説明

深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品の改良された製造方法

本発明は、深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品の製造装置に関するものであり、装置は、2本のエンボス加工用シリンダー(100、200)を備えて、それぞれのシリンダーが、その表面上に複数の突出部(110、210)を有する。各シリンダー上の突出部は、非ランダムパターンに配置されて、それぞれの前記非ランダムパターンが、相互に調和して配置される。2本のエンボス加工用シリンダーは、それぞれの前記調和して配置された突出部の非ランダムパターンが互いに嵌め合うように、整列して、突出部が約1.016mmより大きい深さに相互に係合するようになっている。突出部のそれぞれは、頂部平面(130、230)と側壁(140、240)を有し、前記頂部平面と前記側壁が突出部角(150、250)にて出合う。本発明の装置のエンボス加工用シリンダーの突出部の突出部角は、約0.076mm〜約1.778mmの範囲の曲率半径を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボス加工を通して紙強度の低下が著しく少なくなる結果が得られる、深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品を製造するための改良された方法に関するものである。本発明はまた、そのような製品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙製品を、エンボス加工されていない製品よりも吸収性があり、柔軟、及び嵩高にするためのエンボス加工は、当該技術分野において周知である。エンボス加工技術にはピン・トゥ・ピン(pin-to-pin)型エンボス加工が含まれ、ここで、それぞれのエンボス加工ロール上の複数の突出部が、突出部の頂部が紙製品を通して互いに接触するように合わせられることにより製品の繊維構造を圧縮する。また、この技術にはオス−メス型エンボス加工、すなわち嵌め合わされたエンボス加工が含まれ、ここで、一方又は両方のロールの複数の突出部は、他方のロールの非突出領域又はメス型凹部のいずれかと整列させられる。米国特許第4,921,034号(バージェス(Burgess)ら、1990年5月1日発行)は、エンボス加工技術に関する更なる背景を記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多プライのティッシュ製品の深く嵌め合わされたエンボス加工は、米国特許第5,686,168号(ローレント(Laurent)ら、1997年11月11日発行)、同第5,294,475号(マクニール(McNeil)、1994年3月15日発行)、米国特許出願シリアル番号11/059,986、及び米国特許出願シリアル番号10/700,131にて教示されている。これらの技術は、多プライのティッシュの接着剤接合を改善するのに及び新しい美的印象を紙製品上にもたらすのに有用であったが、製造者らは、深く嵌め合わされたある種のエンボス加工パターンを作り出す時、得られた紙がエンボス加工を通してその強度のかなりの量を失うことを観察してきた。深く嵌め合わされたエンボス加工の美的印象の改善にもかかわらず、この強度の低下した紙製品が、製品の受容を減退させることは予期されていたことである。
【0004】
丸み付きのエンボス加工突起を含む新規エンボス加工用装置が、エンボス加工プロセスを通った後、より多くの当初の強度を維持する、深く嵌め合わされたエンボス加工紙製品を提供できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品の製造装置に関するものであり、装置は、2本のエンボス加工用シリンダーを備え、それぞれが軸線上で回転可能であり、軸線は相互に平行である。各シリンダーは、その表面上に複数の突出部、すなわちエンボス加工用ノブを有する。各シリンダー上の複数の突出部は、非ランダムパターンに配置され、それぞれの前記非ランダムパターンが、相互に調和して配置される。2本のエンボス加工用シリンダーは、それぞれの前記調和して配置された突出部の非ランダムパターンが互いに嵌め合うように、整列して、突出部が約1.016mmより深い深さに相互に係合するようになっている。突出部のそれぞれは、頂部平面と側壁を有し、前記頂部平面と前記側壁が突出部角にて出合う。本発明の装置のエンボス加工用シリンダーの突出部の突出部角は、約0.076mm〜約1.778mmの範囲の曲率半径を有する。
【0006】
本発明はまた、深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品の製造方法に関するものであって、a)エンボス加工前の湿潤破裂強度を有する1枚以上のプライの紙を製造する工程と、b)1枚以上のプライの紙にエンボス加工する工程とを含み、得られた単数プライ又は複数プライのエンボス加工された紙が、少なくとも約650μmの平均エンボス高さを有する複数のエンボスを含み、エンボス加工前の湿潤強度の約85%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品20の製造装置に関するものであり、装置は、2本のエンボス加工用シリンダー100と200を備え、それぞれが軸線上で回転可能であり、軸線は相互に平行である。各シリンダーは、その表面上に複数の突出部110と210すなわちエンボス加工用ノブを有する。各シリンダー上の複数の突出部は、非ランダムパターンに配置されて、それぞれの前記非ランダムパターンが、相互に調和して配置される。2本のエンボス加工用シリンダー100と200は、それぞれの前記調和して配置された突出部110と210の非ランダムパターンが互いに嵌め合うように、整列して、突出部が相互に係合するようになっている。突出部のそれぞれは、頂部平面130と230と、側壁140と240とを有し、前記頂部平面と前記側壁が突出部角150と250にて出合う。本発明の装置のエンボス加工用シリンダーの突出部の突出部角は、曲率半径rを有する。
【0008】
本装置は、1枚以上のプライの紙にエンボス加工することに使用でき、これにより、その前は本質的に平らであった紙に第三の深さ寸法を付与する。その装置は、当業界で既知のいかなるエンボス加工用設備に基づいてもよい。その装置は、深く嵌め合わされてエンボス加工された製品を製造するのに特に有利である。図3に示されるように、「深く嵌め合わされたエンボス加工」により、エンボス加工が、対のエンボス加工用ロール又はエンボス加工用シリンダー100と200を利用し、それぞれの突出部110と210が、調和して配置されるように合わされ、1つのロールの突出部が、他方のロールの突出部間の空間120と220の幾つかの中へ適合するようになっていることを意味する。
