説明

清掃ロボットの制御システムおよび制御方法

【課題】標示体を特定の領域に固定する必要がない掃除ロボットの制御システムおよび制御方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの標示体と、当該標示体の位置を検出および記録して記録結果を生成し、かつ当該生成された記録結果をロック(lock)するロック機能を備える清掃ロボットとを含む清掃ロボットの制御システムであって、当該ロック機能が起動されると、当該清掃ロボットは当該記録結果に基づいて清掃動作を実行し、当該ロック機能が起動され、かつ当該標示体が取り除かれたとき、当該清掃ロボットは、当該標示体の取り除かれる前の位置に基づいて当該清掃動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は清掃ロボットの制御システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の進歩に伴い、清掃ロボットを含む電気製品の種類が増えてきた。一般に、清掃ロボットの清掃領域を限定するのに、標示体(sign object)が用いられている。清掃ロボットが清掃動作を実行するときに、標示体の存在を清掃ロボットが検出すると、清掃ロボットはその標示体の領域を回避する。
【0003】
例えば、特許文献1には、仮想壁として赤外線を利用した掃除システムが開示されている。具体的には、特許文献1には、移動ロボットに赤外線センサを搭載し、当該移動ロボットの移動範囲を制限する境界に赤外線を放射する境界信号送信機を配置して、当該移動ロボットが赤外線を越えないようにするロボット閉じ込めシステムが開示されている。また、特許文献1には、好適な実施例として、当該移動ロボットに掃除機構を備えた構成についての開示がされている。
【0004】
また、特許文献2には、部屋の中を自走して掃除を行う自走式掃除機の移動領域を制限する仮想壁システムが開示されている。具体的には、特許文献2には、境界の生成と自走式掃除ロボットが進入したことの検出を行うことができる状態表示手段を持ち、自走式掃除ロボットが境界へ進入したことをユーザに提示することができる仮想壁発生装置を備えた自律移動ロボットの仮想壁システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−228421号公報
【特許文献2】特開2009−301247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示のロボット閉じ込めシステムにおいて、移動ロボットの移動範囲を制限するために備えられる境界信号送信機は、この移動範囲の境界を規定する軸に沿って赤外線ビームを放射するために当該移動ロボットと同一空間に常設する必要がある。また、特許文献2に開示の自律移動ロボットの仮想壁システムにおいても、自走式掃除機の移動領域を制限するために備えられる仮想壁発生装置は、この移動領域の境界を規定する軸に沿って信号を送信するために当該自律移動ロボットと同一空間に常設する必要がある。
【0007】
よって、特許文献1および特許文献2では、清掃ロボットが清掃動作を実行する前に、ユーザーが標示体を設置する必要がある。ユーザーが標示体の設置を忘れた場合、清掃ロボットは危険な領域、例えば屋外領域に入ってしまう可能性がある。さらに、より優れた清掃効果を得るために、通常は、清掃ロボットの清掃領域を縮小するべく複数の標示体が必要とされる。しかし、多数の標示体を用いた場合には、コストを増加させてしまうだけでなく、家の内装の装飾および外観を損ねてしまう。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解消するために案出されたものであり、その目的は、標示体をある特定の領域に固定する必要がなく、またユーザーが標示体を1度設置するだけでよい掃除ロボットの制御システムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る掃除ロボットの制御システム: 本発明に係る掃除ロボットの制御システムは、少なくとも1つの標示体と、当該標示体の位置を検出および記録して記録結果を生成し、かつ当該生成された記録結果をロック(lock)するロック機能を備える清掃ロボットとを含む清掃ロボットの制御システムであって、当該ロック機能が起動されると、当該清掃ロボットは当該記録結果に基づいて清掃動作を実行し、当該ロック機能が起動され、かつ当該標示体が取り除かれたとき、当該清掃ロボットは、当該標示体の取り除かれる前の位置に基づいて当該清掃動作を実行することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る掃除ロボットの制御システムは、前記清掃ロボットが前記記録結果に基づいて特定領域を定めることが好ましい。
【0011】
本発明に係る掃除ロボットの制御システムは、前記清掃ロボットが前記特定領域内で前記清掃動作を実行することが好ましい。
