説明

液面レベル検知装置、現像液容器、湿式画像形成装置

【課題】 センサを現像液に浸すことなく、センサの数よりも多い段階数の現像液の液面レベルを、精度良く検出すること。
【解決手段】現像液の液面の高さの変化に応じて昇降するフロート部材と、フロート部材に設けられ、現像液の外部に位置する複数の被検知部と、フロート部材の昇降方向に配列され、複数の被検知部のそれぞれを光学的に検知可能に設けられた複数の検知手段と、複数の検知手段の検知結果から現像液の液面の高さを検出する検出制御手段と、を有し、複数の検知手段は、それぞれ対応する被検知部を検知するとオン、検知しないとオフをそれぞれ示し、複数の被検知部は、同時に二つ以上の検知手段をオンとすることを可能にすることにより、複数の検知手段の数よりも多い複数の液面の高さに対応して、それぞれ異なる複数の検知手段のオン、オフの組み合わせを形成可能であるよう構成されていることを特徴とする液面レベル検出装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像液の液面レベルを検知する液面レベル検知装置と、該液面レベル検知装置を備えた現像液容器と、該現像液容器を備えた湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーを記録紙に転写して画像を形成する装置として、キャリア液中にトナーを含んだ現像液を現像ローラ表面に担持させ、この現像液を感光ドラムに供給して現像を行う湿式画像形成装置が知られている。湿式画像形成装置で用いられるトナーは、紛状のトナーを使用する乾式画像形成装置で用いられるトナーよりも微細である為、一般に湿式画像形成装置は乾式画像形成装置よりも高画質な画像を形成できる。
【0003】
印刷される画像の濃淡は、現像液中のトナーの濃度によって変化する。印刷される画像を高品質に保つには、現像液を均一に撹拌し、且つ現像液中のトナーの濃度を適切な値に調整する必要がある。現像液が収納されている現像液容器では、現像液の濃度調整を行うために、現像液の量の認識が必要となる。そのため、現像液の液面レベルの検知が行われる。現像液の液面レベルを測定する測定装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
また、現像液表面に浮遊するフロートに固定された被検知部(現像液外部に配置されている)の位置をフォトセンサにより測定する、液面レベルの測定装置が知られている。
【特許文献1】特開2001−194915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、現像液を収容するタンク内に固定された柱状体と、タンク内を浮遊し現像液の増減に伴い柱状体に沿って昇降するマグネット付きフロートと、柱状体の上下方向に配列され、マグネットに感応する複数のリードスイッチと、を有する現像液の液面レベルを検出する検出装置が開示されている。上記の検出装置では、複数のリードスイッチのON、OFF結果に基づいて、現像液の液面レベルが検出されている。
【0006】
上記特許文献1に記載の検出装置では、柱状体と、マグネット付きフロートとの接触部は、現像液に浸かっているため、柱状体と、マグネット付きフロートとの接触部に現像液が入り込みマグネット付きフロートの動きを詰まらせ、適切な動作が得られないという問題点がある。
【0007】
また、フロートに固定された被検知部の位置を直接測定する装置においては、例えば現像液の液面レベルを5段階に渡って検出するには、フォトセンサが5個必要であった。一つのフォトセンサで一段階の液面レベルを検出するため、狭い範囲の液面レベルを細かく検出する場合には、狭い配置スペースにフォトセンサを多数配置する必要がある。
【0008】
本発明は、以上の事情に鑑み、センサを現像液に浸すことなく、センサの数よりも多い段階数の液面レベルを、精度良く検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明では、現像液の液面の高さの変化に応じて昇降するフロート部材と、前記フロート部材に設けられ、現像液の外部に位置する複数の被検知部と、前記フロート部材の昇降方向に配列され、前記複数の被検知部のそれぞれを光学的に検知可能に設けられた複数の検知手段と、前記複数の検知手段の検知結果から現像液の液面の高さを検出する検出制御手段と、を有し、前記複数の検知手段は、それぞれ対応する被検知部を検知するとオン、検知しないとオフをそれぞれ示し、前記複数の被検知部は、同時に二つ以上の検知手段をオンとすることを可能にすることにより、前記複数の検知手段の数よりも多い複数の液面の高さに対応して、それぞれ異なる前記複数の検知手段のオン、オフの組み合わせを形成可能であるよう構成されていることを特徴とする液面レベル検出装置を提供する。
