説明

液面高さ検知装置および画像形成装置

【課題】高粘度の液体に対しても感度の良好な液面高さ検知装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る液面高さ検知装置80は、容器272内の液面の高さを検知するための装置であって、可動部材81と、駆動機構82と、液体検知部83とを備える。可動部材81は、表面に孔90が設けられており、上下方向に移動可能に設けられる。駆動機構82は、孔90が容器272内の所定位置まで下降した後に、所定位置より上方の検知位置まで上昇するように可動部材81を移動させる。液体検知部83は、検知位置において孔90における液体の有無を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面高さ検知装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器内の液面の高さを検知する液面高さ検知装置として、特許文献1に示すようなフロート式のものが知られている。この液面高さ検知装置では、液体中に浮くフロートと、フロートを案内するガイド棒とが設けられており、フロートが液面高さに応じてガイド棒に沿って上下動するようにされている。そして、フロートの位置が検知されることにより、液面高さが検知される。
【特許文献1】特開昭59−126570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のようなフロート式の液面高さ検知装置では、高粘度の液体に対しては感度が良好ではない。
【0004】
本発明の課題は、高粘度の液体に対しても感度の良好な液面高さ検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る液面高さ検知装置は、容器内の液面の高さを検知するための装置であって、可動部材と、駆動機構と、液体検知部とを備える。可動部材は、表面に孔が設けられており、上下方向に移動可能に設けられる。駆動機構は、孔が容器内の所定位置まで下降した後に、所定位置より上方の検知位置まで上昇するように可動部材を移動させる。液体検知部は、検知位置において孔における液体の有無を検知する。
【0006】
この液面高さ検知装置では、可動部材の孔が、容器内の所定位置まで下降し、その後、検知位置まで移動する。このとき、液体検知部によって孔に液体があると検知された場合には、上記の所定位置には液体が存在していることになる。逆に、液体検知部によって孔に液体がないと検知された場合には、上記の所定位置には液体が存在していないことになる。これにより、高粘度の液体に対しても感度の良好な液面高さの検知を行うことができる。
【0007】
第2発明に係る液面高さ検知装置は、第1発明の液面高さ検知装置であって、駆動機構は、所定位置の高さを変更して可動部材を繰り返し移動させる。
【0008】
この液面高さ検知装置では、孔の所定位置への下降、検知位置への上昇、孔における液体の有無の検知、が順に繰り返されると共に、所定位置の高さが変更される。例えば、上から順に、第1高さ位置、第2高さ位置、第3高さ位置として、孔が、第1高さ位置および第2高さ位置まで下降したときには液体の存在が検知されず、第3高さ位置まで下降したときに液体の存在が検知されたとする。この場合、容器内の液面は、第2高さ位置より低く、第3高さ位置より高い位置にあることになる。これにより、容器内の液面の高さをより精度よく検知することができる。
【0009】
第3発明に係る液面高さ検知装置は、第1発明の液面高さ検知装置であって、可動部材の表面には、上下方向に並んで複数の孔が設けられている。そして、駆動機構は、複数の孔が検知位置を順に通過するように、可動部材を移動させる。
【0010】
この液面高さ検知装置では、複数の孔のうち、どの孔に液体が存在するかが液体検知部によって検知される。例えば、上から順に、第1孔、第2孔、第3孔が可動部材に設けられているとして、第1孔および第2孔については液体の存在が検知されず、第3孔において液体の存在が検知されたとする。この場合、容器内の液面は、第2孔が下降した下限位置より低く、第3孔が下降した下限位置より高い位置にあることになる。これにより、容器内の液面の高さをより精度よく検知することができる。また、可動部材の移動回数を少なくすることができる。
【0011】
第4発明に係る液面高さ検知装置は、第1発明から第3発明のいずれかの液面高さ検知装置であって、液体除去部をさらに備える。液体除去部は、孔に溜まった液体を除去する。
【0012】
この液面高さ検知装置では、液面高さの検知を行った後に孔に溜まった液体を液体除去部によって除去することができる。これにより、液面高さの検知を繰り返し行うことができる。
【0013】
