混雑状況提示装置、及び、混雑状況情報閲覧システム
【課題】所定空間における混雑状況をユーザが正確、簡便かつ即座に把握することを可能とする混雑状況提示装置、及び、混雑状況情報閲覧システムを提供する。
【解決手段】混雑状況提示装置9は、店舗や施設等の所定空間の平面図を記憶する平面図記憶手段1と、所定空間内に存在する人体の位置を検出する人体位置検出手段2と、人体位置検出手段2により検出された人体の位置に対応する平面図上の位置に予め用意したシンボルを描画した混雑状況図をユーザに提示する混雑状況提示手段3とを備える。さらに、混雑状況提示手段3は、物体の輪郭線G5を背景画G2に描画した混雑状況図G7をユーザに提示する機能を備える。
【解決手段】混雑状況提示装置9は、店舗や施設等の所定空間の平面図を記憶する平面図記憶手段1と、所定空間内に存在する人体の位置を検出する人体位置検出手段2と、人体位置検出手段2により検出された人体の位置に対応する平面図上の位置に予め用意したシンボルを描画した混雑状況図をユーザに提示する混雑状況提示手段3とを備える。さらに、混雑状況提示手段3は、物体の輪郭線G5を背景画G2に描画した混雑状況図G7をユーザに提示する機能を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗や施設等の所定空間内における混雑状況に関する情報を提供する混雑状況提示装置、及び、混雑状況情報閲覧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗や施設等の所定空間における混雑状況に関する情報を提供する技術は種々検討されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の空席案内装置は、赤外線センサ群を用いて座席領域ごとに人体の有無を検出することで、座席が空席かどうかを判定している。
【特許文献1】特開平07−244783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載の空席案内装置では、1名用の座席ごとに赤外線を区分検出する複数の赤外線センサ群を配置しているために、着席人数と着席位置とが多様となる長椅子には対応できず、様々な空間における混雑状況を正確に把握するために利用することができないという問題と、座席が設けられた列車や施設等の入口に空席表示部を設置しているため、ユーザがその場所へ出向くことなく空席情報を簡便に入手することができなかったという問題があった。さらに着席している人物が従業員かどうかの区別もできなかった。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、所定空間における混雑状況をユーザが正確、簡便かつ即座に把握することを可能とする混雑状況提示装置、及び、混雑状況情報閲覧システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、所定空間における混雑状況に関する情報をユーザに提示する混雑状況提示装置であって、前記所定空間が視覚化された空間データを記憶する空間データ記憶手段と、前記所定空間内に存在する物体を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段により検出された物体の位置に対応する前記空間データ上の位置に、該検出された物体を示す物体データを描画した混雑状況図をユーザに提示する混雑状況提示手段とを備えることを特徴とする混雑状況提示装置を提供する。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、検出された物体を示す物体データを描画した混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは、視覚的に、所定空間内の混雑状況を正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段は、人の位置を検出し、前記混雑状況提示手段は、前記物体検出手段により検出された人の位置に対応する前記空間データ上の位置に、該検出された人を示す人データを描画した混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、検出された人を示す人データを描画した混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは所定空間内における人の混雑状況を、正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段は、特定の分類に属する人の位置を検出し、前記混雑状況提示手段は、前記人検出手段により検出された特定の分類に属する人の位置と属さない人の位置とを異なるシンボルで区別してユーザに提示することを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、特定の分類に属する人の位置と属さない人の位置とを異なるシンボルで区別してユーザに提示するため、ユーザは、視覚的に、所定空間内に存在する人が特定の分類に属する人か否かを正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。また、人をシンボルで表すため、個人のプライバシーを保護することができる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の混雑状況提示装置において、前記所定空間は店舗内の空間であり、前記特定の分類は店舗の従業員であることを特徴とする。
本発明によれば、従業員と非従業員とを異なるシンボルでユーザに提示することで、ユーザは視覚的に店舗内の混雑具合を正確、簡便かつ即座に把握することができる。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1項に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段は、前記所定空間内に存在する個人を識別し、前記混雑状況提示手段は、前記物体検出手段により検出された個人に対応する個別のシンボルが描画された混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、個人に対応する個別のシンボルが描画された混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは視覚的に所定空間内のどこに誰が居るのかを正確、簡便かつ即座に把握することができる。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段は、人が携帯している識別番号発信装置から発信される識別番号を、個人を識別するための情報として用いることを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、所定空間内に存在する人に識別番号発信装置を携帯させることで個人を容易に識別することが可能となる。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか1項に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段により検出された人が前記所定空間内に滞留し続けている滞留時間を判定する滞留時間判定手段をさらに備え、前記混雑状況提示手段は、前記滞留時間判定手段により判定された滞留時間に応じたシンボルを描画した混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、人の滞留時間に応じたシンボルを描画した混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは視覚的に所定空間における現在の混雑状況を容易に把握することができ、また、今後の混雑状況を予測することが可能となる。
【0011】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7の何れか1項に記載の混雑状況提示装置において、前記所定空間内の混雑の度合を判定する混雑状況判定手段をさらに備え、前記混雑状況提示手段は、前記混雑状況判定手段により判定された混雑の度合に応じたインフォメーションをユーザに提示することを特徴とする。
本発明によれば、ユーザは混雑状況に応じたインフォメーションを得ることができるため、所定空間内が混雑している場合にも有効な対応策をとることができ、利便性が高まる。
【0012】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の混雑状況提示装置において、前記物体データは、物体の輪郭線を表すデータであることを特徴とする。
本発明によれば、物体を輪郭線で描くことができ、物体をシンボルで表現するよりも物体の様子をリアルかつ詳細に表現することができる。さらに、写真よりもリアルでないため、物体が人である場合に個人が特定されることがなく、個人のプライバシーを保護することができる。
【0013】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9の何れか1項に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段は、異なる時間に同一の場所が撮影された画像データ同士の差異に基づいて物体を検出することを特徴とする。
本発明によれば、異なる時間に同一の場所が撮影された画像データ同士を比較することで、移動した物体のみを容易に検出することができる。また、背景画に余計な輪郭線を重ねないので混雑状況をわかりやすく伝えることができる。
【0014】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の混雑状況提示装置において、前記空間データ記憶手段は、前記所定空間を初期画像として撮影した背景画像データを記憶し、前記物体検出手段は、前記空間データ記憶手段に記憶された背景画像データと、該背景画像データが撮影された時間とは異なる時間に前記所定空間が撮影された実写データと、の差異を表す差異データを抽出し、該抽出された差異データから輪郭線を表すデータを前記物体データとして抽出することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、混雑状況提示装置は、背景画像データと実写データとの差異を表す差異データを抽出し、差異データから輪郭線を表すデータを物体データとして抽出し、当該物体データを背景画像データ上に描画する。背景画像データとの差異を検出することで、たとえば席取りのために置かれて長い間放置されたカバンを検出しユーザに提示することができる。また、物体のみを輪郭線で描くため、物体が人である場合に個人が特定されず、個人のプライバシーを保護することができる。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項9に記載の混雑状況提示装置において、前記空間データ記憶手段は、前記所定空間を初期画像として撮影した背景画像データを記憶し、前記物体検出手段は、前記空間データ記憶手段に記憶された背景画像データと、該背景画像データが撮影された時間とは異なる時間に前記所定空間が撮影された実写データと、からそれぞれ輪郭線を表す輪郭線データを抽出し、該抽出された輪郭線データ同士の差異を表すデータを前記物体データとして抽出することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、混雑状況提示装置は、背景画像データと実写データとからそれぞれ輪郭線を表す輪郭線データを抽出し、抽出された輪郭線データ同士の差異を表すデータを物体データとして抽出し、当該物体データを背景画像データ上に描画することによって、背景画像データと実写データとを撮影した時間帯や天候が異なり明度や色相の差が大きい場合にも、物体データを適切に抽出し、所定空間の雰囲気をリアルに伝えることのできる混雑状況図を生成しユーザに提示することができる。また、物体を輪郭線で描くため、物体が人である場合に個人が特定されないため、個人のプライバシーを保護することができる。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項1から12の何れか1項に記載の混雑状況提示装置と、該混雑状況提示装置から受信した混雑状況情報に基づいて前記混雑状況図を表示する携帯端末と、を備えることを特徴とする混雑状況情報閲覧システムを提供する。
本発明によれば、ユーザは携帯端末を携帯することで、どこにいても混雑状況図を携帯端末に表示して、視覚的に所定空間内の混雑状況を正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システムにおいて、前記携帯端末は、知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と一致する識別番号を含む混雑状況情報を前記混雑状況提示装置から受信した場合に、該知人が前記所定空間内にいる旨と混雑状況図とを表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザは、混雑状況図とともに携帯端末に表示された知人がいる旨の有無によって、知人が所定空間内にいるか否かを即座に把握することができる。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システムにおいて、前記携帯端末は、知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と一致する識別番号を含む混雑状況情報を前記混雑状況提示装置から受信した場合に、該知人の識別番号に対応するシンボルと混雑状況図とを表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザは、混雑状況図とともに携帯端末に表示されたシンボルを見ることによって、知人が所定空間内にいるか否かを即座に把握することができる。
【0021】
請求項16に記載の発明は、請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システムにおいて、前記混雑状況情報は、前記識別番号発信装置の識別番号とその位置情報とを含み、前記携帯端末は、知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と前記識別番号発信装置の識別番号とが一致する場合に、該知人の識別番号に対応するシンボルを該識別番号発信装置の位置情報に基づいて描画した混雑状況図を表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザは、携帯端末に表示された混雑状況図のシンボルを見ることによって、知人が所定空間内にいるか否か、また、知人がいる場合には所定空間内のどこにいるかを即座に把握することができる。
【0022】
請求項17に記載の発明は、請求項13から16の何れか1項に記載の混雑状況情報閲覧システムにおいて、前記混雑状況提示装置は、前記携帯端末における配信対象外の識別番号を記憶する配信対象外識別番号記憶手段をさらに備え、前記混雑状況提示手段は、前記物体検出手段により検知された識別番号が前記配信対象外識別番号記憶手段に記憶されている配信対象外の識別番号である場合は、該識別番号で識別される人に関する情報を除いた混雑状況情報を前記携帯端末に向けて送信することを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、携帯端末における配信対象外の人に関する情報を除いた混雑状況情報を送信するため、通信負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、混雑状況提示装置は、検出された物体を示す物体データを描画した混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは、視覚的に、所定空間内の混雑状況を正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明に係る第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成の一例を示すブロック図である。同図に示すように、第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、平面図記憶手段1と、人体位置検出手段2と、混雑状況提示手段3と、を含んで構成されている。なお、人体位置検出手段2が、本発明の請求項に係る「物体検出手段」に相当する。また、平面図記憶手段1が、本発明の請求項に係る「空間データ記憶手段」に相当する。これらの構成要素は、混雑状況提示装置9が備えるCPU、記憶装置等のハードウェア、及び、プログラム等のソフトウェアによって実現される。以下、これらの構成要素の詳細について説明する。
【0025】
平面図記憶手段1は、ハードディスク装置等の記憶装置で構成される。平面図記憶手段1には、店舗や施設等の所定空間の平面図が二次元座標情報と共に記憶されている。正確な座標情報を要求される場合は、平面図はCAD(Computer Aided Design)で用いられるDXF形式が適当である。一方、絵柄を重視する場合はBMP形式やGIF形式やJPEG形式を平面図に用いるが、この場合には、二次元座標情報として描画の基点となる1つ以上の代表点の座標のみを別ファイルとして記憶してもよいし、長方形の部屋であれば部屋の四隅を画像の四隅に対応させるという暗黙のルールを用いてもよい。座標精度は、平面図の分解能(画素数)と後述の人体位置検出手段2の検出精度とのうち、粗い方を採用しておく。さらに粗くしてもよい。