【0010】
本発明によれば、センサ等の検知手段を現像液に浸すことなく現像液の液面レベルを検出することができる。また、複数の被検知部が複数のセンサ等の検知手段をオンにするかオフにするかの組み合わせに基づいて液面の高さを検出することができ、場合によっては、2つ以上のセンサをオンとすることができるため、センサの数よりも多い段階数の液面レベルを検出することができる。また、センサの数よりも多段階のレベルを検出することができるため液面の検出精度が高くなる。
【0011】
また、本発明に係る液面レベル検出装置では、複数の被検知部は、昇降方向の下側から順に、下部被検知部、中央被検知部、上部被検知部の3つの部位を有し、複数の検知手段は、下部被検知部に対応する下部検知手段、中央被検知部に対応する中央検知手段、上部被検知部に対応する上部検知手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、被検知部は、下部検知部のみがオンを示す第一の状態、下部検知部と中央検知部がオンを示す第二の状態、中央検知部のみがオンを示す第三の状態、中央検知部と上部検知部がオンを示す第四の状態、上部検知部のみがオンを示す第五の状態の5つの状態を形成可能であり、検出制御手段は、それらの状態に対応する5つの現像液の液面の高さを検出可能であることを特徴とする。
【0013】
また、下部被検知部と中央被検知部は昇降方向に移動する際に同一の軌跡を辿らないよう設けられており、上部被検知部と中央被検知部も昇降方向に移動する際に同一の軌跡を辿らないよう設けられていることを特徴とする。さらに、中央被検知部は下部被検知部および上部被検知部よりも昇降方向と垂直な方向に所定量突出していることを特徴とする。
【0014】
また、中央被検知部が、フロート部材の昇降の位置を規制するための昇降位置規制手段に当接することにより、フロート部材の昇降の位置が規制されることを特徴とする。さらに、昇降位置規制手段は、下部検知手段および上部検知手段それぞれの端面であることを特徴とする。
【0015】
また、液面レベル検出装置は、昇降方向に平行に配置されたガイド棒を有し、フロート部材は、ガイド棒に沿って昇降することを特徴とする。
【0016】
また、複数の検知手段の各々はフォトセンサを有し、複数の検知手段では、それぞれ対応する被検知部によりフォトセンサが遮蔽されたときに当該検知手段がオンを示し、フォトセンサが遮蔽されていないときには当該検知手段がオフを示すことを特徴とする。
【0017】
また、本発明では、現像液を保持する保持容器と、該現像液を攪拌する攪拌手段と、保持容器に保持されている現像液の液面の高さの変化に応じて昇降するフロート部材と、フロート部材に設けられ、現像液の外部に位置する複数の被検知部と、フロート部材の昇降方向に配列され、複数の被検知部のそれぞれを光学的に検知可能に設けられた複数の検知手段と、現像液の液面の高さを検出する検出制御手段と、を有し、複数の検知手段のそれぞれは、対応する複数の被検知部を検知する場合はオン、検知しない場合はオフを示し、検出制御手段は、複数の検知手段のオン、オフの組み合わせに基づいて、複数の検知手段の数よりも多い数の現像液の液面の高さを検出する液面レベル検出装置と、を有することを特徴とする現像液容器を提供する。
【0018】
また、本発明では、上述の現像液容器を備え、該現像液容器に保持されている現像液を用いて電子写真法により画像形成を行う湿式画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、センサを現像液に浸すことなく、センサの数よりも多い段階数の液面レベルを、精度良く検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、湿式プリンタ100の構成を示す側断面図である。湿式プリンタ100は、キャリア液中にトナーを含んだ現像液を現像ローラ表面に担持させて画像を形成する装置であって、コンピュータ等の外部機器から入力される文字・画像情報に基づいて、レーザビームを利用した電子写真法によって記録紙P1に印刷して出力する装置である。
【0021】
湿式プリンタ100は、文字・画像情報に応じて変調されたレーザ光を出力するレーザスキャニングユニット(Laser Scanning unit、以下、LSUと略記)30と、該レーザ光の照射により感光ドラム上に形成された静電潜像を電子写真法によって現像して、トナー像を生成する現像ユニット50と、現像ユニット50で現像されたトナー像を転写位置において記録紙P1上に転写する転写ユニット70と、搬送機構により搬送される記録紙P1上に転写されたトナー像を定着させる定着ユニット80と、記録紙P1を搬送する搬送ユニット90と、を有する。
