混合弁
【課題】 弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化を示し、制御性が良く、かつ応答性の良い混合弁を供する。
【解決手段】 水導入口12と、湯導入口13と、湯水混合水を吐出する吐出口14とを有する弁箱11、この弁箱内に回転可能に設置され、導入口12、13および吐出口14の位置に合わせて各々設けられた複数の開口部15c、15dを有する弁体15、および弁体15を回転駆動する弁体駆動体を備えた混合弁100において、水導入口12と湯導入口13とを、互いの導入口が対向しないように、混合水の流れる方向に対してずらして配置する。
【解決手段】 水導入口12と、湯導入口13と、湯水混合水を吐出する吐出口14とを有する弁箱11、この弁箱内に回転可能に設置され、導入口12、13および吐出口14の位置に合わせて各々設けられた複数の開口部15c、15dを有する弁体15、および弁体15を回転駆動する弁体駆動体を備えた混合弁100において、水導入口12と湯導入口13とを、互いの導入口が対向しないように、混合水の流れる方向に対してずらして配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は混合弁およびこの混合弁を用いた給湯器に関するものであり、例えば、貯湯槽を有し、沸きあげた温水を浴槽や一般蛇口に給湯する給湯器において、リモコン等により外部から設定された所望温度の温水を安定して給湯するための湯水混合弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図15〜17は、実開昭62−119586号公報に示された従来の湯水混合弁を示す図である。図15において、1は弁箱、2、3は入口ポート、4は出口ポートである。弁箱1の入口ポート2、3間の弁室1aは筒状に形成されていて、その弁室1a内にその内径に合致する外形を有した筒状の弁体5が水密的に回動可能に配置されている。この弁体5の一端部5aの中央には、弁箱1の上端面に装備したステッピングモーター6の駆動軸7が固定され、また他端部5bは開口して出口ポート4に連通している。また、弁体5の周面には、図16に示すように2ヶ所に開口部5c、5dが形成されていて、一方の開口部5cが入口ポート2に連通し、他方の開口部5dが入口ポート3に連通している。
【0003】
ステッピングモーター6により弁体5を回動させると、入口ポート2、3の開口面積が変化することにより、入口ポート2、3から開口部5c、5dを通って弁室1a内に流入する水および湯の流量が変化する。図17の流量特性線図に示されるように、弁体5の回転角θがステッピングモーター6によって変化するのに応じて、水および湯の流量が変化し、水の流量が増加すると湯の流量が減少するように動作する。また、ステッピングモーター6を逆方向に回転させると、水の流量が減少して湯の流量が増加するように動作する。なお、流量特性にヒステリシスが現れるのは、ステッピングモーターの減速ギアのバックラッシに起因する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−119586
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の湯水混合弁は以上のように構成されており、図17に示すように、特に湯側の流量特性において弁体回転角θに対する直線性が良くないことがわかる。これは1つには、湯および水の入口ポート2、3が真正面から対向するように配置されているために、入口ポート2が開口し始めて入口ポート3の開口面積が絞られると、入口ポート2から弁体5の開口部5cに流れ込む水流と、入口ポート3から弁体5の開口部5dに流入する湯の流れが正面衝突することで大きな圧損が生じ、水流による動圧が湯の流入を抑制するように働くため、弁体5の回転角に対して、湯流量の減少勾配が著しく増加することが原因であると考えられる。湯の動圧の方が大きい場合は逆に水側の直線性が悪くなる。
【0006】
また、図17に示すように、湯側および水側において、流路断面積が小さい時における流量の立上がりが遅く、このため例えば初期状態からまず湯側を全開状態にした後に水側の流路断面積を徐々に増やして所定の温度の湯水を得ようとする場合、水側の流量の立上がりが遅いため、温度制御の立上がり時間が遅くなり、応答性が悪いといった問題があった。また、水側を先に全開にする場合も同様の問題があった。
【0007】
また、従来の湯水混合弁においては、弁体5の開口部5c、5dの形状が共に円形であり、弁体の回転により一方の流路の断面積が減少し、他方の流路の断面積が増加する時に、入口ポートの開口断面積を基準とした流路の断面積比R(R=S/S0、S:回転角θにおける流路断面積、S0:入口ポートの開口断面積)の弁体回転角θに対する変化率(ΔR/Δθ)が、回転角度θに対して水側と湯側で大きく異なり、回転角度に対して急激に流量分配比が変化し、その結果、温度制御の直線性が悪化するという問題があった。
【0008】
また、流路の断面積比Rの小さい領域は圧損係数が大きく、さらに、混合弁の動作としては、弁体の回転により一方の流路断面積が減少すると他方の流路断面積は増加するため、相手側の流体の動圧による影響との相互作用により、断面積の小さい側の流路から流入する水(または湯)の流量減少が著しくなる。このため、流路断面積が小さな領域では、流路が存在するにも関わらず、この流路を介して水(または湯)が流入しないような弁体角度範囲が存在することとなり、その結果、湯水混合弁として機能する有効弁体回転角度範囲が狭められ、温度制御の精度が悪化するといった問題があった。
【0009】
このように、従来の湯水混合弁では、弁体5の回転角に対する湯水の混合流量の直線性が悪く、このため弁体5の回転角に対する混合水の温度制御にも直線性が得られず温度制御性が悪いといった問題があった。また、温度制御の立上がり時間が遅く、応答性が悪いといった問題があった。
また、これに起因して、給湯器等に上記混合弁を用いた場合、リモコン等により外部から設定された所望温度の混合水を得るのに長い時間を要したり、あるいは吐出される混合水の温度がハンチングして安定しないなどの問題を有していた。
【0010】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化を示し、制御性が良く、かつ応答性の良い混合弁を供することを目的とする。
【0011】
さらには、弁体の回転角に対して滑らかな温度変化が安定して得られる給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の混合弁は、第1の流体の導入口と、第2の流体の導入口と、第1の流体と第2の流体との混合流体を吐出する吐出口とを有する弁箱、この弁箱内に回転可能に設置され、上記各導入口および上記吐出口の位置に合わせて各々設けられた複数の開口部を有する弁体、および上記弁体を回転駆動する弁体駆動体を備えた混合弁において、上記第1の流体の導入口と上記第2の流体の導入口とは、上記混合流体の流れる方向に対してずらして配置され、各導入口の位置に合わせて上記弁体に各々設けられた開口部は、一方の開口部が全開となる位置にある時に、もう一方の開口部が、全閉または全開とならないような位置にあり、かつ一方の開口部が全閉となる時に、もう一方の開口部が一部開となる位置を有するように配置され、上記弁体の回転により、一方の流路断面積が減少するときに他方の流路断面積が増加するように各開口部を各々全開から全閉の間で変化させて上記混合流体の温度を制御することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の給湯器は、上記構成の混合弁を、湯と水とを混合する混合弁に用いたものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明の混合弁によれば、第1の流体の導入口と、第2の流体の導入口と、第1の流体と第2の流体との混合流体を吐出する吐出口とを有する弁箱、この弁箱内に回転可能に設置され、上記各導入口および上記吐出口の位置に合わせて各々設けられた複数の開口部を有する弁体、および上記弁体を回転駆動する弁体駆動体を備えた混合弁において、上記第1の流体の導入口と上記第2の流体の導入口とは、上記混合流体の流れる方向に対してずらして配置され、各導入口の位置に合わせて上記弁体に各々設けられた開口部は、一方の開口部が全開となる位置にある時に、もう一方の開口部が、全閉または全開とならないような位置にあり、かつ一方の開口部が全閉となる時に、もう一方の開口部が一部開となる位置を有するように配置され、上記弁体の回転により、一方の流路断面積が減少するときに他方の流路断面積が増加するように各開口部を各々全開から全閉の間で変化させて上記混合流体の温度を制御するので、導入口から流出する流体の動圧によって一方の流れが他方の流れを直接的に干渉する度合いが少なくなり、これにより弁体の回転角に対する、2つの流体の混合流量変化の直線性に優れ、弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化が得られ、制御性の良い混合弁を供することができる。また、上流側に位置する導入口の断面積比が大きく、下流側に位置する導入口の流路断面積比が小さい時、上流側の流体による下流側の流体の吸い込みが発生し、その結果、制御の応答性が良くなるという効果がある。また、制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大することができ、高精度の制御が可能となる。
【0015】
また、本発明の混合弁によれば、導入口の位置に合わせて弁体に設けられた開口部の形状は、その断面積が上記導入口の開口断面積より小さくなるような形状であるので、全開時およびその近傍の弁体回転角度域での流量が抑えられるため、流路断面積の小さい側より流入する流体に対する流量比が減少するので、実質的に流量分配比が減少し、その結果、制御の立上がり時間がより速くなり、応答性が良くなる効果がある。
【0016】
また、本発明の混合弁によれば、導入口の位置に合わせて弁体に設けられた開口部の形状は、上記導入口の開口断面積S0を基準とした上記導入口における流路断面積Sの比R(R=S/S0)の、上記弁体の回転角θに対する変化率ΔR/Δθが、各回転角θに対して、第1の流体の導入口側と第2の流体の導入口側でほぼ同等の値を有するような形状であるので、弁体の回転に対し、第1の流体側と第2の流体側の流路断面積の比が滑らかに変化し、その結果、弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化が得られ、制御性の良い混合弁を供することができる。
【0017】
また、本発明の混合弁によれば、導口部の形状が略三角形部を有する形状であり、いずれか一方の流路が全開の位置から、第1の流体と第2の流体を混合する方向に弁体を回転させた時、上記弁体の回転方向に上記略三角形部の頂点が配置されるようにしたので、制御の立上がり時間がより速くなり、応答性が良くなると共に、制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大でき、高精度の制御が可能になる。
【0018】
また、本発明の混合弁によれば、開口部の形状が略長方形部を有する形状であり、いずれか一方の流路が全開の位置から、第1の流体と第2の流体を混合する方向に弁体を回転させた時、上記弁体の回転方向と反対側に上記略長方形部の一辺が配置されるようにしたので、弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化が得られ、制御性の良い混合弁を供することができると共に、制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大でき、高精度の制御が可能になる。
【0019】