【0026】
人体位置検出手段2は、前述の平面図の描画対象となった所定空間内に存在する人を検知し、その位置情報を出力する。位置情報は前述の平面図の二次元座標に換算される。あるいは前述の描画の起点からの相対位置で示してもよい。
人体の検知には、具体的には、テレビカメラ・赤外線カメラ・焦電センサ・圧力センサ・無線・レーザーなどの公知の技術を用いればよい。人が部屋のどこにいるのかを検出する方法は、用いるセンサによって異なる。それぞれ以下の方法で検出することができる。
【0027】
テレビカメラ・赤外線カメラを用いる場合、魚眼レンズやリフレクトカメラのように1つのカメラで部屋等の空間全体を捉えて座標変換によって補正してもよいし、2台のカメラを近接して配しその差分から物体の距離を求めてもよいし、複数のカメラ(たとえば部屋の四隅に1つずつ)を設置してそれぞれの映像から検出した位置情報を後から総合的に判断してもよい。動画処理の特徴を生かし、連続する複数のフレーム情報を用いて背景分離法で動物体を認識させてその位置を検出してもよいし、フーリエ変換・離散余弦変換・K−L変換などの特徴抽出アルゴリズムを用いて人画像のモデルを定義しパターンマッチング処理をして静止画から人の位置を検出してもよいし、それらの手法を組み合わせてもよい。
【0028】
焦電センサを用いる場合はフレネルレンズで部屋全体の熱源の動きを1箇所に集積したセンサで検知してもよいし、天井に格子状に配した複数のセンサからの情報を総合的に判断してもよい。あるいはテーブルの裏面に焦電センサを配して脚の動きで人の存在を検知してもよい。焦電センサを用いる場合は個々のセンサごとに位置が決まるので位置の検出は特段の処理は不要である。
圧力センサを用いる場合は床面に格子状に配して人の位置を検知すればよい。椅子が固定されていて位置が特定できる場合は、椅子に圧力センサを設置して座っている人を検知してもよい。
【0029】
無線を用いる場合はRFID(Radio Frequency Identification)をバッジやブローチや帽子など人が身につけるものに組み込んで用いてもよいし、携帯電話にRFIDをあらかじめ組み込んでおいて認識させてもよい。携帯電話が発する電波を受信するアンテナを3箇所以上配して携帯電話を検知し、携帯電話の位置を人の位置とみなしてもよい。テーブル単位や座席単位で位置を検出したい場合はトレイや食器にRFIDを組み込むことで人が占有している位置を検出できる。
【0030】
レーザーを用いる場合は天井と床に射光器と受光器を組み合わせて満遍なく配し、レーザー光を遮ったことを検知して人の位置を検出すればよい。
人体位置検出手段2は、検出された人体の位置情報を混雑状況提示手段3に引渡し、再び検知処理に戻る。停止命令を受け取るまでこの処理を繰り返す。
混雑状況提示手段3は、人体位置検出手段2により検出された人の位置に対応する平面図上の位置に、予め用意されたシンボルが描画された混雑状況図をユーザに提示する。混雑状況提示手段3の機能を詳細に説明すると、混雑状況提示手段3は、混雑状況図生成手段31と混雑状況図送信手段32とを備えている。
【0031】
混雑状況図生成手段31は、混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。混雑状況図生成手段31は平面図上の人の位置を表すためのシンボルを記憶しており、人体位置検出手段2から定期的に出力される人の位置情報に基づき、平面図記憶手段1に記憶されている平面図の前記位置情報に対応する位置にシンボルを上書きして混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。
人体位置検出手段2から出力される位置情報があらかじめ定められた原点(たとえば北西角)と直交2軸方向(たとえば東と南)の実寸(たとえばメートル単位)で表される場合は、平面図上の原点対応点(たとえば左上)と縮尺(たとえば1m→100ピクセル)を保持しておくことで簡単に換算することができる。
【0032】
シンボルは人を表していると認められるものなら何でもよく、○や□といった単純な図形でもよいし、人あるいは動物の顔や姿を抽象化した絵でもよいし、写真でもよい。シンボルに左向き・右向き・正面・後ろ向きといった方向を持たせたデザインを用意し、検出された位置情報から最寄りの壁を求め、その壁に背を向ける方向のデザインのシンボルを選択して用いてもよい。もちろん壁が斜めであればその角度に応じたデザインを用意するのはいうまでもない。壁が曲線で構成される場合はシンボルを3Dデータで記憶しておき、検出された位置情報から最寄りの壁の最短距離にある点を算出し、その点における法線を求めてその角度に応じたシンボルを3Dモデルから生成して用いることもできる。
【0033】
書き加える図形が重なってはいけない領域(たとえば壁や机)をあらかじめ平面図に設定し、検知した位置にそのまま図形を書き加えると該領域に掛かってしまう場合、隣接点の法線方向に中心位置をずらして重なりがないように書き加える工夫を施してもよい。混雑状況図生成手段31は、平面図内の構成要素の内、可動物体(テーブルなど)を起動時あるいはオーナーの指示により検知し直して平面図を更新する。更に定期的(2時間おき)に検知し、平面図を微調整(存在を増やしたり減らしたりすることなく描画位置を修正)して平面図の精度を保つ工夫を施してもよい。
【0034】
なお、混雑状況図生成手段31は、静止画としての混雑状況図を生成するのみではなく、平面図にシンボルが描画される動きをそのまま記録したり、描かれた混雑状況図を連続するコマとして記録したりすることにより、動画としての混雑状況図を生成するようにしてもよい。
混雑状況図送信手段32は、混雑状況図生成手段31が生成した混雑状況情報(本実施の形態では混雑状況図)を通信インターフェースから外部に送信する。送信先としては、例えば店舗が大きなビルディング内にある場合にはそのビルディングの入口でもよいし、遠隔地の看板でもよいし、衛星・地上波・ケーブルなどの各種テレビ放送でもよいし、インターネット上のWEBサーバでもよい。送信先を中継して混雑状況図を閲覧するために使用される機器としては、テレビ・パソコン・携帯電話・PDAなど、静止画を表示できるものであれば何でもよい。また、外部に混雑状況情報を送信せずに、混雑状況提示装置9に内蔵されているディスプレイに混雑状況情報を出力して混雑状況図を表示するようにしてもよい。
【0035】
この第1の実施の形態では混雑状況をその空間の利用者に広く閲覧させているが、同じ設備を休日や夜間のセキュリティー(侵入者検知・火災報知)システムとして活用してもよい。セキュリティーシステムにおいては一般の利用者からの閲覧を禁止する一方、人や火を検知した際にあらかじめ登録してある電話番号やメールアドレスに通知するようにしてもよい。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の構成の一例を示すブロック図である。
同図に示すように、第2の実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置9が備える機能に加えて、従業員人体位置検出手段5と、非従業員人体位置判別手段6と、を新たな構成要素として備えている。
本実施の形態においては、人体位置検出手段2、従業員人体位置検出手段5及び非従業員人体位置判別手段6が、本発明の請求項に係る「物体検出手段」に相当する。
【0037】
識別番号発信装置7は前述のRFIDであり、従業員人体位置検出手段5から電波を受けるとその識別番号を発信するものである。従業員は、識別番号発信装置7が組込まれたバッジを身につけている。
従業員人体位置検出手段5は識別番号発信装置7の位置を検出する手段である。例えば、特開2004−294338号公報に開示されている技術を用いて空間内のRFIDの位置を検出できることが知られている。
【0038】
非従業員人体位置判別手段6では、人体位置検出手段2及び従業員人体位置検出手段5からの出力を受け取る。非従業員人体位置判別手段6は、従業員人体位置検出手段5で検出された位置情報が人体位置検出手段2で検出された位置情報のどれに対応するかを特定する。そして、人体位置検出手段2で検出された位置情報のうち、従業員人体位置検出手段5で検出された位置情報に対応しなかった余りの分を非従業員の位置情報として出力する。
【0039】
混雑状況図生成手段31は、従業員を表すシンボルと非従業員を表すシンボルとを記憶している。混雑状況図生成手段31は、従業員人体位置検出手段5から出力された従業員の位置情報に基づき従業員を表すシンボルを平面図に上書きし、かつ、非従業員人体位置検出手段6から出力された非従業員の位置情報に基づき非従業員を表すシンボルを平面図に上書きすることにより、混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。
【0040】
なお、従業員人体位置検出手段5は携帯電話を用いても実現することができる。携帯電話が発する電波を受信するアンテナを3箇所以上配置しておき、店内等の空間内の携帯電話の位置を検出する。この場合は、検出された携帯電話が非従業員のものである場合もあるので、非従業員人体位置判別手段6に全従業員の携帯電話番号(または個体番号)を登録しておき、従業員人体位置検出手段5から出力された位置情報の中でこの登録情報にあるものだけを従業員の位置情報として扱う。
【0041】
また、従業員人体位置検出手段5はテレビカメラを用いても実現することができる。従業員に特殊な形状の帽子を常にかぶらせることとし、あらかじめその帽子の映像を離散余弦変換などの空間周波数を用いて特徴量を抽出しモデル化しておく。カメラ画像を適宜適当なエリアに分割して特徴量を計算し、帽子モデルと比較して位置を検出すればよい。帽子の代わりに仮面や衣装や着ぐるみを用いても同様の機能を実現することができる。
【0042】
またカウンターの中にいるのが従業員、カウンターの外にいるのが非従業員と決まっている店舗においては、平面図記憶手段1の平面図にカウンターの内外の区別(「従業員エリア」、「非従業員エリア」)を記憶させ、従業員人体位置検出手段5に従業員エリアの人体位置を検出させれば同様の機能を実現することができる。このとき、人体位置検出手段2に「非従業員エリア」のみを検知させると非従業員人体位置判別手段6が不要になり効率がよい。人体位置検出手段2及び従業員人体位置検出手段5には同じセンサを用いてよい。
なお、本実施の形態においては、店舗の従業員と非従業員とを区別する例について説明したが、これに限定されることはなく、来客とそれ以外、芸能人とそれ以外、医者とそれ以外等、特定の分類に属する人と属さない人とを区別するようにしてもよい。
【0043】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。本発明の第3の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の構成は、図2に示す第2の実施の形態に係る混雑状況提示装置9と同じ構成となる。第3の実施の形態の第2の実施の形態との主たる違いは、RFIDの識別番号を区別して利用する点にある。
識別番号発信装置7はRFIDである。従業員ごとにRFIDの識別番号を固定し、たとえば、従業員が身に付ける名札にRFIDを組込む。
従業員人体位置検出手段5は、識別番号発信装置7の位置を検出すると同時に、その識別番号も検出する。
非従業員人体位置判別手段6が人体位置検出手段2及び従業員人体位置検出手段5の出力を受け取り、その差分を非従業員の位置情報として出力する点は、第2の実施の形態と同様である。
【0044】
混雑状況図生成手段31は、従業員を表すシンボルと非従業員を表すシンボルとを記憶している。従業員のシンボルは従業員ごとに異なり、そのシンボルはRFIDの識別番号と関連付けて記憶されている。混雑状況図生成手段31は、従業員人体位置検出手段5から出力された位置情報と識別番号とに基づき従業員それぞれを個別に表すシンボルを平面図に上書きし、かつ、非従業員人体位置検出手段6から出力された位置情報に基づき非従業員を表すシンボルを平面図に上書きした混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。
なお、従業員人体位置検出手段5は携帯電話を用いても実現できる。RFIDの識別番号の代わりに電話番号(または個体番号)を用いればよい。
【0045】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図3は、本発明の第4の実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムの構成の一例を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムは、混雑状況提示装置9と、混雑状況情報蓄積サーバ10と、携帯端末12とを含んで構成される。
【0046】
第4の実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、平面図記憶手段1と、人体位置検出手段2と、混雑状況提示手段3と、発信器検出手段8と、識別番号発信装置7と、を含んで構成される。本実施の形態においては、人体位置検出手段2及び発信器検出手段8が、本発明の請求項に係る「物体検出手段」に該当する。また、平面図記憶手段1が、本発明の請求項に係る「空間データ記憶手段」に相当する。
【0047】
混雑状況情報蓄積サーバ10はWWWサーバであり、混雑状況提示装置9から受信した混雑状況情報をHTML形式に変換してハードディスク等の記憶装置に蓄積し、インターネットを介して携帯端末12から参照させる。
携帯端末12は、CPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ディスプレイ、無線通信インターフェース等のハードウェア、及び、メモリに記憶されたデータ、プログラム等のソフトウェアを備えている。これらのハードウェア及びソフトウェアにより、携帯端末12の機能構成として、図3に示す知人情報記憶手段11と混雑状況図表示手段13とが実現される。
【0048】
知人情報記憶手段11は、携帯端末12のユーザの知人の識別番号と対応するシンボルを記憶している。ここでのシンボルは、例えば知人の顔写真である。
混雑状況図表示手段13は、知人情報記憶手段11に記憶されている知人の識別番号と一致する識別番号と、その識別番号に対応した位置情報と、混雑状況図と、が含まれた混雑状況情報を混雑状況情報蓄積サーバ10から受信した場合に、その位置情報に基づいてその識別番号に対応するシンボルを混雑状況図上に描画した上で、ディスプレイに表示する。
【0049】
本実施の形態に係る識別番号発信装置7は、店舗等の所定空間内に居る人が所持する携帯電話に組み込まれたRFIDである。
本実施の形態に係る平面図記憶手段1は、第1の実施の形態に係る平面図記憶手段1と同じ機能を備えている。
本実施の形態に係る人体位置検出手段2は、第1の実施の形態に係る人体位置検出手段2と同じ機能を備えている。
【0050】
発信器検出手段8は、RFIDの位置を検出すると同時にその識別番号も検出する。
第1の実施の形態と同様に、混雑状況図生成手段31は、人体位置検出手段2で検出された人の位置情報に基づき、平面図記憶手段1に記憶されている平面図にシンボルを上書きすることにより、混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。このときに、発信器検出手段8で検出された位置情報が人体位置検出手段2で検出された位置情報のどれに対応するかを特定し、その位置情報と識別番号とを組にした情報も混雑状況情報の一つとして作成する。
【0051】
混雑状況図送信手段32は、混雑状況図生成手段31が生成した混雑状況情報を混雑状況情報蓄積サーバ10に送信する。混雑状況情報蓄積サーバ10は、混雑状況提示装置9の混雑状況図送信手段32から受信した混雑状況情報をHTML形式に変換して蓄積する。
携帯端末12は、混雑状況情報蓄積サーバ10にアクセスして混雑状況情報を受け取る。混雑状況図表示手段13は、受け取った混雑状況情報に含まれる識別番号の中に知人情報記憶手段11に記憶されている識別番号があれば、その識別番号に対応する顔写真を、混雑状況図のその識別番号に対応する位置に上書きして、ディスプレイにその混雑状況図を表示する。
【0052】
なお、この第4の実施の形態においては、混雑状況図表示手段13は、知人の識別番号に対応するシンボルを識別番号発信装置7の位置情報に基づいて描画した混雑状況図を表示するとして説明したが、これに限定されることはなく、例えば、知人の位置を混雑状況図上に示さずに、知人が存在する旨と混雑状況図とを表示してもよいし、知人の識別番号に対応するシンボルと混雑状況図とを表示してもよい。
【0053】
また、さらに、発信器検出手段8に従業員の識別番号を登録しておけば、混雑状況情報蓄積サーバ10に送信する情報のうち従業員のものと非従業員のものとを区別して取り扱うことができる。
また、第2及び第3の実施の形態とこの第4の実施の形態とを組み合わせることで、1つの混雑状況図に一般顧客と従業員と知人のシンボルを混在させて表示することもできる。
【0054】
