説明

混合酸無水物の製造方法

【課題】工業的に容易簡便であり経済的に有利な混合酸無水物を製造する方法を開発する。
【解決手段】
式(1)


【0001】
(式中、R1は、水素原子、置換もしくは無置換の、アルキル、アリール基等を表わす。)
で示されるカルボン酸化合物と、式(2)


(式中、Xは、ハロゲン原子を表わし、Yは、炭素原子または硫黄原子を表し、n=1または2を表し、R2は、−ORで示される基を表わし、
2およびRは、置換もしくは無置換の、アルキル、またはアリール基等を表わす。)
で示される酸ハライド化合物とを有機塩基および不活性有機溶媒の存在下、反応系に持ち込まれる水分の全量を式(1)で示されるカルボン酸化合物1モルに対して0.03モル〜2モルの範囲として、反応させることを特徴とする、式(3)


【0002】
(式中、R1、R2、Y、およびnは、上記のとおり。)
で示される混合酸無水物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合酸無水物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボン酸誘導体の混合酸無水物は、例えば医薬中間体等として有用な化合物である(例えば特許文献1参照)。かかる混合酸無水物の製造においては、通常、水分の影響によって収率が低下することが知られている(例えば非特許文献1参照)。このため、無水溶媒の使用や製造設備の充分な乾燥など、水分を可能な限り少なく管理することが必要とされていた(例えば特許文献1、非特許文献1および非特許文献2参照)。かかる無水溶媒の入手は経済的に不利であり、また脱水溶媒の調製や製造設備の過剰な乾燥は煩雑であるため、より簡便かつ経済的に有利に混合酸無水物を製造する方法の開発が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特開2002−53543号公報
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 74, 676(1952).
【非特許文献2】『ペプチド合成(合成化学シリーズ)』、126−130頁(1980年発行、丸善株式会社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工業的に容易簡便であり経済的に有利な混合酸無水物を製造する方法を開発する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、式(1)

【0006】
(式中、R1は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、
置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、
置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または
置換もしくは無置換のヘテロ環基を表わす。)
で示されるカルボン酸化合物と、式(2)

(式中、Xは、ハロゲン原子を表わし、
Yが炭素原子の場合には、n=1であり、R2は、−ORで示される基を表わし、
は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の低級アルケニル基、置換もしくは無置換の低級アルキニル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表わし、
Yが硫黄原子の場合には、n=2であり、
2は、置換もしくは無置換の低級アルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)
で示される酸ハライド化合物とを有機塩基および不活性有機溶媒の存在下、反応系に持ち込まれる水分の全量を式(1)で示されるカルボン酸化合物1モルに対して0.03モル〜2モルの範囲として、反応させることを特徴とする、式(3)

【0007】
(式中、R1、R2、Y、およびnは、上記と同一の意味を表わす。)
で示される混合酸無水物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、医薬中間体等として有用な混合酸無水物を、無水溶媒の使用や製造設備の過剰な乾燥を必須とすることなく、簡便かつ経済的に有利に製造することができる。さらには、得られた混合酸無水物の安定性も改善されるため、スケールアップによって長時間を要する場合でも、収率良く混合酸無水物を製造し、これを使用することができるため、工業的に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
式(1)で示されるカルボン酸化合物(以下、カルボン酸化合物(1)と略記する)のR1について以下説明する。
【0010】
1で表される無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、等の直鎖もしくは分岐の炭素数1〜8のアルキル基などが例示される。
【0011】
1で表される無置換のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基などが例示される。
【0012】
1で表される無置換のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、シクロヘキセニル基等の直鎖、分岐、もしくは環状の炭素数2〜6のアルケニル基が例示される。
1で表される無置換のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の直鎖もしくは分岐した炭素数2〜5のアルキニル基が例示される。
1で表される置換アルキル基、置換シクロアルキル基、置換アルケニル基および置換アルキニル基の置換基としては、下記a)、b)、c)およびd)から成るA群から選ばれる少なくともひとつの置換基が例示される。
A群:a)オキソ基、メチルメルカプト基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、
b)保護されていてもよい水酸基、保護されたメルカプト基、保護されたカルボキシル基、保護されたアミノ基、保護されたグアニジノ基、
c)アルコキシ基、アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基)、もしくはヘテロ環基、および
d)下記B群の置換基で置換された上記c)の置換基。
【0013】
1で表される無置換のアリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基が例示される。
1で表される無置換のヘテロ環基としては、例えばピロール、イミダゾール、ピリジン、インドール、フラン、チオフェン、1,3−オキサゾール、1,3−チアゾール等の芳香族ヘテロ環の一価基、2,5−ジヒドロ−1H−ピロール、クロマン、インドリン、2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン、5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−b]ピリジン、10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン等の不飽和ヘテロ環の一価基、テトラヒドロフラン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等の飽和ヘテロ環の一価基が例示される。但し、かかる不飽和ヘテロ環および飽和ヘテロ環に含まれる窒素原子上の水素原子は、保護基やアルキル基で置換されている。
かかる窒素原子上の置換基としては、例えばメチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等のアルキル基、
アリル基等のアルケニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、
ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基、
ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基、
ベンジル基、1−フェニルエチル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等のアラルキル基、
ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、
メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のスルホニル基等が例示される。
1で表される置換アリール基および置換ヘテロ環基としては、下記1)、2)および3)からなるB群から選ばれる少なくともひとつの置換基で置換されたアリール基もしくはへテロ環基が例示される。
B群:1)オキソ基、メチルメルカプト基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、シクロアルキル基、低級アルコキシ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、保護されていてもよい水酸基、保護されたメルカプト基、保護されたカルボキシル基、保護されたアミノ基および保護されたグアニジノ、
2)オキソ基、メチルメルカプト基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、保護されていてもよい水酸基、保護されたメルカプト基、保護されたカルボキシル基、保護されたアミノ基、保護されたグアニジノ基等の置換基から選ばれる置換基によって置換された、低級アルキル基、低級アルケニル基、シクロアルキル基もしくは低級アルコキシ基、および
