説明

液滴吐出装置及び吐出方法

【課題】簡単な構造にて配管部に沈降した内在物を再度分散または溶解する液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】ノズル24から基板7に機能液を液滴にして吐出する液滴吐出ヘッド20と、液滴吐出ヘッド20に供給する機能液を収容する収容タンク16と、収容タンク16から液滴吐出ヘッド20へ機能液32を流動させる第2チューブ29と、第2チューブ29の少なくとも一部を揺動または振動させるヘッド昇降装置18と、基板7と液滴吐出ヘッド20とを相対移動させるキャリッジ13と、を有し、第2チューブ29の少なくとも一部には緩斜面または水平面が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置及び吐出方法にかかわり、特に、配管内で沈降する内在物を再分散する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークに対して液滴を吐出する装置として、インクジェット式の液滴吐出装置が知られている。液滴吐出装置は、基板等のワークを載置してワークを一方向に移動させるテーブルと、テーブルの上方位置においてテーブルの移動方向と直交する方向に配置されたガイドレールに沿って移動するキャリッジとを備えている。キャリッジにはインクジェットヘッド(以下、液滴吐出ヘッドと称す)が配置され、液滴吐出ヘッドはワークに対して機能液を液滴にして吐出し塗布していた。
【0003】
機能液には溶媒または分散媒に各種の内在物を分散または溶解させて形成される。内在物が分散媒に分散している場合や溶質が析出するとき、時間の経過に伴い、内在物が沈降することがある。そして、機能液に分散または溶解している内在物の濃度が薄くなる。例えば、機能液の内在物が顔料インクの場合には、顔料粒子が沈降することにより液中に分散する顔料粒子濃度が低くなるので、塗布したインクの色が薄くなる。従って、内在物の沈降を防止する為に機能液を攪拌する必要がある。
【0004】
配管に内在物が沈降することを防止する方法が特許文献1に開示されている。それによると、機能液を流動させる配管は循環経路とし、循環ポンプにて機能液を循環させる。そして、循環経路にタンクから機能液を供給するときには、複数の電磁弁を切り替えて機能液の圧力を調整していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−246854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
配管部にて循環経路環状に形成し、ポンプ及び電磁弁等を駆動させて機能液を循環させる場合には循環させるために複雑な機構及び制御装置が必要である。そこで、簡単な構造にて配管部に沈降した内在物を再度分散または溶解する装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
本適用例にかかる液滴吐出装置であって、ノズルからワークに液状体を液滴にして吐出する吐出部と、前記吐出部に供給する前記液状体を収容する液状体収容部と、前記液状体収容部から前記吐出部へ前記液状体を流動させる配管部と、前記配管部の少なくとも一部を揺動または振動させる攪拌部と、を有し、前記配管部の少なくとも一部には緩斜面または水平面が形成されていることを特徴とする。
【0009】
この液滴吐出装置によれば、液状体収容部に液状体が収容されている。そして、配管部を通って液状体収容部から吐出部へ液状体が流動する。吐出部はノズルからワークに液状体を液滴にして吐出する。液状体に内在物が分散または溶解しているとき、内在物の一部が沈降して沈殿する場合がある。配管部には緩斜面または水平面が形成されているので、沈殿した内在物は緩斜面または水平面に堆積する。攪拌部が配管部の少なくとも一部を揺動または振動させるとき、沈殿した内在物を液状体中に分散または溶解することができる。
【0010】
配管部を環状に形成し、ポンプ等を駆動させて液状体を循環させることにより内在物の沈降を防止する方法がある。この方法に比べて、簡単な構造にて沈降した内在物を分散または溶解することができる。
【0011】
[適用例2]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記配管部の少なくとも一部は螺旋状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
この液滴吐出装置によれば、配管部が螺旋状に形成されている。従って、配管部において緩斜面となる場所を多く設けることができる。従って、内在物が沈殿する場所が多くできる為、小さい面積に沈殿物が集中する場合に比べて、揺動または振動させたときに沈殿した内在物を液状体中に分散または溶解し易くすることができる。
【0013】
[適用例3]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記攪拌部は前記配管部を鉛直方向に揺動または振動させることを特徴とする。
【0014】
この液滴吐出装置によれば、配管部に内在物が沈殿するとき、沈殿した内在物が鉛直方向に揺動または振動される。沈殿した内在物と液状体とは鉛直方向に隣接して位置するので、水平方向に揺動または振動する方法に比べて容易に分散または溶解させることができる。
【0015】
[適用例4]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記ノズルと前記ワークとの距離を変更する間隔変更部を有し、前記間隔変更部は前記吐出部と前記配管部とを鉛直方向に移動することにより、前記攪拌部を兼ねることを特徴とする。
【0016】
この液滴吐出装置によれば、間隔変更部が攪拌部を兼ねている。従って、間隔変更部と攪拌部とを備える構成に比べて簡単な構成にすることができる。
【0017】
[適用例5]
本適用例にかかる吐出方法であって、ノズルが形成された吐出部をワークに対して移動しながら、前記ノズルから前記ワークに液状体を液滴にして吐出する吐出工程と、前記ノズルから前記液滴を吐出せずに前記吐出部を移動する移動工程と、前記吐出部と接続され前記液状体を供給する配管部の内部に位置する前記液状体を攪拌する攪拌工程と、を有し、前記移動工程と前記攪拌工程とは少なくとも一部が並行して行われることを特徴とする。
