説明

淡水化システムにおけるスケール形成及び付着を抑制する方法

本発明は温熱式及び膜式淡水化プロセスにおける、腐食と、硫酸カルシウム及び炭酸カルシウムのスケーリングとを抑制する改善方法に関する。本方法は脱塩プロセスにおいて、低重合体型ホスフィノこはく酸を有する組成物を海水又は再循環かん水に添加して、飲料及び工業用途の水を生成するステップを含む。本方法は更にモノ型、ビス型及び低重合体型ホスフィノこはく酸付加物を含む組成物を脱塩プロセスに添加するステップを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脱塩プロセスにおけるスケール形成及び付着を防ぐ方法に関する。特に、本発明は脱塩プロセスで低重合体型ホスフィノこはく酸(oligomeric phosphinosuccinic acid)を含むスケール抑制組成物を用いて、飲料、工業及び農業用途の水を製造する方法に関する。本発明は特に、温熱及び膜式脱塩プロセスで、ホスフィノこはく酸低重合体、又は低重合体型ホスフィノこはく酸付加物を含む組成物を用いて、塩水源から飲用水を製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
脱塩、淡水化又は脱塩化は水から塩を除去する水処理プロセスである。これらの水処理プロセスは一般的に、海水又は汽水から飲用又は飲料水を製造するのに用いられる。商業上利用可能な脱塩プロセスはメジャーなプロセスとマイナーなプロセスとに分類できる。メジャーなプロセスは熱駆動型又は温熱式プロセスと、圧力駆動型又は膜式プロセスとを含んでいる。温熱式プロセスは、多段フラッシュ蒸留法と、多重効用蒸留法と、蒸気圧縮法とを含んでいる。膜式プロセスは、電気透析法と逆浸透法とを含んでいる。マイナーなプロセスは、凍結法と、膜蒸留法と、太陽給湿法とを含んでいる。
【0003】
スケール形成及び付着は、脱塩プロセスで用いられる設備において重大な問題である。スケールは溶解した無機質の濃度がその溶解限界を超え、無機質が沈殿する場合に形成される。例えば、温熱式淡水化プロセスの温度、pH、水の組成、及び滞留時間は、形成する可能性のあるスケールの型、ひいてはスケール制御要求を決定する。低温度(例えば、約80℃から約85℃まで)で、炭酸カルシウム(CaCO)スケールが一般的に形成される。約90℃から約95℃までの温度で一般的にMg(OH)スケールが一般的に生じる。一般的には、海水又は塩水が約115℃又はそれ以上に近づくと、硫酸カルシウム(CaSO)がスケール形成に対する主因となる。CaSO物質は、現存するあらゆる管又は面をコーティングする硬いスケールを形成する。特にCaSOスケールの場合、スケールは温熱的及び機械的な問題を生成し、時として除去するのが難しい。膜式プロセスは一般的に廃棄流におけるスケール形成の問題を有している。
【0004】
スケール形成を防ぐ既知の方法は、温熱式淡水化プロセスにおいて海水濃度レベル及び温度を制御するステップを含む。多段フラッシュ蒸留プラントは通常、90℃から110℃までの温度で動作し、高温度でプロセスを動作させるステップは効率を増大させるが、スケール形成のポテンシャルの増加及び金属面の腐食の加速を同時に伴っている。化学的なスケール抑制剤は更に温熱式及び膜式プロセスの双方に用いられる。商業上入手可能な例は、BWA Water Additives社のBelgard(登録商標)及びFlocon(登録商標)と、BASF−The Chemical Company社のSokalan(登録商標)PM10及びPM15とを含んでいる。
【0005】
逆浸透法のエンドユーザは高分子スケール抑制剤/分散剤の添加のような、化学的な事前処理を頻繁に用いて、所望されない無機質スケーリングを抑制している。一部のケースにおいては、ヘキサメタりん酸ナトリウム(SHMP)のような無機抑制剤が用いられている。例えば、米国特許第4,563,284号は、ホスホノカルボン酸と、ホスホン酸及びポリアクリアートの双方の特徴を含むテロメア型ホスフィノカルボン酸とを添加することによりスケール形成する塩の形成及び付着を抑制するための方法を開示している。米国特許第4,762,621号はアクリル酸と、イタコン酸の低級アルキルエステルとの共重合体を含むスケール抑制剤を開示している。米国特許第4,784,774号はマレイン酸の同種重合体か、3乃至5の炭素原子を含む一飽和モノカルボン又はジカルボン酸、あるいはその塩と、ホスホノアルカンカルボン酸との共重合体を含むスケール抑制剤を開示している。
【0006】
従って、海水蒸留プラント及び逆浸透システムにおける主要な動作上の問題は、無機質スケールの形成であり、伝熱を低減し、管を塞ぎ、最終的には定格のプラント容量を少なくし、コストを増大させる。産業界が新しいスケール抑制剤に対するニーズを認知するとともに、スケール抑制剤を用いる、改善された方法を開発することに対するニーズが存在している。
【0007】
従って、淡水化システムにおけるスケール形成を抑制する方法が開示されている。その方法は、低重合体型ホスフィノこはく酸を有する有効量のスケール抑制組成物を塩水源に添加することによって淡水化プロセスにおけるスケールの形成及び付着を抑制するステップを含んでいる。ある実施例においては、その方法は、有効量の記載された組成物を添加することによって、淡水化プロセスにおける腐食を抑制するステップを含んでいる。一実施例においては、スケール抑制組成物は、式[R−(POOM)−R1]を有し、R及びR1は独立で、H、[CH(COOM)]あるいは[CH(COOM)−CH(COOM)]である、ホスフィノこはく酸低重合体を含んでいる。X及びYは0又は小さな整数のいずれかであり、XとYの合計は2より大きい、MはH、Na、K、NH等、又はその組合せからなる群から各生成で独立的に選択される。
【0008】
