説明

液滴吐出装置及びクリーニング方法

【課題】ノズル面に付着した液体がノズル内に引き込まれるのを抑止する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、インクを貯留するタンク3と、タンク3から供給されたインクを、複数のノズル2aが形成されたノズル面2bからインク液滴として吐出するインクジェットヘッド2と、タンク3における上部空間Aの圧力を調節することで、ノズル面2bにおけるインクの圧力を調節する調圧ポンプ4と、インクジェットヘッド2をキャッピングによりクリーニングするキャッピングユニット5と、インクジェットヘッド2を掃引することによりクリーニングする掃引ユニット6と、制御部10と、を備える。そして、制御部10は、インクジェットヘッド2をクリーニングする際、調圧ポンプ4による上部空間Aの圧力制御により、ノズル面2bにおけるインクの圧力を指定圧力よりも高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴を吐出する液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドのクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタなどの液滴吐出装置では、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドのノズル周りに液体や液体の凝集物などが付着すると吐出不良が発生するため、定期的に、インクジェットヘッドのクリーニングが行われている(例えば、特許文献1参照)。このインクジェットヘッドのクリーニングは、まず、キャップをインクジェットヘッドに押圧してノズル面を気密に覆った状態でノズルからインクや凝集物などを吸引するキャッピングを行う。その後、吸引ノズルをノズル面に沿って移動させて順次ノズル面に付着したインクを吸引する掃引を行う。
【0003】
一方、液滴吐出装置では、液滴の吐出を良好にすべく、ノズル内のインクを所定のメニスカスに形成する必要がある。メニスカスの形成は、ノズル径や使用する液体の種類など、様々なパラメータによって変化するため、液滴吐出ヘッド毎に、ノズル面におけるインクの圧力(指定圧力)が指定されている。なお、この指定圧力は負圧となる。そこで、液滴吐出ヘッドに液体を供給するタンクをノズル面よりも下方に配置したり、このタンクの上部空間を負圧にしたりすることで、ノズル面におけるインクの圧力を指定圧力に保持し、メニスカスの形成を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−057989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、キャッピングなどによりノズルからインクを吸引すると、このインクがノズル面に付着することがある。ところが、ノズル面におけるインクの圧力が指定圧力に保持されているため、ノズル面に付着したインクがノズル内に引き込まれてしまう。このとき、インクジェットヘッドの周囲に浮遊する異物がノズル面に付着したインクに混入すると、インクに引っ張られて異物までノズル内に引き込まれるため、この異物によるノズル詰まりが発生し、インクジェットヘッドが故障する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、ノズル面に付着した液体がノズル内に引き込まれるのを抑止することができる液滴吐出装置及びクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液滴吐出装置は、液体を貯留する液体貯留容器と、液体貯留容器から供給された液体を、複数のノズルが形成されたノズル面から液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、ノズル面における液体の圧力を、ノズルに供給された液体がメニスカスを形成する指定圧力に保持する調圧手段と、液滴吐出ヘッドのクリーニングを行うクリーニング手段と、有し、クリーニング手段により液滴吐出ヘッドをクリーニングする際、ノズル面における液体の圧力を指定圧力よりも高くする。
【0008】
本発明に係る液滴吐出装置によれば、液滴吐出ヘッドをクリーニングする際は、ノズル面における液体の圧力を指定圧力よりも高くするため、ノズル内に液体を引き込む力が弱くなる。このため、液滴吐出ヘッドのクリーニング時にノズル面に液体が付着したとしても、この液体がノズル内に引き込まれるのを抑制することができる。これにより、ノズル面に付着した液滴に異物が混入したとしても、この異物によるノズル詰まりを防止することができ、液滴の吐出不良を防止し、ひいては液滴吐出ヘッドの長寿命化を図ることができる。
【0009】
上記のクリーニング手段は、ノズルから液体を排出させる排出手段と、ノズル面に付着した液体を吸引する吸引手段と、備え、排出手段によりノズルから液体を排出させた後、吸引手段によりノズル面に付着した液体を吸引することが好ましい。このように、排出手段によりノズルから液体を排出させることで、ノズルに詰まった凝集物などを除去することができる。しかも、ノズル面における液体の圧力が指定圧力よりも高くなっているため、ノズルから容易に液体を吸引することができる。このとき、ノズルから排出された液体がノズル面に付着する可能性があるが、ノズル面における液体の圧力が指定圧力よりも高くなっているため、この液体がノズル内に引き込まれるのを抑制することができる。そして、吸引手段によりノズル面に付着した液体を吸引することで、ノズル面に液体が付着していない状態でクリーニングを終了させることができる。このため、クリーニング終了後にノズル面における液体の圧力を指定圧力に戻したとしても、異物が混入された液体がノズル内に引き込まれることが無くなる。