【0009】
その装置は、典型的なエンボス加工用装置のハウジングの中に収容されていてもよく、軸線の回りでそれぞれが回転可能な2本のエンボス加工用シリンダー100と200を備えてもよい。シリンダーは通常、その軸線と相互に平行に、装置内で配置される。各シリンダーは、エンボスノブとも呼ばれる非ランダムパターンに配置された複数の突出部110と210を含む外面を有する。突出部を含む表面は、エンボス加工用ロールに通常使用されるいかなる材料で作製されてもよい。そのような材料として、限定するものではないが、鋼、エボナイト、及び硬質ゴムが挙げられる。第一と第二のシリンダー上の非ランダム突出部パターンは、突出部が上述のように深く嵌め合うように、調和して配置される。突出部は、頂部平面130と230と、側壁140と240とを有し、前記頂部平面と前記側壁が突出部角150と250にて出合う。ノブは、いかなる断面形状を有してもよいが、円又は楕円形状が、紙製品のエンボス加工用途に最も通常である。
【0010】
深く嵌め合わされたエンボス加工は、2本のエンボス加工用シリンダーの突出部が係合して、1つのシリンダーの頂部表面130が、他方のシリンダーの突出部210の間の空間220の中へ突出部の頂部230を越えて延びるようになっていることを必要とする。係合300の深さは、最終紙製品上で望まれるエンボス加工の程度によって変化してもよい。典型的な実施形態では、深さ300は、約1.016mmより深い、約1.270mmより深い、約1.524mmより深い、又は約2.032mmより深い。エンボス加工される紙は、係合したシリンダーの間に形成されたニップ50を通過する。
【0011】
本発明の突出部150と250の、頂部平面と側壁の間の角部は、丸みを付けられて曲率半径rを有する。曲率半径rは、通常は約0.076mmより大きい。他の実施形態では、曲率半径は、約0.127mmより大きい、約0.254mmより大きい、又は約0.508mmより大きい。突出部角の曲率半径rは、約1.778mm未満である。他の実施形態では、曲率半径は、約1.524mm未満、又は約1.016mm未満である。
【0012】
角部縁部の「丸み付け」は、通常は円形の弧で丸みが付いた角という結果になり、曲率半径は、これから弧の従来の半径として容易に決定される。しかしながら、本発明は、1つ以上の直線又は不規則切断線により取り去られた角部縁部を有することにより丸みが付いた弧に近似する角部形状をも考慮する。曲率半径は、突出部角部を通して最も良く適合する円形弧を決定することにより決定される。
【0013】
その装置は、紙製品に帰着すると考えられているいかなる繊維構造に作用してもよい。典型的な繊維構造は、ティッシュ−タオル紙製品として使用できる構造である。本明細書で使用する時、「ティッシュ−タオル紙製品」という句は、一般的なティッシュペーパー又はタオル紙技術を含む製品を指し、従来法でフェルトプレスされた又は従来型の湿式プレスされたティッシュペーパー、パターン高密度化されたティッシュペーパー、及び嵩高い無圧縮ティッシュペーパーが挙げられるが、これらに限定されない。ティッシュ−タオル紙製品の非限定的な例として、タオル、フェイシャルティッシュ、トイレットペーパー、及びテーブルナプキンなどが挙げられる。
【0014】
用語「プライ」は、本明細書で使用する時、ティッシュ製品としての用途を有する繊維構造の個々のシートを意味する。本明細書で使用する時、プライは、1枚以上の湿式積層された層を含んでもよい。2つ以上の湿式積層された層が使用される時、それらは同じ繊維構造から作製される必要はない。更に、これらの層は、層の中が均質であってもなくてもよい。ティッシュペーパープライの実際の構成は、最終ティッシュ−タオル紙製品の所望の効果により決定される。
【0015】
用語「繊維構造」は、本明細書で使用する時、ティッシュ−タオル紙のプライを作り出すために当該技術分野において既知のいずれかの典型的な抄紙機において製造された配置又は繊維を意味する。本発明は、例えば天然繊維若しくは合成繊維、又はあらゆるその他の好適な繊維、及びそれらのいずれかの組み合わせなど、多様な製紙用繊維の使用を考慮している。本発明で有用な製紙用繊維には、木材パルプ繊維として一般的に既知のセルロース繊維が含まれる。利用可能な木材パルプとしては、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、及び硫酸塩パルプなどの化学パルプ、並びに例えば、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、及び化学的に改質したサーモメカニカルパルプを包含する機械パルプが挙げられる。しかしながら、化学パルプが、これから作製されたティッシュシートに触知できる優れた柔軟性を付与することから、好ましいことがある。落葉樹(以下、「広葉樹材」とも呼ばれる)及び針葉樹(以下、「針葉樹材」とも呼ばれる)の両方に由来するパルプが利用できる。広葉樹繊維及び針葉樹繊維は、混合することができ、あるいは、複数層に堆積させて、層状ウェブを提供することができる。米国特許第4,300,981号及び同第3,994,771号には、広葉樹材及び針葉樹材を積層することが開示されている。本発明にまた利用可能であるのは、リサイクル紙に由来する繊維であり、これは、上記分類のいずれか又はすべて、並びに初めの抄紙を容易にするために使用された充填剤及び接着剤などの他の非繊維性物質を含有することがある。上記に加えて、ポリマー類、具体的にはヒドロキシルポリマー類から作製される繊維及び/又は長繊維が、本発明に使用されてもよい。好適なヒドロキシルポリマー類の非限定的な例としては、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体類、キトサン、キトサン誘導体類、セルロース誘導体類、ゴム類、アラビナン類、ガラクタン類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0016】
