説明

混練装置

【課題】ロータ部における被混練材料の混合性を向上することが可能な混練装置を提供する。
【解決手段】第1混練スクリュ6と第2混練スクリュ8が、各々の回転軸9と同軸となるように配置され、互いに等しい形状を有するロータ部12(6),12(8)をそれぞれ有し、ロータ部12(6),12(8)は、その軸心に垂直な断面において特定方向が短径となり、その短径方向と直交する方向が長径となる断面形状を有するとともに、その長径方向の外面が当該ロータ部12(6),12(8)が収容された混練室4a,4bを形成するバレル4の内面に近接するように配置され、第1混練スクリュ6のロータ部12(6)と第2混練スクリュ8のロータ部12(8)とは、それらの長径方向が互いに直交するような位相で相対的に配置され、第1混練室4aと第2混練室4bは、互いに異なる内径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂等の被混練材料を混練するための二軸押出し式の混練装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この混練装置は、バレルとそのバレル内に収容された一対の混練スクリュとを備えている。バレルの内部には、バレルの長手方向に延びる一対の混練室が設けられている。両混練室は、略円形断面を有するとともに互いに等しい内径を有するように形成されており、互いに径方向の一部において重なるように繋ぎ合わされている。各混練スクリュは、各混練室にそれぞれ収容されており、そのスクリュが収容された混練室の軸心と一致する回転軸を中心として回転可能となっている。各混練スクリュは、混練室に導入された被混練材料を混練するためのロータ部を有する。
【0003】
ロータ部は、その回転軸に垂直な断面において特定方向が短径となり、その短径方向と直交する方向に長径となる断面形状を有しており、長径方向の外面が当該ロータ部が収容された混練室を形成するバレルの内面に近接するように配置されている。両混練スクリュのロータ部は、互いに等しい形状に形成されており、各々の長径方向が互いに垂直となる位相で相対的に配置されている。そして、この混練装置では、各混練スクリュをそれぞれの軸回りに同方向に回転させることによって、両ロータ部間及びロータ部の長径方向の外面とバレルの内面との間で被混練材料に剪断力が付与され、それによって被混練材料が混練される。
【0004】
また、この混練装置では、各混練スクリュの回転に伴って、被混練材料が両ロータ部の周りを移動する。この際、被混練材料は、一方の混練スクリュのロータ部の短径方向における外面とバレルの内面との間のスペースから両混練スクリュのロータ部間のスペースを経て他方の混練スクリュのロータ部の短径方向における外面とバレルの内面との間のスペースへ移動する。この移動の過程で被混練材料が存在するスペースの形状及び容積が変化し、それによっても被混練材料の混練が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−210731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、上記のような混練装置において、被混練材料の混合性能の向上が求められており、特に混練スクリュのロータ部における被混練材料の混合性のさらなる向上が求められている。
【0007】
この発明は、この課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ロータ部における被混練材料の混合性を向上することが可能な混練装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による混練装置は、略円形断面を有し、互いに平行に延びるとともに、径方向の一部において互いに重なるように繋げられた第1混練室及び第2混練室を内部に有するバレルと、前記第1混練室に収容され、当該第1混練室の軸心と一致する回転軸を中心として回転可能に設けられた第1混練部材と、前記第2混練室に収容され、当該第2混練室の軸心と一致する回転軸を中心として回転可能に設けられた第2混練部材とを備え、前記第1混練部材と前記第2混練部材を各々の回転軸回りに回転させることによって前記両混練室に導入された被混練材料を混練する混練装置であって、前記第1混練部材と前記第2混練部材は、各々の回転軸と同軸となるように配置され、互いに等しい形状を有するロータ部をそれぞれ有し、前記ロータ部は、その軸心に垂直な断面において特定方向が短径となり、その短径方向と直交する方向が長径となる断面形状を有するとともに、その長径方向の外面が当該ロータ部が収容された混練室を形成する前記バレルの内面に近接するように配置され、前記第1混練部材のロータ部と前記第2混練部材のロータ部とは、それらの長径方向が互いに交差するような位相で相対的に配置され、前記第1混練室と前記第2混練室は、互いに異なる内径を有する。
【0009】