【0012】
本発明に係る掃除ロボットの制御システムは、前記標示体が前記特定領域の中心に位置することが好ましい。
【0013】
本発明に係る掃除ロボットの制御システムは、前記清掃ロボットが前記特定領域の外側で前記清掃動作を実行することが好ましい。
【0014】
本発明に係る掃除ロボットの制御システムは、前記清掃ロボットが前記標示体の位置を判断する判断機能を備え、当該判断機能が起動されると、当該清掃ロボットが当該標示体の位置を判断し始めて、判断結果を生成し、当該判断機能が起動され、かつ当該判断結果が前記記録結果と異なるとき、当該清掃ロボットは、当該判断結果に基づいて当該記録結果を更新することが好ましい。
【0015】
本発明に係る掃除ロボットの制御システムは、前記ロック機能が起動され、かつ前記判断機能は起動されていないときであって、前記標示体の位置が変更されて前記特定領域に位置している場合に、前記清掃ロボットは、当該標示体を障害物とみなすことが好ましい。
【0016】
本発明に係る掃除ロボットの制御システムは、前記清掃ロボットが消去機能を備え、当該消去機能が起動されると前記記録結果が消去されることが好ましい。
【0017】
本発明に係る掃除ロボットの制御システムは、前記清掃ロボットが編集機能を備え、当該編集機能が起動されると前記記録結果が編集されることが好ましい。
【0018】
本発明に係る掃除ロボットの制御システムは、前記標示体の表面に特定の模様が形成されており、光線が当該特定の模様を照らすと反射光が生成され、前記清掃ロボットが当該反射光に基づいて当該標示体の位置を得ることが好ましい。
【0019】
本発明に係る掃除ロボットの制御方法: 本発明に係る掃除ロボットの制御方法は、少なくとも1つの標示体と、当該標示体の位置を検出および記録して記録結果を生成し、かつ当該生成された記録結果をロック(lock)するロック機能を備える清掃ロボットとを含む清掃ロボットの制御方法であって、当該標示体の位置を検出および記録して記録結果を生成する工程と、当該ロック機能が起動されると当該清掃ロボットが当該記録結果に基づいて清掃動作を実行する工程と、当該ロック機能が起動され、かつ当該標示体が取り除かれたときに、当該清掃ロボットが当該標示体の取り除かれる前の位置に基づいて当該清掃動作を実行する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係る掃除ロボットの制御方法は、前記記録結果に基づいて特定領域を定める工程をさらに含むことが好ましい。
【0021】
本発明に係る掃除ロボットの制御方法は、前記特定領域内で前記清掃動作を実行するよう前記清掃ロボットを制御する工程をさらに含むことが好ましい。
【0022】
本発明に係る掃除ロボットの制御方法は、前記標示体が前記特定領域の中心に位置することが好ましい。
【0023】
本発明に係る掃除ロボットの制御方法は、前記特定領域の外側で前記清掃動作を実行するよう前記清掃ロボットを制御する工程をさらに含むことが好ましい。
【0024】
本発明に係る掃除ロボットの制御方法は、前記清掃ロボットが前記標示体の位置を判断する判断機能を備え、当該判断機能が起動されると、当該清掃ロボットが当該標示体の位置を判断して判断結果を生成する工程と、当該判断結果が前記記録結果と異なるとき、当該清掃ロボットが当該判断結果に基づいて当該記録結果を更新する工程とを含むことが好ましい。
【0025】
本発明に係る掃除ロボットの制御方法は、前記ロック機能が起動され、かつ前記判断機能は起動されていないときであって、前記標示体の位置が変更されて前記特定領域に位置している場合に、前記清掃ロボットは、当該標示体を障害物とみなすことが好ましい。
【0026】
本発明に係る掃除ロボットの制御方法は、前記清掃ロボットが消去機能を備えており、当該消去機能が起動されると前記記録結果を消去する工程を含むことが好ましい。
【0027】
本発明に係る掃除ロボットの制御方法は、前記清掃ロボットが編集機能を備えており、当該編集機能が起動されると前記記録結果を編集する工程を含むことが好ましい。
【0028】
本発明に係る掃除ロボットの制御方法は、前記標示体の表面に特定の模様が形成されており、光線が当該特定の模様を照らすと反射光が生成され、前記清掃ロボットが当該反射光に基づいて当該標示体の位置を得ることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、標示体はある特定の領域に固定される必要がなく、またユーザーは標示体を1度設置するだけでよい。よって、ユーザーの家の内装の装飾および外観が損なわれることがない。また、標示体が1つしかない場合は、その標示体を繰り返し使用することで多数の特定領域を定めることができ、使用の利便性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の掃除ロボットの制御システムの第1の例示的な実施形態を示す概略図である。
【図2】図1とは異なる実施形態を例示した図である。