本発明に使用される製紙繊維は、通常は木材パルプに由来する繊維を含む。綿リンター、バガスなど他のセルロース繊維性パルプ繊維を使用することができ、これらは本発明の範囲内にあるものとする。レーヨン繊維、ポリエチレン繊維及びポリプロピレン繊維などの合成繊維も、天然セルロース繊維と組み合わせて使用してもよい。使用してもよい1つの代表的なポリエチレン繊維は、ハーキュレス社(Hercules,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington, DE))から入手可能なパルペックス(Pulpex)(登録商標)である。
【0017】
利用可能な木材パルプとしては、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、及び硫酸塩パルプなどの化学パルプ、並びに例えば、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、及び化学的に改質したサーモメカニカルパルプを包含する機械パルプが挙げられる。しかしながら、化学パルプが、これから作製されたティッシュシートに触知できる優れた柔軟性を付与することから、好ましい。落葉樹(以下、「広葉樹材」とも呼ばれる)及び針葉樹(以下、「針葉樹材」とも呼ばれる)の両方に由来するパルプが使用できる。本発明にまた利用可能であるのは、リサイクル紙に由来する繊維であり、これは、上記分類のいずれか又はすべて、並びに初めの抄紙を容易にするために使用された充填剤及び接着剤などの他の非繊維性物質を含有することがある。
【0018】
ティッシュ−タオル紙製品の基材は、当業界で既知のいかなるティッシュ−タオル紙製品を含んでもよい。これらの基材の実施形態は、米国特許第4,191,609号(トロカーン(Trokhan)、1980年3月4日発行)、同第4,300,981号(カーステンズ(Carstens)、1981年11月17日発行)、同第4,191,609号(トロカーン(Trokhan)、1980年3月4日発行)、同第4,514,345号(ジョンソン(Johnson)ら、1985年4月30日発行)、同第4,528,239号(トロカーン(Trokhan)、1985年7月9日発行)、同第4,529,480号(トロカーン(Trokhan)、1985年7月16日発行)、同第4,637,859号(トロカーン(Trokhan)、1987年1月20日発行)、同第5,245,025号(トロカーン(Trokhan)ら、1993年9月14日発行)、同第5,275,700号発行(トロカーン(Trokhan)、1994年1月4日発行)、同第5,328,565号(ラッシュ(Rasch)ら、1994年7月12日発行)、同第5,334,289号(トロカーン(Trokhan)ら、1994年8月2日発行)、同第5,364,504号(スマーコウスキー(Smurkowski)ら、1995年11月15日発行)、同第5,527,428号(トロカーン(Trokhan)ら、1996年6月18日発行)、同第5,556,509号(トロカーン(Trokhan)ら、1996年9月17日発行)、同第5,628,876号(アイヤース(Ayers)ら、1997年5月13日発行)、同第5,629,052号(トロカーン(Trokhan)ら、1997年5月13日発行)、同第5,637,194号(アンパルスキー(Ampulski)ら、1997年6月10日発行)、同第5,411,636号(ハーマンズ(Hermans)ら、1995年5月2日発行)、EP677612(ウェント(Wendt)ら、1995年10月18日公開)によって作製されてもよい。
【0019】
ティッシュ−タオル基材は、通気乾燥されてもよく、又は従来法で乾燥されてもよい。任意に、基材は、クレーピングにより、又は湿式マイクロコントラクションにより短縮されてもよい。クレーピング及び/又は湿式マイクロコントラクションは、本発明の譲受人に共に譲渡された、米国特許第6,048,938号(ニール(Neal)ら、2000年4月11日発行)、同第5,942,085号(ニール(Neal)ら、1999年8月24日発行)、同第5,865,950号(ビンソン(Vinson)ら、1999年2月2日発行)、同4,440,597号(ウェルズ(Wells)ら、1984年4月3日発行)、同第4,191,756号(ソウダイ(Sawdai)、1980年5月4日発行)、及び同第6,187,138号(ニール(Neal)ら、2001年2月13日発行)に開示されている。
【0020】
従来法でプレスされたティッシュペーパー及びこのような紙製品の製造方法は、当該技術分野で既知である。本発明の譲受人に共に譲渡された米国特許第6,547,928号(バーンホルツ(Barnholtz)ら、2003年4月15日発行)を参照のこと。1つの好適なティッシュペーパーは、パターン高密度化ティッシュペーパーであって、これは、比較的低い繊維密度の比較的嵩高い広がりと比較的高い繊維密度の高密度化領域の配列とを有することを特徴とする。嵩高い広がりは、あるいは枕状領域の広がりとして特徴付けられる。高密度化領域は、あるいはナックル領域と呼ばれる。高密度化領域は、嵩高い広がりの中でばらばらに間隔を空けられてもよく、又は嵩高い広がりの中で完全に若しくは部分的いずれかに相互連結されてもよい。パターン高密度化ティッシュウェブを作製する方法が、米国特許第3,301,746号(サンフォード(Sanford)ら、1967年1月31日発行)、米国特許第3,974,025号(アイヤース(Ayers)、1976年8月10日発行)、米国特許第4,191,609号(1980年3月4日発行)、及び米国特許第4,637,859号(1987年1月20日発行)、米国特許第3,301,746号(サンフォード(Sanford)ら、1967年1月31日発行)、米国特許第3,821,068号(サルブッチ・ジュニア(Salvucci, Jr.)ら、1974年5月21日発行)、米国特許第3,974,025号(アイヤース(Ayers)、1976年8月10日発行)、米国特許第3,573,164号(フリートベルク(Friedberg)ら、1971年3月30日発行)、米国特許第3,473,576号(アムナウス(Amneus)、1969年10月21日発行)、米国特許第4,239,065号(トロカーン(Trokhan)、1980年12月16日発行)、及び米国特許第4,528,239号(トロカーン(Trokhan)、1985年7月9日発行)にて開示されている。
【0021】
