説明

混合装置及びプロセス

ばらつきなく混合された材料を生成しかつ維持させるための連続式、半連続式またはフェドバッチ式混合装置及びプロセスは、管状容器内の材料のばらつきのない混合及び効率的な分散を開始しかつ維持するように構成される複数の環状バッフル(4)を装備した管状容器(1)を、管状容器内の材料へ一方向の直線的かつ非振動性の運動を与えるポンプ(9)と共に使用し、これにより、材料の均一な混合及び効率的な分散を促進しかつ維持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばらつきなく混合された材料を維持するための改良された混合装置及びプロセスに関する。具体的には、本発明は、固体、液体及び/または気体をばらつきのない混合で混和させる懸濁物及び分散物を運搬するための改良された装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料を運搬しかつ混合するための既存技術には、管型、ループ型またはパイプ型反応器(BHR Group Limited製Flex−Reactor等)が含まれる。しかしながら、ばらつきなく混合される材料の運搬におけるこのような反応器の使用には、制限事項及び欠点がいくつかある。具体的には、多くの場合、何らかの形で流れを途絶して、効果的な混合が維持されていることを確認する。流れを途絶すると、複雑さが増し、混合物の運搬の進行を妨げる。
【0003】
反応を実行しながら、同時に反応混合物を運搬するためには、振動バッフル式の装置を使用することが知られている。例えば、欧州特許EP 1 076 597は、水性媒体が反応容器を介して連続的に供給され、周囲圧力及び上昇した温度において有機液相と反応して微粒子の相分離合成を提供する、相分離式の合成装置及び方法の使用を開示している。前記特許のような振動バッフル式の反応器が混合において極めて効果的であることは、既に証明されている。
【0004】
しかしながら、必要があって振動バッフル式の反応器を使用する場合には、振動を生成するための手段を導入する必要がある。これにより、装置の設計が複雑になる場合が多く、ひいては本装置が使用される任意のプラントの設計も複雑になる。具体的には、振動及び密封装置に関し対処しなければならない多くの技術的課題が存在する。
【0005】
従って、本発明の目的は、先行技術に関連する欠点の少なくとも幾つかを未然に防ぐ、または緩和することにある。
【0006】
本発明のさらなる目的は、以下の明細書を読むことにより明らかとなるであろう。
【発明の開示】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、ばらつきなく混合された材料を生成しかつ維持するための連続的、半連続的またはフェドバッチ式混合装置であって、前記材料は少なくとも第1の相と第2の相とを含み、本装置は、管状容器(1)と、前記管状容器へ機能的に連接される、前記第1及び第2の相の少なくとも一方を供給する少なくとも1つの供給手段(8)と、前記管状容器内で前記材料の均一な混合及び効率的な分散を開始しかつ維持するように構成される複数の環状バッフル(4)とを備え、前記環状バッフルは、前記管状容器の側面から内側へ放射状に延設されるようにほぼ等間隔に離隔されかつほぼ平行に配置され、前記管状容器内の前記材料へ一方向の直線運動を与えるように構成される流量制御手段(9、10)を備え、前記流量制御手段は、前記第1及び第2の相の均一な混合及び効率的な分散が生成されかつ維持するように十分な流量で前記材料の流れを維持すべく構成される装置が提供される。
【0008】
前記材料は、混和性または不混和性流体の混合物、化学反応の反応混合物、分散物、懸濁液、乳濁液またはマイクロエマルジョン、または少なくとも幾分かの流体特性を有する他の任意の適切な材料であってもよい。
【0009】
前記相は、流体(即ち、液体または気体)であっても、例えばモノマービーズ、小粒、顆粒、結晶、粉末等の粒子状である流体形状の固体であってもよい。
【0010】
バッフルのスペーシング及び流量の制御は、容器内を流れる材料のばらつきのない混合及び効率的な分散において効果的である。この混合は振動がなくても達成されることから、本装置及び関連プラントの設計に関する複雑さはほとんどなくなる。具体的には、本発明による装置は振動式装置より必要な部品数が少なく、密封システムへ振動を与えることに関連する技術的課題を大幅に軽減する。また、バッフルも、従来のループ型またはパイプ型反応器を使用する場合に必要な流量より少ない流量で乱流を形成するのに役立つ。
【0011】
複数の環状バッフルは、容器の側面から放射状に内側へ延設されるように、ほぼ等間隔でレールにより互いに接合されかつほぼ平行して配置される。