また、本発明の混合弁によれば、第1および第2の流体が水と湯であり、弁体駆動体に近い導入口を水導入口、もう一方の導入口を湯導入口としたので、弁体駆動体にかかる熱負荷を軽減することができる。これにより長期間にわたって安定した動作が可能な長寿命の湯水混合弁を提供することができる。
【0020】
また、本発明の混合弁によれば、弁体駆動体としてステッピングモーターを用いたので、精密な制御が可能な混合弁が得られる。
【0021】
また、本発明の混合弁によれば、弁箱および弁体は樹脂により形成されたので、軽量かつ安価な湯水混合弁を実現することができる。また、耐腐食性を大幅に向上させることができるので、長期にわたり安定に動作し、高い信頼性を有する混合弁が得られる。
【0022】
また、本発明の給湯器によれば、上記混合弁のいずれかを、湯と水とを混合する混合弁に用いたので、温度制御性のよい給湯器が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1による湯水混合弁の弁体回転動作を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1による湯水混合弁の流量特性を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1による湯水混合弁における流路の断面積比と弁体回転角との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1および実施の形態2による湯水混合弁における弁体回転角と混合水温度との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図である。
【図7】本発明の実施の形態2による湯水混合弁の流量特性を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2による湯水混合弁における弁体回転角と断面積比の変化率との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図である。
【図10】本発明の実施の形態3による湯水混合弁の弁体回転動作を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態3による湯水混合弁の流量特性を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3による湯水混合弁における弁体回転角と混合水温度との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態5による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図である。
【図14】本発明の実施の形態5に係わる湯水混合弁の動作を示すフローチャート図である。
【図15】従来の湯水混合弁の構成を示す断面構成図である。
【図16】従来の湯水混合弁における弁体の構成を示す断面図である。
【図17】従来の湯水混合弁の流量特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1を図を用いて説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態1による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図、図1(b)は図1(a)のB−B線での断面図である。図1において、11は弁箱、12は水導入口、13は湯導入口であり、各導入口12、13は互いの導入口が対向しないように、湯水の流れる方向に対してずらして配置されている。14は水導入口12および湯導入口13より導入された湯水の吐出口である。弁箱11の導入口12、13間の弁室11aは筒状に形成されており、その弁室11a内に、その内径に合致する、あるいはその内径よりわずかに小さい外径を有した筒状の弁体15が回転可能に配置されている。この弁体15の一端部15aには、弁箱11の上部に装備したステッピングモーター(図示せず)と連結される駆動軸17が、その中心軸が弁体15の筒状部の中心軸と一致するように形成されている。また、弁体15の他端部15bは開口しており、湯水の吐出口14に連通している。18は、ステッピングモーターを弁箱に固定するためのネジ穴である。弁体15は弁体押え19により弁箱11の弁室11a内に、上下方向の位置ずれが生じないよう固定されている。また、弁体15の両端部15aおよび15bの摺動面には、弁体15の回転時の抵抗を緩和するための部材として、四弗化エチレン樹脂などの低摩擦抵抗を有する材料により形成されたワッシャ−20、21が配置される。22は、弁体駆動軸17と弁体押え19の間の水密を保持するためのOリングであり、弁体駆動軸17の回転部にあたるため、本実施の形態では図1に示すように2個配置している。また、23は弁箱11と弁体押え19の間の水密を保持するためのOリング、24は弁室11aと弁体15の間の水密を保持するためのOリングである。100は混合弁である。
【0025】
弁体15の周面には、図1(a)(b)に示すように2ヶ所に開口部15c、15dが形成されていて、弁体15の一端部15a側に形成された開口部15cは水導入口12に連通し、弁体15の他端部15b側に形成された開口部15dが湯導入口13に連通しており、水導入口12は湯導入口13よりもステッピングモーターに近い位置に配置されている。弁体15の他端部15b側、即ち湯水吐出口14に近い弁体15の周面には、Oリング24が配置され、弁室11aと弁体15の間隙から湯水吐出口14への湯水の漏れを防ぐとともに、弁体15の回転中心軸のぶれを抑えるように作用する。
本実施の形態1では、弁体15に設けられた開口部15c、15dは、各々半円と三角形が組み合わされた扇形状を有している。この水側開口部15cについては、水導入口12と弁体開口部15cにより形成される水側流路と、湯導入口13と弁体開口部15dにより形成される湯側流路がともに全閉となる状態を初期状態として、この状態から弁体回転角が増加する方向(同図中の矢印にて図示)に三角形の頂点が位置するように三角形部を形成する。逆に湯側開口部15dに関しては、上記初期状態から弁体回転角が増加する方向に半円部を形成する。すなわち、水(湯)導入口と弁体開口部により形成される流路面積が小さい時には、弁体開口部の半円部によって流路が形成されるようにする。
【0026】
次に弁体15の回転動作を、図1のA−A線から見た横断面図(図2)を用いて詳細に説明する。なお、図において、15c1は開口部15cの三角形部、15c2は開口部15cの半円部、15d1は開口部15dの三角形部、15d2は開口部15dの半円部である。
図2(a)は、弁体が上記初期状態にある状態を示したものである。この場合、前述したとおり、弁体15に設けられた開口部15c、15dはいずれも湯水導入口12、13と連通しておらず、全閉状態である。図2(b)は上記初期状態から、矢印の方向に弁体15を回転させて水側の流路を全開とした状態を示す図である。この時、湯側流路については、弁体15の開口部15dと弁箱の湯導入口13は連通しておらず、まだ全閉状態である。図2(c)はさらに回転角が増加して湯側流路が開き、湯側、水側の流路の開口率が等しくなった状態を示している。図2(d)で、湯側流路が全開となり、水側流路が全閉状態となる。
本実施の形態1に示した湯水混合弁100では、以上の弁体回転角度範囲で湯水の混合動作が行われる。即ち、初期状態からの弁体15の回転方向は、上記初期状態から、まず水側の導入口12の開口率が増加して全開状態となった後に、湯側の導入口13の開口率が増加するような方向となる。
【0027】
上記初期状態となる基準位置からステッピングモーターにより弁体15を回転させると、図2(a)〜(d)に示した弁体回転角度の範囲において、水導入口12および湯導入口13と弁体開口部15c、15dとの間で形成される流路面積が弁体の回転角により変化し、水導入口12および湯導入口13から弁体開口部15c、15dを通って弁室11a内に流入する水および湯の流量が変化する。図2からもわかるように、本実施の形態では最初に水側流路を開いて水を流した後、徐々に湯側流路を開いて湯水混合比を変化させながら所望温度にまで混合水温度を上げるような弁体動作としている。これによって、蛇口あるいはシャワーを開いた直後に熱湯が吐出されることがなく、やけど等の事故を回避できる。
【0028】
また、本実施の形態では、水導入口12と湯導入口13とを、互いの導入口が対向しないように、混合水の流れる方向に対して一定の間隔をおいてずらして配置しているので、水導入口12と湯導入口13からの流体の動圧によって一方の流れが他方の流れを直接的に干渉することがなく、これにより弁体の回転角に対する湯水混合比の回転角に対する直線性が優れ、弁体の回転角に対して滑らかな混合温度の変化を可能にする。
【0029】
また、前述のように、流路の断面積比Rの小さい領域においては圧損が大きく、水(または湯)が流入しないような弁体角度範囲が存在するが、本実施の形態の場合、水導入口12と湯導入口13とを、互いの導入口が対向しないように、混合水の流れる方向に対して一定の間隔をおいてずらして配置しているので、上流側に位置する水導入口12の断面積比が大きく、下流側に位置する湯導入口13の流路断面積比が小さい時、即ち回転角の小さい時、上流からの水流による湯の吸い込みが発生し、従来とは逆に、湯導入口13より本来の流量より大きな流量の湯が流入する現象が発生する。その結果、温度制御の立上がり時間が速くなるという効果が得られる。
【0030】
また、図3は水側導入口12が全開の状態の弁体回転角を0度とした場合の、弁室11a内に流入する湯水流量の弁体回転角度依存性の一例を示したものである。図3において、実線は本実施の形態1の流量特性であり、破線(比較例)は、各導入口12、13の位置は実施の形態1と同じで、上記導入口12、13の位置に合わせて弁体15に形成された開口部15c、15dの形状を、各々水導入口12および湯導入口13の断面形状と同じ円形とした場合に得られた流量特性である。本実施の形態1による弁体開口部15c、15dを有する湯水混合弁100では、各開口部15c、15dの形状が、図1に示すように、導入口が全開時において、上記導入口の流路断面積が上記導入口の開口断面積より小さくなるような形状であり、かついずれか一方の流路が全開の位置から、水と湯を混合する方向に弁体を回転させた時、弁体の回転方向に三角形部の頂点が配置されるように構成されているので、湯、水それぞれの流路から導入される流量が最大(全開時)の値をとる近辺における弁体回転角度域での流量が、湯水導入口と同じ弁体開口部形状を有する比較例に比べ小さく(図3)、その断面積比Rも小さいため(図4)、流路断面積の小さい側より流入する流体に対して、実質的に流量分配比が比較例より減少し、その結果、回転角の変化に対しての温度制御の立上がり時間がより速くなる効果がある。
図5は本実施の形態1と上記比較例における弁体回転角と混合水温度の関係を示した試験結果である。この時、混合弁に導入される湯および水の温度は、それぞれ90℃および20℃である。本実施の形態1による弁体開口部の形状を有する湯水混合弁においては、一般的に必要とされる30〜60℃の給湯温度範囲を、弁体回転角7度〜72度において制御でき、比較例の湯水混合弁の場合(弁体回転角12度〜69度)よりも温度制御の立上がり時間が速く、かつ温度制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大できることが解る。従って、本実施の形態1の場合、温度変化の立上がりが速いため、応答性が良く、かつ高精度の温度制御を行うことが可能になる。
【0031】
なお、上記実施の形態においては、開口部15c、15dは、各々半円と三角形が組み合わされた扇形状としたが、略三角形と略半円とが組み合わされた形状であっても良い。
また、開口部15c、15dの形状は、扇形状でなくとも、導入口の開口断面積S0より小さい開口断面積を有するような形状のものであってもよい。
【0032】
実施の形態2.