3)オキソ基、メチルメルカプト基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、シクロアルキル基、低級アルコキシ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、保護されていてもよい水酸基、保護されたメルカプト基、保護されたカルボキシル基、保護されたアミノ基、保護されたグアニジノ基等の置換基から選ばれる置換基によって置換された、アリール基もしくはヘテロ環基。
【0014】
B群の置換基について以下説明する。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等が例示される。
低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が例示される。
低級アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等の炭素数5以下のアルケニル基が例示される。
シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの環状の炭素数3〜8のアルキル基が例示される。
低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基が例示される。
アシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等が例示される。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基等が例示される。
ヘテロ環基としては、例えばピロール、イミダゾール、ピリジン、インドール、フラン、チオフェン、1,3−オキサゾール、1,3−チアゾール等の芳香族ヘテロ環の一価基、2,5−ジヒドロピロール、クロマン、インドリン、2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン、5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−b]ピリジン、10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン等の不飽和ヘテロ環の一価基、テトラヒドロフラン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等の飽和ヘテロ環の一価基が例示される。かかる不飽和ヘテロ環および飽和ヘテロ環が窒素原子を含む場合には、窒素原子上の水素原子が置換されたものを表す。
かかる窒素原子上の置換基としては、例えばメチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等のアルキル基、アリル基等のアルケニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等のアラルキル基、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のスルホニル基等が例示される。
【0015】
水酸基の保護基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、
メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基等のアセタール型保護基、
ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、エトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アリル基等のアルケニル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等のアラルキル基等が例示される。
メルカプト基の保護基としては、例えばアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等のアラルキル基等が例示される。
カルボキシル基の保護基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基等のアルケニル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基等のアラルキル基等が例示される。
【0016】
アミノ基の保護基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基、
ベンジル基、1−フェニルエチル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等のアラルキル基、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、
メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のスルホニル基等が例示される。
【0017】
グアニジノ基の保護基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、 ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基、
ベンジル基、1−フェニルエチル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等のアラルキル基、
ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、
メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のスルホニル基等が例示される。
【0018】
本発明の方法において好適に用いられるカルボン酸化合物としては、保護されたアミノ酸、およびR1が置換もしくは無置換のアリール基で置換されたアルキル基である化合物などが挙げられ、特に好ましくはR1が、ハロゲン置換のアリール基(例えば、ハロフェニル、ハロナフチルもしくはハロビフェニリル基等のハロアリール基)で置換されたアルキル基である化合物などが挙げられる。
保護されたアミノ酸としては、例えばグリシン、フェニルグリシン、アラニン、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、メチオニン、トリプトファン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、リジン、オルニチン、ヒスチジン、アゼチジンカルボン酸、ピペコリン酸、2,2−ジメチルグリシン等のα−アミノ酸、β−アラニン、ホモピペコリン酸等のβ−アミノ酸などが挙げられ、かかるアミノ酸のアミノ基は、保護基によって保護されている。
かかるアミノ酸のアミノ基の保護基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等のアラルキル基、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のスルホニル基等が例示される。
かかる保護されたアミノ酸は、市販されているか、または、文献記載の方法で合成することができる。また、保護基の導入、脱保護は、『Protective Groups in Organic Synthesis, Second Edition』(1991年発行、John Wiley & Sons, New York)に詳細に記載されている。
【0019】
かかるカルボン酸化合物(1)としては、例えばギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、2−メチルプロパン酸、ペンタン酸、3−メチルブタン酸、2−メチルブタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、アクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、メタクリル酸、2−ペンテン酸、3−メチル−2−ブテン酸、2−ヘキセン酸、3−ヘキセン酸、4−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸、プロピオル酸、2−ブチン酸、3−ブチン酸、2−ペンチン酸、3−ペンチン酸、4−ペンチン酸、2−ヘキシン酸、3−ヘキシン酸、4−ヘキシン酸、5−ヘキシン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、2−オキソフェニル酢酸、安息香酸、2−ビフェニルカルボン酸、3−ビフェニルカルボン酸、4−ビフェニルカルボン酸、1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、4−イミダゾールカルボン酸、2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸、2−インドールカルボン酸、3−インドールカルボン酸、2−フランカルボン酸、2−チオフェンカルボン酸、2,5−ジヒドロ−1−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸、1−ベンゼンスルホニルインドリン−2−カルボン酸、テトラヒドロフラン−2−カルボン酸、N−(tert−ブトキシカルボニル)−2−アゼチジンカルボン酸、N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−アゼチジンカルボン酸、N−(tert−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンカルボン酸、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−2−ピロリジンカルボン酸、N−ベンジルオキシカルボニル−2−ピロリジンカルボン酸、N−ベンジルオキシカルボニル−4−ヒドロキシ−2−ピロリジンカルボン酸、N−(tert−ブトキシカルボニル)−2−ピペリジンカルボン酸、