第5発明に係る画像形成装置は、画像形成部と、容器と、液面高さ検知装置とを備える。画像形成部は、トナーとキャリア液とを含む液体現像剤を用いて媒体上に画像を形成する。容器は、液体現像剤を貯留する。液面高さ検知装置は、容器内の液体現像剤の液面の高さを検知するための装置であって、可動部材と、駆動機構と、液体検知部とを有する。可動部材は、表面に孔が設けられており、上下方向に移動可能に設けられる。駆動機構は、孔が容器内の所定位置まで下降した後に、この所定位置より上方の検知位置まで上昇するように可動部材を移動させる。液体検知部は、検知位置において孔における液体現像剤の有無を検知する。
【0014】
この画像形成装置では、可動部材の孔が、容器内の所定位置まで下降し、その後、検知位置まで移動する。このとき、液体検知部によって孔に液体現像剤があると検知された場合には、上記の所定位置には液体現像剤が存在していることになる。逆に、液体検知部によって孔に液体現像剤がないと検知された場合には、上記の所定位置には液体現像剤が存在していないことになる。これにより、高粘度の液体現像剤に対しても感度の良好な液面高さの検知を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、液体検知部によって孔に液体現像剤があると検知された場合には、上記の所定位置には液体現像剤が存在していることになる。逆に、液体検知部によって孔に液体現像剤がないと検知された場合には、上記の所定位置には液体現像剤が存在していないことになる。これにより、高粘度の液体現像剤に対しても感度の良好な液面高さの検知を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
1. 構成
1.1 全体構成
本発明の一実施形態にかかる画像形成装置1を図1に示す。この画像形成装置1は、カラープリンタであり、画像形成部2と、用紙収納部3と、二次転写部4と、定着部5と、用紙搬送部6と、排出部7と、を備えている。画像形成部2は、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式のものである。用紙収納部3は、記録媒体の一例である用紙を収容する。二次転写部4は、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙上に転写する。定着部5は、用紙に転写されたトナー像を用紙に定着させる。用紙搬送部6は、用紙収納部3から排出部7まで用紙を搬送する。排出部7は、定着の完了した用紙を排紙する。
【0017】
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、クリーニング部22と、複数の画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBとを備える。
【0018】
中間転写ベルト21は、導電性を有し、無端状、すなわちループ状のベルト状部材である。中間転写ベルト21は、図1、図2において矢印で示すように、時計回りに循環駆動される。中間転写ベルト21は、この画像形成装置1において使用可能とされている用紙の最大幅より幅広である。ここで、「幅」とは、用紙搬送方向に垂直な方向の長さをいう。また、以下、中間転写ベルト21の循環駆動において外側を向く面を表面と称し、他方の面を裏面と称する。なお、中間転写ベルト21は、駆動ローラ41と従動ローラ23とテンションローラ24に張架されている。図示しない駆動モータ85の駆動によって駆動ローラ41が回動すると、中間転写ベルト21が駆動される。また、中間転写ベルト21が駆動されると、従動ローラ23、テンションローラ24が、中間転写ベルト21に対して従動回転する。なお、テンションローラ24は中間転写ベルト21が弛まないように適切な張力を中間転写ベルト21に付与する部材である。
【0019】
クリーニング部22は、中間転写ベルト21のクリーニングを行う。クリーニング部22は、クリーニングローラ22aとクリーニングブレード22bを有する。
【0020】
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルト21の近傍に4つ並べて中間転写ベルト21のクリーニング部22と二次転写部4との間に配置される。画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応している。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。
【0021】
図2に示すように、画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、感光体ドラム10と、帯電器11と、露光装置12と、現像装置14と、一次転写ローラ20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラ30とを備える。また、画像形成ユニットのうち、最も二次転写部4に近い位置に位置する画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
【0022】