【0010】
上記の排出手段は、キャップでノズル面を気密に覆いノズル面からノズルを吸引するキャッピング手段であっても良い。このように、キャッピング手段によりノズルから液体を吸引することで、ノズル及びノズル面の乾燥を防止して、ノズルに詰まった凝集物などを除去することができる。
【0011】
また、上記の排出手段は、液滴吐出ヘッドに形成されたノズルのうち一部のノズルずつ順次吸引する掃引手段であっても良い。このように、掃引手段により一部のノズルから液体を吸引することで、小さい力で大きな吸引力を発生させることができるとともに、液体の吸引力が、液滴吐出ヘッド内の液体の流路を通じて他のノズルに影響するのを抑制することができる。
【0012】
また、上記の排出手段は、ノズルに供給された液体を加圧してノズルから液体を排出させる加圧手段であっても良い。このように、加圧手段によりノズルから液体を排出させることで、圧力調整のみでノズルから液体を排出させることができる。
【0013】
上記の吸引手段は、ノズル面を一部ずつ順次吸引する掃引手段であることが好ましい。このように、掃引手段によりノズル面の一部を吸引することで、小さい力で大きな吸引力を発生させることができる。このため、ノズル面から液体を効果的に吸引することができるとともに、液体の吸引力が、液滴吐出ヘッド内の液体の流路を通じて他のノズルに影響するのを抑制することができる。なお、吸引手段により吸引される前のノズル面には、異物が混入された液体が付着している可能性があるが、ノズル面における液体の圧力が指定圧力よりも高くなっているため、この液体がノズル内に引き込まれるのを抑制することができる。
【0014】
そして、クリーニング手段により液滴吐出ヘッドをクリーニングする際、ノズル面における液体の圧力を、ノズル面に液体が滲まない圧力以下とすることが好ましい。このように、液滴吐出ヘッドをクリーニングする際に、ノズル面における液体の圧力を、ノズル面に液体が滲まない圧力以下とすることで、液滴吐出ヘッドのクリーニング終了後に、ノズル面が液体で汚れるのを防止することができるとともに、液滴が漏れ落ちるのを防止することができる。
【0015】
この場合、ノズル面における液体の圧力を略大気圧とすることが更に好ましい。このように、液滴吐出ヘッドをクリーニングする際に、ノズル面における液体の圧力を略大気圧とすることで、液滴吐出ヘッドのクリーニング終了後に、ノズル面が液体で汚れるのを確実に防止することができるとともに、液滴が漏れ落ちるのを確実に防止することができる。
【0016】
そして、クリーニング手段による液滴吐出ヘッドのクリーニングが終了した後、液滴吐出ヘッドによる液滴の吐出が開始されるまでの間に、ノズル面における液体の圧力を指定圧力に戻すことが好ましい。このように、液滴吐出ヘッドのクリーニングが終了してから液滴吐出ヘッドによる液滴の吐出が開始されるまでの間に、ノズル面における液体の圧力を指定圧力に戻すことで、ノズル内の液体がメニスカスに形成された状態で液滴の吐出を行うことができる。
【0017】
上記の液体貯留容器は、液滴吐出ヘッドの上方に配置されており、調圧手段は、液体貯留容器の上部空間の圧力を調整することで、ノズル面における液体の圧力を調整することが好ましい。このように、液体貯留容器を液滴吐出ヘッドの上方に配置すると、液滴吐出ヘッドのノズル面に液体の水頭圧が作用するが、液体貯留容器の上部空間の圧力を調整することで、簡易に、ノズル面における液体の圧力を調整することができる。
【0018】
本発明に係るクリーニング方法は、複数のノズルが形成されたノズル面から液滴を吐出する液滴吐出ヘッドのクリーニング方法であって、ノズル面における液体の圧力をノズルに供給された液体がメニスカスを形成する指定圧力に保持し、液滴吐出ヘッドをクリーニングする際は、ノズル面における液体の圧力を指定圧力よりも高くする。
【0019】
本発明に係るクリーニング方法によれば、液滴吐出ヘッドをクリーニングする際、ノズル面における液体の圧力を指定圧力よりも高くすることで、ノズル内に液体を引き込む力が弱くなる。このため、液滴吐出ヘッドをクリーニングする際に、ノズル面に液体が付着したとしても、この液体がノズル内に引き込まれるのを抑制することができる。これにより、ノズル面に付着した液滴に異物が混入したとしても、この異物によるノズル詰まりを防止することができ、液滴の吐出不良を防止し、ひいては液滴吐出ヘッドの長寿命化を図ることができる。
【0020】
そして、クリーニングは、ノズルから液体を排出させた後、ノズル面に付着した液体を吸引することが好ましい。
【0021】
このように、ノズルから液体を排出させることで、ノズルに詰まった凝集物などを除去することができる。しかも、ノズル面における液体の圧力が指定圧力よりも高くなっているため、ノズルから容易に液体を吸引することができる。このとき、ノズルから排出された液体がノズル面に付着する可能性があるが、ノズル面における液体の圧力が指定圧力よりも高くなっているため、この液体がノズル内に引き込まれるのを抑制することができる。