別の実施例においては、スケール抑制組成物はモノ型、ビス型及び低重合体型ホスフィノこはく酸付加物を含んでいる。好ましくは、組成物は約20モルパーセント乃至約85モルパーセントのビス型ホスフィノこはく酸付加物を含んでいる。最も好ましくは、組成物は約36モルパーセント乃至約49モルパーセントのビス型ホスフィノこはく酸付加物と、約26モルパーセント乃至約35モルパーセントの低重合体型ホスフィノこはく酸付加物とを含んでいる。
【0009】
更なる実施例においては、スケール抑制組成物は、約22モルパーセント未満のホスフィニコビス−こはく酸一ナトリウム(monosodium phosphinicobis−succinic acid)と、約26モルパーセント未満のホスフィニコ−こはく酸一ナトリウム(monosodium phosphinico−succinic acid)と、約12モルパーセント未満のホスホこはく酸ナトリウム(sodium phosphosuccinic acid)と、約5モルパーセント未満のりん酸ナトリウムと、約6モルパーセント未満のりん酸ナトリウムと、約6モルパーセント未満の次亜りん酸ナトリウムと、約32モルパーセントより大きい、ホスフィノこはく酸低重合体とを含んでいる。別の実施例においては、スケール抑制組成物は(ホスフィノこはく酸低重合体を含む、)約40重量パーセントの無水マレイン酸反応生成物を含んでいる。
【0010】
温熱式及び膜式淡水化プロセスのような、商業上の淡水化プロセスにおけるスケール形成及び付着を抑制する方法を提供することが本発明の利点である。
【0011】
低重合体型ホスフィノこはく酸組成物を用いて、商業上の淡水化プロセスにおけるスケール形成及び付着を抑制することが本発明の別の利点である。
【0012】
本発明の更なる利点は、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び他のスケールのような、スケールの形成及び付着を抑制する方法を提供することである。
【0013】
本発明の更なる利点は、温熱式淡水化プロセスの高い動作温度で回復を増大させ、コストを低減するのを可能にするスケール抑制剤を提供することである。
【0014】
本発明の更なる利点は、低重合体型ホスフィノこはく酸組成物を用いて、商業上の淡水化プロセスにおける腐食を抑制する方法を提供することである。
【0015】
更なる特徴及び利点は、本明細書中に記載されており、以下の詳細な説明及び実施例で明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
多くの異なる型の商業上の淡水化又は脱塩のプロセス又は動作が存在する。この開示はこのような動作の総ての型を取り込むのに役立つ。本明細書中に記載の方法はいずれかの好適な淡水化プロセスにおいて用いられうる。代表的な商業上の脱塩プロセスは多段フラッシュ蒸留法、多重効用蒸留法、及び蒸気圧縮法のような温熱式プロセスと、電気透析法及び逆浸透法のような膜式プロセスを含んでいる。凍結法、膜蒸留法、及び太陽給湿法のようなプロセスは更に用いられる。
【0017】
[スケール抑制組成物]
本発明のホスフィノこはく酸低重合体(PSO)ベースのスケール抑制剤は、単独で、又は腐食抑制剤、他のスケール抑制剤、殺生物剤、分散剤、並びに、商業上の淡水化プロセスに用いられるその他の付加剤及び補助剤と組み合わせて用いることができる(以下により詳細に記載する)。このような組合せはいくつかの実施例においては、腐食抑制、スケール抑制、分散性(dispersency)及び/又は微生物成長の点で相乗効果を及ぼす。
【0018】
記載の組成物はいずれのpHでも有効である。しかしながら、淡水化システムにおけるpHは一般的に、約6.5乃至約9.5であり、約5乃至約6程度に低くしてもよい。一実施例においては、記載の組成物はpH調整薬を含んでいる。すなわち組成物は、pHを調整し、pHを制御し、及び/又はpHを維持できるいずれかの好適な物質又は化合物を含んでいる。代表的なpH調整薬はりん酸三ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等、及びその組合せを含んでいる。
【0019】
ある実施例においては、本発明のスケール抑制組成物は米国特許第5,023,000号に記載のように、高いホスフィノこはく酸低重合体含有率を含んでいる。この実施例においては、スケール抑制組成物は約22モルパーセント未満のホスフィニコビス−こはく酸一ナトリウムと、約26モルパーセント未満のホスフィニコ−こはく酸一ナトリウムと、約12モルパーセント未満のホスホこはく酸ナトリウムと、約5モルパーセント未満のりん酸ナトリウムと、約6モルパーセント未満のりん酸ナトリウムと、約6モルパーセント未満の次亜りん酸ナトリウムと、約32モルパーセントより大きい、一般式[R−(POOM)−R1]のホスフィノこはく酸低重合体とを含んでいる。R及びR1は独立で、H、[CH(COOM)]あるいは[CH(COOM)−CH(COOM)]である。X及びYは0又は小さな整数のいずれかであり、XとYの合計は2より大きい、MはH、Na、K、NH等、又はその組合せからなる群から各生成で独立的に選択される。代表的な合成手段は以下の実施例7で説明されている。
【0020】
別の実施例においては、組成物はモノ型(式I)及びビス型(式II)低重合体型ホスフィノこはく酸付加物(以下に示すような)並びに1又はそれ以上の低重合型種を有するPSOベースのスケール抑制剤を含んでいる。式I及びIIのモノ型及びビス型の付加物は、以下の中性の有機ホスフィン酸種として表される場合、ホスフィン及びカルボン酸基は更に塩形態で存在しうると理解すべきである。代替的な実施例においては、混合物は、式Iの付加物の酸化で誘導体化されたいくつかのホスホノこはく酸(phosphonosuccinic acid)、並びに式(HPO、(HPO2−、及び(PO3−の様々な無機亜りん酸副生成物のような不純物を更に含むことができる。
【0021】
【化1】