【図3】本発明の掃除ロボットの制御システムの第2の例示的な実施形態を示す概略図である。
【図4】図3とは異なる実施形態を例示した図である。
【図5】本発明の掃除ロボットの制御方法の第1の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明の掃除ロボットの制御方法の第2の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について詳細な説明を行う。本発明は、添付の図面と併せて、以下の例示的な詳細な説明を参照することによってより十分に理解され得る。
【0032】
以下の記載は、本発明を実施するために最良と考えられる形態に関するものである。この記載は、本発明の一般的な原理を説明する目的で開示されるものであり、限定の意味に解されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することにより判断されるべきである。
【0033】
本発明は、清掃ロボットの制御システムを提供する。図1に示す清掃ロボットの制御システムの第1の例示的な実施形態の概略図では、清掃ロボットの制御システム100は、標示体110および清掃ロボット130を含む。より明確に説明するために、図1では単一の標示体のみを示しているが、これは本発明を限定するものではない。他の実施形態では、標示体の数が1よりも多くすることができる。この実施形態において、標示体は、清掃ロボット130をある特定の領域に導くことができ、または清掃ロボット130がある特定の領域に入るのを禁止することができる。一実施形態において、標示体110は、実際の壁を模擬する機能を有し、例えば光線仮想壁(light−ray virtual wall)、磁気ストライプ仮想壁(magnetic stripe virtual wall)、または反射仮想壁(reflection virtual wall)のような仮想壁によって実施される。
【0034】
清掃ロボット130は、標示体110の位置を検出および記録して、記録結果を生成する。反射仮想壁を例にとると、反射仮想壁の表面には、例えばバーコードまたはその他の模様等の特定の模様が形成されている。光線が反射仮想壁の特定の模様を照らすと、反射仮想壁の表面から反射光が生じる。その反射光に基づいて、清掃ロボット130は標示体110の位置を得る。このように、この実施形態では、標示体110から提供される情報(例えば光線、磁場、音波または反射光等)に基づいて、清掃ロボット130が標示体110の存在を認識し、ひいては標示体110の位置を得る。
【0035】
本発明では、清掃ロボット130がどのように標示体110を検出するかについて限定されない。一実施形態において、清掃ロボット130は、壁に沿って移動、ランダムに移動、らせん状に移動、または他の方式で移動することによって、標示体110から提供される情報を受け取ることができる。そして、清掃ロボット130は、受け取った情報を検出し、標示体110の位置を得る。
【0036】
一実施形態では、清掃ロボット130は、標示体110の位置を検出すると、その移動経路を記録してマップ情報を生成し、当該マップ情報中の標示体110の位置に印を付ける。別の実施形態では、ユーザーがコンピュータ装置を介して清掃ロボット130にマップ情報を与えることができる。この場合、清掃ロボット130はマップ情報を自ら作成することはせず、ユーザーに与えられたマップ情報中で標示体110の位置に印を付けるだけとなる。
【0037】
この実施形態では、清掃ロボット130はロック機能(locking function)を備える。ロック機能が起動されると、標示体110が元の位置から取り除かれていても、清掃ロボット130は先に記録した記録結果に基づいて清掃動作を実行することができる。例えば、標示体110が領域151(図2参照のこと。)から取り除かれている場合、清掃ロボット130は、標示体110が取り除かれる前にあった位置(領域151)に基づいて、清掃動作を実行することができる。
【0038】
本発明では、ロック機能がどのように起動されるかについて限定されない。一実施形態において、リモートコントローラの使用、または清掃ロボット130のロックボタン(図示せず)を押すことによって、ユーザーは清掃ロボット130のロック機能を起動することができる。
【0039】
一実施形態において、ロック機能が起動されると、清掃ロボット130が標示体の位置を記録するため、標示体110が領域151に位置していなくても、清掃ロボット130は、先に記録した記録結果に基づいて、標示体110が依然領域151に位置しているものとみなす。したがって、清掃ロボット130は、領域151を通過したり、または領域151に進入して清掃動作を実行することなく、領域150内で清掃動作を実行することができる。
【0040】