【0022】
現像ユニット50は、保持ローラ51、現像液を計量するための計量ローラ52、計量ローラ52の表面の現像液を均一厚さにする計量ローラブレード52a、計量ローラ52から供給された現像液を担持する現像ローラ53、現像ローラ53表面から現像液を掻き取り除去する現像ローラクリーニングブレード53a、現像ローラ53を帯電させる現像ローラ用帯電コロナ54、LSU30からのレーザ光によって静電潜像が形成される感光ドラム55、感光ドラム55表面を一様に帯電させる感光ドラム用帯電コロナ57、感光ドラム55からキャリア液を回収するスクイーズドローラ58、現像ユニット50で発生した残留現像液を湿式プリンタ100内に配置された現像液容器(不図示)に戻すスクリュー59を有する。
【0023】
現像液が保持された現像液容器から現像液パイプ49を経由して供給された現像液は、保持ローラ51と計量ローラ52との転接部上方に供給される。計量ローラ52で計量された現像液は、現像ローラ53に塗布される。一方感光ドラム55では、感光ドラム用帯電コロナ57により一様な電位に帯電されたドラム表面にレーザ光が照射され、照射された部分は一様な電位に比べて電位が下がる。この一様な電位と比べて電位が下がった部分が静電潜像となる。現像ローラ53に塗布された現像液のトナーは帯電しており、感光ドラム55の静電潜像の部分に吸着される。こうして静電潜像は現像され、トナー像が形成される。
【0024】
転写ユニット70は、中間転写ローラ71と二次転写ローラ73とを有する。中間転写ローラ71はトナーと逆極性の電圧が印加されており、感光ドラム55表面のトナー像は、感光ドラム55と中間転写ローラ71との転接部において、中間転写ローラ71表面に一次転写される。二次転写ローラ73は、記録紙P1の搬送路を挟んで中間転写ローラ71と対向する位置に設置され、中間転写ローラ71よりも高電圧の逆極性の電圧が印加されている。そのためトナー像は二次転写ローラ73の方向に吸引され、中間転写ローラ71表面に転写されたトナー像は、二次転写ローラ73との転接部において記録紙P1に転写される。
【0025】
定着ユニット80は、記録紙P1を加熱するヒートローラ81と、搬送路を挟んでヒートローラ81と対向した位置に設置され、自身とヒートローラ81とによって記録紙P1を挟んで加圧するプレスローラ82とから構成されている。この定着ユニット80によって、記録紙P1上のトナー像は加熱及び加圧によって記録紙P1に定着される。
【0026】
搬送ユニット90は、ロール状の記録紙P1が設置されるロール軸91、記録紙P1を搬送する給紙駆動ローラ93、給紙駆動ローラ93と転接する給紙従動ローラ94、給紙駆動ローラ93を駆動する駆動モータ95、給紙センサ97を有する。記録紙P1は給紙駆動ローラ93により搬送され、記録紙P1が給紙センサ97を通過したときを基準として、LSU30の発光するタイミングが湿式プリンタ100の制御部で計算される。記録紙P1が給紙センサ97を通過したときを基準としてLSU30が発光するタイミングが制御されるので、記録紙P1の適切な位置に印刷を行なうことができる。
【0027】
次に、現像液が保持される現像液容器の配置について説明する。図2は、図1の背面方向から湿式プリンタ100を観察した側断面図および制御系を示す図である。湿式プリンタ100は、現像ユニット50に現像液を供給する現像液容器3、現像液容器3に現像液を補給する現像液予備容器5、現像液容器3にキャリア液を補給するキャリア液予備容器7、現像液予備容器5から現像液を現像液容器3に搬送するのに使用される現像液補給ポンプ9、現像液容器3から現像液を現像ユニット50に搬送する現像液循環ポンプ11を有する。また、制御部300は、現像液容器3、現像液補給ポンプ9、現像液循環ポンプ11等を制御する機能を有する。
【0028】
本発明の実施形態では、後述するように現像液容器3内の現像液の量が検出される。制御部300は、現像液容器3内の現像液の量が所定の量よりも減ったことを検出すると、現像液予備容器5から予備の現像液が現像液容器3に補給されるよう現像液補給ポンプ9を駆動する。また、湿式プリンタ100の動作中には、現像液容器3内の現像液は、現像液循環ポンプ11によって現像ユニット50に搬送される。現像液循環ポンプ11の吐出口は現像液パイプ49に繋がっている。
【0029】