また、携帯端末12に混雑状況図を送信する際、1つのシンボルを上書きする領域の大きさ情報(たとえば円であれば径、長方形であれば縦横)を付加し、知人の写真をその大きさにあわせて伸縮させてから上書きする工夫を施してもよい。
なお、本実施の形態においては、知人情報記憶手段11を携帯端末12に設けたが、サーバ(混雑状況情報蓄積サーバ10、混雑状況提示装置9、或いは、他のWEBサーバ)に、ユーザ毎に知人情報(IDと顔写真)を登録し、ユーザが携帯端末12を用いて混雑状況図を参照しようとした際に、サーバから知人の顔写真を上書きした混雑状況情報を携帯端末12に送信してもよい。
また、携帯端末12は、混雑状況情報蓄積サーバ10を介して混雑状況提示装置9から混雑状況図を受信したが、混雑状況情報蓄積サーバ10を介さずに、直接、混雑状況提示装置9から混雑状況図を受信するようにしてもよい。
【0055】
この第4の実施の形態における識別番号発信装置7にて識別番号を固定部分と可変部分とに分けることにより、所定空間内にいることを知らせない機能を実現してもよい。固定部分とは識別番号発信装置7の工場出荷時に設定され世界中で一意に決まる番号でありユーザが自由に変えることができないものである。可変部分とはユーザが自由に設定・変更できるものである。例えばA氏が自分の識別番号発信装置7の識別番号をB氏に教えると、B氏が参照した店舗の混雑状況情報にA氏の識別番号が含まれていればA氏がその店舗にいることがB氏にわかる。例えば、A氏がある日「今後はB氏に居所を探られたくない」と思ったとすると、この第4の実施の形態ではA氏はB氏に頼んでB氏の携帯端末から自分の識別番号を削除してもらうか、A氏自身の識別番号発信装置7を買い換えて識別番号自体を変える必要があり不便である。識別番号を固定部分と可変部分に分けておけば、A氏は自分の識別番号発信装置7の識別番号の可変部分を変更するだけでよい。すなわち可変部分は参照パスワードとして利用できるのである。
【0056】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。図4は、本発明の第5の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成の一例を示すブロック図である。
第5の実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置9が備える構成要素に加えて、滞留時間判定手段14を新たな構成要素として備えている。滞留時間判定手段14はCPUと内部時計とメモリとを含んで構成され、人が所定空間に滞留し続けている滞留時間を計算する。
【0057】
本実施の形態に係る平面図記憶手段1は、第1の実施の形態に係る平面図記憶手段1と同じ機能を備えている。
本実施の形態に係る人体位置検出手段2は請求項に係る「物体検出手段」に相当し、店舗や施設等の所定空間内に存在する人が所持しているRFIDの位置を検出すると同時にその識別番号も検出し、当該検出した情報を通知情報として滞留時間判定手段14に送信する。
【0058】
滞留時間判定手段14は、RFIDの番号毎に入場時刻を記憶している。滞留時間判定手段14は、人体位置検出手段2からの通知情報に当該番号が含まれなくなった場合、当該番号や入場時刻等の情報を記憶領域から削除して記憶領域を開放する。一方、上記通知情報により新たな番号が通知されれば記憶領域を確保する。そして、滞留時間判定手段14は記憶領域を確保したときの時刻を入場時刻として記憶する。また、滞留時間判定手段14は現在時刻と入場時刻の差を滞留時間として計算する。
【0059】
さらに、滞留時間判定手段14は、あらかじめ設定された、滞留時間に応じて描画するシンボルの模様を記憶している。例えば、滞留時間が1時間以上であればもうすぐ退出するだろうという主旨で縞模様でシンボルを描画させ、滞留1時間以内であればまだまだ退出しないだろうという主旨で塗りつぶしでシンボルを描画するように設定されている。模様の濃淡を今後の滞留予想時間に結び付けるのである。全部塗りつぶすことで「しっかり居残る」という印象を想起させ、縞模様にすることで「もうすぐいなくなりそう」という印象を想起させている。
【0060】
滞留時間判定手段14は、人体位置検出手段2から受け取った位置情報に描画模様の情報を付加して混雑状況図生成手段31に通知する。
混雑状況図生成手段31は、位置情報と描画模様の情報とに基づいて、平面図記憶手段1に記憶されている平面図に予め決められたシンボルを描画して混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。混雑状況図送信手段32は、混雑状況図生成手段31が生成した混雑状況情報を、サーバ等を経由してユーザが所持する端末に送信する。ユーザは、端末に表示された混雑状況図のシンボルによって、直感的に店舗等の所定空間における現在の混雑状況を把握することができ、また、今後の混雑状況を予想することが可能となる。
【0061】
すなわち、ユーザはシンボルの数や配置で混雑具合を直感的に認知できるし、模様によって混雑が解消しそうなのかまだまだ続くのかといった予測を直感的に瞬時に行える。模様の違いに限らず形状や色や大きさの違いで表現しても同じ効果を得られる。形状なら太いもの、色なら赤、大きさなら大きいものが「しっかり居残る」という印象を想起させる。
【0062】
なお、本実施の形態においては、表示パターンを2段階にしているが、経過した滞留時間と縞の本数を反比例させて、より精緻な情報を表現させることもできる。形状なら太り具合、色ならグラデーション、大きさなら倍率が縞の本数に対応する。
滞留時間を数字でシンボルの近くに書き加えてもよいが、模様・形状・色・大きさを変える方法に比べると直感的かつ瞬時に混雑状態の推移を予想させる利便性は劣る。
【0063】
なお、上記の説明では、人体位置検出手段2としてRFIDを用いて個体を識別(位置情報と記憶領域番号の紐付け)したが、人体が瞬時に大きく移動することはないという特徴を利用して、カメラ映像の前後のフレームを比較して個体の動きを補足し続けて個体を識別してもよい。
この第5の実施の形態では滞留時間を計測してシンボルの模様や色や形状を変えたが、滞留時間以外にも有用な情報をシンボルの違いを以ってユーザに知らせることができる。人体位置検出手段2にカメラを用いる場合は検知された形の大きさに従って大人用のシンボルと子供用のシンボルを使い分けたり、ベビーカーの形を検出して赤ちゃんのシンボルを描画したりできる。
【0064】
また、人体位置検出手段2と並列して音量計測手段を設けてもよい。アレイマイクによるヌルビームフォーマで、特定方向の音だけを分離抽出する技術が知られている。平面図をこの音源分離領域に対応して分割し、それぞれの領域の単位時間当たりの平均音量または最大音量を計測する。音量の大小によって異なるシンボルを用意し、実際にシンボルを平面図に描画する際にその位置情報から平均音量を参照してその音量に応じたシンボルで描画するのである。大きな音には大きなシンボルや赤いシンボルを割り当て、小さな音量には小さなシンボルや青いシンボルを割り当てればよい。ちなみにアレイマイクを天井に設置するケースでは半球を平面に投影した形で分割領域が変換されるので、計測された音量はその変換要領(距離と斜め具合)に従って補正されるのが好ましい。
また、平面図に禁煙エリアと喫煙エリアを表現し、赤外線センサーで熱源を検知して、その熱源の大きさと温度から火のついたタバコと判断される場合に平面図に喫煙者のシンボルまたはタバコのシンボルを描画してもよい。
【0065】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図5は、本発明の第6の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成の一例を示すブロック図である。同図に示すように、第6の実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置9が備える構成要素に加えて、混雑状況判定手段15を新たな構成要素として備えている。混雑状況判定手段15は、所定空間内の混雑の度合を判定する。混雑状況提示手段3は、混雑状況判定手段15により判定された混雑の度合に応じたインフォメーションをユーザに提示する。
【0066】
混雑度合は、例えば、座席数に対する入店客数、あるいは床面積に対する入店客数、あるいは出勤店員数に対する入店客数で定義する。集計単位を例えば1時間に定め、混雑状況判定手段15は、曜日毎・時間帯毎の混雑度合を記録し、平均を求め統計情報として記憶装置に記憶する。混雑状況判定手段15は、統計情報で示される混雑度合が、あらかじめ設けられた混雑度合の閾値を越えたら「混雑状態」と判定する。
ユーザが混雑状況図を閲覧した際、店内が「混雑状態」にあれば、混雑状況提示手段3は、前記の混雑度合の統計情報を参照して次に空きそうな時間帯を推奨する。逆に「混雑状態」になければ、前記の混雑度合の統計情報を参照して一定時間以内に「混雑状態」になることが予想されたら、混雑状況提示手段3はユーザにその旨を警告する。
【0067】
また、あらかじめ店舗をカテゴリー(例えば喫茶店、ハンバーガーショップ)毎に分類しておき、ユーザが混雑状況図を閲覧した店舗が「混雑状態」にあれば同じカテゴリーにある別の店舗情報を同時に表示させてもよい。表示順はそれぞれの混雑度合の小さい方からでもよいし、「混雑状態」にない店を地理的距離の近い順に表示してもよい。地理的距離の判断にはあらかじめ店毎に経緯度のデータを登録して直線距離を計算によって求めてもよいし、カーナビのルート検索に用いられる最短順路の道のりでもよいし、あらかじめ店毎に同じカテゴリーにある店までの距離を実測して登録してもよい。
なお、混雑状況提示手段3から携帯端末12に混雑状況情報を送信することによって、上述した同一カテゴリーの別店舗等のインフォメーションを携帯端末12に表示する場合には、混雑状況情報には同一カテゴリーの別店舗等の情報が含まれることとなる。
【0068】
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。図6は、本発明の第7の実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムの機能構成の一例を示すブロック図である。第7の実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムを構成する混雑状況提示装置9は、図3に示す第4の実施の形態に係る混雑状況提示装置9が備える機能に加えて、配信対象外識別番号記憶手段16を新たな構成要素として備えている。配信対象外識別番号記憶手段16は、携帯端末12において配信対象外の識別番号を記憶する。配信対象外の識別番号としては、例えば、ユーザが店舗内にいる知人を探している場合に、従業員に関する情報(位置情報及び識別番号、又は、識別番号のみ)が該当する。
【0069】
混雑状況提示手段3は、発信器検出手段8により検知された識別番号が、配信対象外識別番号記憶手段16に記憶されている配信対象外の識別番号である場合は、当該識別番号で識別される人に関する情報(位置情報及び識別番号、又は、識別番号のみ)を除いた混雑状況情報を携帯端末12に向けて送信する。このように、不要な情報を携帯端末12に送信しない仕組みを設けることで、通信負荷を軽減することができる。
【0070】
以上、第1から第7の実施の形態において説明したように、店舗または施設から離れた場所に設置された表示画面やユーザが所持する携帯端末12の画面に表示された店舗または施設の平面図上に、着座者のみならず座席以外の場所に立っている者もシンボルで描画されるので、ユーザは正確且つ直ちに混雑状況を把握することができる。さらに、ユーザは、施設内のどのあたりが混雑しているのか、空いている領域には椅子がいくつあり何名くらいがまとまって座れそうか、という詳細な情報も入手することができる。従来の技術では、描画精度はテーブル単位あるいは座席単位であって粗かったが、本発明では平面図に精緻に描画することができる。従って、ユーザは店の中を思い起こすことが容易になり、混雑状況を瞬時に直感的に把握することができる。
【0071】
レストランなどの店舗をグループで利用する場合には、分散することなく一箇所にまとまって着席したいというユーザの要望が強い。このような場合、ユーザは、事前にグループが一箇所にまとまって着席可能かどうかを知ることができ、店舗選びの利便性が大幅に向上する。
また、従業員が非従業員と区別して表示されるため、従業員と非従業員の比率を考慮してユーザは十分なサービスを受けることができるかどうかの判断基準とすることができる。また、従業員を個別に検知するので、サービスを受けたい従業員が不在かどうかをユーザが知ることができる。
【0072】
なじみの店や待ち合わせの店に知人がいるかどうかも瞬時にわかるので便利である。
店舗または施設側の観点からは、混雑状況を正確に把握することができるため、混雑の偏りに対応して効果的に従業員を配置することができる。
また、知人の存在を知らせるために店内で検出した識別番号をすべて携帯端末12に送信していては通信負荷が大きいが、従業員のものとわかっている識別番号等を携帯端末12に送信しない仕組みを設けて通信負荷を下げることができる。
このように、混雑状況提示装置9は、検出された人の位置に対応する平面図上の位置に、予め用意されたシンボルを描画した混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは、視覚的に店舗や施設等の所定空間内の混雑状況を把握することができ、正確、簡便かつ即座に混雑状況を把握することが可能となる。
【0073】
(第8の実施の形態)
次に、本発明に係る第8の実施の形態について説明する。
図7は、本実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、背景画像記憶手段40と、撮像手段41と、輪郭抽出手段44と、混雑状況提示手段3と、を含んで構成されている。背景画像記憶手段40は本発明の請求項に係る「空間データ記憶手段」に相当し、輪郭抽出手段44は本発明の請求項に係る「物体検出手段」に相当する。
【0074】
撮像手段41は、所定空間を撮影して、当該所定空間の映像を表示するための画像データを生成する。なお、撮像装置は、画像データを撮影可能な装置であればよく、例えば、静止画を撮影するカメラであっても、動画を撮影するビデオカメラであってもよい。
背景画像記憶手段40は、撮像手段41が所定空間を初期画像として撮影した背景画像データを記憶装置に記憶する。
【0075】
輪郭抽出手段44は、画像データから輪郭線を表すデータを抽出する。
混雑状況提示手段3は、ユーザに混雑状況図を提示する。混雑状況提示手段3は、混雑状況図生成手段31と混雑状況図送信手段32とを備えている。混雑状況図生成手段31は、背景画像データ上に物体の輪郭線を表すデータを描画することにより、混雑状況図を生成する。輪郭線混雑状況図送信手段32は、生成した混雑状況図をユーザに提示するために、混雑状況図を送信する。
【0076】
次に、本実施の形態に係る動作例について説明する。まず、所定空間としての店内を広く構図に収められる位置に、撮像手段41を設置する。撮像手段41の設置位置は、長方形の部屋であれば四隅上部を選んでもよいし、撮像手段41としてカメラに魚眼レンズを装着したものを天井中央に設置してもよい。
次に、背景画G2を準備する。具体的には、図8に示すように、撮像手段41によって無人の状態の静止画を初期画像として撮影し、これを背景画G2として背景画像記憶手段40により保存する。レンズによる歪みがあればこの時点で補正しておく。以下同様とする。
【0077】
次に、混雑状況図を作成する。具体的には、図9に示すように、撮像手段41によって店舗内を撮影することにより(ステップS101)、実写G3を得て、当該実写G3を輪郭抽出手段44に送る(ステップS102)。輪郭抽出手段4は、実写3における隣接する点同士の明度や色相の差分を計算して、ある閾値を超えた点を輪郭とみなす。すべての点についてこの処理を行うことにより(ステップS103)、輪郭線G5を得る。輪郭線G5の粗さは、顔から個人を判別することができないが、服装から性別を推定することができる程度の粗さがよい。輪郭線G5となる点の総数が一定量を超える場合は、前記閾値を大きくして輪郭線G5となる点の数を減らしてもよい。描画する輪郭線G5の面積が画面全体の面積の一定割合を超えないように、前記閾値を変えるようにしてもよい。撮影精度が細かく、抽出した輪郭線G5が人の目には細すぎる場合には、輪郭線G5となる点に隣接する点も輪郭線G5に含めることにより、輪郭線G5を太くしてもよい。また、いわゆる縁だけでなく、移動体の輝度や色相の境界線をある閾値をもってすべて描いてもよい。
【0078】
混雑状況図生成手段31では、予め背景画像記憶手段40に保存しておいた背景画G2に輪郭線5を上書きし(ステップS104)、混雑状況図G7を得る。
その後、混雑状況図G7は、混雑状況図送信手段32で配信され、ユーザに提示される。
なお、本実施の形態では、撮像手段41で撮った背景画G2を混雑状況図G7に用いたが、混雑状況図G7をより綺麗に見せるために、同じ構図の別な写真やイラストを用いてもよい。混雑状況図G7は綺麗なカラー画像とし、輪郭抽出用の撮像画像は処理の早いモノクロ画像としてもよい。撮像手段41に赤外線カメラを用いて、夜間は防犯用カメラとしてカメラを兼用する工夫をしてもよい。
【0079】