【0018】
この吐出方法によれば、移動工程と攪拌工程とが並行して行われる。従って、移動工程を行った後に攪拌工程を行う場合に比べて短い時間で移動工程と攪拌工程とを行うことができる。その結果、生産性良く移動工程と攪拌工程とを行うことができる。
【0019】
[適用例6]
上記適用例にかかる吐出方法において、前記吐出部の内部に位置する前記液状体を排出し、攪拌された前記配管部の前記液状体を前記吐出部の内部に流入させる排出工程を有し、前記排出工程は前記攪拌工程の後に行われることを特徴とする。
【0020】
この吐出方法によれば、攪拌工程にて配管部の内部に位置する液状体を攪拌する。そして、攪拌工程の後に排出工程において攪拌された配管部の液状体を吐出部の内部に流入させている。従って、液滴吐出ヘッド内の液状体を排出して、内在物が沈降していない液状体を液滴吐出ヘッド内に供給することができる。その結果、配管部の内部に位置する液状体を排出しない為、省資源な方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態にかかわる液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】(a)は、ヘッドユニットを示す模式側断面図、(b)はヘッドユニットを示す模式正面図、(c)は、ヘッドユニットを示す模式底面図。
【図3】(a)はチューブの動作を説明するための模式図、(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す要部模式断面図、(c)は、吸引装置の構造を示す要部模式断面図。
【図4】液滴吐出装置の電気制御ブロック図。
【図5】描画作業を示すフローチャート。
【図6】描画方法を説明するための模式図。
【図7】描画方法を説明するための模式図。
【図8】第2の実施形態にかかわるヘッドユニットを示す模式側断面図。
【図9】第3の実施形態にかかわるヘッドユニットを示す模式側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、具体化した実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0023】
(第1の実施形態)
本実施形態における特徴的な液滴吐出装置とこの液滴吐出装置を用いて液滴を吐出する方法との特徴的な例について図1〜図7に従って説明する。液滴吐出装置に関しては様々な種類の装置があるが、インクジェット法を用いた装置が好ましい。インクジェット法は微小液滴の吐出が可能であるため、微細加工に適している。
【0024】
(液滴吐出装置)
図1は、液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図である。液滴吐出装置1により膜を構成する材料を含む機能液が吐出されて塗布される。図1に示すように液滴吐出装置1は直方体状に形成された基台2を備えている。本実施形態では、この基台2の長手方向をY方向とし、水平面内にてY方向と直交する方向をX方向とする。そして、鉛直方向をZ方向とする。
【0025】
基台2の上面2aには、Y方向に延びる一対の案内レール3a,3bが同Y方向全幅にわたり凸設されている。その基台2の上側には、一対の案内レール3a,3bに対応する図示しない直動機構を備えたステージ4が取付けられている。ステージ4が移動するY方向を副走査方向4aとする。副走査方向4aの走査は往復移動を意味する。そして、副走査は改行を行うことを示す。従って、副走査方向4aは改行するためにステージ4が移動する方向を示す。この直動機構の種類は、特に限定されないが、サーボモーターとボールネジとを組み合わせて構成することができる。他にも、リニアモーターを採用しても良い。
【0026】
さらに、基台2の上面2aには、案内レール3a,3bと平行に副走査位置検出装置5が配置され、ステージ4の副走査方向4aの位置が計測できるようになっている。そのステージ4の上面には、載置面6が形成され、その載置面6には、図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。操作者が載置面6にワークとしての基板7を載置して所定の位置に位置決めする。その後、基板チャック機構により基板7は載置面6に固定される。
【0027】
基台2のX方向両側には、一対の支持台8a,8bが立設されている。その一対の支持台8a,8bにはX方向に延在する架橋部材9及び案内部材11が架設されている。架橋部材9には一対の撮像装置10が配置されている。そして、撮像装置10と対向する場所に基板7が位置するときに撮像装置10は基板7を撮像することが可能になっている。撮像装置10は落射照明装置とオートフォーカス装置とを備えている。従って、撮像装置10は基板7を鮮明に撮像することができる。基板7上には一対のマーク7aが配置され、撮像装置10がマーク7aを撮影する。そして、載置面6に対する基板7の位置を検出する。
【0028】
案内部材11は、その長手方向の幅がステージ4のX方向の長さよりも長く形成され、その一端が支持台8a側に張り出すように形成されている。案内部材11の下側には、X方向に延びる案内レール12がX方向全幅にわたり凸設されている。そして、案内レール12に沿って略角柱状に形成された移動部としてのキャリッジ13が配置されている。キャリッジ13は直動機構を備え、X方向に走査可能となっている。この直動機構の種類は、特に限定されないが、例えば、リニアモーターを採用することができる。キャリッジ13が走査するX方向を主走査方向13aとする。主走査方向13aの走査は往復移動を意味する。そして、主走査は描画しながら描画する場所を移動することを示す。従って、主走査方向13aは描画するためにキャリッジ13が移動する方向を示す。案内部材11とキャリッジ13との間には、主走査位置検出装置14が配置され、キャリッジ13の主走査方向13aの位置が計測可能になっている。
【0029】
