説明

深絞り包装体

【課題】耐ピンホール性等のリジット性に優れており、コンパクトな包装形態とすることができる新規な形態の深絞り包装体を提供する。
【解決手段】複数の深絞り成形部を有する底材と、該底材にヒートシールされた蓋材とを備えた深絞り包装体であって、複数の深絞り成形部から任意に選ばれた隣接する二つの深絞り成形部間の底材および/または蓋材にミシン目カットまたは切り込みが形成されており、任意に選ばれた隣接する二つの深絞り成形部が、該ミシン目カットまたは切り込みを折り目とし蓋材を内側にして、所定の条件(1)を満たすようにして折りたたみ可能な深絞り包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等を分けて収容することができる複数の深絞り成形部を有し、複数の深絞り成形部の間で折りたたんだ形態とすることができる深絞り包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無定形ポリエステル(以下、「APET」と省略する場合がある。)やポリプロピレン(以下、「PP」と省略する場合がある。)を底材フィルムの基材とし、中身を窒素等で置換した深絞り包装体(以下、「ガスパック包装」という場合がある。)が広く流通している(特許文献1)。このガスパック包装の中で、成型部を2つに分けて少量ずつ使用できるようにしたものや、異なるものを収容したもの(例えば、ハンバーグとミートソース、スライスハムとドレッシング。)がある。また、成型部の間のヒートシール部にミシン目カット等を入れて、2つに分離できるようにしたものがある(特許文献2)。
【特許文献1】特許第3488764号
【特許文献2】特開2002−59971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1および特許文献2に記載の深絞り包装体は、どちらも蓋材が外部に露出した形態となっている。かかる蓋材は、通常70〜100μm程度の薄いフィルムであるため、鋭利なものが該蓋材部分に接触した場合に、ピンホールが発生する危険性があった。
【0004】
また、特許文献2に記載の成型部を2つに分けた包装体は、平面的に大きくなる傾向があり、保管や輸送に大きな場所を取ってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、耐ピンホール性等のリジット性に優れており、コンパクトな包装形態とすることができる新規な形態の深絞り包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、これにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0007】
第1の本発明は、複数の深絞り成形部(22a、22b、…)を有する底材(20)と、底材にヒートシールされた蓋材(10)とを備えた深絞り包装体であって、複数の深絞り成形部から任意に選ばれた隣接する二つの深絞り成形部間の底材および/または蓋材にミシン目カットまたは切り込み(30a、…)が形成されており、任意に選ばれた隣接する二つの深絞り成形部が、ミシン目カットまたは切り込みを折り目とし蓋材(10)を内側にして、以下の条件(1)を満たすようにして折りたたみ可能な深絞り包装体(100A、…)である。
条件(1):隣接する二つの深絞り成形部(22a、22b、…)を180°折りたたんで形成された折り目を10N/cmにて、15℃、10秒間、全長にわたり押圧した後に、隣接する二つの深絞り成形部の蓋材(10)同士の間に生じる最大間隙をG(mm)、折り目(30a、…)から深絞り成形部の折りたたみ方向先端部までの最大長さをL(mm)とした時、G/L<0.05である。
【0008】
第1の本発明において、ミシン目カットまたは切り込み(30a、…)は、接続部と切断部との比が1:1〜5で、0.5mm以上2.0mm以下の接続部が形成されているミシン目カット、または、残厚みが30μm以上100μm以下の切り込みであることが好ましい。
【0009】
第1の本発明において、複数の深絞り成形部(22a、22b、…)は、それぞれ異なる内容量および/または形状を有していることが好ましい。
【0010】
第1の本発明において、蓋材(10)は、外層として延伸フィルムを有していることが好ましく、これにより、折り目(30a、…)から隣接する二つの深絞り成形体を分離可能とすることができる。ここで、「外層」とは、ヒートシールする他のフィルムと接触する側とは反対側の表面層をいう。
【0011】
第1の本発明において、底材(20)は、ラミネート面に印刷層が形成された延伸フィルムを外層として有していることが好ましい。
【0012】
第1の本発明において、底材(20)は、150μm以上500μm以下の無定形ポリエステル基材を有していることが好ましい。
【0013】
第1の本発明において、底材(20)または蓋材(10)は、内層または内層に隣接する層として、25℃で1.96N/15mm幅以上14.7N/15mm幅以下のイージーピール強度であるイージーピール層を有していることが好ましい。ここで、「内層」とは、ヒートシールする他のフィルムと接触する側の表面層をいう。
【発明の効果】
【0014】
本発明の深絞り包装体は、複数の深絞り成形部のうちの任意の成形部間において、蓋材を内側にして所定の条件を満たすようにして折りたたまれている。これにより、本発明の深絞り成形体は、蓋材を内側にして、フィルムの厚さが比較的厚い底材を外側にした形態となっているので、耐ピンホール性、リジット性に優れたものとすることができる。また、折りたたむことによりコンパクトな大きさの深絞り包装体とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の深絞り包装体についてさらに詳細に説明する。
<本発明の深絞り包装体の形態>
図1(a)に本発明の深絞り包装体の一実施形態として、深絞り包装体100Aの折りたたみ前の形態の斜視図を示した。図1(b)に本発明の深絞り包装体100Aの折りたたみ後の形態の斜視図を示した。本発明の深絞り成形体100Aは、二つの深絞り成形部22a、22bを有する底材20と、該底材20にヒートシールされた蓋材10とを備えている。そして、二つの深絞り成形部間に蓋材10および底材20がヒートシールされた部分を有しており、ここにおいて、底材20および/または蓋材10にミシン目カットまたは切り込み30aが形成されている(図1(a)においては、ミシン目カットが破線で示されている。)。