従来のように、一対の混練スクリュのロータ部の形状が等しく、かつ、一対の混練室が互いに等しい内径を有するように形成されている場合には、一方のロータ部の短径方向の外面とそのロータ部が収容された一方の混練室を形成するバレルの内面との間のスペースの容積と、他方のロータ部の短径方向の外面とそのロータ部が収容された他方の混練室を形成するバレルの内面との間のスペースの容積とが等しくなる。この場合には、両混練スクリュの回転に伴って被混練材料が両混練スクリュのロータ部の周りを移動しつつ両混練室の間を交互に移動する過程で、被混練材料の存在するスペースの容積が規則的に同じ値に変化することになる。これに対して、本発明の混練装置のように、第1混練部材のロータ部の形状と第2混練部材のロータ部の形状とが等しく、かつ、第1混練室と第2混練室が互いに異なる内径を有する場合には、第1混練部材のロータ部の短径方向の外面と第1混練室を形成するバレルの内面との間のスペースの容積と第2混練部材のロータ部の短径方向の外面と第2混練室を形成するバレルの内面との間のスペースの容積とが異なる。このため、本発明の混練装置では、両混練部材の回転に伴って被混練材料が両混練部材のロータ部の周りを移動しつつ両混練室の間を交互に移動する過程で、被混練材料の存在するスペースの容積の変化の規則性が崩れる。その結果、被混練材料の混合が促進される。従って、本発明の混練装置では、ロータ部における被混練材料の混合性を向上することができる。
【0010】
上記混練装置において、前記第1混練部材のロータ部と前記第2混練部材のロータ部とは、互いに噛み合うように配置されていることが好ましい。なお、この発明において、第1混練部材のロータ部と第2混練部材のロータ部とが互いに噛み合うとは、第1混練部材のロータ部の長径方向の外面の回転領域内に第2混練部材のロータ部の長径方向の外面が入り込んでいる状態のことを意味する。
【0011】
本構成のように両混練部材のロータ部が互いに噛み合うように配置されている場合には、両ロータ部間で強い剪断力を被混練材料に加えることができるため、被混練材料の混合性をより向上することができる。
【0012】
上記混練装置において、前記第1混練部材のロータ部と前記第2混練部材のロータ部とは、それらの長径方向が互いに直交するような位相で相対的に配置されていることが好ましい。
【0013】
また、上記混練装置において、前記バレルは、前記両混練室に被混練材料を導入するための導入口と、その導入口が設けられた位置から前記両混練室の軸方向において離間した位置に配設され、前記両混練室から被混練材料を導出するための導出口とを有し、前記第1混練部材のロータ部と前記第2混練部材のロータ部は、それぞれ収容された混練室において前記導入口と前記導出口との間の領域に配設され、各々の軸回りに回転することによって被混練材料が前記導入口から前記導出口へ向かう方向に搬送されるような軸方向に沿って捩れた形状に形成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、上記したロータ部による被混練材料の混合性の向上効果を得つつ、そのロータ部によって良好に混合された被混練材料を当該ロータ部によりバレルの導入口から導出口側へ向かって搬送することができる。このため、本構成では、被混練材料の混合性を向上可能な二軸押出式の混練装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の混練装置によれば、ロータ部における被混練材料の混合性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態による混練装置のバレルの軸方向に沿った断面図であり、当該混練装置の内部構造を概略的に示す図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による混練装置の第1ロータ部及び第2ロータ部を構成するロータセグメントを示す斜視図である。
【図3】第1実施形態による混練装置を構成するバレル及びロータ部の軸方向に垂直な断面図である。
【図4】図3の状態からロータ部が45°回転した状態を示す図である。
【図5】図3の状態からロータ部が90°回転した状態を示す図である。
【図6】図3の状態からロータ部が135°回転した状態を示す図である。
【図7】図3の状態からロータ部が180°回転した状態を示す図である。
【図8】図3の状態からロータ部が225°回転した状態を示す図である。
【図9】図3の状態からロータ部が270°回転した状態を示す図である。
【図10】図3の状態からロータ部が315°回転した状態を示す図である。
【図11】図3の状態からロータ部が360°回転した状態を示す図である。
【図12】図3の状態からロータ部が405°回転した状態を示す図である。
【図13】図3の状態からロータ部が450°回転した状態を示す図である。
【図14】図3の状態からロータ部が495°回転した状態を示す図である。
【図15】第1実施形態の混練装置においてバレル内の第1混練室と第2混練室の内径が同じである場合と異なる場合とにおける被混練材料の収容スペースの断面積がロータ部の回転に伴ってどのように変化するかを調べたシミュレーションの結果を示す図である。
【図16】バレル内の第1混練室と第2混練室の内径の比率を変えることによって被混練材料中の所定の成分の分散度合いがロータ部の回転に伴ってどのように変化するかを調べたシミュレーションの結果を示す図である。
【図17】第1混練スクリュと第2混練スクリュとを互いに異なる方向に回転させる本発明の第2実施形態の混練装置においてロータ部の回転位相が0°の状態を示すバレル及びロータ部の断面図である。
【図18】図17の状態からロータ部が45°回転した状態を示す図である。
【図19】図17の状態からロータ部が90°回転した状態を示す図である。
【図20】図17の状態からロータ部が135°回転した状態を示す図である。
【図21】図17の状態からロータ部が180°回転した状態を示す図である。
【図22】図17の状態からロータ部が225°回転した状態を示す図である。
【図23】図17の状態からロータ部が270°回転した状態を示す図である。
