説明

液面位置計測装置

【課題】センサに対する電気ケーブルの接続を不要にして信頼性を向上できると共に、設置費用を安価にでき、しかも、設置の自由度を大きくできる液面位置計測装置の提供。
【解決手段】複数のICタグ2,2,2・・・を垂直方向に配置し、しかも各ICタグの外周囲の少なくとも一部に当該ICタグから放射される電波の強度を制御する遮蔽体4を設け、水位の上昇によって水没した少なくとも1個のICタグ2,2,2・・・とICタグリーダー15との無線通信が通信可能状態から通信不可能状態に変化したことを検知して河川等の水位を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の水位などを計測する液面位置計測装置に関するものであり、特に、無線で情報を取得できる液面位置計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川の水位を計測する液面位置計測装置としては、図8に示すように、赤外線測定器20を計測筒21の上部に配置し、計測筒21の内部には反射板22をフロート23に貼り付けて配置して水面24に浮かせておき、赤外線測定器20から発光された赤外光25を反射板22で反射させ、赤外光25の反射角度や反射光量を計測して水位を計測する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、液面位置計測装置の他の例としては、図9に示すように、圧力計26を底地盤28上に置き、その上部に加わる水圧を測定し、その値から水位を計測して電気ケーブル27で送信する方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−039574号公報
【特許文献2】特開平07−218254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
赤外線測定器を用いた液面位置計測装置は、センサとしての赤外線測定器に電源を必要とするため、商用電源を用いるか、ソーラーとバッテリーを組み合わせた電源を構成する必要があり、また、送出された赤外光を赤外線測定器に正確に反射させる必要があることから、振動の大きな場所や、波動の大きな場所での計測は困難となる。
【0006】
水圧を測定する方式では、圧力計として電気を使用した半導体方式圧力計や水晶方式圧力計が一般に用いられが、これらの圧力計は電気を使用して計測する関係から、圧力計まで信号用電気ケーブルを接続する必要があり、雷や他の電気機械器具などからの電磁ノイズからの影響を受けやすく、特に屋外で使用する場合には保安器を設置するなどの対策が必要になる。
【0007】
また、圧力計は計測部である圧力計測部(センサヘッド)と圧力計測結果から液面位置に変換する変換器の構成となるが、高価なものであり、多点で計測する目的などには経済性の点で困難である。
【0008】
さらに、水圧を測定する方式では、大気圧の変動が計測結果に誤差となり影響を及ぼすことから、圧力計内と大気間をパイプで連結し、圧力計内部の大気圧を外部の大気圧と同じにする大気圧開放の方法をとるか、別途計測した大気圧によって大気圧の誤差を補正する必要があり、装置が複雑化する。
【0009】
さらに、水圧を測定する方式では、測定対象の水の比重により水面位置の計測を補正する必要があり、例えば濁流などの土砂を含む水の場合、測定誤差が発生する。
【0010】
そこで、本発明は、センサに対する電気ケーブルの接続を不要にして信頼性を向上できると共に、設置費用を安価にでき、しかも、設置の自由度を大きくできる液面位置計測装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、ICタグを主体として構成されるICタグ装置とICタグリーダーとを備え、前記ICタグリーダーは前記ICタグからの到達電波強度が高レベルから低レベルへ変化することの検知および低レベルから高レベルへ変化することの検知の少なくとも一方に基づいて液面位置を計測する装置であって、前記ICタグ装置は前記ICタグの外周囲の少なくとも一部に当該ICタグから放射される電波の強度を制御する遮蔽体が設けられてなる液面位置計測装置を特徴としている。
【0012】
また、請求項2の発明は、前記ICタグ装置は、液面の上昇時に受ける浮力によって前記遮蔽体が前記ICタグに近づき、液面の下降にともなう浮力の解放によって前記遮蔽体が前記ICタグから遠ざかるように構成されている請求項1記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0013】
また、請求項3の発明は、前記ICタグは、電池を内蔵するアクティブタイプICタグである請求項1および請求項2のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0014】
