説明

液滴吐出装置

【課題】吐出された液状体が良好に分離される液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】本発明の液滴吐出装置は、ノズル125を開口したノズルプレート121と、ノズレプレート121上に設けられ、貯留室122、リザーバ124、及び供給路123を有する流路形成基板127と、流路形成基板127の上に設けられ、ノズル125と中心が一致するニードル126を有する振動板128と、振動板128の上でかつ貯留室122の上部に設けられ、下部電極129a、圧電素子129b、及び上部電極129cからなる圧電駆動素子129と、を備える。ニードル126の先端は、圧電駆動素子129による上下振動により、ニードル126が下にきた状態でノズル125に挿通される挿通部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から液滴吐出装置は、画像を形成するプリンタやデバイス製造用の成膜装置として幅広い分野で用いられている。一般に、液滴吐出装置は多数の吐出ユニットを備えている。吐出ユニットは、液状体の貯留部、貯留部に通じるノズル、液状体を加圧してノズルから液滴を押し出すピエゾ素子等を備えている。
【0003】
近年、液滴吐出法による成膜技術が注目されている。液滴吐出法によれば、膜の形成材料を含んだ微小な液滴を所望の位置に配置することが可能である。これにより、微細な膜パターンを形成することができ、フォトリソグラフィ法を用いる場合よりもパターニングが容易になる。また、膜の形成材料のムダを少なくできるので、製造コストを低くすることができる。
【0004】
このような工業用途では、膜の形成材料として高分子ポリマーインク等の高粘度な液状体を吐出させることがある。また、画像印刷の用途でも、UVインク等の高粘度な液状体を吐出させることがある。高粘度な液状体を高精細なパターンで高精度な位置に配置するためには、ノズル内のメニスカス(液面)から液状体を微小な液滴として良好に分離することが極めて重要である。
【0005】
液滴を分離させる技術としては、特許文献1に開示されている技術が挙げられる。特許文献1の液滴吐出装置は、ノズル内に挿通されたピン状のインクガイドを備えている。インクガイドによりインク(液状体)に振動等の刺激を与えて、曳糸を分断するようになっている。
【特許文献1】特開2005−178325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術を用いると、曳糸を分断することができ、液状体を微小な液滴として分離することが可能である。しかしながら、インクガイドを振動させると、吐出された液状体が振動して飛行曲がりを生じ、着弾精度が低くなるおそれがある。また、インクガイドにより熱的な刺激を与えると、ノズル近傍で液状体の乾燥が促進され、ノズル詰りを生じるおそれがある。
【0007】
また、インクガイドがメニスカスを貫通しており、吐出動作とともにメニスカスが変化すると、気相に曝された部分のインクガイドに液状体が付着してしまう。付着した液状体が乾燥して脱離すると、被処理基板側に異物として付着してしまうおそれがある。また、ノズル内をインクガイドが挿通しており、ノズル内のインクの流通経路が狭くなっているので、ノズル詰りを生じやすくなるおそれもある。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑み成されたものであって、吐出された液状体が良好に分離される液滴吐出装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液滴吐出装置は、ノズルを開口したノズルプレートと、前記ノズレプレート上に設けられ、貯留室、リザーバ、及び供給路を有する流路形成基板と、前記流路形成基板の上に設けられ、前記ノズルと中心が一致するニードルを有する振動板と、前記振動板の上でかつ前記貯留室の上部に設けられ、下部電極、圧電素子、及び上部電極からなる圧電駆動素子と、を備え、前記ニードルの先端は、前記圧電駆動素子による上下振動により、該ニードルが下にきた状態で前記ノズルに挿通される挿通部を有することを特徴とする。
【0010】
貯留室内に液状体が貯留された状態で圧電駆動素子による上下振動により貯留室の容積が減少すると、容積の減少分だけ液状体がノズルから吐出される。前記の構成によれば、液状体がノズルから吐出されるのと連動してノズル内にニードルの挿通部が挿通される。したがって、吐出された液状体と貯留室内の液状体とがノズル内にて連続した連続部分において、ノズルの軸方向に直交する断面積は、挿通部が挿通されたことにより減少する。よって、前記連続部分が切れやすくなり、吐出された液状体が液滴として分離されやすくなる。