【図24】図17の状態からロータ部が315°回転した状態を示す図である。
【図25】図17の状態からロータ部が360°回転した状態を示す図である。
【図26】図17の状態からロータ部が405°回転した状態を示す図である。
【図27】図17の状態からロータ部が450°回転した状態を示す図である。
【図28】図17の状態からロータ部が495°回転した状態を示す図である。
【図29】第2実施形態の混練装置においてバレル内の第1混練室と第2混練室の内径が同じである場合と異なる場合とにおける被混練材料の収容スペースの断面積がロータ部の回転に伴ってどのように変化するかを調べたシミュレーションの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
まず、図1〜図3を参照して本発明の第1実施形態による混練装置の構成について説明する。
【0019】
この第1実施形態の混練装置は、第1混練スクリュ6と第2混練スクリュ8を各々の回転軸回りに回転させることによってバレル4内の混練室4a,4bに導入されたゴムや各種樹脂等の被混練材料を下流側へ送りながら混練する二軸押出し式の混練装置である。
【0020】
具体的には、当該第1実施形態の混練装置は、図1に示すように、駆動部2と、バレル4と、第1混練スクリュ6と、第2混練スクリュ8(図2参照)とを備えている。
【0021】
駆動部2は、第1混練スクリュ6と第2混練スクリュ8の基端側に接続されており、各混練スクリュ6,8を各々の軸回りに回転させるものである。この駆動部2は、両混練スクリュ6,8を互いに干渉しないような位相差を保ちながら等しい回転速度で同方向に回転させる。
【0022】
バレル4は、所定の方向に延びており、中空状に形成されている。このバレル4は、当該バレル4の長手方向に延びる第1混練室4aと第2混練室4bを内部に有している。第1混練室4aと第2混練室4bは、図3に示すように略円形断面を有しており、バレル4の幅方向に並んで配置されているとともに互いに平行に延びている。第1混練室4aと第2混練室4bは、径方向の一部において互いに重なるように繋げられている。
【0023】
そして、第1混練室4aと第2混練室4bは、互いに異なる内径を有する。本実施形態では、第2混練室4bの内径が第1混練室4aの内径に比べて僅かに小さくなっている。詳細には、第2混練室4bの内径は、当該第2混練室4bに収容される第2混練スクリュ8の外面に当該第2混練室4bを形成するバレル4の内面が接触しない程度に第1混練室4aの内径よりも小さくなっている。このため、第2混練室4bを形成するバレル4の内面と第2混練スクリュ8の外面との間のクリアランスは、第1混練室4aを形成するバレル4の内面と第1混練スクリュ6の外面との間のクリアランスに比べて小さくなっている。
【0024】
また、バレル4は、図1に示すように、導入口4dと、導出口4eと、開口部4fとを有している。
【0025】
導入口4dは、前記両混練室4a,4bに被混練材料を導入するためのものである。この導入口4dは、バレル4の長手方向の一端部(駆動部2側の端部)の上部に設けられている。
【0026】
導出口4eは、両混練室4a,4bから混練後の被混練材料を導出するためのものである。この導出口4eは、バレル4の長手方向の他端部(駆動部2と反対側の端部)に設けられている。すなわち、導出口4eは、バレル4のうち導入口4dが設けられた位置から両混練室4a,4bの軸方向(バレル4の長手方向)において離間した位置に配設されている。
【0027】
開口部4fは、混練室4a,4bからの脱気や、混練室4a,4b内の状況の観察等を行うためのものであり、バレル4のうち導入口4dと導出口4eの間で混練室4a,4bの軸方向に離間した複数個所に設けられている。
【0028】
また、バレル4は、複数のバレルセグメント4hが連接されることによって構成されている。すなわち、各バレルセグメント4hが混練室4a,4bの軸方向の一部をそれぞれ形成している。
【0029】
第1混練スクリュ6は、バレル4内の第1混練室4aに収容されている。この第1混練スクリュ6は、本発明の第1混練部材の概念に含まれるものである。第1混練スクリュ6は、第1混練室4aの軸心と一致する回転軸を中心として回転可能に設けられている。また、第2混練スクリュ8は、バレル4内の第2混練室4bに収容されている。この第2混練スクリュ8は、本発明の第2混練部材の概念に含まれるものである。第2混練スクリュ8は、第2混練室4bの軸心と一致する回転軸を中心として回転可能に設けられている。
【0030】
両混練スクリュ6,8は、同様の構造を有している。具体的には、両混練スクリュ6,8は、シャフト9(図2参照)と、第1搬送部10と、第1ロータ部12と、第1搬送抵抗部14と、第2搬送部16と、第2ロータ部18と、第2搬送抵抗部20と、第3搬送部22とをそれぞれ有している。第1搬送部10、第1ロータ部12、第1搬送抵抗部14、第2搬送部16、第2ロータ部18、第2搬送抵抗部20及び第3搬送部22は、この順番で混練スクリュ6,8の基端側から先端側に向かって配設されている。
【0031】
シャフト9は、第1混練室4aと同軸となるように配置されている。このシャフト9は、駆動部2に接続されており、その駆動部2から駆動力が付与される。シャフト9は、駆動力が付与されることによって回転し、それによって、混練スクリュ6,8が各々の軸回りにそれぞれ回転する。
【0032】
