説明

深井戸用ドリルコラムと該ドリルコラムのためのドリルパイプ及びブッシュ

【課題】本発明の目的は、地表側からボアホールの底への電気エネルギー及び/若しくはデータの伝送が可能であるドリルパイプ、ブッシュ及びドリルコラムを提供することである。
【解決手段】本発明は、一つの電極が、ドリルパイプ本体(12)及びブッシュ本体(27)からなるドリルコラム本体によって形成され、他方の電極が、ドリルコラム本体から電気的に絶縁され、且つ前記ドリルコラム本体内に配置された少なくとも一つの導電部(7)によって形成され、その結果として、電気的エネルギー及びデータの電送が可能とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1に請求項1及び5の前段部分に係るドリルパイプに関する。さらに、本発明は、請求項13及び18の前段部分に係るブッシュの関する。さらに本発明は、請求項27に係る深井戸用ドリルコラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、導電体材料からなるドリルパイプ本体を有するドリルパイプを開示する。そこには、パイプ導電部が、ドリルパイプ本体を貫通し且つドリルパイプ本体の一端に配置される接触接続部に接続され、前記パイプ導電部及び接触接続部がドリルパイプ本体から電気的に絶縁されていることが開示されている。公知のドリルパイプの場合、導電部は、保護パイプに導かれている。導電部を有する保護パイプは、ドリルパイプ本体の内側壁部に沿って縦方向に延出し、螺旋状であり、この形式において、前記ドリルパイプ本体の軸方向のボアホールの内側面に対して弾性手段において押しつけられている。しかしながら、保護パイプ及び保護パイプ内に配置された導電部は、掘穿泥水であふれている時に悪影響を及ぼすことを防止することができず、この場合掘穿泥水は、大変高い比率でドリルストリングを介してくみ上げられる。さらに、ドリルストリングによって残された工具は、保護パイプの回転でつるされたままとなり、保護パイプ又は導電部を損傷する。
【特許文献1】DE 27 44 829 C2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、地表側からボアホールの底への電気エネルギー及び/若しくはデータの伝送が可能であり、高い信頼性及び障害に対する低い感受率で裏付けされたドリルパイプ、ブッシュ及びドリルコラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的は、請求項1及び5の特徴部分を有するドリルパイプ、請求項13及び18の特徴部分を有するブッシュによってそれぞれに達成されるものである。さらに、本願発明の目的は、請求項27において請求されたドリルコラムによって達成される。
【0005】
各々の導電部及び接触接続部に関連してドリルパイプ及びブッシュに関する本発明に係る設計によって、システムが形成され、ドリルパイプがドリルコラムを延出させるためにブッシュに接続されるとき、電気的導電部が2つの極を介して形成される。この場合、一つの極は、ドリルコラム本体によって形成され、他方の極はそこに配置された導電部によって形成される。これは、地表側からボアホールの所望の点への電気的エネルギーの伝送及び導電部を介して遅延することなく地表側へのデータの伝送を可能にする。前記導電部は、エネルギー及びデータの両方の伝送を可能にする材料から形成される。
【0006】
導電部の配置に関するかぎりでは、前記ドリルパイプ及びブッシュは、本質的に同一の設計を有する。本発明の第1の例において、請求項1及び13によれば、パイプ導電部がパイプ内側面に固定されるか又はブッシュ導電部がブッシュ内側面に固定されることが望ましい。それゆえに、掘穿泥水がドリルコラムストリングを介して非常な高速でくみ上げられ、これによって固定が不十分な場合、導電部に悪い影響を与えることから、それらがコラム内部に固定される必要がある。コラム内へ導電部を確実に保護するために、縦溝が、ドリルパイプ本体のパイプ内側面若しくはブッシュ本体のブッシュ内側面に設けられる。