標示体110は、領域151に固定されないため、使用の利便性が高まる。例えば、ユーザーが清掃ロボット130に台所を清掃させたくない場合、ユーザーは、台所の入り口に標示体110を1度設置する。そして、清掃ロボット130が標示体110の位置を検出および記録した後、ユーザーは、標示体110を取り除く。清掃ロボット130のロック機能が起動されると、清掃ロボット130は、台所を除く他の領域の清掃を開始する。
【0041】
ロック機能により、ユーザーは、標示体110を台所の入り口に1度設置するだけでよく、その後は標示体110を台所の入り口に設置する必要は無い。清掃ロボット130は、先に記録した記録結果に基づいて清掃動作を実行する。よって、ユーザーの使用の利便性が高まる。さらに、標示体110が継続的にある特定の領域に置かれることがないため、ユーザーの家の内装の装飾および外観が損なわれない。
【0042】
また、清掃領域を再び定める(re−defined)必要がある場合、ユーザーはロック機能を取り消す(inactivate)ことができる。次いで、清掃ロボット130は、引き続き新たな標示体があるかを検出しながら、標準的な方式で移動する、例えば壁に沿って移動したり、ランダムに移動したり、またはらせん状に移動したりすることにより清掃動作を実行する。一実施形態では、ユーザーは、ロックボタンを再度押すことによりロック機能を取り消すことができる。
【0043】
一実施形態において、清掃ロボット130は消去機能を備える。消去機能が起動されると、清掃ロボット130が先に記録した記録結果が消去される。別の実施形態では、清掃ロボット130は編集機能をさらに備える。編集機能が起動されると、例えば記録した標示体の位置を取り消すもしくは変更する、または新たな標示体の位置を加える等、先に記録した記録結果を編集できるようになる。
【0044】
さらに、清掃ロボット130は判断機能(determination function)を備える。判断機能が起動されると、清掃ロボット130は標示体の位置を判断し始め、判断結果を生成する。判断結果が先に記録した記録結果と異なるとき、清掃ロボット130は判断結果に基づいて記録結果を更新する。
【0045】
一実施形態において、標示体の数が変更された(増えたもしくは減った)、または標示体の位置が変更された場合、判断機能によって記録結果を更新することができる。例えば、ユーザーが清掃ロボット130を寝室および台所に進入させたくない場合があるとする。この場合、標示体は、元は台所の入り口に置かれていたため、ユーザーは標示体を寝室の入り口に置くだけでよい。よって、ユーザーが1つの標示体しか有していなくても、清掃ロボット130が2つの領域、つまり寝室と台所に進入するのを禁止することができる。
【0046】
別の実施形態では、ロック機能が起動されて、かつ判断機能が起動されないときに、標示体110の位置が変更され、その位置が変更された標示体110が特定領域(例えば領域150)に位置している場合に、清掃ロボット130はその標示体を障害物とみなす。
【0047】
図3は、掃除ロボットの制御システムの第2の例示的な実施形態を示す概略図である。この実施形態において、掃除ロボットの制御システム200Aは標示体211〜214を含む。清掃ロボット230Aは標示体211〜214の位置を検出および記録する。標示体211〜214の位置に基づいて、清掃ロボット230Aは、図中点線で示される特定領域251を定める(define)。
【0048】
清掃ロボット230Aのロック機能が起動されると、清掃ロボット230Aは清掃動作を実行し始める。清掃ロボット230Aが特定領域251内に位置している場合、清掃ロボット230Aは、特定領域251の内側に対して清掃動作を実行する。反対に、清掃ロボット230Aが特定領域251の外側に位置している場合、清掃ロボット230Aは、特定領域251の外側に対して清掃動作を実行する。
【0049】
さらに、標示体の位置に基づき、ポイント領域(point area)を定めることができる。図4に示されるように、清掃ロボット230Bは標示体221および222の位置を検出および記録する。清掃ロボット230Bは記録結果に基づいて、ポイント領域241および242を定める。次いで、清掃ロボット230Bのロック機能が起動されると、清掃ロボット230Bは、ポイント領域241および242に対してのみ清掃動作を実行する。
【0050】
本発明では、ポイント領域241および242に対し、清掃ロボット230Bが入る順序に限定されない。一実施形態において、清掃ロボット230Bは、先ず清掃ロボット230Bに最も近いポイント領域、例えばポイント領域241に入り得る。ポイント領域241に対する清掃動作が終了した後、清掃ロボット230Bは、次に清掃ロボット230Bに比較的近い別のポイント領域、例えばポイント領域242に入り得る。別の実施形態では、清掃ロボット230Bは、標示体221および222から提供された情報(例えば光線、磁場、または反射光)に基づいて、標示体221および222の位置に対し、コーディング動作(coding operation)を実行し得る。次いで、コーディング結果に基づき、清掃ロボット230Bはポイント領域241および242に対して清掃動作を実行する。
【0051】