また、請求項4の発明は、前記ICタグリーダーは前記ICタグからの到達電波強度が所定値より低下したことの検知および所定値より上昇したことの検知の少なくとも一方に基づいて液面位置を計測する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0015】
また、請求項5の発明は、前記ICタグリーダーは前記ICタグからの到達電波強度が両者間での無線通信が通信可能状態から通信不可能状態に変化したことの検知および両者間での無線通信が通信不可能状態から通信可能状態に変化したことの検知の少なくとも一方に基づいて液面位置を計測する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0016】
また、請求項6の発明は、前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の上昇にともなって高レベルから低レベルへ変化することの検知に基づいて液面位置を計測する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0017】
また、請求項7の発明は、前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の上昇にともなって所定値より低下したことの検知に基づいて液面位置を計測する請求項1乃至請求項4および請求項6のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0018】
また、請求項8の発明は、前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の上昇にともなって両者間での無線通信が通信可能状態から通信不可能状態に変化したことの検知に基づいて液面位置を計測する請求項1乃至請求項3、請求項5および請求項6記載のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0019】
また、請求項9の発明は、前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の下降にともなって低レベルから高レベルへ変化することの検知に基づいて液面位置を計測する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0020】
また、請求項10の発明は、前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の下降にともなって所定値より上昇したことの検知に基づいて液面位置を計測する請求項1乃至請求項4および請求項9のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0021】
また、請求項11の発明は、前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の下降にともなって両者間での無線通信が通信不可能状態から通信可能状態に変化したことの検知に基づいて液面位置を計測する請求項1乃至請求項3、請求項5および請求項9のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0022】
また、請求項12の発明は、前記ICタグを複数個垂直方向に配置すると共に、最上位の前記ICタグの上方に前記ICタグリーダーを配置し、前記ICタグリーダーは液面の上昇にともなって全ての前記ICタグからの電波到達強度が高レベルから低レベルへ変化することの検知に基づくと共に、前記ICタグリーダーの水没の検知に基づいて液面位置を計測する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【0023】
また、請求項13の発明は、水位に追従して上下動可能なフロートに前記ICタグ装置を設置し、前記ICタグリーダーは前記ICタグからの到達電波強度が高レベルから低レベルへ変化することの検知および低レベルから高レベルへ変化することの検知の少なくとも一方に基づいて河川等の水位を計測する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置を特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、ICタグリーダーがICタグからの到達電波強度が高レベルから低レベルへ変化することの検知および低レベルから高レベルへ変化することの検知の少なくとも一方に基づいて液面位置を計測する装置であり、ICタグとICタグリーダとの間は非接触式(無線)で情報の授受が可能であり、また、ICタグリーダーはバッテリーで動作可能なため商用電源を引き込む必要が無く、ICタグリーダー自体に無線によって外部から給電することができることから電気ケーブルの接続を不要にすることが可能で、これによって信頼性を向上できると共に設置の自由度を大きくすることができる。
【0025】