キャリッジ13の基板7側にはヘッドユニット15が配置されている。ヘッドユニット15の基板7側には液滴を吐出する液滴吐出ヘッドが凸設されている。
【0030】
キャリッジ13の図中上側には液状体収容部としての収容タンク16が3個配置されている。各収容タンク16には異なる種類の機能液が収容されている。ヘッドユニット15の液滴吐出ヘッドと収容タンク16とは図示しないチューブにより接続され、収容タンク16内の機能液がチューブを介して液滴吐出ヘッドに供給される。
【0031】
機能液は樹脂材料、溶媒または分散媒を主材料とする。この主材料に顔料または染料等の色素や、親液性または撥液性等の表面改質材料等の機能性材料を添加することにより固有の機能を有する機能液を形成することができる。機能液の樹脂材料は樹脂膜を形成する材料である。樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによりポリマーとなる材料であれば特に限定されない。さらに、粘性の小さい樹脂材料が好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。モノマーの形態であればさらに好ましい。溶媒または分散媒は樹脂材料の粘度を調整するものである。機能液を液滴吐出ヘッドから吐出し易い粘度にすることにより、液滴吐出ヘッドは安定して機能液を吐出することができるようになる。本実施形態では、例えば、主材料に顔料を添加した機能液が各収容タンク16に収容されている。
【0032】
機能液に顔料等の粒子が分散しているとき、粒子が沈降する場合がある。例えば、白色顔料に酸化チタンを用いるとき、酸化チタンの粒子が沈降する現象が見られる。酸化チタンの粒子がチューブの底に沈降した状態で機能液を液滴にして吐出するとき、着弾した液滴に含まれる酸化チタンの粒子数が少ないので薄い白色になるという問題が生ずる。この問題を解決するために、機能液を所定の時間間隔で攪拌して酸化チタンの濃度を維持する必要がある。
【0033】
基台2の図中左側の側面であって案内部材11と対向する場所には保守装置17が配置されている。この保守装置17には液滴吐出ヘッドをクリーニングする機構が配置されている。そして、保守装置17が液滴吐出ヘッドをクリーニングすることにより、液滴吐出ヘッドから液滴を正常に吐出可能な状態に保つことが可能になっている。
【0034】
図2(a)は、ヘッドユニットを示す模式側断面図であり、図2(b)はヘッドユニットを示す模式正面図である。図2(c)は、ヘッドユニットを示す模式底面図である。図2(a)〜図2(c)に示すようにキャリッジ13の図中上側には3個の収容タンク16が配置されている。キャリッジ13の内部には空洞が形成され、キャリッジ13の内壁には攪拌部及び間隔変更部としてのヘッド昇降装置18を介してヘッドユニット15が配置されている。ヘッド昇降装置18は直動機構を備えている。この直動機構は特に限定されないが、パルスモーター18aとボールネジとを組み合わせて構成することができる。他にも、リニアモーターを採用しても良い。
【0035】
ヘッドユニット15の内部には空洞が形成され、ヘッドユニット15は上側に開口する箱状となっている。ヘッドユニット15の内側の側壁においてヘッド昇降装置18と対向する場所にはヘッドユニット位置検出装置19が配置されている。ヘッドユニット位置検出装置19は内部にスケールを備え、キャリッジ13に対するヘッドユニット15のZ方向の位置を検出する。キャリッジ13に対するヘッドユニット15の位置を検出して、ヘッド昇降装置18を駆動することによりキャリッジ13に対してヘッドユニット15を所望の場所に移動させることができる。
【0036】
ヘッドユニット15の基板7側には3個の吐出部としての液滴吐出ヘッド20が配置されている。液滴吐出ヘッド20の個数は特に限定されず、吐出する機能液の種類に合わせて設定する。液滴吐出ヘッド20の下面には、それぞれノズルプレート23が備えられている。そのノズルプレート23には、それぞれ複数のノズル24がY方向に所定の間隔で配列されている。
【0037】
ヘッドユニット15の内部には支持部25を介してヘッド駆動回路26と圧力調整部27とが配置されている。ヘッド駆動回路26は液滴吐出ヘッド20を駆動する電気回路であり、ヘッド駆動回路26は液滴吐出ヘッド20に駆動信号を出力する。圧力調整部27は第1チューブ28により液滴吐出ヘッド20と接続され、配管部としての第2チューブ29により収容タンク16と接続されている。圧力調整部27は、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液の圧力を調整する機能を有し、液滴吐出ヘッド20が吐出した量と同量の機能液を液滴吐出ヘッド20に流動する。
【0038】
収容タンク16、第2チューブ29、圧力調整部27、第1チューブ28、液滴吐出ヘッド20は各3個配置されている。そして、各収容タンク16に収容された機能液は第2チューブ29、圧力調整部27、第1チューブ28を通過して各液滴吐出ヘッド20に供給される。
【0039】
図3(a)はチューブの動作を説明するための模式図である。図3(a)に示すように、第2チューブ29は螺旋状に形成されている。そして、第2チューブ29内の基板7側の面を底面29aとするとき、底面29aは緩斜面となっている。そして、機能液に内在する内在物が沈降するとき、底面29aに内在物が沈殿した沈殿物30が堆積する。ヘッド昇降装置18がヘッドユニット15を鉛直方向に昇降させることにより、ヘッドユニット15を揺動させる。このとき、第2チューブ29の螺旋状となっている部分が鉛直方向に伸縮する。その結果、第2チューブ29が揺動させられることにより、沈殿物30は攪拌される。
【0040】
上記のようにヘッド昇降装置18は第2チューブ29を鉛直方向に揺動させる機能を備えている。さらに、液滴吐出ヘッド20を昇降させることにより、ノズルプレート23と基板7との距離を変更する機能も備えている。
【0041】