【0016】
本発明の深絞り包装体100Aは、図1(b)に示した形態のように、ミシン目カットまたは切り込み30aを折り目として、蓋材10を内側にして、以下において説明する所定の条件(1)を満たすように折りたたまれている。図1に示した深絞り包装体100Aにおいては、二つの深絞り成形部22a、22bは、略同一の平面視矩形の深絞り容器となっている。
【0017】
ここで、条件(1)における、「折り目から深絞り成形部の折りたたみ方向先端部までの最大長さ(L)」について、図1(a)を用いて説明すると、最大長さ(L)とは、La、Lbのいずれか長い方をいう。なお、「La」とは、折り目30aに対する垂直線Y(図1(a)において、一点鎖線で示されている。)を、蓋材10上に引いた場合に、垂直線Yと折り目30aとの交点Y1と、垂直線Yと深絞り成形部22aの折りたたみ方向先端部との交点Y2との間の距離をいう。また、「Lb」とは、交点Y1と、垂直線Yと深絞り成形部22bの折りたたみ方向先端部との交点Y3との間の距離をいう。また、深絞り包装体100Aは、折り目30aにおいて平面視線対称であるので、LaとLbとは略同一である。なお、略同一とは、厳密な同一を要求するものではなく、図1(b)の折りたたんだ形態とした場合に、内側となる蓋材10の90%以上、好ましくは95%以上が底材20により覆われればよい程度の同一性という意味である(以下、本明細書において、同様である。)。
【0018】
本発明の包装体は、図1(b)に示したように、蓋材10を内側にして折りたたむ形態とすることによって、フィルムの厚さが比較的厚い底材20が外側となるようにすることができる。これにより、本発明の深絞り包装体100Aは、耐ピンホール性、リジット性に優れ、また、コンパクトな大きさの深絞り包装体とすることができる。
【0019】
また、図1(a)に示したように、底材20または蓋材10にイージーピール性を付与した場合、開封のきっかけとなる非ヒートシール部12を設けることが好ましい。該非ヒートシール部12の蓋材フィルム10を掴むことにより、容易に蓋材10を底材20から剥離することができる。また、底材20の深絞り成形部22a、22bには、種々のリブを作成してもよい。これにより、底材20をさらにリジット性に優れたものとすることができる。
【0020】
図2(a)〜(d)に、本発明の深絞り包装体100Aの折りたたみの機構を説明する図を示した。それぞれの図は、図1(a)の矢印Xの方向から見た正面図である。図1(a)の形態が図2(a)に、図1(b)の形態が図2(d)にそれぞれ対応している。このようにミシン目カットまたは切り込み30aを折り目として、蓋材10を内側にして、隣接する二つの深絞り成形部22a、22bが折りたたまれている。図2(c)に示すように、蓋材10を内側として、底材20が折りたたまれて、いわゆる貝殻のようになり、リジット性に優れた深絞り包装体となる。
【0021】
図3および図4に、本発明の深絞り包装体の他の形態100B、100Cを示した。図3に示した形態100Bは、四つの深絞り成形部22c、22d、22e、22fを有する底材20と、該底材20にヒートシールされた蓋材10とを備えている。そして、深絞り成形部22c、22dの間、および、深絞り成形部22e、22fの間のヒートシール部には、ミシン目カット30b、30cが形成されている。これらのミシン目カット30b、30cを折り目として、蓋材10を内側として、以下において説明する条件(1)を満たすようにして深絞り成形部22c、22fをそれぞれ折りたたむことによって、図3(b)に示すような形態とすることができる。
【0022】
図3に示した深絞り包装体100Bにおいては、深絞り成形部22cおよび22dが略同一の平面視矩形の深絞り容器となっている。また、深絞り成形部22eおよび22fが略同一の平面視矩形の深絞り容器となっている。
【0023】
図3に示した深絞り包装体100Bは、深絞り成形部22dおよび22eからなる中心部分、および、その両側に位置する深絞り成形部22c、22fからなる扉部分を備えて構成される、いわゆる観音開きタイプの包装体である。このような観音開きタイプの包装体においては、条件(1)における、「折り目から深絞り成形部の折りたたみ方向先端部までの最大長さ(L)」は、扉部分22c、22fにおける折り目から深絞り成形部の折りたたみ方向先端部までの最大長さ(L)をいう。つまり、図3に示した形態において、最大長さ(L)とは、Lc、Lfのいずれか長い方をいう。
【0024】
また、深絞り包装体100Bにおいては、LcとLfとを合計した長さLc+Lfが、深絞り成形部22dおよび22eからなる中心部分の平面視横方向の長さLdeと略同一となる。そして、図3(b)に示すように、30b、30cを折り目として折りたたんだ場合に、底材20が蓋材10を覆って、リジット性に優れたコンパクトな大きさの深絞り包装体とすることができる。
【0025】
図4に示した形態100Cは、三つの深絞り成形部22g、22h、22jを有する底材20と、該底材20にヒートシールされた蓋材10とを備えている。そして、深絞り成形部22g、22hの間、および、深絞り成形部22h、22jの間のヒートシール部には、ミシン目カット30d、30eが形成されている。これらのミシン目カット30d、30eを折り目として、蓋材10を内側にして、深絞り成形部22g、22jをそれぞれ折りたたむことによって、図4(b)に示すような形態とすることができる。
【0026】
また、図4に示した深絞り包装体100Cは、図3に示した包装体と同様の観音開きタイプの包装体であるので、条件(1)における最大長さ(L)とは、扉部分22g、22jにおける折り目から深絞り成形部の折りたたみ方向先端部までの最大長さ(L)をいう。つまり、図4に示した深絞り包装体100Cにおいて、最大長さ(L)とは、Lg、Ljのいずれか長い方をいう。
【0027】
また、深絞り包装体100Cにおいては、LgとLjとを合計した長さLg+Ljが、深絞り成形部22hからなる中心部分の平面視横方向の長さLhと略同一となる。そして、図4(b)に示すように、30d、30eを折り目として折りたたんだ場合に、底材20が蓋材10を覆って、リジット性に優れたコンパクトな大きさの深絞り包装体とすることができる。
【0028】