【0022】
そして、ノズル面に付着した液体を吸引することで、ノズル面に液体が付着していない状態でクリーニングを終了させることができる。このため、クリーニング終了後にノズル面における液体の圧力を指定圧力に戻したとしても、異物が混入された液体がノズル内に引き込まれることが無くなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ノズル面に付着した液体がノズル内に引き込まれるのを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。
【図2】調圧ポンプによる上部空間の制御圧を説明するための模式図である。
【図3】掃引ユニットとインクジェットヘッドの関係図であり、(a)は、底面図、(b)は、(a)のb−b線断面図である。
【図4】インクジェットプリンタの動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明に係る液滴吐出装置及びクリーニング方法の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態は、本発明に係る液滴吐出装置及びクリーニング方法を、液滴吐出装置であるインクジェットプリンタに適用したものである。なお、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0026】
図1は、実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、インクジェットヘッド2と、タンク3と、調圧ポンプ4と、キャッピングユニット5と、掃引ユニット6と、制御部10と、を備えている。なお、キャッピングユニット5と、掃引ユニット6とが、インクジェットヘッド2をクリーニングするクリーニング手段となる。
【0027】
インクジェットヘッド2は、タンク3から供給されたインクを液滴状のインク液滴として吐出する液滴吐出ヘッドある。このインクジェットヘッド2は、その下面に、多数のノズル2aが形成されたノズル面2bが配置されている。そして、タンク3からインクジェットヘッド2に供給されたインクは、インクジェットヘッド2内の共通インク流路(不図示)を通って各ノズル2aに分配供給され、圧電素子などの駆動制御によりノズル面2bからインク液滴として吐出される。
【0028】
このインクジェットヘッド2には、各ノズル2aにおいて所定のメニスカスを形成するために、ノズル面2bにおけるインクの圧力(指定圧力)が指定されている。指定圧力は、負圧となっており、ノズル径や使用するインクの種類など、様々パラメータに応じて適宜設定される。このため、ノズル面2bにおけるインクの圧力を指定圧力に保持することで、各ノズル2aに供給されたインクが所定のメニスカスに形成される。なお、一般に、指定圧力は所定の幅で指定されている。このため、指定圧力が所定の幅で指定されている場合に、指定圧力よりも高い圧力とは、指定圧力の範囲において最も高い圧力よりも高い圧力となる。例えば、指定圧力が−1.0kPa±400Paの範囲で指定された場合、指定圧力よりも高い圧力は、−600Pa(−1.0kPa+400Pa)よりも高い圧力となる。但し、本実施形態では、説明の便宜上、指定圧力に幅がなく一定の値であるものとして説明する。
【0029】
また、このインクジェットヘッド2は、図示しないキャリッジにより走査方向において移動可能となっており、インクジェットヘッド2の移動する端部が、インクジェットヘッド2をキャッピングするための第一メンテナンス位置、及び、インクジェットヘッド2を掃引するための第二メンテナンス位置となっている。なお、第一メンテナンス位置と第二メンテナンス位置とは、別の位置であっても良く、同じ位置であっても良い。第一メンテナンス位置と第二メンテナンス位置とが同じ位置である場合は、キャッピングユニット5と掃引ユニット6とを択一的にメンテナンス位置に移動させる。そして、インクジェットヘッド2は、第一メンテナンス位置及び第二メンテナンス位置において上下方向に移動可能となっている。なお、インクジェットヘッド2の上下動は、図示しない駆動装置により、キャリッジに対してインクジェットヘッド2を上下動させることにより実現されるが、キャリッジ自体を上下動させても良い。
【0030】
タンク3は、インクジェットヘッド2に供給するインクを一時的に貯留するものである。このタンク3は、図示しないインクタンクやインクカートリッジなどのインク貯留容器から供給されるインクを貯留するタンクであって、サブタンクや、インクジェットヘッド2に供給するインクの圧力変動を抑制するダイアフラム膜が設けられたダンパなどの中間タンクとして機能する。このタンク3は、オンキャリッジ型を採用している。すなわち、タンク3は、インクジェットヘッド2が搭載されるキャリッジに搭載されて、インクジェットヘッド2の上方に配置されている。そして、タンク3は、インクジェットヘッド2に連通されたチューブを介して、貯留しているインクをインクジェットヘッド2に供給する。このため、インクジェットヘッド2のノズル面2bには、タンク3に貯留されたインクの水頭圧が作用する。
【0031】