この溝は、新しいドリルパイプ及びブッシュの場合及び既に使用されたドリルパイプ及びブッシュの場合の両方において、本発明が古い方法で容易に実行されるような対応する特別な装置によって、現実化される。ストリング内部の導電部は、前記コラムの中心軸に平行である前記溝によって保護される。正確には、溝の深さが導電部の直径よりも大きいので、導電部は溝部に完全に収納される。さらに、導電部を溝に固定するために、前記導電部は絶縁体を介して嵌め込まれるべきである。さらに、前記導電部を、対応する導線絶縁によって覆い、所望の電気的絶縁を確保するものである。さらに、前記ストリング内部をストリング外部から電気的に絶縁するために、電気的絶縁層が、パイプ内側面の全面にわたって塗布、特に蒸着される。この場合、前記絶縁層は、導電部も覆うことが望ましい。
【0007】
本発明の別の例において、請求項5及び18によれば、パイプ導電部若しくはブッシュ導電部は管状であり、パイプ導電部若しくはブッシュ導電部はドリルパイプ本体又はブッシュ本体を貫通し、且つ/又はドリルパイプ本体若しくはブッシュ本体を覆っており、前記パイプ導電部若しくはブッシュ導電部且つドリルパイプ本体若しくはブッシュ本体は、本質的に同一の線形熱膨張特性を有するものであり、本発明の係るドリルパイプの設計は、下記されるものである。記載される特徴は、本発明のブッシュに相応して写すことができるものである。ブッシュは、ドリルパイプに対応する設計を有する。内側パイプ及び/若しくは外側パイプがパイプ導電部又はブッシュ導電部として設けられ、エネルギー及びデータが地表側からボアホールの底部へ伝送され、内側パイプ及び/若しくは外側パイプを介して戻されることは、不可欠である。
【0008】
かなりの掘穿深さでさえエネルギー及びデータの伝送を確実にするために、パイプ導電部若しくはブッシュ導電部且つドリルパイプ本体又はブッシュ本体が、本質的に同一の線形熱膨張特性を有することが望ましい。線形膨張率αによって定義される線形熱膨張特性は、対象物の温度が1℃上昇した場合の対象物がどれくらい伸びたかによって示される。パイプ導電部が、ドリルパイプ本体に匹敵するか全く同じ線形膨張特性を有するとき、かなりの掘穿深さですらドリルパイプ本体に関してパイプ導電部の軸方向の変位がないものである。そのため、異なる大きさの線形膨張を有するパイプ導電部及びドリルパイプ本体によってエネルギー及びデータの伝送が分断され若しくは中断されるということがない。これに関連して、パイプ導電部及びドリルパイプ本体は、簡単な理由によって、同一の材料、好ましくは鉄から形成されることが望まれる。しかしながら、原則として、適切な線形膨張特性を有する合金を、パイプ導電部の材料として使用することも可能である。
【0009】
前記パイプ導電部及びドリルパイプ本体の間に固定された接続を提供するために、前記パイプ導電部は、前記ドリルパイプ本体に、凝集性及び/若しくは強制嵌め込み方法において接続される。例えば、パイプ導電部を前記ドリルパイプ本体に粘着物によって接着することが可能である。溝付きスリーブを、パイプ導電部として前記ドリルパイプ本体に挿入することも可能であり、この場合、スリーブをドリルパイプ本体に挿入するために、スリーブの外側面を加圧する必要がある。スリーブの外側面の継ぎ合わせ力は、結果としてスリーブとドリルパイプ本体の間の強制嵌め込み接続を前記ドリルパイプ本体に生じることになる。前記ドリルパイプ本体を前記スリーブに焼き嵌めすることも、容易に可能である。
【0010】
0.5cm〜2.5cmのギャップ、特には、1.5cmのギャップが、前記パイプ導電部とドリルパイプとの間に設けられることが好ましい。このギャップには、流延材料、特にプラスチック、好ましくはエポキシ樹脂が充填される。この流延材料は、第1に、前記パイプ導電部及びドリルパイプの間の凝集接着を生じさせ、絶縁層としても作用する。パイプ導電部の内側の外面は、さらに絶縁層でコートされることが好ましい。一方で、パイプ導電部が前記ドリルパイプ本体を覆うことが望ましいならば、前記パイプ導電部の外側面は、非導電材料でコートされる。
【0011】