非圧縮で非パターン高密度化のティッシュペーパー構造も、本発明の範囲内で考慮され、並びに米国特許第3,812,000号(ジョセフL.サルブッチ・ジュニア(Joseph L. Salvucci, Jr.)ら、1974年5月21日発行)、及び米国特許第4,208,459号(ヘンリーE.ベッカー(Henry E. Becker)ら、1980年6月17日発行)に記載されている。当該技術分野において定義されているような非クレープ加工のティッシュペーパーも、考慮されている。非クレープ加工のティッシュをこのような方法で製造する技法は、従来技術で教示される。例えば、欧州特許出願0677612A2(ウェント(Wendt)ら、1995年10月18日公開)、欧州特許出願0617164A1(ハイランド(Hyland)ら、1994年9月28日公開)、及び米国特許第5,656,132号(ファーリントン(Farrington)ら、1997年8月12日発行)など。
【0022】
他の物質が、水性抄紙完成紙料若しくは初期ウェブに添加されて、製品に他の所望の特性を付与する、又は抄紙プロセスを改善することができるが、これは、それらの物質に柔軟化組成物の化学的性質との適合性があり、本発明の柔軟性、若しくは強度特性に顕著な影響、及び悪影響を及ぼさない場合に限られる。次の物質が明示的に挙げられるが、ここに挙げるものがすべてではない。本発明の効果を妨げない限り、又は効果を打ち消さない限り、他の物質も又包含することができる。
【0023】
抄紙プロセスに供給される時に、カチオン電荷偏向種を抄紙プロセスに添加して、水性抄紙完成紙料のゼータ電位を制御することは、一般的である。これらの物質が使用されるのは、セルロース繊維、及び微細繊維及びほとんどの無機充填剤の表面を含む固体の大部分が、本来負の表面電荷を有するからである。伝統的に使用される1つのカチオン電荷偏向種は、ミョウバンである。当該技術分野において更に最近では、電荷偏向は、好ましくは、分子量が約500,000以下の、より好ましくは約200,000以下の、更には約100,000以下の、比較的低分子量のカチオン性合成ポリマーを使用することによってなされる。このような低分子量カチオン性合成ポリマーの電荷密度は、比較的高い。これらの電荷密度の範囲は、ポリマー1キログラム当たり、カチオン窒素約4〜約8等量である。代表的な物質は、コネチカット州スタンフォード(Stamford, CT)のサイテック社(Cytec,Inc.)の製品であるサイプロ(Cypro)514(登録商標)である。このような物質の使用は、明示的に本発明の実施の範囲内にあるものとする。
【0024】
地合い、水切れ、強度、及び歩留りを改善する目的のために、表面積が大きくアニオン電荷の大きな微粒子を使用することが、当該技術分野で教示されている。例えば、米国特許第5,221,435号(スミス(Smith)、1993年6月22日発行)を参照のこと。
【0025】
永続的な湿潤強度が所望であれば、カチオン性湿潤強度向上樹脂を抄紙完成紙料又は初期ウェブに添加することができる。このような樹脂の好適な種類が、米国特許第3,700,623号(1972年10月24日発行)、及び同第3,772,076号(1973年11月13日発行)(共にカイム(Keim))に記載されている。
【0026】
多くの紙製品は、それらをトイレから浄化槽又は下水道に処理する必要があるので、湿潤時の強度が制限されていなければならない。これらの製品に湿潤強度が付与される場合、水の存在下において、初期強度の一部又はすべてが崩壊することに特徴づけられる、一時的湿潤強度が好ましい。一時的湿潤強度が望ましい場合、結合材料は、ジアルデヒド澱粉、又はメイン州スカーボロー(Scarborough, ME)のナショナルスターチアンドケミカル社(National Starch and Chemical Company)により提供されるコボンド(Co-Bond)1000(登録商標)、コネチカット州スタンフォード(Stamford, CT)のサイテック(Cytec)により提供されるパレッツ(Parez)750(登録商標)、及び米国特許第4,981,557号(ビョークイスト(Bjorkquist)、1991年1月1日発行)に記載の樹脂、及び当該技術分野で既知の前述の崩壊特性を有する他のこのような樹脂など、アルデヒド官能基を有する他の樹脂からなる群から選択することができる。
【0027】
高い吸収性が必要な場合は、界面活性剤を使用して本発明のティッシュペーパーウェブを処理してもよい。界面活性剤が使用される場合、その濃度は、ティッシュウェブの乾燥繊維重量を基準にして約0.01重量%〜約2.0重量%であることが好ましい。界面活性剤は、炭素原子数8個以上のアルキル鎖を有することが好ましい。代表的なアニオン性界面活性剤としては、直鎖アルキルスルホネート類、及びアルキルベンゼンスルホネート類などが挙げられる。代表的な非イオン性界面活性剤としては、クローダ社(Croda,Inc.)(ニューヨーク州ニューヨーク(New York, NY))から入手可能なクロデスタ(Crodesta)SL−40(登録商標)などのアルキルグリコシドエステルを含むアルキルグリコシド類、米国特許第4,011,389号(ランドン(Langdon)ら、1977年3月8日発行)に記載のアルキルグリコシドエーテル類、並びにグリコケミカル社(Glyco Chemicals,Inc.)(コネチカット州グリニッチ(Greenwich, CT))から入手可能なペゴスパース(Pegosperse)200ML及びローヌプーラン社(Rhone Poulenc Corporation)(ニュージャージー州クランベリー(Cranbury, NJ))から入手可能なイゲパル(IGEPAL)RC−520(登録商標)などのアルキルポリエトキシル化エステル類が挙げられる。あるいは、不飽和(モノ及び/又はポリ)及び/又は分岐鎖アルキル基が多いカチオン性柔軟剤活性成分は、吸収性を大幅に向上させることができる。
【0028】
更に加えて、他の化学柔軟化剤を使用してもよい。好適な化学柔軟化剤は、周知のジアルキルジメチルアンモニウム塩類(例えば、ジタロウジメチルアンモニウムクロライド、ジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジ(水素添加タロー)ジメチルアンモニウムクロライドなど)を包含するが、これらに限定されない、第四級アンモニウム化合物類を含む。これらの柔軟化剤のある種の変異型として、前述のジアルキルジメチルアンモニウム塩類のモノ又はジエステル変種、並びに脂肪酸とメチルジエタノールアミン及び/又はトリエタノールアミンのいずれかとの反応に続いてメチルクロライド又はジメチルサルフェートでの四級化により製造されるエステル四級種が挙げられる。抄紙で添加される化学柔軟化剤の別の種類は、最も好ましいアミノ官能ポリジメチルシロキサンを包含する、周知の有機反応性ポリジメチルシロキサン成分から構成される。
【0029】