図4に示した深絞り包装体100Cは、深絞り成形部22g、22jの内容量および形状と、深絞り成形部22hの内容量および形状とが異なる深絞り包装体である。深絞り包装体100Cの実際の使用例を示すと、例えば、深絞り成形部22hにパスタの麺を入れ、深絞り成形部22gにトマト系のパスタソースを入れ、深絞り成形部22jにクリーム系のパスタソースを入れることにより、二種類のソースを味合うことができるパスタを提供できる包装体とすることができる。また、深絞り成形部22hにサラダを入れ、深絞り成形部22gにシーザードレッシングを入れ、深絞り成形部22jに和風ドレッシングを入れることもできる。このように、近年の需要者の嗜好の多様化に柔軟に対応することができる包装体とすることができる。
【0029】
これまで、図1〜図4においては、平面視矩形の深絞り成形部22a〜22jを有する深絞り包装体100A、100B、100Cについて説明した。しかし、深絞り成形部の形状は、平面視矩形に限定されない。例えば、図5に示したような形状の深絞り成形部22k、22mを有する、いわゆるホタテ貝状の深絞り包装体100Dとすることができる。深絞り包装体100Dは、二つの深絞り成形部22k、22mを有する底材20と、該底材20にヒートシールされた蓋材10とを備えている。そして、深絞り成形部22k、22mの間のヒートシール部には、ミシン目カット30fが形成されている。このミシン目カット30fを折り目として、蓋材10を内側として、折りたたむことによって、図5(b)に示すような形態とすることができる。
【0030】
図5に示した形態の深絞り包装体100Dは、蓋材10上のミシン目カット30fの垂直二等分線Y(図5(a)において一点鎖線で示されている。)において、平面視線対称となっている。よって、この垂直二等分線Yの部分において、深絞り包装体100Dは横方向の長さが最も大きくなっている。したがって、条件(1)における最大長さ(L)とは、図中のLk、Lmのいずれか長い方をいう。なお、「Lk」とは、垂直二等分線Yとミシン目カット30fとの交点Y4と、垂直二等分線Yと深絞り成形部22kの折りたたみ方向先端部との交点Y5との間の距離である。また、「Lm」とは、交点Y4と、垂直二等分線Yと深絞り成形部22mの折りたたみ方向先端部との交点Y6との間の距離である。また、深絞り包装体100Dでは、折り目30fにおいて平面視線対称であるので、LkとLmは略同一となる。
【0031】
上記に示した深絞り包装体100A〜100Dは、あくまで本発明の深絞り成形体の一実施形態である。本発明の深絞り包装体は、任意に選ばれた隣接する二つの深絞り成形部が、ミシン目カットまたは切り込みを折り目として蓋材を内側にして、以下において説明する条件(1)を満たすようにして折りたたまれていればよく、深絞り成形部の形状および内容量は、上記した実施形態のものに限定されるものではない。また、深絞り包装体が有する複数の深絞り成形部が、それぞれ異なる内容量および/または形状を有するものであってもよい。
【0032】
<ミシン目カット、切り込み(30a、…)>
本発明の深絞り包装体100においては、複数の深絞り成形部から任意に選ばれた隣接する二つの深絞り成形部間の底材20および/または蓋材10にミシン目カットまたは切り込み(30a、…)が形成されている。該ミシン目カットまたは切り込み(30a、…)は、深絞り包装体100を折りたたむ際の折り目となる。
【0033】
ミシン目カット(30a、…)は、底材20および蓋材10を貫く切断部が、隣接する二つの深絞り成形部間において、直線状に複数形成されたものである。これにより、折り目となる部分(30a、…)には、接続部と切断部とが交互に形成されることになる。接続部は、その長さの下限が好ましくは0.5mm以上、好ましくは0.7mm以上、さらに好ましくは0.9mm以上であり、上限が好ましくは2.0mm以下、好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下である。また、切断部は、その長さの下限が好ましくは0.5mm以上、好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上であり、上限が好ましくは10.0mm以下、好ましくは6.0mm以下、さらに好ましくは4.0mm以下である。
【0034】
このように、接続部を0.5mm以上、2.0mm以下とすることにより、輸送等の衝撃によりミシン目カット部で深絞り包装体が破断するのを防止することができる。また、切断部を0.5mm以上、10.0mm以下とすることにより、良好な折りたたみ性、分離性を得ることができる。また、接続部と切断部の比が、1:1〜5、好ましくは1:1〜4、さらに好ましくは1:1〜3であることが望ましい。この範囲に接続部と切断部の比を調節することにより、折りたたみ性が良好であり、運搬時等の破断がない深絞り容器を得ることが可能である。
【0035】
切り込み30(30a、…)は、隣接する二つの深絞り成形部間において、折り目となる部分30(30a、…)において、蓋材10側あるいは底材20側から形成された、所定の深さの切断部分をいう。また、残厚みとは、底材20と蓋材10の合計厚みから前記切断部分の所定の深さを除いた厚みをいう。
【0036】
切り込み30(30a、…)を形成した場合の、蓋材および底材の残厚みは、下限は30μm以上、好ましくは40μm以上であり、さらに好ましくは50μm以上であり、上限は100μm以下、好ましくは80μm以下、さらに好ましくは70μm以下である。残厚みを30μm以上にすることにより、輸送等の衝撃により切り込み部で深絞り包装体が破断するのを防ぐことができる。また、残厚みを100μm以下にすることにより、良好な折りたたみ性、分離性を得ることができる。
【0037】
本発明の包装体は、手で分離することが可能であり、かつ輸送等の衝撃に耐えることが可能である。すなわち、図1の包装体100Aは、ミシン目カットまたは切り込み部30aから、22aの深絞り成形部を有する包装体と、22bの深絞り成形部を有する包装体に、手で分離することが可能であり、かつ輸送等の衝撃に耐えることが可能である。
【0038】
分離するために必要な力の調節は、ミシン目の長さ、切り込みの深さで調整することができる。分離可能なミシン目の接続部分の長さは、前記したように0.5〜2.0mmの範囲であり、切断部の長さは前記したように0.5〜10.0mmであり、接続部と切断部の比は前記したように1:1〜5であり、切り込み部分の残厚みは前記したように30〜100μmである。本発明のように、深絞り包装容器を分離することが可能であれば、一包装容器ごとに消費が可能であり利便性が向上する。
【0039】
<条件(1)>