【0012】
任意選択として、本装置はさらに、第1及び第2の相のうちの少なくとも一方を管状容器へ供給する第2の供給手段を備える。
【0013】
環状バッフル間の距離は1dから2dまでの範囲であることが好ましい。ここでdは管状容器の直径である。
【0014】
環状バッフルは、前記プレートのほぼ中央に位置する開口を備えるほぼ平坦なプレートであってもよい。
【0015】
開口は、材料の流れに相当量の不安定性を与えるように適合化される。
【0016】
任意選択として、管状容器はさらに、管状容器内の圧力を変えるための圧力変更手段を備える。
【0017】
圧力変更手段は、真空から300バールまでの範囲で圧力を変えてもよい。
【0018】
少なくとも1つの点検口が他の相または種を管状容器内へ導入するために設けてもよい。
【0019】
流量制御手段は、一方向の直線運動を管状容器内の材料に与えるように構成されるポンプを備えることが好ましい。
【0020】
一方向の直線運動は、実質的に非振動性である。
【0021】
前記流量制御手段は、500を超えるレイノルズ数を前記管状容器内の前記材料へ与える流量をもたらすように構成されることが好ましい。
【0022】
前記管状容器内の前記材料の流れは層流である。
【0023】
本発明の第二の態様によれば、ばらつきなく混合された材料を生成しかつ維持させるための連続的、半連続的またはフェドバッチ式混合プロセスであって、前記材料は少なくとも第1の相と第2の相とを含み、前記プロセスは、前記第1及び第2の相の少なくとも一方を管状容器へ供給する供給装置を設けるステップと、複数の環状バッフルを使用することによって、前記管状容器内の前記材料の均一な混合及び効率的な分散を開始しかつ維持させるステップとを含み、前記環状バッフルはほぼ等間隔で離隔され、かつ前記管状容器の側面から放射状に内側へ延設されるようにほぼ平行に配置され、流量制御手段を使用して、前記管状容器内の前記材料へ一方向の直線運動を与えるステップとを含み、前記一方向の直線運動は、前記流量制御手段を使用して、前記材料の流れを前記第1及び第2の相の均一な混合及び効率的な分散が生成されかつ維持するように十分な流量で維持するべく与えられるプロセスが提供される。
【0024】
本プロセスはさらに、第1及び第2の相のうちの少なくとも一方を管状容器へ供給する第2の供給手段を設けることを含んでもよい。
【0025】
本プロセスはさらに、管状容器内の圧力を変更することを含んでもよい。
【0026】
本プロセスはさらに、真空から300バールまでの範囲で圧力を変えることを含んでもよい。
【0027】
本プロセスはさらに、少なくとも1つの点検口を介して管状容器内へさらなる相または種を供給することを含んでもよい。
【0028】
一方向の直線運動は非振動運動であることが好ましい。
【0029】
500を超えるレイノルズ数を管状容器内の材料へ与える流量は流量制御手段によって与えられることが好ましい。
【0030】
管状容器内の材料の流れは層流であることが好ましい。
【0031】
本発明の第三の態様によれば、ばらつきなく混合された多糖混合物を生成しかつ維持させるための連続的、半連続的またはフェドバッチ式混合プロセスであって、溶媒を管状容器へ供給する供給装置と、多糖類を管状容器へ供給する第2の供給装置とを設けるステップと、複数の環状バッフルを使用することによって、前記管状容器内の前記多糖類及び溶媒の均一な混合及び効率的な分散を開始しかつ維持させるステップとを含み、前記環状バッフルはほぼ等間隔で離隔され、かつ前記管状容器の側面から放射状に内側へ延設されるようにほぼ平行に配置され、流量制御手段を使用して、前記管状容器内の前記多糖類及び溶媒へ一方向の直線運動を与えるステップを含み、前記一方向の直線運動は、前記流量制御手段を使用して、前記多糖類及び溶媒の流れを、均一に混合されかつ効率的に分散される多糖混合物が生成されかつ維持するに足る流量で維持させるように与えられるプロセスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下、添付の図面を参照して、本発明を単に例示として説明する。
【図1】本発明による管状容器を示す略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照すると、管状バッフル容器は概して1で示され、Uベンド3により連接される管状部材2を備える。これは、流体媒体のための連続流量システムを形成する。容器の側面からは、幾つかの環状バッフル4が放射状に内側へ延設されて存在する。バッフルは、オリフィス板型式である。環状バッフル4はレール(図1には示されていない)によって互いにほぼ等間隔で接合され、ほぼ平行して配置される。環状バッフル4は、管状部材2により形成される流路内に設けられる。