第1搬送部10は、被混練材料を下流側へ送るための部分である。この第1搬送部10は、シャフト9に外挿されて固定されたフルフライトスクリュによって構成されている。両混練スクリュ6,8の第1搬送部10は、両混練スクリュ6,8の回転に伴って各々の軸回りに同方向に回転し、それによって、導入口4dを通じて混練室4a,4bに導入された被混練材料を下流側へ送る。
【0033】
第1ロータ部12は、第1搬送部10によって送られた被混練材料を混練しながら下流側へ送る部分である。両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12は、そのロータ部が設けられた混練スクリュの回転軸に同軸となるように配置され、互いに等しい形状を有している。第1ロータ部12は、図3に示すように、その軸心に垂直な断面において特定方向が短径となり、その短径方向と直交する方向が長径となる断面形状を有している。第1ロータ部12の長径方向の両側の外面部分は、それぞれ混練翼12aとなっている。第1ロータ部12の短径方向の両側の外面は、前記長径方向の両側の外面同士を繋ぐとともに外向きに凸状に形成された曲面になっている。そして、第1混練スクリュ6の第1ロータ部12は、長径方向の両側の外面(両混練翼12a)が第1混練室4aを形成するバレル4の内面に近接するように配置されており、第2混練スクリュ8の第1ロータ部12は、長手方向の両側の外面(両混練翼12a)が第2混練室4bを形成するバレル4の内面に近接するように配置されている。
【0034】
第1混練スクリュ6の第1ロータ部12と第2混練スクリュ8の第1ロータ部12は、それらの長径方向が互いに直交するような回転方向の位相で配置されている。そして、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12は、互いに噛み合うように配置されている。すなわち、第1混練スクリュ6の第1ロータ部12の長径方向の外面(混練翼12a)の回転領域内に、第2混練スクリュ8の第1ロータ部12の長径方向の外面(混練翼12a)が入り込むように両第1ロータ部12が配置されている。両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12は、互いに位相差を保ちながら回転するようになっており、その回転時に互いに干渉しないようになっている。
【0035】
また、各混練スクリュ6,8の第1ロータ部12は、各々の軸回りに回転することによって被混練材料が導入口4dから導出口4eへ向かう方向に搬送されるような軸方向に沿って捩れた形状に形成されている。両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12は、軸方向に沿って一定の捩れ角で同じ向きに捩れている。また、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12は、図2に示すようなロータセグメント26が軸方向に複数連接されることによって構成されている。各ロータセグメント26は、シャフト9に外挿されて固定されている。各ロータセグメント26は、それらの接合部分において回転方向にずれがないように重ね合わされており、それらの接合部分において混練翼12aが連続するように配置されている。
【0036】
そして、各混練スクリュ6,8の第1ロータ部12は、回転することによってその混練翼12aとバレル4の内面との間及び両第1ロータ部12間で被混練材料に剪断力を付与し、それによって被混練材料を混練する。また、被混練材料は、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12の回転に伴って両第1ロータ部12の周りを移動する。この際、被混練材料が存在するスペースの形状及び容積が変化し、その形状及び容積の変化によっても被混練材料の混練が促進される。
【0037】
第1搬送抵抗部14(図1参照)は、第1ロータ部12によって送られた被混練材料を混練しながらその被混練材料に対して搬送抵抗を付加することにより、上流側の第1ロータ部12による被混練材料の混練時間を長くし、その第1ロータ部12による被混練材料の混練を十分に行わせる。この第1搬送抵抗部14は、複数のニーディングディスクが軸方向に連接されることによって構成されている。各ニーディングディスクは、シャフト9に外挿されて固定されている。各ニーディングディスクは、第1ロータ部12の断面形状と同様の断面形状を有する板状に形成されている。そして、軸方向に隣り合う各ニーディングディスクは、軸回りに所定角度ずつ位相をずらして配置されている。これにより、第1搬送抵抗部14の軸方向に垂直な断面形状はその軸方向に沿って不連続に変化するように構成されている。
【0038】
第2搬送部16は、第1搬送抵抗部14によって送られた被混練材料を下流側へ送る部分である。この第2搬送部16は、第1搬送部10と同様に構成されている。
【0039】
第2ロータ部18は、第2搬送部16によって送られた被混練材料を混練しながら下流側へ送る部分であり、第1ロータ部12と同様に構成されている。
【0040】
第2搬送抵抗部20は、第2ロータ部18によって送られた被混練材料を混練しながらその被混練材料に対して搬送抵抗を付加することにより、上流側の第2ロータ部18による被混練材料の混練時間を長くし、その第2ロータ部18による被混練材料の混練を十分に行わせる。この第2搬送抵抗部20は、第1搬送抵抗部14と同様に構成されている。
【0041】
第3搬送部22は、第2搬送抵抗部20によって送られた被混練材料を下流側へ送り、バレル4の導出口4eを通じて混練後の被混練材料を送出する部分である。この第3搬送部22は、第1搬送部10と同様に構成されている。
