清掃機能付き床材、この床材と組合せた便器ならびに便器組体
【課題】便器に対する排尿時に便器外に飛散する尿飛沫による床面の汚染を自動的に、簡単かつ確実に清掃する機能を備えた床材を提供する。
【解決手段】板状の床材の表面に沿う広がりを持って開口するノズルを床材表面に設け、このノズルにより床材表面のほぼ全面を一端側から他端に向け面状に覆うジェット噴流を形成し、このジェット噴流により、床材表面に付着する尿飛沫があればこれを剥離して捕捉し、落下してくる尿飛沫があれば表面に達する以前に捕捉して、床材他端側の下流に運ぶ。下流位置にジェット噴流とほぼ直交する気液分離壁体を設け、ジェット噴流の気体分を上方に向けて減衰空間に導き、液体分は下方に向けて排水する。
【解決手段】板状の床材の表面に沿う広がりを持って開口するノズルを床材表面に設け、このノズルにより床材表面のほぼ全面を一端側から他端に向け面状に覆うジェット噴流を形成し、このジェット噴流により、床材表面に付着する尿飛沫があればこれを剥離して捕捉し、落下してくる尿飛沫があれば表面に達する以前に捕捉して、床材他端側の下流に運ぶ。下流位置にジェット噴流とほぼ直交する気液分離壁体を設け、ジェット噴流の気体分を上方に向けて減衰空間に導き、液体分は下方に向けて排水する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に液体の飛沫で汚染される床面を清掃する機能を備える床材と、この床材を用いた床体を便器本体と組み合わせ又は一体化してなる水洗便器と、更に、この床材を用いた床体と水洗便器の組体に関する。
【背景技術】
【0002】
個人住宅用のみならず各種公共施設におけるトイレットルームの、特に便器周りの床面は使用の都度使用者が排泄する尿の飛沫で汚染される。汚染された床面は早期に清掃することが望ましいが、そのための方策は先ず人手による清拭あるいは洗浄の作業であり、公共施設にあってはこの作業のため専門の清掃作業員が必要である。この職種は近年志望者の数を減少させる一方、専門作業員の雇用費用を増大させている。したがって、人手を要することなく機械的に、或いは自動的に便器周りの床面を清掃する装置ないし設備が各種提案されている。
【0003】
例えば特開平1−287328号公報に記載される小便器は、壁面に立設された小便器の下の床面上を壁面に対し前後方向に往復動する洗浄ブラシによって払掃する床清掃装置を備え、小便器への給水源とは別の配管で洗浄ブラシに洗浄水を供給し、床面下の排水パンから排水する。
【0004】
実開平6−26693号公報は一実施例として、床置き型と壁掛け型の双方における小便器の垂れ受け部下方の、あるいはその周囲の床面に排水用凹部を設け、これを透水性のカバーで覆い、清掃作業員がこの透水性カバーを水洗する構成を開示する。別の実施例では、壁掛け型小便機を設置した壁面と反対側の壁面から床面を下り勾配とし、人体を検知して反対側壁面のノズルから床面に水を流して洗浄し、小便器下方の排水溝から排水するようにしたトイレットルームの構成が開示されている。
【0005】
トイレットブースの洗浄装置を開示する実開平3−125875号公報では、壁掛け型の小便器の両側と下側とを正面取付け壁から張り出す壁部で取り囲み、これらへ基部に設けた複数の吐水口から小便器の外面と床面とに水を吹き付けて洗浄し、床面に設けた排水口から排水する構成が提案される。
【0006】
特開平8−103399号公報に記載されるトイレの床洗浄装置においては、使用者の履物から落ちる土砂を洗い流すために、便器の前後の壁面にトイレの幅方向に伸びる散水管を一定角度だけ軸回転させ、床面に散水された水を往復移動させる。
【0007】
特開2004−316211号公報に提案される床置型の男性用便器においては、床面に立設した主便器の両側壁の端縁面とその下方に続く垂れ受部の端縁面から垂れ受部内にかけて流水用樋を設け、これら端縁面の汚れを洗浄し得るようにする一方、主便器下方の床面に連結して設けた足元受皿に、主便器の排水路に接続した排水口を有する凹部を設け、その上面に格子状の踏み板を載せ、便器使用後に主便器内面と流水用樋と足元受け皿の凹部内周とに洗浄水を供給して、便器下部の床面も同時に洗浄する構成を示す。
【0008】
更に、特開平6−26090号公報に記載の水洗式小便器は、壁掛け式小便器の下部の使用者側に突き出す垂れ受部の更に下方の床面に、小面積の水洗式垂れ受け皿を設け、使用後に小便器本体と垂れ受け皿とを同時に洗浄する。
【特許文献1】特開平1−287328号
【特許文献2】実開平6−26693号
【特許文献3】実開平6−26693号
【特許文献4】実開平3−125875号
【特許文献5】特開平8−103399号