【0011】
以上のように本発明によれば、液状体の物性を熱により変化させることなく、先端部を分離することができるので、液状体の乾燥によるノズル詰りや液状体の変質等を生じることがなくなり、安定して吐出動作させることが可能になる。したがって、微小体積の液状体を高精度な位置に配置することができ、高精細な膜パターンや画像を形成することが可能な液滴吐出装置になる。
【0012】
また、前記挿通部は、前記ノズルの軸方向に直交する断面の外寸が、前記ノズルにおける前記貯留室と反対側の開口に向かうにつれて小さくなっていることが好ましい。
このようにすれば、挿通部のノズル側の端部をガイドとして、挿通部を良好にノズル内に挿通させることができる。
【0013】
また、前記挿通部は、該挿通部の軸方向まわりの側面の一部が前記ノズルの内壁と当接するまで前記ノズルに挿通されるようになっていてもよい。この場合には、前記挿通部の前記側面が耐磨耗処理されていることが好ましい。
【0014】
挿通部の軸方向まわりの側面の一部がノズルの内壁と当接するまで、挿通部がノズルに挿通されると、当接した部分により貯留室内の液状体と吐出された液状体とが確実に分断される。したがって、吐出された液状体が良好に液滴になるとともに液滴の量が正確に規定され、高精度な吐出量で液滴を吐出させることが可能になる。
【0015】
また、挿通部の側面が耐磨耗処理されていれば、挿通部の側面とノズルの内壁との接触による挿通部の磨耗を低減することができ、液滴吐出装置の耐久性を向上することができる。
【0016】
また、前記挿通部は、前記ノズルにおける前記貯留室と反対側の開口に対面する端面を有し、該挿通部の軸方向まわりの側面が前記液状体に対して親液性になっているとともに、前記端面が前記液状体に対して撥液性になっていることが好ましい。
このようにすれば、吐出された液状体において端面との接触部は、端面が撥液性になっているので端面ではじかれるとともに、側面が親液性になっているので端面の周縁部側に引張られる。また、吐出された液状体は端面から離れる方向に移動するので、接触部は端面から離れる方向にも引張られる。このように接触部が2方向から引張られることにより格段に切断されやすくなるので、吐出された液状体が確実に分離される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以降の説明では図面を用いて各種の構造を例示するが、構造の特徴的な部分を見やすくするために、構造の寸法や縮尺を実際の構造と適宜異ならせて図示する。
【0018】
図1は、本実施形態の液滴吐出ヘッド(液滴吐出装置)を備えた成膜装置の構成を示す概略斜視図である。この成膜装置は、液滴吐出法により液状体を被処理基板に配置するものである。配置される液状体は、膜材料等の固形分を含有しており、乾燥させると固形分が残留するものである。すなわち、ここでいう液状体は、固形分を分散媒(溶媒)に分散(溶解)させた分散液(溶液)等である。液状体の具体例としては、顔料や染料等を含んだカラーフィルタ材料や、UVインク、金属配線等の導電膜パターンの形成材料である金属粒子を含んだコロイド溶液等が挙げられる。
【0019】
このような液状体は、例えば粘度が常温で10〜30cP程度であり、高粘度である。また、常温で粘度が30cPを超える液状体であって、吐出時に加熱して粘度を低下させて用いるものもある。高粘度な液状体は、吐出された後にメニスカスとの間に糸状の尾を曳くので、メニスカスから分離されにくい。本実施形態では、前記のような高粘度な液状体を膜材料に用いる成膜装置として、カラーフィルタ製造用の成膜装置1を説明する。
【0020】
図1に示すように、成膜装置1は、支持台10上に設けられたワークステージ11と、ワークステージ11よりも高い位置に設けられた液滴吐出ヘッド12とを備えている。ワークステージ11の上面には、被処理基板Wを載置することが可能になっている。ワークステージ11及び液滴吐出ヘッド12は、図示略の制御装置により位置制御される。また、前記の制御装置は、液滴吐出ヘッド12の吐出動作を制御するようになっている。以上のような構成により、被処理基板Wを走査しつつ液滴吐出ヘッド12から被処理基板Wの所定の領域に液状体を配置することが可能になっている。
【0021】
以下、図1に示したXYZ直交座標系に基づいて説明する。このXYZ直交座標系において、X軸及びY軸がワークステージ11の面方向と平行となっており、Z軸がワークステージ11の面方向と直交している。実際には、XY平面が水平面に平行な面に設定されており、Z軸が鉛直上方向に設定されている。成膜時には、例えば主走査方向に沿って液状体を配置した後に副走査方向の位置を調整し、再度、主走査方向に沿って液状体を配置する。ここでは、ワークステージ11の移動方向であるX軸方向が主走査方向、液滴吐出ヘッド12の移動方向であるY軸方向が副走査方向に設定されている。