現像液容器3及び現像液予備容器5内の現像液は、約30%がトナーで、残りの約70%がキャリア液となるように構成されている。印刷される画像等は、トナーの比率が高くなると濃くなり、低くなると淡くなる。現像液予備容器5から予備の現像液が現像液容器3に、キャリア液予備容器7から予備のキャリア液が現像液容器3に補給されて、現像液容器3内の現像液のトナーの濃度は一定に調整され、印刷される画像の品質が一定に保たれている。現像液のトナーの濃度を調整するには、現像液の量を把握する必要があるため現像液の量の検出が行われる。
【0030】
現像液容器3は、保持容器103、攪拌装置104、側部開口部106を有する。保持容器103は筒状の形状をしており底部は閉塞され上部は開口している。側部開口部106は保持容器103の周面に設けられている。湿式プリンタ100において使用される現像液は、比較的粘度が高い為、放置すると半固形物となり流動性が失われてしまう。したがって、保持容器103内では、攪拌装置104によって現像液が攪拌される。前述した現像ユニット50のスクリュー59(図1参照)の軸の延長線上には開口部が形成されており、その開口部はパイプを通じて側部開口部106に繋がっている。すなわち、スクリュー59により搬送された現像液は、側部開口部106から保持容器103に戻されるように構成されている。
【0031】
図2では、保持容器103内の液面レベルを模式的に示している。なお、液面レベルL1からL5はそれぞれ、液面高さの所定の範囲を示すものである。現像液の液面レベルL1は、現像液が少ないことを示すレベルであり、液面レベルがL1である場合には現像液が無いに等しいレベルである。現像液の液面レベルL2は、現像液のトナーの濃度を良好に調整できる下限のレベルであり、現像液の補給が必要なレベルである。現像液の液面レベルL3は、現像液のトナーの濃度を調整するのに最適な現像液のレベルであり、その中央は調整のための基準位置となる。現像液の液面レベルL4は、現像液のトナーの濃度を良好に調整できる上限の現像液の量である。現像液の液面レベルL5は、現像液の量が多いことを示すレベルであり、液面レベルがL5よりも高い場合には現像液がオーバーフローする可能性があるレベルである。
【0032】
以下、本発明の実施形態の液面レベル検出装置について説明する。図3は、現像液容器3および液面レベル検出装置105を示す図である。攪拌装置104は、駆動モータ119と、駆動モータ119により回転される回転軸113と、回転軸113が回転中心となるように回転軸113の一端に固定された攪拌部111とを有する。現像液の撹拌時には、駆動モータ119の回転力により、現像液も回転しながら撹拌される。攪拌装置104は制御部300により制御される。
【0033】
液面レベル検出装置105は、フロート部材115、フォトセンサ121(それぞれ下から121a,121b,121c)、ガイド棒123を有する。フロート部材115は、平板状のドグ116、フロート117、ドグ116とフロート117とを連結するフロート支持部材119、ガイド棒123を挿通可能なリング125(少なくと2つ必要)とを有する。ガイド棒123は、静止時の現像液の液面と垂直な方向に延びている。フォトセンサ121は制御部300により制御される。
【0034】
図4は、フロート部材115およびフォトセンサ121を図3中上方向から見た図である。フォトセンサ121は、コの字状の形状を有している。そのコの字状の間隙をドグ116が遮蔽するとフォトセンサ121はオンされ、ドグ116が遮蔽しない状態ではオフされる。フロート支持部材119はV字状の形状をしている。本発明の実施形態では、フロート支持部材119のV字の先端部それぞれにフロート117が固定されている。リング125の穴にはガイド棒123が挿通され、フロート部材115は、現像液の増減に応じて、ガイド棒123に沿って移動する。
【0035】
図5(a)は、フロート部材115をさらに詳細に説明するための図である。図5(b)は、フォトセンサ121をさらに詳細に説明するための図である。図5は図3と同様の方向を示す図である。ドグ116は、フォトセンサ121により検知される被検知部127を有する。被検知部127は、ドグ116のうち、保持容器3の周面よりも外側に配置される。被検知部127は、下部被検知部127a、中央被検知部127b、上部被検知部127cを有する。上部被検知部127cは、被検知部127の上端からフロート部材115の移動下方向に長さAだけの領域を占める部分であり、下部被検知部127aは、被検知部127の下端からフロート部材115の移動上方向に長さAだけの領域を占める部分である。中央被検知部127bは、上部被検知部127cと下部被検知部127aとの中間において長さBだけの領域を占める部分であると共に、下部被検知部127aと上部被検知部127cよりもフロート部材115の移動方向の垂直方向に長さEだけ突出した形状を有する。