図6(a)は本発明の実施の形態2による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図、図6(b)は図6(a)のB−B線での断面図である。図6において、実施の形態1による湯水混合弁と同一もしくは同等の部材については図1と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0033】
弁体15の周面には、図6(a)(b)に示すように2ヶ所に開口部15c、15dが形成されていて、弁体15の一端部15a側に形成された開口部15cは水導入口12に連通し、弁体15の他端部15b側に形成された開口部15dが湯導入口13に連通しており、水導入口12は湯導入口13よりもステッピングモーターに近い位置に配置されている。部材構成は上記実施の形態1で示した混合弁100と全く同様である。本実施の形態2においては、弁体15に設けられた開口部15c、15dは、各々長方形と三角形が組み合わされた、ホームベースに似た形状を有する。水側開口部15cについては、水導入口12と弁体開口部15cにより形成される水側流路と、湯導入口13と弁体開口部15dにより形成される湯側流路がともに全閉となる状態を初期状態として、この状態から弁体回転角が増加する方向(図6に示した構成では時計周り)に、三角形の頂点が位置するように三角形部を形成する。逆に湯側開口部15dに関しては、上記初期状態から弁体回転角が増加する方向に長方形部の一辺が形成される。すなわち、水(湯)導入口と弁体開口部により形成される流路面積が小さい時には、弁体開口部の長方形部によって流路が形成されるようにする。なお、始動時の弁体15の回転方向については、上記した実施の形態1と同様、初期状態からまず水側導入口12の開口率が増加して全開状態となった後に、湯側導入口13の開口率が増加するような方向とする。なお、弁体の回転動作の詳細についても、実施の形態1に示した湯水混合弁とまったく同様である。
【0034】
上記初期状態となる基準位置からステッピングモーターにより弁体15を回転させると、図2(a)〜(d)に示した弁体回転角度の範囲において(但し、本実施の形態2の場合、15c2は開口部15cの長方形部、15d2は開口部15dの長方形部である。)、水導入口12および湯導入口13と弁体開口部15c、15dとの間で形成される流路面積が弁体の回転角により変化し、水導入口12および湯導入口13から弁体開口部15c、15dを通って弁室11a内に流入する水および湯の流量が変化する。本実施の形態においても、最初に水側流路を開いて水を流した後、徐々に湯側流路を開いて湯水混合比を変化させながら所望温度にまで混合水温度を上げるような弁体動作としている。
【0035】
図7は、以上のように構成された湯水混合弁において、水側導入口が全開の状態の弁体回転角を0度とした場合の、弁室11a内に流入する湯水流量の弁体回転角度依存性の一例を表したものである。なお、図7の破線(比較例)は実施の形態1で示された特性と同様、弁体に形成された開口部の形状を、各々水導入口12、湯導入口13の断面形状と同じ円形とした場合に得られた流量特性である。図7に示すように、本実施の形態2による弁体開口部15c、15dを有する湯水混合弁100では、湯水導入口と同じ円形の弁体開口部形状を有する比較例に比べて、湯、水それぞれの流路から導入される流量が最大値をとる近辺における弁体回転角度域での流量が抑制されており、また湯、水のいずれか一方の流量が絞られる弁体回転角度域における湯水流量の線形性が大幅に改善されていることがわかる。
即ち、本実施の形態では、弁体開口部が三角形部と長方形部を有し、図6に示すように、導入口が全開時において、上記導入口の流路断面積が上記導入口の開口断面積より小さくなるような形状であるため、湯、水のそれぞれの流路から導入される流量が最大値をとる近辺における弁体回転角度域での流量が抑制され、実施の形態1と同様に、回転角の変化に対しての温度制御の立上がり時間がより速くなる効果がある。
また、本実施の形態2による湯水混合弁においては、図8に示すように、弁体の回転により一方の流路の断面積が減少し、他方の流路の断面積が増加する時に、導入口の開口断面積を基準とした流路の断面積比R(R=S/S0、S:回転角θにおける流路断面積、S0:導入口の開口断面積)の弁体回転角θに対する変化率(ΔR/Δθ)が、回転角θに対して水側と湯側でほぼ同じ値を示すため、水側、湯側の流路断面積の比が滑らかに変化するため、その結果、温度制御の直線性が優れたものとなる効果がある。なお、図8において、破線は弁体5の開口部5c、5dの形状が共に円形である比較例における断面積比Rの弁体回転角θに対する変化率(ΔR/Δθ)を示すものであるが、水側と湯側で、各回転角θに対して上記変化率が大きく異なっていることが解る。従って、回転角に対して急激に流量分配比が変化し、温度制御の直線性が良くないものとなる。
また、図8において、湯側の流路断面積が小さい時(回転角θが小さい時)、実施の形態2のものでは、流路の断面積比Rの弁体回転角θに対する変化率(ΔR/Δθ)が、比較例のものに比べて大きくなっており、これにより、円形形状の開口部を有する比較例よりもホームベース形状の本実施の形態2のものの方が、湯流量の立上がりが速く、したがって小さい回転角で混合水温度が上昇するので、温度制御の立ち上がり時間が速く、かつ温度制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大できるという効果も得られる。
【0036】
図5は本実施の形態2と上記比較例における弁体回転角と混合水温度の関係を示した試験結果である。この時、混合弁に導入される湯および水の温度は、それぞれ80℃および20℃である。これより、本実施の形態2による弁体開口部の形状を有する湯水混合弁においては、一般的に必要とされる30〜60℃の給湯温度範囲を、弁体回転角5度〜72度において制御でき、比較例の湯水混合弁の場合(弁体回転角12度〜69度)よりも、また実施の形態1の場合(弁体回転角7度〜72度)よりも温度制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大できることが解る。従って、本実施の形態2の場合、応答性が良く、かつより高精度の温度制御を行うことが可能になる。
【0037】
なお、上記実施の形態2においては、開口部15c、15dは、各々三角形と長方形が組み合わされた形状としたが、略三角形と略長方形とが組み合わされた形状であっても良い。
【0038】
実施の形態3.
図9(a)は本発明の実施の形態3による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図、図9(b)は図9(a)のB−B線での断面図である。図9において、実施の形態1による湯水混合弁と同一もしくは同等の部材については図1と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施の形態3では、上記実施の形態2に示した湯水混合弁と同じ構成を有する湯水混合弁において、図10に示すように、弁体15の周面に設けられた2個の開口部15c、15dを、湯水導入口12および13とにより形成される流路のうち一方が全開となる位置にある時に、他方の流路が全閉または全開とならないような位置に設けたものである。
【0039】
次に動作について説明する。本実施の形態3における湯水混合弁では、図9、10に示すように、水導入口側の流路を全開とした状態において、湯側流路についてもある一定の流路開口率を有しており全閉とはなっていない。本実施の形態においても、水側流路と湯側流路が共に全閉となる状態を初期状態とする。始動時の弁体の回転方向は、上記実施の形態1および2に示した湯水混合弁と同様に、初期状態からまず水側の導入口12の開口率が増加して全開状態となった後に、湯側導入口13の開口率が増加するような方向とする。初期状態からの回転方向を同図中の矢印で示す。
【0040】
以上の弁体の回転動作を、図9のA−A線から見た横断面図(図10)を用いて詳細に説明する。
図10(a)は、弁体が上記初期状態にある状態を示したものである。この場合、弁体15に設けられた開口部15c、15dはいずれも湯水導入口12、13と連通しておらず、全閉状態である。図10(b)は初期状態から、矢印の方向に弁体15を回転させて水側の流路を全開とした状態を示す図である。この時、上記実施の形態1および2で示した湯水混合弁においては、湯側流路は全閉状態となっていたが、本実施の形態3では、湯側の開口部15dの位置をずらしているため、湯側流路についても既に開いた状態となっているのが特徴である。図10(c)はさらに回転角が増加して、湯側、水側の流路の開口率が等しくなった状態を示している。図10(d)で、湯側流路が全開となるが、この場合についても水側流路が全閉状態にならないことが、上記実施の形態1および2に示した混合弁と異なる点である。さらに、回転角を増加させると、図10(e)に示すように水側流路は全閉となり、弁体15内部には湯のみが導入される。本実施の形態3に示した湯水混合弁では、以上の弁体回転角度範囲で湯水の混合動作を行う。
【0041】
上記初期状態となる基準位置からステッピングモーターにより弁体15を回転させると、図10(a)〜(e)に示した弁体回転角度の範囲において、水導入口12および湯導入口13と弁体開口部15c、15dとの間で形成される流路面積が弁体の回転角により変化し、水導入口12および湯導入口13から弁体開口部15c、15dを通って弁室11a内に流入する水および湯の流量が変化する。図11は、湯側、水側それぞれの弁体開口部の配置として、それぞれの弁体開口部の三角形部が接する円の中心軸のなす角度を、実施の形態2で示したそれぞれの位置から10度ずらした(実施の形態2が90度の場合、実施の形態3は100度)湯水混合弁において、湯水導入口15cおよび15dから弁室1a内に流入する湯水流量の弁体回転角に対する依存性を表したものである。図11より、湯水流量の弁体回転角に対する直線性は、先の実施の形態2に示した湯水混合弁よりもさらに改善されていることがわかる。
【0042】
さらに、図12は、上記実施の形態3において、開口部の位置を実施の形態2より10度ずらした場合と、20度ずらした湯水混合弁における、弁体回転角と混合水温度の関係を示したものである。この時、混合弁に導入される湯および水の温度は、それぞれ80℃および20℃である。図12より、一般的に必要とされる30〜60℃の給湯温度範囲を、開口部の位置を実施の形態2より10度ずらした場合は弁体回転角5度〜82度において制御でき、20度ずらした場合は弁体回転角5度〜91度において制御できることがわかる。本実施の形態3では先の実施の形態2で示された湯水混合弁の場合(弁体回転角5度〜72度)よりも温度制御に有効な弁体回転角度範囲をさらに拡大することができるため、より高精度の温度制御を行うことが可能になる。
また、温度制御に有効な弁体回転角度範囲は、ほぼずらした角度分だけ拡大しており、ずらす角度を増やすにしたがって高精度の温度制御が可能となる。
なお、本実施の形態では、弁体に設けた湯側と水側の開口部の配置として、前記実施の形態1および2に示された混合弁における弁体の配置を基準として、最大で20°までずらした場合の混合弁の特性を記載したが、上記の通り、ずらした角度分だけ制御範囲が拡がることから、ずらす角度φとしては、φ<90°までが理論上可能となる。ただし、ずらす角φが大きすぎると、湯側、水側いずれか一方を全開とした時の流路断面積が小さくなり、最大流量が著しく減少するため、実際のφの値としては、60°程度までが有効であると考えられる。
【0043】
実施の形態4.