調圧ポンプ4は、タンク3における上部空間Aの圧力を調節することで、ノズル面2bにおけるインクの圧力を調節する調圧手段である。調圧ポンプ4は、定圧ポンプなどで構成されており、タンク3の上部空間Aに連通されている。このため、調圧ポンプ4は、制御部10による駆動制御により、上部空間Aの圧力を調節することが可能となっている。
【0032】
ここで、図2を参照して、調圧ポンプ4による上部空間Aの制御圧Pcについて説明する。図2は、調圧ポンプによる上部空間の制御圧を説明するための模式図である。図2に示すように、ノズル面2bには、ノズル面2bからタンク3の液面に至るインクの水頭圧(正圧)が作用する。このため、インクの水頭圧(正圧)の正負を逆にした圧力(負圧)を、調圧ポンプ4による上部空間Aの制御圧Pc(負圧)とすることで、ノズル面2bに作用するインクの水頭圧が上部空間Aの負圧により相殺され、ノズル面2bにおけるインクの圧力が大気圧となる。ここで、大気圧とは、ゲージ圧が0Pa(gauge)である状態をいう。そこで、インクの水頭圧を相殺する圧力(負圧)とインクジェットヘッド2の指定圧力(負圧)とを加算した標準制御設定圧(負圧)を、調圧ポンプ4による上部空間Aの制御圧Pc(負圧)とすることで、ノズル面2bにおけるインクの圧力が指定圧力(負圧)となる。例えば、インクの水頭圧が1kPa、インクジェットヘッド2の指定圧力が−300Paであった場合を考える。この場合、インクの水頭圧を相殺する圧力は、−1kPaとなる。このため、上部空間Aの制御圧Pcを、指定圧力(−300Pa)にインクの水頭圧を相殺する圧力(−1kPa)を加えた−1.3kPaに設定することで、ノズル面2bにおけるインクの圧力を、指定圧力である−300Paにすることができる。
【0033】
なお、インクジェットヘッド2内のインク流路又はインクジェットヘッド2の近傍のインク流路に圧力計(不図示)を取り付けておき、この圧力計の測定結果をフィードバックすることにより、ノズル面2bにおけるインクの圧力を確認することができる。
【0034】
キャッピングユニット5は、インクジェットヘッド2のノズル面2bを気密に覆い、ノズル2aからインクを吸引するキャッピング手段である。キャッピングとは、キャップでノズル面2bを気密に覆ってインクの乾燥を防止するとともに、ノズルに詰まった凝集物などを除去する動作である。このため、キャッピングユニット5は、インクジェットヘッド2に押圧されてノズル面2bを気密に覆うキャップ5aと、キャップ5aに吸引力を発生させる吸引ポンプ5bと、キャップ5aから吸引したインクを貯留する廃液タンク5cと、を備えている。
【0035】
キャップ5aは、樹脂などの弾性素材により、上方に開放された椀状に形成されており、第一メンテナンス位置に移動したインクジェットヘッド2の下方に配置されている。このため、第一メンテナンス位置に移動したインクジェットヘッド2を下方に移動させることで、インクジェットヘッド2の下面にキャップ5aが押圧され、ノズル面2bをキャップ5aで気密に覆うことができる。このように、インクジェットヘッド2にキャップ5aを押圧しキャップ5aでノズル面2bを気密に覆うことを“キャップオン”という。一方、キャップオンしている状態でインクジェットヘッド2を上方に移動させることで、キャップ5aをインクジェットヘッド2から離間させることができる。このように、キャップ5aをインクジェットヘッド2から離間させることを“キャップオフ”という。なお、キャップオン及びキャップオフは、キャップ5aを上下動させることにより行っても良い。
【0036】
掃引ユニット6は、ノズル面2bを一部ずつ順次吸引し、ノズル面2bに付着したインクを吸引する掃引手段である。このため、掃引ユニット6は、クリーニングノズル6aと、クリーニングノズル6aに吸引力を発生させる吸引ポンプ6bと、クリーニングノズル6aから吸引したインクを貯留する廃液タンク6cと、を備えている。
【0037】
クリーニングノズル6aは、第二メンテナンス位置に移動したインクジェットヘッド2の下方に配置されており、その上面に、ノズル面2bに対向配置されて吸引力を発生する吸引面6dが形成されている(図3参照)。吸引面6dは、ノズル面2bよりも小さい大きさ(面積)であって、1又は複数のノズル2aのみを覆う大きさ(面積)に形成されている。このため、第二メンテナンス位置に移動したインクジェットヘッド2を下方に移動させてノズル面2bと吸引面6dとを近接させると、ノズル面2bの一部のみが吸引面6dにより覆われる。このとき、吸引面6dにより覆われるノズル2aは、インクジェットヘッド2に形成されたノズル2aのうち、一部のノズル2aのみとなる。一部のノズル2aとは、1のノズル2aの場合だけでなく、2以上の複数のノズル2aの場合もある。
【0038】
この吸引面6dには、吸引ポンプ6bに連結される吸引口6eが形成されている。このため、吸引ポンプ6bを吸引駆動して吸引口6eに吸引力を発生させることで、吸引面6dに覆われるノズル面2bの一部のみから、ノズル面2bに付着したインクを吸引することが可能となっており、また、吸引面6dに覆われる1又は複数のノズル2aのみから、ノズル2a内のインクを吸引することが可能となっている。
【0039】
また、クリーニングノズル6aは、第二メンテナンス位置において下降したインクジェットヘッド2のノズル面2bに沿って移動可能に保持されている。このため、クリーニングノズル6aをノズル面2bに沿って移動させることで、吸引面6dがノズル面2bに沿って移動し、ノズル面2bの任意の位置に付着したインクを吸引することが可能となり、また、任意のノズル2aからインクを吸引することが可能となる。