また、充填剤を本発明のティッシュペーパーに組み込んでもよい。米国特許第5,611,890号(ビンソン(Vinson)ら,1997年3月18日発行)が、本発明用の基材として受容可能な充填剤入りティッシュ−タオル紙製品を開示している。
【0030】
上記に列挙された任意の化学添加物は、実際は、単に代表例を示すためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
本発明のプロセスで使用するのに好適な基材の別の部類は、合成繊維を含む不織布ウェブである。そのような基材の例としては、織地(例えば、織布及び不織布など)、他の不織布基材、及び合成繊維又は多成分繊維を含む紙様の製品が挙げられるが、これらに限定されない。他の好ましい基材の代表的な例は、米国特許第4,629,643号(キュロ(Curro)ら、1986年12月16日発行)、米国特許第4,609,518号(キュロ(Curro)ら、1986年9月2日発行)、欧州特許出願EPA112654(ハク(Haq))、同時係属の米国特許出願10/360,038(トロカーン(Trokhan)ら、2003年2月6日出願)、同時係属の米国特許出願10/360,021(トロカーン(Trokhan)ら、2003年2月6日出願)、同時係属の米国特許出願10/192,372(ジンク(Zink)ら、2002年7月10日出願)、及び同時係属の米国特許出願10/149,878(キュロ(Curro)ら、2000年12月20日出願)に見出すことができる。
【0032】
本発明はまた、深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品の製造方法に関するものであって、a)エンボス加工前の湿潤破裂強度を有する1枚以上のプライの紙の製造工程と、b)1枚以上のプライの紙にエンボス加工する工程とを含み、得られた単数プライ又は複数プライのエンボス加工された紙が、少なくとも約650μmの平均エンボス高さを有する複数のエンボスを含み、及びエンボス加工前の湿潤強度の約85%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度を有する。
【0033】
深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品の基材とするべく製造された単数プライ又は複数プライの紙は、例えばその紙はティッシュ−タオル製品など、上記繊維構造のどのタイプであってもよい。入ってくるプライのエンボス加工されていない湿潤破裂強度は、下記の湿潤破裂強度試験方法を使用して測定される。2枚以上のプライの紙がエンボス加工される時、湿潤破裂強度は、接着剤無しで向かい合わせに共に試験機内に置かれた個々のプライのサンプル上で取られた試料で測定される。
【0034】
本発明の特許請求される方法のエンボス加工工程は、いかなる深く嵌め合わされたエンボス加工プロセスを使用して実施されてもよい。得られたエンボス加工紙は、少なくとも約650μmの平均エンボス高さのエンボスを有することができる。他の実施形態では、エンボスは、1000μmより大きい、約1250μmより大きい、又は約1400μmより大きいエンボス高さを有してもよい。平均エンボス高さは、以下の試験方法の節で説明されるようなGFMプリモス光学プロファイラ(GFM Primos Optical Profiler)を使用して、エンボス高さ試験方法によって測定される。
【0035】
また、仕上ったエンボス加工製品の湿潤破裂強度は、以下の湿潤破裂強度試験方法によって測定される。本発明の方法によって作製された製品は、エンボス加工されていない湿潤破裂強度の約85%より大きい、90%より大きい、又は約92%より大きな湿潤破裂強度を有することができる。
【0036】
エンボス加工された紙製品の一例が、図4に示される。エンボス加工された紙製品10は、1枚以上のプライのティッシュ構造15を含み、プライの少なくとも1枚が、複数のエンボス20を含む。エンボス加工された単数プライ又は複数のプライは、エンボスが少なくとも約650μmの、少なくとも1000μmの、少なくとも約1250μmの、又は少なくとも約1400μmのエンボス高さ31を示すように、深く嵌め合わされてエンボスプロセスでエンボス加工される。ティッシュ−タオル紙製品のエンボス高さ31は、エンボス高さ試験方法によって測定される。
【実施例】
【0037】
実施例1
エンボス加工されたティッシュ−タオル紙製品を達成するのに有用な1つの繊維構造は、米国特許第4,528,239号に記載される、通気乾燥(TAD)されて密度差が付いた構造である。このような構造体は、以下のプロセスによって形成することができる。
【0038】
本発明の実施では、試験的規模の長網通気乾燥型抄紙機が、使用される。製紙繊維のスラリーが、約0.15%の濃度でヘッドボックスへポンプ給送される。そのスラリーは、約65%の北部針葉樹材クラフト繊維と約35%の未叩解南部針葉樹材クラフト繊維とからなる。繊維スラリーは、乾燥繊維メートルトン当たり約12.5kgの濃度のカチオン性ポリアミン−エピクロロヒドリン湿潤強度向上樹脂と、乾燥繊維メートルトン当たり約3.25kgの濃度のカルボキシメチルセルロースとを含有する。
【0039】
脱水は、長網抄紙機のワイヤを通して生じ、真空箱によって支援される。ワイヤは、アルバニーインターナショナル(Albany International)から入手可能な84×78−Mとして知られているもののような、センチメートル当たり機械方向フィラメント33.1本及び横断方向フィラメント30.7本を有する構成のものである。
【0040】
初期湿式ウェブは、移送点において約22%の繊維濃度で、長網抄紙機ワイヤからTAD担体ファブリックへ移送される。ワイヤ速度は、毎分約195メートルである。担体ファブリックの速度は、毎分約183メートルである。ワイヤ速度が担体ファブリックより約6%早いので、移転点においてウェブの短縮が生じる。したがって、湿式ウェブの短縮は6%である。担体ファブリックのシート側は、感光性ポリマー樹脂の連続したパターン付き網状組織からなり、前記パターンは、センチメートル当たり約130の偏向用導管(deflection conduit)を含む。偏向用導管は、2軸的千鳥配置に構成され、ポリマー網状組織は、担体ファブリックの表面積の約25%を覆う。ポリマー樹脂は、センチメートル当たり機械方向フィラメント27.6本及び横断方向フィラメント13.8本からなる織布支持部材によって支持され、それに取りつけらている。感光性ポリマーの網状組織は、支持部材より上に約0.203mm隆起している。