本実施の形態4では、上記実施の形態1〜3で示した湯水混合弁において、弁箱11を射出成形によって樹脂材料で形成したことを特徴とする。なお、他の構成部材については実施の形態1〜3のいずれかに示された湯水混合弁と同じであるため、詳細な説明は省略する。さらに、弁体の回転動作をはじめとする混合弁の動作についても、実施の形態1〜3のいずれかに示された湯水混合弁とまったく同様であるので詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施の形態4では、弁箱11の材料として樹脂材料を用いて射出成形等の手段により一体成形しているため、軽量かつ安価な湯水混合弁を実現することができる。さらに、水に対する耐腐食性を大幅に向上することができ、長期にわたり安定な動作が可能で高い信頼性を有する湯水混合弁を実現することができる。また、弁箱11以外の部材構成は、先の実施の形態1〜3に示した湯水混合弁と同一であるため、これらの湯水混合弁で得られる効果と全く同様の効果を得ることができる。
【0045】
実施の形態5.
図13は本発明の実施の形態5による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図である。なお、先の実施の形態1〜4による湯水混合弁と同一もしくは同等の部材については、これらと同一符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施の形態5では、上記実施の形態3に示したいずれかの湯水混合弁と同じ構成を有する湯水混合弁において、湯水吐出口14の下流に混合水温度を検出する温度検出器25と、外部より混合水温度を設定する温度設定器27と、温度検出器25と温度設定器27からの信号に基づき比較演算してステッピングモーター16を駆動する混合弁制御器26を設けた構成とする。
【0046】
次に本実施の形態の動作について説明する。
温度設定器27で所望の混合水温度を設定すると、サーミスタにより構成される温度検出器25で混合水温度が検出され、温度設定器27の設定温度信号および温度検出器25の検出温度信号を混合弁制御器26が取込んで比較演算し、それらの偏差を抑制する方向の駆動信号をステッピングモーター16に入力し、弁体15を回転させることにより混合する湯水流量比を調節しながら、これら一連の動作を繰り返すことによって、得られる混合水温度を設定温度に近づける。図14は本発明の実施の形態5による混合弁の動作を示すフローチャート図である。図14において、ステップS1では弁体15の回転角を算出し、ステップS2で混合水温度を検出し、検出温度Tを取込む。ステップS3では設定温度Tsと検出温度Tとを比較し、その差ΔTを演算する。ステップS4でΔTが0より大きければ、低温側へ弁体を回転させるようにし(ステップS5)、ΔTが0より小さければ高温側へ弁体を回転させるようにする(ステップS6)。ステップS7では、ΔTの絶対値が20度以上か否かを判定し、20度以上の時は、ステップS8で、低温側または高温側への弁体の回転移動量を30度とし、ステップS2に戻って再度、混合水温度を検出し、取込む。ΔTの絶対値が20度以下の時は、ステップS9でΔTの絶対値が10度以上か否かを判定し、10度以上の時はステップS10で低温側または高温側への弁体の回転移動量を10度とする。以下同様に、ステップS11〜ステップS15で、ΔTの絶対値が5度以上か否か、3度以上か否かと徐々に設定温度との温度差の値を下げ、その時の弁体の移動量を決定する。ステップS15で弁体回転移動量が0度となれば、ステップS16で弁体の回転を停止する。なお、ステップS7〜ステップS14における設定温度との差、及びその時の弁体の移動量については、上記各値に限らなくてもよい。
【0047】
混合弁制御器26の温度検出器25からの温度信号の取込みについては、弁体15の回転動作終了後、その弁体回転位置における混合水温度が安定して、さらに温度検出器25が検出する温度値が安定するまでの一定時間が経過した後に行うようにする。すなわち、温度検出は連続的に行われるのではなく、一定間隔をおいて間欠的に行われる。このような制御を行うことにより、湯水吐出口より吐出される混合水温度を、設定温度に対するオーバーシュートあるいはアンダーシュートを発生させることなく迅速に目標温度に近づけることができる。また、湯水混合弁自体は、上記実施の形態3(実施の形態1、2でも可)の構成を有しているため、弁体回転角に対して直線性の優れた流量特性が得られるので、ステッピングモーター16および弁体15の回転角に応じて直線的に滑らかな温度調整が可能であり、温度制御性の極めて良い、応答性に優れた給湯器を実現することができる。
【0048】
なお、上記各実施の形態においては、導入口12と導入口13との位置は、互いの導入口が対向しないように、混合流体の流れる方向に対してずらして配置し、かつ互いの導入口における中心軸のなす角度が180度となるような位置に配置したが、180度以外の角度であっても良い。
また、上記各実施の形態においては、導入口12と導入口13との位置は、互いの導入口が対向しないように配置されているが、一部分が対向していてもよい。即ち、各導入口より導入される流体の流速が最大となる導入口の中心軸の位置が、混合流体の流れる方向に対してずれていれば、導入口から流出する流体の動圧によって一方の流れが他方の流れを直接的に干渉する度合いが少なくなり、これにより弁体の回転角に対する、2つの流体の混合流量変化の直線性が改善される効果がある。
【0049】
また、上記各実施の形態においては、導入口12と導入口13に各々水と湯を導入したが、他の異なる2種の流体を各々流し、弁体の回転角によって2つの流体の混合流量を変化させてもよく、これにより弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化が得られ、制御性が良く、かつ応答性の良い混合弁を供することができる。
【符号の説明】
【0050】
1,11 弁箱、1a,11a 弁室、2,3 入口ポート、4 出口ポート、12 水導入口、13 湯導入口、14 湯水吐出口、5,15 弁体、5a,5b,15a,15b 端部、5c,5d,15c,15d 開口部、15c1,15c1 三角形部、15c2,15d2 半円部、6,16 ステッピングモーター、7,17 弁体駆動軸、18 ネジ穴、19 弁体押え、20,21 ワッシャー、22,23,24 Oリング、25 温度検出器、26 混合弁制御器、27 温度設定器、100 混合弁。
【技術分野】
【0001】
この発明は混合弁およびこの混合弁を用いた給湯器に関するものであり、例えば、貯湯槽を有し、沸きあげた温水を浴槽や一般蛇口に給湯する給湯器において、リモコン等により外部から設定された所望温度の温水を安定して給湯するための湯水混合弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図15〜17は、実開昭62−119586号公報に示された従来の湯水混合弁を示す図である。図15において、1は弁箱、2、3は入口ポート、4は出口ポートである。弁箱1の入口ポート2、3間の弁室1aは筒状に形成されていて、その弁室1a内にその内径に合致する外形を有した筒状の弁体5が水密的に回動可能に配置されている。この弁体5の一端部5aの中央には、弁箱1の上端面に装備したステッピングモーター6の駆動軸7が固定され、また他端部5bは開口して出口ポート4に連通している。また、弁体5の周面には、図16に示すように2ヶ所に開口部5c、5dが形成されていて、一方の開口部5cが入口ポート2に連通し、他方の開口部5dが入口ポート3に連通している。
【0003】
ステッピングモーター6により弁体5を回動させると、入口ポート2、3の開口面積が変化することにより、入口ポート2、3から開口部5c、5dを通って弁室1a内に流入する水および湯の流量が変化する。図17の流量特性線図に示されるように、弁体5の回転角θがステッピングモーター6によって変化するのに応じて、水および湯の流量が変化し、水の流量が増加すると湯の流量が減少するように動作する。また、ステッピングモーター6を逆方向に回転させると、水の流量が減少して湯の流量が増加するように動作する。なお、流量特性にヒステリシスが現れるのは、ステッピングモーターの減速ギアのバックラッシに起因する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−119586
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の湯水混合弁は以上のように構成されており、図17に示すように、特に湯側の流量特性において弁体回転角θに対する直線性が良くないことがわかる。これは1つには、湯および水の入口ポート2、3が真正面から対向するように配置されているために、入口ポート2が開口し始めて入口ポート3の開口面積が絞られると、入口ポート2から弁体5の開口部5cに流れ込む水流と、入口ポート3から弁体5の開口部5dに流入する湯の流れが正面衝突することで大きな圧損が生じ、水流による動圧が湯の流入を抑制するように働くため、弁体5の回転角に対して、湯流量の減少勾配が著しく増加することが原因であると考えられる。湯の動圧の方が大きい場合は逆に水側の直線性が悪くなる。
【0006】
また、図17に示すように、湯側および水側において、流路断面積が小さい時における流量の立上がりが遅く、このため例えば初期状態からまず湯側を全開状態にした後に水側の流路断面積を徐々に増やして所定の温度の湯水を得ようとする場合、水側の流量の立上がりが遅いため、温度制御の立上がり時間が遅くなり、応答性が悪いといった問題があった。また、水側を先に全開にする場合も同様の問題があった。
【0007】