【0020】
フェニル酢酸、4−ビフェニル酢酸、2−ピリジル酢酸、2−ヒドロキシ−2−(3−ピリジル)酢酸、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−酢酸、3−[1−[tert−ブチルジメチルシリルオキシ]エチル]−α2−メチル−4−オキソ−1,2−アゼチジン二酢酸α1−(tert−ブチル)エステル、2−(4−イソブチルフェニル)プロパン酸、2−(3−ベンゾイルフェニル)プロパン酸、2−[4−[(2−オキソシクロペンチル)メチル]フェニル]プロパン酸、2−(4−ビフェニル)プロパン酸、2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロパン酸、10,11−ジヒドロ−α−メチル−10−オキソ−ジベンゾ[b,f]チエピン−2−酢酸、α−メチル−5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−b]ピリジン−7−酢酸、2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブタン酸、桂皮酸、trans−3−(3−ピリジル)アクリル酸、5−クロロ−2−[(1E)−3−[2−(4−メトキシベンゾイル)−4−メチルピロール−1−イル]プロペン−1−イル]安息香酸、
【0021】
N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)グリシン、N−ベンジルオキシカルボニルグリシン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルグリシン、N−ベンゾイル−L−4−ヒドロキシフェニルグリシン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,2−ジメチルグリシン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−アラニン、N−ベンジルオキシカルボニル−L−アラニン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−フェニルアラニン、N−ベンジルオキシカルボニル−L−フェニルアラニン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ナフチルアラニン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−セリン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−O−ベンジル−L−セリン、N−ベンジルオキシカルボニル−L−セリン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−S−ベンジル−L−システイン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−チロシン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−トリプトファン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−トリプトファン、N−ベンジルオキシカルボニル−L−トリプトファン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アスパラギン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−アスパラギン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アスパラギン酸β−ベンジルエステル、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−アスパラギン酸β−(tert−ブチル)エステル、1−ベンジル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ヒスチジン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−1−トリチル−L−ヒスチジン、
【0022】
N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−トレオニン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−O−ベンジル−L−トレオニン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−メチオニン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−メチオニン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−グルタミン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−グルタミン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−グルタミン酸γ−ベンジルエステル、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−グルタミン酸γ−(tert−ブチル)エステル、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−バリン、N−ベンジルオキシカルボニル−L−バリン、Nα−(tert−ブトキシカルボニル)−Nδ−ベンジルオキシカルボニル−L−オルニチン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ロイシン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−ロイシン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−イソロイシン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−イソロイシン、N−ベンジルオキシカルボニル−L−イソロイシン、Nα−(tert−ブトキシカルボニル)−Nε−ベンジルオキシカルボニル−L−リシン、Nα−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−Nε−(tert−ブトキシカルボニル)−L−リシン、Nα−(tert−ブトキシカルボニル)−Nε−(p−トルエンスルホニル)−L−リシン等が例示される。
【0023】
かかるカルボン酸化合物(1)が不斉炭素原子を有する場合には、光学異性体が存在するが、本発明のカルボン酸化合物(1)は、光学活性体であってもよいし、ラセミ体であってもよい。
【0024】
式(2)で示される酸ハライド化合物(以下、酸ハライド化合物(2)と略記する)の式中、Xはハロゲン原子を表わす。かかるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等が例示される。
【0025】
式(2)において、Rで表される置換もしくは無置換のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜8のアルキル基が例示される。
で表される、置換もしくは無置換の低級アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等の炭素数5以下のアルケニル基が例示される。
で表される置換もしくは無置換の低級アルキニル基としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の炭素数5以下のアルキニル基が例示される。
で表される置換もしくは無置換のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの環状の炭素数3〜8のアルキル基が例示される。
置換もしくは無置換のアリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基等が例示される。
【0026】
で表わされる置換アルキル基、置換低級アルケニル基、置換低級アルキニル基、置換シクロアルキル基、または置換アリール基上の置換基としては、例えばニトロ基、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基が例示され、
この他に、ニトロ基、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基もしくはアリール基等の置換基によって置換された、低級アルキル基、低級アルコキシ基もしくはアリール基が例示される。
ここでハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等が例示される。
低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が例示される。
低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基が例示される。
アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基等が例示される。
としては、アルキル基がこのましく、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、さらに好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0027】