【0022】
低重合体型種の可能な構造は、米国特許第5,085,794号、第5,023,000号、及び第5,018,577号で提供される(各々が全部引用として本明細書中に取り込まれている)。更に、低重合体型種はホスホノこはく酸のエステルを更に含み、ホスホン酸基はこはく酸から誘導されるアルキル基でエステル化される。モノ型、ビス型、及び低重合体型成分は一般的に以下のようなpH5の水中でのプロトンデカップリングNMRスペクトルにおけるピーク群によって特徴づけられ、モノ型は26乃至29ppm間の1のピークであり、ビス型は30乃至35ppm間の2のピークであり、低重合体型は29乃至33ppm間の多数のピークである。
【0023】
本発明の好ましい態様においては、組成物は亜リン酸に基づき、約20乃至約85モルパーセントのビス型付加物を含んでいる。ある実施例においては、組成物は約36モルパーセント乃至約49モルパーセントのビス型ホスフィノこはく酸付加物と、約26モルパーセント乃至約35モルパーセントの低重合体型ホスフィノこはく酸付加物とを含んでいる。組成物はある実施例によると、水中で次亜りん酸塩をマレイン酸およびフマル酸のスラリ又は溶液に添加して、反応混合物を生成することによって調製される。フリーラジカル開始剤が反応混合物に導入されて、反応を起こす。スラリの場合において、固体容量はスラリが混合されうる限り、重大な意味を持たない。一般的にスラリは約35重量パーセント乃至約50重量パーセントの固体濃度を有している。
【0024】
反応混合物は好ましくは約40℃乃至約75℃で選択的に加熱され、次亜りん酸塩の添加が続き、適度な短時間で所望のホスフィノこはく酸付加物への変換を供する。本明細書中に用いられるように、「次亜りん酸塩(hypophosphite)」は、次亜りん酸又は次亜りん酸ナトリウムのような次亜りん酸の塩を示している。反応混合物はある実施例よると、塩基で部分的又は全体的に中和されうる。水溶性の水酸化ナトリウムは好ましい塩基であり、マレイン及び/又はフマル酸塩を含むスラリを提供している。水酸化カリウムや水酸化アンモニウムのような、フマル又はマレイン酸と塩を形成することが可能な他の塩基を用いてもよい。塩基は次亜りん酸塩の前、後、又は同時に添加してもよい。
【0025】
好適なフリーラジカル開始剤は過硫酸塩、過酸化物及びジアゾ化合物を含む。好ましい開始剤は過硫酸アンモニウムである。開始剤は総て一度に反応混合物に添加、又は数時間にわたり反応混合物に導入してもよい。開始剤は次亜りん酸塩に基づき、約10モルパーセント乃至約15モルパーセントの量で混合物に好ましくは導入される。
【0026】
りん化物酸性組成物を調製するための手順において、次亜りん酸塩に対しマレイン酸が約2:1の比率で用いられる。反応生成物は優位には上述のような、モノ型、ビス型及び低重合体型ホスフィノこはく酸付加物及び無機りん酸塩である。ある実施例においては、反応がマレイン酸(シス型1,4−こはく酸)の代わりにフマル酸(トランス型1,4−こはく酸)で行われた場合、モノ型、ビス型及び低重合体型ホスフィノこはく酸付加物の比率が変えられる。この変えられた組成物は、マレイン酸が同じ反応条件下で用いられる場合に生成される組成物と比較して、より有効な腐食及びスケール抑制特性を呈示する組成物を生じる。特に、フマル酸ベースのプロセスは、次亜りん酸塩及びフマル酸原料の所望されるホスフィン酸へのより有効な変換によって、組成物中のビス型付加物の量を増大させ、組成物中の副生成物の量を減少させる単一の手段を提供している。
【0027】
フマル酸ベースのプロセスは一般的には、フマル酸がマレイン酸の代わりに用いられることを除いては、マレイン酸ベースのプロセスに非常に似ている。好ましくは、フマル酸はマレイン酸の異性化によって生成される。より好ましくは、フマル酸は水溶液中で無水マレイン酸を加水分解することによって調製されて、マレイン酸の水溶液を調製し、その後、加熱又は好適な触媒を用いてフマル酸の水溶液を形成して異性体にされる。異性化は高温度でのみ熱によって得られるため、触媒を通常用いて、反応が比較的穏和な条件下で進行するのを可能にする。転位用の好適な触媒はチオ尿素及び酸化物と様々な臭素化合物との混合物を含んでいる。好適な触媒は臭化物塩の過硫酸塩との混合物である(米国特許第3,389,173号、「Ind.Eng.Chem.Res.1991,30,2138−2143;Chem.Eng.Process.,30(1991),15−20」参照)。好適には臭化ナトリウムと過硫酸アンモニウムとの混合物が、水性媒体中でこの転位を与えるのに用いられる。