また、従来の湯水混合弁においては、弁体5の開口部5c、5dの形状が共に円形であり、弁体の回転により一方の流路の断面積が減少し、他方の流路の断面積が増加する時に、入口ポートの開口断面積を基準とした流路の断面積比R(R=S/S0、S:回転角θにおける流路断面積、S0:入口ポートの開口断面積)の弁体回転角θに対する変化率(ΔR/Δθ)が、回転角度θに対して水側と湯側で大きく異なり、回転角度に対して急激に流量分配比が変化し、その結果、温度制御の直線性が悪化するという問題があった。
【0008】
また、流路の断面積比Rの小さい領域は圧損係数が大きく、さらに、混合弁の動作としては、弁体の回転により一方の流路断面積が減少すると他方の流路断面積は増加するため、相手側の流体の動圧による影響との相互作用により、断面積の小さい側の流路から流入する水(または湯)の流量減少が著しくなる。このため、流路断面積が小さな領域では、流路が存在するにも関わらず、この流路を介して水(または湯)が流入しないような弁体角度範囲が存在することとなり、その結果、湯水混合弁として機能する有効弁体回転角度範囲が狭められ、温度制御の精度が悪化するといった問題があった。
【0009】
このように、従来の湯水混合弁では、弁体5の回転角に対する湯水の混合流量の直線性が悪く、このため弁体5の回転角に対する混合水の温度制御にも直線性が得られず温度制御性が悪いといった問題があった。また、温度制御の立上がり時間が遅く、応答性が悪いといった問題があった。
また、これに起因して、給湯器等に上記混合弁を用いた場合、リモコン等により外部から設定された所望温度の混合水を得るのに長い時間を要したり、あるいは吐出される混合水の温度がハンチングして安定しないなどの問題を有していた。
【0010】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化を示し、制御性が良く、かつ応答性の良い混合弁を供することを目的とする。
【0011】
さらには、弁体の回転角に対して滑らかな温度変化が安定して得られる給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の混合弁は、第1の流体の導入口と、第2の流体の導入口と、第1の流体と第2の流体との混合流体を吐出する吐出口とを有する弁箱、この弁箱内に回転可能に設置され、上記各導入口および上記吐出口の位置に合わせて各々設けられた複数の開口部を有する弁体、および上記弁体を回転駆動する弁体駆動体を備えた混合弁において、上記第1の流体の導入口と上記第2の流体の導入口とは、上記混合流体の流れる方向に対してずらして配置され、各導入口の位置に合わせて上記弁体に各々設けられた開口部は、一方の開口部が全開となる位置にある時に、もう一方の開口部が、全閉または全開とならないような位置にあり、かつ一方の開口部が全閉となる時に、もう一方の開口部が一部開となる位置を有するように配置され、上記弁体の回転により、一方の流路断面積が減少するときに他方の流路断面積が増加するように各開口部を各々全開から全閉の間で変化させて上記混合流体の温度を制御することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の給湯器は、上記構成の混合弁を、湯と水とを混合する混合弁に用いたものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明の混合弁によれば、第1の流体の導入口と、第2の流体の導入口と、第1の流体と第2の流体との混合流体を吐出する吐出口とを有する弁箱、この弁箱内に回転可能に設置され、上記各導入口および上記吐出口の位置に合わせて各々設けられた複数の開口部を有する弁体、および上記弁体を回転駆動する弁体駆動体を備えた混合弁において、上記第1の流体の導入口と上記第2の流体の導入口とは、上記混合流体の流れる方向に対してずらして配置され、各導入口の位置に合わせて上記弁体に各々設けられた開口部は、一方の開口部が全開となる位置にある時に、もう一方の開口部が、全閉または全開とならないような位置にあり、かつ一方の開口部が全閉となる時に、もう一方の開口部が一部開となる位置を有するように配置され、上記弁体の回転により、一方の流路断面積が減少するときに他方の流路断面積が増加するように各開口部を各々全開から全閉の間で変化させて上記混合流体の温度を制御するので、導入口から流出する流体の動圧によって一方の流れが他方の流れを直接的に干渉する度合いが少なくなり、これにより弁体の回転角に対する、2つの流体の混合流量変化の直線性に優れ、弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化が得られ、制御性の良い混合弁を供することができる。また、上流側に位置する導入口の断面積比が大きく、下流側に位置する導入口の流路断面積比が小さい時、上流側の流体による下流側の流体の吸い込みが発生し、その結果、制御の応答性が良くなるという効果がある。また、制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大することができ、高精度の制御が可能となる。
【0015】
また、本発明の混合弁によれば、導入口の位置に合わせて弁体に設けられた開口部の形状は、その断面積が上記導入口の開口断面積より小さくなるような形状であるので、全開時およびその近傍の弁体回転角度域での流量が抑えられるため、流路断面積の小さい側より流入する流体に対する流量比が減少するので、実質的に流量分配比が減少し、その結果、制御の立上がり時間がより速くなり、応答性が良くなる効果がある。
【0016】
また、本発明の混合弁によれば、導入口の位置に合わせて弁体に設けられた開口部の形状は、上記導入口の開口断面積S0を基準とした上記導入口における流路断面積Sの比R(R=S/S0)の、上記弁体の回転角θに対する変化率ΔR/Δθが、各回転角θに対して、第1の流体の導入口側と第2の流体の導入口側でほぼ同等の値を有するような形状であるので、弁体の回転に対し、第1の流体側と第2の流体側の流路断面積の比が滑らかに変化し、その結果、弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化が得られ、制御性の良い混合弁を供することができる。
【0017】
また、本発明の混合弁によれば、導口部の形状が略三角形部を有する形状であり、いずれか一方の流路が全開の位置から、第1の流体と第2の流体を混合する方向に弁体を回転させた時、上記弁体の回転方向に上記略三角形部の頂点が配置されるようにしたので、制御の立上がり時間がより速くなり、応答性が良くなると共に、制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大でき、高精度の制御が可能になる。
【0018】
また、本発明の混合弁によれば、開口部の形状が略長方形部を有する形状であり、いずれか一方の流路が全開の位置から、第1の流体と第2の流体を混合する方向に弁体を回転させた時、上記弁体の回転方向と反対側に上記略長方形部の一辺が配置されるようにしたので、弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化が得られ、制御性の良い混合弁を供することができると共に、制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大でき、高精度の制御が可能になる。
【0019】
また、本発明の混合弁によれば、第1および第2の流体が水と湯であり、弁体駆動体に近い導入口を水導入口、もう一方の導入口を湯導入口としたので、弁体駆動体にかかる熱負荷を軽減することができる。これにより長期間にわたって安定した動作が可能な長寿命の湯水混合弁を提供することができる。
【0020】
また、本発明の混合弁によれば、弁体駆動体としてステッピングモーターを用いたので、精密な制御が可能な混合弁が得られる。
【0021】
また、本発明の混合弁によれば、弁箱および弁体は樹脂により形成されたので、軽量かつ安価な湯水混合弁を実現することができる。また、耐腐食性を大幅に向上させることができるので、長期にわたり安定に動作し、高い信頼性を有する混合弁が得られる。
【0022】
また、本発明の給湯器によれば、上記混合弁のいずれかを、湯と水とを混合する混合弁に用いたので、温度制御性のよい給湯器が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1による湯水混合弁の弁体回転動作を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1による湯水混合弁の流量特性を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1による湯水混合弁における流路の断面積比と弁体回転角との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1および実施の形態2による湯水混合弁における弁体回転角と混合水温度との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図である。
【図7】本発明の実施の形態2による湯水混合弁の流量特性を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2による湯水混合弁における弁体回転角と断面積比の変化率との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図である。