【0041】
ウェブの濃度は、約232℃で運転されるTADドライヤーの作用後、ヤンキードライヤー上へ移送される前は、約65%である。ポリビニルアルコールからなるクレーピング接着剤の水溶液を、製品メートルトン当たり約2.5kgの割合で、スプレーアプリケータによりヤンキー表面に塗布する。ヤンキードライヤーは、毎分約183メートルの速度で運転される。繊維濃度は、ドクターブレードでウェブをクレーピングする前に、推定99%まで増大される。ドクターブレードは約25°の斜角を有し、ヤンキードライヤーに対して約81°の衝突角を形成するように位置決めされる。ヤンキードライヤーは約157℃で運転され、ヤンキーフードは約177℃で運転される。
【0042】
乾燥しクレープされたウェブは、2本のカレンダーロールの間を通って、毎分165メートルで運転されるリール上で巻き取られるが、結果的に、クレープによって約16%のウェブ短縮が生じ、6%は湿式マイクロコントラクションにより、追加の10%はドライクレープによる。得られた紙は、平方メートル当たり約24グラム(gsm)の坪量を有する。
【0043】
上述の紙は、次に、本発明の深いエンボス加工にかけられる。2本のエンボス加工用シリンダーは、図3に示される相補的嵌め合わされた突出部を彫刻されている。シリンダーは、それぞれの軸線を相互に平行に、装置に取り付けられる。突出部は、形状が円錐台であり、面(頂部又は遠位、すなわち、突出するロールから離れている)直径約1.52mm、及び床(底又は近位、すなわち、突出するロールの表面に最も近い)直径約0.48mmを有する。各ロール上の突出部の高さは、約3.05mmである。曲率半径は約0.76mmである。嵌め合わされたロールの係合は、約2.49mmに設定され、上述の紙は、毎分約36.6メートルの速度で係合隙間へ供給される。得られた紙は、650μmより大きいエンボス高さ、そのエンボス加工前の湿潤強度の約85%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度を有する。
【0044】
実施例2
エンボス加工されたティッシュ−タオル紙製品の別の好ましい実施形態では、2枚の別個の紙プライが、実施形態1の抄紙プロセスで作製される。2枚のプライは、次に組み合わされて、実施形態1の深く嵌め合わされてエンボス方法により共にエンボス加工される。得られた紙は、650μmより大きいエンボス高さ、そのエンボス加工されていない湿潤強度の約85%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度を有する。
【0045】
実施例3
エンボス加工されたティッシュ−タオル紙製品の別の好ましい実施形態では、3枚の別個の紙プライが、実施形態1の抄紙プロセスで作製される。プライの2枚が、実施形態1の深く嵌め合わされるエンボス方法により、深く嵌め合わされてエンボス加工される。ティッシュペーパーの3枚のプライは、次に、2枚のエンボス加工されたプライがそれぞれの外側プライになり、エンボス加工されていないプライが製品の中央プライになるように、標準的な加工方法で組み合わされる。得られた紙は、650μmより大きいエンボス高さ、そのエンボス加工されていない湿潤破裂強度の約85%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度を有する。
【0046】
実施例4
米国特許第4,528,239号に記載される通気乾燥された密度差のある構造の好ましい例では、次のプロセスによって形成されてもよい。
【0047】
実施形態1のTAD担体ファブリックを、センチメートル当たり88.6個の2軸的に千鳥配列された偏向用導管からなり、樹脂の高さが約0.305mmである担体ファブリックと取り替える。この紙が更に実施例1のエンボス加工にかけられ、得られた紙は、650μmより大きいエンボス高さ、そのエンボス加工されていない湿潤破裂強度の約85%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度を有する。
【0048】
実施例5
本繊維構造の代わりの実施形態は、いずれか既知の通気乾燥プロセスと組み合わされた、約5%より大きい湿式マイクロコントラクションを有する紙構造である。湿式マイクロコントラクションは、米国特許第4,440,597号に記載されている。実施形態5の実施例は、次の方法により製造することができる。
【0049】
ワイヤ速度は、毎分約203メートルに増加される。担体ファブリックの速度は、毎分約183メートルである。TAD担体ファブリックと比較して、ワイヤ速度が10%より早いので、湿式ウェブの短縮は10%である。実施例1のTAD担体ファブリックを、5シェッド織り、センチメートル当たり14.2本の機械方向フィラメント、及び12.6本の横断方向フィラメントを有する担体ファブリックと取り替える。ヤンキー速度は毎分約183メートルであり、リール速度は毎分約165メートルである。ウェブは、湿式マイクロコントラクションにより10%、及びドライクレープにより更に10%短縮される。エンボス加工前の得られた紙は、約33gsmの坪量を有する。この紙が更に実施例1のエンボス加工にかけられ、得られた紙は、650μmより大きいエンボス高さ、そのエンボス加工されていない湿潤破裂強度の約85%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度を有する。
【0050】
実施例6
本発明の繊維構造の別の実施形態は、米国特許第5,672,248号に記載されるような、機械方向の圧痕ナックル(impression knuckle)を有する通気乾燥された紙構造である。キンバリークラーク社(Kimberly Clark Corporation)によって製造されてスコット(Scott)の商標名で販売されている、米国特許第5,672,248号によって作製された坪量約38gsmの市販の単一プライ基材を、実施例1のエンボス加工にかける。得られた紙は、650μmより大きいエンボス高さ、そのエンボス加工されていない湿潤破裂強度の約85%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度を有する。
【0051】
試験方法
エンボス高さ試験方法