【0028】
ある実施例においては、水溶性のフマル酸溶液は次いで、上述のような次亜りん酸塩及びラジカル開始剤のフマル酸溶液への添加によって本発明のホスフィン酸ベースのスケール抑制剤に変換される。反応混合物中の次亜りん酸塩に対するフマル酸の好ましい比率は、約1.75:3である。好ましくは、反応混合物が約60℃で加熱される間、開始剤は数時間にわたり添加される。次亜りん酸塩が有機りん生成物にほぼ完全に変換されるまで、反応が進行するのを可能にさせる。
【0029】
[適用の方法]
上述のように、本発明の方法はいずれかの型の淡水化、脱塩又は同様のプロセスで用いられうることが考慮される。更に、開示された方法がいずれかの型のスケールを抑制するために用いられいる。代表的なスケールはカルシウム、りん酸、マグネシウム、硫酸、炭酸水素、ケイ酸、炭酸、鉄等、及びその組合せのような成分を含むものである。共通スケールの例は、硫酸カルシウムと、炭酸カルシウムと、水酸化マグネシウムと、炭酸マグネシウムとを含んでいる。
【0030】
脱塩装置は基本的に高い塩濃度を有する水の流入流動を2の出力流動に分離しており、一方は低濃度の溶解された塩を有し(飲用、飲料又は淡水)、他方は濃縮された塩を有している(例えば、かん水再循環流動又は廃棄流)。好ましい実施例においては、本発明の方法は、有効量のスケール抑制組成物を流入流動又はこのような装置のかん水再循環流動に添加するステップを含んでいる。商業上の脱塩装置の例は上述している。温熱式プロセスの場合においては、プロセスはいずれかの好適な温度で動作できる。好ましい実施例においては、温熱式プロセスは約80℃乃至約120℃で動作する。別の好ましい実施例においては、温熱式プロセスは約120℃乃至約160℃で動作する。
【0031】
スケール抑制組成物はプロセス中のいずれかの時点又は段階で水に、好ましくは海水の流入流動又は再循環かん水に添加されうることを理解すべきである。本発明の方法を実装するのに要求されないが、スケール抑制組成物は消泡剤、殺生物剤、伝熱亢進用界面活性剤、1又はそれ以上の腐食抑制剤、1又はそれ以上の他のスケール抑制剤(例えば、ポリアクリアート、ポリカルボキシレート、又はポリマレイン酸)、1又はそれ以上の蛍光トレーサ、1又はそれ以上の水処理用高分子、又はその他の好適な補助剤若しくは更なる成分と組み合わせてもよい。いずれの補助剤又は成分も本発明が更なる成分又はプログラムとなる、現存のスケール抑制プログラムの一部分となってもよい。補助剤はスケール抑制組成物の一部であってもよく、別の別個の組成物又は複数の組成物であってもよい。代替的な実施例においては、このような成分は本発明のスケール抑制組成物と同時及び連続に添加してもよい。
【0032】
例示的な腐食及び他のスケール抑制剤は、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、りん酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜鉛及びその塩、ポリカルボン酸若しくは安息香酸等のようなポリカルボキシレート、その組合せ、又はその他の好適な腐食若しくはスケール抑制剤を含んでいる。例示的な水処理用高分子はポリアクリル酸、ポリマレイン酸、及びアクリルアミドプロピルスルホン酸の共重合体及び三元共重合体、プリズムポリマ、スルホン酸ベースの重合体、及び、アクリル酸、アクリルアミド、スルホメチル化されたアクリルアミド等及びその組合せの三元共重合体又は共重合体を含んでいる。
【0033】
本発明のPSOベースのスケール抑制組成物は塩水源の容量に基づいて、0.1ppm乃至約10,000ppm、好ましくは約0.2ppm乃至約100ppm、最も好ましくは約1ppm乃至約30ppmの量で塩水源に添加される。塩水源は海水、汽水、かん水等のような生理食塩水源にしてもよい。
【0034】