図3(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す要部模式断面図である。図3(b)に示すように、ノズルプレート23の上側であってノズル24と相対する位置には、キャビティ31が形成されている。そして、キャビティ31には収容タンク16に収容されている液状体としての機能液32が供給される。キャビティ31の上側には、上下方向に振動して、キャビティ31内の容積を拡大縮小する振動板33と、上下方向に伸縮して振動板33を振動させる圧電素子34が配設されている。
【0042】
液滴吐出ヘッド20が圧電素子34を制御駆動するためのノズル駆動信号をヘッド駆動回路26から受けると、圧電素子34が上下方向に伸縮する。そして、圧電素子34は振動板33を振動させるので、振動板33と隣接するキャビティ31の容積が拡大縮小する。それにより、キャビティ31内に供給された機能液32のうち縮小した容積分の機能液32がノズル24を通り、液滴35となって吐出される。液滴吐出装置1はステージ4とキャリッジ13とを走査する。そして、ノズル24が所定の場所に位置するときに液滴35を吐出することにより、所望のパターンを描画することができる。
【0043】
図3(c)は、吸引装置の構造を示す要部模式断面図である。保守装置17を構成する要素の1つに吸引装置36がある。吸引装置36は液滴吐出ヘッド20内の機能液32を吸引して排出する装置である。キャビティ31内の機能液32が経時変化により粘度が変わるときや内在物が沈降するときに液滴吐出ヘッド20内の機能液32を吸引して排出する。このときに吸引装置36を用いる。図3(c)に示すように、吸引装置36は基台37を備えている。基台37と隣接して図中左側には真空ユニット38が配置されている。真空ユニット38は真空ポンプ、モーター、タンク、電磁弁等から構成されている。真空ポンプは羽根車を備え、モーターは羽根車を回転する。そして、真空ポンプはタンク内の空気を排気してタンク内の気圧を負圧に下げる。真空ユニット38はタンク内の気圧が所定の気圧になったとき電磁弁を閉じることにより、タンク内の気圧を負圧に維持する。
【0044】
基台37の上には吸引タンク39が配置されている。吸引タンク39の上側の中央には開口部39aが形成され、開口部39aには液受け板40が配置されている。液受け板40は多孔質の軟質材料により形成されている。そして、液受け板40に機能液32が当たるとき、機能液32が跳ね返り難くなっている。液受け板40の上には矩形の枠状の吸着部41が配置されている。吸着部41は弾性材料にて形成され、押圧されると変形する。吸着部41の材料は、特に限定されないが機能液32によって変質しない弾性材料であれば良い。例えば、シリコンゴムを採用することができる。
【0045】
吸引タンク39の図中左上には排気口39bが形成され、排気口39bと真空ユニット38とが配管42により接続されている。そして、真空ユニット38は配管42を通じて吸引タンク39内の空気を排気する。吸引タンク39の図中右下にはドレイン口39cが形成され、ドレイン口39cにはバルブ39dが設置されている。そして、吸引タンク39内に機能液32が溜まるときバルブ39dを開くことにより、吸引タンク39内の機能液32をドレイン口39cから排出することができる。
【0046】
ヘッドユニット15の圧力調整部27、第1チューブ28、液滴吐出ヘッド20内において機能液32の内在物が沈降するとき、圧力調整部27、第1チューブ28、液滴吐出ヘッド20内の機能液32を吸引して排出する。このとき、まず、キャリッジ13及びヘッド昇降装置18を駆動することにより、液滴吐出ヘッド20を吸着部41に押圧する。次に、真空ユニット38を作動して吸引タンク39内を負圧にする。このとき、液滴吐出ヘッド20内の機能液32が吸引されて、液受け板40に排出される。液受け板40に吐出された機能液32は吸引タンク39内に滴下し、吸引タンク39内に溜められる。吸引装置36が圧力調整部27、第1チューブ28、液滴吐出ヘッド20内の機能液32を吸引した後、真空ユニット38は電磁弁を切り替えて、吸引タンク39内の気圧を大気圧に戻す。
【0047】
図4は、液滴吐出装置の電気制御ブロック図である。図4において、液滴吐出装置1は液滴吐出装置1の動作を制御する制御部としての制御装置45を備えている。そして、制御装置45はプロセッサーとして各種の演算処理を行うCPU(中央演算処理装置)46と、各種情報を記憶するメモリー47とを備えている。
【0048】
主走査駆動装置48、主走査位置検出装置14、副走査駆動装置49、副走査位置検出装置5は入出力インターフェイス50及びデータバス51を介してCPU46に接続されている。さらに、液滴吐出ヘッド20を駆動するヘッド駆動回路26、ヘッドユニット15を昇降するヘッド昇降装置18、ヘッドユニット15の位置を検出するヘッドユニット位置検出装置19も入出力インターフェイス50及びデータバス51を介してCPU46に接続されている。他にも、撮像装置10、入力装置52、表示装置53、保守装置17も入出力インターフェイス50及びデータバス51を介してCPU46に接続されている。
【0049】
主走査駆動装置48はキャリッジ13を駆動する装置であり、副走査駆動装置49はステージ4を駆動する装置である。主走査位置検出装置14がキャリッジ13の位置を検出し、主走査駆動装置48がキャリッジ13を駆動することにより、キャリッジ13を精度良く走査することが可能となっている。同じく、副走査位置検出装置5がステージ4の位置を検出し、副走査駆動装置49がステージ4を駆動することにより、ステージ4を精度良く走査することが可能になっている。
【0050】
入力装置52は液滴35を吐出する各種加工条件を入力する装置であり、例えば、基板7に液滴35を吐出する座標を図示しない外部装置から受信し、入力する装置である。表示装置53は加工条件や作業状況を表示する装置であり、表示装置53に表示される情報を基に、操作者は入力装置52を用いて操作を行う。保守装置17はCPU46の指示信号に従って液滴吐出ヘッド20の保守を行う装置である。保守装置17は液滴吐出ヘッド20内の機能液32を吸引したり、ノズルプレート23を拭き取る機能を備えている。CPU46はキャリッジ13を保守装置17と対向する場所に移動させた後、保守装置17に保守の指示信号を出力する。保守装置17は指示信号を入力し、指示信号に従って液滴吐出ヘッド20の保守を行う。