このように、本実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、輪郭を示す輪郭線データを描画した混雑状況図G7をユーザに提示することができるため、ユーザは、視覚的に、店内の混雑状況を正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。また、上述した第1から第7の実施の形態においては、平面図の上に人を表すシンボルを描いたが、本実施の形態においては、実際に撮影した背景画G2の上に輪郭線G5を描いて背景画G2を塗りつぶさないようにしたため、背景画G2(店内写真)がそのまま表示され、店の雰囲気をよりリアルにユーザに伝えることができる。また、物体を線画で描くことにより、物体に人が含まれている場合にも個人が特定されることがないため、個人のプライバシーを保護することができる。
【0080】
(第9の実施の形態)
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。
図10は、本発明の第9の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成の一例を示すブロック図である。同図に示すように、本実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、第8の実施の形態に係る混雑状況提示装置9が備える機能に加えて、差異部抽出手段48を備えている。差異部抽出手段48は画像データ同士の差異を抽出する。本実施の形態においては、差異部抽出手段48は、背景画像記憶手段40に記憶された背景画像データと、当該背景画像データが撮影された時間とは異なる時間に所定空間が撮影された実写データと、の差異を表すデータを抽出する。
差異部抽出手段48及び輪郭抽出手段44が本発明の請求項に係る「物体検出手段」に相当し、背景画像記憶手段40が本発明の請求項に係る「空間データ記憶手段」に相当する。
【0081】
次に、図11を参照して、本実施の形態に係る動作例について説明する。
撮像手段41を所定空間としての店内に設置し、背景画G2を作成し、実写G3を得る手順までは、上述した第8の実施の形態に同じである。
次に、混雑状況提示装置9は、背景画G2を撮影した時間とは異なる時間に撮像手段41により店内を撮影することにより(ステップS201)、実写G3を得て、当該実写G3を差異部抽出手段48に送る(ステップS202)。差異部抽出手段48は、実写G3と背景画G2との差異を検出し、当該差異があると判断された部分のみを実写G3から抜き出すことにより(ステップS203)、差異部画像G9を得て、当該差異部画像G9を輪郭抽出手段44に送る(ステップS204)。輪郭抽出手段44で差異部画像G9から輪郭線G5を抽出する(ステップS205)。
【0082】
その後、混雑状況図生成手段31で輪郭線G5を背景画G2に上書きすることにより混雑状況図G7を得る処理は、第8の実施の形態に同じである。なお、上書きする輪郭線G5の色は固定してもよいし、上書きする各点の色の階調を反転させた色(補色)を使って輪郭線G5を目立たせるようにしてもよい。
本実施の形態によれば、差異部画像G9の輪郭線G5のみを背景画G2に描画し、変化のない物体の輪郭線は描かれないので、混雑状況図G7を見たユーザに店の雰囲気をよりリアルに伝えることができる。
【0083】
(第10の実施の形態)
次に、第10の実施の形態について説明する。第10の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成は第9の実施の形態と同様である。上述した第9の実施の形態では、差異部抽出手段48により背景画G2と実写G3との差異を求めることによって物体を検出しているが、第10の実施の形態においては、差異部抽出手段48により一定時間前の複数の実写画像間の差異を求めることで短時間内に移動した物体を検出し、その物体の輪郭線G5のみを背景画G2に上書きする。
このような描画方法は、背景画G2と実写G3との時間的隔たりが大きく、画像全体の明度や色相が異なる場合に有効である。たとえば、背景画G2が昼間に撮った画像であり、実写G3が夕日の差し込んでいる時に撮った画像である場合が想定される。
【0084】
(第11の実施の形態)
次に、本発明の第11の実施の形態について説明する。第11の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成は第9の実施の形態と同様である。上述した第9の実施の形態においては、差異部抽出手段18により実写G3と背景画G2との差異データを求め、その差異データから輪郭線G5を抽出している。一方、第11の実施の形態においては、図12に示すように、まず、輪郭抽出手段44により双方の輪郭線を抽出し(ステップS301)、差異部抽出手段48により、実写G3の輪郭線に存在し背景画G2の輪郭線に存在しない部分のみを抽出して(ステップS302)、その抽出された部分を描画対象の輪郭線G5とする。
【0085】
その後、混雑状況図生成手段31で背景画G2に輪郭線G5を上書きして混雑状況図G7を得る処理は第9の実施の形態に同じである。
本実施の形態によれば、背景画G2と実写G3とを撮影した時間帯や天候が異なり、画像同士の明度や色相の差が大きい場合にも、輪郭線G5を適切に抽出することが可能となる。
【0086】
以上説明したように、第8から第11の実施の形態によれば、混雑状況提示装置9は、物体の輪郭線G5を描画した混雑状況図G7をユーザに提示することができるため、ユーザは、視覚的に、所定空間内の混雑状況を正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。また、実際に撮影した背景画G2の上に輪郭線G5を描くようにしたため、背景画G2を塗りつぶすことがなく、背景画G2をそのまま表示することができ、店の雰囲気をよりリアルにユーザに伝えることができる。また、物体を線画で描くことにより、物体に人が含まれている場合にも個人が特定されることないため、個人のプライバシーを保護することができる。
【0087】
さらに、第1から第7の実施の形態のように、平面図を書き起こしたり、描画用シンボルを用意する手間が不要となり、検知した移動体の位置を計算したり平面図に合わせて調整したりしなくてよい。また、第8、9、11の実施の形態においては、背景画G2と実写G3との差分(又は輪郭線の差分)をとるため、動かない人や荷物の席取り等も描画することができる。このため、例えば、特定のオブジェクトをテーブルにおいて「予約済」を伝達することができる。服装も描画できるので、業種によっては、客と店員の区別をすることができる。
さらに、実写G3の撮影時が夜でも、昼間撮影した背景画G2を使用することで、鮮明な混雑状況図G7を配信することができる。また、人の認識に「パターン認識」を行う必要がないので、環境変化に強く、屋外でも使える可能性が高い。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は当該実施の形態に限定されるものではなく、その技術思想の範囲内で様々な変形が可能である。
例えば、第1から第11の実施の形態に係る混雑状況提示装置9を構成する各機能は、物理的に離れた位置に存在していてもかまわない。輪郭抽出や差異部抽出などの画像処理手段は店内に個別に置いてもよいし、複数の店舗で共有できる処理サーバとして設けてもよいし、エンドユーザに対して表示制限を設けた携帯端末でもよい。
【0089】
また、第8から第11の実施の形態における変形例としては、以下のようなものが考えられる。
(1)一定時間以上撮影した動画から移動体を取り除いて背景を抽出し、背景画G2を自動的に更新するようにしてもよい。
なお、何らかの理由でカメラ位置がずれることにより、背景画G2と実写G3との構図がずれてしまった場合には、上記自動更新機能がなくても、背景画G2を取り直せば簡単に復旧することができる。
【0090】
(2)顔認識(顔抽出)を用い、一定の閾値以上の大きさの顔は目鼻の輪郭を描かないという工夫によって個人のプライバシーを守るようにしてもよい。また、顔認識(顔抽出)を行い、顔部分を太い線で描いて人を強調するようにしてもよい。また、赤外線カメラを用い、熱を帯びた移動体は太い線で描いて人や動物を強調するようにしてもよい。なお、線を強調する方法として、太い線で描く以外に、色や輝度を変えてもよいし、線画を背景画に対する補色で描いてもよい。
【0091】
(3)撮像手段41としてのカメラが動く場合はパノラマ写真を用意し、カメラの回転角によってパノラマ写真から該当する部分を抜き出して背景画G2としてもよい。また、カメラの回転角によらず、パノラマ写真から背景画の構図と一致する部分を自動検出し、当該部分を抜き出して背景画G2としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、施設や店舗等のあらゆる空間内における正確な混雑状況図の提供サービス、配信サービスに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の本発明の第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2及び第3の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第4の実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第5の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第6の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第7の実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第8の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図8】同実施の形態に係る動作例の一例を示す図である。
【図9】同実施の形態に係る動作例の一例を示す図である。
【図10】本発明の第9の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図11】同実施の形態に係る動作例の一例を示す図である。
【図12】本発明の第11の実施の形態に係る動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
9 混雑状況提示装置
1 平面図記憶手段
2 人体位置検出手段
3 混雑状況提示手段
31 混雑状況図生成手段
32 混雑状況図送信手段
5 従業員人体位置検出手段
6 非従業員人体位置判別手段
7 識別番号発信装置
8 発信器検出手段
14 滞留時間判定手段
15 混雑状況判定手段
16 配信対象外識別番号記憶手段
10 混雑状況情報蓄積サーバ
12 携帯端末
11 知人情報記憶手段
13 混雑状況図表示手段
40 背景画像記憶手段
41 撮像手段
44 輪郭抽出手段
48 差異部抽出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗や施設等の所定空間内における混雑状況に関する情報を提供する混雑状況提示装置、及び、混雑状況情報閲覧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗や施設等の所定空間における混雑状況に関する情報を提供する技術は種々検討されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の空席案内装置は、赤外線センサ群を用いて座席領域ごとに人体の有無を検出することで、座席が空席かどうかを判定している。
【特許文献1】特開平07−244783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載の空席案内装置では、1名用の座席ごとに赤外線を区分検出する複数の赤外線センサ群を配置しているために、着席人数と着席位置とが多様となる長椅子には対応できず、様々な空間における混雑状況を正確に把握するために利用することができないという問題と、座席が設けられた列車や施設等の入口に空席表示部を設置しているため、ユーザがその場所へ出向くことなく空席情報を簡便に入手することができなかったという問題があった。さらに着席している人物が従業員かどうかの区別もできなかった。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、所定空間における混雑状況をユーザが正確、簡便かつ即座に把握することを可能とする混雑状況提示装置、及び、混雑状況情報閲覧システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、所定空間における混雑状況に関する情報をユーザに提示する混雑状況提示装置であって、前記所定空間が視覚化された空間データを記憶する空間データ記憶手段と、前記所定空間内に存在する物体を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段により検出された物体の位置に対応する前記空間データ上の位置に、該検出された物体を示す物体データを描画した混雑状況図をユーザに提示する混雑状況提示手段とを備えることを特徴とする混雑状況提示装置を提供する。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、検出された物体を示す物体データを描画した混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは、視覚的に、所定空間内の混雑状況を正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段は、人の位置を検出し、前記混雑状況提示手段は、前記物体検出手段により検出された人の位置に対応する前記空間データ上の位置に、該検出された人を示す人データを描画した混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、検出された人を示す人データを描画した混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは所定空間内における人の混雑状況を、正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段は、特定の分類に属する人の位置を検出し、前記混雑状況提示手段は、前記人検出手段により検出された特定の分類に属する人の位置と属さない人の位置とを異なるシンボルで区別してユーザに提示することを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、特定の分類に属する人の位置と属さない人の位置とを異なるシンボルで区別してユーザに提示するため、ユーザは、視覚的に、所定空間内に存在する人が特定の分類に属する人か否かを正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。また、人をシンボルで表すため、個人のプライバシーを保護することができる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の混雑状況提示装置において、前記所定空間は店舗内の空間であり、前記特定の分類は店舗の従業員であることを特徴とする。
本発明によれば、従業員と非従業員とを異なるシンボルでユーザに提示することで、ユーザは視覚的に店舗内の混雑具合を正確、簡便かつ即座に把握することができる。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1項に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段は、前記所定空間内に存在する個人を識別し、前記混雑状況提示手段は、前記物体検出手段により検出された個人に対応する個別のシンボルが描画された混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、個人に対応する個別のシンボルが描画された混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは視覚的に所定空間内のどこに誰が居るのかを正確、簡便かつ即座に把握することができる。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段は、人が携帯している識別番号発信装置から発信される識別番号を、個人を識別するための情報として用いることを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、所定空間内に存在する人に識別番号発信装置を携帯させることで個人を容易に識別することが可能となる。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか1項に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段により検出された人が前記所定空間内に滞留し続けている滞留時間を判定する滞留時間判定手段をさらに備え、前記混雑状況提示手段は、前記滞留時間判定手段により判定された滞留時間に応じたシンボルを描画した混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、人の滞留時間に応じたシンボルを描画した混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは視覚的に所定空間における現在の混雑状況を容易に把握することができ、また、今後の混雑状況を予測することが可能となる。