【0042】
次に、図1及び図3〜図14を参照して、本実施形態の混練装置により被混練材料を混練する際の動作について説明する。
【0043】
まず、駆動部2が駆動することにより第1混練スクリュ6及び第2混練スクリュ8が各々の軸回りに互いに等しい回転速度で同方向に回転する。その後、被混練材料がバレル4の導入口4dを通じて両混練室4a,4bのうち両混練スクリュ6,8の第1搬送部10に対応する領域に導入される。この導入された被混練材料は、回転する両混練スクリュ6,8の第1搬送部10によって下流側へ送られる。
【0044】
そして、第1搬送部10によって下流側へ送られた被混練材料は、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12が図3〜図14に示すように回転することによって混練される。この際、被混練材料は、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12の間、第1混練スクリュ6の第1ロータ部12の混練翼12aと第1混練室4aを形成するバレル4の内面との間及び第2混練スクリュ8の第1ロータ部12の混練翼12aと第2混練室4bを形成するバレル4の内面との間で剪断力が付与されて混練される。また、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12が回転するのに伴って、被混練材料は混練室4a,4b内で両第1ロータ部12の周りを移動する。この際、両第1ロータ部12の周りにおける被混練材料の収容スペースの形状及び容積が変化する。このように両第1ロータ部12の周りで被混練材料が移動しながらその収容スペースの形状及び容積が変化することによっても、被混練材料の混練が促進される。
【0045】
そして、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12は、上記のように被混練材料を混練しながらその材料を下流側へ送る。
【0046】
そして、第1搬送抵抗部14は、第1ロータ部12から送られてきた被混練材料を混練しながら下流側へ送る。ただし、この第1搬送抵抗部14は、被混練材料に大きな搬送抵抗を付加するため、この第1搬送抵抗部14による被混練材料の送り速度は、第1ロータ部12による被混練材料の送り速度よりも遅くなる。このため、当該第1搬送抵抗部14の上流側に位置する第1ロータ部12による混練時間が長くなり、その第1ロータ部12によって被混練材料の混練が十分に行われる。
【0047】
次に、両混練スクリュ6,8の第2搬送部16は、第1搬送抵抗部14によって送られた被混練材料を前記第1搬送部10と同様にして下流側へ送る。
【0048】
そして、両混練スクリュ6,8の第2ロータ部18は、第2搬送部16によって送られた被混練材料を前記第1ロータ部12と同様にして混練するとともに下流側へ送る。
【0049】
そして、両混練スクリュ6,8の第2搬送抵抗部20は、第2ロータ部18によって送られた被混練材料を前記第1搬送抵抗部14と同様にして混練しながら下流側へ送る。この際、第2搬送抵抗部20は、前記第1搬送抵抗部14と同様、被混練材料に大きな搬送抵抗を付加し、上流側に位置する第2ロータ部18による被混練材料の混練時間を長くすることによってその第2ロータ部18による被混練材料の混練を十分に行わせる。
【0050】
最後に、第3搬送部22は、第2搬送抵抗部20によって送られた被混練材料を前記第1搬送部10と同様にして下流側へ送り、その被混練材料をバレル4の導出口4eを通じて送出する。以上のようにして、第1実施形態の混練装置による被混練材料の混練が行われる。
【0051】
次に、この第1実施形態の混練装置による被混練材料の混合効果について調べるために行ったシミュレーションについて説明する。
【0052】
まず、バレル4内の第1混練室4aと第2混練室4bの内径が同じである場合と異なる場合とで両混練室4a,4b内の所定の被混練材料の収容スペースの断面積が両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12の回転に伴ってどのように変化するかについてシミュレーションを行った。具体的には、このシミュレーションでは、図3に示した状態から両第1ロータ部12の回転に伴って混練室4a,4b内の所定の被混練材料Mが両第1ロータ部12の周りを移動する際の図3〜図14の各状態における被混練材料Mの収容スペースの断面積を算出した。そのシミュレーションの結果が図15に示されている。この図15における回転位相0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°、360°、405°、450°、495°の各状態での被混練材料Mの収容スペースの断面積は、図3〜図14の各状態における被混練材料Mの収容スペースの断面積に対応しており、回転位相540°の状態での被混練材料Mの収容スペースの断面積は、図3の状態における被混練材料Mの収容スペースの断面積に対応している。なお、本実施形態の比較例として、第1混練室4aと第2混練室4bの内径が同じである場合についても同様に前記各状態における被混練材料Mの収容スペースの断面積を算出し、その算出結果を図15に示している。
【0053】