また、通信範囲が広範囲となるICタグ、例えば、電池内蔵型のアクティブタイプICタグを、使用周波数300MHz帯域で使用した場合には、ICタグの水没によって電波強度が減衰されるにもかかわらずICタグリーダーへの到達電波強度が比較的高いレベルに保たれるため水位計測に困難を生じるが、ICタグの外周囲の少なくとも一部に当該ICタグから放射される電波の強度を制御する遮蔽体が設けられているICタグ装置を使用することにより、通信範囲が広範囲となるICタグ使用した場合であっても、ICタグからICタグリーダーへの到達電波強度のレベルが低下し、さらにICタグの水没によってICタグリーダーへの到達電波強度が弱められるので、水位計測を行いやすくなる。
【0026】
また、液面の上昇時に受ける浮力によって遮蔽体がICタグに近づき、液面の下降にともなう浮力の解放によって遮蔽体がICタグから遠ざかるように構成されているICタグ装置を使用すると、遮蔽体がICタグに近づいているときはICタグからの電波強度の減衰が大きく、遮蔽体がICタグから遠ざかっているときはICタグからの電波強度の減衰が小さいため、ICタグが液中にあるときと空中にあるときとでのICタグリーダーへの到達電波強度の変化をより大きくとることができ、通信範囲を広く確保できると共に、液面位置の計測をより確実に行うことができる。
【0027】
また、ICタグおよびICタグリーダーは市販のものを利用でき、計測データ処理も市販のパーソナルコンピュータを利用できるので、設置費用を安価にすることができる。
【0028】
本発明の液面位置計測装置は、河川等の水位計測などに適用することができ、これによって、計測の信頼性を向上できると共に設置の自由度を大きくでき、また、設置費用を安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の液面位置計測装置の作用を示すフローチャートであり、図1(a)は到達電波強度の変化を利用するときのフローチャートであり、図1(b)は通信可能状態と通信不可能状態の変化を利用するときのフローチャートである。
【図2】本発明の液面位置計測装置において使用されるICタグ装置の一例の側断面説明図である。
【図3】本発明の液面位置計測装置において使用されるICタグ装置の他の例の側断面説明図である。
【図4】本発明の液面位置計測装置において使用されるICタグ装置のさらに他の例の側断面説明図である。
【図5】本発明の液面位置計測装置を河川等の水位計測装置に適用した最良の実施の形態の第1例を説明する図面であり、図5(a)は正面図、図5(b)は側面図である。
【図6】本発明の液面位置計測装置を河川等の水位計測装置に適用した最良の実施の形態の第2例を説明する図面であり、図6(a)は正面図、図6(b)は側面図である。
【図7】本発明の液面位置計測装置を河川等の水位計測装置に適用した最良の実施の形態の第3例を説明する図面であり、図7(a)は正面図、図7(b)は側面図である。
【図8】河川等の水位計測装置の従来例を説明する図面である。
【図9】河川等の水位計測装置の従来例を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の液面位置計測装置の最良の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0031】
本発明の液面位置計測装置は、ICタグリーダーはICタグからの到達電波強度が高レベルから低レベルへ変化することの検知および低レベルから高レベルへ変化することの検知の少なくとも一方に基づくものであるが、具体的には、例えば、(イ)ICタグリーダーはICタグからの到達電波強度が所定値より低下したことの検知および所定値より上昇したことの検知の少なくとも一方に基づく液面位置計測装置、および、(ロ)ICタグリーダーはICタグからの到達電波強度が両者間での無線通信が通信可能状態から通信不可能状態に変化したことの検知および両者間での無線通信が通信不可能状態から通信可能状態に変化したことの検知の少なくとも一方に基づく液面位置計測装置をあげることができる。
【0032】
図1(a)は、前記(イ)の液面位置計測装置の作用をフローチャートで示したものであり、ICタグリーダーはICタグからの無線電波を受信して到達電波強度を測定し、この到達電波強度を閾値と比較して所定値以上か否かの判定を行い、所定値以上であるときは、ICタグの水没なしとして、この情報をメモリに記憶し、さらに基地局に伝送する。
【0033】
ICタグリーダーがICタグからの無線電波を受信できない場合、および到達電波強度が所定値未満のときは、ICタグの水没ありとして、この情報をメモリに記憶し、さらに基地局に伝送する。
【0034】
なお、前記計測において、到達電波強度の閾値は、ICタグリーダーおよびICタグが設置される周囲状況等を勘案して決定されるが、通常の到達電波強度の(1/3)〜(1/5)程度に設定されるのが一般的である。
【0035】