【0011】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7の何れか1項に記載の混雑状況提示装置において、前記所定空間内の混雑の度合を判定する混雑状況判定手段をさらに備え、前記混雑状況提示手段は、前記混雑状況判定手段により判定された混雑の度合に応じたインフォメーションをユーザに提示することを特徴とする。
本発明によれば、ユーザは混雑状況に応じたインフォメーションを得ることができるため、所定空間内が混雑している場合にも有効な対応策をとることができ、利便性が高まる。
【0012】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の混雑状況提示装置において、前記物体データは、物体の輪郭線を表すデータであることを特徴とする。
本発明によれば、物体を輪郭線で描くことができ、物体をシンボルで表現するよりも物体の様子をリアルかつ詳細に表現することができる。さらに、写真よりもリアルでないため、物体が人である場合に個人が特定されることがなく、個人のプライバシーを保護することができる。
【0013】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9の何れか1項に記載の混雑状況提示装置において、前記物体検出手段は、異なる時間に同一の場所が撮影された画像データ同士の差異に基づいて物体を検出することを特徴とする。
本発明によれば、異なる時間に同一の場所が撮影された画像データ同士を比較することで、移動した物体のみを容易に検出することができる。また、背景画に余計な輪郭線を重ねないので混雑状況をわかりやすく伝えることができる。
【0014】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の混雑状況提示装置において、前記空間データ記憶手段は、前記所定空間を初期画像として撮影した背景画像データを記憶し、前記物体検出手段は、前記空間データ記憶手段に記憶された背景画像データと、該背景画像データが撮影された時間とは異なる時間に前記所定空間が撮影された実写データと、の差異を表す差異データを抽出し、該抽出された差異データから輪郭線を表すデータを前記物体データとして抽出することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、混雑状況提示装置は、背景画像データと実写データとの差異を表す差異データを抽出し、差異データから輪郭線を表すデータを物体データとして抽出し、当該物体データを背景画像データ上に描画する。背景画像データとの差異を検出することで、たとえば席取りのために置かれて長い間放置されたカバンを検出しユーザに提示することができる。また、物体のみを輪郭線で描くため、物体が人である場合に個人が特定されず、個人のプライバシーを保護することができる。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項9に記載の混雑状況提示装置において、前記空間データ記憶手段は、前記所定空間を初期画像として撮影した背景画像データを記憶し、前記物体検出手段は、前記空間データ記憶手段に記憶された背景画像データと、該背景画像データが撮影された時間とは異なる時間に前記所定空間が撮影された実写データと、からそれぞれ輪郭線を表す輪郭線データを抽出し、該抽出された輪郭線データ同士の差異を表すデータを前記物体データとして抽出することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、混雑状況提示装置は、背景画像データと実写データとからそれぞれ輪郭線を表す輪郭線データを抽出し、抽出された輪郭線データ同士の差異を表すデータを物体データとして抽出し、当該物体データを背景画像データ上に描画することによって、背景画像データと実写データとを撮影した時間帯や天候が異なり明度や色相の差が大きい場合にも、物体データを適切に抽出し、所定空間の雰囲気をリアルに伝えることのできる混雑状況図を生成しユーザに提示することができる。また、物体を輪郭線で描くため、物体が人である場合に個人が特定されないため、個人のプライバシーを保護することができる。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項1から12の何れか1項に記載の混雑状況提示装置と、該混雑状況提示装置から受信した混雑状況情報に基づいて前記混雑状況図を表示する携帯端末と、を備えることを特徴とする混雑状況情報閲覧システムを提供する。
本発明によれば、ユーザは携帯端末を携帯することで、どこにいても混雑状況図を携帯端末に表示して、視覚的に所定空間内の混雑状況を正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システムにおいて、前記携帯端末は、知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と一致する識別番号を含む混雑状況情報を前記混雑状況提示装置から受信した場合に、該知人が前記所定空間内にいる旨と混雑状況図とを表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザは、混雑状況図とともに携帯端末に表示された知人がいる旨の有無によって、知人が所定空間内にいるか否かを即座に把握することができる。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システムにおいて、前記携帯端末は、知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と一致する識別番号を含む混雑状況情報を前記混雑状況提示装置から受信した場合に、該知人の識別番号に対応するシンボルと混雑状況図とを表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザは、混雑状況図とともに携帯端末に表示されたシンボルを見ることによって、知人が所定空間内にいるか否かを即座に把握することができる。
【0021】
請求項16に記載の発明は、請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システムにおいて、前記混雑状況情報は、前記識別番号発信装置の識別番号とその位置情報とを含み、前記携帯端末は、知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と前記識別番号発信装置の識別番号とが一致する場合に、該知人の識別番号に対応するシンボルを該識別番号発信装置の位置情報に基づいて描画した混雑状況図を表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザは、携帯端末に表示された混雑状況図のシンボルを見ることによって、知人が所定空間内にいるか否か、また、知人がいる場合には所定空間内のどこにいるかを即座に把握することができる。
【0022】
請求項17に記載の発明は、請求項13から16の何れか1項に記載の混雑状況情報閲覧システムにおいて、前記混雑状況提示装置は、前記携帯端末における配信対象外の識別番号を記憶する配信対象外識別番号記憶手段をさらに備え、前記混雑状況提示手段は、前記物体検出手段により検知された識別番号が前記配信対象外識別番号記憶手段に記憶されている配信対象外の識別番号である場合は、該識別番号で識別される人に関する情報を除いた混雑状況情報を前記携帯端末に向けて送信することを特徴とする。
本発明によれば、混雑状況提示装置は、携帯端末における配信対象外の人に関する情報を除いた混雑状況情報を送信するため、通信負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、混雑状況提示装置は、検出された物体を示す物体データを描画した混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは、視覚的に、所定空間内の混雑状況を正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明に係る第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成の一例を示すブロック図である。同図に示すように、第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、平面図記憶手段1と、人体位置検出手段2と、混雑状況提示手段3と、を含んで構成されている。なお、人体位置検出手段2が、本発明の請求項に係る「物体検出手段」に相当する。また、平面図記憶手段1が、本発明の請求項に係る「空間データ記憶手段」に相当する。これらの構成要素は、混雑状況提示装置9が備えるCPU、記憶装置等のハードウェア、及び、プログラム等のソフトウェアによって実現される。以下、これらの構成要素の詳細について説明する。
【0025】
平面図記憶手段1は、ハードディスク装置等の記憶装置で構成される。平面図記憶手段1には、店舗や施設等の所定空間の平面図が二次元座標情報と共に記憶されている。正確な座標情報を要求される場合は、平面図はCAD(Computer Aided Design)で用いられるDXF形式が適当である。一方、絵柄を重視する場合はBMP形式やGIF形式やJPEG形式を平面図に用いるが、この場合には、二次元座標情報として描画の基点となる1つ以上の代表点の座標のみを別ファイルとして記憶してもよいし、長方形の部屋であれば部屋の四隅を画像の四隅に対応させるという暗黙のルールを用いてもよい。座標精度は、平面図の分解能(画素数)と後述の人体位置検出手段2の検出精度とのうち、粗い方を採用しておく。さらに粗くしてもよい。
【0026】
人体位置検出手段2は、前述の平面図の描画対象となった所定空間内に存在する人を検知し、その位置情報を出力する。位置情報は前述の平面図の二次元座標に換算される。あるいは前述の描画の起点からの相対位置で示してもよい。
人体の検知には、具体的には、テレビカメラ・赤外線カメラ・焦電センサ・圧力センサ・無線・レーザーなどの公知の技術を用いればよい。人が部屋のどこにいるのかを検出する方法は、用いるセンサによって異なる。それぞれ以下の方法で検出することができる。
【0027】
テレビカメラ・赤外線カメラを用いる場合、魚眼レンズやリフレクトカメラのように1つのカメラで部屋等の空間全体を捉えて座標変換によって補正してもよいし、2台のカメラを近接して配しその差分から物体の距離を求めてもよいし、複数のカメラ(たとえば部屋の四隅に1つずつ)を設置してそれぞれの映像から検出した位置情報を後から総合的に判断してもよい。動画処理の特徴を生かし、連続する複数のフレーム情報を用いて背景分離法で動物体を認識させてその位置を検出してもよいし、フーリエ変換・離散余弦変換・K−L変換などの特徴抽出アルゴリズムを用いて人画像のモデルを定義しパターンマッチング処理をして静止画から人の位置を検出してもよいし、それらの手法を組み合わせてもよい。
【0028】
焦電センサを用いる場合はフレネルレンズで部屋全体の熱源の動きを1箇所に集積したセンサで検知してもよいし、天井に格子状に配した複数のセンサからの情報を総合的に判断してもよい。あるいはテーブルの裏面に焦電センサを配して脚の動きで人の存在を検知してもよい。焦電センサを用いる場合は個々のセンサごとに位置が決まるので位置の検出は特段の処理は不要である。
圧力センサを用いる場合は床面に格子状に配して人の位置を検知すればよい。椅子が固定されていて位置が特定できる場合は、椅子に圧力センサを設置して座っている人を検知してもよい。
【0029】
無線を用いる場合はRFID(Radio Frequency Identification)をバッジやブローチや帽子など人が身につけるものに組み込んで用いてもよいし、携帯電話にRFIDをあらかじめ組み込んでおいて認識させてもよい。携帯電話が発する電波を受信するアンテナを3箇所以上配して携帯電話を検知し、携帯電話の位置を人の位置とみなしてもよい。テーブル単位や座席単位で位置を検出したい場合はトレイや食器にRFIDを組み込むことで人が占有している位置を検出できる。
【0030】
レーザーを用いる場合は天井と床に射光器と受光器を組み合わせて満遍なく配し、レーザー光を遮ったことを検知して人の位置を検出すればよい。
人体位置検出手段2は、検出された人体の位置情報を混雑状況提示手段3に引渡し、再び検知処理に戻る。停止命令を受け取るまでこの処理を繰り返す。
混雑状況提示手段3は、人体位置検出手段2により検出された人の位置に対応する平面図上の位置に、予め用意されたシンボルが描画された混雑状況図をユーザに提示する。混雑状況提示手段3の機能を詳細に説明すると、混雑状況提示手段3は、混雑状況図生成手段31と混雑状況図送信手段32とを備えている。
【0031】
混雑状況図生成手段31は、混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。混雑状況図生成手段31は平面図上の人の位置を表すためのシンボルを記憶しており、人体位置検出手段2から定期的に出力される人の位置情報に基づき、平面図記憶手段1に記憶されている平面図の前記位置情報に対応する位置にシンボルを上書きして混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。
人体位置検出手段2から出力される位置情報があらかじめ定められた原点(たとえば北西角)と直交2軸方向(たとえば東と南)の実寸(たとえばメートル単位)で表される場合は、平面図上の原点対応点(たとえば左上)と縮尺(たとえば1m→100ピクセル)を保持しておくことで簡単に換算することができる。
【0032】
シンボルは人を表していると認められるものなら何でもよく、○や□といった単純な図形でもよいし、人あるいは動物の顔や姿を抽象化した絵でもよいし、写真でもよい。シンボルに左向き・右向き・正面・後ろ向きといった方向を持たせたデザインを用意し、検出された位置情報から最寄りの壁を求め、その壁に背を向ける方向のデザインのシンボルを選択して用いてもよい。もちろん壁が斜めであればその角度に応じたデザインを用意するのはいうまでもない。壁が曲線で構成される場合はシンボルを3Dデータで記憶しておき、検出された位置情報から最寄りの壁の最短距離にある点を算出し、その点における法線を求めてその角度に応じたシンボルを3Dモデルから生成して用いることもできる。
【0033】
書き加える図形が重なってはいけない領域(たとえば壁や机)をあらかじめ平面図に設定し、検知した位置にそのまま図形を書き加えると該領域に掛かってしまう場合、隣接点の法線方向に中心位置をずらして重なりがないように書き加える工夫を施してもよい。混雑状況図生成手段31は、平面図内の構成要素の内、可動物体(テーブルなど)を起動時あるいはオーナーの指示により検知し直して平面図を更新する。更に定期的(2時間おき)に検知し、平面図を微調整(存在を増やしたり減らしたりすることなく描画位置を修正)して平面図の精度を保つ工夫を施してもよい。
【0034】
なお、混雑状況図生成手段31は、静止画としての混雑状況図を生成するのみではなく、平面図にシンボルが描画される動きをそのまま記録したり、描かれた混雑状況図を連続するコマとして記録したりすることにより、動画としての混雑状況図を生成するようにしてもよい。
混雑状況図送信手段32は、混雑状況図生成手段31が生成した混雑状況情報(本実施の形態では混雑状況図)を通信インターフェースから外部に送信する。送信先としては、例えば店舗が大きなビルディング内にある場合にはそのビルディングの入口でもよいし、遠隔地の看板でもよいし、衛星・地上波・ケーブルなどの各種テレビ放送でもよいし、インターネット上のWEBサーバでもよい。送信先を中継して混雑状況図を閲覧するために使用される機器としては、テレビ・パソコン・携帯電話・PDAなど、静止画を表示できるものであれば何でもよい。また、外部に混雑状況情報を送信せずに、混雑状況提示装置9に内蔵されているディスプレイに混雑状況情報を出力して混雑状況図を表示するようにしてもよい。
【0035】
この第1の実施の形態では混雑状況をその空間の利用者に広く閲覧させているが、同じ設備を休日や夜間のセキュリティー(侵入者検知・火災報知)システムとして活用してもよい。セキュリティーシステムにおいては一般の利用者からの閲覧を禁止する一方、人や火を検知した際にあらかじめ登録してある電話番号やメールアドレスに通知するようにしてもよい。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の構成の一例を示すブロック図である。
同図に示すように、第2の実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置9が備える機能に加えて、従業員人体位置検出手段5と、非従業員人体位置判別手段6と、を新たな構成要素として備えている。
本実施の形態においては、人体位置検出手段2、従業員人体位置検出手段5及び非従業員人体位置判別手段6が、本発明の請求項に係る「物体検出手段」に相当する。
【0037】
識別番号発信装置7は前述のRFIDであり、従業員人体位置検出手段5から電波を受けるとその識別番号を発信するものである。従業員は、識別番号発信装置7が組込まれたバッジを身につけている。