図15の結果から、被混練材料Mの収容スペースの断面積は、第1ロータ部12の回転に伴って周期的に変化することが判る。そして、第1ロータ部12の回転位相が225°の状態(図8の状態)及び回転位相が495°の状態(図14の状態)、すなわち、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12の断面形状がバレル4の幅方向に互いに対称的に配置された状態でその両第1ロータ部12とバレル4の内面とで囲まれた大きなスペースに被混練材料Mが収容された状態が、被混練材料Mの収容スペースの断面積が最も大きくなる状態であることが判る。一方、第1ロータ部12の回転位相が45°〜135°の状態(図4〜図6の状態)及び回転位相が315°〜405°の状態(図10〜図12の状態)、すなわち、両混練スクリュ6,8のいずれかの第1ロータ部12の短径方向の外面とバレル4の内面との間のスペースに被混練材料Mが収容された状態が、被混練材料Mの収容スペースの断面積が小さくなる状態であることが判る。
【0054】
そして、比較例のように第1混練室4aと第2混練室4bの内径が同じである場合には、第2混練スクリュ8の第1ロータ部12の短径方向の外面と第2混練室4bを形成するバレル4の内面との間のスペースが被混練材料Mの収容スペースである場合(第1ロータ部12の回転位相が45°〜135°の場合)と、第1混練スクリュ6の第1ロータ部12の短径方向の外面と第1混練室4aを形成するバレル4の内面との間のスペースが被混練材料Mの収容スペースである場合(第1ロータ部12の回転位相が315°〜405°の場合)とで被混練材料Mの収容スペースの断面積が同じになることが判る。すなわち、両混練室4a,4bの内径が同じである比較例の場合には、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12の回転に伴って被混練材料Mの収容スペースの容積が規則的に同じ小さい値に変化することが判る。
【0055】
これに対して、本実施形態のように第1混練室4aの内径よりも第2混練室4bの内径が小さい場合には、第2混練スクリュ8の第1ロータ部12の短径方向の外面と第2混練室4bを形成するバレル4の内面との間のスペースが被混練材料Mの収容スペースである場合(第1ロータ部12の回転位相が45°〜135°の場合)に比べて、第1混練スクリュ6の第1ロータ部12の短径方向の外面と第1混練室4aを形成するバレル4の内面との間のスペースが被混練材料Mの収容スペースである場合(第1ロータ部12の回転位相が315°〜405°の場合)の方が被混練材料Mの収容スペースの断面積が大きくなることが判る。従って、両混練室4a,4bの内径が異なる本実施形態の場合には、上記比較例の場合と異なり、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12の回転に伴う被混練材料Mの収容スペースの容積の規則的な変化が崩れることが判明した。
【0056】
次に、バレル4内の第1混練室4aと第2混練室4bの内径の比率を変えることに起因して、第1ロータ部12の回転に伴う被混練材料中の所定の成分の分散度合いの変動傾向がどのように変化するかについてシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、両混練室4a,4bの上半分(図3の状態における上半分)の領域に存在する被混練材料中の所定の成分の濃度が1であり、両混練室4a,4bの下半分(図3の状態における下半分)の領域に存在する被混練材料中の前記所定の成分の濃度が0であるような仮想的な状態から、この成分の混合を流動シミュレーションによって評価した。
【0057】
具体的には、このシミュレーションでは、第1混練室4aの内径を61mmで第2混練室4bの内径を59mmに設定した第1実施例と、第1混練室4aの内径を62mmで第2混練室4bの内径を58mmに設定した第2実施例と、第1混練室4aと第2混練室4bの内径を両方とも同じ60mmに設定した比較例とについて、第1ロータ部12の回転に伴って前記所定の成分のCV値がどのように変化するかを調べた。このシミュレーションの結果が図16に示されている。図16では、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12が360°回転する毎に1回転したとして、その回転数が1〜5の場合について算出した前記所定の成分のCV値を表している。なお、CV値は、被混練材料中における前記成分の分散度合いを表す指標となる値である。このCV値が低いほど、前記成分の分散が進行していること、換言すれば、被混練材料の混合が促進されていることを意味する。このCV値は、以下の式(1)で求められる。
【0058】
CV=ρ/M・・・(1)
【0059】
当該式(1)において、Mは、バレル4内(両混練室4a,4b内)に収容された被混練材料中における前記成分の平均分率である。また、ρは、バレル4内(両混練室4a,4b内)に収容された被混練材料中における前記成分の分率の標準偏差である。
【0060】
図16に示す当該シミュレーションの結果から、第1ロータ部12の回転数が増加するにつれて被混練材料の混合が進行し、第1実施例では比較例に比べて被混練材料の混合が促進され、第2実施例では第1実施例に比べて被混練材料の混合がさらに促進されることが判る。すなわち、この結果から、両混練室4a,4bの内径が異なる場合(第1実施例及び第2実施例)には、両混練室4a,4bの内径が同じ場合(比較例)に比べて第1ロータ部12による被混練材料の混合性を向上させることができ、さらに、その両混練室4a,4bの内径の差が大きい方が第1ロータ部12による被混練材料の混合性をより向上させることができることが判明した。
【0061】