本発明の深絞り包装体においては、任意に選ばれた隣接する二つの深絞り成形部は、上記のミシン目カットまたは切り込みを折り目とし蓋材を内側にして、以下の条件(1)を満たすようにして折りたたまれている。
【0040】
条件(1):隣接する二つの深絞り成形部を180°折りたたんで形成された折り目を10N/cmにて、15℃、10秒間、全長にわたり押圧した後に、隣接する二つの深絞り成形部の蓋材同士の間に生じる最大間隙をG(mm)、折り目から深絞り成形部の折りたたみ方向先端部までの最大長さをL(mm)とした時、G/L<0.05であり、好ましくは0.04であり、さらに好ましくは0.03である。
【0041】
条件(1)において、折り目の全長にわたって、所定の押圧を行ってから、GおよびLを測定している。これは、深絞り包装体を単に折り目において折りたたんだだけでは、折り目部分でフィルムが元の折り曲げる前の状態に戻ろうとする弾性が残っており、所望の折りたたみ形状とならないため必要な処理であり、実際の製品である深絞り包装体においても行っている処理である。
【0042】
図6に、図1の深絞り包装体100Aに対して上記の押圧を行って、折りたたんだ形態の側面図を示した。以下、図6を用いて、条件(1)を説明する。上記において既に説明したように、深絞り包装体100Aにおいて最大長さ(L)は、La(あるいはLb)である。また、図6において、深絞り包装体100Aを折りたたんだ際に、隣接する二つの深絞り成形部22a、22bの蓋材同士の間に生じる間隙がG1、G2、およびG3として示されているが、この中で、条件(1)の最大間隙Gは、G1となる。よって、図6の形態における、条件(1)は、「G1/La<0.05」である。
【0043】
本発明の深絞り包装体は、底材フィルムと蓋材フィルムから成る。底材フィルムと蓋材フィルムは、単層または多層フィルムである。
【0044】
<底材フィルム>
本発明の深絞り包装体に使用する底材フィルムは、内層、中間層、外層により構成されている。本発明の深絞り包装体に使用する底材フィルムの内層は、ヒートシール層および/またはイージーピール層から成る。内層がヒートシール層およびイージーピール層から成る場合には、ヒートシール層を第一内層(最内側)に配し、イージーピール層を内層の中間層側に隣接する層(隣接層)、第二内層に配すことが望ましい。本発明の深絞り包装体に使用する底材フィルムの中間層は、ポリアミド層(以下PA層)、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物層(以下EVOH層)、エチレン−酢酸ビニル層(EVA層)、ポリエチレン層(PE層)、接着樹脂層のいずれか一層、または複数層、または全ての層からなる。また、前記した中間層を構成する層において、同種の層が二層以上あってもよい。中間層を構成する層が複数層ある場合に、その中間層を構成する層の積層順は特に定めはないが、本発明のフィルムに柔軟性を付与する観点において前記EVA層、PE層は内層とPA層の間に配することが望ましい。本発明の深絞り包装体に使用する底材フィルムの外層は、底材基材層を有する層である。さらに、底材基材層の外側に底材印刷層および/または底材外層を配してもよく、底材印刷層および底材外層の二層を配する場合には、底材基材層の外側に底材印刷層を配し、さらに外側に底材外層を配することが好ましい。
以下に、各層について詳述する。
【0045】
(内層:ヒートシール層)
本発明の包装体に使用される底材フィルム20および蓋材フィルム10の内層にはヒートシール性を付与する目的でPE系やPP系の樹脂を使用してもよい。ここで、内層とは、底材フィルム20であれば、蓋材フィルム10とヒートシールした場合に、蓋材フィルム10と接触する側の表面層をいい、蓋材フィルム10であれば、底材フィルム20とヒートシールした場合に、底材フィルム20側と接触する側の表面層をいう。
【0046】
ヒートシール層に使用される樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)のアイオノマー、および、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)のアイオノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である樹脂組成物やポリプロピレン(PP)が挙げられる。また、これらの中でも、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)またはこれらの混合物を用いることが好ましく、特に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることがヒートシール温度、シール強度の点で好ましい。
【0047】
ヒートシール層の厚みの下限は、2μm以上、好ましくは3μm以上、さらに好ましくは4μm以上が好ましく、上限は、50μm以下、好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下が好ましい。
【0048】
(内層:イージーピール層)
本発明の包装体に使用される底材フィルム20および蓋材フィルム10の内層には、開封性を良くするためにイージーピール性を付与することができる。イージーピール性は底材フィルム20、蓋材フィルム10のどちらに付与しても良く、凝集破壊タイプ、層間剥離タイプ、界面剥離タイプのいずれでもよい。イージーピール強度は易開封性およびシール性のバランスの点から、25℃で、その下限が好ましくは1.96N/15mm幅以上、より好ましくは2.45N/15mm幅以上、さらに好ましくは2.94N/15mm幅以上であり、その上限が好ましくは14.7N/15mm幅以下、より好ましくは9.8N/15mm幅以下、さらに好ましくは7.84N/15mm幅以下である。イージーピール強度の下限を、1.96N/15mm幅以上にすることにより、輸送中の破袋を防止することができ、また、上限を14.7N/15mm幅以下とすることにより、良好な開封性が得られる。イージーピール強度は、底材フィルム20および蓋材フィルム10からなる深絞り包装体のヒートシール部分を15mm幅の短冊状に切断し、引張試験機を用いて200mm/minの速度で蓋材フィルム10と底材フィルム20とを剥離したときの最大荷重から求めた。
【0049】