また、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBに対応して、それぞれ液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LB、トナータンクCB、CY、CC、CM、及び、キャリアタンクCCAが設けられており、各色の液体現像剤の供給、並びに回収が行われるようになっている。液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBについては後に詳述する。
【0023】
感光体ドラム10は、円柱状の部材であって、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持可能である。感光体ドラム10は、図2において破線矢印で示すように、反時計回りに回転可能な部材である。
【0024】
帯電器11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させることができる機器である。
【0025】
露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機器から入力される画像データに応じて、一様に帯電した感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面には、静電潜像が形成される。
【0026】
現像装置14は、トナー及び液体のキャリアを含む液体現像剤を、感光体ドラム10表面の静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付着させる。これにより、静電潜像はトナー像として現像される。
【0027】
現像装置14は、現像容器140、現像ローラ141、供給ローラ142、支持ローラ143、供給ローラブレード144、現像クリーニングブレード145、現像剤回収装置146及び現像ローラ帯電器147を含む。
【0028】
現像容器140は、トナー粒子と液体のキャリアからなる液体現像剤の供給を受ける容器である。後述するが、この液体現像剤は、トナーとキャリアとの濃度調整が予め行われた状態で、供給ノズル278から現像容器140内へ供給される。なお、液体現像剤は、支持ローラ143のうち供給ローラ142と支持ローラ143とのニップ部近傍の部分に向けて供給され、その余剰分は支持ローラ143の下方へ落下し、現像容器140の底部において貯留される。貯留された液体現像剤は、流路R2を通して液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBによって回収される。
【0029】
支持ローラ143は現像容器140の略中央に配置され、下方から支える態様で供給ローラ142に当接してニップ部を形成する。供給ローラ142は、支持ローラ143の斜め上に配置されており、供給ノズル278から離れる方向に支持ローラ143の直上からずれて配置されている。供給ローラ142の周面には、液体現像剤を保持するための溝が設けられている。図2において破線矢印で示すように、支持ローラ143は反時計方向に、供給ローラ142は時計方向に回転する。
【0030】
供給ノズル278から供給される液体現像剤は、前記ニップ部の回転方向上流側で一時的に滞留され、両ローラ142、143の回転に伴って、供給ローラ142の溝に保持された状態で上方へ運ばれる。供給ローラブレード144は、供給ローラ142の周面に圧接され、供給ローラ142に保持される液体現像剤の量が所定量になるように規制する。供給ローラブレード144により掻き落とされた余剰の液体現像剤は、現像容器140の底部で受け取られる。
【0031】
現像ローラ141は、現像容器140の上部開口部に、供給ローラ142と接するように配置されている。現像ローラ141は供給ローラ142と同方向に回転される。すなわち、現像ローラ141と供給ローラ142とが当接するニップ部では、現像ローラ141の表面は、供給ローラ142の表面と逆方向に移動する。これにより、現像ローラ141の周面に、供給ローラ142の周面に保持された液体現像剤が受け渡される。ここで、供給ローラ142の液体現像剤の層厚が所定値に規制されているので、現像ローラ141の表面に形成される液体現像剤層の層厚も所定値に保たれる。
【0032】
現像ローラ帯電器147は、トナーの帯電極性と同極性の電界を与えることで、現像ローラ141に担持された液体現像剤層中のトナーを現像ローラ141の表面側に移動させ、現像効率を向上させる作用を果たすものである。現像ローラ帯電器147は、現像ローラ141の、供給ローラ142との接触部の回転方向下流側であって、感光体ドラム10との接触部の上流側において、現像ローラ141の周面に対向するように設けられている。
【0033】
現像ローラ141は感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ141に印加される現像バイアスとの電位差によって、形成指示された画像データに応じたトナー像が感光体ドラム10表面に形成される(現像動作)。