なお、両混練室4a,4bの内径が異なる場合に両混練室4a,4bの内径が同じ場合に比べて第1ロータ部12による被混練材料の混合性を向上できるのは、上記した両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12の回転に伴う被混練材料Mの収容スペースの容積の規則的な変化が崩れることに起因すると考えられる。すなわち、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12の回転に伴う被混練材料Mの収容スペースの容積の規則的な変化が崩れる場合には、被混練材料の混合状態がいわゆるカオス混合に近い状態となり、被混練材料の混合が促進されるためであると考えられる。
【0062】
なお、上記各シミュレーションは、第1ロータ部12による被混練材料の混練について行ったが、第2ロータ部18においても第1ロータ部12と同様の混練作用が被混練材料に及ぼされるので、第2ロータ部18でも同様に被混練材料の混合が促進される。
【0063】
以上説明したように、この第1実施形態では、第1混練スクリュ6のロータ部12,18の形状と第2混練スクリュ8のロータ部12,18の形状とが等しく、かつ、第1混練室4aと第2混練室4bが互いに異なる内径を有するため、第1混練スクリュ6のロータ部12,18の短径方向の外面と第1混練室4aを形成するバレル4の内面との間のスペースの容積と第2混練スクリュ8のロータ部12,18の短径方向の外面と第2混練室4bを形成するバレル4の内面との間のスペースの容積とが異なる。このため、この第1実施形態では、両混練スクリュ6,8の回転に伴って被混練材料が両混練スクリュ6,8のロータ部12,18の周りを移動しつつ両混練室4a,4bの間を交互に移動する過程で被混練材料の収容スペースの容積の変化の規則性が崩れ、その結果、被混練材料の混合が促進される。従って、この第1実施形態は、両混練スクリュ6,8のロータ部12,18における被混練材料の混合性を向上することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、第1混練スクリュ6のロータ部12,18と第2混練スクリュ6のロータ部12,18が互いに噛み合うように配置されているため、第1混練スクリュ6のロータ部12,18と第2混練スクリュ8のロータ部12,18との間で強い剪断力を被混練材料に加えることができる。このため、ロータ部12,18による被混練材料の混合性をより向上することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、第1混練スクリュ6のロータ部12,18と第2混練スクリュ8のロータ部12,18は、各々の軸回りに回転することによって被混練材料が導入口4dから導出口4eへ向かう方向に搬送されるような軸方向に沿って捩れた形状に形成されている。このため、この第1実施形態では、上記したロータ部12,18による被混練材料の混合性の向上効果を得つつ、そのロータ部12,18によって良好に混合された被混練材料を当該ロータ部12,18によりバレル4の導入口4dから導出口4e側へ向かって搬送することができる。このため、この第1実施形態では、被混練材料の混合性を向上可能な二軸押出式の混練装置を構成することができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、図17〜図28を参照して、本発明の第2実施形態による混練装置について説明する。
【0067】
この第2実施形態による混練装置は、上記第1実施形態と異なり、第1混練スクリュ6と第2混練スクリュ8を互いに異なる方向に回転させるように構成されている。
【0068】
具体的には、この第2実施形態では、駆動部2が第1混練スクリュ6と第2混練スクリュ8を互いに異なる方向に回転させる。このため、図17〜図28に示すように、第1混練スクリュ6の第1ロータ部12の回転方向に対して第2混練スクリュ8の第1ロータ部12の回転方向が逆方向となっている。そして、この第2実施形態では、両混練スクリュ6,8の第1搬送部10のフルフライトスクリュ、第1ロータ部12、第2搬送部16のフルフライトスクリュ、第2ロータ部18及び第3搬送部22のフルフライトスクリュは、軸方向に沿って互いに逆向きに捩れており、両混練スクリュ6,8が互いに逆向きに回転するのに伴って互いに干渉しないように配置されている。
【0069】
この第2実施形態の混練装置の上記以外の構成は、上記第1実施形態の混練装置と同様である。
【0070】
次に、この第2実施形態のように第1混練スクリュ6と第2混練スクリュ8が互いに異なる方向に回転する場合において、両混練室4a,4b内の被混練材料Mの収容スペースの断面積が両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12の回転に伴ってどのように変化するかを調べるために上記第1実施形態と同様のシミュレーションを行った。このシミュレーションの結果が図29に示されている。図29における回転位相0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°、360°、405°、450°、495°の各状態での被混練材料Mの収容スペースの断面積は、図17〜図28の各状態における被混練材料Mの収容スペースの断面積に対応しており、回転位相540°の状態での被混練材料Mの収容スペースの断面積は、図17の状態における被混練材料Mの収容スペースの断面積に対応している。
【0071】