パイプ導電部の線抵抗は、パイプの長さの増加に伴って増加するので、パイプ導電部の壁厚は、最大掘穿深さの関数として調整されることが好ましい。この場合、0.5mmから1.5mm、特に0.7mm〜1.2mmのパイプ導電部の壁厚は、2000mの掘穿深さまで対応することが望ましい。一方、5000mの深さまで掘穿する場合、4mm〜8mm、好ましくは5mm〜6mmのパイプ導電部の壁厚が使用される。本願発明に係るパイプ導電部若しくはブッシュ導電部の上述した特徴は、エネルギーが、低い電圧で若しくは大変低い電圧、好ましくは42Vで伝送されるのを可能にする。
【0012】
前記導電部がドリルストリングの内部に設けられる場合、パイプ接触接続部が、ドリルパイプ本体の端部側前面に設けられることが可能である。この場合、前記端部側前面は、パイプ内側面に対する肩部として示される。パイプ接触接続部との相互作用を可能にするために、ブッシュ接触接続部は、前記ブッシュ内側面に対する前側肩部に設けられる。機械的接続がなされたとき、言い換えるとドリルパイプとブッシュがお互いにネジ込まれて接続されたとき、電気的接続が、両側の接触接続を介して前記パイプ導電部と前記ブッシュ導電部との間に生じるものである。
【0013】
前記ドリルパイプが一般的に前記ブッシュねじ込み接続されるので、パイプ接触接続部及び前記ブッシュ接触接続部の両方は、円周状に設計され、言い換えると接触接続リングの形状である点に、特に利点がある。それぞれの接触接続部とドリルストリング本体との間の電気的絶縁を確保するために、パイプ接触接続部は、前記前面に設置された絶縁リング上に配置されると共に、前記ブッシュ接触接続部は、前記肩部上に設置された絶縁リング上に配置されるものである。この場合、前記ドリルコラム本体からだけでなくドリルストリングの内部及び掘穿作業の間そこに位置する泥水からも十分な絶縁を確保するために、弾性材料から形成された絶縁リングは、それぞれの接触接続部を収納するための環状溝を有するべきである。この場合、環状溝は、前記接触接続部の高さよりも深いものである。これは、前記ドリルパイプが前記ブッシュのねじ込み接続されるときに、同時接触が前記接触接続部になされる場合に、これらの絶縁リングが押圧し合うことによって、絶縁リングの相互に対面する面で十分な密閉が存在することを確実にする。
【0014】
数百メートルの長さを有する大変長いドリルコラムの場合、ブッシュと前記ドリルパイプの間の縦方向の移動が生じることになるが、接触接続部に、前記前面若しくは肩部から離れる方向に弾性負荷がかけられることで解決することができる。この弾性負荷によって、前記接触接続部は、ドリルパイプ及び近接するブッシュの移動が結果として接触接続部間の電気的接触が中断しないように、お互いに押しつけ合う。
【0015】
さらに、掘穿泥水が環状空間から前記接触接続部間の中間空間に通過することを防止するために、少なくとも一つの環状シールが、ドリルパイプ本体のピンの領域に設けられるべきである。このシールは、前記パイプ外側面からピンに至る段部及び/若しくはこの段部から前記ピンへの移行部分に設けられることが好ましい。一つ又は複数のシールはピン自体の領域に設けられることも可能である。前記ブッシュには、ブッシュ本体の外側前面に少なくとも一つの環状シールが設けられるものである。
【0016】
本願発明では、一つの導電部だけではなく複数の導電部が、ドリルコラムに設けられることが可能であることはもちろんである。導電部は、あまりにも深いドリルコラムの内側面の溝によってあまりに厳しいドリルコラムの強度不足を考慮しないようにするために、それらの直径に関して所望の大きさを選択することができないので、一般的に小さい直径を有する導電部の数は、ボアホールに配されたそれぞれの測定且つ分析機器を制御するために要求される電気的エネルギーの関数として決定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施例について図面により説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、ドリル装置1の概略説明図である。ドリル装置1は、地表側に配されたドリルヘッド2と、掘穿状態においてボアホール4に配されるドリルコラム3とを有する。ビットユニット5は、ドリルコラム3の他方の端部に配される。図示された例において、導電部7を介して地表側に配される評価装置8に接続される測定装置6は、ビットユニット5の上方に直接的に配置される。前記測定装置6は、評価装置8を介して直接的に評価される掘穿作業の間に測定された値を記録することができる。