この実施形態では、ポイント領域241および242のそれぞれは、標示体221および222を中心として、これらから所定の距離の半径によって決定される。なお、本発明では、ポイント領域241および242の大きさと形に限定はない。この実施形態において、ポイント領域241および242の大きさは等しいものであってよく、かつポイント領域241および242の形は円形であってよい。別の実施形態では、ポイント領域241および242の大きさと形は異なっていてもよい。
【0052】
図5は、本発明の掃除ロボットの制御方法の第1の例示的な実施形態を示すフローチャートである。先ず、標示体の位置が検出および記録されて、記録結果が生成される(ステップS310)。本発明では標示体の数に限定はない。一実施形態において、標示体の数は2より多くてもよい。別の実施形態において、標示体は仮想壁とすることができる。
【0053】
例えば、標示体を反射仮想壁と仮定する。反射仮想壁の表面には、特定の模様が形成される。よって、光線が特定の模様を照らすと、その光線を特定の模様が反射して、反射仮想壁の表面から反射光が生じる。その反射光に基づいて、清掃ロボットは標示体の位置を得る。
【0054】
本発明では、清掃ロボットがどのように標示体を検出するかについて限定されない。一実施形態において、清掃ロボットは、例えば壁に沿って移動、ランダムに移動、またはらせん状に移動する等、所定の移動方式で移動することによって、標示体から提供された情報を受け取ることができる。そして、清掃ロボットは、受け取った情報に基づいて標示体の位置を記録する。清掃ロボットが標示体の位置を検出すると、清掃ロボットは、その移動経路を記録してマップ情報を生成すると共に、そのマップ情報中の標示体の位置に印を付ける。別の実施形態では、マップ情報は、例えばコンピュータ装置のような外部装置によって提供され得る。
【0055】
次いで、清掃ロボットは、ロック機能が起動されたかを判断する(ステップS320)。本発明では、どのようにロック機能が起動されるかについて限定されない。一実施形態において、リモートコントローラを使う、または清掃ロボットのロックボタンを押すことによって、ユーザーは清掃ロボットのロック機能を起動することができる。
【0056】
ロック機能が起動されてない場合、当該制御方法は、ステップS310に戻り、引き続き標示体の位置の検出を行う。ロック機能が起動されると、清掃ロボットは、ステップS310で生成された記録結果に基づいて清掃動作を実行する(ステップS330)。このとき、標示体が取り除かれた場合、清掃ロボットは、標示体の取り除かれる前の位置に基づいて、なお清掃動作を実行することができる。
【0057】
一実施形態において、清掃ロボットは、ステップS310で生成された記録結果に基づいて特定領域を定める。清掃ロボットは、特定領域の内側または外側に対して清掃動作を実行することができる。別の実施形態において、特定領域はポイント領域であり、かつ標示体はポイント領域の中心に位置する。ロック機能が起動されると、清掃ロボットは、ポイント領域内で清掃動作を実行する。
【0058】
一実施形態において、清掃ロボットは判断機能(determination function)を備える。判断機能が起動されると、清掃ロボットは、標示体の位置を判断し始めて、判断結果を生成する。ここで、判断結果が先に記録した記録結果と異なる場合、清掃ロボットは、判断結果に基づいて記録結果を更新する。例えば、ユーザーが新たな標示体を加えた、または標示体を変更もしくは取り除いた後に、判断機能が起動された場合、清掃ロボットは、その変化した状況に応じて記録結果を更新することができる。
【0059】
一実施形態において、ロック機能が起動され、判断機能は起動されていないときに、標示体の位置が変更され、かつその位置が変更された標示体が先に定められた特定領域に位置している場合、清掃ロボットは標示体を障害物とみなす。
【0060】
一実施形態において、清掃ロボットは消去機能を備える。消去機能が起動されると、清掃ロボットが先に記録した記録結果が消去される。この場合、清掃ロボットは標示体の位置を再び検出および記録する。
【0061】
別の実施形態において、清掃ロボットは編集機能をさらに備える。編集機能が起動されると、先に記録された記録結果を編集できるようになる。例えば、コンピュータ装置を使用したり、または直接清掃ロボットのコントローラボタンを押したりすることによって、ユーザーは、先に記録された記録結果を編集することができる。
【0062】
図6は、掃除ロボットの制御方法の第2の例示的な実施形態を示すフローチャートである。先ず、標示体の位置が検出および記録されて、記録結果が生成される(ステップS410)。標示体の位置が検出されると、清掃ロボットは、その移動経路を記録して、マップ情報を生成する。一実施形態においては、ユーザーが、清掃ロボットの記録結果およびマップ情報を直接または間接的に変更する。例えば、ユーザーは、コンピュータ装置により清掃ロボットにマップ情報を入力する。この実施形態では、清掃ロボットは、単にマップ情報中の標示体の位置に印を付けるだけである。