ある実施例においては、記載の組成物は特定の間隔で特定の用量でシステムに添加され、当該技術分野の当業者に公知の分析化学的手段によってモニタリングできる。代替的な実施例においては、システム中の組成物の用量及び濃度をモニタリングするステップは、蛍光性又は吸光性成分(すなわち、トレーサ)を有する分子を用いるステップを含んでいる。このようなトレーサは一般的に非活性であり、スケール抑制組成物に対し既知の割合でシステムに添加される。本明細書中で用いられるような「非活性(inert)」は、非活性トレーサ(例えば、非活性蛍光トレーサ)が淡水化システム中のその他の物質又は金属組成物、微生物学的活性、殺生物剤濃度、熱変化、全体の熱容量又は他のパラメータのような他のシステムパラメータによって明確に又は有意に影響を受けるわけではないことを意味している。「明確に又は有意に影響を受けるわけではない(Not appreciably or significantly affected)」は、非活性蛍光化合物が、淡水化システム中に標準的に発生させた条件下で、その蛍光信号に約10パーセントの変化しか有しないことを意味している。
【0035】
本発明の方法での使用に好適な、代表的な非活性蛍光トレーサは、1,3,6,8−ピレンテトラスルホン酸の四ナトリウム塩(CAS登録番号59572−10−0)と、限定されないが、2−アントラセンスルホン酸ナトリウム塩(CAS登録番号16106−40−4)を含むモノスルホン化されたアントラセン及びその塩と、ジスルホン化されたアントラセン及びその塩(全部引用として本明細書中に取り込まれる、2003年7月31日に出願された、「Use of Disulfonated Anthracenes as Inert Fluorescent Tracers」という名称の米国特許出願第10/631,606号参照)と、米国特許第6,966,213B2号(全部引用として本明細書中に取り込まれる)に列挙されたような蛍光トレーサと、他の好適な蛍光化合物と、その組合せとを含んでいる。これらの非活性蛍光トレーサはNalco Company(登録商標)社(イリノイ州ネーパーヴィル)の商品名TRASAR(登録商標)の元で入手可能であり、又は有機物質の当業者に既知の技術を用いて合成してもよい。
【0036】
光の吸光度又は蛍光度を用いてトレーサの濃度をモニタリングすることは、スケール抑制組成物用量の正確な調整を可能にする。例えば、非活性蛍光物質の蛍光信号を用いて、システム中のスケール抑制組成物又は化合物の濃度を決定できる。次いで、非活性蛍光物質の蛍光信号を用いて、所望量のスケール抑制組成物又は生成物が淡水化システム中に存在するかどうかを決定し、次いで組成物の供給を調整して、所望量のスケール抑制剤がシステム中にあることを保証できる。
【0037】
[実施例]
前述のことは以下の実施例を参照することによってより良く理解できるが、例示的な目的について意図し、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例1】
【0038】
次亜りん酸塩に対し2.1:1のモル比のフマル酸が本実施例で用いられた。75.9パーツの粉砕された無水マレイン酸ブリケットは、機械式攪拌装置、冷却器、窒素入口、及び加熱器で装備された1リットルの樹脂製フラスコ中の104.4パーツの水に添加された。無水物はマレイン酸溶液を生成するために40℃で加水分解されるようにした。反応は60℃まで加熱され、臭化ナトリウムの溶液(0.20パーツの水に溶解した0.16パーツ)、その直後に過硫酸アンモニウムの溶液(1.49パーツの水に溶解した0.43パーツ)が添加された。プロトンNMRによって検証されるように、60分以内に水中の発熱反応が183.6パーツの49.2重量パーセントのフマル酸のスラリに変換した。
【0039】
次亜りん酸ナトリウム一水和物(38.9パーツ)は、機械式攪拌装置、冷却器、窒素入口、及び加熱器を有する1リットルの樹脂製フラスコに含まれる水に、182.6パーツの49.2重量パーセントのフマル酸のスラリに添加された。過硫酸アンモニウムの溶液(36.9パーツの水に溶解された10.9グラム)は次いで5時間にわたって添加され、窒素ブランケット下で60℃の反応温度を維持した。反応溶液は更に1乃至5時間加熱され、その後外部冷却下、96.2パーツの50%の水酸化ナトリウム水溶液でpH6に調整された。最終的に18パーツの水が添加された。
【0040】
生成物は、以下の表1に記載の次亜りん酸/フマル酸付加物の塩からなり、以下の成分のモル分布を呈示し、亜リン酸のNMR分析によって決定された。第1のデータセットは上述の手順による400乃至600グラムのスケールで実行された4の反応の平均を表わしている。第2のデータセットはフマル酸のスラリが126グラムのスケールで水とフマル酸を混合することによって調製されたことを除いて、上述のように実行された。
【0041】
【表1】