また、酸ハライド化合物(2)において、R2で表わされる、低級アルキル基、またはアリール基上の置換基としては、例えばハロゲン原子、低級アルキル基等が例示される。ここでハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等が例示される。低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が例示される。
【0028】
かかる酸ハライド化合物(2)としては、例えばクロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸プロピル、クロロ炭酸イソプロピル、クロロ炭酸ブチル、クロロ炭酸イソブチル、クロロ炭酸sec−ブチル、クロロ炭酸ペンチル、クロロ炭酸2,2,−ジメチルプロピル、クロロ炭酸ヘキシル、クロロ炭酸ヘプチル、クロロ炭酸オクチル、クロロ炭酸2−エチルヘキシル、クロロ炭酸クロロメチル、クロロ炭酸ベンジル、クロロ炭酸2−クロロベンジル、クロロ炭酸4−ニトロベンジル、クロロ炭酸2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル、クロロ炭酸1−クロロエチル、クロロ炭酸2−フルオロエチル、クロロ炭酸2−クロロエチル、クロロ炭酸2−ブロモエチル、クロロ炭酸2−メトキシエチル、クロロ炭酸2−エトキシエチル、クロロ炭酸2,2,2−トリクロロエチル、クロロ炭酸2−ベンジルオキシエチル、クロロ炭酸3−クロロプロピル、クロロ炭酸4−クロロブチル、クロロ炭酸3−メトキシブチル、クロロ炭酸ビニル、クロロ炭酸アリル、クロロ炭酸イソプロペニル、クロロ炭酸3−ブテニル、クロロ炭酸プロパルギル、クロロ炭酸2−ブチン−1−イル、クロロ炭酸3−ブチン−1−イル、クロロ炭酸シクロペンチル、クロロ炭酸シクロヘキシル、クロロ炭酸メンチル、クロロ炭酸フェニル、クロロ炭酸4−フルオロフェニル、クロロ炭酸2−クロロフェニル、クロロ炭酸4−クロロフェニル、クロロ炭酸4−ブロモフェニル、クロロ炭酸4−ニトロフェニル、クロロ炭酸3−メチルフェニル、クロロ炭酸3−トリフルオロメチルフェニル、クロロ炭酸4−メチルフェニル、クロロ炭酸3,4−ジメチルフェニル、クロロ炭酸3,5−ジメチルフェニル、クロロ炭酸2−メトキシフェニル、クロロ炭酸4−メトキシフェニル、クロロ炭酸1−ナフチル、クロロ炭酸2−ナフチル等のハロ炭酸エステル類、
【0029】
例えば塩化メタンスルホニル、塩化トリフルオロメタンスルホニル、塩化エタンスルホニル、塩化2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化p−トルエンスルホニル、塩化2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニル、塩化2,4,5−トリクロロベンゼンスルホニル、塩化ビフェニル−2−スルホニル、塩化ナフタレン−1−スルホニル、塩化ナフタレン−2−スルホニル等のスルホン酸ハライド類が挙げられ、好ましくはハロ炭酸エステル類が例示される。
【0030】
かかる酸ハライド化合物(2)の使用量は、カルボン酸化合物(1)1モルに対して、通常0.5〜5モル、好ましくは0.8〜3モル、特に好ましくは0.9〜1.2モルである。
【0031】
反応は、有機塩基の存在下に実施される。かかる有機塩基としては、例えばトリメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジメチル−n−プロピルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルフェニルアミン、ジエチルメチルアミン、ジ−n−プロピルメチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、キヌクリジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N'−ジメチルピペラジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、N−メチルイミダゾール等の第三級の有機塩基が例示される。かかる有機塩基は2種類以上を混合して用いてもよく、好ましくはN−メチルモルホリンが用いられる。かかる有機塩基の使用量は、カルボン酸化合物(1)1モルに対して、通常0.5〜5モル、好ましくは0.8〜3モル、特に好ましくは0.9〜1.2モルである。
【0032】
反応は、不活性有機溶媒の存在下に実施される。かかる溶媒としては、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、例えばアセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、例えばアセトニトリル等のニトリル系溶媒等の単独または混合溶媒が挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒およびこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランが用いられる。かかる溶媒の使用量は、カルボン酸化合物(1)1重量部に対して、通常0.5重量部以上、好ましくは2重量部以上であり、その上限は特にないが、あまり多すぎると容積効率が悪くなるため、実用的には30重量部以下である。
【0033】
本発明は、有機塩基および不活性有機溶媒の存在下、反応系に持ち込まれる水分の全量を式(1)で示されるカルボン酸化合物1モルに対して0.03モル〜2モルの範囲として、カルボン酸化合物(1)と酸ハライド化合物(2)とを反応させるものである。水分をこの範囲に保つことによって目的とする混合酸無水物を収率よく得ることができる。
【0034】
反応に用いる試剤、すなわちカルボン酸化合物(1)、酸ハライド化合物(2)、有機塩基、および溶媒に水分が含まれている場合には、これら試剤に含まれている水分の合計量を計算し、該合計量が、カルボン酸化合物(1)1モルに対して、0.03〜2モルの範囲にない場合には、例えば水分を添加する、例えば共沸脱水等により水分を除去する等の操作により、水分量が上記範囲内になるよう調整し、反応を行なえばよい。本発明に使用するカルボン酸化合物(1)、有機塩基などが水和物を構成している場合には、該水和物を構成する水和水も水分として計算すればよい。反応に用いる各試剤に含まれる水分としては通常カールフィッシャー法等により測定されたものが用いられる。
【0035】
反応は、通常カルボン酸化合物(1)、酸ハライド化合物(2)、有機塩基および溶媒を混合することにより実施され、例えばカルボン酸化合物(1)、酸ハライド化合物(2)および溶媒を混合したのち有機塩基を加えてもよいし、例えばカルボン酸化合物(1)、有機塩基および溶媒を混合したのち酸ハライド化合物(2)を加えてもよいし、例えばカルボン酸化合物(1)、有機塩基および溶媒を混合したものを、酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物に加えてもよいし、例えば、酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物に、カルボン酸化合物(1)および溶媒の混合物と、有機塩基および溶媒の混合物とを、別々に同時に滴下してもよい。好ましくは、カルボン酸化合物(1)、有機塩基および溶媒を混合したものを、酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物に加える方法、および、酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物に、カルボン酸化合物(1)および溶媒の混合物と、有機塩基および溶媒の混合物とを、別々に同時に滴下する方法が用いられ、特に好ましくは、カルボン酸化合物(1)、有機塩基および溶媒を混合したものを、酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物に加える方法が用いられる。
【0036】
水分量がカルボン酸化合物(1)1モルに対して0.03〜2モルの範囲になるように、水分を添加する場合には、例えばカルボン酸化合物(1)、有機塩基、および溶媒を混合したものに必要量の水を添加したのち、該混合液を酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物中に加えてもよいし、酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物に水を添加したのち、カルボン酸化合物(1)、有機塩基、および溶媒を混合したものを該混合物に加えてもよい。
【0037】
水分量がカルボン酸化合物(1)1モルに対して0.03〜2モルの範囲になるように、水分を除去する場合には、例えばカルボン酸化合物(1)、有機塩基、および溶媒を混合したものを濃縮して過剰分の水分を除去したのち、該混合液を酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物に加えてもよいし、例えば酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物を濃縮して過剰分の水分を除去したのち、カルボン酸化合物(1)、有機塩基、および溶媒を混合したものを該混合物に加えてもよい。また、例えばカルボン酸化合物(1)、有機塩基、および溶媒を混合したものを乾燥剤で処理したのち乾燥剤を濾別し、得られた濾液を酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物に加えてもよいし、例えば酸ハライド化合物(2)および溶媒の混合物を乾燥剤で処理したのち乾燥剤を濾別し、得られた濾液にカルボン酸化合物(1)、有機塩基、および溶媒を混合したものを加えてもよい。かかる乾燥剤としては、モレキュラーシーブ、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等が使用される。本発明の方法によれば、式(1)で示されるカルボン酸化合物1モルに対して0.03モル〜2モルの水の存在下に、式(1)のカルボン酸化合物と式(2)の酸ハライド化合物を反応させることができる。