エンボス高さは、独国、テルトウ/ベルリン(Teltow/Berlin, Germany)、D14513、ワルテストラッセ(Warthestra(e)21のGFメステクニック社(GFMesstechnik GmbH)から購入可能な、GFMプリモス光学プロファイラ(GFM Primos Optical Profiler)計器を使用して測定される。GFMプリモス光学プロファイラ計器は、デジタルマイクロ鏡像投影に基づく小型光学測定センサを含み、次の主要構成要素からなる:a)1204×768の直接デジタル制御のマイクロミラーを有するDMDプロジェクタ、b)高解像度(1300×1000ピクセル)CCDカメラ、c)少なくとも27×22mmの測定面積に適合した投影光学素子、並びに、d)少なくとも27×22mmの測定面積に適合した記録用光学素子;小さな硬質石板上に載置される卓上三脚;冷光源;測定、制御、及び評価用のコンピュータ;測定、制御、及び評価用のソフトウェアODSCAD4.0英語版;及び横方向(x−y)と垂直方向(z)の較正用の調整プローブ。
【0052】
GFMプリモス光学プロファイラシステムは、デジタルマイクロ鏡像パターン投影技術を用いて、試料の表面高さを測定する。分析結果は、xy変位に対する表面高さ(z)のマップである。そのシステムは、解像度21ミクロンで27×22mmの視野を有する。高さ解像度は、0.10〜1.00ミクロンに設定されなければならない。高さ範囲は、解像度の64,000倍である。
【0053】
繊維構造試料の測定は、以下のように行われる。
【0054】
1.冷光源の電源を入れる。冷光源の設定は、ディスプレイ上で3000Kの読み取り値が得られるように、4及びCとしなければならない。
【0055】
2.コンピュータ、モニタ、及びプリンタの電源を入れ、ODSCAD4.0プリモスソフトウェアを開く。
【0056】
3.プリモスのタスクバーから「測定開始(Start Measurement)」アイコンを選択し、次に「ライブ映像(Live Pic)」ボタンをクリックする。
【0057】
4.温度約23℃±1℃(73°F±2°F)及び相対湿度50%±2%で調湿した30mm×30mmの繊維構造製品の試料を投影ヘッドの下に置き、距離調整してピントを最良にする。
【0058】
5.ピントを最良にするのを助けるために、「パターン(Pattern)」ボタンを繰り返しクリックして複数の焦点パターンの1つを投影する(最適ピントが得られた時、ソフトウェアの十字線が投影された十字線と一致するはずである)。投影ヘッドを試料表面に対して垂直位置にする。
【0059】
6.投影ヘッドの側部にある穴を通るレンズの開口を変化させることによって、及び/又はスクリーン上のカメラの「ゲイン」設定を変えることによって、画像の明るさを調整する。電子ノイズの量を制御するため、ゲインは7より大きい値に設定しない。照明が最適になると、「I.O.」と書かれたスクリーン下の赤丸が緑に変わる。
【0060】
7.技術的表面/粗(Technical Surface/Rough)の測定タイプを選定する。
【0061】
8.「測定(Measure)」ボタンをクリックする。これによってライブ画像がスクリーン上で固定され、同時に、画像が取り込まれてデジタル化される。取り込んだ画像がぼやけるのを避けるため、この間試料を静止させておくことが重要である。画像は約20秒で取り込まれる。
【0062】
9.拡張子「.omc」を有するコンピューターファイルに画像を保存する。これは、カメラ画像ファイル「.kam」も保存する。
【0063】
10.日付をソフトウェアの分析部分へ送るために、クリップボード/人(clipboard/man)アイコンをクリックする。
【0064】
11.次に、アイコン「切断線を描く(Draw Cutting Lines)」をクリックする。動作中の線が線1に設定されていることを確認する。コンピュータスクリーン画像の左側の最下地点に十字線を移動させて、マウスをクリックする。次に、現在の線上のコンピュータスクリーン画像の右側の最下地点に十字線を移動させて、マウスをクリックする。次に、印を付けた地点のアイコンで「整列(Align)」をクリックする。次に、この線の最下地点でマウスをクリックし、次いでこの線の最上地点でマウスをクリックする。「垂直(Vertical)」距離アイコンをクリックする。距離の測定値を記録する。次に、動作中の線を次の線まで上昇させ、前のステップを繰り返し、合計6本の全ての線が測定されるまでこれを実行する。記録した全ての数値の平均をとり、単位がマイクロメートルでない場合には、マイクロメートル(μm)に変換する。この数値が、この複写のエンボス高さである。この手順を更に3回繰り返す(合計4複写)。4複写の平均値をとって、試料のエンボス高さを得る。
【0065】
湿潤破裂強度方法
「湿潤破裂強度」は、本明細書で使用する時、繊維構造及び/又は紙製品の面を濡れた状態にして垂直に変形させた時に、繊維構造及び/又は繊維構造を組み入れた紙製品がエネルギーを吸収する能力の尺度である。湿潤破裂強度は、ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia, PA)のスウィング・アルバート計器社(Thwing-Albert Instrument Company)から購入可能な、2000gロードセルを備えた、スウィング・アルバート破裂試験機(Thwing-Albert Burst Tester)カタログのNo.177を使用して測定できる。
【0066】
シート長さ(MD)約280mm(11インチ)を有する1枚プライ及び2枚プライの製品の場合、2使用単位(usable unit)をロールから取り外す。使用単位を穿孔個所で注意深く分離して、相互に積み重ねる。使用単位を機械方向に半分に切断して、試料積み重ねを4使用単位の厚さにする。280mm(11インチ)より小さい使用単位の場合、3使用単位の2枚のストリップをロールから注意深く取り外す。ストリップを穿孔及び縁部が一致するように積み重ねる。端側の使用単位のそれぞれの等しい部分を横断方向に切断することにより注意深く取り去って、中央単位と2つの端側使用単位の残り部分との全長を約280mm(11インチ)にする。試料積み重ねを機械方向に半分に切断して、試料積み重ねを4使用単位の厚さにする。
【0067】
次に、試料をオーブンでエージングする。小さな紙クリップ又はクランプを1つの幅の狭い縁部の中央に注意深く取り付ける。試料積み重ねの他端を「扇ぎ」、それらの間に空気を循環させて、タオルを分離する。それぞれの試料積み重ねを、105℃±1℃(221°F±2°F)の強制通風されたオーブンの中に、5分間±10秒間、クランプにより吊るす。加熱期間後、オーブンから試料の積み重ねを取り出し、最低3分間冷却してから、試験を行う。
【0068】