【0036】
上部フォトセンサ121c、中央フォトセンサ121b、及び下部フォトセンサ121aは、それぞれ、フロート部材115の移動方向に平行な面内に整列して配置されている。なお、上部フォトセンサ121c及び下部フォトセンサ121aはそれぞれフロート部材115の移動方向に平行な直線上に整列するが、中央フォトセンサ121bは、所定量ずれた位置に配置されている。フロート部材115の移動方向に平行な方向のフォトセンサ121の長さはそれぞれDであり、長さDの中央にスリット129(129a,129b,129c)が形成されている。スリット129(129a,129b,129c)はそれぞれ、フォトセンサ121のコの字の内面の両側に設けられている。なお、スリット129はフォトセンサ121のコの字の内面の一方側のみに設けられていてもよい。すなわち、発光素子と受光素子とが対向する場合にはコの字の両側に、発光素子と受光素子が隣接して反射光を検知する場合にはコの字の一方側のみに設けられる。また、スリット129のフロート部材115の移動方向に平行な方向の幅は、ごく狭い幅であり、その幅は考慮しないものとする。
【0037】
ドグ116の被検出部127がスリット129間を遮蔽するとフォトセンサ121はONされ、遮蔽しない状態ではOFFされるものとする。上部フォトセンサ121c及び下部フォトセンサ121aは、中央フォトセンサ121bよりもフロート部材115寄りにほぼ長さEだけフロート部材115の移動方向に垂直な方向に突出するように配置される。別の言い方をすれば、中央被検知部127bの突出長さEに応じて、中央フォトセンサ121bは上部フォトセンサ121c及び下部フォトセンサ121aよりも該垂直方向にフロート部材115から離れた位置に配置される。フォトセンサ121は、上部フォトセンサ121cの上部スリット129cと中央フォトセンサ121bの中央スリット129bとの間隔、及び中央フォトセンサ121bの中央スリット129bと下部フォトセンサ121aの下部スリット129bとの間隔が、それぞれ長さCとなるように配置されている。
【0038】
図6から図10は、現像液の量と液面レベル検出装置105の状態を示す図である。図6では、ドグ116の中央被検知部127bの上端部はスリット129bを遮蔽しない位置にあり、下部被検知部127aは下部スリット129aを遮蔽している。このとき、下部フォトセンサ121aはオン、中央フォトセンサ121bはオフ、上部フォトセンサ121cはオフの状態となる。この状態の現像液の液面レベルをL1とする。
【0039】
図7では、ドグ116の中央被検知部127bは中央スリット129bを遮蔽しており、下部被検知部127aは下部スリット129aを遮蔽している。このとき、下部フォトセンサ121aはオン、中央フォトセンサ121bはオン、上部フォトセンサ121cはオフの状態となる。この状態の現像液の液面レベルをL2とする。
【0040】
図8では、ドグ116の中央被検知部127bのみが中央スリット129bを遮蔽する位置にある。このとき、下部フォトセンサ121aはオフ、中央フォトセンサ121bはオン、上部フォトセンサ121cはオフの状態となる。この状態の現像液の液面レベルをL3とする。
【0041】
図9では、ドグ116の中央被検知部127bは中央スリット129bを遮蔽しており、上部被検知部127cは上部スリット129cを遮蔽している位置にある。このとき、下部フォトセンサ121aはオフ、中央フォトセンサ121bはオン、上部フォトセンサ121cはオンの状態となる。この状態の現像液の液面レベルをL4とする。
【0042】
図10では、ドグ116の中央被検知部127bの下端部は、スリット129bを遮蔽せず、上部被検知部127cは上部スリット129cを遮蔽している。このとき、下部フォトセンサ121aはオフ、中央フォトセンサ121bはオフ、上部フォトセンサ121cはオンの状態となる。この状態の現像液の液面レベルをL5とする。
【0043】