【0051】
メモリー47は、RAM、ROM等といった半導体メモリーや、ハードディスク、DVD−ROMといった記憶装置を含む概念である。機能的には、液滴吐出装置1の動作の制御手順が記述されたプログラムソフト54を記憶する記憶領域や、基板7上に吐出する液滴35の着弾位置の座標データである吐出位置データ55を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、液滴吐出ヘッド20を駆動するときの駆動信号である駆動信号データ56を記憶するための記憶領域や、収容タンク16や第2チューブ29内の機能液32を攪拌する条件のデータである攪拌関連データ57の記憶領域が設定される。他にも、CPU46のためのワークエリアやテンポラリーファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
【0052】
CPU46は、メモリー47内に記憶されたプログラムソフト54に従って、基板7の表面の所定位置に液滴35を吐出するための制御を行うものである。具体的な機能実現部として液滴吐出ヘッド20から液滴35を吐出するための演算を行う吐出演算部58を有する。
【0053】
吐出演算部58を詳しく分割すれば、キャリッジ13を主走査方向へ所定の速度で走査移動させるための制御をする主走査制御部59と、基板7を副走査方向へ所定の移動量で移動させるための制御をする副走査制御部60を有する。さらに、吐出演算部58は液滴吐出ヘッド20内の複数あるノズル24から液滴35を吐出させるノズル24を選択する吐出制御部61等を有する。吐出制御部61は選択したノズル24に対応する圧電素子34を作動させて液滴35を吐出させる。
【0054】
他にも、CPU46はビットマップ演算部64を有する。ビットマップは基板7上に着弾する液滴35の位置データを示す。そして、ビットマップ演算部64は載置面6における基板7の位置とステージ4及びキャリッジ13の移動速度のデータを用いてビットマップの演算を行う。他にも、CPU46は吸引判断部65を有する。吸引判断部65は液滴吐出ヘッド20内の機能液32を吸引する時期を演算する。他にも、CPU46は攪拌制御部66を有する。攪拌制御部66はヘッドユニット15を鉛直方向に揺動させる制御をすることにより収容タンク16内の機能液32を攪拌させる。他にも、CPU46は保守装置17を制御する保守装置制御部67を有する。
【0055】
尚、本実施形態では、上記の各機能がCPU46を用いてプログラムソフトで実現することとしたが、上記の各機能がCPUを用いない単独の電子回路(ハードウェア)によって実現できる場合には、そのような電子回路を用いることも可能である。
【0056】
(描画方法)
次に、上述した液滴吐出装置1を用いて、描画する方法について図5〜図7にて説明する。図5は、描画作業を示すフローチャートであり、図6及び図7は、描画方法を説明するための模式図である。
【0057】
図5に示すフローチャートにおいて、ステップS1は給材工程に相当する。この工程は、操作者が載置面に基板を配置して位置決めして固定した後に基板の位置を検出する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS1、ステップS3、ステップS4の各ステップとステップS2とは並行して行なわれる。ステップS2は攪拌工程に相当する。この工程は、鉛直方向に第2チューブを伸縮させることにより第2チューブ内の機能液を攪拌する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS3は排出判断工程に相当する。この工程は、液滴吐出ヘッド内の機能液を排出するか否かを判断する工程である。機能液の排出を行うときステップS4に移行する。機能液を排出しないときステップS6に移行する。ステップS4は、移動工程に相当し、液滴吐出ヘッドを吸引装置と対向する場所に移動する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は、排出工程に相当し、液滴吐出ヘッド内の機能液を排出する工程である。次にステップS6に移行する。ステップS4の移動工程とステップS5の排出工程とを合わせたステップがステップS11の保守工程に相当し、液滴吐出ヘッドを保守する工程の一部となっている。ステップS6は吐出工程に相当する。この工程は、キャリッジとステージとを走査しながら液滴を吐出することにより描画する工程である。次にステップS7に移行する。ステップS7は除材工程に相当する。この工程は、載置面から基板を移動する工程である。基板を移動して描画作業を終了する。
【0058】
次に、図6及び図7を用いて、図5に示したステップと対応させて、描画方法を詳細に説明する。図6(a)及び図6(b)は、ステップS1の給材工程に対応する図である。図6(a)に示すように、ステップS1において、主走査駆動装置48は液滴吐出ヘッド20と対向しない場所にステージ4を移動させる。次に、操作者は載置面6上に基板7を載置する。基板7の移動は操作者が手を使って移動して良い。基板7が大きい場合には図示しない移動専用ロボットを用いて基板7を移動しても良い。続いて、操作者は基板7の位置を調整した後、吸引式の基板チャック機構を作動させることにより基板7を載置面6に固定する。
【0059】
次に、図6(b)に示すように、撮像装置10と対向する場所にマーク7aが位置するようにステージ4を移動させる。そして、撮像装置10がマーク7aを撮影し、撮影した画像をメモリー47に出力する。さらに、副走査位置検出装置5がステージ4の位置を検出してメモリー47に出力する。CPU46はマーク7aを撮影した画像データとステージ4の位置データとを用いて載置面6における基板7の位置を演算する。次に、ビットマップ演算部64は基板7の位置の演算結果を用いて液滴35を吐出する位置を演算する。従って、基板7が配置された位置に対応して描画することができる。このステップS1において、キャリッジ13及びステージ4を移動する工程も移動工程に相当する。
【0060】