【0034】
容器1の内容物へ運動を与えるために、本容器は流体を受入れかつ排出することができ、入口5及び6と、出口7とを有する。また本装置1は、入力5を介して容器1へ流体連接されるフィードタンク8も備える。容器1への流体の投入を制御するために、フィードタンク8と入力5との間には供給ポンプ9及び制御バルブ10が位置づけられて存在する。容器の遠位端には、出口7によって容器1へ流体連接される製品タンク11が位置する。
【0035】
また装置1は、冷却装置/加熱装置(図1には示されていない)を使用して容器1内のばらつきのない温度または温度プロファイルのばらつきのない勾配を制御しかつ維持させるためのシース12も含む。管状容器1に沿った連接用ブロック13は、添加、製品の取出し、ブリージング、サンプリング、モニタリング、プロービング及び他の任意のプロセス制御のために使用されることが可能である。
【0036】
管状容器は、(例えば)窒素を使用して加圧されることが可能であり、その圧力は真空から300バールまでの範囲で変わってもよい。
【0037】
プロセス例1
次に、混合が均一であるでんぷん懸濁液の運搬を参照して図1のシステムの使用について説明する。
【0038】
フィードタンク8は、でんぷん懸濁液で満たされる。次に、フィードタンクは、可動バッフルセット(図1には示されていない)を使用して所定の時間に亘って攪拌され、所定のレベルまで管状容器1に供給物を添加できるようバルブ10が開かれる。
【0039】
この後、ポンプ9を使用して容器の内容物に運動が与えられる。ポンプは、構成要素へ非振動式に運動を与える。また、本例において、ポンプは管状容器の内容物に500を超えるレイノルズ数をもたらす流量を与えるように適合化され、管状容器内の内容物または材料の流れは層流である。次に、内容物は、ばらつきのない混合を維持しながら管状容器の長さに沿って運搬される。混合液は、適切な出口において排出されることが可能である。
【0040】
管状部材2は1本の真っ直ぐな形状であってもよく、或いはCコネクタの使用により、管状部材がより小型に組み立てられて平行配置ではなく交互に分岐しかつ収束するほぼS字形の形状になるように配置されかつ組み立てられてもよい。
【0041】
次に、バイオディーゼル生産に関連して、本発明のプロセスをさらに説明する。本生産においては、主生成物であるバイオディーゼルから副生物であるグリセロールが塩基触媒及び未使用の過剰なメタノールと共に分離される。高価値市場向けにグリセロールを精製するためには、まず触媒が除去され、次に過剰なメタノールが蒸留されなければならない。管状バッフル式反応器1は、グリセロールから触媒を除去するために使用される。グリセロール、塩基触媒及び過剰メタノールを含む「廃物」の流れはフィードタンク8内に貯蔵され、次に入口5において管状バッフル式反応器1内へ、正味流れのレイノルズ数が500より大きいことを確認する所定の流量で注ぎ込まれる。管状バッフル式反応器が反応温度まで加熱される間、廃物の流れは容器1内を再循環される。反応温度に達すると、入力6において容器1内にCOガスが導入され、管状バッフル式反応器1に沿って反応 2NaOH(液体)+CO(気体)=NaCO(固体)+HO が生じる。数分間の滞留時間後、生成物及び水は製品タンク11へと導かれ、製品タンク11において固体NaCOが濾過して除かれる。このプロセスでは、十分な流量並びにバッフルプレートの存在が小さく均一なサイズの泡、COガスのグリセロール混合液内への良好な分散及び完全な反応を確認する。
【0042】
プロセス例2
先の例1は液体−気体混合物に関連しているが、管状バッフル容器1は、液体−液体型の反応であるトルエンの硝化にも有益である。このオペレーションでは、酸性物質(主に硝酸及び硫酸)の混合体がフィードタンク8内で予め混合され、定量ポンプ9及び制御バルブ10を介して管状バッフル容器1内へ正味流れのレイノルズ数が500を超えるような流量でポンピングされる。混合された酸性物質は、管状バッフル容器1が130℃の反応温度に達するまでの間再循環される。反応温度に達すると、入口ポイント6において所定の温度(室温または予熱温度の何れか)のトルエンが容器1内へ導入される。十分な流量並びにバッフルプレートの存在により、小さく均一なトルエン液滴が容器1に沿って酸性の混合流内で形成されることを有効化するトルエンの最も効果的な分散が確認される。硝化反応が発生し、生成物であるニトロトルエンが連続的に生成され、製品タンク11内へ再配向される。
【0043】
プロセス例3