図11は、フォトセンサ121のオン・オフと液面のレベルとの関係を示すテーブルである。図11に示されるテーブルは湿式プリンタ100の制御部300に記録されており、制御部はこのテーブルと、下部フォトセンサ121a、中央フォトセンサ121b、及び上部フォトセンサ121cがそれぞれ示すオン・オフの結果とに基づいて、液面レベルを検出する。また、制御部300は、検出された液面レベルに基づいて、現像液補給ポンプ9、現像液循環ポンプ11等の制御を行う。このようにして、液面レベル検出装置105では、3個のフォトセンサで5段階の液面レベルを検出できる。即ちフォトセンサの数よりも多い段階数の現像液の液面レベルを精度良く検出することが可能となる。液面レベルを精度良く検出することにより、現像液の濃度調整を確実にでき、印字の安定した濃度制御が可能となる。なお、攪拌装置104の作動時には液面は傾いており、停止時には液面は水平となる。そのため正確な液面レベルを検知するために、液面レベルの検出は、液面が水平となる攪拌装置104の停止時に行われる。
【0044】
次に、図5、図12(a)、図12(b)を参照して、3個のフォトセンサで5段階の液面レベルを検出するための条件について説明する。図12(a)は、到達可能な最低位置に位置するフロート117を示す図である。図12(b)は、到達可能な最高位置に位置するフロート117を示す図である。フロート117が到達可能な最低位置は、中央被検知部127bの下端部が下部フォトセンサ121aの上部に当接しフロート部材115が下方に移動できなくなる位置となる(図12(a)参照)。フロート117が到達可能な最高位置は、中央被検知部127bの上端部が上部フォトセンサ121cの下部に当接しフロート部材115が上方に移動できなくなる位置となる(図12(b)参照)。フロート部材115が到達可能な最低位置から到達可能な最高位置まで移動する距離は2C−B−Dで表される。したがって、フロート部材115のストローク(移動量)を確保するための条件は2C−B−Dが0より大きくなる2C>B+Dとなる(図5参照)。
【0045】
2個のフォトセンサ121を同時に遮蔽するための条件としては、フォトセンサの間隔Cが下部被検知部127aまたは上部被検知部127cの長さAと中央被検知部127bの長さBとを加えた長さA+Bよりも短いこと、即ちA+B>Cであることが必要となる。また、中央フォトセンサ121bのみが遮蔽される条件としては、両端のフォトセンサの間隔2Cが、被検知部の全長2A+Bよりも長いこと、即ち2C>2A+Bであることが必要となる。
【0046】
下部フォトセンサ121aまたは上部フォトセンサ121cのみが遮蔽される条件は、以下のようになる。中央フォトセンサ121bの中央から下部フォトセンサ121aまたは上部フォトセンサ121cの外周部までの距離はC−D/2で表され、C−D/2が中央被検知部127bの長さBよりも長いこと、即ち2C−D>2Bであることが必要となる。
【0047】
上部被検知部127cの長さAまたは中央被検知部127bの長さBがフォトセンサの間隔Cよりも長いと、一つの被検知部で2つのフォトセンサを遮蔽する可能性がでてくる。そのため、動作確保の基本として、フォトセンサの間隔Cが下部被検知部127aまたは上部被検知部127cの長さA及び中央被検知部127bの長さBよりも長いこと、即ちC>A、Bであることが必要となる。
【0048】
上記の条件を満たすように、被検知部の寸法及びフォトセンサ間の間隔及び寸法を設定することにより、3個のフォトセンサで5段階の液面レベルを検出することが可能となる。なお、上記条件を満たすように、被検知部の寸法及びフォトセンサ間の間隔及び寸法を調整することにより、様々な高さの液面レベルが検出可能となる。
【0049】
なお、フォトセンサの数は3個としたが、下部フォトセンサ121a及び上部フォトセンサ121cのコの字状の間隙の長さ(フロート部材115の移動方向と垂直な方向の長さ)を十分長くして中央被検知部127bが下部フォトセンサ121a及び上部フォトセンサ121cを通過できるようにし、フォトセンサの数を3個以上にして5段階以上の液面レベルを検出するようにしてもよい。
【0050】
上記の構成の他に、フォトセンサの数よりも多い段階数の液面レベルを検出する液面レベル検出装置として、様々な構成が考えられる。図13は、n個のセンサにより2のn乗個の段階数の液面レベルを検出できる液面レベル検出装置を示す。図13においては、センサは3個であり、検出できる液面レベルの段階数は8段階である。液面レベル検出装置205は、フロート部材215、フォトセンサ221、ガイド棒223を有する。フロート部材215は、ドグ216とフロート217とを有し、所定範囲内の液面の高さの変化に応じてガイド棒223に沿って昇降する。
【0051】