【0038】
反応温度は、通常−30〜40℃、好ましくは−15〜25℃である。
【0039】
反応終了後、例えば反応液を濾過して使用した有機塩基の酸付加塩を濾別し、得られた濾液を濃縮することにより、式(3)の混合酸無水物(以下、混合酸無水物(3)と略記する)を取り出すことができる。取り出した混合酸無水物(3)は、例えばカラムクロマトグラフィ、再結晶等の通常の精製手段により、さらに精製してもよい。また、混合酸無水物(3)を取り出すことなく、前記反応液や前記濾液をそのままもしくは一部濃縮処理して、例えばアミド化反応などの所望の反応に使用してもよい。好ましくは、混合酸無水物(3)を取り出すことなく、前記反応液や前記濾液をそのまま次反応に使用する方法が用いられる。
【0040】
かくして得られる混合酸無水物(3)としては、例えばアセチルイソブチルカーボナート、3−ブチノイルイソブチルカーボナート、シクロヘキサンカルボニルsec−ブチルカーボナート、2−オキソフェニルアセチルイソブチルカーボナート、ベンゾイルイソブチルカーボナート、ニコチノイルイソブチルカーボナート、2,5−ジヒドロ−1−メチル−1H−ピロール−3−カルボニルエチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−2−アゼチジンカルボニルイソブチルカーボナート、N−ベンジルオキシカルボニル−4−ヒドロキシ−2−ピロリジンカルボニルエチルカーボナート、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−アセチルイソブチルカーボナート、2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソプロピルカーボナート、2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナート、2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルsec−ブチルカーボナート、ベンジル2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルカーボナート、アリル2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルカーボナート、2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルフェニルカーボナート、シンナモイルイソブチルカーボナート、5−クロロ−2−[(1E)−3−[2−(4−メトキシベンゾイル)−4−メチルピロール−1−イル]プロペン−1−イル]ベンゾイルイソプロピルカーボナート、ベンゼンスルホン酸2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物、2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸p−トルエンスルホン酸無水物、
【0041】
N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシルsec−ブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルグリシルイソブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニルイソブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニルエチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ナフチルアラニルイソブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニルsec−ブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−O−ベンジル−L−セリルイソブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−S−ベンジル−L−システイニルイソブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシルsec−ブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−トリプトフィルイソブチルカーボナート、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−1−トリチル−L−ヒスチジルイソブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−トレオニルイソブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−メチオニルsec−ブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−グルタミルイソブチルカーボナート、N−ベンジルオキシカルボニル−L−バリルイソブチルカーボナート、Nα−(tert−ブトキシカルボニル)−Nδ−ベンジルオキシカルボニル−L−オルニチルイソブチルカーボナート、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ロイシルsec−ブチルカーボナート、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−イソロイシルイソブチルカーボナート、Nα−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−Nε−(tert−ブトキシカルボニル)−L−リシルイソブチルカーボナート等が例示される。
【0042】
かかる混合酸無水物(3)が不斉炭素原子を有する場合には、光学異性体が存在するが、本発明の混合酸無水物(3)は光学活性体であってもよいし、ラセミ体であってもよい。カルボン酸化合物(1)の光学活性体を用いた場合には、混合酸無水物(3)の光学活性体が得られ、カルボン酸化合物(1)のラセミ体を用いた場合には、混合酸無水物(3)のラセミ体が得られる。
実施例
【0043】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【実施例1】
【0044】
窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン11.8gに、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸5.00g、およびN−メチルモルホリン2.2gを溶解させた。当該溶液中の水分含量は、169ppmであった。一方、テトラヒドロフラン11.8gにイオン交換水12mgを加えて水分含量を0.11重量%に調整したのち、クロロ炭酸イソブチル3.1gを加えて2℃まで冷却した。この溶液に、先に調製した(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸およびN−メチルモルホリンを含む溶液を2〜3℃で68分かけて滴下した。反応混合物中の水分量は、合計16mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.043モル倍)。この反応液を1〜3℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、96.0%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.05%、0.47%、および3.3%であった。
【0045】
(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートのH−NMRスペクトルデータ(δ/ppm,CDCl3)
7.35−7.56(m,2H),7.35−7.48(m,4H),7.11−7.18(m,2H),4.03(d,2H,J=6.8Hz),3.86(dd,1H,J=7.1,14.2Hz),2.01(m,1H),1.60(d,3H,J=7.2Hz),0.95(d,6H,J=6.8Hz)
【実施例2】
【0046】
イオン交換水23mgを加えて水分含量を0.20重量%に調整する以外は、実施例1と同様に反応を行なった。反応混合物中の水分量は、合計27mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.072モル倍)。この反応液を2℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、96.6%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.04%、0.12%、および3.0%であった。
【実施例3】
【0047】
イオン交換水58mgを加えて水分含量を0.50重量%に調整する以外は、実施例1と同様に反応を行なった。反応混合物中の水分量は、合計62mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.17モル倍)。この反応液を1〜2℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、98.4%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.06%および1.4%であり、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチルは検出されなかった。
【実施例4】
【0048】