【0022】
ワークステージ11は、真空吸着装置(図示略)等を備えており、載置された被処理基板Wを着脱可能に固定することができる。ワークステージ11には、ステージ移動装置111が設けられている。ステージ移動装置111は、ボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、前記の制御装置から入力される制御信号に基づいて、ワークステージ11をX軸方向に移動させる。これにより、載置された被処理基板WをX方向の所定の位置に移動させることができる。
【0023】
成膜装置1は、3種類(赤・緑・青)のカラーフィルタ材料の各々に対応して、3つの液滴吐出ヘッド12を備えている。3つの液滴吐出ヘッド12は、いずれもキャリッジ13に取付けられており、キャリッジ13には、キャリッジ移動装置131が設けられている。キャリッジ移動装置131は、前記の制御装置から入力される制御信号に基づいて、キャリッジ13をX方向やY方向に移動させる。これにより、液滴吐出ヘッド12をX方向やY方向の所定の位置に移動させることができる。
【0024】
3つの液滴吐出ヘッド12の各々は、複数の吐出ユニット(後述する)を備えている。吐出ユニットの各々は、前記の制御装置からの描画データや制御信号に基づいて、液状体を吐出する。3種類のカラーフィルタ材料である3種類の液状体は、それぞれタンク14A、14B、14Cに貯留されている。貯留された液状体は、その種類ごとにチューブ群141を通って、対応する液滴吐出ヘッド12に供給される。
【0025】
図2(a)〜(c)は液滴吐出ヘッド12の概略構成を示す図である。図2(a)は液滴吐出ヘッド12において被処理基板Wとの対向面を示す平面図、図2(b)は図2(a)のA−A’線矢視断面図、図2(c)は、ニードルとノズルとを拡大して示す断面図である。
【0026】
図2(a)に示すように液滴吐出ヘッド12は、主走査方向(X軸方向)と略直交して配列された複数の吐出ユニットUを備えている。複数の吐出ユニットUで共通のノズルプレート121が設けられている。ノズルプレート121には、吐出ユニットUごとにノズル125が設けられている。ノズル125は、吐出ユニットUの配列方向(Y方向)に沿って配列されている。
【0027】
ノズル125は、液状体の貯留室122と連通している。貯留室122は、液状体の供給路123を経て複数の吐出ユニットUで共通のリザーバ124と連通している。供給路123の詳細な形状を図示しないが、貯留室122からリザーバ124に液状体が逆流しないようになっている。リザーバ124は、図1に示したチューブ群141のいずれかと接続されている。吐出ユニットUから吐出される液状体は、タンク14A、14B、14Cからチューブ群141、リザーバ124、供給路123を経て貯留室122内に充填される。
【0028】
図2(b)に示すように吐出ユニットUは、ノズルプレート121、振動板128、及びノズルプレート121と振動板128とに挟持された流路形成基板127を有している。流路形成基板127には、貫通孔や凹部が設けられている。この貫通孔や凹部が、ノズルプレート121と振動板128とに挟まれることにより、液状体の貯留室122や供給路123が構成されている。すなわち、振動板128の一部は、貯留室122の壁面になっている。
【0029】
振動板128においてノズルプレート121と対面する側には、ノズル125と平面的に重なる位置にニードル(挿通部)126が設けられている。本実施形態のニードル126は、振動板128の面方向と略直交して延びている。ニードル126は、振動板128と接続された部分(以下、主部と称する)が略円柱になっており、ノズル125側の端部(以下、先端部と称する)が主部よりも小径の略円柱になっている。主部と先端部との間の中間部は、先端部に向うにつれて縮径する円錐台状になっている。ニードル126としては、耐摩耗性を確保する観点からセラミックス製やタングステンカーボン製のものが好ましい。
【0030】
振動板128の貯留室122と反対側には、吐出ユニットごとに圧電駆動素子129が設けられている。本実施形態の圧電駆動素子129は、下部電極129a、上部電極129c、及びこれら電極間に挟持された圧電体129bからなっている。前記した制御装置は、複数の吐出ユニットUの各々における圧電駆動素子129に所定のタイミングで駆動電圧波形を供給するようになっている。
【0031】