図6(c)はステップS2の攪拌工程に対応する図である。図6(c)に示すように、ステップS2において、攪拌制御部66はヘッド昇降装置18を駆動することによりヘッドユニット15を上下に揺動させる。そして、第2チューブ29を上下に伸縮させることにより第2チューブ29内の機能液32を攪拌させる。その結果、第2チューブ29内では沈殿物30が機能液32内に分散させられる。
【0061】
図6(d)は、ステップS3の排出判断工程を説明するための模式図であり、各工程を行うタイムチャートを示している。図6(d)において、縦軸は各工程を示し、横軸は時間の経過を示している。時間は左から右へ推移する。尚、説明を簡便にするためにステップS2の攪拌工程、ステップS3の排出判断工程、ステップS4の移動工程は省略した。工程推移線70は時間の経過に伴い作業工程が推移する様子を示している。工程推移線70が示すように、作業工程は2つの型に分けられる。第1の型はステップS1の給材工程、ステップS5の排出工程、ステップS6の吐出工程、ステップS7の除材工程の順に行う工程の型である。そして、第2の型はステップS1の給材工程、ステップS6の吐出工程、ステップS7の除材工程の順に行う工程の型である。つまり、第1の型ではステップS5の排出工程が行われ、第2の型ではステップS5の排出工程が行われない。
【0062】
制御装置45は計時機能を備えている。そして、保守装置制御部67は計時機能を用いてステップS5の排出工程が行われてから現在時刻71までの時間である排出後経過時間72を検出する。さらに、保守装置制御部67は経時機能を用いてステップS6の吐出工程が行われてから現在時刻71までの時間である吐出後経過時間73を検出する。メモリー47の攪拌関連データ57には経時判定値74が記憶されている。そして、吸引判断部65は排出後経過時間72及び吐出後経過時間73を経時判定値74と比較する。そして、排出後経過時間72と吐出後経過時間73とが経時判定値74以上であるときステップS5の排出工程を行う判断をする。換言すれば、吸引判断部65は排出後経過時間72及び吐出後経過時間73が経時判定値74に達しないときステップS5の排出工程を行なわない判断をする。
【0063】
図7(a)はステップS4の移動工程に対応する図である。図7(a)に示すように、ステップS4において、主走査制御部59はキャリッジ13を主走査方向13aに移動させることにより、液滴吐出ヘッド20を吸引装置36と対向する場所に移動させる。
【0064】
図7(b)はステップS5の排出工程に対応する図である。図7(b)に示すように、ステップS5において、保守装置制御部67はヘッド昇降装置18を駆動することにより、液滴吐出ヘッド20を下降させる。そして、液滴吐出ヘッド20を吸着部41に押圧させる。次に、保守装置制御部67は真空ユニット38を駆動させることにより、吸引タンク39内を負圧にする。そして、圧力調整部27、第1チューブ28、液滴吐出ヘッド20内の機能液32を吸引して排出させる。
【0065】
ステップS3の排出判断工程及びステップS4の移動工程と並行してステップS2の攪拌工程が行われている。従って、第2チューブ29内では機能液32が攪拌されているので、内在物は機能液32に分散されている。ステップS5の排出工程にて圧力調整部27、第1チューブ28、液滴吐出ヘッド20内に流入する機能液32は第2チューブ29から流入するので、内在物が分散した機能液32となっている。
【0066】
図7(c)はステップS6の吐出工程に対応する図である。図7(c)に示すように、ステップS6において、主走査制御部59が主走査駆動装置48を駆動してキャリッジ13を主走査方向13aに移動させる。そして、ノズル24が所定の場所に位置するとき、吐出制御部61がヘッド駆動回路26を駆動してノズル24から液滴35を吐出させる。このとき、ステップS2の攪拌工程は行われないので、第2チューブ29内で圧力変動は発生しない。従って、攪拌による圧力変動が液滴吐出ヘッド20に伝播することはない。続いて、液滴吐出装置1は副走査移動と主走査移動とを繰り返して予定した総ての場所に液滴35を吐出する。
【0067】
図7(d)は、ステップS7の除材工程に対応する図である。図7(d)に示すように、ステップS7において、副走査制御部60は液滴吐出ヘッド20と対向しない場所にステージ4を移動させる。次に、吸引式の基板チャック機構の作動を停止させることにより制御装置45は基板7の載置面6への固定を解除する。続いて、操作者は基板7を載置面6上から移動する。以上の工程により描画作業を終了する。基板7に着弾した液滴35は次に工程にて加熱、乾燥等の処理をすることにより固化及び硬化される。
【0068】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、収容タンク16に機能液32が収容されている。そして、第2チューブ29を通って収容タンク16から液滴吐出ヘッド20へ機能液32が流動する。機能液32に内在物が分散または溶解しているとき、内在物の一部が沈降して沈殿する場合がある。第2チューブ29の底面29aは緩斜面となっているので、沈殿した内在物は底面29aに堆積する。ヘッド昇降装置18が第2チューブ29を揺動させるとき、沈殿物30を機能液32中に分散または溶解することができる。チューブを環状に形成し、ポンプ等を駆動させて機能液32を循環させることにより内在物の沈降を防止する方法がある。この方法に比べて、簡単な構造にて内在物の沈降を防止することができる。
【0069】
(2)本実施形態によれば、第2チューブ29が螺旋状に形成されている。従って、第2チューブ29において底面29aが緩斜面となる場所を多く配置することができる。従って、内在物が沈殿する場所が多くできる為、各場所で沈殿した沈殿物30の厚みを薄くすることができる。その結果、揺動または振動させたときに沈殿物30を機能液32中に分散または溶解し易くすることができる。
【0070】
(3)本実施形態によれば、第2チューブ29の底面29aに内在物が沈殿する。そして、ヘッド昇降装置18が第2チューブ29を揺動することにより、沈殿物30が鉛直方向に揺動される。沈殿物30と機能液32とは鉛直方向に隣接して位置するので、水平方向に揺動する方法に比べて沈殿物30を機能液32に分散または溶解させることができる。