【0063】
次いで、記録結果に基づき、障害物回避経路が計画される(ステップS420)。同様に、ユーザーは、障害物回避経路を直接または間接的に変更することができる。そして、ロック機能が起動されたか否かが判断される(ステップS430)。ロック機能が起動されている場合、清掃ロボットは、障害物回避経路に基づいて移動する(ステップS440)。このとき、標示体が取り除かれても、清掃ロボットは、標示体の位置を記録しているため、標示体がもともと置かれていた領域を回避することができる。
【0064】
ロック機能が起動されていない場合、清掃ロボットは、清掃動作を実行すると共に標示体が存在するかを検出するよう制御される(ステップS450)。標示体が検出された場合、清掃ロボットは、検出された標示体が新たな標示体であるかを判断する(ステップS460)。検出された標示体が新たな標示体でない場合において、当該検出された標示体が元の位置から取り除かれているときには、当該検出された標示体の位置に関する情報が更新され、障害物回避経路が再計画される(re−planned)(ステップS470)。検出された標示体が新たな標示体である場合は、当該新たな標示体の位置が記録され(ステップS480)、障害物回避経路が再計画される。
【0065】
上述したように、清掃ロボットのロック機能が起動されると、清掃ロボットは、先に記録した記録結果に基づいて清掃動作を実行する。清掃ロボットは、標示体の位置を記録するため、標示体が取り除かれても、標示体がもともと置かれていた領域を回避する。
【0066】
以上のことから、本発明によれば、標示体はある特定の領域に固定される必要はなく、また、ユーザーは標示体を1度設置するだけでよい。よって、ユーザーの家の内装の装飾および外観が損なわれることがない。また、標示体が1つしかない場合は、その標示体を繰り返し使用することで多数の特定領域(清掃を要する領域または要しない領域)を定めることができ、使用の利便性が高まる。
【0067】
以上、本発明の例示的および好ましい実施形態を説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されることはないと理解されるべきである。それとは反対に、本発明は、(当業者には明らかであるような)各種変更および類似のアレンジをカバーするよう意図されている。したがって、添付の特許請求の範囲は、かかる変更および類似のアレンジが全て包含されるよう、最も広い解釈が与えられなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の清掃ロボットの制御システムおよび制御方法は、標示体をある特定の領域に固定する必要がなく、またユーザーが標示体を1度設置するだけでよい。したがって、本発明の清掃ロボットの制御システムおよび制御方法を採用することで、ユーザーの家の内装の装飾および外観が損なわれることがなく、また、標示体が1つしかない場合であっても、その標示体を繰り返し使用することで多数の特定領域を定めることができ、利便性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0069】
100,200A,200B 掃除ロボットの制御システム
110,210〜214,221,222 標示体
130,230A,230B 清掃ロボット
150,151,251,241,242 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの標示体と、
当該標示体の位置を検出および記録して記録結果を生成し、かつ当該生成された記録結果をロック(lock)するロック機能を備える清掃ロボットとを含む清掃ロボットの制御システムであって、
当該ロック機能が起動されると、当該清掃ロボットは当該記録結果に基づいて清掃動作を実行し、
当該ロック機能が起動され、かつ当該標示体が取り除かれたとき、当該清掃ロボットは、当該標示体の取り除かれる前の位置に基づいて当該清掃動作を実行することを特徴とする掃除ロボットの制御システム。
【請求項2】
前記清掃ロボットが前記記録結果に基づいて特定領域を定める請求項1に記載の掃除ロボットの制御システム。
【請求項3】
前記清掃ロボットが前記特定領域内で前記清掃動作を実行する請求項2に記載の掃除ロボットの制御システム。
【請求項4】
前記標示体が前記特定領域の中心に位置する請求項3に記載の掃除ロボットの制御システム。
【請求項5】
前記清掃ロボットが前記特定領域の外側で前記清掃動作を実行する請求項2に記載の掃除ロボットの制御システム。
【請求項6】
前記清掃ロボットが前記標示体の位置を判断する判断機能を備え、
当該判断機能が起動されると、当該清掃ロボットが当該標示体の位置を判断し始めて、判断結果を生成し、
当該判断機能が起動され、かつ当該判断結果が前記記録結果と異なるとき、当該清掃ロボットは、当該判断結果に基づいて当該記録結果を更新する請求項2に記載の掃除ロボットの制御システム。