図1(b)は、前記(ロ)の液面位置計測装置の作用をフローチャートで示したものであり、ICタグリーダーがICタグからの無線電波を受信できたときは、ICタグの水没なしとして、この情報をメモリに記憶し、さらに基地局に伝送する。
【0036】
ICタグリーダーがICタグからの無線電波を受信できなかったときは、ICタグの水没ありとして、この情報をメモリに記憶し、さらに基地局に伝送する。
【0037】
図2は、本発明の液面位置計測装置において使用されるICタグ装置の一例の側断面説明図である。
【0038】
ICタグ装置1Aは、ICタグ2の上部および側部をプラスチック筐体3で覆い、底部に遮蔽体4を設けて構成されている。
【0039】
ICタグ2の底部に遮蔽体4を設けることにより、ICタグ2から放射される電波強度が弱くなるように制御でき、通信範囲が広範囲となるICタグ、例えば、電池内蔵型のアクティブタイプICタグを、使用周波数300GHz帯域で使用した場合であっても、ICタグからICタグリーダーへの到達電波強度のレベルが低下し、さらにICタグの水没によってICタグリーダーへの到達電波強度が弱められるので、水位計測を行いやすくなる。
【0040】
遮蔽体4は、ICタグ2から放射される電波の強度を制御できるものであればよく、例えば、鉄、アルミニウム、銅などの金属を薄板状に加工したものにより形成される。
【0041】
図3は、本発明の液面位置計測装置において使用されるICタグ装置の他の例の側断面説明図である。
【0042】
ICタグ装置1Bは、ICタグ2の上部および側部をプラスチック筐体3で覆い、底部に遮蔽体4とフロート5とを積層した蓋体6を、当該蓋体6が支点7を中心にして上下方向(図中の矢印X方向)に回動するように設けて構成されている。
【0043】
このような構成であると、水面の上昇時に受ける浮力によって蓋体6(遮蔽体4)がICタグ2に近づき、水面の下降にともなう浮力の解放によって蓋体6(遮蔽体4)がICタグ2から遠ざかるように作用し、遮蔽体4がICタグ2に近づいているときはICタグからの電波強度の減衰が大きく、遮蔽体4がICタグ2から遠ざかっているときはICタグからの電波強度の減衰が小さいため、ICタグ2が水中にあるときと空中にあるときとでのICタグリーダーへの到達電波強度の変化をより大きくとることができ、通信範囲を広く確保できると共に、水位の計測をより確実に行うことができる。
【0044】
なお、図3に示したICタグ装置1Bにおいて、プラスチック筐体3の内面に鉄、アルミニウム、銅などからなる金属薄板を積層することにより、またはプラスチック筐体3に代えて鉄、アルミニウム、銅などの金属板で構成した金属筐体とすることにより、ICタグ2の外周囲全体を電磁遮蔽可能な構成とすると、蓋体6(遮蔽体4)の開閉によるICタグリーダーへの到達電波強度の変化はより大きくなり、さらに高精度で水位を計測できるようになる。
【0045】
図4は、本発明の液面位置計測装置において使用されるICタグ装置のさらに他の例の側断面説明図である。
【0046】
ICタグ装置1Cは、図3のICタグ装置1Bに加えて覆体8を設けて構成されており、覆体8を設けることによりICタグ2がゴミなどの付着から保護され、安定した液面位置の計測が可能となる。
【0047】
覆体8は、ネットやプラスチック板などを加工して形成することができる。
【0048】
ICタグ装置1Cのその他の構成および作用は図3に示したICタグ装置1Bと同様である。
【0049】
(実施例1)
図5は、本発明の液面位置計測装置を河川の水位計測装置に適用した第1例を示すもので、図5(a)は正面図、図5(b)は側面図である。
【0050】
本実施例1の水位計測装置は、地盤11に立設された支柱12に防波管13を固定し、防波管13の内壁に沿った垂直方向に複数のICタグ装置1,1,・・・1(いずれも使用周波数300MHz帯域のアクティブタイプICタグ2,2,・・・2をそれぞれ装備)を配置し、支柱12の上端部にはICタグリーダー15を配置したものである。
【0051】
ICタグ装置1,1,・・・1を防波管13の内部に配置することにより、水面16に立つ波の影響を軽減して水位を計測することができる。
【0052】
各ICタグ2,2,・・・2に付与された識別符号はICタグリーダー15によって解読されるようになっており、河川等の増水が無く、水面16がICタグ2よりも下方にあるときは、全てのICタグ2,2,・・・2とICタグリーダー15との間で無線通信が可能な状態にあり、水位はICタグ2以下であると判断される。
【0053】
降雨等により水面16が上昇し、ICタグ2,2,2が水没すると、ICタグ2,2,2とICタグリーダー15との間の無線通信が不可能状態で、ICタグ2,2とICタグリーダー5との間の無線通信が可能状態となり、水位はICタグ2とICタグ2との間であると判断される。
【0054】