【0019】
この場合、ドリルコラム3自体は、複数の交換可能に配置されたパイプ10及びブッシュ11を具備する。この種のドリルパイプ10は、10m又はそれ以上の長さを有すると同時に、深井戸用ドリルコラム3は、数百メートルの長さを有する。
【0020】
図2乃至図6及び特に詳細に図示される図4は、ドリルパイプ10の一部を示している。前記ドリルパイプ10は、導電体材料からなるドリルパイプ本体12を有する。少なくとも一つのパイプ導電部7aが、前記ドイルパイプ本体12を貫通し、前記パイプ導電部7aは、その端部、詳しくはその両端で、ドリルパイプ本体12に設けられたパイプ接触接続部13に接続され、前記パイプ導電部7a及び前記パイプ接触接続部13は、前記ドリルパイプ本体12から電気的に絶縁される。特に図4に示すように、パイプ導電部7aは、パイプ内側面14に固定される。この目的のために、パイプ導電部7aのための縦溝15が、前記パイプ内側面14に設けられる。この場合、溝15は、あり継ぎにされる。しかしながら、原則として、いかなる溝形状も可能である。前記溝15は、ドリルパイプ10の中心軸に対して平行である。この場合、前記溝14の深さは、前記パイプ導電部7aの外径よりも大きい。前記パイプ導電部7aは、絶縁体16を介して前記溝15に保持される。さらに、その固定機能に加えて、前記絶縁体16は、電気的絶縁機能も有する。この絶縁体16に加えて、前記パイプ導電部7aは、前記パイプ導電部7aの全長にわたって延出する導線絶縁17を有する。図4にさらに詳細に示されるように、電気的絶縁層18が、パイプ内側面14の全面にわたって蒸着され、溝15を覆い、これによってパイプ導電部7aを覆う。前記絶縁層18は、前記パイプ内側面14の全面にわたって付加される。
【0021】
前記パイプ接触接続部13は、ドリルパイプ10のパイプ端部の端面側前面19に設けられる。この場合、それぞれの場合において対応するパイプ接触接続部13が、たとえこれが下記に特別に記載されるものでないとしても、ドリルパイプ本体12の両端部に設けられることはもちろんである。前記パイプ接触接続部13は、円周状に形成され、接触リングの形を有する。さらに、前記パイプ接触接続部13は、前記前面19に設置される絶縁リング20上に配置される。弾性材料からなる前記絶縁リング20は、前記パイプ接触接続部13を収納するための環状溝21を有する。この場合、この環状溝21は、前記パイプ接触接続部13の高さよりも深く形成される。
【0022】
さらに、前記パイプ接触接続部13は、この場合、前記前面19から離れる方向、言い換えると前記ドリルパイプ10に接続されるブッシュ1に向かう方法に弾性負荷がかけられる。
【0023】
前記雄ねじ23が設けられるピン22は、前記ドリルパイプ10の両パイプ端に位置する。その端部で前記パイプ外側面25に没入する段部24は、前記雄ねじ23を有するピン22の間に位置する。この場合、Oリングである環状シール26は、前記段部24と前記雄ねじ23との間に位置する。また前記シール26に代えて、又は前記シールに加えて、環状シールを前記段部24に配置してもよいものである。
【0024】
図3及び特に詳細に示される図6は、ブッシュ11の一部を示している。このブッシュ11は、導電体材料からなるブッシュ本体27を有する。ブッシュ導電部7bは、たとえこれが特別に図示されたものでないとしても、ブッシュ本体27を貫通し、ブッシュ本体27の端部、正確にはその両端で、ブッシュ接触接続部28に接続される。ブッシュ導電部7b及びブッシュ接触接続部28は、前記ブッシュ本体27から電気的に絶縁される。
【0025】