従業員人体位置検出手段5は識別番号発信装置7の位置を検出する手段である。例えば、特開2004−294338号公報に開示されている技術を用いて空間内のRFIDの位置を検出できることが知られている。
【0038】
非従業員人体位置判別手段6では、人体位置検出手段2及び従業員人体位置検出手段5からの出力を受け取る。非従業員人体位置判別手段6は、従業員人体位置検出手段5で検出された位置情報が人体位置検出手段2で検出された位置情報のどれに対応するかを特定する。そして、人体位置検出手段2で検出された位置情報のうち、従業員人体位置検出手段5で検出された位置情報に対応しなかった余りの分を非従業員の位置情報として出力する。
【0039】
混雑状況図生成手段31は、従業員を表すシンボルと非従業員を表すシンボルとを記憶している。混雑状況図生成手段31は、従業員人体位置検出手段5から出力された従業員の位置情報に基づき従業員を表すシンボルを平面図に上書きし、かつ、非従業員人体位置検出手段6から出力された非従業員の位置情報に基づき非従業員を表すシンボルを平面図に上書きすることにより、混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。
【0040】
なお、従業員人体位置検出手段5は携帯電話を用いても実現することができる。携帯電話が発する電波を受信するアンテナを3箇所以上配置しておき、店内等の空間内の携帯電話の位置を検出する。この場合は、検出された携帯電話が非従業員のものである場合もあるので、非従業員人体位置判別手段6に全従業員の携帯電話番号(または個体番号)を登録しておき、従業員人体位置検出手段5から出力された位置情報の中でこの登録情報にあるものだけを従業員の位置情報として扱う。
【0041】
また、従業員人体位置検出手段5はテレビカメラを用いても実現することができる。従業員に特殊な形状の帽子を常にかぶらせることとし、あらかじめその帽子の映像を離散余弦変換などの空間周波数を用いて特徴量を抽出しモデル化しておく。カメラ画像を適宜適当なエリアに分割して特徴量を計算し、帽子モデルと比較して位置を検出すればよい。帽子の代わりに仮面や衣装や着ぐるみを用いても同様の機能を実現することができる。
【0042】
またカウンターの中にいるのが従業員、カウンターの外にいるのが非従業員と決まっている店舗においては、平面図記憶手段1の平面図にカウンターの内外の区別(「従業員エリア」、「非従業員エリア」)を記憶させ、従業員人体位置検出手段5に従業員エリアの人体位置を検出させれば同様の機能を実現することができる。このとき、人体位置検出手段2に「非従業員エリア」のみを検知させると非従業員人体位置判別手段6が不要になり効率がよい。人体位置検出手段2及び従業員人体位置検出手段5には同じセンサを用いてよい。
なお、本実施の形態においては、店舗の従業員と非従業員とを区別する例について説明したが、これに限定されることはなく、来客とそれ以外、芸能人とそれ以外、医者とそれ以外等、特定の分類に属する人と属さない人とを区別するようにしてもよい。
【0043】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。本発明の第3の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の構成は、図2に示す第2の実施の形態に係る混雑状況提示装置9と同じ構成となる。第3の実施の形態の第2の実施の形態との主たる違いは、RFIDの識別番号を区別して利用する点にある。
識別番号発信装置7はRFIDである。従業員ごとにRFIDの識別番号を固定し、たとえば、従業員が身に付ける名札にRFIDを組込む。
従業員人体位置検出手段5は、識別番号発信装置7の位置を検出すると同時に、その識別番号も検出する。
非従業員人体位置判別手段6が人体位置検出手段2及び従業員人体位置検出手段5の出力を受け取り、その差分を非従業員の位置情報として出力する点は、第2の実施の形態と同様である。
【0044】
混雑状況図生成手段31は、従業員を表すシンボルと非従業員を表すシンボルとを記憶している。従業員のシンボルは従業員ごとに異なり、そのシンボルはRFIDの識別番号と関連付けて記憶されている。混雑状況図生成手段31は、従業員人体位置検出手段5から出力された位置情報と識別番号とに基づき従業員それぞれを個別に表すシンボルを平面図に上書きし、かつ、非従業員人体位置検出手段6から出力された位置情報に基づき非従業員を表すシンボルを平面図に上書きした混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。
なお、従業員人体位置検出手段5は携帯電話を用いても実現できる。RFIDの識別番号の代わりに電話番号(または個体番号)を用いればよい。
【0045】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図3は、本発明の第4の実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムの構成の一例を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムは、混雑状況提示装置9と、混雑状況情報蓄積サーバ10と、携帯端末12とを含んで構成される。
【0046】
第4の実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、平面図記憶手段1と、人体位置検出手段2と、混雑状況提示手段3と、発信器検出手段8と、識別番号発信装置7と、を含んで構成される。本実施の形態においては、人体位置検出手段2及び発信器検出手段8が、本発明の請求項に係る「物体検出手段」に該当する。また、平面図記憶手段1が、本発明の請求項に係る「空間データ記憶手段」に相当する。
【0047】
混雑状況情報蓄積サーバ10はWWWサーバであり、混雑状況提示装置9から受信した混雑状況情報をHTML形式に変換してハードディスク等の記憶装置に蓄積し、インターネットを介して携帯端末12から参照させる。
携帯端末12は、CPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ディスプレイ、無線通信インターフェース等のハードウェア、及び、メモリに記憶されたデータ、プログラム等のソフトウェアを備えている。これらのハードウェア及びソフトウェアにより、携帯端末12の機能構成として、図3に示す知人情報記憶手段11と混雑状況図表示手段13とが実現される。
【0048】
知人情報記憶手段11は、携帯端末12のユーザの知人の識別番号と対応するシンボルを記憶している。ここでのシンボルは、例えば知人の顔写真である。
混雑状況図表示手段13は、知人情報記憶手段11に記憶されている知人の識別番号と一致する識別番号と、その識別番号に対応した位置情報と、混雑状況図と、が含まれた混雑状況情報を混雑状況情報蓄積サーバ10から受信した場合に、その位置情報に基づいてその識別番号に対応するシンボルを混雑状況図上に描画した上で、ディスプレイに表示する。
【0049】
本実施の形態に係る識別番号発信装置7は、店舗等の所定空間内に居る人が所持する携帯電話に組み込まれたRFIDである。
本実施の形態に係る平面図記憶手段1は、第1の実施の形態に係る平面図記憶手段1と同じ機能を備えている。
本実施の形態に係る人体位置検出手段2は、第1の実施の形態に係る人体位置検出手段2と同じ機能を備えている。
【0050】
発信器検出手段8は、RFIDの位置を検出すると同時にその識別番号も検出する。
第1の実施の形態と同様に、混雑状況図生成手段31は、人体位置検出手段2で検出された人の位置情報に基づき、平面図記憶手段1に記憶されている平面図にシンボルを上書きすることにより、混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。このときに、発信器検出手段8で検出された位置情報が人体位置検出手段2で検出された位置情報のどれに対応するかを特定し、その位置情報と識別番号とを組にした情報も混雑状況情報の一つとして作成する。
【0051】
混雑状況図送信手段32は、混雑状況図生成手段31が生成した混雑状況情報を混雑状況情報蓄積サーバ10に送信する。混雑状況情報蓄積サーバ10は、混雑状況提示装置9の混雑状況図送信手段32から受信した混雑状況情報をHTML形式に変換して蓄積する。
携帯端末12は、混雑状況情報蓄積サーバ10にアクセスして混雑状況情報を受け取る。混雑状況図表示手段13は、受け取った混雑状況情報に含まれる識別番号の中に知人情報記憶手段11に記憶されている識別番号があれば、その識別番号に対応する顔写真を、混雑状況図のその識別番号に対応する位置に上書きして、ディスプレイにその混雑状況図を表示する。
【0052】
なお、この第4の実施の形態においては、混雑状況図表示手段13は、知人の識別番号に対応するシンボルを識別番号発信装置7の位置情報に基づいて描画した混雑状況図を表示するとして説明したが、これに限定されることはなく、例えば、知人の位置を混雑状況図上に示さずに、知人が存在する旨と混雑状況図とを表示してもよいし、知人の識別番号に対応するシンボルと混雑状況図とを表示してもよい。
【0053】
また、さらに、発信器検出手段8に従業員の識別番号を登録しておけば、混雑状況情報蓄積サーバ10に送信する情報のうち従業員のものと非従業員のものとを区別して取り扱うことができる。
また、第2及び第3の実施の形態とこの第4の実施の形態とを組み合わせることで、1つの混雑状況図に一般顧客と従業員と知人のシンボルを混在させて表示することもできる。
【0054】
また、携帯端末12に混雑状況図を送信する際、1つのシンボルを上書きする領域の大きさ情報(たとえば円であれば径、長方形であれば縦横)を付加し、知人の写真をその大きさにあわせて伸縮させてから上書きする工夫を施してもよい。
なお、本実施の形態においては、知人情報記憶手段11を携帯端末12に設けたが、サーバ(混雑状況情報蓄積サーバ10、混雑状況提示装置9、或いは、他のWEBサーバ)に、ユーザ毎に知人情報(IDと顔写真)を登録し、ユーザが携帯端末12を用いて混雑状況図を参照しようとした際に、サーバから知人の顔写真を上書きした混雑状況情報を携帯端末12に送信してもよい。
また、携帯端末12は、混雑状況情報蓄積サーバ10を介して混雑状況提示装置9から混雑状況図を受信したが、混雑状況情報蓄積サーバ10を介さずに、直接、混雑状況提示装置9から混雑状況図を受信するようにしてもよい。
【0055】
この第4の実施の形態における識別番号発信装置7にて識別番号を固定部分と可変部分とに分けることにより、所定空間内にいることを知らせない機能を実現してもよい。固定部分とは識別番号発信装置7の工場出荷時に設定され世界中で一意に決まる番号でありユーザが自由に変えることができないものである。可変部分とはユーザが自由に設定・変更できるものである。例えばA氏が自分の識別番号発信装置7の識別番号をB氏に教えると、B氏が参照した店舗の混雑状況情報にA氏の識別番号が含まれていればA氏がその店舗にいることがB氏にわかる。例えば、A氏がある日「今後はB氏に居所を探られたくない」と思ったとすると、この第4の実施の形態ではA氏はB氏に頼んでB氏の携帯端末から自分の識別番号を削除してもらうか、A氏自身の識別番号発信装置7を買い換えて識別番号自体を変える必要があり不便である。識別番号を固定部分と可変部分に分けておけば、A氏は自分の識別番号発信装置7の識別番号の可変部分を変更するだけでよい。すなわち可変部分は参照パスワードとして利用できるのである。
【0056】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。図4は、本発明の第5の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成の一例を示すブロック図である。
第5の実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置9が備える構成要素に加えて、滞留時間判定手段14を新たな構成要素として備えている。滞留時間判定手段14はCPUと内部時計とメモリとを含んで構成され、人が所定空間に滞留し続けている滞留時間を計算する。
【0057】
本実施の形態に係る平面図記憶手段1は、第1の実施の形態に係る平面図記憶手段1と同じ機能を備えている。
本実施の形態に係る人体位置検出手段2は請求項に係る「物体検出手段」に相当し、店舗や施設等の所定空間内に存在する人が所持しているRFIDの位置を検出すると同時にその識別番号も検出し、当該検出した情報を通知情報として滞留時間判定手段14に送信する。
【0058】
滞留時間判定手段14は、RFIDの番号毎に入場時刻を記憶している。滞留時間判定手段14は、人体位置検出手段2からの通知情報に当該番号が含まれなくなった場合、当該番号や入場時刻等の情報を記憶領域から削除して記憶領域を開放する。一方、上記通知情報により新たな番号が通知されれば記憶領域を確保する。そして、滞留時間判定手段14は記憶領域を確保したときの時刻を入場時刻として記憶する。また、滞留時間判定手段14は現在時刻と入場時刻の差を滞留時間として計算する。
【0059】
さらに、滞留時間判定手段14は、あらかじめ設定された、滞留時間に応じて描画するシンボルの模様を記憶している。例えば、滞留時間が1時間以上であればもうすぐ退出するだろうという主旨で縞模様でシンボルを描画させ、滞留1時間以内であればまだまだ退出しないだろうという主旨で塗りつぶしでシンボルを描画するように設定されている。模様の濃淡を今後の滞留予想時間に結び付けるのである。全部塗りつぶすことで「しっかり居残る」という印象を想起させ、縞模様にすることで「もうすぐいなくなりそう」という印象を想起させている。
【0060】
滞留時間判定手段14は、人体位置検出手段2から受け取った位置情報に描画模様の情報を付加して混雑状況図生成手段31に通知する。
混雑状況図生成手段31は、位置情報と描画模様の情報とに基づいて、平面図記憶手段1に記憶されている平面図に予め決められたシンボルを描画して混雑状況情報の一つである混雑状況図を生成する。混雑状況図送信手段32は、混雑状況図生成手段31が生成した混雑状況情報を、サーバ等を経由してユーザが所持する端末に送信する。ユーザは、端末に表示された混雑状況図のシンボルによって、直感的に店舗等の所定空間における現在の混雑状況を把握することができ、また、今後の混雑状況を予想することが可能となる。
【0061】
すなわち、ユーザはシンボルの数や配置で混雑具合を直感的に認知できるし、模様によって混雑が解消しそうなのかまだまだ続くのかといった予測を直感的に瞬時に行える。模様の違いに限らず形状や色や大きさの違いで表現しても同じ効果を得られる。形状なら太いもの、色なら赤、大きさなら大きいものが「しっかり居残る」という印象を想起させる。
【0062】
なお、本実施の形態においては、表示パターンを2段階にしているが、経過した滞留時間と縞の本数を反比例させて、より精緻な情報を表現させることもできる。形状なら太り具合、色ならグラデーション、大きさなら倍率が縞の本数に対応する。
滞留時間を数字でシンボルの近くに書き加えてもよいが、模様・形状・色・大きさを変える方法に比べると直感的かつ瞬時に混雑状態の推移を予想させる利便性は劣る。
【0063】
なお、上記の説明では、人体位置検出手段2としてRFIDを用いて個体を識別(位置情報と記憶領域番号の紐付け)したが、人体が瞬時に大きく移動することはないという特徴を利用して、カメラ映像の前後のフレームを比較して個体の動きを補足し続けて個体を識別してもよい。
この第5の実施の形態では滞留時間を計測してシンボルの模様や色や形状を変えたが、滞留時間以外にも有用な情報をシンボルの違いを以ってユーザに知らせることができる。人体位置検出手段2にカメラを用いる場合は検知された形の大きさに従って大人用のシンボルと子供用のシンボルを使い分けたり、ベビーカーの形を検出して赤ちゃんのシンボルを描画したりできる。
【0064】
また、人体位置検出手段2と並列して音量計測手段を設けてもよい。アレイマイクによるヌルビームフォーマで、特定方向の音だけを分離抽出する技術が知られている。平面図をこの音源分離領域に対応して分割し、それぞれの領域の単位時間当たりの平均音量または最大音量を計測する。音量の大小によって異なるシンボルを用意し、実際にシンボルを平面図に描画する際にその位置情報から平均音量を参照してその音量に応じたシンボルで描画するのである。大きな音には大きなシンボルや赤いシンボルを割り当て、小さな音量には小さなシンボルや青いシンボルを割り当てればよい。ちなみにアレイマイクを天井に設置するケースでは半球を平面に投影した形で分割領域が変換されるので、計測された音量はその変換要領(距離と斜め具合)に従って補正されるのが好ましい。
また、平面図に禁煙エリアと喫煙エリアを表現し、赤外線センサーで熱源を検知して、その熱源の大きさと温度から火のついたタバコと判断される場合に平面図に喫煙者のシンボルまたはタバコのシンボルを描画してもよい。
【0065】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図5は、本発明の第6の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成の一例を示すブロック図である。同図に示すように、第6の実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置9が備える構成要素に加えて、混雑状況判定手段15を新たな構成要素として備えている。混雑状況判定手段15は、所定空間内の混雑の度合を判定する。混雑状況提示手段3は、混雑状況判定手段15により判定された混雑の度合に応じたインフォメーションをユーザに提示する。