【特許文献6】特開2004−316211号
【特許文献7】特開平6−26090号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した特開平01−287328号公報の床清掃装置は、常時は小便器を立設した壁面の下部に格納されている横長の回転ブラシつき洗浄機が、小便器洗浄用水の給水ノブ操作から所定時間後にモータで駆動され、給水を受けながら、床面とその下の排水パンを形成する床パネルの床面に沿って壁面から離れる方向に移動し、床パネル後端から折り返して往復する間にブラシと水で床面を洗浄する。洗浄後の水は排水パンに流下し、排水口から排出される。この構成は無人での床面の清掃効果は高いが、構造が複雑で、製造と維持にコストが掛かり過ぎるといる課題を含む。
【0010】
実開平06−26693号公報の床面の排水凹部は人為的な洗浄を必要とし、また、床面に勾配をつけて流水で床面を洗浄する構成は効果的ではあっても、床面全般の勾配付けは使用者に危険を与えることになるので、この発明では滑り止めとして床面に小突起を設けているが、小突起は却って危険になる場合もあり得るし、余分なコストを要することは確かである。
【0011】
実開平3−125875号公報の洗浄装置付きトイレットブースは小便器内外面全般と共に下方の床面を同時に洗浄する点で有利であるが、トイレットブースを形成する正面と両側壁面は多数の吐水口、開閉弁装置と配水管を内蔵するために壁厚が大きくなり、製造コストが嵩むのみでなく、限られたスペースに多数のトイレットブースを設置するときは不利となる。
【0012】
特開平8−103399号公報の場合、散水管を軸回転させる装置を必要とする点で構造が複雑であり、また散水された水が床面で往復運動を生じるためにはかなりの水量を必要とする点においてもコスト高となる。
【0013】
特開2004−316211号公報の小便器は、主便器の両側壁の端縁面に流水用樋を設けてこれら端縁面の汚れを洗浄する点は画期的だが、樋の側縁外面は洗えずに残る。また、垂れ受部外側の床面に足元受け皿を設けてその凹面内を洗浄する点も画期的だが、飛散する尿が直接降りかかる格子状踏み板の洗浄は人手に頼るものとして残る。
【0014】
特開平6−26090号公報では、小面積の水洗式垂れ受皿が床面に、小便器本体の垂れ受部の下方において設けられるのみであるため、垂れ受部からほぼ垂直に落ちる垂れに対しては有効だが、垂直に落ちずに拡散して落ちる飛沫に対しては無力であり、垂れ受皿の周囲の床面は依然として人手による清掃を待たねばならない。
【0015】
これら先行技術はいずれも便器周囲ないしその下方の床面の限定領域、あるいはトイレットルーム全体の床面における排尿の垂れと飛沫による汚染を、自動的又は人為的な水洗により清浄化することを提示する。住宅用の場合は通常手動の開弁動作で水洗が行なわれるが、公共施設における自動的な場合には、通常は便器毎に使用者が便器を離れる都度これを感知して一定時間あるいは一定水量の水洗を行なうか、複数の便器について、使用の有無と無関係に、ある一定時間ごとに間歇的に水洗が行なわれる。便器自体の一回の水洗に必要な水量は一般に小便器で約6リットル、大便器で約12リットルとされている(「トイレ・近未来 ‐Dreams on a Railway‐」; http: //www.tsubasa.to/dreams/html/90-05.html)から、近時は節水型の水洗便器が普及してかなりこの水量は減じられているとしても、便器周りの床面の水洗用水量を加えれば、非常に大量の水が便器とトイレットルーム床面の自動水洗のために消費されていることは明らかである。本発明はこの問題を解決して、特に床面の洗浄あるいは清浄化に必要な水量を顕著に減じるか、又は不要とすると同時に、便器の周囲又は下方の限定領域に限られることなく、一台あるいは複数台の便器が置かれるトイレットルームの少なくとも便器下方部分又は全面に亘る広範囲の床面の清掃を可能とし、しかも人為的な清掃作業を不要とすることを課題とする。
【0016】
本発明は上記の従来技術における問題点を解決するために提案されたもので、飛散排尿等の液体の飛沫による床面の汚染を自動的に、簡単かつ確実に清掃するのみでなく、落下してくる飛散尿滴を床面に達する以前に捕捉し排除する機能を備えた床材を提供することを目的とする。
【0017】
本発明はまた、上記の床面を清掃する機能を備えた床材を、便器に関連して使用者の両足が置かれる床面部分に使用して、主として便器本体の使用後の水洗とは別個にこの床面部分も清掃し得るようにした小便器の提供を目的とする。
【0018】