【0034】
現像クリーニングブレード145は、現像ローラ141の感光体ドラム10との接触部の回転方向下流側であって、供給ローラ142との接触部の上流側において、現像ローラ141に接触するように配置され、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ141の表面の液体現像剤を除去する。
【0035】
現像剤回収装置146は、現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤を回収して、液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBの流路R1へ該液体現像剤を送り出す。液体現像剤は現像クリーニングブレード145の表面に沿って流下するが、液体現像剤の粘度が高いことから、現像剤回収装置146には液体現像剤の送り出しを補助する送り出しローラ34,35が備えられている。
【0036】
一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21の裏面に、感光体ドラム10と対向して配置されている。一次転写ローラ20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加されるようになっている。つまり、一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21にトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。
【0037】
クリーニング装置26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするための装置であって、クリーニングブレード262と、残留現像剤搬送スクリュー261とを備えている。
【0038】
クリーニングブレード262は、感光体ドラム10の表面に残留した液体現像剤を掻き取るための部材であって、感光体ドラム10の回転軸方向に延びる板状の部材である。クリーニングブレード262は、その端部が感光体ドラム10の表面に摺接しており、感光体ドラム10の回転に伴って感光体ドラム10上に残留した液体現像剤を掻き取る。
【0039】
残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニング装置26内に配置されている。残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、クリーニング装置26内に収納された液体現像剤をクリーニング装置26の外部に搬送する。
【0040】
除電装置13は、除電用の光源を有し、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。除電装置13は、次の画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤除去後に除電を行う。
【0041】
キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として回転可能な略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と同方向に回転する。キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも二次転写部4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する部材である。
【0042】
図1に戻って、用紙収納部3は、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、画像形成装置1の下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙を収納している給紙カセット31と給紙ローラ32と用紙分離ローラ対33とを有している。
【0043】
二次転写部4は、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像を用紙に転写する部分であって、中間転写ベルト21を駆動する駆動ローラ41と、駆動ローラ41に対向して配置された二次転写ローラ42とを有している。
【0044】
定着部5は、用紙にトナー像を定着させる部分であって、二次転写部4の上側に配置されている。また、定着部5は、加熱ローラ51と、加熱ローラ51に対向して配置された加圧ローラ52とを有している。
【0045】
用紙搬送部6は、複数の搬送ローラ対61とレジストローラ対62を備え、用紙収納部3から二次転写部4及び排出部6に用紙を搬送する。なお、図1において一対の搬送ローラ対61のみが図示されているが、他の搬送ローラ対は、図1における紙面に垂直な方向に並んで配置されており、記載を省略している。
【0046】