逆に、降雨等の影響がなくなって水面16が下降してICタグ2よりも下方になったときは、ICタグ2,2,2とICタグリーダー15との間の無線通信が不可能状態から可能状態となり、全てのICタグ2,2,・・・2とICタグリーダー5との間で無線通信が可能な状態となって、水位はICタグ2以下であると判断される。
【0055】
なお、ICタグ2,2,2とICタグリーダー15との間の無線通信が通信可能状態から通信不可能状態検知および無線通信が通信不可能状態から通信可能状態に変化したことの検知について説明したが、ICタグ2,2,2からICタグリーダー15への到達電波強度が所定値より低下したことの検知および所定値より上昇したことの検知によっても水位を計測することができる。
【0056】
本実施例1におけるICタグ2,2,・・・2を装備したICタグ装置1,1,・・・1としては、図2乃至図4に示したICタグ装置1A、1B、1Cの何れをも使用することができる。
【0057】
本実施例1のように、複数のICタグ2,2,・・・2を垂直方向に配置した構成であると、水位をほぼ連続的に計測することが可能であり、集中豪雨などによる河川等の水位上昇に関する情報を的確に把握することができる。
【0058】
(実施例2)
図6は、本発明の液面位置計測装置を河川等の水位計測装置に適用した第2例を示すもので、図6(a)は正面図、図6(b)は側面図であり、図5(a)、図5(b)と同一呼称部または同一部材には同一符号を付してある。
【0059】
本実施例2の水位計測装置は、完全に防水構造にしたICタグリーダー25を使用し、このICタグリーダー25を最上位のICタグ装置1(ICタグ2を装備)の上方に配置したものである。
【0060】
水面16がICタグリーダー25に到達しないときは、実施例1と同様にICタグリーダー25とICタグ2,2,・・・2との間の無線通信の可能、不可能に基づいて水位の計測が行われ、水面16がICタグリーダー25を越えてICタグリーダー25自体が水没すると、ICタグリーダー25から無線の送出が不可能となり、これに基づいて水位はICタグリーダー25を越えたと判断される。
【0061】
本実施例2のように、ICタグ2,2,・・・2の水没に加えてICタグリーダー25の水没に基づいて水位を計測する構成であると、ICタグリーダー25が固定配置される支柱2の高さを低く抑えることができ、水位計測装置の設置費用を低減できる。
【0062】
(実施例3)
図7は、本発明の液面位置計測装置を河川等の水位計測装置に適用した第3例を示すもので、図7(a)は正面図、図7(b)は側面図であり、図5(a)、図5(b)と同一呼称部または同一部材には同一符号を付してある。
【0063】
本実施例3の水位計測装置は、防波管13内に水面16の上昇、下降に伴って上下動するフロート17を配置し、このフロート17の上部にICタグ装置1(ICタグ2を装備)を配置し、支柱12の上端部にICタグリーダー15を配置したものである。
【0064】
そして、ICタグ2とICタグリーダー15との間には通信可能な距離の限界があることを利用し、通常は水面16が下方にあって、ICタグ2はICタグリーダー15との無線通信不可能距離範囲にあるが、降雨によって水面16(フロート17)が上昇してICタグ2がICタグリーダー15との無線通信可能距離範囲に入ると、この無線通信が開始したことをとらえて一定レベルの水位を計測するものである。
【0065】
また、前記とは逆に、通常は水面16が上方にあって、ICタグ2はICタグリーダー15との無線通信可能距離範囲にあるが、渇水によって水面16(フロート17)が下降してICタグ2がICタグリーダー15との無線通信不可能距離範囲に入ると、この無線通信が途絶えたことをとらえて一定レベルの水位を計測することができる。
【0066】
本実施例3のように、ICタグ2とICタグリーダー15との間の無線通信可能な距離をとらえて水位を計測する構成であると、正確な水位を計測することができる。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B,1C,1,1,1・・・1 ICタグ装置
2,2,2,2・・・2 ICタグ
4 遮蔽体
15 ICタグリーダ
16 水面
17 フロート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグを主体として構成されるICタグ装置とICタグリーダーとを備え、前記ICタグリーダーは前記ICタグからの到達電波強度が高レベルから低レベルへ変化することの検知および低レベルから高レベルへ変化することの検知の少なくとも一方に基づいて液面位置を計測する装置であって、前記ICタグ装置は前記ICタグの外周囲の少なくとも一部に当該ICタグから放射される電波の強度を制御する遮蔽体が設けられてなることを特徴とする液面位置計測装置。
【請求項2】
前記ICタグ装置は、液面の上昇時に受ける浮力によって前記遮蔽体が前記ICタグに近づき、液面の下降にともなう浮力の解放によって前記遮蔽体が前記ICタグから遠ざかるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の液面位置計測装置。