イオン交換水117mgを加えて水分含量を1.0重量%に調整する以外は、実施例1と同様に反応を行なった。反応混合物中の水分量は、合計121mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.33モル倍)。この反応液を1〜2℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、96.9%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.05%および2.8%であり、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチルは検出されなかった。
【実施例5】
【0049】
イオン交換水234mgを加えて水分含量を2.0重量%に調整する以外は、実施例1と同様に反応を行なった。反応混合物中の水分量は、合計240mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.65モル倍)。この反応液を1〜2℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、96.3%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.76%および2.8%であり、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチルは検出されなかった。
比較例1
【0050】
窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン11.8gに、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸5.00g、およびN−メチルモルホリン2.2gを溶解させた。当該溶液中の水分含量は、169ppmであった。一方、テトラヒドロフラン11.8gに充分に乾燥させたモレキュラーシーブ4Aを0.5g加えて、テトラヒドロフラン中の水分含量を12ppmとしたのち、クロロ炭酸イソブチル3.1gを加えて2℃まで冷却した。この溶液に、先に調製した(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸およびN−メチルモルホリンを含む溶液を2℃で60分かけて滴下した。反応混合物中の水分量は、合計3mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.009モル倍)。この反応液を1〜2℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、93.0%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.06%、2.0%、および4.1%であった。
比較例2
【0051】
イオン交換水2.9mgを加えて水分含量を0.03重量%に調整する以外は、実施例1と同様に反応を行なった。反応混合物中の水分量は、合計6.8mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.018モル倍)。この反応液を2〜3℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、93.6%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.05%、1.6%、および4.4%であった。
比較例3
【0052】
イオン交換水5.5mgを加えて水分含量を0.05重量%に調整する以外は、実施例1と同様に反応を行なった。反応混合物中の水分量は、合計9.2mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.025モル倍)。この反応液を1〜2℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、93.0%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.05%、1.1%、および5.6%であった。
比較例4
【0053】
イオン交換水1.2gを加えて水分含量を10重量%に調整する以外は、実施例1と同様に反応を行なった。反応混合物中の水分量は、合計1.2gであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、3.2モル倍)。この反応液を1〜2℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、94.2%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々2.0%および3.7%であり、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチルは検出されなかった。
【実施例6】
【0054】
窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン11.8gに、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸5.00g、およびN−メチルモルホリン2.2gを溶解させた。当該溶液中の水分含量は、186ppmであった。一方、テトラヒドロフラン11.8gにイオン交換水23mgを加えて水分含量を0.2重量%に調整したのち、クロロ炭酸アリル2.7gを加えて2℃まで冷却した。この溶液に、先に調製した(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸およびN−メチルモルホリンを含む溶液を2℃で60分かけて滴下した。反応混合物中の水分量は、合計27mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.073モル倍)。この反応液を1〜2℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、アリル(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルカーボナートの面積百分率は、94.6%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸アリル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.06%、0.19%、および4.7%であった。
比較例5
【0055】
窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン11.8gに、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸5.00g、およびN−メチルモルホリン2.2gを溶解させた。当該溶液中の水分含量は、198ppmであった。一方、テトラヒドロフラン11.8gに充分に乾燥させたモレキュラーシーブ4Aを0.5g加えて、テトラヒドロフラン中の水分含量を36ppmとしたのち、クロロ炭酸アリル2.7gを加えて1℃まで冷却した。この溶液に、先に調製した(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸およびN−メチルモルホリンを含む溶液を1〜2℃で58分かけて滴下した。反応混合物中の水分量は、合計4.2mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.011モル倍)。この反応液を1〜2℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、アリル(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルカーボナートの面積百分率は、86.3%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸アリル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.12%、3.1%、および9.4%であった。
【実施例7】
【0056】
クロロ炭酸アリル2.7gの代わりにクロロ炭酸フェニル3.5gを用いる以外は、実施例6と同様に反応を行った。反応混合物中の水分量は、合計25mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.069モル倍)。この反応液を1〜3℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルフェニルカーボナートの面積百分率は、72.1%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸フェニル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々1.1%、8.6%、および17.5%であった。
比較例6
【0057】
クロロ炭酸アリル2.7gの代わりにクロロ炭酸フェニル3.5gを用いる以外は、比較例5と同様に反応を行った。反応混合物中の水分量は、合計4.1mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.011モル倍)。この反応液を2〜4℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルフェニルカーボナートの面積百分率は、41.0%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸フェニル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々1.0%、30.2%、および25.6%であった。
【実施例8】