【0066】
混雑度合は、例えば、座席数に対する入店客数、あるいは床面積に対する入店客数、あるいは出勤店員数に対する入店客数で定義する。集計単位を例えば1時間に定め、混雑状況判定手段15は、曜日毎・時間帯毎の混雑度合を記録し、平均を求め統計情報として記憶装置に記憶する。混雑状況判定手段15は、統計情報で示される混雑度合が、あらかじめ設けられた混雑度合の閾値を越えたら「混雑状態」と判定する。
ユーザが混雑状況図を閲覧した際、店内が「混雑状態」にあれば、混雑状況提示手段3は、前記の混雑度合の統計情報を参照して次に空きそうな時間帯を推奨する。逆に「混雑状態」になければ、前記の混雑度合の統計情報を参照して一定時間以内に「混雑状態」になることが予想されたら、混雑状況提示手段3はユーザにその旨を警告する。
【0067】
また、あらかじめ店舗をカテゴリー(例えば喫茶店、ハンバーガーショップ)毎に分類しておき、ユーザが混雑状況図を閲覧した店舗が「混雑状態」にあれば同じカテゴリーにある別の店舗情報を同時に表示させてもよい。表示順はそれぞれの混雑度合の小さい方からでもよいし、「混雑状態」にない店を地理的距離の近い順に表示してもよい。地理的距離の判断にはあらかじめ店毎に経緯度のデータを登録して直線距離を計算によって求めてもよいし、カーナビのルート検索に用いられる最短順路の道のりでもよいし、あらかじめ店毎に同じカテゴリーにある店までの距離を実測して登録してもよい。
なお、混雑状況提示手段3から携帯端末12に混雑状況情報を送信することによって、上述した同一カテゴリーの別店舗等のインフォメーションを携帯端末12に表示する場合には、混雑状況情報には同一カテゴリーの別店舗等の情報が含まれることとなる。
【0068】
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。図6は、本発明の第7の実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムの機能構成の一例を示すブロック図である。第7の実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムを構成する混雑状況提示装置9は、図3に示す第4の実施の形態に係る混雑状況提示装置9が備える機能に加えて、配信対象外識別番号記憶手段16を新たな構成要素として備えている。配信対象外識別番号記憶手段16は、携帯端末12において配信対象外の識別番号を記憶する。配信対象外の識別番号としては、例えば、ユーザが店舗内にいる知人を探している場合に、従業員に関する情報(位置情報及び識別番号、又は、識別番号のみ)が該当する。
【0069】
混雑状況提示手段3は、発信器検出手段8により検知された識別番号が、配信対象外識別番号記憶手段16に記憶されている配信対象外の識別番号である場合は、当該識別番号で識別される人に関する情報(位置情報及び識別番号、又は、識別番号のみ)を除いた混雑状況情報を携帯端末12に向けて送信する。このように、不要な情報を携帯端末12に送信しない仕組みを設けることで、通信負荷を軽減することができる。
【0070】
以上、第1から第7の実施の形態において説明したように、店舗または施設から離れた場所に設置された表示画面やユーザが所持する携帯端末12の画面に表示された店舗または施設の平面図上に、着座者のみならず座席以外の場所に立っている者もシンボルで描画されるので、ユーザは正確且つ直ちに混雑状況を把握することができる。さらに、ユーザは、施設内のどのあたりが混雑しているのか、空いている領域には椅子がいくつあり何名くらいがまとまって座れそうか、という詳細な情報も入手することができる。従来の技術では、描画精度はテーブル単位あるいは座席単位であって粗かったが、本発明では平面図に精緻に描画することができる。従って、ユーザは店の中を思い起こすことが容易になり、混雑状況を瞬時に直感的に把握することができる。
【0071】
レストランなどの店舗をグループで利用する場合には、分散することなく一箇所にまとまって着席したいというユーザの要望が強い。このような場合、ユーザは、事前にグループが一箇所にまとまって着席可能かどうかを知ることができ、店舗選びの利便性が大幅に向上する。
また、従業員が非従業員と区別して表示されるため、従業員と非従業員の比率を考慮してユーザは十分なサービスを受けることができるかどうかの判断基準とすることができる。また、従業員を個別に検知するので、サービスを受けたい従業員が不在かどうかをユーザが知ることができる。
【0072】
なじみの店や待ち合わせの店に知人がいるかどうかも瞬時にわかるので便利である。
店舗または施設側の観点からは、混雑状況を正確に把握することができるため、混雑の偏りに対応して効果的に従業員を配置することができる。
また、知人の存在を知らせるために店内で検出した識別番号をすべて携帯端末12に送信していては通信負荷が大きいが、従業員のものとわかっている識別番号等を携帯端末12に送信しない仕組みを設けて通信負荷を下げることができる。
このように、混雑状況提示装置9は、検出された人の位置に対応する平面図上の位置に、予め用意されたシンボルを描画した混雑状況図をユーザに提示するため、ユーザは、視覚的に店舗や施設等の所定空間内の混雑状況を把握することができ、正確、簡便かつ即座に混雑状況を把握することが可能となる。
【0073】
(第8の実施の形態)
次に、本発明に係る第8の実施の形態について説明する。
図7は、本実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、背景画像記憶手段40と、撮像手段41と、輪郭抽出手段44と、混雑状況提示手段3と、を含んで構成されている。背景画像記憶手段40は本発明の請求項に係る「空間データ記憶手段」に相当し、輪郭抽出手段44は本発明の請求項に係る「物体検出手段」に相当する。
【0074】
撮像手段41は、所定空間を撮影して、当該所定空間の映像を表示するための画像データを生成する。なお、撮像装置は、画像データを撮影可能な装置であればよく、例えば、静止画を撮影するカメラであっても、動画を撮影するビデオカメラであってもよい。
背景画像記憶手段40は、撮像手段41が所定空間を初期画像として撮影した背景画像データを記憶装置に記憶する。
【0075】
輪郭抽出手段44は、画像データから輪郭線を表すデータを抽出する。
混雑状況提示手段3は、ユーザに混雑状況図を提示する。混雑状況提示手段3は、混雑状況図生成手段31と混雑状況図送信手段32とを備えている。混雑状況図生成手段31は、背景画像データ上に物体の輪郭線を表すデータを描画することにより、混雑状況図を生成する。輪郭線混雑状況図送信手段32は、生成した混雑状況図をユーザに提示するために、混雑状況図を送信する。
【0076】
次に、本実施の形態に係る動作例について説明する。まず、所定空間としての店内を広く構図に収められる位置に、撮像手段41を設置する。撮像手段41の設置位置は、長方形の部屋であれば四隅上部を選んでもよいし、撮像手段41としてカメラに魚眼レンズを装着したものを天井中央に設置してもよい。
次に、背景画G2を準備する。具体的には、図8に示すように、撮像手段41によって無人の状態の静止画を初期画像として撮影し、これを背景画G2として背景画像記憶手段40により保存する。レンズによる歪みがあればこの時点で補正しておく。以下同様とする。
【0077】
次に、混雑状況図を作成する。具体的には、図9に示すように、撮像手段41によって店舗内を撮影することにより(ステップS101)、実写G3を得て、当該実写G3を輪郭抽出手段44に送る(ステップS102)。輪郭抽出手段4は、実写3における隣接する点同士の明度や色相の差分を計算して、ある閾値を超えた点を輪郭とみなす。すべての点についてこの処理を行うことにより(ステップS103)、輪郭線G5を得る。輪郭線G5の粗さは、顔から個人を判別することができないが、服装から性別を推定することができる程度の粗さがよい。輪郭線G5となる点の総数が一定量を超える場合は、前記閾値を大きくして輪郭線G5となる点の数を減らしてもよい。描画する輪郭線G5の面積が画面全体の面積の一定割合を超えないように、前記閾値を変えるようにしてもよい。撮影精度が細かく、抽出した輪郭線G5が人の目には細すぎる場合には、輪郭線G5となる点に隣接する点も輪郭線G5に含めることにより、輪郭線G5を太くしてもよい。また、いわゆる縁だけでなく、移動体の輝度や色相の境界線をある閾値をもってすべて描いてもよい。
【0078】
混雑状況図生成手段31では、予め背景画像記憶手段40に保存しておいた背景画G2に輪郭線5を上書きし(ステップS104)、混雑状況図G7を得る。
その後、混雑状況図G7は、混雑状況図送信手段32で配信され、ユーザに提示される。
なお、本実施の形態では、撮像手段41で撮った背景画G2を混雑状況図G7に用いたが、混雑状況図G7をより綺麗に見せるために、同じ構図の別な写真やイラストを用いてもよい。混雑状況図G7は綺麗なカラー画像とし、輪郭抽出用の撮像画像は処理の早いモノクロ画像としてもよい。撮像手段41に赤外線カメラを用いて、夜間は防犯用カメラとしてカメラを兼用する工夫をしてもよい。
【0079】
このように、本実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、輪郭を示す輪郭線データを描画した混雑状況図G7をユーザに提示することができるため、ユーザは、視覚的に、店内の混雑状況を正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。また、上述した第1から第7の実施の形態においては、平面図の上に人を表すシンボルを描いたが、本実施の形態においては、実際に撮影した背景画G2の上に輪郭線G5を描いて背景画G2を塗りつぶさないようにしたため、背景画G2(店内写真)がそのまま表示され、店の雰囲気をよりリアルにユーザに伝えることができる。また、物体を線画で描くことにより、物体に人が含まれている場合にも個人が特定されることがないため、個人のプライバシーを保護することができる。
【0080】
(第9の実施の形態)
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。
図10は、本発明の第9の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成の一例を示すブロック図である。同図に示すように、本実施の形態に係る混雑状況提示装置9は、第8の実施の形態に係る混雑状況提示装置9が備える機能に加えて、差異部抽出手段48を備えている。差異部抽出手段48は画像データ同士の差異を抽出する。本実施の形態においては、差異部抽出手段48は、背景画像記憶手段40に記憶された背景画像データと、当該背景画像データが撮影された時間とは異なる時間に所定空間が撮影された実写データと、の差異を表すデータを抽出する。
差異部抽出手段48及び輪郭抽出手段44が本発明の請求項に係る「物体検出手段」に相当し、背景画像記憶手段40が本発明の請求項に係る「空間データ記憶手段」に相当する。
【0081】
次に、図11を参照して、本実施の形態に係る動作例について説明する。
撮像手段41を所定空間としての店内に設置し、背景画G2を作成し、実写G3を得る手順までは、上述した第8の実施の形態に同じである。
次に、混雑状況提示装置9は、背景画G2を撮影した時間とは異なる時間に撮像手段41により店内を撮影することにより(ステップS201)、実写G3を得て、当該実写G3を差異部抽出手段48に送る(ステップS202)。差異部抽出手段48は、実写G3と背景画G2との差異を検出し、当該差異があると判断された部分のみを実写G3から抜き出すことにより(ステップS203)、差異部画像G9を得て、当該差異部画像G9を輪郭抽出手段44に送る(ステップS204)。輪郭抽出手段44で差異部画像G9から輪郭線G5を抽出する(ステップS205)。
【0082】
その後、混雑状況図生成手段31で輪郭線G5を背景画G2に上書きすることにより混雑状況図G7を得る処理は、第8の実施の形態に同じである。なお、上書きする輪郭線G5の色は固定してもよいし、上書きする各点の色の階調を反転させた色(補色)を使って輪郭線G5を目立たせるようにしてもよい。
本実施の形態によれば、差異部画像G9の輪郭線G5のみを背景画G2に描画し、変化のない物体の輪郭線は描かれないので、混雑状況図G7を見たユーザに店の雰囲気をよりリアルに伝えることができる。
【0083】
(第10の実施の形態)
次に、第10の実施の形態について説明する。第10の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成は第9の実施の形態と同様である。上述した第9の実施の形態では、差異部抽出手段48により背景画G2と実写G3との差異を求めることによって物体を検出しているが、第10の実施の形態においては、差異部抽出手段48により一定時間前の複数の実写画像間の差異を求めることで短時間内に移動した物体を検出し、その物体の輪郭線G5のみを背景画G2に上書きする。
このような描画方法は、背景画G2と実写G3との時間的隔たりが大きく、画像全体の明度や色相が異なる場合に有効である。たとえば、背景画G2が昼間に撮った画像であり、実写G3が夕日の差し込んでいる時に撮った画像である場合が想定される。
【0084】
(第11の実施の形態)
次に、本発明の第11の実施の形態について説明する。第11の実施の形態に係る混雑状況提示装置9の機能構成は第9の実施の形態と同様である。上述した第9の実施の形態においては、差異部抽出手段18により実写G3と背景画G2との差異データを求め、その差異データから輪郭線G5を抽出している。一方、第11の実施の形態においては、図12に示すように、まず、輪郭抽出手段44により双方の輪郭線を抽出し(ステップS301)、差異部抽出手段48により、実写G3の輪郭線に存在し背景画G2の輪郭線に存在しない部分のみを抽出して(ステップS302)、その抽出された部分を描画対象の輪郭線G5とする。
【0085】
その後、混雑状況図生成手段31で背景画G2に輪郭線G5を上書きして混雑状況図G7を得る処理は第9の実施の形態に同じである。
本実施の形態によれば、背景画G2と実写G3とを撮影した時間帯や天候が異なり、画像同士の明度や色相の差が大きい場合にも、輪郭線G5を適切に抽出することが可能となる。
【0086】
以上説明したように、第8から第11の実施の形態によれば、混雑状況提示装置9は、物体の輪郭線G5を描画した混雑状況図G7をユーザに提示することができるため、ユーザは、視覚的に、所定空間内の混雑状況を正確、簡便かつ即座に把握することが可能となる。また、実際に撮影した背景画G2の上に輪郭線G5を描くようにしたため、背景画G2を塗りつぶすことがなく、背景画G2をそのまま表示することができ、店の雰囲気をよりリアルにユーザに伝えることができる。また、物体を線画で描くことにより、物体に人が含まれている場合にも個人が特定されることないため、個人のプライバシーを保護することができる。
【0087】
さらに、第1から第7の実施の形態のように、平面図を書き起こしたり、描画用シンボルを用意する手間が不要となり、検知した移動体の位置を計算したり平面図に合わせて調整したりしなくてよい。また、第8、9、11の実施の形態においては、背景画G2と実写G3との差分(又は輪郭線の差分)をとるため、動かない人や荷物の席取り等も描画することができる。このため、例えば、特定のオブジェクトをテーブルにおいて「予約済」を伝達することができる。服装も描画できるので、業種によっては、客と店員の区別をすることができる。
さらに、実写G3の撮影時が夜でも、昼間撮影した背景画G2を使用することで、鮮明な混雑状況図G7を配信することができる。また、人の認識に「パターン認識」を行う必要がないので、環境変化に強く、屋外でも使える可能性が高い。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は当該実施の形態に限定されるものではなく、その技術思想の範囲内で様々な変形が可能である。
例えば、第1から第11の実施の形態に係る混雑状況提示装置9を構成する各機能は、物理的に離れた位置に存在していてもかまわない。輪郭抽出や差異部抽出などの画像処理手段は店内に個別に置いてもよいし、複数の店舗で共有できる処理サーバとして設けてもよいし、エンドユーザに対して表示制限を設けた携帯端末でもよい。
【0089】
また、第8から第11の実施の形態における変形例としては、以下のようなものが考えられる。
(1)一定時間以上撮影した動画から移動体を取り除いて背景を抽出し、背景画G2を自動的に更新するようにしてもよい。
なお、何らかの理由でカメラ位置がずれることにより、背景画G2と実写G3との構図がずれてしまった場合には、上記自動更新機能がなくても、背景画G2を取り直せば簡単に復旧することができる。
【0090】
(2)顔認識(顔抽出)を用い、一定の閾値以上の大きさの顔は目鼻の輪郭を描かないという工夫によって個人のプライバシーを守るようにしてもよい。また、顔認識(顔抽出)を行い、顔部分を太い線で描いて人を強調するようにしてもよい。また、赤外線カメラを用い、熱を帯びた移動体は太い線で描いて人や動物を強調するようにしてもよい。なお、線を強調する方法として、太い線で描く以外に、色や輝度を変えてもよいし、線画を背景画に対する補色で描いてもよい。