【0040】
なお、吸引面6dは、1つのノズル2aのみを覆う大きさに形成することが好ましいが、ノズル面2bに形成される全てのノズル2aのうち、1/4程度の数のノズル2aを覆う大きさであれば、ノズル面2bに付着したインクの吸引や、ノズル2a内からのインクの吸引を効果的に行うことができる。
【0041】
図3に、掃引ユニット6とインクジェットヘッド2との関係を示す。図3は、掃引ユニットとインクジェットヘッドの関係図であり、(a)は、底面図、(b)は、(a)のb−b線断面図である。図3に示すように、実際のインクジェットヘッド2では、ノズル面2bが保持ブロック2cにより下方から保持されている。この保持ブロック2cは、上方に窪んだ凹状に形成されており、この窪みにノズル面2bが配置されている。このため、インクジェットヘッド2とクリーニングノズル6aとを当接させると、ノズル面2b自体は吸引面6dに当接されることなく、ノズル面2bと吸引面6dとの間に空間Bが生じる。なお、ノズル面2bと吸引面6dとのギャップの最小値は、保持ブロック2cの窪みの深さとなる。
【0042】
ここで、吸引口6eに吸引力を発生させると、空間Bが負圧になるため、周囲の空気が空間Bに流れ込んで吸引口6eに吸い込まれる気流が発生する。この気流により、ノズル面2bに付着したインクが吸引される。一方、空間Bを流れる空気と吸引面6d及びノズル面2bとの摩擦により圧損が生じるため、周囲から空気を吸引口6eに吸引する力と、この空間Bに発生する負圧との間に差分が生じる。この差分の負圧により、ノズル2a内からインクが吸引される。このため、吸引口6eに発生させる吸引力を大きくして圧損を大きくすることで、ノズル面2bに付着したインクの吸引だけでなくノズル2a内からのインクの吸引も行うことができ、反対に、吸引口6eに発生させる吸引力を小さくして圧損を小さくすることで、ノズル2a内からのインクの吸引を抑え、主にノズル面2bに付着したインクの吸引を行うことができる。
【0043】
制御部10は、インクジェットヘッド2、調圧ポンプ4、キャッピングユニット5及び掃引ユニット6などと電気的に接続されており、インクジェットプリンタ1の印刷処理やインクジェットヘッド2のクリーニング処理などを行うものである。なお、制御部10は、例えば、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。そして、後述する制御部10の各制御は、CPUやRAM上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませ、CPUの制御のもとで動作させることで実現される。
【0044】
次に、図4を参照して、インクジェットプリンタ1の動作について説明する。図4は、インクジェットプリンタの動作を示したフローチャートである。なお、以下に説明するインクジェットプリンタ1の処理動作は、制御部10の制御により行われる。すなわち、制御部10において、CPUなどで構成される処理部が、ROMなどの記憶装置に記録されたプログラムに従い、各機能を統括管理することで、以下の処理が行われる。
【0045】
図4に示すように、制御部10は、まず初期設定として、ノズル面2bにおけるインクの圧力を指定圧力に設定する(ステップS1)。すなわち、制御部10は、調圧ポンプ4の駆動制御を行い、上部空間Aの制御圧Pcを標準制御設定圧に保持する。これにより、ノズル面2bにおけるインクの圧力が指定圧力に保持され、各ノズルにおいてメニスカスが形成される。このとき、制御部10は、インクジェットヘッド2内のインク流路又はインクジェットヘッド2の近傍のインク流路に取り付けられた圧力計(不図示)の測定圧力をフィードバックすることにより、ノズル面2bにおけるインクの圧力が指定圧力になっているか否かを判断することが好ましい。
【0046】
なお、ステップS1により、ノズル面2bにおけるインクの圧力が指定圧力に保持された後、印刷動作などの様々な処理が行われる。
【0047】
次に、制御部10は、インクジェットヘッド2のクリーニングを行うか否かを判断する(ステップS2)。なお、ステップS2では、操作者による操作入力の有無や、予め設定されたシーケンスなどに基づいて、インクジェットヘッド2のクリーニングを行うか否かを判断する。
【0048】
そして、インクジェットヘッド2のクリーニングを行うと判断するまでは(ステップS2:NO)、制御部10は、ノズル面2bにおけるインクの圧力を指定圧力に保持しておく。
【0049】
一方、インクジェットヘッド2のクリーニングを行うと判断すると(ステップS2:YES)、制御部10は、キャリッジの駆動制御を行い、インクジェットヘッド2を第一メンテナンス位置に移動させる(ステップS3)。
【0050】
次に、制御部10は、キャップオンを行う(ステップS4)。すなわち、制御部10は、インクジェットヘッド2の駆動制御を行い、インクジェットヘッド2を下降させる。そして、インクジェットヘッド2にキャップ5aを押圧して、ノズル面2bをキャップ5aで気密に覆う。なお、ステップS4のキャップオンは、キャップ5aを上方に移動させることにより行っても良い。
【0051】