凝集破壊タイプの場合のイージーピール層の厚さは、下限は2μm以上、好ましくは3μm以上、さらに好ましくは4μm以上、上限は30μm以下、好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。また層間剥離タイプ、および界面剥離タイプの場合のイージーピール層の厚さは、下限は3μm以上、好ましくは4μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、上限は50μm以下、好ましくは40μm以下、さらに好ましくは35μm以下である。
【0050】
(中間層:PA層)
本発明の包装体の底材フィルムおよび/または蓋材フィルムの中間層に、耐ピンホール性を付与する目的でポリアミド層(以下、PA)を設けても良い。PAは、特に限定されないが、耐ピンホール性の観点からはナイロン系樹脂(Ny)を用いることが好ましい。Nyとしては、例えば、6ナイロン、66ナイロン、69ナイロン、6−66ナイロン、12ナイロン、11ナイロン、610ナイロン、612ナイロン、6I−6Tナイロン、MXD6ナイロン等の縮合単位の重合体またはこれら2種以上との共重合体、さらにはこれらの混合物を挙げることができる。中でも6ナイロンや6−66ナイロンを用いることが好ましい。
【0051】
中間層としてPA層を設ける場合、PA層の厚みの下限は2μm以上、好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、上限は30μm以下であり、好ましくは 20μm以下であり、さらに好ましくは15μm以下である。PA層の厚みの下限値を2μm以上とすることにより良好な耐ピンホール性が得られ、また上限値を30μm以下とすることにより深絞り包装機での良好なカット性が得られる。
【0052】
(中間層:EVOH層)
本発明の包装体の底材フィルムおよび/または蓋材フィルムの中間層に、酸素バリアー性を付与する目的で、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物層(以下、EVOH)を設けることができる。EVOH層で用いられるEVOHのエチレン含有率は特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から29〜47モル%であることが好ましく、32〜44モル%であることがさらに好ましい。また、EVOHのケン化度は好ましくは90%以上、より好ましくは95モル%以上である。EVOHのエチレン含有量およびケン化度を上記範囲に保つことにより、本発明のフィルムの共押出性、フィルムの強度を良好なものとすることができる。
【0053】
EVOH層を設ける場合、EVOH層の厚みの下限は5μm以上、好ましくは8μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、上限は30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。EVOH層の厚みの下限を5μm以上とすることにより十分な酸素バリアー性が得られ、また上限を30μm以下とすることによりフィルムの共押出性を悪化することもなく、かつ良好なフィルム強度を保持できる。
【0054】
(中間層:EVA層)
EVA層で使用されるEVAのエチレン含有率は特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から、その下限が好ましくは1モル%以上、より好ましくは1.5モル%以上であり、その上限が好ましくは20モル%以下、より好ましくは15モル%以下である。また、製膜性の観点からEVA層の厚みは、下限が好ましくは5μm以上、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、上限が好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。
【0055】
(中間層:PE層)
PE層で使用されるPEは特に限定されるものではなく、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)またはこれらの混合物を使用することができる。
【0056】
LDPEまたはLLDPEは、密度が0.90以上のものが好ましく、HDPEは、密度0.94以上のものが好適に使用される。密度の高いものを使用することにより、PE層に柔軟性を維持しつつ、適度の硬さを付与することができる。PE層を設ける場合、PE層の厚みは、下限が好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、上限が好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。
【0057】
(中間層:接着樹脂層)
本発明の包装体の底材フィルムおよび/または蓋材フィルムの中間層として、各層を接着するために接着樹脂層を配設することができる。接着樹脂層で使用される接着樹脂は、PA層、PE層、APET層等を必要な強度に接着することができれば特に限定されないが、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。また接着樹脂として、前記不飽和カルボン酸のエステルや無水物も用いることができ、さらに誘導体としてアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウム等の他、酢酸ビニルを用いることができる。市販の接着樹脂としては、例えば、三井化学社製、商品名アドマーが挙げることができる。
【0058】
接着樹脂層の厚みは、各層を必要な接着強度で接合できれば特に限定されないが、下限が好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、上限が好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
【0059】
(外層:底材基材)
本発明の深絞り包装体の底材20は、所定の厚さの無定形ポリエステル基材を有していることが好ましい。無定形ポリエステル基材の厚さは、その下限が好ましくは150μm以上、より好ましくは180μm以上、さらに好ましくは200μm以上であり、上限が好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下、さらに好ましくは400μm以下である。底材基材の厚さの下限を150μm以上にすることにより、包装体としての腰(リジット性)を保つことができ、上限を500μm以下にすることにより、良好な折りたたみ適性が得られる。
【0060】
(外層:底材基材外層)