【0091】
(3)撮像手段41としてのカメラが動く場合はパノラマ写真を用意し、カメラの回転角によってパノラマ写真から該当する部分を抜き出して背景画G2としてもよい。また、カメラの回転角によらず、パノラマ写真から背景画の構図と一致する部分を自動検出し、当該部分を抜き出して背景画G2としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、施設や店舗等のあらゆる空間内における正確な混雑状況図の提供サービス、配信サービスに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の本発明の第1の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2及び第3の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第4の実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第5の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第6の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第7の実施の形態に係る混雑状況情報閲覧システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第8の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図8】同実施の形態に係る動作例の一例を示す図である。
【図9】同実施の形態に係る動作例の一例を示す図である。
【図10】本発明の第9の実施の形態に係る混雑状況提示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図11】同実施の形態に係る動作例の一例を示す図である。
【図12】本発明の第11の実施の形態に係る動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
9 混雑状況提示装置
1 平面図記憶手段
2 人体位置検出手段
3 混雑状況提示手段
31 混雑状況図生成手段
32 混雑状況図送信手段
5 従業員人体位置検出手段
6 非従業員人体位置判別手段
7 識別番号発信装置
8 発信器検出手段
14 滞留時間判定手段
15 混雑状況判定手段
16 配信対象外識別番号記憶手段
10 混雑状況情報蓄積サーバ
12 携帯端末
11 知人情報記憶手段
13 混雑状況図表示手段
40 背景画像記憶手段
41 撮像手段
44 輪郭抽出手段
48 差異部抽出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間における混雑状況に関する情報をユーザに提示する混雑状況提示装置であって、
前記所定空間が視覚化された空間データを記憶する空間データ記憶手段と、
前記所定空間内に存在する物体を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段により検出された物体の位置に対応する前記空間データ上の位置に、該検出された物体を示す物体データを描画した混雑状況図をユーザに提示する混雑状況提示手段と
を備えることを特徴とする混雑状況提示装置。
【請求項2】
前記物体検出手段は、
人の位置を検出し、
前記混雑状況提示手段は、
前記物体検出手段により検出された人の位置に対応する前記空間データ上の位置に、該検出された人を示す人データを描画した混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする
請求項1に記載の混雑状況提示装置。
【請求項3】
前記物体検出手段は、
特定の分類に属する人の位置を検出し、
前記混雑状況提示手段は、
前記物体検出手段により検出された特定の分類に属する人の位置と属さない人の位置とを異なるシンボルで区別してユーザに提示することを特徴とする
請求項2に記載の混雑状況提示装置。
【請求項4】
前記所定空間は店舗内の空間であり、
前記特定の分類は店舗の従業員であることを特徴とする
請求項3に記載の混雑状況提示装置。
【請求項5】
前記物体検出手段は、
前記所定空間内に存在する個人を識別し、
前記混雑状況提示手段は、
前記物体検出手段により検出された個人に対応する個別のシンボルが描画された混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする
請求項1から4の何れか1項に記載の混雑状況提示装置。
【請求項6】
前記物体検出手段は、
人が携帯している識別番号発信装置から発信される識別番号を、個人を識別するための情報として用いることを特徴とする
請求項5に記載の混雑状況提示装置。
【請求項7】
前記物体検出手段により検出された物体が前記所定空間内に滞留し続けている滞留時間を判定する滞留時間判定手段をさらに備え、
前記混雑状況提示手段は、
前記滞留時間判定手段により判定された滞留時間に応じたシンボルを描画した混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする
請求項1から6の何れか1項に記載の混雑状況提示装置。
【請求項8】
前記所定空間内の混雑の度合を判定する混雑状況判定手段をさらに備え、
前記混雑状況提示手段は、
前記混雑状況判定手段により判定された混雑の度合に応じたインフォメーションをユーザに提示することを特徴とする
請求項1から7の何れか1項に記載の混雑状況提示装置。
【請求項9】
前記物体データは、物体の輪郭線を表すデータであることを特徴とする
請求項1に記載の混雑状況提示装置。
【請求項10】
前記物体検出手段は、
異なる時間に同一の場所が撮影された画像データ同士の差異に基づいて物体を検出することを特徴とする
請求項1から9の何れか1項に記載の混雑状況提示装置。
【請求項11】
前記空間データ記憶手段は、
前記所定空間を初期画像として撮影した背景画像データを記憶し、
前記物体検出手段は、
前記空間データ記憶手段に記憶された背景画像データと、該背景画像データが撮影された時間とは異なる時間に前記所定空間が撮影された実写データと、の差異を表す差異データを抽出し、
該抽出された差異データから輪郭線を表すデータを前記物体データとして抽出することを特徴とする
請求項9に記載の混雑状況提示装置。
【請求項12】
前記空間データ記憶手段は、
前記所定空間を初期画像として撮影した背景画像データを記憶し、
前記物体検出手段は、
前記空間データ記憶手段に記憶された背景画像データと、該背景画像データが撮影された時間とは異なる時間に前記所定空間が撮影された実写データと、からそれぞれ輪郭線を表す輪郭線データを抽出し、該抽出された輪郭線データ同士の差異を表すデータを前記物体データとして抽出することを特徴とする
請求項9に記載の混雑状況提示装置。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載の混雑状況提示装置と、該混雑状況提示装置から受信した混雑状況情報に基づいて前記混雑状況図を表示する携帯端末と、を備えることを特徴とする混雑状況情報閲覧システム。
【請求項14】
前記携帯端末は、
知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、
前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と一致する識別番号を含む混雑状況情報を前記混雑状況提示装置から受信した場合に、該知人が存在する旨と混雑状況図とを表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする
請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システム。
【請求項15】
前記携帯端末は、
知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、
前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と一致する識別番号を含む混雑状況情報を前記混雑状況提示装置から受信した場合に、該知人の識別番号に対応するシンボルと混雑状況図とを表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする
請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システム。
【請求項16】
前記混雑状況情報は、
前記識別番号発信装置の識別番号とその位置情報とを含み、
前記携帯端末は、
知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、
前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と前記識別番号発信装置の識別番号とが一致する場合に、該知人の識別番号に対応するシンボルを該識別番号発信装置の位置情報に基づいて描画した混雑状況図を表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする
請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システム。
【請求項17】
前記混雑状況提示装置は、
前記携帯端末における配信対象外の識別番号を記憶する配信対象外識別番号記憶手段をさらに備え、
前記混雑状況提示手段は、
前記物体検出手段により検知された識別番号が前記配信対象外識別番号記憶手段に記憶されている配信対象外の識別番号である場合は、該識別番号で識別される人に関する情報を除いた混雑状況情報を前記携帯端末に向けて送信することを特徴とする
請求項13から16の何れか1項に記載の混雑状況情報閲覧システム。
【請求項1】
所定空間における混雑状況に関する情報をユーザに提示する混雑状況提示装置であって、
前記所定空間が視覚化された空間データを記憶する空間データ記憶手段と、
前記所定空間内に存在する物体を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段により検出された物体の位置に対応する前記空間データ上の位置に、該検出された物体を示す物体データを描画した混雑状況図をユーザに提示する混雑状況提示手段と
を備えることを特徴とする混雑状況提示装置。
【請求項2】
前記物体検出手段は、
人の位置を検出し、
前記混雑状況提示手段は、
前記物体検出手段により検出された人の位置に対応する前記空間データ上の位置に、該検出された人を示す人データを描画した混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする
請求項1に記載の混雑状況提示装置。
【請求項3】
前記物体検出手段は、
特定の分類に属する人の位置を検出し、
前記混雑状況提示手段は、
前記物体検出手段により検出された特定の分類に属する人の位置と属さない人の位置とを異なるシンボルで区別してユーザに提示することを特徴とする
請求項2に記載の混雑状況提示装置。
【請求項4】
前記所定空間は店舗内の空間であり、
前記特定の分類は店舗の従業員であることを特徴とする
請求項3に記載の混雑状況提示装置。
【請求項5】
前記物体検出手段は、
前記所定空間内に存在する個人を識別し、
前記混雑状況提示手段は、
前記物体検出手段により検出された個人に対応する個別のシンボルが描画された混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする
請求項1から4の何れか1項に記載の混雑状況提示装置。
【請求項6】
前記物体検出手段は、
人が携帯している識別番号発信装置から発信される識別番号を、個人を識別するための情報として用いることを特徴とする
請求項5に記載の混雑状況提示装置。
【請求項7】
前記物体検出手段により検出された物体が前記所定空間内に滞留し続けている滞留時間を判定する滞留時間判定手段をさらに備え、
前記混雑状況提示手段は、
前記滞留時間判定手段により判定された滞留時間に応じたシンボルを描画した混雑状況図をユーザに提示することを特徴とする
請求項1から6の何れか1項に記載の混雑状況提示装置。
【請求項8】
前記所定空間内の混雑の度合を判定する混雑状況判定手段をさらに備え、
前記混雑状況提示手段は、
前記混雑状況判定手段により判定された混雑の度合に応じたインフォメーションをユーザに提示することを特徴とする
請求項1から7の何れか1項に記載の混雑状況提示装置。
【請求項9】
前記物体データは、物体の輪郭線を表すデータであることを特徴とする
請求項1に記載の混雑状況提示装置。
【請求項10】
前記物体検出手段は、
異なる時間に同一の場所が撮影された画像データ同士の差異に基づいて物体を検出することを特徴とする
請求項1から9の何れか1項に記載の混雑状況提示装置。
【請求項11】
前記空間データ記憶手段は、
前記所定空間を初期画像として撮影した背景画像データを記憶し、
前記物体検出手段は、
前記空間データ記憶手段に記憶された背景画像データと、該背景画像データが撮影された時間とは異なる時間に前記所定空間が撮影された実写データと、の差異を表す差異データを抽出し、
該抽出された差異データから輪郭線を表すデータを前記物体データとして抽出することを特徴とする
請求項9に記載の混雑状況提示装置。
【請求項12】
前記空間データ記憶手段は、
前記所定空間を初期画像として撮影した背景画像データを記憶し、
前記物体検出手段は、
前記空間データ記憶手段に記憶された背景画像データと、該背景画像データが撮影された時間とは異なる時間に前記所定空間が撮影された実写データと、からそれぞれ輪郭線を表す輪郭線データを抽出し、該抽出された輪郭線データ同士の差異を表すデータを前記物体データとして抽出することを特徴とする
請求項9に記載の混雑状況提示装置。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載の混雑状況提示装置と、該混雑状況提示装置から受信した混雑状況情報に基づいて前記混雑状況図を表示する携帯端末と、を備えることを特徴とする混雑状況情報閲覧システム。
【請求項14】
前記携帯端末は、
知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、
前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と一致する識別番号を含む混雑状況情報を前記混雑状況提示装置から受信した場合に、該知人が存在する旨と混雑状況図とを表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする
請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システム。
【請求項15】
前記携帯端末は、
知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、
前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と一致する識別番号を含む混雑状況情報を前記混雑状況提示装置から受信した場合に、該知人の識別番号に対応するシンボルと混雑状況図とを表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする
請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システム。
【請求項16】
前記混雑状況情報は、
前記識別番号発信装置の識別番号とその位置情報とを含み、
前記携帯端末は、
知人の識別番号と該識別番号に対応するシンボルとを記憶する知人情報記憶手段と、
前記知人情報記憶手段に記憶されている知人の識別番号と前記識別番号発信装置の識別番号とが一致する場合に、該知人の識別番号に対応するシンボルを該識別番号発信装置の位置情報に基づいて描画した混雑状況図を表示する混雑状況図表示手段とを備えることを特徴とする
請求項13に記載の混雑状況情報閲覧システム。
【請求項17】
前記混雑状況提示装置は、
前記携帯端末における配信対象外の識別番号を記憶する配信対象外識別番号記憶手段をさらに備え、
前記混雑状況提示手段は、
前記物体検出手段により検知された識別番号が前記配信対象外識別番号記憶手段に記憶されている配信対象外の識別番号である場合は、該識別番号で識別される人に関する情報を除いた混雑状況情報を前記携帯端末に向けて送信することを特徴とする
請求項13から16の何れか1項に記載の混雑状況情報閲覧システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−133847(P2007−133847A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373055(P2005−373055)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】
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