次に、制御部10は、ノズル面2bにおけるインクの圧力を上げ、指定圧力より高い圧力に設定する(ステップS5)。すなわち、制御部10は、調圧ポンプ4の駆動制御を行い、ノズル面2bにおけるインクの圧力が指定圧力よりも高くなるように、上部空間Aの制御圧Pcを標準制御設定圧よりも高くする。このとき、上部空間Aの制御圧Pcは、ノズル面2bにインクが滲まない程度の圧力以下とする。この範囲の中でも、特に、ノズル面2bにおけるインクの圧力が略大気圧になる圧力とすることが好ましい。
【0052】
ここで、ノズル面2bにインクが滲まない状態とは、ノズル2aに供給されたインクが、ノズル2a内に納まっている状態のほか、ノズル2aから飛び出しているものの、インクの表面張力によりノズル2aから溢れ出していない状態をいう。一方、ノズル面2bにインクが滲む状態とは、インクの表面張力の限界を超えて、インクがノズル2aから溢れ出して広がる状態をいう。なお、上部空間Aの制御圧Pcの最大値は、使用するインクの種類やノズル径などによって変わり、粘度の極端に高いインクを使用する場合などは、ノズル面2bにおけるインクの圧力が100kPa程度になる圧力とする場合も考えられる。また、略大気圧とは、大気圧を中心とした約±300Paの範囲内の圧力をいう。
【0053】
次に、制御部10は、吸引処理を行い、ノズル2aからインクを排出させる(ステップS6)。すなわち、制御部10は、吸引ポンプ5bの駆動制御を行い、キャップ5a内に吸引力を発生させる。すると、ノズル面2bとキャップ5aとの間の空間が負圧状態となり、ノズル2aからインクと一緒にインクの凝集物なども吸引除去される。なお、ノズル2aから吸引除去されたインクや凝集物などは、キャップ5aから廃液タンク5cに運ばれて貯留される。
【0054】
次に、制御部10は、キャップオフを行う(ステップS7)。すなわち、制御部10は、インクジェットヘッド2の駆動制御を行い、インクジェットヘッド2を上昇させて、インクジェットヘッド2からキャップ5aを離間させる。このとき、前工程であるステップS5において、ノズル面2bにおけるインクの圧力が指定圧力よりも高く設定しているため、ノズル内にインクを引き込む力が弱くなっている。このため、キャップオフに伴い、キャップ5a内に急激な圧力変動が生じたり、キャップ5a内の気泡が破裂したりしても、メニスカスが破壊されてノズル抜けが生じるのが抑制される。なお、ステップS7のキャップオフは、キャップ5aを下方に移動させることにより行っても良い。
【0055】
次に、制御部10は、キャリッジの駆動制御を行い、インクジェットヘッド2を第二メンテナンス位置に移動させる(ステップS8)。
【0056】
次に、制御部10は、掃引処理を行い、ノズル面2bをクリーニングする(ステップS9)。すなわち、制御部10は、インクジェットヘッド2の駆動制御を行い、インクジェットヘッド2を下降させ、ノズル面2bと吸引面6dとを所定のギャップまで近接させる。なお、クリーニングノズル6aを上方に移動させることにより、ノズル面2bと吸引面6dとを近接させても良い。ノズル面2bと吸引面6dとが所定のギャップまで近接すると、制御部10は、吸引ポンプ6bの駆動制御を行い、吸引口6eに吸引力を発生させる。そして、制御部10は、クリーニングノズル6aの駆動制御を行い、クリーニングノズル6aをノズル面2bに沿って移動させる。このとき、吸引口6eに発生させる吸引力は、ノズル面2bに付着したインクの吸引を行うことができれば十分である。但し、場合によっては、ノズル2a内からインクを吸引することができるだけの吸引力を発生させても良い。
【0057】
すると、ノズル面2bと吸引面6dとの間の空間が負圧状態となり、ノズル面2bにおける吸引面6dに覆われた部分に付着したインクが吸引口6eに吸引される。そして、クリーニングノズル6aの移動に伴い、順次、ノズル面2bにおける吸引面6dに覆われた部分に付着したインクが吸引口6eに吸引され、最終的に、ノズル面2b全面から付着したインクが吸引口6eに吸引される。そして、ノズル面2bから吸引されたインクは、クリーニングノズル6aから廃液タンク6cに運ばれて貯留される。なお、吸引口6eに発生させた吸引力が大きい場合は、ノズル面2bに付着したインクだけでなく、ノズル2a内のインクも順次吸引口6eに吸引される。
【0058】
次に、制御部10は、ステップS9の掃引処理が終了した後、印刷が行われる前に、ノズル面2bにおけるインクの圧力を指定圧力に戻す(ステップS10)。すなわち、制御部10は、調圧ポンプ4の駆動制御を行い、ノズル面2bにおけるインクの圧力が指定圧力となるように、上部空間Aの制御圧Pcを標準制御設定圧に設定する。なお、ステップS10の圧力制御は、ステップS9の掃引処理が終了した後、且つ、印刷が行われる前であれば、如何なるタイミングで行っても良い。
【0059】
このように、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1によれば、インクジェットヘッド2をクリーニングする際は、ノズル面2bにおけるインクの圧力を指定圧力よりも高くするため、ノズル2a内にインクを引き込む力が弱くなる。このため、インクジェットヘッド2のクリーニング時にノズル面2bにインクが付着したとしても、このインクがノズル2a内に引き込まれるのを抑制することができる。これにより、ノズル面2bに付着したインクに異物が混入したとしても、ノズル2aがこの異物により詰まるのを防止することができ、インクの吐出不良を防止し、ひいてはインクジェットヘッド2の長寿命化を図ることができる。