次に、でんぷん加工プロセスを参照して固体−液体プロセスに適する管状バッフル容器の使用について説明する。でんぷん−水のスラリーは、定量ポンプ9及び制御バルブ10を介して容器1内へ正味流れのレイノルズ数が500より大きくなるような所定の流量で連続的に注ぎ込まれる。同時に、容器1はジャケット設備12を使用して所定の反応温度まで加熱される。反応温度に達すると、入力ポイント6において無水酢酸が添加され、容器に沿ってアセチル化反応が発生する。13における塩基の添加により管状バッフル容器1沿いのpHを制御することによって、加工でんぷん製品は製品タンク11において連続的に収集される。このプロセスでは、流体発振ユニットなしで流量とバッフルプレートとの組合せにより達成される均一な混合及び栓流に近い状態に起因して、55%までの固体濃度を有するでんぷん固体粒子が液相内でばらつきなく懸濁される。
【0044】
優位点
本発明は、均一な混合、効率的な分散及び高められた質量移動速度に起因して混合材料のより効率的な運搬を可能にし、沈殿物及び閉塞の形成を回避する。本装置は、固体、液体及び気体を含む反応物質及び/または生成物、乳濁液、懸濁液及び分散物の混合体の運搬に適する。でんぷん溶液を使用するこのプロセスでは、固体が液相内に懸濁される。さらに、改良された混合を使用して材料の化学反応増進及び選択的結晶化を促進する本発明の他の実施形態も予見される。
【0045】
使用の変形例及び代替実施形態
説明している装置は、ばらつきなく混合された材料を生成しかつ維持させるための連続的、半連続的またはフェドバッチ式混合装置として使用されることが可能であり、前記材料は少なくとも第1の相と第2の相とを含む。本装置は、管状容器と、前記管状容器へ機能的に連接される、前記第1及び第2の相の少なくとも一方を供給する少なくとも1つの供給手段とを有する。機能的連接は、気体、液体または固体物質またはこれらの混合物の供給装置であることが可能である。
【0046】
管状容器の内側には、管状容器内で材料の均一な混合及び効率的な分散を開始しかつ維持させるように構成される複数の環状バッフルが付着されて存在する。環状バッフルは、管状容器の側面から放射状に内側へ延設されるように、ほぼ等間隔に離隔されかつほぼ平行に配置される。
【0047】
環状バッフルは、前記プレートのほぼ中央に位置する開口を備える、ほぼ平坦なプレートであることが可能である。開口は、管状容器内の材料の流れに相当量の不安定性を与えるように適合化されてもよい。
【0048】
本装置は、材料が通って流れてもよい流路を有する。液体を供給するポンプ等の流量制御手段は、管状容器内の材料へ一方向の直線運動を与えるように構成または適合化される。ポンプは、第1及び第2の相の均一な混合及び効率的な分散が生成されかつ維持されるように十分な流量で材料の流れを維持すべく構成される。与えられる一方向の直線運動は、非振動運動であってもよい。
【0049】
流路は、1本の真っ直ぐな管形状で形成されてもよく、または代替実施形態では、流路を小型容積内に収容するように少なくとも部分的に曲がった管状コンポーネントで形成されてもよい。従って、ある型式において、流路は、例えば複数の平行する並列チューブを収容するためのUコネクタ、またはほぼS字形の形状をもたらすCコネクタである方向変更用コネクタを使用するバッフル管のアセンブリを備えてもよく、流路はより小型に形成され、よって前記複数の管は、交互に分岐するV形及び収束する∧形の配置で構成されるアームを形成する。
【0050】
上述のプロセスは、ばらつきなく混合される材料を生成しかつ維持させるための連続的、半連続的またはフェドバッチ式混合プロセスとして使用されることが可能であり、前記材料は少なくとも第1の相と第2の相とを含む。本プロセスは、第1及び第2の相の少なくとも一方を管状容器へ供給することと、先に述べた複数の環状バッフルを使用して、管状容器内で材料の均一な混合及び効率的な分散を開始しかつ維持させることを含む。
【0051】
また本プロセスは、ポンプ等の流量制御手段を使用して、管状容器内の材料に一方向の直線運動を与えることも含む。一方向の直線運動は、第1及び第2の相の均一な混合及び効率的な分散が生成されかつ維持されるように材料の流れを十分な流量で維持させるポンプを使用して与えられる。一方向の直線運動は、非振動運動である。
【0052】
上述のプロセスは、管状容器内の材料に500より大きいレイノルズ数を与える流量を適用することを含み、管状容器内の材料の流れは層流である。
【0053】
本明細書に記載しているプロセスは、ばらつきなく混合された多糖混合物を連続的、半連続的またはフェドバッチ式に生成するために使用されることが可能である。このようなプロセスは、溶媒を管状容器へ供給しかつ多糖類を管状容器へ供給することと、複数の環状バッフルを使用して、管状容器内で多糖類と溶媒との均一な混合及び効率的な分散を開始しかつ維持させることを含む。