ドグ217は液面の所定範囲に対応した昇降方向の長さを有するようにn等分されており、本例では上部ドグ227、中部ドグ229、下部ドグ231に3分割されている。さらに、各ドグはセンサをn個とすると2のn乗個に等しく区分されている。本例では、センサは3個であるため各ドグは8等分されており、8等分された区分の半数に突起233が設けられている。上部ドグ227、中部ドグ229、及び下部ドグ231の8分割された区分における突起の有無により、各ドグにはそれぞれ異なる所定の突起パターンが形成されている。同じ液面レベルに対応する各ドグの区分に、突起を配置する組み合わせ方は、突起有を1、無しを0として、上部ドグ227、中部ドグ229、下部ドグ231の順に突起の有無を示すと、(0、0、0)、(0、1、0)、(0、1、1)、(0、0、1)、(1、0、0)、(1、1、0)、(1、1、1)、(1、0、1)の8とおりある。上部ドグ227、中部ドグ229、及び下部ドグ231それぞれの8分割された区分には上記の組み合わせの突起が重複なしに配置される。
【0052】
またフォトセンサ221は、上部ドグ227、中部ドグ229、下部ドグ231に対応する上部フォトセンサ221a、中部フォトセンサ221b、下部フォトセンサ221cを有し、3個のフォトセンサ221は等間隔となるように配置されている。液面の高さの変化に応じてフロート部材215が昇降して突起233がフォトセンサ221を遮蔽すると、フォトセンサ221はオンされ、遮蔽が外れるとオフされる。
【0053】
所定範囲の液面のレベルは8等分され、8分割された各液面レベルと、3個のフォトセンサ221のオン・オフの組み合わせとには対応関係がある。この対応関係をテーブルとして、湿式プリンタ100に備えられた制御部300に記憶しておき、制御部300は検出されたn個のフォトセンサ221のオン・オフの組み合わせに基づいて2のn乗個の段階数の液面レベルを検出することができる。このように、3個のフォトセンサ221のオン・オフの組み合わせを検出することにより、8段階の液面レベルを検出することが可能となる。即ちn個のフォトセンサにより2のn乗個の段階数の液面レベルを検出することが可能となる。
【0054】
本発明によれば、センサ等の検知手段を現像液に浸すことなく現像液の液面レベルを検出することができる。また、複数の被検知部が複数のセンサ等の検知手段をオンにするかオフにするかの組み合わせに基づいて液面の高さを検出することができるため、センサ等の検出手段の数よりも多い段階数の液面レベルを検出することができる。また、センサの数よりも多段階のレベルを検出することができるため液面の検出精度が高くなる。また、マグネット等を用いたセンサとは異なり、フォトセンサを用いるため、現像液の外部、すなわち保持容器外部にセンサを配置したとしても、湿式プリンタ100の他の部材に悪影響を及ぼすことがない。また、マグネット等の磁界を検知するセンサよりも、フォトセンサは位置検出の精度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】湿式プリンタの構成を示す側断面図である。
【図2】図1の背面方向から湿式プリンタを観察した側断面図である。
【図3】現像液容器および液面レベル検出装置を示す図である。
【図4】フロート部材およびフォトセンサを示す図である。
【図5】図5(a)は、フロート部材を示す。図5(b)は、フォトセンサを示す。
【図6】現像液の量と液面レベル検出装置の状態を示す図である。
【図7】現像液の量と液面レベル検出装置の状態を示す図である。
【図8】現像液の量と液面レベル検出装置の状態を示す図である。
【図9】現像液の量と液面レベル検出装置の状態を示す図である。
【図10】現像液の量と液面レベル検出装置の状態を示す図である。
【図11】フォトセンサのオン・オフと液面のレベルとの関係を示すテーブルである。
【図12】図12(a)は、到達可能な最低位置に位置するフロートを示す図である。図12(b)は、到達可能な最高位置に位置するフロートを示す図である。
【図13】n個のセンサにより2のn乗個の段階数の液面レベルを検出できる液面レベル検出装置を示す。
【符号の説明】
【0056】
3 現像液容器
5 現像液予備容器
7 キャリア液予備容器
9 現像液補給ポンプ
11 現像液循環ポンプ
49 現像液パイプ
100 湿式プリンタ
104 攪拌装置
105 液面レベル検出装置
106 側部開口部
115 フロート部材
116 ドグ
117 フロート
119 フロート支持部材
121 フォトセンサ
123 ガイド棒
125 リング
127 被検知部
129 スリット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像液の液面の高さの変化に応じて昇降するフロート部材と、
前記フロート部材に設けられ、現像液の外部に位置する複数の被検知部と、
前記フロート部材の昇降方向に配列され、前記複数の被検知部のそれぞれを光学的に検知可能に設けられた複数の検知手段と、