【0060】
そして、キャッピングユニット5によりノズル2aからインクを吸引することで、ノズル2a及びノズル面2bの乾燥を防止しつつ、ノズル2aに詰まった凝集物などを除去することができ、また、インクジェットヘッド2に供給されたインクを各ノズル2aに充填させることができる。しかも、ノズル面2bにおけるインクの圧力が指定圧力よりも高くなっているため、ノズル2aから容易にインクを吸引することができる。このとき、ノズル2aから吸引されたインクがノズル面2bに付着する可能性があるが、ノズル面2bにおけるインクの圧力が指定圧力よりも高くなっているため、このインクがノズル2a内に引き込まれるのを抑制することができる。
【0061】
更にその後、掃引ユニット6によりノズル面2bに付着したインクを吸引することで、ノズル面2bにインクが付着していない状態で、クリーニングを終了させることができる。このため、クリーニング終了後にノズル面2bにおけるインクの圧力を指定圧力に戻したとしても、異物が混入されたインクがノズル2a内に引き込まれることが無くなる。
【0062】
そして、掃引ユニット6によりノズル面2bの一部を吸引することで、小さい力で大きな吸引力を発生させることができる。このため、ノズル面2bからインクを効果的に吸引することができるとともに、インクの吸引力が、インクジェットヘッド2内の共通インク流路を通じて他のノズル2aに影響するのを抑制することができる。なお、掃引ユニット6により吸引される前のノズル面2bには、異物が混入されたインクが付着している可能性があるが、ノズル面2bにおけるインクの圧力が指定圧力よりも高くなっているため、このインクがノズル2a内に引き込まれるのを抑制することができる。
【0063】
また、クリーニング時の制御圧Pcを、ノズル面2bにインクが滲まない圧力以下とすることで、クリーニング終了後に、ノズル面2bがインクで汚れるのを防止することができるとともに、液滴が漏れ落ちるのを防止する。特に、クリーニング時の制御圧Pcを、ノズル面2bにおけるインクの圧力が略大気圧となる圧力とすることで、これらの効果がより顕著となる。
【0064】
そして、印刷が開始される前に、ノズル面2bにおけるインクの圧力を指定圧力に戻すことで、ノズル2a内のインクが所定のメニスカスに形成された状態で印刷を行うことができる。
【0065】
更に、調圧ポンプ4により上部空間Aの圧力制御を行うことで、タンク3の位置に関わらず、ノズル面2bにおけるインクの圧力を調整することができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において、ノズル面2bにおけるインクの圧力を上げる処理(ステップS5)を行うタイミングは、キャップオン(ステップS4)の後であるものとして説明したが、ノズル2aからインクを排出させる吸引処理(ステップS6)より前であれば、如何なるタイミングであっても良い。例えば、ノズル面2bにおけるインクの圧力を上げる処理(ステップS5)を、キャップオン(ステップS4)の前に行っても良く、インクジェットヘッド2を第一メンテナンス位置に移動させる処理(ステップS3)の前に行っても良い。
【0067】
また、上記実施形態では、ノズル2aからインクを排出させる排出手段として、キャッピングユニット5を用いたキャッピングを採用するものとして説明したが、ノズル2aからインクを排出することができれば、如何なる手段により実現しても良い。例えば、インクジェットヘッド2に形成されたノズル2aのうち一部のノズル2aずつ順次吸引する掃引ユニット6を用いた掃引により、ノズル2aからインクを排出させても良い。この場合、掃引ユニット6によりノズル2aからインクを排出する前に、ノズル面2bにおけるインクの圧力を高くする。また、例えば、調圧ポンプ4を用いた上部空間Aの圧力制御により、ノズル面2bからインクが滲み出す程度、又は、ノズル面2bからインクが漏れ落ちる程度に、ノズル面2bにおけるインクの圧力を高くすることで、ノズル2aからインクを排出させても良い。この場合、ノズル2aからインクを排出するためにノズル面2bにおけるインクの圧力を高めるため、別途ノズル面2bにおけるインクの圧力を高くする必要は無い。但し、掃引ユニット6による掃引処理(ステップ9)を行う前に、ノズル面2bからインクが滲み出さない程度に、ノズル面2bにおけるインクの圧力を再設定する。このような手段を採用し、ノズル2aからインクを排出させることで、本実施形態と同様に、ノズル2aに詰まったインクの凝集物などを除去することができ、また、タンク3からインクジェットヘッド2に供給されたインクを各ノズル2aに充填させることができる。
【0068】
また、上記実施形態では、ノズル面2bに付着したインクを吸引する吸引手段として、掃引ユニット6を用いた掃引により実現するものとして説明したが、ノズル面2bに付着したインクを吸引することができれば、如何なる手段により実現しても良い。例えば、キャッピングのように一度にノズル面2b全面を覆うクリーニングノズル6aを備えた吸引装置によりノズル面2bに付着したインクを吸引しても良く、また、ノズル面2bをワイピングしながらノズル面2bに付着したインクを吸引しても良い。
【0069】