【図10】本発明の実施の形態3による湯水混合弁の弁体回転動作を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態3による湯水混合弁の流量特性を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3による湯水混合弁における弁体回転角と混合水温度との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態5による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図である。
【図14】本発明の実施の形態5に係わる湯水混合弁の動作を示すフローチャート図である。
【図15】従来の湯水混合弁の構成を示す断面構成図である。
【図16】従来の湯水混合弁における弁体の構成を示す断面図である。
【図17】従来の湯水混合弁の流量特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1を図を用いて説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態1による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図、図1(b)は図1(a)のB−B線での断面図である。図1において、11は弁箱、12は水導入口、13は湯導入口であり、各導入口12、13は互いの導入口が対向しないように、湯水の流れる方向に対してずらして配置されている。14は水導入口12および湯導入口13より導入された湯水の吐出口である。弁箱11の導入口12、13間の弁室11aは筒状に形成されており、その弁室11a内に、その内径に合致する、あるいはその内径よりわずかに小さい外径を有した筒状の弁体15が回転可能に配置されている。この弁体15の一端部15aには、弁箱11の上部に装備したステッピングモーター(図示せず)と連結される駆動軸17が、その中心軸が弁体15の筒状部の中心軸と一致するように形成されている。また、弁体15の他端部15bは開口しており、湯水の吐出口14に連通している。18は、ステッピングモーターを弁箱に固定するためのネジ穴である。弁体15は弁体押え19により弁箱11の弁室11a内に、上下方向の位置ずれが生じないよう固定されている。また、弁体15の両端部15aおよび15bの摺動面には、弁体15の回転時の抵抗を緩和するための部材として、四弗化エチレン樹脂などの低摩擦抵抗を有する材料により形成されたワッシャ−20、21が配置される。22は、弁体駆動軸17と弁体押え19の間の水密を保持するためのOリングであり、弁体駆動軸17の回転部にあたるため、本実施の形態では図1に示すように2個配置している。また、23は弁箱11と弁体押え19の間の水密を保持するためのOリング、24は弁室11aと弁体15の間の水密を保持するためのOリングである。100は混合弁である。
【0025】
弁体15の周面には、図1(a)(b)に示すように2ヶ所に開口部15c、15dが形成されていて、弁体15の一端部15a側に形成された開口部15cは水導入口12に連通し、弁体15の他端部15b側に形成された開口部15dが湯導入口13に連通しており、水導入口12は湯導入口13よりもステッピングモーターに近い位置に配置されている。弁体15の他端部15b側、即ち湯水吐出口14に近い弁体15の周面には、Oリング24が配置され、弁室11aと弁体15の間隙から湯水吐出口14への湯水の漏れを防ぐとともに、弁体15の回転中心軸のぶれを抑えるように作用する。
本実施の形態1では、弁体15に設けられた開口部15c、15dは、各々半円と三角形が組み合わされた扇形状を有している。この水側開口部15cについては、水導入口12と弁体開口部15cにより形成される水側流路と、湯導入口13と弁体開口部15dにより形成される湯側流路がともに全閉となる状態を初期状態として、この状態から弁体回転角が増加する方向(同図中の矢印にて図示)に三角形の頂点が位置するように三角形部を形成する。逆に湯側開口部15dに関しては、上記初期状態から弁体回転角が増加する方向に半円部を形成する。すなわち、水(湯)導入口と弁体開口部により形成される流路面積が小さい時には、弁体開口部の半円部によって流路が形成されるようにする。
【0026】
次に弁体15の回転動作を、図1のA−A線から見た横断面図(図2)を用いて詳細に説明する。なお、図において、15c1は開口部15cの三角形部、15c2は開口部15cの半円部、15d1は開口部15dの三角形部、15d2は開口部15dの半円部である。
図2(a)は、弁体が上記初期状態にある状態を示したものである。この場合、前述したとおり、弁体15に設けられた開口部15c、15dはいずれも湯水導入口12、13と連通しておらず、全閉状態である。図2(b)は上記初期状態から、矢印の方向に弁体15を回転させて水側の流路を全開とした状態を示す図である。この時、湯側流路については、弁体15の開口部15dと弁箱の湯導入口13は連通しておらず、まだ全閉状態である。図2(c)はさらに回転角が増加して湯側流路が開き、湯側、水側の流路の開口率が等しくなった状態を示している。図2(d)で、湯側流路が全開となり、水側流路が全閉状態となる。
本実施の形態1に示した湯水混合弁100では、以上の弁体回転角度範囲で湯水の混合動作が行われる。即ち、初期状態からの弁体15の回転方向は、上記初期状態から、まず水側の導入口12の開口率が増加して全開状態となった後に、湯側の導入口13の開口率が増加するような方向となる。
【0027】
上記初期状態となる基準位置からステッピングモーターにより弁体15を回転させると、図2(a)〜(d)に示した弁体回転角度の範囲において、水導入口12および湯導入口13と弁体開口部15c、15dとの間で形成される流路面積が弁体の回転角により変化し、水導入口12および湯導入口13から弁体開口部15c、15dを通って弁室11a内に流入する水および湯の流量が変化する。図2からもわかるように、本実施の形態では最初に水側流路を開いて水を流した後、徐々に湯側流路を開いて湯水混合比を変化させながら所望温度にまで混合水温度を上げるような弁体動作としている。これによって、蛇口あるいはシャワーを開いた直後に熱湯が吐出されることがなく、やけど等の事故を回避できる。
【0028】
また、本実施の形態では、水導入口12と湯導入口13とを、互いの導入口が対向しないように、混合水の流れる方向に対して一定の間隔をおいてずらして配置しているので、水導入口12と湯導入口13からの流体の動圧によって一方の流れが他方の流れを直接的に干渉することがなく、これにより弁体の回転角に対する湯水混合比の回転角に対する直線性が優れ、弁体の回転角に対して滑らかな混合温度の変化を可能にする。
【0029】
また、前述のように、流路の断面積比Rの小さい領域においては圧損が大きく、水(または湯)が流入しないような弁体角度範囲が存在するが、本実施の形態の場合、水導入口12と湯導入口13とを、互いの導入口が対向しないように、混合水の流れる方向に対して一定の間隔をおいてずらして配置しているので、上流側に位置する水導入口12の断面積比が大きく、下流側に位置する湯導入口13の流路断面積比が小さい時、即ち回転角の小さい時、上流からの水流による湯の吸い込みが発生し、従来とは逆に、湯導入口13より本来の流量より大きな流量の湯が流入する現象が発生する。その結果、温度制御の立上がり時間が速くなるという効果が得られる。
【0030】
また、図3は水側導入口12が全開の状態の弁体回転角を0度とした場合の、弁室11a内に流入する湯水流量の弁体回転角度依存性の一例を示したものである。図3において、実線は本実施の形態1の流量特性であり、破線(比較例)は、各導入口12、13の位置は実施の形態1と同じで、上記導入口12、13の位置に合わせて弁体15に形成された開口部15c、15dの形状を、各々水導入口12および湯導入口13の断面形状と同じ円形とした場合に得られた流量特性である。本実施の形態1による弁体開口部15c、15dを有する湯水混合弁100では、各開口部15c、15dの形状が、図1に示すように、導入口が全開時において、上記導入口の流路断面積が上記導入口の開口断面積より小さくなるような形状であり、かついずれか一方の流路が全開の位置から、水と湯を混合する方向に弁体を回転させた時、弁体の回転方向に三角形部の頂点が配置されるように構成されているので、湯、水それぞれの流路から導入される流量が最大(全開時)の値をとる近辺における弁体回転角度域での流量が、湯水導入口と同じ弁体開口部形状を有する比較例に比べ小さく(図3)、その断面積比Rも小さいため(図4)、流路断面積の小さい側より流入する流体に対して、実質的に流量分配比が比較例より減少し、その結果、回転角の変化に対しての温度制御の立上がり時間がより速くなる効果がある。
図5は本実施の形態1と上記比較例における弁体回転角と混合水温度の関係を示した試験結果である。この時、混合弁に導入される湯および水の温度は、それぞれ90℃および20℃である。本実施の形態1による弁体開口部の形状を有する湯水混合弁においては、一般的に必要とされる30〜60℃の給湯温度範囲を、弁体回転角7度〜72度において制御でき、比較例の湯水混合弁の場合(弁体回転角12度〜69度)よりも温度制御の立上がり時間が速く、かつ温度制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大できることが解る。従って、本実施の形態1の場合、温度変化の立上がりが速いため、応答性が良く、かつ高精度の温度制御を行うことが可能になる。
【0031】
なお、上記実施の形態においては、開口部15c、15dは、各々半円と三角形が組み合わされた扇形状としたが、略三角形と略半円とが組み合わされた形状であっても良い。
また、開口部15c、15dの形状は、扇形状でなくとも、導入口の開口断面積S0より小さい開口断面積を有するような形状のものであってもよい。
【0032】
実施の形態2.