【請求項3】
前記ICタグは、電池を内蔵するアクティブタイプICタグであることを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかに記載の液面位置計測装置。
【請求項4】
前記ICタグリーダーは前記ICタグからの到達電波強度が所定値より低下したことの検知および所定値より上昇したことの検知の少なくとも一方に基づいて液面位置を計測することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置。
【請求項5】
前記ICタグリーダーは前記ICタグからの到達電波強度が両者間での無線通信が通信可能状態から通信不可能状態に変化したことの検知および両者間での無線通信が通信不可能状態から通信可能状態に変化したことの検知の少なくとも一方に基づいて液面位置を計測することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置。
【請求項6】
前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の上昇にともなって高レベルから低レベルへ変化することの検知に基づいて液面位置を計測することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置。
【請求項7】
前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の上昇にともなって所定値より低下したことの検知に基づいて液面位置を計測することを特徴とする請求項1乃至請求項4および請求項6のいずれかに記載の液面位置計測装置。
【請求項8】
前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の上昇にともなって両者間での無線通信が通信可能状態から通信不可能状態に変化したことの検知に基づいて液面位置を計測することを特徴とする請求項1乃至請求項3、請求項5および請求項6記載のいずれかに記載の液面位置計測装置。
【請求項9】
前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の下降にともなって低レベルから高レベルへ変化することの検知に基づいて液面位置を計測することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置。
【請求項10】
前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の下降にともなって所定値より上昇したことの検知に基づいて液面位置を計測することを特徴とする請求項1乃至請求項4および請求項9のいずれかに記載の液面位置計測装置。
【請求項11】
前記ICタグを複数個垂直方向に配置し、前記ICタグリーダーは少なくとも1個の前記ICタグからの到達電波強度が液面の下降にともなって両者間での無線通信が通信不可能状態から通信可能状態に変化したことの検知に基づいて液面位置を計測することを特徴とする請求項1乃至請求項3、請求項5および請求項9のいずれかに記載の液面位置計測装置。
【請求項12】
前記ICタグを複数個垂直方向に配置すると共に、最上位の前記ICタグの上方に前記ICタグリーダーを配置し、前記ICタグリーダーは液面の上昇にともなって全ての前記ICタグからの電波到達強度が高レベルから低レベルへ変化することの検知に基づくと共に、前記ICタグリーダーの水没の検知に基づいて液面位置を計測することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置。
【請求項13】
水位に追従して上下動可能なフロートに前記ICタグ装置を設置し、前記ICタグリーダーは前記ICタグからの到達電波強度が高レベルから低レベルへ変化することの検知および低レベルから高レベルへ変化することの検知の少なくとも一方に基づいて河川等の水位を観測することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液面位置計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−281585(P2010−281585A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132928(P2009−132928)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000173577)財団法人河川情報センター (11)
【出願人】(597052330)株式会社 東京建設コンサルタント (8)
【出願人】(508222036)株式会社トランスコア (4)
【出願人】(500349203)株式会社富士精工 (4)
【Fターム(参考)】