また、上記実施形態では、オンキャリッジ型のタンク3を採用するインクジェットプリンタ1を用いて説明したが、インクジェットヘッド2に対するタンク3の上下方向の位置を移動させるなど、ノズル面2bにおけるインクの圧力を調整することができれば、タンク3の位置は特に限定されない。
【0070】
また、上記実施形態では、本発明の一例としてインク液滴を吐出するインクジェットプリンタについて説明したが、本発明を、食用オイルや接着剤などの高粘度液体を液滴として吐出する工業用液滴吐出装置などに適用しても良い。
【符号の説明】
【0071】
1…インクジェットプリンタ(液滴吐出装置)、2…インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)、2a…ノズル、2b…ノズル面、2c…保持ブロック、3…タンク(液体貯留容器)、4…調圧ポンプ(調圧手段、加圧手段)、5…キャッピングユニット(キャッピング手段)、5a…キャップ、5b…吸引ポンプ、5c…廃液タンク、6…掃引ユニット(掃引手段)、6a…クリーニングノズル、6b…吸引ポンプ、6c…廃液タンク、6d…吸引面、6e…吸引口、10…制御部、A…上部空間。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体貯留容器と、
前記液体貯留容器から供給された液体を、複数のノズルが形成されたノズル面から液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記ノズル面における液体の圧力を、前記ノズルに供給された液体がメニスカスを形成する指定圧力に保持する調圧手段と、
前記液滴吐出ヘッドのクリーニングを行うクリーニング手段と、
を有し、
前記クリーニング手段により前記液滴吐出ヘッドをクリーニングする際、前記ノズル面における液体の圧力を前記指定圧力よりも高くする、
液滴吐出装置。
【請求項2】
前記クリーニング手段は、
前記ノズルから液体を排出させる排出手段と、
前記ノズル面に付着した液体を吸引する吸引手段と、
を備え、
前記排出手段により前記ノズルから液体を排出させた後、前記吸引手段により前記ノズル面に付着した液体を吸引する、
請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記排出手段は、キャップで前記ノズル面を気密に覆い前記ノズル面から前記ノズルを吸引するキャッピング手段である、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記排出手段は、前記液滴吐出ヘッドに形成された前記ノズルのうち一部のノズルずつ順次吸引する掃引手段である、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記排出手段は、前記ノズルに供給された液体を加圧して前記ノズルから液体を排出させる加圧手段である、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記吸引手段は、前記ノズル面を一部ずつ順次吸引する掃引手段である、請求項2〜5の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記クリーニング手段により前記液滴吐出ヘッドをクリーニングする際、前記ノズル面における液体の圧力を、前記ノズル面に液体が滲まない圧力以下とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記クリーニング手段により前記液滴吐出ヘッドをクリーニングする際、前記ノズル面における液体の圧力を略大気圧とする、請求項7に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記クリーニング手段による前記液滴吐出ヘッドのクリーニングが終了した後、前記液滴吐出ヘッドによる液滴の吐出が開始されるまでの間に、前記ノズル面における液体の圧力を前記指定圧力に戻す、請求項1〜8の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記液体貯留容器は、前記液滴吐出ヘッドの上方に配置されており、
前記調圧手段は、前記液体貯留容器の上部空間の圧力を調整することで、前記ノズル面における液体の圧力を調整する、
請求項1〜9の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
複数のノズルが形成されたノズル面から液滴を吐出する液滴吐出ヘッドのクリーニング方法であって、
前記ノズル面における液体の圧力を前記ノズルに供給された液体がメニスカスを形成する指定圧力に保持し、
前記液滴吐出ヘッドをクリーニングする際は、前記ノズル面における液体の圧力を前記指定圧力よりも高くする、
クリーニング方法。
【請求項12】
前記クリーニングは、前記ノズルから液体を排出させた後、前記ノズル面に付着した液体を吸引する、請求項11に記載のクリーニング方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−245733(P2011−245733A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120781(P2010−120781)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】