図6(a)は本発明の実施の形態2による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図、図6(b)は図6(a)のB−B線での断面図である。図6において、実施の形態1による湯水混合弁と同一もしくは同等の部材については図1と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0033】
弁体15の周面には、図6(a)(b)に示すように2ヶ所に開口部15c、15dが形成されていて、弁体15の一端部15a側に形成された開口部15cは水導入口12に連通し、弁体15の他端部15b側に形成された開口部15dが湯導入口13に連通しており、水導入口12は湯導入口13よりもステッピングモーターに近い位置に配置されている。部材構成は上記実施の形態1で示した混合弁100と全く同様である。本実施の形態2においては、弁体15に設けられた開口部15c、15dは、各々長方形と三角形が組み合わされた、ホームベースに似た形状を有する。水側開口部15cについては、水導入口12と弁体開口部15cにより形成される水側流路と、湯導入口13と弁体開口部15dにより形成される湯側流路がともに全閉となる状態を初期状態として、この状態から弁体回転角が増加する方向(図6に示した構成では時計周り)に、三角形の頂点が位置するように三角形部を形成する。逆に湯側開口部15dに関しては、上記初期状態から弁体回転角が増加する方向に長方形部の一辺が形成される。すなわち、水(湯)導入口と弁体開口部により形成される流路面積が小さい時には、弁体開口部の長方形部によって流路が形成されるようにする。なお、始動時の弁体15の回転方向については、上記した実施の形態1と同様、初期状態からまず水側導入口12の開口率が増加して全開状態となった後に、湯側導入口13の開口率が増加するような方向とする。なお、弁体の回転動作の詳細についても、実施の形態1に示した湯水混合弁とまったく同様である。
【0034】
上記初期状態となる基準位置からステッピングモーターにより弁体15を回転させると、図2(a)〜(d)に示した弁体回転角度の範囲において(但し、本実施の形態2の場合、15c2は開口部15cの長方形部、15d2は開口部15dの長方形部である。)、水導入口12および湯導入口13と弁体開口部15c、15dとの間で形成される流路面積が弁体の回転角により変化し、水導入口12および湯導入口13から弁体開口部15c、15dを通って弁室11a内に流入する水および湯の流量が変化する。本実施の形態においても、最初に水側流路を開いて水を流した後、徐々に湯側流路を開いて湯水混合比を変化させながら所望温度にまで混合水温度を上げるような弁体動作としている。
【0035】
図7は、以上のように構成された湯水混合弁において、水側導入口が全開の状態の弁体回転角を0度とした場合の、弁室11a内に流入する湯水流量の弁体回転角度依存性の一例を表したものである。なお、図7の破線(比較例)は実施の形態1で示された特性と同様、弁体に形成された開口部の形状を、各々水導入口12、湯導入口13の断面形状と同じ円形とした場合に得られた流量特性である。図7に示すように、本実施の形態2による弁体開口部15c、15dを有する湯水混合弁100では、湯水導入口と同じ円形の弁体開口部形状を有する比較例に比べて、湯、水それぞれの流路から導入される流量が最大値をとる近辺における弁体回転角度域での流量が抑制されており、また湯、水のいずれか一方の流量が絞られる弁体回転角度域における湯水流量の線形性が大幅に改善されていることがわかる。
即ち、本実施の形態では、弁体開口部が三角形部と長方形部を有し、図6に示すように、導入口が全開時において、上記導入口の流路断面積が上記導入口の開口断面積より小さくなるような形状であるため、湯、水のそれぞれの流路から導入される流量が最大値をとる近辺における弁体回転角度域での流量が抑制され、実施の形態1と同様に、回転角の変化に対しての温度制御の立上がり時間がより速くなる効果がある。
また、本実施の形態2による湯水混合弁においては、図8に示すように、弁体の回転により一方の流路の断面積が減少し、他方の流路の断面積が増加する時に、導入口の開口断面積を基準とした流路の断面積比R(R=S/S0、S:回転角θにおける流路断面積、S0:導入口の開口断面積)の弁体回転角θに対する変化率(ΔR/Δθ)が、回転角θに対して水側と湯側でほぼ同じ値を示すため、水側、湯側の流路断面積の比が滑らかに変化するため、その結果、温度制御の直線性が優れたものとなる効果がある。なお、図8において、破線は弁体5の開口部5c、5dの形状が共に円形である比較例における断面積比Rの弁体回転角θに対する変化率(ΔR/Δθ)を示すものであるが、水側と湯側で、各回転角θに対して上記変化率が大きく異なっていることが解る。従って、回転角に対して急激に流量分配比が変化し、温度制御の直線性が良くないものとなる。
また、図8において、湯側の流路断面積が小さい時(回転角θが小さい時)、実施の形態2のものでは、流路の断面積比Rの弁体回転角θに対する変化率(ΔR/Δθ)が、比較例のものに比べて大きくなっており、これにより、円形形状の開口部を有する比較例よりもホームベース形状の本実施の形態2のものの方が、湯流量の立上がりが速く、したがって小さい回転角で混合水温度が上昇するので、温度制御の立ち上がり時間が速く、かつ温度制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大できるという効果も得られる。
【0036】
図5は本実施の形態2と上記比較例における弁体回転角と混合水温度の関係を示した試験結果である。この時、混合弁に導入される湯および水の温度は、それぞれ80℃および20℃である。これより、本実施の形態2による弁体開口部の形状を有する湯水混合弁においては、一般的に必要とされる30〜60℃の給湯温度範囲を、弁体回転角5度〜72度において制御でき、比較例の湯水混合弁の場合(弁体回転角12度〜69度)よりも、また実施の形態1の場合(弁体回転角7度〜72度)よりも温度制御に有効な弁体回転角度範囲を拡大できることが解る。従って、本実施の形態2の場合、応答性が良く、かつより高精度の温度制御を行うことが可能になる。
【0037】
なお、上記実施の形態2においては、開口部15c、15dは、各々三角形と長方形が組み合わされた形状としたが、略三角形と略長方形とが組み合わされた形状であっても良い。
【0038】
実施の形態3.
図9(a)は本発明の実施の形態3による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図、図9(b)は図9(a)のB−B線での断面図である。図9において、実施の形態1による湯水混合弁と同一もしくは同等の部材については図1と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施の形態3では、上記実施の形態2に示した湯水混合弁と同じ構成を有する湯水混合弁において、図10に示すように、弁体15の周面に設けられた2個の開口部15c、15dを、湯水導入口12および13とにより形成される流路のうち一方が全開となる位置にある時に、他方の流路が全閉または全開とならないような位置に設けたものである。
【0039】
次に動作について説明する。本実施の形態3における湯水混合弁では、図9、10に示すように、水導入口側の流路を全開とした状態において、湯側流路についてもある一定の流路開口率を有しており全閉とはなっていない。本実施の形態においても、水側流路と湯側流路が共に全閉となる状態を初期状態とする。始動時の弁体の回転方向は、上記実施の形態1および2に示した湯水混合弁と同様に、初期状態からまず水側の導入口12の開口率が増加して全開状態となった後に、湯側導入口13の開口率が増加するような方向とする。初期状態からの回転方向を同図中の矢印で示す。
【0040】
以上の弁体の回転動作を、図9のA−A線から見た横断面図(図10)を用いて詳細に説明する。
図10(a)は、弁体が上記初期状態にある状態を示したものである。この場合、弁体15に設けられた開口部15c、15dはいずれも湯水導入口12、13と連通しておらず、全閉状態である。図10(b)は初期状態から、矢印の方向に弁体15を回転させて水側の流路を全開とした状態を示す図である。この時、上記実施の形態1および2で示した湯水混合弁においては、湯側流路は全閉状態となっていたが、本実施の形態3では、湯側の開口部15dの位置をずらしているため、湯側流路についても既に開いた状態となっているのが特徴である。図10(c)はさらに回転角が増加して、湯側、水側の流路の開口率が等しくなった状態を示している。図10(d)で、湯側流路が全開となるが、この場合についても水側流路が全閉状態にならないことが、上記実施の形態1および2に示した混合弁と異なる点である。さらに、回転角を増加させると、図10(e)に示すように水側流路は全閉となり、弁体15内部には湯のみが導入される。本実施の形態3に示した湯水混合弁では、以上の弁体回転角度範囲で湯水の混合動作を行う。
【0041】
上記初期状態となる基準位置からステッピングモーターにより弁体15を回転させると、図10(a)〜(e)に示した弁体回転角度の範囲において、水導入口12および湯導入口13と弁体開口部15c、15dとの間で形成される流路面積が弁体の回転角により変化し、水導入口12および湯導入口13から弁体開口部15c、15dを通って弁室11a内に流入する水および湯の流量が変化する。図11は、湯側、水側それぞれの弁体開口部の配置として、それぞれの弁体開口部の三角形部が接する円の中心軸のなす角度を、実施の形態2で示したそれぞれの位置から10度ずらした(実施の形態2が90度の場合、実施の形態3は100度)湯水混合弁において、湯水導入口15cおよび15dから弁室1a内に流入する湯水流量の弁体回転角に対する依存性を表したものである。図11より、湯水流量の弁体回転角に対する直線性は、先の実施の形態2に示した湯水混合弁よりもさらに改善されていることがわかる。
【0042】
さらに、図12は、上記実施の形態3において、開口部の位置を実施の形態2より10度ずらした場合と、20度ずらした湯水混合弁における、弁体回転角と混合水温度の関係を示したものである。この時、混合弁に導入される湯および水の温度は、それぞれ80℃および20℃である。図12より、一般的に必要とされる30〜60℃の給湯温度範囲を、開口部の位置を実施の形態2より10度ずらした場合は弁体回転角5度〜82度において制御でき、20度ずらした場合は弁体回転角5度〜91度において制御できることがわかる。本実施の形態3では先の実施の形態2で示された湯水混合弁の場合(弁体回転角5度〜72度)よりも温度制御に有効な弁体回転角度範囲をさらに拡大することができるため、より高精度の温度制御を行うことが可能になる。
また、温度制御に有効な弁体回転角度範囲は、ほぼずらした角度分だけ拡大しており、ずらす角度を増やすにしたがって高精度の温度制御が可能となる。
なお、本実施の形態では、弁体に設けた湯側と水側の開口部の配置として、前記実施の形態1および2に示された混合弁における弁体の配置を基準として、最大で20°までずらした場合の混合弁の特性を記載したが、上記の通り、ずらした角度分だけ制御範囲が拡がることから、ずらす角度φとしては、φ<90°までが理論上可能となる。ただし、ずらす角φが大きすぎると、湯側、水側いずれか一方を全開とした時の流路断面積が小さくなり、最大流量が著しく減少するため、実際のφの値としては、60°程度までが有効であると考えられる。
【0043】
実施の形態4.