1つの試料ストリップを取り、幅の狭い機械横方向縁部で試料を保持して、蒸留水を約25mm満たした受け皿の中に試料の中央を浸す。試料を、4(±0.5)秒間、水中に放置する。試料を取り出し、保持したまま3(±0.5)秒間水切りすると、水は機械横方向に流れ落ちる。水切り工程の直後に試験を進める。濡れた試料を、試料の外側表面が上を向くように破裂試験機の試料保持装置の下部リング上に設置し、試料の濡れた部分が試料保持リングの開いた面を完全に覆うようにする。皺がある場合、試料を廃棄して、新しい試料で繰り返す。試料を下側試料保持リング上の適所に適切に置いた後、破裂試験機の上側リングを下げるスイッチを入れる。この時、試験される試料は、試料保持ユニット内でしっかりと把持されている。この時点で、破裂試験機上の開始ボタンを押すことによって、即座に破裂試験が開始される。プランジャーが、試料の濡れた表面に向かって上り始める。試料が裂けるか、又は破裂した時点で、最大読み取り値を報告する。プランジャーは自動的に反転し、元の開始位置へ戻る。この手順を更に3サンプルについて繰り返し、合計4回の試験すなわち4回の繰り返しを得る。それらの結果を4回の繰り返しの平均としてグラム単位で報告する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】典型的なエンボス加工用装置のエンボス加工用シリンダーの表面上で使用するための、従来技術のエンボス加工突出部すなわちノブの斜視図。
【図2】本発明の装置のエンボス加工用シリンダーの表面上で使用されるエンボス加工突出部の斜視図。
【図3】本発明の深く嵌め合わされたエンボス加工のための装置の、2本の係合したエンボス加工用シリンダー間の隙間の側面図。
【図4】本発明の装置又は方法によって製造された、エンボス加工されたティッシュ−タオル紙製品の実施形態の側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品の製造装置であって:
軸線上でそれぞれが回転可能な2本のエンボス加工用シリンダーを備え、前記軸線が、互いに平行であり、
各シリンダーが、表面と前記表面上に複数の突出部とを有し、前記各シリンダー上の前記複数の突出部が、非ランダムパターンで配置され、それぞれの前記非ランダムパターンが、相互に調和して配置され、
前記2本のエンボス加工用シリンダーが、それぞれの前記調和して配置された突出部の非ランダムパターンが共に嵌め合うように、整列して、前記突出部が、1.016mmより深い、好ましくは1.524mmより深い深さまで相互に係合するようになり、
ここで前記突出部が、頂部平面と側壁を有し、前記頂部平面と前記側壁が、突出部角において出合うと共に前記突出部角が、0.076mm超で1.778mm未満、好ましくは0.508mm超で1.016mm未満の曲率半径を有する、装置。
【請求項2】
深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品の製造方法であって:
a)1枚以上のプライの紙をエンボス加工用装置に供給する工程と、
b)2本のエンボス加工用シリンダー間のニップを通して前記1枚以上のプライの前記紙にエンボス加工する工程と、各シリンダーが、非ランダムパターンで配置された複数の突出部を有し、それぞれの前記非ランダムパターンが、相互に調和して配置され、
ここで前記2本のエンボス加工用シリンダーが、それぞれの前記調和して配置された突出部の非ランダムパターンが共に嵌め合うように、整列して、前記突出部が、1.016mmより深い深さに相互に係合するようになり、前記突出部が、頂部平面と側壁を有し、前記頂部平面と前記側壁が、突出部角において出合うと共に前記突出部角が、0.076mm〜1.778mmの範囲の曲率半径を有し、
を含む製造方法。
【請求項3】
深く嵌め合わされてエンボス加工された紙製品の製造方法であって:
a)1枚以上のプライの紙をエンボス加工用装置に供給する工程と、
b)前記1枚以上のプライの前記紙にエンボス加工する工程と、
ここで結果として得られるエンボス加工された単数プライ又は複数プライの紙が、少なくとも650μmの平均エンボス高さを有する複数のエンボスを含み、エンボス加工されていない湿潤破裂強度の85%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度を有し、
を含む製造方法。
【請求項4】
製造及びエンボス加工された前記紙が、ティッシュ−タオル紙である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記結果として得られるエンボス加工された紙が、少なくとも1000μmの、好ましくは少なくとも1250μmの、より好ましくは少なくとも1400μmの平均エンボス高さを有する、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記エンボス加工用装置に供給され、エンボス加工される前記紙が、ティッシュ−タオル紙基材である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
2枚プライのティッシュ−タオル紙基材が、前記装置に供給され、エンボス加工される、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
650μmより大きい平均エンボス高さを有する複数のエンボスを有し、エンボス加工されていない湿潤破裂強度と前記エンボス加工されていない湿潤破裂強度の85%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度とを有する紙製品。
【請求項9】
前記紙製品のプライが、ティッシュ−タオル紙製品のプライである、請求項8に記載の紙製品。
【請求項10】
前記複数のエンボスが、1000μm超の平均エンボス高さと、前記エンボス加工されていない湿潤破裂強度の90%より大きな仕上り製品湿潤破裂強度とを有する、請求項9に記載の紙製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−536141(P2007−536141A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513490(P2007−513490)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/018073
【国際公開番号】WO2005/113226
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】