本発明の深絞り包装体の底材20においては、上記の底材基材の外側に外層を設けることができる。底材基材外層を構成する樹脂としては、光沢性を付与するために、非晶性ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
【0061】
例えば、ジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメチルアルコールおよびエチレングリコールからなり、ジカルボン酸成分がテレフタル酸からなるポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂(PETG)は、本発明の非晶性ポリエステル系樹脂として好適に使用できる。
【0062】
(外層:底材印刷層)
底材20においては、基材の外側に、印刷を施した成形用二軸延伸ポリエステルフィルムや無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPP)をドライラミネート等の方法でラミネートしても良い。
【0063】
<蓋材フィルム>
本発明の深絞り包装体に使用する蓋材フィルムは、内層、中間層、外層により構成されている。本発明の深絞り包装体に使用する蓋材フィルムの内層および中間層は、前記した本発明の深絞り包装体に使用する底材フィルムと同様の態様が望ましい。本発明の深絞り包装体に使用する蓋材フィルムの外層は、蓋材外層からなる層である。
【0064】
本発明の包装体の蓋材は、蓋材外層として延伸フィルムを有していることが好ましい。延伸フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)を用いることができ、これらの延伸フィルムをラミネートして蓋材外層とすることができる。このように、蓋材外層として延伸フィルムを備えることにより、蓋材に硬さを付与したり、印刷を施したりすることができる。
【0065】
<蓋材または底材フィルムの層構成>
本発明の深絞り包装体に使用する蓋材または底材の積層フィルムの例示をする。例示の中で使用している記号は、以下である。ポリアミド樹脂層(A)、EVOH層(B)、PETG層(C)、ポリエチレン樹脂層(D)、APET層(E)、ポリプロピレン樹脂層(F)、接着樹脂層(G)、ヒートシール層および/またはイージーピール層(H)および、印刷された延伸フィルム層(I)である。中でも好ましい層構成は、下記(4)または(5)であり、さらに好ましい層構成は(4)である。
(1)E/G/H
(2)E/G/B/G/H
(3)E/G/B/A/G/H
(4)E/G/A/B/A/G/H
(5)C/E/G/A/B/A/G/H
(6)I/E/G/A/B/A/G/H
(7)I/C/E/G/A/B/A/G/H
(8)E/G/A/B/A/G/D/H
(9)E/G/D/G/A/B/A/G/H
(10)E/G/D/G/A/B/A/G/D/H
【0066】
<包装体の製造方法>
本願発明に使用する底材、および蓋材フィルムの一部分は共押出しによって無延伸複合フィルムを作製する。その後、必要によってラミネーション法によりさらに別の層を配することもある。ラミネーション法によるフィルムは単層でも複数層でもよく、無延伸フィルムでも延伸フィルムでもよい。得られた、フィルムを底材として使用する場合には、深絞り成形機により、深絞り包装体として容器を形作る。底材フィルムと、蓋材フィルムをシールする場合には、熱融着することにより融着する。ミシン目カットは、深絞り包装機のカット刃をノコ刃状にすることにより入れることができる。ミシン目カットの接続部、切断部はノコ刃の間隔を変えることにより調節することができる。
【実施例】
【0067】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
全層共押出による下記層構成の底材フィルムを作製した。
(底材フィルム)
APET(250μm)/接着樹脂(10μm)/EVOH(10μm)/Ny(10μm)/接着樹脂(10μm)/LDPE(20μm)
各層間の「/」は共押出により積層されていることを意味している(以下において同様である。)
また、下記層構成の共押出フィルムの外層に二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートして下記構成の蓋材フィルムを作製した。
(蓋材フィルム)
OPET(12μm)//EVOH(10μm)/Ny(10μm)/接着樹脂(10μm)/イージーピール層(PP:25μm)/ヒートシール層(LLDPE:5μm)
各層間の「//」はドライラミネートにより積層されていることを意味している(以下において同様である。)。
これらの底材フィルムおよび蓋材フィルムを用いて深絞り包装した。深絞り包装は、深絞り包装機(ムルチバックR530)によって、底材フィルムを、縦144mm、横106mm、絞り深さ25mmの形状の深絞り成型部Aと、縦144mm、横106mm、絞り深さ15mmの形状の深絞り成型部A’の2つの成型部がある形状に深絞り成形し、深絞り成型部Aにスライスハム100g、深絞り成型部A’にスライスハム60gを入れて、蓋材フィルムを被せて窒素置換後、枠シールすることにより行った。
その後、以下に示すミシン目カットを入れて、半分に折りたたんで深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:0.8mm 切断部:1.5mm
【0069】
(実施例2)
実施例1と同一の底材フィルム、蓋材フィルムを使用して、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示す切り込みを蓋材側から入れて、深絞り包装体を作製した。
(切り込み)
残厚み:50μm
【0070】
(実施例3)
下記層構成の底材フィルムを作製した。この底材フィルムと、実施例1と同じ蓋材フィルムを用いて、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて深絞り包装体を作製した。
(底材フィルム)
成形用二軸延伸ポリエステルフィルム(16μm)//APET(200μm)/接着樹脂(10μm)/EVOH(10μm)/Ny(10μm)/接着樹脂(10μm)/LDPE(20μm)、なお、成形用二軸延伸ポリエステルフィルムのラミネート面側には印刷が施してある。
(ミシン目カット)
接続部:0.8mm 切断部:1.5mm
【0071】
(実施例4)
全層共押出による下記層構成の底材フィルムを作製した。