圧電駆動素子129に駆動電圧波形が供給されると、圧電駆動素子129の圧電体129bは、面方向に伸縮する。これにより、貯留室122と平面的に重なる部分の振動板128が面方向と直交する厚み方向に変位し、貯留室122の容積が変化する。また、振動板128が変位することにより、ニードル126もノズルプレート121に向かって変位するようになっている。
【0032】
図2(c)に示すように、本実施形態のノズル125の内壁は、貯留室122側に向うにつれて内径が大きくなるテーパ面125aを有している。ノズル125にニードル126を挿通すると、テーパ面125aが中間部の側壁126bと当接するようになっている。ここでは、テーパ面125aを含んだノズル125の内壁全体と、中間部の側壁126bと、先端部の側壁とに耐磨耗コーティングされている。
【0033】
ニードル126において主部の側壁126a、中間部の側壁126b、及び先端部の側壁は親液処理されており、吐出ユニットUから吐出される液状体に対する親液性を有している。また、先端部において、ノズル125の開口と対面する端面126cは撥液処理されており、吐出ユニットUから吐出される液状体に対する撥液性を有している。
【0034】
次に、図3(a)、(b)を参照しつつ吐出ユニットUの吐出動作を説明する。
図3(a)に示すように、吐出ユニットから液状体が吐出される前段階において、貯留室122には、リザーバ124、供給路123を介して液状体Qが充填されている。圧電駆動素子129の圧電体129bは放電状態になっており、ニードル126はノズル125から圧電駆動素子129側に離れた位置に配置されている。
【0035】
圧電駆動素子129において、下部電極129aと上部電極129cとの間に電圧が印加されると、圧電体129bが充電されて面方向に収縮する。これにより、図3(b)に示すように振動板128が、振動板128が貯留室122に向かって凸となり撓曲する。これにより、振動板128が貯留室122側に向かって変位してニードル126がノズル125内に挿通されるとともに、貯留室122の容積が小さくなり容積減少分の液状体Qがノズル125から被処理基板W側に押し出される。
【0036】
振動板128の変位量が最大になると、ニードル126はノズル125に嵌め合わされ、貯留部122内の液状体Qと、ノズル125から押し出された部分の液状体とが分離される。また、ニードル126の端面126cが液状体Qに対して撥液性を有しているので、ノズルから押し出された液状体は端面126cから分離され、液滴Q1としてノズル125から吐出される。
【0037】
以上のように、本実施形態の液滴吐出ヘッド12にあっては、ノズル125から押し出された液状体がニードル126によりノズル125側から良好に分離される。したがって、吐出された液状体がノズル125内のメニスカスと連続すること(尾曳き)が防止され、尾曳きによる飛行曲がりが防止される。よって、飛行曲がりによる液滴Qの着弾誤差が低減され、高粘度な液状体であっても被処理基板Wの高精度な位置に配置することが可能になる。
【0038】
また、尾曳きが防止されるので、吐出後のノズル125内のメニスカスに尾曳きによる歪みを生じることが防止される。したがって、次の吐出動作においてメニスカスの形状を高精度に制御することができ、ノズル125から良好に液状体を吐出させることができる。
【0039】
また、吐出された液状体に振動を付与する手法と異なり、吐出された液状体にノズルプレート121の面方向の運動量を付与しないので、液状体を分離することにより飛行曲がりが生じてしまうことがない。
【0040】
また、ノズル付近で液状体を局所的に加熱する手法と異なり、加熱によりメニスカス内の液状体が乾燥してノズル詰りを生じるもない。また、吐出動作後に、ニードル126が気液界面から貯留室122側に収容されるので、ニードル126の表面で液状体が乾燥することによるノズル詰りを生じることもない。このように、本実施形態の液滴吐出ヘッド12にあっては、ノズル詰りを生じることが格段に低減されているので、液滴吐出ヘッド12に安定して吐出動作させることができる。
【0041】
なお、前記実施形態では、カラーフィルタ製造用の成膜装置を例示したが、カラーフィルタ以外の各種デバイスを製造用の成膜装置、あるいは画像印刷装置等にも適用可能である。また、インクジェット法による液滴吐出装置の他にも、サーマルインクジェット法による液滴吐出装置やディスペンサ等にも適用可能である。いずれの液滴吐出装置であっても、吐出される液状体が尾曳きを生じる程度に高粘度である場合には、本発明を適用することによりその効果を得ることができる。
【0042】
また、ニードル126の側面がノズル125の内壁と当接するようになっていたが、ニードルがノズルの内壁と接触(当接)しない構成を採用してもよい。以下、ニードルの形状を前記実施形態と異ならせた変形例について説明する。