ブッシュ導電部7bは、ブッシュ内側面29に固定される。この目的のために、縦溝30が前記ブッシュ本体27のブッシュ内側面29に設けられる。前記溝30は、前述した溝15と同一の構成を有する。さらに、前記溝30は、前記ブッシュ11の中心軸に平行である。前記ブッシュ導電部7bが絶縁体を介して前記溝30にはめ込まれ、導線絶縁によって覆われていることは特に図示していない。さらに、電気的絶縁層31が前記ブッシュ内側面29及びパイプ内側面14に蒸着され、前記電気的絶縁層31は前記ブッシュ導電部7bを覆う。
【0026】
特に図6に示すように、ブッシュ接触接続部28は、前面肩部32に設けられる。この肩部32は、雌ねじ33とブッシュ内側面29との間に位置する。前記ブッシュ接触接続部28は、円周状であり、前記肩部32に設置される絶縁リング20上に配置される。前記絶縁リング20は、前記ドリルパイプ10に設けられた絶縁リング20と、その種類及び構成において対応している。言い換えると、前記ブッシュ接触接続部28を収納する目的の環状溝21を有し、この場合、この環状溝21は、前記ブッシュ接触接続部28の高さよりも深く形成されている。さらに、前記ブッシュ接触接続部28には、肩部32から離れる方向に弾性負荷がかけられる。この弾性負荷は、前記接触接続部13,28に関して、一つ又は複数のスプリング、例えば小さい螺旋圧縮スプリングが、前記接触接続部の各々の下側に作用するように設計される。さらに、スプリング舌部が、それぞれの接触接続部に設けられる。このスプリング舌部は、原則として、内側及び/若しくは外側に向いており、外側に向いているスプリング舌部は、事実上の接触接続部を超えて突出しており、電気的接触を生じさせている。
【0027】
この場合、円周状シール35がブッシュ本体27の外側前面34に位置する。前記外側前面34は、前記雌ねじ33と前記ブッシュ外側面36の間に位置する。
【0028】
前記パイプ導電部7a及びブッシュ導電部7bに関連して上述されたようなドリルパイプ10及びブッシュ11は、ドリルコラム3を介する2極のエネルギー及びデータの伝送システムを生じる。この場合、一方の極は、ドリルパイプ本体12及びブッシュ本体27からなるドリルコラム本体によって形成され、他方の極は、パイプ導電部7a及びブッシュ導電部7bと、接触接続部13,28からなる導電部7によって形成される。さらに、本発明に係るシステムは、ドリルパイプ10をブッシュ11にねじ込み接続することが、一方で接触接続部13,28を介する電気的接続、他方でドリルパイプ本体12の材料及びブッシュ本体27の材料を介する電気的接続を提供するので、前記ドリルコラム3及びこれによる2極を所望の長さに延出することができるという利点を有する。
【0029】
エネルギーは、第1のドリルパイプ10に設けられる図示しないスリップリングコレクターを介して導電部7へ供給され、データは導電部7から取り出される。前記スリップリングコレクターは、パイプ導電部7aと接続され、ドリルパイプ本体12から絶縁される。前記スリップリングコレクターは、順番に前記評価装置8に接続されると同時に、ドリルコラム本体は、アースに接続される。
【0030】
図8は、管状のパイプ導電部7aを有するドリルパイプ10の部分概略説明図である。このパイプ導電部7aは、絶縁層37を介して全表面にわたってパイプ内側面14に接着剤接続される。前記絶縁層37は、例えば、ドリルパイプ10からの前記パイプ導電部7aの電気的絶縁を確保するエポキシ樹脂であり、前記パイプ内側面14と前記パイプ導電部7aの間のギャップに充填される。さらに、絶縁層38は、前記パイプ導電部7aの内側の外面に設けられ、低い表面粗度を有する非導電材料でコートされることが望ましい。内側の前記パイプ導電部7aの低摩擦コーティングは、製造作業の間又は流水作業の間、前記ドリルパイプ10を通過する流れがある場合の低い流れ抵抗に貢献する。管状のパイプ導電部7aを有するドリルパイプ10の図8に示される例は、管状のブッシュ導電部7bを有するブッシュ11の設計に対応する。前記パイプ導電部7a又はブッシュ導電部7bが、それぞれの場合縦溝5,30に導かれ、それぞれの接触接続部がドリルパイプ10又はドリル11から電気的に絶縁されることを確保する必要がある場合に、前記ドリルパイプ10及び前記ブッシュ11は、本質的に上述した例に対応する。管状の設計の場合において、前記パイプ導電部7a及びブッシュ導電部7bは、その端部にカラーを有し、簡単な方法で線接触を生じさせる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ボアホールに導入されたドリルコラムの概略説明図である。