(底材フィルム)
PETG(20μm)/APET(250μm)/接着樹脂(10μm)/EVOH(10μm)/Ny(10μm)/接着樹脂(10μm)/LDPE(20μm)
上記底材フィルムと実施例1と同一の蓋材フィルムを使用して、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて、半分に折りたたんで深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:0.8mm 切断部:1.5mm
【0072】
(実施例5)
実施例1と同一の底材フィルム、蓋材フィルムを使用して、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて、半分に折りたたんで深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:2.0mm 切断部:2.0mm
【0073】
(実施例6)
実施例1と同一の底材フィルム、蓋材フィルムを使用して、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて、半分に折りたたんで深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:1.5mm 切断部:4.5mm
【0074】
(実施例7)
実施例1と同一の底材フィルム、蓋材フィルムを使用して、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて、半分に折りたたんで深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:1.0mm 切断部:4.0mm
【0075】
(実施例8)
実施例1と同一の底材フィルム、蓋材フィルムを使用して、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて、半分に折りたたんで深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:0.5mm 切断部:2.5mm
【0076】
(実施例9)
実施例1と同一の底材フィルム、蓋材フィルムを使用して、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示す切り込みを蓋材側から入れて、深絞り包装体を作製した。
(切り込み)
残厚み:80μm
【0077】
(実施例10)
全層共押出による下記層構成の底材フィルムを作製した。
(底材フィルム)
APET(450μm)/接着樹脂(10μm)/EVOH(10μm)/Ny(10μm)/接着樹脂(10μm)/LDPE(20μm)
上記底材フィルムと実施例1と同一の蓋材フィルムを使用して、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて、半分に折りたたんで深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:0.8mm 切断部:1.5mm
【0078】
(参考例1)
下記層構成の底材フィルムを作製した。この底材フィルムと、実施例1と同じ蓋材フィルムを用いて、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて深絞り包装体を作製した。
(底材フィルム)
APET(130μm)/接着樹脂(10μm)/EVOH(10μm)/Ny(10μm)/接着樹脂(10μm)/LDPE(30μm)
(ミシン目カット)
接続部:1.0mm 切断部:2.0mm
【0079】
(比較例1)
下記層構成の底材フィルムを作製した。この底材フィルムと、実施例1と同じ蓋材フィルムを用いて、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて深絞り包装体を作製した。
(底材フィルム)
APET(600μm)/接着樹脂(10μm)/EVOH(10μm)/Ny(10μm)/接着樹脂(10μm)/LDPE(20μm)
(ミシン目カット)
接続部:1.0mm 切断部:1.5mm
【0080】
(参考例2)
実施例1と同じ底材フィルムおよび蓋材フィルムを用いて、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:0.3mm 切断部:2.0mm
【0081】
(比較例2)
実施例1と同じ底材フィルムおよび蓋材フィルムを用いて、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:3.0mm 切断部:2.0mm
【0082】
(比較例3)
実施例1と同じ底材フィルムおよび蓋材フィルムを用いて、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:0.8mm 切断部:0.5mm
【0083】
(参考例3)
実施例1と同じ底材フィルムおよび蓋材フィルムを用いて、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示すミシン目カットを入れて深絞り包装体を作製した。
(ミシン目カット)
接続部:0.8mm 切断部:7.0mm
【0084】
(参考例4)
実施例2と同じ底材フィルムおよび蓋材フィルムを用いて、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示す切り込みを蓋材側から入れて深絞り包装体を作製した。
(切り込み)
残厚み:15μm
【0085】
(比較例4)
実施例2と同じ底材フィルムおよび蓋材フィルムを用いて、実施例1と同様に深絞り包装し、以下に示す切り込みを蓋材側から入れて深絞り包装体を作製した。
(切り込み)
残厚み:150μm
【0086】
上記の実施例および比較例において、底材フィルムおよび蓋材フィルムの各層を構成している樹脂として、具体的に以下のものを用いた。
APET:三菱化学社製、ノバペックス
Ny:三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバミッド(6Ny)
接着樹脂:三井化学社製、アドマー
LDPE:日本ポリエチレン社製、ノバテックLD
EVOH:クラレ社製、エバール(44モルタイプ)
OPET:E5100(東洋紡社製、エステルフィルム)
イージーピール層PP:日本ポリプロ社製、ノバテックPP(ランダムコポリマー)