【0043】
図4(a)、(b)は、変形例1のニードル126の先端部とノズル125とを拡大して示す断面図である。図4(b)には、変形例1のニードル126がノズル125に挿通された状態を示している。
【0044】
図4(a)に示すように、変形例1のニードル126の先端部は、主部から端面126cに向かうにつれて縮径する円錐台状になっている。側面126aと側面126bは、吐出される液状体に対して親液性を有しており、端面126cは撥液性を有している。
【0045】
図4(b)に示すように、変形例1のニードル126は、ノズル125に挿通された状態で、先端部の一部がノズル125から被処理基板W側に突出するようになっている。また、挿通された状態で側面126bとノズル125の内壁との間に隙間を有しており、この隙間は液状体で満たされている。
【0046】
通常の液滴吐出ヘッドではニードルがノズルに挿通されないので、ノズルから吐出された液状体とノズル内の液状体とが、ノズルの軸方向に直交する断面全体で繋がっている。
一方、変形例1では、ノズルから吐出された液状体とノズル内の液状体とが、側面126bとノズル125の内壁との隙間の分だけで繋がっている。したがって、吐出された液状体とノズル内の液状体とが分離されやすくなる。このように側面126bとノズル125の内壁との間に隙間を設ける場合にも、端面126cに撥液性を付与しておくことにより、吐出された液状体の分離を促進することができる。
【0047】
また、図5に示す変形例2のように先端部の中央部を凹部にすること等により、端面126cと側壁126bとの間にエッジを設けるようにすれば、吐出された液状体の分離がさらに促進される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】一実施形態の液滴吐出ヘッドを備えた成膜装置の概略斜視図である。
【図2】(a)は液滴吐出ヘッドの平面図、(b)は(a)におけるA−A’線矢視断面図、(c)はノズルとニードルの拡大図である。
【図3】(a)、(b)は、吐出ユニットの吐出動作を示す説明図である。
【図4】(a)、(b)は、変形例1の概略構成を示す断面図である。
【図5】変形例2の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・成膜装置、12・・・液滴吐出ヘッド(液滴吐出装置)、121・・・ノズルプレート、122・・・貯留室、125・・・ノズル、126・・・ニードル、127・・・流路形成基板、128・・・振動板(貯留室の壁面)、129・・・圧電駆動素子、Q・・・液状体、Q1・・・液滴、U・・・・吐出ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを開口したノズルプレートと、
前記ノズレプレート上に設けられ、貯留室、リザーバ、及び供給路を有する流路形成基板と、
前記流路形成基板の上に設けられ、前記ノズルと中心が一致するニードルを有する振動板と、
前記振動板の上でかつ前記貯留室の上部に設けられ、下部電極、圧電素子、及び上部電極からなる圧電駆動素子と、を備え、
前記ニードルの先端は、前記圧電駆動素子による上下振動により、該ニードルが下にきた状態で前記ノズルに挿通される挿通部を有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記挿通部は、前記ノズルの軸方向に直交する断面の外寸が、前記ノズルにおける前記貯留室と反対側の開口に向かうにつれて小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記挿通部は、該挿通部の軸方向まわりの側面の一部が前記ノズルの内壁と当接するまで前記ノズルに挿通されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記挿通部の前記側面が耐磨耗処理されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記挿通部は、前記ノズルにおける前記貯留室と反対側の開口に対面する端面を有し、該挿通部の軸方向まわりの側面が前記液状体に対して親液性になっているとともに、前記端面が前記液状体に対して撥液性になっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−105184(P2010−105184A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276521(P2008−276521)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】