【0071】
(4)本実施形態によれば、ヘッド昇降装置18はヘッドユニット15を揺動させる機能とノズルプレート23と基板7との距離を変更する機能とを兼ねている。従って、液滴吐出装置1がヘッドユニット15を揺動させる揺動装置とノズルプレート23と基板7との距離を変更する距離変更装置とを備える場合に比べて簡単な構成にすることができる。
【0072】
(5)本実施形態によれば、ステップS4の移動工程とステップS2の攪拌工程とが並行して行われる。従って、移動工程を行った後に攪拌工程を行う場合に比べて短い時間で移動工程と攪拌工程とを行うことができる。その結果、生産性良く移動工程と攪拌工程とを行うことができる。この内容については、ステップS1の給材工程、ステップS3の排出判断工程、においても同様である。そして、生産性良く給材工程及び排出判断工程と攪拌工程とを行うことができる。
【0073】
(6)本実施形態によれば、ステップS2の攪拌工程にて第2チューブ29の内部に位置する機能液32を攪拌する。そして、攪拌工程の後にステップS5の排出工程において攪拌された第2チューブ29の機能液32を液滴吐出ヘッド20の内部に流入させている。従って、液滴吐出ヘッド20内の機能液32を排出するだけで、内在物が沈降していない機能液32を液滴吐出ヘッド20内に供給することができる。その結果、第2チューブ29の内部に位置する機能液32を排出しないので、省資源な方法とすることができる。
【0074】
(第2の実施形態)
次に、液滴吐出装置の一実施形態について図8のヘッドユニットを示す模式側断面図を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第2チューブ29を振動させる振動装置を備えた点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0075】
すなわち、本実施形態では、図8に示したように液滴吐出装置77はキャリッジ13の内部に攪拌部としての振動装置78を備えている。そして、振動装置78は支持部78aを有し、支持部78aは第2チューブ29の中央と接続されている。そして、振動装置78は支持部78aを介して第2チューブ29を鉛直方向に振動させる。
【0076】
振動装置78は入出力インターフェイス50及びデータバス51を通じてCPU46と接続されている。そして、振動装置78は攪拌制御部66の指示信号を入力して第2チューブ29を振動させる。
【0077】
第2チューブ29の底面29aに沈殿物30が沈殿するとき、攪拌制御部66は振動装置78を駆動して第2チューブ29を振動させる。そして、振動装置78が沈殿物30を攪拌させることにより、液滴吐出装置77は沈殿物30を機能液32中に分散または溶解させることができる。
【0078】
ステップS2の攪拌工程にて振動装置78が第2チューブ29を振動するとき、ステップS2の攪拌工程はステップS5の排出工程と並行して行うことができる。従って、ステップS2の攪拌工程はステップS1、ステップS3〜ステップS5と並行して行うことができる。さらに、効率良く第2チューブ29内の沈殿物30を攪拌することができる。
【0079】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ヘッド昇降装置18はノズルプレート23と基板7との距離を変更する機能を有し、第2チューブ29の揺動は行わない。従って、ヘッド昇降装置18が動作する頻度が小さいのでヘッド昇降装置18の寿命を長くすることができる。また、ヘッド昇降装置18がヘッドユニット15を昇降する加速度は高くなくとも良いので、パルスモーター18aを小型にして、消費電力を小さくすることができる。従って、省資源な装置にすることができる。
【0080】
(第3の実施形態)
次に、液滴吐出装置の一実施形態について図9のヘッドユニットを示す模式側断面図を用いて説明する。本実施形態が第2の実施形態と異なるところは、第2チューブ29の形状が異なる点にある。尚、第2の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0081】
すなわち、本実施形態では、図9に示したように液滴吐出装置79は配管部としての第3チューブ80を備えている。そして、第3チューブ80は収容タンク16及び圧力調整部27と接続されている。第3チューブ80は収容タンク16の図中右側の面に接続されている。そして、キャリッジ13の図中右上には貫通穴13bが形成されている。第3チューブ80は貫通穴13bを通ってキャリッジ13の内部に通じている。そして、圧力調整部27の上部と接続されている。
【0082】
第3チューブ80は収容タンク16と接続されている場所では水平に配置されている。さらに、貫通穴13bを通過する場所から螺旋形状となる場所の間でも水平に配置されている。この場所では機能液32の内在物が沈降して沈殿物30が形成されやすくなっている。
【0083】
第3チューブ80が水平に配置された場所80aに沈殿物30が形成されたとき、攪拌制御部66は振動装置78を駆動して、第3チューブ80を上下に振動させる。そして、第3チューブ80が振動されることにより、機能液32が攪拌される。その結果、液滴吐出装置79は沈殿物30を機能液32中に分散または溶解させることができる。
【0084】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、収容タンク16の側面にて第3チューブ80が接続されているので、収容タンク16と第3チューブ80との接続と分離とをし易くすることができる。
【0085】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、ステップS7の除材工程とステップS2の攪拌工程とを並行して行わなかった。ステップS7とステップS2とを並行して行っても良い。さらに、効率良く第2チューブ29内の沈殿物30を攪拌することができる。
