158436(P2011−158436)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】