【0054】
また本プロセスは、ポンプまたは他の流量制御手段を使用して管状容器内の多糖類及び溶媒に一方向の直線運動を与えることも含み、多糖類及び溶媒の流れは、ばらつきなく混合されかつ効率的に分散される多糖類沈殿物を生成しかつ維持させる十分な流量で維持される。
【0055】
本発明による装置及びプロセスは、先行技術を凌ぐ多くの優位点を実証している。例えば、振動を使用することなく効率的な混合を達成することにより本プロセスは単純化され、かつ本装置及び関連プラントの設計に関する複雑さがほとんどなくなる。具体的には、本発明による装置は発振装置よりも必要な部品が少なく、密封システムへの振動付加に関連する多大な技術的課題が軽減される。
【0056】
他の先行技術装置は、静的ミキサーインサートを組み込む管型、ループ型またはパイプ型反応器を含む。しかしながら、本発明によるバッフルは、先行技術装置に比べて流量が低減した乱流ひいては混合の生成に役立つ。重要な点として、本発明による管状バッフルシステムは、静的ミキサーインサートを使用する先行技術とは対照的に、固体を含むプロセスにおいて優れている。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明による装置及びプロセスは、液体内での良好な固体懸濁、ばらつきがなくかつ効果的な液体分散及び効果的な質量移動を含む分散ガスの効果的な運搬をもたらす。良好な粒子懸濁はプロセスの最後に測定される粒子のサイズ分布のばらつきのなさによって実証され、液体内の液体のばらつきがなくかつ効果的な分散は液滴サイズのばらつきのなさによって示される。
【0058】
このような種の運搬は、構成要素に対する振動運動の使用なしに達成されたことがない。
【0059】
本明細書中には、請求の範囲により規定される本発明の範囲を逸脱することなく改良及び修正が包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばらつきなく混合された材料を生成しかつ維持するための連続的、半連続的またはフェドバッチ式混合装置であって、前記材料は少なくとも第1の相と第2の相とを含み、本装置は、
管状容器(1)と、
前記管状容器へ機能的に連接される、前記第1及び第2の相の少なくとも一方を供給する少なくとも1つの供給手段(8)と、
前記管状容器内で前記材料の均一な混合及び効率的な分散を開始しかつ維持するように構成される複数の環状バッフル(4)であって、前記管状容器の側面から内側へ放射状に延設されるようにほぼ等間隔に離隔されかつほぼ平行に配置される環状バッフルと、
前記管状容器内の前記材料へ一方向の直線運動を与えるように構成される流量制御手段(9、10)と、
を備え、
前記流量制御手段は、前記第1及び第2の相の均一な混合及び効率的な分散が生成されかつ維持するように十分な流量で前記材料の流れを維持すべく構成される装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の相の少なくとも一方を前記管状容器へ供給する第2の供給手段(6)をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記環状バッフル間の距離は1dから2dまでの範囲であり、dは前記管状容器の直径である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記環状バッフルは、プレートのほぼ中央に位置する開口を備えるほぼ平坦なプレートである、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記開口は、前記材料の流れに相当量の不安定性を与えるように適合化される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記管状容器はさらに、前記管状容器内の圧力を変えるための圧力変化手段を備える、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記圧力変化手段は、真空から300バールまでの範囲で圧力を変えてもよい、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