【請求項7】
前記ロック機能が起動され、かつ前記判断機能は起動されていないときであって、前記標示体の位置が変更されて前記特定領域に位置している場合に、
前記清掃ロボットは、当該標示体を障害物とみなす請求項6に記載の掃除ロボットの制御システム。
【請求項8】
前記清掃ロボットが消去機能を備え、当該消去機能が起動されると前記記録結果が消去される請求項1に記載の掃除ロボットの制御システム。
【請求項9】
前記清掃ロボットが編集機能を備え、当該編集機能が起動されると前記記録結果が編集される請求項1に記載の掃除ロボットの制御システム。
【請求項10】
前記標示体の表面に特定の模様が形成されており、光線が当該特定の模様を照らすと反射光が生成され、前記清掃ロボットが当該反射光に基づいて当該標示体の位置を得る請求項1に記載の掃除ロボットの制御システム。
【請求項11】
少なくとも1つの標示体と、
当該標示体の位置を検出および記録して記録結果を生成し、かつ当該生成された記録結果をロック(lock)するロック機能を備える清掃ロボットとを含む清掃ロボットの制御方法であって、
当該標示体の位置を検出および記録して記録結果を生成する工程と、
当該ロック機能が起動されると当該清掃ロボットが当該記録結果に基づいて清掃動作を実行する工程と、
当該ロック機能が起動され、かつ当該標示体が取り除かれたときに、当該清掃ロボットが当該標示体の取り除かれる前の位置に基づいて当該清掃動作を実行する工程とを含むことを特徴とする掃除ロボットの制御方法。
【請求項12】
前記記録結果に基づいて特定領域を定める工程をさらに含む請求項11に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項13】
前記特定領域内で前記清掃動作を実行するよう前記清掃ロボットを制御する工程をさらに含む請求項12に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項14】
前記標示体が前記特定領域の中心に位置する請求項13に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項15】
前記特定領域の外側で前記清掃動作を実行するよう前記清掃ロボットを制御する工程をさらに含む請求項12に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項16】
前記清掃ロボットが前記標示体の位置を判断する判断機能を備え、
当該判断機能が起動されると、当該清掃ロボットが当該標示体の位置を判断して判断結果を生成する工程と、
当該判断結果が前記記録結果と異なるとき、当該清掃ロボットが当該判断結果に基づいて当該記録結果を更新する工程とを含む請求項12に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項17】
前記ロック機能が起動され、かつ前記判断機能は起動されていないときであって、前記標示体の位置が変更されて前記特定領域に位置している場合に、
前記清掃ロボットは、当該標示体を障害物とみなす請求項16に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項18】
前記清掃ロボットが消去機能を備えており、当該消去機能が起動されると前記記録結果を消去する工程を含む請求項11に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項19】
前記清掃ロボットが編集機能を備えており、当該編集機能が起動されると前記記録結果を編集する工程を含む請求項11に記載の掃除ロボットの制御方法。
【請求項20】
前記標示体の表面に特定の模様が形成されており、光線が当該特定の模様を照らすと反射光が生成され、前記清掃ロボットが当該反射光に基づいて当該標示体の位置を得る請求項11に記載の掃除ロボットの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−239897(P2012−239897A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109613(P2012−109613)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(512124267)恩斯邁電子(深▲しん▼)有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】MSI COMPUTER (SHENZHEN) CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Logma Information Technology Industrial Park,Tangtou Village,Shiyan Town,Baoan District,Shenzhen City,Guangdong Province,P.R.CHINA
【Fターム(参考)】