【0058】
クロロ炭酸アリル2.7gの代わりにクロロ炭酸ベンジル3.8gを用いる以外は、実施例6と同様に反応を行った。反応混合物中の水分量は、合計26mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.070モル倍)。この反応液を1〜3℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、ベンジル(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルカーボナートの面積百分率は、94.3%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸ベンジル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.07%、0.23%、および4.9%であった。
比較例7
【0059】
クロロ炭酸アリル2.7gの代わりにクロロ炭酸ベンジル3.8gを用いる以外は、比較例5と同様に反応を行った。反応混合物中の水分量は、合計3.5mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.010モル倍)。この反応液を1〜3℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、ベンジル(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルカーボナートの面積百分率は、82.2%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸ベンジル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.16%、6.9%、および9.4%であった。
【実施例9】
【0060】
窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン11.8gに、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸5.00g、およびトリエチルアミン2.2gを溶解させた。当該溶液中の水分含量は、117ppmであった。一方、テトラヒドロフラン11.8gにイオン交換水23mgを加えて水分含量を0.2重量%に調整したのち、クロロ炭酸イソブチル3.1gを加えて1℃まで冷却した。この溶液に、先に調製した(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸およびトリエチルアミンを含む溶液を1〜2℃で60分かけて滴下した。反応混合物中の水分量は、合計26mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.070モル倍)。この反応液を1℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、88.9%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.09%、1.8%、および8.4%であった。
比較例8
【0061】
窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン11.8gに、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸5.00g、およびトリエチルアミン2.2gを溶解させた。当該溶液中の水分含量は、228ppmであった。一方、テトラヒドロフラン11.8gに充分に乾燥させたモレキュラーシーブ4Aを0.5g加えて、テトラヒドロフラン中の水分含量を36ppmとしたのち、クロロ炭酸イソブチル3.1gを加えて3℃まで冷却した。この溶液に、先に調製した(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸およびトリエチルアミンを含む溶液を3〜4℃で60分かけて滴下した。反応混合物中の水分量は、合計4.7mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.013モル倍)。この反応液を2〜4℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、83.4%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.10%、5.1%、および10.2%であった。
【実施例10】
【0062】
窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン5.9gに、安息香酸2.50g、およびN−メチルモルホリン2.2gを溶解させた。当該溶液中の水分含量は、279ppmであった。一方、テトラヒドロフラン5.9gにイオン交換水12mgを加えて水分含量を0.19重量%に調整したのち、クロロ炭酸イソブチル3.1gを加えて1℃まで冷却した。この溶液に、先に調製した安息香酸およびN−メチルモルホリンを含む溶液を1〜3℃で60分かけて滴下した。反応混合物中の水分量は、合計14mgであった(安息香酸に対して、0.039モル倍)。この反応液を1〜3℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、ベンゾイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、99.2%であった。安息香酸無水物の面積百分率は、0.66%であり、安息香酸、および安息香酸イソブチルは検出されなかった。
【実施例11】
【0063】
安息香酸2.50gの代わりにニコチン酸2.50gを用いる以外は、実施例10と同様に反応を行った。反応混合物中の水分量は、合計14mgであった(ニコチン酸に対して、0.039モル倍)。この反応液を2〜18℃で3時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、イソブチルニコチノイルカーボナートの面積百分率は、97.9%であった。ニコチン酸無水物の面積百分率は、0.76%であり、ニコチン酸、およびニコチン酸イソブチルは検出されなかった。
【実施例12】
【0064】
窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン11.8gに、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸5.00g、およびN−メチルモルホリン2.1gを溶解させた。当該溶液中の水分含量は、289ppmであった。一方、テトラヒドロフラン11.8gにイオン交換水を加えて水分量を14mg(水分含量0.12重量%)に調整したのち、クロロ炭酸イソブチル3.2gを加えて3℃まで冷却した。この溶液に、先に調製した(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸およびN−メチルモルホリンを含む溶液を3〜5℃で60分かけて滴下した。反応混合物中の水分量は、合計20mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.052モル倍)。この反応液を4〜6℃で6時間保温して、高速液体クロマトグラフィーで分析した。反応混合物中の各成分の面積百分率は、下表に示すとおりであった。なお、表中、混合酸無水物は(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナート、カルボン酸は(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、酸無水物は(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物、エステルは(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチルをそれぞれ意味する。
【0065】
【表1】



比較例9
【0066】
窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン37.7gに、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸16.0g、およびN−メチルモルホリン7.0gを溶解させた。当該溶液中の水分含量は、236ppmであった。一方、テトラヒドロフラン37.7gに充分に乾燥させたモレキュラーシーブ4Aを0.5g加えて、テトラヒドロフラン中の水分含量を57ppmとしたのち、クロロ炭酸イソブチル9.9gを加えて5℃まで冷却した。この溶液に、先に調製した(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸およびN−メチルモルホリンを含む溶液を5〜8℃で57分かけて滴下した。反応混合物中の水分量は、合計16mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.014モル倍)。この反応液を3〜5℃で6時間保温して、高速液体クロマトグラフィーで分析した。なお、表中、混合酸無水物は(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナート、カルボン酸は(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、酸無水物は(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物、エステルは(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチルをそれぞれ意味する。
【0067】
【表2】

【実施例13】
【0068】
窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン23.5gにイオン交換水22mgを加えて水分含量を0.10重量%に調整したのち、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸10.0g(光学純度99.6%ee)、およびN−メチルモルホリン4.3gを溶解させた。一方、テトラヒドロフラン23.5g(水分含量101ppm)にクロロ炭酸イソブチル6.3gを加えて5℃まで冷却した。この溶液に、先に調製した(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸およびN−メチルモルホリンを含む溶液を5〜8℃で30分かけて滴下した。反応混合物中の水分量は、合計32mgであった((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して、0.043モル倍)。この反応液を5〜8℃で1時間保温した後、高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナートの面積百分率は、96.7%であった。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸イソブチル、および(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸無水物の面積百分率は、各々0.04%、0.17%、および3.0%であった。保温後の反応混合物を濾過して不溶物を除去し、濾上物をテトラヒドロフラン10gで2回洗浄し、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナート13.6gを含むテトラヒドロフラン溶液86g得た。
参考例1
【0069】
リチウムアミド2.2gおよびテトラヒドロフラン65gの懸濁液を65−70℃に昇温した後、同温度でシアノ酢酸tert−ブチル13.9gを30分間かけて滴下した。さらに同温度で反応容器の気層部分に窒素を通気して、副生したアンモニアガスを除去したのち、常圧下で濃縮して留出液26gを留去した。この反応液を8℃まで冷却したのち、実施例16で得られた(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルイソブチルカーボナート13.6gを含むテトラヒドロフラン溶液86gを8−9℃で30分かけて滴下し、5〜9℃で1時間10分攪拌した。反応終了後、イオン交換水165gを5〜21℃で30分かけて滴下し、種晶を加えて、同温度で30分攪拌したのち、n−ヘプタン77.0gを30分かけて滴下し、22℃で3時間攪拌した。析出した結晶を濾取、洗浄、乾燥させ、リチウム(3S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−1−シアノ−3−(2−フルオロビフェニル−4−イル)1−ブテン−2−オラート13.5gを得た(光学純度100%ee)。(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸からの通算収率:88%。濾液および洗浄液中には、リチウム(3S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−1−シアノ−3−(2−フルオロビフェニル−4−イル)1−ブテン−2−オラートが合計1.2g含まれていた((2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸からの通算収率:8%)。結晶、濾液および洗浄液に含まれるリチウム(3S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−1−シアノ−3−(2−フルオロビフェニル−4−イル)1−ブテン−2−オラートの収率合計は、(2S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパン酸に対して96%であった。
参考例2
【0070】
参考例1で得られたリチウム(3S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−1−シアノ−3−(2−フルオロビフェニル−4−イル)1−ブテン−2−オラート12.0gおよびN,N−ジメチルホルムアミド72gの混合溶液を、イオン交換水70g、35%塩酸2.1g、塩酸ヒドロキシルアミン6.7gの混合液に注入し、68℃まで昇温した。同温度で6時間5分攪拌したのち、35℃まで冷却した。該混合物に20〜35℃でトルエン60gを加えて抽出・分液し、水層はさらにトルエン60gで抽出した。得られたトルエン層と先に得た有機層とを合一し、5%食塩水60g、水60g、水60gの順に洗浄したのち、有機層を一部濃縮して、5−アミノ−3−[(1S)−1−(2−フルオロビフェニル−4−イル)エチル] イソオキサゾール8.3gを含むトルエン溶液111gを得た。収率:92%。
参考例3
【0071】
リチウムアミド1.3gおよびトルエン32gの懸濁液を75℃に昇温したのち、同温度でtert−ブチルアルコール16gとトルエン2.7gの混合溶液を15分間かけて滴下した。反応容器の気層部分に78℃で窒素を通気して、副生したアンモニアガスを除去したのち、反応液を28℃まで冷却した。該反応液に、参考例2で得られた5−アミノ−3−[(1S)−1−(2−フルオロビフェニル−4−イル)エチル] イソオキサゾール8.0gを含むトルエン溶液107gとN−シアノモルホリン3.2gとの混合液を、28℃で25分かけて滴下し、同温度で7時間保温した。得られた反応混合物に、20〜30℃で、10%食塩水32gを加えて洗浄したのち、有機層に10%食塩水32gおよび10%リン酸二水素ナトリウム水溶液5.5g加えて洗浄、分液した。得られた有機層は、さらに水32gで洗浄したのち、トルエン80gを加えて減圧下で濃縮し、留分39gを留去した。この反応液に2−プロパノール18gを加え、48℃で85%リン酸0.3gと2‐プロパノール1.0gの混合液を加えたのち種晶を加え、さらに同温度で85%リン酸2.5gと2‐プロパノール8.9gの混合液を1時間かけて滴下した。同温度で1時間攪拌したのち、0〜5℃まで冷却し、さらに同温度で1時間攪拌して、析出した結晶を濾取、洗浄、乾燥させ、3−[(1S)−1−(2−フルオロビフェニル−4−イル)エチル]−5−{[アミノ(モルホリン−4−イル)メチレン]アミノ}イソオキサゾール・リン酸塩10.2gを得た。収率:73%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、R1は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、
置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、
置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または
置換もしくは無置換のヘテロ環基を表わす。)
で示されるカルボン酸化合物と、式(2)

(式中、Xは、ハロゲン原子を表わし、
Yが炭素原子の場合には、n=1であり、R2は、−ORで示される基を表わし、
は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の低級アルケニル基、置換もしくは無置換の低級アルキニル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表わし、
Yが硫黄原子の場合には、n=2であり、
2は、置換もしくは無置換の低級アルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)
で示される酸ハライド化合物とを有機塩基および不活性有機溶媒の存在下、反応系に持ち込まれる水分の全量を式(1)で示されるカルボン酸化合物1モルに対して0.03モル〜2モルの範囲として、反応させることを特徴とする、式(3)

(式中、R1、R2、Y、およびnは、上記と同一の意味を表わす。)
で示される混合酸無水物の製造方法。
【請求項2】
式(1)で示されるカルボン酸化合物1モルに対して0.03モル〜2モルの水の存在下に、式(1)のカルボン酸化合物と式(2)の酸ハライド化合物を反応させる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
1が、保護されたアミノ酸の残基、または置換もしくは無置換のアリール基で置換されたアルキル基である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
1が、置換もしくは無置換のアリール基で置換されたアルキル基である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
1が、ハロアリール基で置換されたアルキル基である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項6】
1が、ハロビフェニリル基で置換されたアルキル基である請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
が、アルキル基である請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
が、炭素数1〜8のアルキル基である請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。


【公開番号】特開2007−39345(P2007−39345A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222482(P2005−222482)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】