【図2】ドリルパイプのパイプ端部の概略説明図である。
【図3】ブッシュの位置を示した概略説明図である。
【図4】ドリルパイプの一部を示した断面図である。
【図5】ドリルパイプの一部の詳細説明図である。
【図6】ブッシュの詳細説明図である。
【図7】ブッシュにねじ込まれ、溝に固定されたパイプ導電部又はブッシュ導電部を有するドリルパイプの一部を示した概略説明図である。
【図8】管状パイプ導電部を有するドリルパイプの一部を示した概略説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ドリル装置
2 ドリルヘッド
3 ドリルコラム
4 ボアホール
5 ビットユニット
6 測定装置
7 導電部
7a パイプ導電部
7b ブッシュ導電部
8 評価装置
10 ドリルパイプ
12 ドリルパイプ本体
13 パイプ接触接続部
14 パイプ内側面
15 縦溝
16 絶縁体
18 絶縁層
19 前面
20 絶縁リング
21 環状溝
22 ピン
24 段部
25 パイプ外側面
26 シール
27 ブッシュ本体
28 ブッシュ接触接続部
29 ブッシュ内側面
30 縦溝
31 絶縁層
32 肩部
34 外側前面
35 環状シール



【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体材料から形成されたドリルパイプ本体(12)を有し、少なくとも一つのパイプ導電部(7a)が前記ドリルパイプ本体(12)を貫通し、該パイプ導電部(7a)が前記ドリルパイプ本体(12)の一端に設けられるパイプ接触接続部(13)に接続され、且つ前記パイプ導電部(7a)及び前記パイプ接触接続部(13)が前記ドリルパイプ本体(12)に対して電気的に絶縁される深井戸用ドリルコラム(3)のドリルパイプ(10)において、
前記パイプ導電部(7a)が、前記ドリルパイプ本体(12)のパイプ内側面(14)に固定され、且つ少なくとも一つのパイプ導電部(7a)のための縦溝(15)が、前記パイプ内側面(14)に設けられることを特徴とするドリルパイプ。
【請求項2】
前記溝(15)の深さは、前記パイプ導電部(7a)の直径よりも大きく、且つ前記パイプ導電部(7a)は絶縁体(16)を介して前記溝(15)に嵌め込まれていることを特徴とする請求項1記載のドリルパイプ。
【請求項3】
前記パイプ導電部(7a)は、導線絶縁によって覆われていることを特徴とする請求項1又は2記載のドリルパイプ。
【請求項4】
電気的絶縁層(18)が、前記パイプ内側面(14)の全面にわたって塗布又は蒸着され、且つ前記絶縁層(18)は、前記パイプ導電部(7a)を覆うことを特徴とする請求項1、2又は3記載のドリルパイプ。
【請求項5】
導電体材料から形成されたドリルパイプ本体(12)を有し、少なくとも一つのパイプ導電部(7a)が設けられ、該パイプ導電部(7a)が、前記ドリルパイプ本体(12)の一端に設けられたパイプ接触接続部(13)に接続され、且つ前記パイプ導電部(7a)と前記パイプ接触接続部(13)が前記ドリルパイプ本体(12)に対して電気的に絶縁される深井戸用ドリルコラム(3)のドリルパイプ(10)において、
前記パイプ導電部(7a)は管状であり、前記パイプ導電部(7a)は、前記ドリルパイプ本体(12)を貫通し及び/若しくはドリルパイプ本体(12)を覆い、且つ前記パイプ電導部(7a)及び前記ドリルパイプ本体(12)は、本質的に同一の線形熱膨張特性を有することを特徴とするドリルパイプ。
【請求項6】
前記パイプ導電部(7a)及び前記ドリルパイプ本体(12)が、同一の材料、好ましくは鉄から形成されることを特徴とする請求項5記載のドリルパイプ。