本実施の形態4では、上記実施の形態1〜3で示した湯水混合弁において、弁箱11を射出成形によって樹脂材料で形成したことを特徴とする。なお、他の構成部材については実施の形態1〜3のいずれかに示された湯水混合弁と同じであるため、詳細な説明は省略する。さらに、弁体の回転動作をはじめとする混合弁の動作についても、実施の形態1〜3のいずれかに示された湯水混合弁とまったく同様であるので詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施の形態4では、弁箱11の材料として樹脂材料を用いて射出成形等の手段により一体成形しているため、軽量かつ安価な湯水混合弁を実現することができる。さらに、水に対する耐腐食性を大幅に向上することができ、長期にわたり安定な動作が可能で高い信頼性を有する湯水混合弁を実現することができる。また、弁箱11以外の部材構成は、先の実施の形態1〜3に示した湯水混合弁と同一であるため、これらの湯水混合弁で得られる効果と全く同様の効果を得ることができる。
【0045】
実施の形態5.
図13は本発明の実施の形態5による湯水混合弁の概略構成を示す断面構成図である。なお、先の実施の形態1〜4による湯水混合弁と同一もしくは同等の部材については、これらと同一符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施の形態5では、上記実施の形態3に示したいずれかの湯水混合弁と同じ構成を有する湯水混合弁において、湯水吐出口14の下流に混合水温度を検出する温度検出器25と、外部より混合水温度を設定する温度設定器27と、温度検出器25と温度設定器27からの信号に基づき比較演算してステッピングモーター16を駆動する混合弁制御器26を設けた構成とする。
【0046】
次に本実施の形態の動作について説明する。
温度設定器27で所望の混合水温度を設定すると、サーミスタにより構成される温度検出器25で混合水温度が検出され、温度設定器27の設定温度信号および温度検出器25の検出温度信号を混合弁制御器26が取込んで比較演算し、それらの偏差を抑制する方向の駆動信号をステッピングモーター16に入力し、弁体15を回転させることにより混合する湯水流量比を調節しながら、これら一連の動作を繰り返すことによって、得られる混合水温度を設定温度に近づける。図14は本発明の実施の形態5による混合弁の動作を示すフローチャート図である。図14において、ステップS1では弁体15の回転角を算出し、ステップS2で混合水温度を検出し、検出温度Tを取込む。ステップS3では設定温度Tsと検出温度Tとを比較し、その差ΔTを演算する。ステップS4でΔTが0より大きければ、低温側へ弁体を回転させるようにし(ステップS5)、ΔTが0より小さければ高温側へ弁体を回転させるようにする(ステップS6)。ステップS7では、ΔTの絶対値が20度以上か否かを判定し、20度以上の時は、ステップS8で、低温側または高温側への弁体の回転移動量を30度とし、ステップS2に戻って再度、混合水温度を検出し、取込む。ΔTの絶対値が20度以下の時は、ステップS9でΔTの絶対値が10度以上か否かを判定し、10度以上の時はステップS10で低温側または高温側への弁体の回転移動量を10度とする。以下同様に、ステップS11〜ステップS15で、ΔTの絶対値が5度以上か否か、3度以上か否かと徐々に設定温度との温度差の値を下げ、その時の弁体の移動量を決定する。ステップS15で弁体回転移動量が0度となれば、ステップS16で弁体の回転を停止する。なお、ステップS7〜ステップS14における設定温度との差、及びその時の弁体の移動量については、上記各値に限らなくてもよい。
【0047】
混合弁制御器26の温度検出器25からの温度信号の取込みについては、弁体15の回転動作終了後、その弁体回転位置における混合水温度が安定して、さらに温度検出器25が検出する温度値が安定するまでの一定時間が経過した後に行うようにする。すなわち、温度検出は連続的に行われるのではなく、一定間隔をおいて間欠的に行われる。このような制御を行うことにより、湯水吐出口より吐出される混合水温度を、設定温度に対するオーバーシュートあるいはアンダーシュートを発生させることなく迅速に目標温度に近づけることができる。また、湯水混合弁自体は、上記実施の形態3(実施の形態1、2でも可)の構成を有しているため、弁体回転角に対して直線性の優れた流量特性が得られるので、ステッピングモーター16および弁体15の回転角に応じて直線的に滑らかな温度調整が可能であり、温度制御性の極めて良い、応答性に優れた給湯器を実現することができる。
【0048】
なお、上記各実施の形態においては、導入口12と導入口13との位置は、互いの導入口が対向しないように、混合流体の流れる方向に対してずらして配置し、かつ互いの導入口における中心軸のなす角度が180度となるような位置に配置したが、180度以外の角度であっても良い。
また、上記各実施の形態においては、導入口12と導入口13との位置は、互いの導入口が対向しないように配置されているが、一部分が対向していてもよい。即ち、各導入口より導入される流体の流速が最大となる導入口の中心軸の位置が、混合流体の流れる方向に対してずれていれば、導入口から流出する流体の動圧によって一方の流れが他方の流れを直接的に干渉する度合いが少なくなり、これにより弁体の回転角に対する、2つの流体の混合流量変化の直線性が改善される効果がある。
【0049】
また、上記各実施の形態においては、導入口12と導入口13に各々水と湯を導入したが、他の異なる2種の流体を各々流し、弁体の回転角によって2つの流体の混合流量を変化させてもよく、これにより弁体の回転角に対して滑らかな混合液の特性変化が得られ、制御性が良く、かつ応答性の良い混合弁を供することができる。
【符号の説明】
【0050】
1,11 弁箱、1a,11a 弁室、2,3 入口ポート、4 出口ポート、12 水導入口、13 湯導入口、14 湯水吐出口、5,15 弁体、5a,5b,15a,15b 端部、5c,5d,15c,15d 開口部、15c1,15c1 三角形部、15c2,15d2 半円部、6,16 ステッピングモーター、7,17 弁体駆動軸、18 ネジ穴、19 弁体押え、20,21 ワッシャー、22,23,24 Oリング、25 温度検出器、26 混合弁制御器、27 温度設定器、100 混合弁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体の導入口と、第2の流体の導入口と、第1の流体と第2の流体との混合流体を吐出する吐出口とを有する弁箱、この弁箱内に回転可能に設置され、上記各導入口および上記吐出口の位置に合わせて各々設けられた複数の開口部を有する弁体、および上記弁体を回転駆動する弁体駆動体を備えた混合弁において、上記第1の流体の導入口と上記第2の流体の導入口とは、上記混合流体の流れる方向に対してずらして配置され、各導入口の位置に合わせて上記弁体に各々設けられた開口部は、一方の開口部が全開となる位置にある時に、もう一方の開口部が、全閉または全開とならないような位置にあり、かつ一方の開口部が全閉となる時に、もう一方の開口部が一部開となる位置を有するように配置され、上記弁体の回転により、一方の流路断面積が減少するときに他方の流路断面積が増加するように各開口部を各々全開から全閉の間で変化させて上記混合流体の温度を制御することを特徴とする混合弁。
【請求項2】
一方の開口部が全開となる位置より、もう一方の開口部が全閉となるように弁体を回転させたとき、その回転角が0度〜60度となるように各開口部を配置したことを特徴とする請求項1に記載の混合弁。
【請求項3】
導入口の位置に合わせて弁体に設けられた各開口部の形状は、その断面積が上記導入口の開口断面積より小さくなるような形状であることを特徴とする請求項1または2の記載の混合弁。
【請求項4】
第1の流体が水であり、第2の流体が湯であり、弁体駆動体に近い導入口を第1の流体の導入口、もう一方の導入口を第2の流体の導入口としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混合弁。
【請求項5】
弁箱および弁体は樹脂により形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の混合弁。
【請求項6】
弁体駆動体としてステッピングモーターを用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の混合弁。
【請求項1】
第1の流体の導入口と、第2の流体の導入口と、第1の流体と第2の流体との混合流体を吐出する吐出口とを有する弁箱、この弁箱内に回転可能に設置され、上記各導入口および上記吐出口の位置に合わせて各々設けられた複数の開口部を有する弁体、および上記弁体を回転駆動する弁体駆動体を備えた混合弁において、上記第1の流体の導入口と上記第2の流体の導入口とは、上記混合流体の流れる方向に対してずらして配置され、各導入口の位置に合わせて上記弁体に各々設けられた開口部は、一方の開口部が全開となる位置にある時に、もう一方の開口部が、全閉または全開とならないような位置にあり、かつ一方の開口部が全閉となる時に、もう一方の開口部が一部開となる位置を有するように配置され、上記弁体の回転により、一方の流路断面積が減少するときに他方の流路断面積が増加するように各開口部を各々全開から全閉の間で変化させて上記混合流体の温度を制御することを特徴とする混合弁。
【請求項2】
一方の開口部が全開となる位置より、もう一方の開口部が全閉となるように弁体を回転させたとき、その回転角が0度〜60度となるように各開口部を配置したことを特徴とする請求項1に記載の混合弁。
【請求項3】
導入口の位置に合わせて弁体に設けられた各開口部の形状は、その断面積が上記導入口の開口断面積より小さくなるような形状であることを特徴とする請求項1または2の記載の混合弁。
【請求項4】
第1の流体が水であり、第2の流体が湯であり、弁体駆動体に近い導入口を第1の流体の導入口、もう一方の導入口を第2の流体の導入口としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混合弁。
【請求項5】
弁箱および弁体は樹脂により形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の混合弁。
【請求項6】
弁体駆動体としてステッピングモーターを用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の混合弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−257591(P2009−257591A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180645(P2009−180645)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【分割の表示】特願2000−202121(P2000−202121)の分割
【原出願日】平成12年7月4日(2000.7.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【分割の表示】特願2000−202121(P2000−202121)の分割
【原出願日】平成12年7月4日(2000.7.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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