他の相または種を前記管状容器内へ導入するために少なくとも1つの点検口が設けられる、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記流量制御手段は、一方向の直線運動を前記管状容器内の前記材料に与えるように構成されるポンプ(9)を備える、請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記一方向の直線運動は非振動運動である、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記流量制御手段は、500を超えるレイノルズ数を前記管状容器内の前記材料へ与える流量をもたらすように構成される、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記管状容器内の前記材料の流れは層流である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ばらつきなく混合された材料を生成しかつ維持させるための連続的、半連続的またはフェドバッチ式混合プロセスであって、前記材料は少なくとも第1の相と第2の相とを含み、前記プロセスは、
前記第1及び第2の相の少なくとも一方を管状容器へ供給する供給装置を設けるステップと、
複数の環状バッフルを使用することによって、前記管状容器内の前記材料の均一な混合及び効率的な分散を開始しかつ維持させるステップであって、前記環状バッフルはほぼ等間隔で離隔され、かつ前記管状容器の側面から放射状に内側へ延設されるようにほぼ平行に配置されるステップと、
流量制御手段を使用して、前記管状容器内の前記材料へ一方向の直線運動を与えるステップと、
を含み、
前記一方向の直線運動は、前記流量制御手段を使用して、前記材料の流れを前記第1及び第2の相の均一な混合及び効率的な分散が生成されかつ維持するように十分な流量で維持するべく与えられるプロセス。
【請求項14】
前記プロセスはさらに、前記第1及び第2の相のうちの少なくとも一方を前記管状容器へ供給する第2の供給手段を設けることを含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記プロセスはさらに、前記管状容器内の圧力を変化させることを含む、請求項13または14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記プロセスはさらに、真空から300バールまでの範囲で圧力を変えることを含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記プロセスはさらに、少なくとも1つの点検口を介して前記管状容器内へさらなる相または種を供給することを含む、請求項13から16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記一方向の直線運動は非振動運動である、請求項13から17に記載のプロセス。
【請求項19】
500を超えるレイノルズ数を前記管状容器内の前記材料へ与える流量は前記流量制御手段によって与えられる、請求項13から18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記管状容器内の前記材料の流れは層流である、請求項13から19に記載のプロセス。
【請求項21】
ばらつきなく混合された多糖混合物を生成しかつ維持させるための連続的、半連続的またはフェドバッチ式混合プロセスであって、
溶媒を管状容器へ供給する供給装置と、多糖類を管状容器へ供給する第2の供給装置とを設けるステップと、
複数の環状バッフルを使用することによって、前記管状容器内の前記多糖類及び溶媒の均一な混合及び効率的な分散を開始しかつ維持させるステップであって、前記環状バッフルはほぼ等間隔で離隔され、かつ前記管状容器の側面から放射状に内側へ延設されるようにほぼ平行に配置される、ステップと、
流量制御手段を使用して、前記管状容器内の前記多糖類及び溶媒へ一方向の直線運動を与えるステップと
を含み、
前記一方向の直線運動は、前記流量制御手段を使用して、前記多糖類及び溶媒の流れを、均一に混合されかつ効率的に分散される多糖沈殿物が生成されかつ維持するに足る流量で維持させるように与えられるプロセス。

【図1】
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【公表番号】特表2009−544465(P2009−544465A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521333(P2009−521333)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/GB2007/002808
【国際公開番号】WO2008/012520
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(509015545)ニテック ソリューションズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】