【請求項7】
前記パイプ導電部(7a)が、凝集性及び/若しくは強制密着法において、前記ドリルパイプ本体(12)に接続されることを特徴とする請求項5又は6記載のドリルパイプ。
【請求項8】
前記パイプ導電部(7a)とドリルパイプ本体(12)の間には、0.5cm〜2.5cm、好ましくは1.5cmのギャップが設けられ、且つそのギャップには、流延材料、特にエポキシ樹脂が充填されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載のドリルパイプ。
【請求項9】
前記パイプ接触接続部(13)は、前記ドリルパイプ本体(12)の端部側前面(19)に設けられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のドリルパイプ。
【請求項10】
前記パイプ接触接続部(13)は、円周形状に形成され、前記パイプ接触接続部(13)は、前記前面(19)上に設置された絶縁リング(20)上に位置し、環状溝(21)は、前記パイプ接触接続部(13)を収納するために、弾性材料からなる前記絶縁リング(20)に設けられ、前記環状溝(21)は、前記パイプ接触接続部(13)の高さよりも深いことを特徴とする請求項9記載のドリルパイプ。
【請求項11】
前記パイプ接触接続部(13)には、前記前面(19)から離れる方向に弾性負荷がかけられ、且つ/又は、外方突出接触舌部が、前記パイプ接触接続部(13)に設けられることを特徴とする請求項9又は10記載のドリルパイプ。
【請求項12】
少なくとも一つの円周状シールが、前記ドリルパイプ本体(12)のピン(22)の領域に設けられ、且つ、シール(26)は、パイプ外側面(25)から前記ピン(22)への段部(24)及び/若しくは前記段部(24)から前記ピン(22)の間の境目に設けられることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載のドリルパイプ。
【請求項13】
導電体材料から形成されたブッシュ本体(27)を有し、少なくとも一つのブッシュ導電部(7b)が前記ブッシュ本体(27)を貫通し、該ブッシュ導電部(7b)が前記ブッシュ本体(27)の一端に設けられたブッシュ接触接続部(28)に接続され、且つ前記ブッシュ導電部(7b)と前記ブッシュ接触接続部(28)が前記ブッシュ本体(27)から電気的に絶縁される深井戸用ドリルコラム(3)のためのブッシュ(11)において、
前記ブッシュ導電部(7b)が前記ブッシュ本体(27)のブッシュ内側面(29)に固定され、少なくとも一つのブッシュ導電部(7b)のための縦溝(30)が、前記ブッシュ内側面(29)に設けられることを特徴とするブッシュ。
【請求項14】
前記溝(30)が、前記ブッシュ導電部(7b)の直径よりも大きいことを特徴とする請求項13記載のブッシュ。
【請求項15】
前記ブッシュ導電部(7b)が、絶縁体を介して前記溝(30)に嵌め込まれることを特徴とする請求項13又は14記載のブッシュ。
【請求項16】
前記ブッシュ導電部(7b)が、導線絶縁によって覆われていることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一つに記載のブッシュ。
【請求項17】
電気的絶縁層(31)が、ブッシュ内側面の全面にわたって塗布又は蒸着され、且つ前記絶縁層(31)が、前記ブッシュ導電部(7b)を覆うことを特徴とする請求項13〜16のいずれか一つに記載のブッシュ。
【請求項18】
導電体材料からなるブッシュ本体(27)を有し、少なくとも一つのブッシュ導電部(7b)が前記ブッシュ本体(27)を貫通し、前記ブッシュ導電部(7b)が前記ブッシュ本体(27)の一端に設けられたブッシュ接触接続部(28)に接続され、且つ前記ブッシュ導電部(7b)と前記ブッシュ接触接続部(28)が前記ブッシュ本体(27)に対して電気的に絶縁される深井戸用ドリルコラム(3)のためのブッシュ(11)において、