排出部7は、二次転写部4でトナー像が転写・定着された用紙が排出される部分であって、複数の排出ローラ対71と画像形成装置1の上面に設けられた排出トレイ72を有している。なお、図1においては一対の排出ローラ対71のみが図示されているが、他の排出ローラ対は、図1における紙面に垂直な方向に並んで配置されており、記載を省略している。
【0047】
1.2 液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBの構成
図3に液体現像剤循環装置LYの全体の概略を示す。液体現像剤循環装置LYは、液体現像剤を循環させ再利用するための装置である。ここでは、液体現像剤循環装置LYの構造について説明するが、他の液体現像剤循環装置LM、LC、LBも同様の構成である。液体現像剤循環装置LYによって循環される液体現像剤としては、現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた現像剤(トナーとキャリア液との混合物)や、供給ローラ142から現像ローラ141に供給されなかった現像剤や、感光体ドラム10からクリーニング装置26によって掻き取られた現像剤がある。
【0048】
液体現像剤循環装置LYは、残留現像剤タンク271と、現像剤収容容器272と、液面高さ検知装置80(図4参照)と、固形分濃度検出装置273と、キャリアタンクCCAと、トナータンクCYと、現像剤リザーブタンク277と、供給ノズル278と、残留現像剤回収容器279と、液体現像剤分離抽出装置28と、複数のポンプP1〜P10と、を備えている。
【0049】
残留現像剤タンク271は、現像装置14に流路R1を介して接続されている。残留現像剤タンク271は、現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた現像剤を収納可能なタンクである。また、現像装置14と残留現像剤タンク271との間には1つのポンプP1が取り付けられている。ポンプP1は、現像ローラ141の表面から掻き取られた残留現像剤を残留現像剤タンク271に移動させる。また、残留現像剤タンク271は、現像装置14の底部に流路R2を介して接続されており、この流路R2にはポンプP5が接続されている。ポンプP5は、現像容器140から残留現像剤タンク271へ現像剤を送る。
【0050】
現像剤収容容器272は、残留現像剤タンク271に接続されており、現像装置14に補給する現像剤を調合(トナー濃度調整)する部分である。現像剤収容容器272は残留現像剤タンク271に流路R3を介して接続されており、この流路R3にはポンプP2が接続されている。
【0051】
液面高さ検知装置80は、現像剤収容容器272内の液体現像剤の液面高さを検知するための装置である。これにより、現像剤収容容器272内の液体現像剤の液面が規定位置に達しているかどうかが検知される。液面高さ検知装置80については後に詳細に説明する。
【0052】
固形分濃度検出装置273は、現像剤収容容器272内の液体現像剤のトナーの濃度を検出するための装置であって、現像剤収容容器272に接続されている環状の流路R4に接続されている。この環状の流路R4の固形分濃度検出装置273の上流側にはポンプP4が取り付けられている。
【0053】
キャリアタンクCCAは、現像剤収容容器272内のトナー濃度を下げるためのキャリア液を収納している。また、キャリアタンクCCAは現像剤収容容器272とポンプP3が取り付けられた流路R5によって接続されている。なお、キャリアタンクCCAは各色共通で用いられ、キャリアタンクCCAには単一の図示しない共通配管が接続されている。そして、共通配管から各色の現像剤収容容器272まで各色用の分岐配管である流路R5が伸びる構成となっている。
【0054】
トナータンクCYは、現像剤収容容器272内のトナー濃度を上げるためのトナー濃度が高い液体現像剤を収納しており、トナータンクCY内の液体現像剤のトナー濃度は、現像装置14で用いられる液体現像剤のトナー濃度よりも高い。トナータンクCYは、現像剤収容容器272とポンプP8が取り付けられた流路R6によって接続されている。
【0055】
現像剤リザーブタンク277は、現像装置14に補給する液体現像剤が収納されるようになっており、現像剤収容容器272とポンプP6の取り付けられた流路R7を介して接続されている。また、供給ノズル278にポンプP7の取り付けられた流路R8を介して接続されている。
【0056】
供給ノズル278は、現像装置14に現像剤を供給するための装置である。
【0057】
残留現像剤回収容器279は、クリーニング装置26によって感光体ドラム10から除去された現像剤を一時的に貯留するための容器である。
【0058】