【実施例2】
【0042】
次亜りん酸塩に対し2.5:1のモル比のフマル酸が本実施例で用いられた。反応条件は実施例1に記載の通りである。生成物は、以下の表2に記載の次亜りん酸/フマル酸付加物の塩を含み、亜リン酸のNMR分析によって決定されるように以下の成分のモル分布を呈示する。
【0043】
【表2】

【実施例3】
【0044】
本例は比較例であり、実施例2と同様の2.5:1のモル比でフマル酸の代わりにマレイン酸を用いた。フマル酸で得られた結果は予期されないものであることが示された。第1のデータセットは上の一般的な手順を用いて研究室で得られた結果を示し、第2のデータセットはフマル酸に対し同じモル比のマレイン酸を用いて実行されたプラントを示している。
【0045】
実施例1で記載された一般的な反応条件は、マレイン酸が同一モル濃度でフマル酸と置換されたことを除いて反復された。生成物は、以下の表3に記載の次亜りん酸/マレイン酸付加物の塩からなり、亜リン酸のNMR分析によって決定される以下の成分のモル分布を呈示した。
【0046】
【表3】

【実施例4】
【0047】
本実施例は次亜りん酸塩に対し、低い1.75:1の比率のフマル酸を用いた。30%より多くのビス型生成物を得られず、高レベルの所望されない無機亜りん酸を有した。反応条件は多量の次亜りん酸塩が用いられて、次亜りん酸塩に対しフマル酸のモル比が1.75:1であったことを除いては、実施例1に示した通りである。生成物は、以下の表4に記載の次亜りん酸/フマル酸付加物の塩からなり、亜リン酸のNMR分析によって決定される以下の成分のモル分布を呈示した。
【0048】
【表4】

【実施例5】
【0049】
本実施例においては、2.1:1のモル比の実質的に中和されたフマル酸ナトリウムのスラリを用いて、プロセスがフマル酸塩の使用によって広範なpH範囲にわたり作用することを示した。この場合においては、80%のフマル酸に関し、カルボン酸がカルボン酸ナトリウム形態に変換され、pHは約1から約6まで増加した。
【0050】
次亜りん酸ナトリウム一水和物(13.0グラム)は機械式攪拌装置、冷却器、窒素入口及び加熱器で装備された250mlの樹脂製フラスコに含まれた、水中で61.0の49.1重量パーセントのフマル酸のスラリに添加された。水溶性の50%水酸化ナトリウム(32.1グラム)はその後、混合及び冷却下で添加された。過硫酸アンモニウムの溶液(6.0グラムの水に溶解された3.6グラム)は次いで5時間にわたり添加され、その間反応温度は窒素ブランケット下で60℃に維持された。反応溶液は更に1乃至5時間加熱され、6グラムの水が添加された。生成物は、以下の表5に記載の次亜りん酸/フマル酸付加物の塩からなり、亜リン酸のNMR分析によって決定される以下の成分のモル分布を呈示した。
【0051】
【表5】

【実施例6】
【0052】
ステップ1:ホスフィノコビス(ジメチルこはく酸)一ナトリウム:次亜りん酸塩に対し2.1:1のモル比のジメチルマレイン酸が本実施例では用いられた。7.325パーツの次亜りん酸ナトリウムが磁気式攪拌機、冷却器、窒素入口、加熱器、及び滴下漏斗で装備された樹脂製フラスコ中の6.25パーツの水及び12.5パーツのエタノールに添加された。この溶液は80℃に加熱された。20.75パーツのジメチルマレイン酸、0.86パーツのベンゾイル過酸化物(70%溶液)、及び25パーツのエタノールを含む溶液が次いで4.75時間にわたり反応フラスコへの液滴で添加された。反応混合物は更に15分間加熱されその後冷却された。溶媒が減圧下で回転蒸発によって除去された。
【0053】
ステップ2:ホスフィノコビス(こはく酸)一ナトリウム:34.5パーツのホスフィノコビス(ジメチルこはく酸)一ナトリウムが磁気式攪拌機、冷却器、及び加熱器で装備された反応フラスコ中の20パーツの水及び55.4パーツの50%の水酸化ナトリウム水溶液に添加された。反応は100℃まで加熱され、その温度で2時間維持された。生成物は20パーツの水で希釈され、40.4パーツの塩酸で約pH6に中和された。
【0054】
生成物は、以下の表6に記載の次亜りん酸/フマル酸付加物の塩からなり、亜リン酸のNMR分析によって決定される以下の成分のモル分布を呈示した。
【0055】
【表6】