ヒートシール層LLDPE:日本ポリエチレン社製、ノバテックC6
本実施例のイージーピールの種類は、層間剥離タイプのイージーピールを採用した。この場合イージー強度は、7.85N/15mm幅を示した。
二軸延伸ポリエステルフィルム(ドライラミネート用途):F685(東レ社製、ルミラー)
【0087】
<評価方法>
(折りたたみ性)
ミシン目カット、または切り込みに沿って折りたたんだ際に、G/Lが0.05より小さいものを「○」、G/Lが0.05以上のものを「×」として評価した。
【0088】
(落下テスト)
深絞り包装体を、一段に5個を四段積みにして(合計20個)、ダンボールケースに詰め、5℃の条件で24時間以上保管後、コンクリート面に1mの高さより20回底面より落下させ、さらに側面より10回落下させた。その後、ダンボール内の深絞り包装体を確認して、折りたたみ部からの破断の有無、包装体の潰れを確認した。折りたたみ部からの破断がなく、包装体が潰れていないものを「○」、20個中1個でも折りたたみ部からの破断が生じているもの、または、包装体が潰れているものを「×」として評価した。
【0089】
(分離性)
手で分離できたものを「○」、分離が困難であったものを「×」とした。
【0090】
(耐久性)
包装体を折りたたんだ状態(図1(b))から、ミシン目カット又は切り込み部に沿って270°開く、そして、再び包装体を折りたたんだ状態(図1(b))に戻す。この行為を20回繰り返し、ミシン目カット又は切り込み部に破断がないものを「○」、破断がないものを「×」とした。
【0091】
【表1】

【0092】
表1より、実施例1〜10は、折りたたみ性が良好であり、落下テストでもミシン目カットまたは切り込み部から破断が発生せず、手で分離することが可能であり、耐久性も優れている深絞り包装体を得ることができた。
【0093】
これに対し、参考例1はAPET厚みが薄いため、落下テストにおいて、包装体の潰れが発生した。また比較例1はAPET厚みが厚いため、うまく折りたためなかった。また、参考例2は、ミシン目カットの接続部が短すぎ、接続部と切断部の比が1:6.7であるので落下テストにおいて、ミシン目が破断した。また、比較例2は、ミシン目カットの接続部が長すぎ、接続部と切断部の比が1:0.7であったのでうまく折りたためなかった。また、比較例3は、ミシン目カットの切断部が短すぎ、接続部と切断部の比が1:0.6であったのでうまく折りたためなかった。また、参考例3は、ミシン目カットの切断部が長すぎ、接続部と切断部の比1:8.8なので落下テストにおいて、ミシン目が破断した。参考例4は、切り込み部のフィルム残厚みが薄いため、落下テストにおいて、切り込み部が破断した。比較例4は、切り込み部のフィルム残厚みが厚いため、うまく折りたためず、手で分離することが困難であった。
【0094】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う深絞り包装体もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の深絞り包装体100Aの折りたたむ前の斜視図(図1(a))および折りたたんだ後の斜視図(図1(b))である。
【図2】本発明の深絞り包装体を折りたたむ機構を示す側面図である。
【図3】本発明の深絞り包装体の他の形態100Bの折りたたむ前の斜視図(図3(a))および折りたたんだ後の斜視図(図3(b))である。
【図4】本発明の深絞り包装体の他の形態100Cの折りたたむ前の斜視図(図4(a))および折りたたんだ後の斜視図(図4(b))である。
【図5】本発明の深絞り包装体の他の形態100Dの折りたたむ前の斜視図(図5(a))および折りたたんだ後の斜視図(図5(b))である。
【図6】条件(1)を説明するための図である。
【符号の説明】
【0096】
10 蓋材
20 底材
20a〜20m 深絞り成形部
30a〜30f ミシン目カット、切り込み
100A〜100D 深絞り包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の深絞り成形部を有する底材と、該底材にヒートシールされた蓋材とを備えた深絞り包装体であって、
前記複数の深絞り成形部から任意に選ばれた隣接する二つの深絞り成形部間の前記底材および/または前記蓋材にミシン目カットまたは切り込みが形成されており、
任意に選ばれた前記隣接する二つの深絞り成形部が、該ミシン目カットまたは切り込みを折り目とし前記蓋材を内側にして、以下の条件(1)を満たすようにして折りたたみ可能な深絞り包装体。
条件(1):前記隣接する二つの深絞り成形部を180°折りたたんで形成された折り目を10N/cmにて、15℃、10秒間、全長にわたり押圧した後に、前記隣接する二つの深絞り成形部の前記蓋材同士の間に生じる最大間隙をG(mm)、前記折り目から深絞り成形部の折りたたみ方向先端部までの最大長さをL(mm)とした時、G/L<0.05である。
【請求項2】
前記ミシン目カットまたは切り込みが、接続部と切断部との比が1:1〜5で、接続部が0.5mm以上2.0mm以下の接続部であるミシン目カット、または残厚みが30μm以上100μm以下の切り込みである、請求項1に記載の深絞り包装体。
【請求項3】
前記複数の深絞り成形部がそれぞれ異なる内容量および/または形状を有している、請求項1または2に記載の深絞り包装体。
【請求項4】
前記折り目から前記隣接する二つの深絞り包装体を分離可能である、請求項1〜3のいずれかに記載の深絞り包装体。
【請求項5】
前記底材が、ラミネート面に印刷層が形成された延伸フィルムを外層として有している、請求項1〜4のいずれかに記載の深絞り包装体。
【請求項6】
前記底材が、150μm以上500μm以下の無定形ポリエステル基材を有している、請求項1〜5のいずれかに記載の深絞り包装体。
【請求項7】
前記底材または前記蓋材が、内層または内層に隣接する層として、25℃で1.96N/15mm幅以上14.7N/15mm幅以下のイージーピール強度であるイージーピール層を有している、請求項1〜6のいずれかに記載の深絞り包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−18946(P2008−18946A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189851(P2006−189851)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】