液体現像剤分離抽出装置28は、液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離し、キャリア液とトナーとを別々に抽出するための装置である。液体現像剤分離抽出装置28は、残留現像剤回収容器279とキャリアタンクCCAとを結ぶ流路R9,R10の途中に配置されている。流路R9にはポンプP9が設けられており、残留現像剤回収容器279内の液体現像剤を液体現像剤分離抽出装置28に送る。液体現像剤分離抽出装置28は、残留現像剤回収容器279に貯留された液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離する。流路R10にはポンプP10が設けられており、分離されたキャリア液をキャリアタンクCCAに送る。
【0059】
1.3 液面高さ検知装置80の構成
液面高さ検知装置80は、現像剤収容容器272内の液面高さを検知する。これにより、現像剤収容容器272内の液体現像剤の液面が規定位置に達しているかどうかが検知される。図4に示すように、液面高さ検知装置80は、可動部材81と、駆動機構82(図5参照)と、液体検知部83と、液体除去部84とを有する。
【0060】
可動部材81は、上下方向に長い棒状の部材であり、上下方向に移動可能に設けられる。可動部材81の下端部近傍の表面には孔90が設けられており、この孔90は可動部材81を水平方向に貫通している。この孔90の径は、孔90が液体現像剤に浸けられたときに液体現像剤が孔90内に侵入して保持される程度の大きさに設定されており、例えば、約2mmである。この孔90の径は液体現像剤の粘度に応じて適宜設定可能である。
【0061】
駆動機構82は、孔90が現像剤収容容器272内の所定位置まで下降した後にこの所定位置より上方の検知位置まで上昇するように、可動部材81を移動させる。駆動機構82は、図5に示すように、モータ85と、ピニオンギア86と、ラックギア87とを有する。モータ85はピニオンギア86を回転駆動する。ラックギア87は、可動部材81に固定的に設けられており、ピニオンギア86が回転することにより上下方向に直線的に移動する。これにより、可動部材81が上下に移動する。
【0062】
図4に示す液体検知部83は、検知位置において孔90における液体の有無を検知する。液体検知部83は、投光装置88と受光装置89とを有している。投光装置88と受光装置89とは、水平方向に互いに距離を隔てて対向して配置されており、受光装置89は投光装置88から照射された光を受ける。この受光装置89と投光装置88とに挟まれた位置が、上述した検知位置となっている。孔90に液体現像剤が存在する場合と存在しない場合とでは孔を通過する光の透過率が異なる。このため、液体検知部83は、検知位置に位置する孔90を通過する光の透過率を検知することにより、孔90における液体の有無を検知することができる。
【0063】
液体除去部84は、液体検知部83より下方に配置されており、孔90に向けて空気を吹き出すことができる。これにより、液体除去部84は、孔90に溜まった液体を除去することができる。
【0064】
2.動作
2.1 画像形成動作
先ず、画像形成装置1の画像形成動作を説明する。画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータ(図略)からの画像形成指示を受けた画像形成装置1は、作成指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY,FM、FC、FBを用いて形成する。具体的には、感光体ドラム10上に画像データに基づいた静電潜像が形成され、この静電潜像に現像装置14からトナーが供給される。このようにして各画像形成部2で形成されたトナー像は中間転写ベルト21に転写されて、中間転写ベルト21上で重ね合わされてカラートナー像となる。
【0065】
このカラートナー像の形成と同期して、用紙収納部3の給紙カセット31に収容されている用紙が給紙ローラ32によって給紙カセット31から取り出されて、分離ローラ対33によって一枚ずつ用紙搬送部6に送出される。用紙搬送部6の搬送ローラ対61によって用紙はレジストローラ対62まで送られ用紙の搬送姿勢が補正されて一旦用紙は停止させられる。そして、中間転写ベルト21への一次転写とタイミングを合わせてレジストローラ対62から二次転写部4に送り込まれ、二次転写部4で中間転写ベルト21上のカラートナー像が用紙に二次転写される。カラートナー像が転写された用紙は定着部5に送られて熱と圧力の作用でカラートナー像は用紙に定着される。
【0066】
カラートナー像が定着された用紙はさらに排出部7に送られ、排出ローラ対71よって画像形成装置1の外部に設けられた排出トレイ72に排紙される。
【0067】
二次転写後に、中間転写ベルト21に残留した残留液体現像剤は、中間転写ベルト21のクリーニング部22のクリーニングローラ22aとクリーニングブレード22bによって除去される。
【0068】
2.2 液体現像剤の循環動作
次に、現像装置14に液体現像剤を供給する動作、すなわち液体現像剤の循環動作について説明する。
【0069】