本発明は更に、上記の床面を清掃する機能を備えた床材と、単独又は複数の水洗便器とを組み合わせた組体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するため、本発明の清掃機能付き床材は、板状の床材の表面に床材の一端側から他端側に向けて開口させたノズルと、床材に設けてノズルに連結した導入口と、導入口に加圧空気を供給してノズルから床材の表面を覆うジェット噴流を生じさせる加圧空気供給装置と、床材の他端側のジェット噴流下流位置においてジェット噴流と直交する壁体を含む気液分離装置とよりなり、ジェット噴流は床材表面の上方から落下する液滴を床材表面に達する以前に捕捉しかつ床材表面に付着する液滴を剥離させて下流位置に運び、気液分離装置の壁体に衝突して液体分を下方に、気体分を上方に分離することを特徴とする。
【0020】
本発明による清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた洋式腰掛型または和式床付け型の水洗大便器は、請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材でなると共に前記水洗大便器を取り囲む床面を成す床体とを備え、床体は、使用者が接近する水洗大便器の前方側に配置され、少なくとも加圧空気供給装置の供給端とこの供給端に接続したノズルとを含む床材でなる前方床面部分と、水洗大便器の両側を挟んで水洗大便器の後方まで延びる床材でなる一対の側方床面部分と、水洗大便器の後方において一対の側方床面部分の後端縁に連接した前記気液分離装置とよりなることを特徴とする。
【0021】
本発明による清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた水洗小便器は、立設されて使用者の排尿を受ける受面部およびこの受面部に上方から水洗流を供給する給水装置を含む本体と、使用者が立つ床面のレベルで受面部の下端に面しかつ排水口を有するシンク部及びこのシンク部に連続すると共に床面のレベルに展延して使用者が載るステップ部を含みかつ請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材を用いて本体と一体に形成される床体とよりなり、床体のステップ部は、シンク部の排水口を有する内底面に連なる内端縁とこの内端縁とほぼ平行しかつ使用者の両足底面を受けるに充分な幅と長さをもって離間した外端縁との間において、外端縁側に少なくとも加圧空気供給装置の供給端を配置し、その内側に床材を配置してなり、気液分離装置の壁体は、ステップ部の内端縁と対峙する本体の受面部の下方部分、または、シンク部の内底面から上方に離間して設けた受面部下端から後退した位置で立ち上がるとともに受面部下端部分の背面との間に減衰空間を形成するシンク部の後方周壁でなることを特徴とする。
【0022】
本発明による清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた水洗式の小便器組体は、併置して立設され使用者の排尿を受ける複数の受面部、これら受面部の上部から各受面部に水洗流を供給する給水部、及び使用者が立つ床面のレベルにおいて各受面部の下端に面しかつ底面に排水口を有するシンク部を含む本体と、使用者が立つ床面のレベルにおいて前記複数の受面部の全幅にわたりシンク部に連続して展延して前記本体と一体に設けられかつ請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材でなる床体とを備え、床体は、シンク部の底面に連なる内端縁とこの内端縁と平行しかつ使用者の両足底面を受けるに充分な長さをもって離間する外端縁との間において、本体の複数の受面部の全幅に対応する横幅とした床材の前記一端側を外端縁側とすると共に床材の他端を内端縁側として配置し、外端縁側に加圧気体供給装置の少なくとも加圧気体供給端を配置し、気液分離装置の壁体は、床体の内端縁と対峙する複数の受面部の下方部分、もしくは、ほぼ床面のレベルにおいてシンク部底面から上方に離間させた受面部下端から後退した位置で立ち上がり、受面部の背面との間に減衰空間を形成するシンク部の後方周壁よりなることを特徴とする。
[作用]
【0023】
本発明の基本をなす清掃機能付き床材は、板状の床材の一端側から他端側に向かう一方向に、そして床材の表面に沿う広がりを持って開口して床材の表面に設けたノズルに、高圧空気供給装置によって床材の他面に設けた導入口を介して高圧空気を供給することにより、床材のほぼ全表面を覆うジェット噴流を形成し、上方から落下する飛散尿のような液滴を床材表面に達する以前に捕捉し、また既に床材表面に付着する液滴を剥離させて捕捉し、気液分離装置は床材の他端側の下流位置でジェット噴流とほぼ直角に交差する壁体でジェット噴流の液体分を下方に、気体分は上方に、それぞれ向きを変えて分離処理を可能とし、床材の表面は自動的に清掃される。