【実施例7】
【0056】
無水マレイン酸(306.25グラム、3.125モル)ブリケットは粉砕され、約516.9グラムの水と共に1.5リットルの反応フラスコに添加された。その懸濁液は約15分間攪拌され、無水マレイン酸が溶解及び加水分解するのを可能にした。最初のステップは溶液の温度を21℃から32℃まで上昇させた。更に45分間攪拌した後に、緩やかな発熱量が沈静化し始め次亜りん酸ナトリウム一水和物(132.5グラム、1.25モル)が添加された。次亜りん酸ナトリウムが溶解されると、第2の緩やかな発熱量が生じた。窒素パージングが始まり、反応混合物は30分間にわたり60℃に加熱された。過硫酸アンモニウム溶液は約4時間にわたり添加された(99.75グラムの37.22%水溶液)。温度は60℃乃至61℃に調整された。触媒の添加が完了した際に、60℃での加熱は約2乃至2.5時間継続された。
【0057】
加熱は継続され、陰性デンプンヨード試験により示されるように、酸化剤が消費及び消滅するまで、徐々に80℃まで増大させた。明瞭な黄色の溶液が高い酸性(pH1)であった。中和前の最終生成物の濃度は44.77%であった(マレイン酸及び次亜りん酸ナトリウムの完全な取込みを仮定する)。反応混合物の分析は最終生成物の混合物中のマレイン酸の不存在を示す、31P及び13CのNMRを用いてなされた。
【0058】
サンプル(上述された、100.0グラムの44.77%溶液)は50%の水酸化ナトリウムの液滴添加によってpH7.0に中和された。溶液の温度は観察され、氷水バス冷却で60℃又はそれ以下に維持された。生じた溶液の濃度は30.79%であった(希釈に基づいて計算された)。
【実施例8】
【0059】
8.8乃至9.0のpHで5,000ppmのCa(CaCOのような)を有する新しい硫酸カルシウム溶液の試験用水が調整され、各試験用に用いられた。試験用水は加熱前の原子吸光によってCa濃度について分析された。Parr Reactor(イリノイ州モリーンにあるParr Instrument Company社から入手可能な)の試験プロトコルは、サンプリング管と攪拌機で設計された、テフロン(登録商標)管のオートクレーブを含んでいる。反応器は250mlの新しく調製された試験用水で充填され、密封され、窒素ガスで40psigに加圧された。低温試験用に、オートクレーブは試験用水の緩やかな攪拌を伴い、60℃に加熱された。試験温度に到達するとすぐに、攪拌は停止し、試験用水は24時間、60℃で保持された。試験用水のサンプルはサンプル管を介して除去され、サンプル管は液体/気体界面から約3分の1水浸させ、原子吸光によるCa分析(表7)のためにすぐに固定された。オートクレーブはその後高温度試験用に更に攪拌することなく、100℃に加熱された。温度は別に24時間、100℃で保持された。サンプル管を除去した後に、高温度の試験用水のサンプルは収集され、原子吸光Ca分析(表7)のためにすぐに固定された。
【0060】
【表7】

【0061】
【表8】

【実施例9】
【0062】
人工海水(ASW)が以下の処方:423mMのNaCl、9mMのKCl、9.27mMのCaCl・2HO(又は無水のCaCl)、22.94mMのMgCl・6HO(又は、無水のMgCl)、25.5mMのMgSO・7HO(又は、無水のMgSO)、及び2.14mMのNaHCO、によって調製された(マサチューセッツ州ウッズホールの海洋生物学研究所のCavanaugh,G.M.編集(1975)「Formulae and Methods of the Marine Biological Laboratory Chemical Room」参照)。
【0063】
5.6(表9)及び6.8(表10)の2のpHレベルは、様々なレベルの添加されたスケール抑制剤及び様々なASW濃度因子(CF)で試験された。各CFに対して濃縮されるまで、100℃、大気圧下で水サンプルを煮沸及び蒸発させることによってCFは得られた。CNT(コントロール値)はスケール抑制処理を受けなかった。PMAは約3重量パーセントのマレイン酸と、約7.5重量パーセントの(3−メチルフェニル)メチルこはく酸と、約3重量パーセントの(4−メチルフェニル)メチルこはく酸と、約39.5重量パーセントのポリ(マレイン酸)とを含む組成物での処理を受けた。PSOは約0.225重量パーセントの臭化ナトリウムと、約3.5重量パーセントの硫酸アンモニウムナトリウムと、次亜りん酸ナトリウムと、過硫酸アンモニウムナトリウム塩とを有する約40重量パーセントの無水マレイン酸反応生成物(ホスフィノこはく酸低重合体を含む)とを含む組成物での処理を受けた。FTU濁度(FTU)は所望のCFを得た後に、分光光度計Hach DR−2000を用いて測定された。以下の表の「ppm」はサンプル中のPMA又はPSOスケール抑制剤の濃度を示している。
【0064】
【表9】

【0065】
【表10】

【実施例10】
【0066】
海水(北海からの)が本実施例で試験するために用いられた。5.5(表11)、6(表12)、及び7(表13)という、3のpHレベルが、様々なレベルの添加されたスケール抑制剤及び様々な海水濃度因子(CF)で試験された。サンプルは実施例9と同様に処理された。
【0067】
【表11】