前記複数の検知手段の検知結果から現像液の液面の高さを検出する検出制御手段と、を有し、
前記複数の検知手段は、それぞれ対応する被検知部を検知するとオン、検知しないとオフをそれぞれ示し、
前記複数の被検知部は、同時に二つ以上の検知手段をオンとすることを可能にすることにより、前記複数の検知手段の数よりも多い複数の液面の高さに対応して、それぞれ異なる前記複数の検知手段のオン、オフの組み合わせを形成可能であるよう構成されていることを特徴とする液面レベル検出装置。
【請求項2】
前記複数の被検知部は、前記昇降方向の下側から順に、下部被検知部、中央被検知部、上部被検知部の3つの部位を有し、
前記複数の検知手段は、前記下部被検知部に対応する下部検知手段、前記中央被検知部に対応する中央検知手段、前記上部被検知部に対応する上部検知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の液面レベル検出装置。
【請求項3】
前記被検知部は、前記下部検知部のみがオンを示す第一の状態、前記下部検知部と前記中央検知部がオンを示す第二の状態、前記中央検知部のみがオンを示す第三の状態、前記中央検知部と前記上部検知部がオンを示す第四の状態、前記上部検知部のみがオンを示す第五の状態の5つの状態を形成可能であり、前記検出制御手段は、それらの状態に対応する5つの現像液の液面の高さを検出可能であることを特徴とする請求項2に記載の液面レベル検出装置。
【請求項4】
前記下部被検知部と前記中央被検知部は前記昇降方向に移動する際に同一の軌跡を辿らないよう設けられており、前記上部被検知部と前記中央被検知部も前記昇降方向に移動する際に同一の軌跡を辿らないよう設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の液面レベル検出装置。
【請求項5】
前記中央被検知部は前記下部被検知部および前記上部被検知部よりも前記昇降方向と垂直な方向に所定量突出していることを特徴とする請求項4に記載の液面レベル検出装置。
【請求項6】
前記中央被検知部が、前記フロート部材の昇降の位置を規制するための昇降位置規制手段に当接することにより、前記フロート部材の昇降の位置が規制されることを特徴とする請求項5に記載の液面レベル検出装置。
【請求項7】
前記昇降位置規制手段は、前記下部検知手段および前記上部検知手段それぞれの端面であることを特徴とする請求項6に記載の液面レベル検出装置。
【請求項8】
前記液面レベル検出装置は、前記昇降方向に平行に配置されたガイド棒を有し、
前記フロート部材は、前記ガイド棒に沿って昇降することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の液面レベル検出装置。
【請求項9】
前記複数の検知手段の各々はフォトセンサを有し、
前記複数の検知手段では、それぞれ対応する被検知部によりフォトセンサが遮蔽されたときに当該検知手段がオンを示し、フォトセンサが遮蔽されていないときには当該検知手段がオフを示すことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の液面レベル検出装置。
【請求項10】
現像液を保持する保持容器と、
該現像液を攪拌する攪拌手段と、
前記保持容器に保持されている現像液の液面の高さの変化に応じて昇降するフロート部材と、前記フロート部材に設けられ、現像液の外部に位置する複数の被検知部と、前記フロート部材の昇降方向に配列され、前記複数の被検知部のそれぞれを光学的に検知可能に設けられた複数の検知手段と、現像液の液面の高さを検出する検出制御手段と、を有し、前記複数の検知手段のそれぞれは、対応する前記複数の被検知部を検知する場合はオン、検知しない場合はオフを示し、前記検出制御手段は、前記複数の検知手段のオン、オフの組み合わせに基づいて、前記複数の検知手段の数よりも多い数の現像液の液面の高さを検出する液面レベル検出装置と、
を有することを特徴とする現像液容器。
【請求項11】
請求項10に記載の現像液容器を備え、
該現像液容器に保持されている現像液を用いて電子写真法により画像形成を行う湿式画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−313150(P2006−313150A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75984(P2006−75984)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】