【発明の効果】
【0024】
以上詳細に説明したように、本発明の清掃機能付き床材によれば、板状の床材の表面に、表面に沿う広がりを持つノズルを設け、このノズルにより床材の一端側から他端に向けて床材のほぼ全面を蓋うジェット噴流を生じさせるので、このジェット噴流の中流域に大便器を、または下流域に小便器を配置してこれら便器の使用者が飛散させる尿の飛沫を、床材表面に到達する以前に空中で、あるいは床材表面に既に付着していればこれを剥離させてジェット噴流に載せることにより、床材表面の汚染を予防しかつ清掃する。さらに、ジェット噴流の下流域において気体分と液体分とに分離し、液体すなわち尿分は便器の水洗流と共に排水させ、気体分は流速を減衰させるから、簡単に処理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明による清掃機能つき床材と、この床材と組み合わせた水洗大便器、小便器ならびに小便器組体とのいくつかの具体的な実施例について、添付の図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0026】
図1に本発明の実施例1における基本的な構成の清掃機能付き床材10を示す。図において方形板状の床材10のほぼ平坦な表面10aに、床材の一端側面10bとほぼ平行に設けた段部11を有する棚部12を形成する。この棚部12は、床材の一端側面10bから段部11まで、床材の表面10aと平行に、段部11の高さを段差として拡がる表面と、その表面の内部に一端側面10bに開口する導入口13から段部11に開口するノズル14まで床材10の長さ方向に表面と平行に伸び、かつこの長さ方向に直交する幅方向のほぼ全般に広がる連通路15とを備えて形成される。
【0027】
この場合、連通路15は例えば断面をスリット状に形成し、入口13から例えば加圧空気を連通路15に供給すれば、加圧空気は細長いスリット状のノズル14からジェット状に噴出され、段部11から下流の床材10の表面10aに沿って床材10の長さ方向の他端10cに向かう面状あるいは層状のジェット噴流を形成する。このジェット噴流によって、床材の段部11から下流の表面10aに向け上方から落下して来る飛散尿は表面に達する以前に捕捉され、既に表面に付着する尿滴は剥離されて捕捉され、他端10cに運ばれて床材表面10aは清掃される。
加圧空気の圧力調整により、ジェット噴流の流速を150から200m/secとし、実施した所、充分な捕捉結果が得られたが、ジェット噴流の流速はこれに限定するものではない。
【0028】
床材10は使用者が履物を履いてその表面上に載るものであることを考慮すれば、例えば陶器、ステンレススチールのような耐圧性、耐摩耗性で耐水性の材料によって作製すること、また、少なくとも表面に撥水性を有するものとするか、撥水加工を施したものとすることが好ましいが、これらの条件を満たすものであればプラスチック製とすることも勿論可能である。連通路15内には、その天井部分をなす床材10の厚さや強度に応じて決まる床材の幅方向の間隔で仕切り壁を設けることにより、流体通路の天井部分の強度を高めることができる。
【0029】
段部11の高さについては、特に使用者の歩行の障害とならず、しかも段部に設ける連通路15のノズル14の寸法が有効なジェット噴流を生じうる程度にする必要があるが、概ね3mm程度とし、スリット状のノズル14の幅が2mm程度に保たれるようにすることが望ましい。
【実施例2】
【0030】
図2は本発明の実施例2における基本構成の清掃機能付き床材20を示す。この実施例が実施例1と異なるのは、段部21の頂縁から床材20の表面20aと平行に拡がる棚部22の表面が床材20の一端側面20bまで続かず、段部21に比較的に近い位置で緩斜面を介して床材の表面20aの高さに戻ることである。つまり、棚部22は比較的に細幅で長い帯状に形成されることを特徴とする。
【0031】
床材の一端側面20bに開口する導入口23と段部21において開口するノズル24を有する連通路25は、床材の一端側面20bの側の表面20aの内部から緩斜面の内部を経て細幅の棚部22の内部を通り、段部21のノズル24に至る。この場合、導入口23を一端側面20bの低い位置にして緩斜面部分までの連通路25をやや傾斜するようにすれば、緩斜面部分における屈曲度を低めうるが、棚部22の内部からノズル24までにおける床材表面20aと平行な通路部分は、ノズル24から出るジェット噴流の向きを表面20aに沿わせるに充分な長さを持つものとする。
【実施例3】
【0032】