【0068】
【表12】

【0069】
【表13】

【0070】
本明細書中に記載された、この好ましい実施例に対する様々な変更及び変形が当該技術分野の当業者に明白であることは理解すべきである。このような変更及び変形は本発明の精神及び範囲を離れることなく、及び、その意図された利点を減ずることなく為されうる。従って、このような変更及び変形は添付の請求項によってカバーされることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
淡水化プロセスにおけるスケールの形成及び付着を抑制する方法であって、当該方法が、低重合体型ホスフィノこはく酸(oligomeric phosphinosuccinic acid)を含む有効量のスケール抑制組成物を塩水源に添加するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記淡水化プロセスが温熱式淡水化プロセス又は膜式淡水化プロセスであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記スケールが、カルシウム、りん酸、マグネシウム、硫酸、炭酸水素、ケイ酸、炭酸、鉄、及びその組合せからなる群から選択される1又はそれ以上の成分を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法が、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及びその組合せからなる群から選択されるスケールの形成及び付着を抑制するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記塩水源が海水を含み、前記スケール抑制組成物を、前記淡水化プロセスの海水の流入流動及び/又は前記淡水化プロセスの再循環かん水に添加するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法が、前記塩水源に基づき、約0.1ppm乃至約10,000ppmの前記スケール抑制組成物を添加するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法が、前記塩水源に基づき、約1ppm乃至約30ppmの前記スケール抑制組成物を添加するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1の記載の方法において、前記淡水化プロセスが当該プロセス中に約80℃乃至約160℃の水温を生成することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記淡水化プロセスが160℃より高い水温を生成することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記組成物の一部として、別個に、連続に、あるいは同時に添加され、ポリアクリアート、ポリカルボキシレート、ポリマレイン酸及びその組合せからなる群から選択されるスケール抑制剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記スケール抑制組成物が、式[R−(POOM)−R1]を有するホスフィノこはく酸低重合体を含み、R及びR1は独立で、H、[CH(COOM)]あるいは[CH(COOM)−CH(COOM)]であり、X及びYは0又は小さな整数のいずれかであり、XとYの合計は2より大きく、MはH、Na、K、NH又はその組合せからなる群から各生成で独立的に選択されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記スケール抑制組成物が、約22モルパーセント未満のホスフィニコビス−こはく酸一ナトリウム(monosodium phosphinicobis−succinic acid)と、約26モルパーセント未満のホスフィニコ−こはく酸一ナトリウム(monosodium phosphinico−succinic acid)と、約12モルパーセント未満のホスホこはく酸ナトリウム(sodium phosphosuccinic acid)と、約5モルパーセント未満のりん酸ナトリウムと、約6モルパーセント未満のりん酸ナトリウムと、約6モルパーセント未満の次亜りん酸ナトリウムと、約32モルパーセントより大きい、請求項11に記載のホスフィノこはく酸低重合体とを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記スケール抑制組成物が約40重量パーセントの無水マレイン酸反応生成物を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、前記スケール抑制組成物がモノ型、ビス型及び低重合体型ホスフィノこはく酸付加物を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項17に記載の方法において、前記スケール抑制組成物が約20モルパーセント乃至約85モルパーセントのビス型ホスフィノこはく酸付加物を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項17に記載の方法において、前記スケール抑制組成物が約36モルパーセント乃至約49モルパーセントのビス型ホスフィノこはく酸付加物と、約26モルパーセント乃至約35モルパーセントの低重合体型ホスフィノこはく酸付加物とを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法が、前記スケール抑制組成物の一部として、又は、前記スケール抑制組成物と別個に、連続に、あるいは同時に添加される、1又はそれ以上の腐食抑制剤と、1又はそれ以上の他のスケール抑制剤と、1又はそれ以上の蛍光トレーサと、1又はそれ以上の水処理用高分子と、その組合せとを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法が、非活性蛍光トレーサを用いることによって前記淡水化システム中の前記スケール抑制組成物の濃度をモニタリングするステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法が、前記スケール抑制組成物にpH調整薬を添加するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
低重合体型ホスフィノこはく酸を含む有効量の組成物を添加することによって、淡水化プロセスにおける腐食を抑制する方法であって、前記組成物が、(a)式[R−(POOM)−R1]を有し、R及びR1は独立で、H、[CH(COOM)]あるいは[CH(COOM)−CH(COOM)]であり、X及びYは0又は小さな整数のいずれかであり、XとYの合計は2より大きく、MはH、Na、K、NH又はその組合せからなる群から各生成で独立的に選択される、ホスフィノこはく酸低重合体と、(b)約36モルパーセント乃至約49モルパーセントのビス型ホスフィノこはく酸付加物及び約26モルパーセント乃至約35モルパーセントの低重合体型ホスフィノこはく酸付加物と、(c)約22モルパーセントのホスフィニコビス−こはく酸一ナトリウム、約26モルパーセント未満のホスフィニコ−こはく酸一ナトリウム、約12モルパーセント未満のホスホこはく酸ナトリウム、約5モルパーセント未満のりん酸ナトリウム、約6モルパーセント未満のりん酸ナトリウム、約6モルパーセント未満の次亜りん酸ナトリウム、及び約32モルパーセントより大きい、前記式[R−(POOM)−R1]を有するホスフィノこはく酸低重合体と、を含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2010−515569(P2010−515569A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545637(P2009−545637)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/050492
【国際公開番号】WO2008/088975
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】