画像形成動作時に感光体ドラム10に供給されずに現像ローラ141上に残留した液体現像剤は現像クリーニングブレード145によって掻き取られ、流路R1を介して残留現像剤タンク271に回収される。また、現像容器140に受けられた液体現像剤も、ポンプP5によって流路R2を介して残留現像剤タンク271に送られる。そして、現像剤収容容器272内の液体現像剤が無くなると、残留現像剤タンク271から現像剤収容容器272にポンプP2によって流路R3を介して液体現像剤が供給される。このとき、感光体ドラム10上に現像されずに残留した液体現像剤は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、残留現像剤回収容器279に収容される。
【0070】
残留現像剤回収容器279に回収された液体現像剤は所定量毎にポンプP9によって流路R9を介して液体現像剤分離抽出装置28に搬送される。そして、液体現像剤分離抽出装置28において、トナーとキャリア液との分離、抽出処理が行われる。液体現像剤分離抽出装置28において抽出されたキャリア液は、キャリアタンクCCAへポンプP10により流路R10を介して送られる。
【0071】
一方、現像剤収容容器272内の液体現像剤のトナー濃度が固形分濃度検出装置273によって検出され、現像剤収容容器272内の液体現像剤の濃度調整が行われる。ここでは、トナー濃度が高い場合には、キャリアタンクCCAからキャリア液がポンプP3によって流路R5を介して現像剤収容容器272に供給される。また、トナー濃度が低い場合には、トナータンクCYからトナー濃度が高い液体現像剤がポンプP8によって流路R6を介して現像剤収容容器272に供給される。
【0072】
そして、必要に応じて現像剤収容容器272から現像剤リザーブタンク277に濃度調整がなされた液体現像剤がポンプP6によって流路R7を介して供給され、現像剤リザーブタンク277に収納された液体現像剤がポンプP7によって流路R8を介して供給ノズル278に送られ、供給ノズル278から現像装置14に供給される。
【0073】
2.3 液面高さの検知動作
次に、液面高さ検知装置80による現像剤収容容器272内の液面高さの検知動作について説明する。
【0074】
まず、図6(a)に示すように、可動部材81は、現像剤収容容器272の上部開口より上方の待機位置に待機している。
【0075】
次に、可動部材81は、図6(b)に示すように孔90が所定位置(以下「第1高さ位置」と呼ぶ)に到達するまで、下方に移動する。
【0076】
孔90が第1高さ位置に到達すると、駆動機構82のモータ85の回転方向が逆方向に切り換えられ、これにより、可動部材81は、図6(c)に示すように孔90が検知位置に到達するまで、上方に移動する。そして、孔90が検知位置に位置している状態で、液体検知部83が孔90における液体の有無を検知する。このとき、液体の存在が検知された場合には、液体現像剤の液面が第1高さ位置以上であると判断することができる。逆に、液体が無いと検知された場合には、液体現像剤の液面が第1高さ位置より低いと判断することができる。
【0077】
このように、液面高さ検知装置80は、簡易な構成によって、液面高さの検知を行うことができる。また、液面高さ検知装置80は、液体現像剤のように高粘度であり且つ着色された液体に対しても液面高さの検知を感度よく行うことができる。
【0078】
なお、液体現像剤の存在が検知された場合には、図6(d)に示すように、駆動機構82は、孔90が液体除去部84に対向するように可動部材81を移動させる。そして、図6(d)において矢印で示したように、液体除去部84から空気が吹き出されることにより、孔90に溜まった液体現像剤を孔90から除去する。これにより、液面高さの検知を繰り返し行うことができる。
【0079】
また、液面高さをより正確に検知するためには、孔90を下降させる高さを第1高さ位置以外の高さに変更して液体現像剤の検知を行う動作を繰り返し行うとよい。
【0080】
例えば、上記の第1高さ位置まで孔90を下降させても液体が検知されなかった場合には、孔90が第1高さ位置より下方の第2高さ位置に達するまで可動部材81を下降させる。そして、孔90が検知位置に達するように、可動部材81を上昇させ、孔90における液体の有無を再び検知する。ここで、液体が無いと検知された場合には、孔90が第2高さ位置より下方の第3高さ位置に達するまで可動部材81を再び下降させる。そして、孔90が検知位置に達するまで可動部材81を上昇させ、孔90における液体の有無を再び検知する。このように、液体現像剤の存在が検知されるまで、孔90を下降させる高さを変えて上記の検知動作を繰り返し行う。これにより、現像剤収容容器272内の液面高さをより精度よく検知することができる。
【0081】
なお、上記のように、孔90を移動させる下限位置を徐々に低くするのではなく逆に高くして、液体の存在が検知されなくなるまで検知動作を繰り返してもよい。
【0082】
また、所望の高さにおける液体現像剤の有無を検知するためには、孔90を下降させる下限位置をその所望の高さに固定して、上記の検知動作を行えばよい。