【0086】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、基板7に着弾した液滴35は次の工程にて固化及び硬化していた。着弾した後、すぐに液滴35を硬化させても良い。機能液32の材料に光重合開始剤を添加して機能液32を紫外線硬化性の溶液にする。光重合開始剤はポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤であり、例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタールを用いることができる。そして、キャリッジ13の隣に紫外線照射装置を配設する。そして、液滴35の着弾後に紫外線を照射して硬化させても良い。着弾した複数の液滴35が混じりあうことを防止することができる。
【0087】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、キャビティ31を加圧する加圧手段に、圧電素子34を用いたが、他の方法でも良い。例えば、コイルと磁石とを用いて振動板33を変形させて、加圧しても良い。他に、キャビティ31内にヒーター配線を配置して、ヒーター配線を加熱することにより、機能液32を気化させたり、機能液32に含む気体を膨張させたりして加圧しても良い。他にも、静電気の引力及び斥力を用いて振動板33を変形させて、加圧しても良い。前記第1の実施形態と同様に機能液32を液滴35にして吐出することができる。
【0088】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、基板7に液滴35を吐出した。液滴35が吐出されるワークは基板7に限らない。ワークは立体形状でもよい。基板7に電子素子を実装した電子基板でもよい。他にも金属、樹脂等のシートでも良い。各種のワークに所定のパターンを描画することができる。
【0089】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、ステージ4を用いて基板7を副走査方向4aに移動した。基板7の代わりにシート状のワークをもちいるときには、ステージ4の代わりにプラテンとローラーとを用いてシートを副走査方向4aに移動しても良い。長尺のシートに長いパターンを描画することができる。
【0090】
(変形例6)
前記第1の実施形態では、キャリッジ13を駆動して液滴吐出ヘッド20を主走査方向13aに移動し、ステージ4を駆動して基板7を副走査方向4aに移動した。これに限らず、キャリッジ13が液滴吐出ヘッド20を主走査方向13a及び副走査方向4aに移動させる構造にしても良い。そして、基板7をベルトコンベア等の移動装置に配置した状態においてノズル24から液滴35を基板7に吐出しても良い。基板7の給材及び除材をし易くできる。
【0091】
(変形例7)
前記第1の実施形態では、第2チューブ29は螺旋状に形成されたが、必ずしも螺旋状に限定されない。緩斜面や平面を含んだ形状に形成されていれば良い。形成し易い形状を選択しても良い。形成し易い形状にすることで第2チューブ29を製造し易くすることができる。
【0092】
(変形例8)
前記第2の実施形態及び前記第3の実施形態において、振動装置78を揺動装置と置換えても良い。振動装置78に比べて揺動装置の方が沈殿物30を攪拌し易いときには揺動装置にしても良い。尚、揺動装置は振動装置78に比べて、振幅と周期が長い動作となっている。
【符号の説明】
【0093】
1,77,79…液滴吐出装置、7…ワークとしての基板、16…液状体収容部としての収容タンク、18…攪拌部及び間隔変更部としてのヘッド昇降装置、20…吐出部としての液滴吐出ヘッド、24…ノズル、29…配管部としての第2チューブ、32…液状体としての機能液、35…液滴、78…攪拌部としての振動装置、80…配管部としての第3チューブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルからワークに液状体を液滴にして吐出する吐出部と、
前記吐出部に供給する前記液状体を収容する液状体収容部と、
前記液状体収容部から前記吐出部へ前記液状体を流動させる配管部と、
前記配管部の少なくとも一部を揺動または振動させる攪拌部と、を有し、
前記配管部の少なくとも一部には緩斜面または水平面が形成されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置であって、
前記配管部の少なくとも一部は螺旋状に形成されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液滴吐出装置であって、
前記攪拌部は前記配管部を鉛直方向に揺動または振動させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出装置であって、
前記ノズルと前記ワークとの距離を変更する間隔変更部を有し、前記間隔変更部は前記吐出部と前記配管部とを鉛直方向に移動することにより、前記攪拌部を兼ねることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
ノズルが形成された吐出部をワークに対して移動しながら、前記ノズルから前記ワークに液状体を液滴にして吐出する吐出工程と、
前記ノズルから前記液滴を吐出せずに前記吐出部を移動する移動工程と、
前記吐出部と接続され前記液状体を供給する配管部の内部に位置する前記液状体を攪拌する攪拌工程と、を有し、
前記移動工程と前記攪拌工程とは少なくとも一部が並行して行われることを特徴とする吐出方法。
【請求項6】
請求項5に記載の吐出方法であって、
前記吐出部の内部に位置する前記液状体を排出し、攪拌された前記配管部の前記液状体を前記吐出部の内部に流入させる排出工程を有し、前記排出工程は前記攪拌工程の後に行われることを特徴とする吐出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−62617(P2011−62617A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214149(P2009−214149)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】