図29の結果から、この第2実施形態のように両混練スクリュ6,8が互いに異なる方向に回転する場合でも、第2混練スクリュ8の第1ロータ部12の短径方向の外面と第2混練室4bを形成するバレル4の内面との間のスペースが被混練材料Mの収容スペースである状態(第1ロータ部12の回転位相が405°〜495°の状態(図26〜図28の状態))に比べて、第1混練スクリュ6の第1ロータ部12の短径方向の外面と第1混練室4aを形成するバレル4の内面との間のスペースが被混練材料Mの収容スペースである状態(第1ロータ部12の回転位相が135°〜225°の状態(図20〜図22の場合))の方が被混練材料Mの収容スペースの断面積が大きくなることが判る。従って、この第2実施形態のように両混練スクリュ6,8が互いに異なる方向に回転する場合でも、両混練室4a,4bの内径が異なる場合には、両混練室4a,4bの内径が同じである比較例の場合と異なり、両混練スクリュ6,8の第1ロータ部12の回転に伴う被混練材料Mの収容スペースの容積の規則的な変化が崩れることが判明した。従って、この第2実施形態でも、両混練スクリュ6,8のロータ部12,18による被混練材料の混合性を向上させることができる。
【0072】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0073】
例えば、バッチ式の混練機等の押出機以外の混練装置に本発明を適用してもよい。すなわち、バッチ式の混練機においてバレル内の第1混練室と第2混練室の内径を異ならせてもよい。この構成によれば、バッチ式の混練機においてロータ部による被混練材料の混合性を向上させることができる。
【0074】
また、上記実施形態では、第2混練室の内径を第1混練室の内径に比べて小さくしたが、逆に第1混練室の内径を第2混練室の内径に比べて小さくしてもよい。
【0075】
また、両混練スクリュのロータ部が噛み合っていない混練装置に本発明を適用してもよい。すなわち、第2混練スクリュのロータ部の長径方向の外面が第1混練スクリュのロータ部の長径方向の外面の回転領域の外側に位置するように両混練スクリュが配置された混練装置において、バレル内の第1混練室と第2混練室の内径を異ならせてもよい。
【0076】
また、第1混練部材のロータ部と第2混練部材のロータ部とは、必ずしもそれらの長径方向が互いに直交するような位相で配置されていなくてもよい。すなわち、両混練部材のロータ部は、それらの長径方向が互いに交差していればよく、それらの長径方向が互いに90°の関係でなくてもよい。
【符号の説明】
【0077】
4 バレル
4a 第1混練室
4b 第2混練室
4d 導入口
4e 導出口
6 第1混練スクリュ(第1混練部材)
8 第2混練スクリュ(第2混練部材)
12 第1ロータ部(ロータ部)
18 第2ロータ部(ロータ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円形断面を有し、互いに平行に延びるとともに、径方向の一部において互いに重なるように繋げられた第1混練室及び第2混練室を内部に有するバレルと、前記第1混練室に収容され、当該第1混練室の軸心と一致する回転軸を中心として回転可能に設けられた第1混練部材と、前記第2混練室に収容され、当該第2混練室の軸心と一致する回転軸を中心として回転可能に設けられた第2混練部材とを備え、前記第1混練部材と前記第2混練部材を各々の回転軸回りに回転させることによって前記両混練室に導入された被混練材料を混練する混練装置であって、
前記第1混練部材と前記第2混練部材は、各々の回転軸と同軸となるように配置され、互いに等しい形状を有するロータ部をそれぞれ有し、
前記ロータ部は、その軸心に垂直な断面において特定方向が短径となり、その短径方向と直交する方向が長径となる断面形状を有するとともに、その長径方向の外面が当該ロータ部が収容された混練室を形成する前記バレルの内面に近接するように配置され、
前記第1混練部材のロータ部と前記第2混練部材のロータ部とは、それらの長径方向が互いに交差するような位相で相対的に配置され、
前記第1混練室と前記第2混練室は、互いに異なる内径を有する、混練装置。
【請求項2】
前記第1混練部材のロータ部と前記第2混練部材のロータ部とは、互いに噛み合うように配置されている、請求項1に記載の混練装置。
【請求項3】
前記第1混練部材のロータ部と前記第2混練部材のロータ部とは、それらの長径方向が互いに直交するような位相で相対的に配置されている、請求項1又は2に記載の混練装置。
【請求項4】
前記バレルは、前記両混練室に被混練材料を導入するための導入口と、その導入口が設けられた位置から前記両混練室の軸方向において離間した位置に配設され、前記両混練室から被混練材料を導出するための導出口とを有し、
前記第1混練部材のロータ部と前記第2混練部材のロータ部は、それぞれ収容された混練室において前記導入口と前記導出口との間の領域に配設され、各々の軸回りに回転することによって被混練材料が前記導入口から前記導出口へ向かう方向に搬送されるような軸方向に沿って捩れた形状に形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の混練装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−88343(P2011−88343A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−243062(P2009−243062)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】