【0083】
3. 他の実施形態
図7に示すように、表面に上下方向に並んで複数の孔91−95が設けられた可動部材81が用いられてもよい。この場合、駆動機構82は、可動部材81を現像剤収容容器272内に下降させた後、所定複数の孔91−95が検知位置を順に通過するように、可動部材81を上昇させる。そして、複数の孔91−95のうち、どの孔に液体が存在するかが液体検知部83によって検知される。例えば、図8のように、第1〜第5孔91−95が上から順に可動部材81に設けられているとする。そして、第1孔91から第3孔93においては液体が無いと検知され、第4孔94と第5孔95において液体現像剤の存在が検知されたとする。この場合、可動部材81を下限位置まで移動させた状態(図8(b)参照)における第3孔93の位置より低く且つ第4孔94の位置以上の高さに液面があることが検知できる。
【0084】
上記の実施形態では、駆動機構82は、ラックギア・アンド・ピニオンギア式の機構であるが、可動部材81を上下に往復移動させることができるものであれば他の機構であってもよい。
【0085】
上記の実施形態では、孔90−95は可動部材81を貫通しているが、液体現像剤に浸けられた場合に液体現像剤を保持できればよく貫通孔に限られない。なお、可動部材81を貫通しない孔が設けられる場合には、孔の底部に反射部材が設けられ、受光装置89は孔の底部で反射した光を受ける。
【0086】
上記の実施形態では、液体除去部84は空気を吹き出すことによって孔90−95から液体を除去しているが、孔90−95から液体を除去できるものであれば他の構成が適用されてもよい。
【0087】
上記の実施形態では、現像剤収容容器272内の液体現像剤の液面の検知に液面高さ検知装置80が用いられているが、他の容器内の液体現像剤の液面の検知に用いられてもよい。また、液体現像剤に限らず他の液体の液面の検知に用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、高粘度の液体に対しても感度よく容器内の液面高さの検知を行うことができ、液面高さ検知装置および画像形成装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】画像形成装置の構成を示す図。
【図2】画像形成ユニットの拡大図。
【図3】液体現像剤循環装置の構成を示す図。
【図4】液面高さ検知装置の構成を示す図。
【図5】駆動機構および可動部材の構成を示す図。
【図6】液面高さの検知動作を示す図。
【図7】他の実施形態に係る液面高さ検知装置の可動部材を示す図。
【図8】他の実施形態における液面高さの検知動作を示す図。
【符号の説明】
【0090】
1 画像形成装置
2 画像形成部
80 液面高さ検知装置
81 可動部材
82 駆動機構
83 液体検知部
84 液体除去部
272 現像剤収容容器(容器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の液面の高さを検知するための装置であって、
表面に孔が設けられており、上下方向に移動可能に設けられる可動部材と、
前記孔が前記容器内の所定位置まで下降した後に前記所定位置より上方の検知位置まで上昇するように前記可動部材を移動させる駆動機構と、
前記検知位置において前記孔における液体の有無を検知する液体検知部と、
を備える液面高さ検知装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記所定位置の高さを変更して前記可動部材を繰り返し移動させる、
請求項1に記載の液面高さ検知装置。
【請求項3】
前記可動部材の表面には、上下方向に並んで複数の孔が設けられており、
前記駆動機構は、前記複数の孔が前記検知位置を順に通過するように、前記可動部材を移動させる、
請求項1に記載の液面高さ検知装置。
【請求項4】
前記孔に溜まった液体を除去する液体除去部をさらに備える、
請求項1から3のいずれかに記載の液面高さ検知装置。
【請求項5】
トナーとキャリア液とを含む液体現像剤を用いて媒体上に画像を形成する画像形成部と、
前記液体現像剤を貯留する容器と、
前記容器内の液体現像剤の液面の高さを検知するための装置であって、表面に孔が設けられており上下方向に移動可能に設けられる可動部材と、前記孔が前記容器内の所定位置まで下降した後に前記所定位置より上方の検知位置まで上昇するように前記可動部材を移動させる駆動機構と、前記検知位置において前記孔における液体現像剤の有無を検知する液体検知部と、を有する液面高さ検知装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−175054(P2009−175054A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15411(P2008−15411)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】