前記ブッシュ導電部(7b)が管状であり、前記ブッシュ導電部(b)が前記ブッシュ本体(28)を貫通し及び/若しくはブッシュ本体(27)を覆い、且つ前記ブッシュ導電部(7b)及び前記ブッシュ本体(27)が、本質的に同一な線形熱膨張特性を有することを特徴とするブッシュ。
【請求項19】
前記ブッシュ導電部(28)及び前記ブッシュ本体(27)は、同一の材料、好ましくは鉄から形成されることを特徴とする請求項18記載のブッシュ。
【請求項20】
前記ブッシュ導電部(7b)が、凝集性及び/若しくは強制密着法において、前記ブッシュ本体(27)に接続されることを特徴とする請求項18又は19に記載のブッシュ。
【請求項21】
前記ブッシュ導電部(7b)とブッシュ本体(27)の間には、0.5cm〜2.5cm、好ましくは1.5cmのギャップが設けられ、且つそのギャップには、流延材料、特にエポキシ樹脂が充填されることを特徴とする請求項18〜20のいずれか一つに記載のブッシュ。
【請求項22】
前記ブッシュ接触接続部(28)が、ブッシュ内側面(29)の前面肩部(32)に設けられることを特徴とする請求項13〜21のいずれか一つに記載のブッシュ。
【請求項23】
前記ブッシュ接触接続部(28)が円周状に形成され、且つ前記ブッシュ接触接続部(28)が前記肩部(32)に設置された絶縁リング(20)上に配されることを特徴とする請求項22記載のブッシュ。
【請求項24】
環状溝が、前記ブッシュ接触接続部(28)を収納するために、弾性材料からなる前記絶縁リング(20)に設けられ、該環状溝(21)が、前記ブッシュ接触接続部(28)の高さよりも深いことを特徴とする請求項23記載のブッシュ。
【請求項25】
前記ブッシュ接触接続部(28)に、前記肩部(32)から離れる方向に弾性負荷がかけられ、且つ/又は、外側突出接触舌部が、前記ブッシュ接触接続部(28)に設けられることを特徴とする請求項22〜24のいずれか一つに記載のブッシュ。
【請求項26】
少なくとも一つの円周状シール(35)が前記ブッシュ本体(27)の外側前面(34)に設けられることを特徴とする請求項13〜25のいずれか一つに記載のブッシュ。
【請求項27】
導電体材料からなるドリルパイプ本体(12)を有する複数のドリルパイプ(10)と、導電体材料からなるブッシュ本体(27)を有する複数のブッシュ(11)を有する深井戸用ドリルコラム(3)であって、請求項1〜12のいずれか一つに記載の少なくとも一つのドリルパイプ(10)と、請求項13〜26のいずれか一つに記載の少なくとも一つのブッシュ(11)とを有し、一つの電極が、ドリルパイプ本体(12)と前記ブッシュ本体(27)からなるドリルコラム本体によって形成され、他方の電極が、前記ドリルコラム本体から電気的に絶縁され且つ前記ドラムコラム本体内に配された少なくとも一つの導電部(7)によって形成され、パイプ接触接続部(13)及びブッシュ接触接続部(28)が、前記ドリルパイプ(10)及び前記ブッシュ(11)がお互いにネジ接続されて、電気的に接続されるように設計及び配置されることを特徴とする深井戸用ドリルコラム。
【請求項28】
前記ドリルパイプ本体(12)から絶縁され、前記パイプ導電部(7)に接続されるスリップリングコレクターが、第1のドリルパイプ(10)に設けられることを特徴とする請求項27記載の深井戸用ドリルコラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−518906(P2007−518906A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549926(P2006−549926)
【出願日】平成16年12月31日(2004.12.31)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014878
【国際公開番号】WO2005/071211
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506245051)デーテーベー パテンテ ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】