図3Aと3Bは、本発明の実施例3を示し、上記実施例1における段部から床材の一端側面まで拡がる表面をもつ棚部を複数とするもので、ここでは床材30は3段の棚部32a,32bおよび32cを備え、階段状あるいは棚田形に形成される。それぞれの段部31a,31bおよび31cは互いに平行に、かつ床材30の一端側面30bについてほぼ等間隔に設けられるが、必ずしも等間隔である必要はない。要は、各段部から下流の棚部の表面が連通路35のノズル34からのジェット噴流の充分な流速でカバーされうる長さに設定されることである。このジェット噴流のための加圧空気源として、例えば手洗い後の濡れた手の高速乾燥機に用いられる小型の高圧遠心送風機を用いる場合であれば、段部間の間隔は概ね30mmから100mm前後、望ましくは50mm前後とすることが適宜である。勿論この寸法設定は、棚部32a−32cのそれぞれの流体通路35をどのように構成するかによって変わる設定条件に依存する。
【0033】
図3Bの断面図に示すのは、各棚部32a−32cを3層に重ね、連通路35も従って3層に設け、各層の導入口33を床材30の一端側面30bに併置する構成である。この場合、最下段の棚部、つまりここでは3段目の棚部32cの連通路35は最上段の棚部32aの連通路のほぼ3倍の長さを有することになり、連通路の内壁面との摩擦抵抗によって加圧空気の流速に減衰を来たすから、この減衰を減じるためには、棚部32が下段になって長くなるに従って、断面をスリット状とする連通路35の厚さを増やしたり、連通路35の長さを順次短くしたりする方策が考えられる。しかし、本実施例の構成においては、例えば最下段の棚部32cの段部31cの真上には、最上段の棚部32aと2段目の棚部32bの各ノズルからのジェット噴流が流れているため、段部31cの頂縁の直後に負圧が生じ、この負圧によって段部31cのノズルからの流体の噴出が促進される効果がある。この点は2段目の段部31bについても同様である。連通路の内部抵抗を減じる意味では、連通路を層ごとに分割せず、全層分を一つの共通空間とすることも可能であり、同様に一体化した導入口は加圧空気源に接続する。
【0034】
この実施例3においては更に、床体30の連通路35に対する加圧空気供給装置36の組み込み例が示される。この例では、加圧空気供給装置36は少なくとも床材30の一端側面30bの長さ、すなわち床材30の幅と同じ長さを有する箱型のコンパクトな装置として用意され、加圧空気の噴出口36aを連通路の導入口33に結合させて、床材の一端側面30bに、上面を最上段の棚部32aの表面と面一にして取り付けられる。加圧空気は、例えば前述した小型の高圧遠心送風機37を箱型の加圧空気供給装置36内に装備し、加圧気流を噴出口36aに集中させるように装置内部を構成する。高圧遠心送風機37への電力供給手段については、この送風機に接続した電源コードを加圧空気供給装置36の上面以外のいずれかの側面に引き出し、トイレットルームの壁面の電源ソケットに接続するようにするのが一般的であり、トイレットの床面の一部となる加圧空気供給装置の上面には、使用者のステップの障害となるものは作らない、あるいは少なくとも最小限にとどめるようにすることが望ましい。また、加圧空気供給装置自体を床材と切り離してコンパクトに構成し、外部に設置する、例えば電源ソケットに直接接続したり、或いはその近傍に設置したりして、加圧空気供給端のみを床材30の一端側面30bに結合する構成とすることもできる。
【0035】
また、図3Bの断面図には、床材30の他端30c側、つまりジェット噴流の下流側に設けてジェット噴流を処理する気液分離装置30Aを示す。この気液分離装置30Aはジェット噴流にほぼ直交して立設させた壁体30dでなり、この壁体30dは上部に減衰空間30eを区画し、下部に水洗便器の排水設備と連結した排水口30fを備える。この壁体30dに衝突したジェット噴流の気体分は上方に向きを変えて減衰空間30eで流速を減衰され、液体分は下方に向かうので排水口30fに導かれる。減衰空間30eは壁体30dに沿って上昇する気流の流速を減衰させるに充分な容積を持つが、空間的に制約される場合には、気体分は尿分を既に含まないから外気に解放しても外気の汚染にはならない。
【0036】
図3A,Bに示す構成では、床材30の最上段の棚部32aの表面を清掃するジェット噴流は生じない。そこで、加圧空気供給装置36の噴出口36aを床材30の棚部32のほぼ一段分大きく設け、その大きくした分の噴出口36aによって最上段の棚部32aの表面を清掃するようにすることもできる。そのため、加圧空気供給装置36の高さあるいは床材30への取り付け位置を棚部一段分高くすることもできるが、この高くした一段分の使用者ステップへ障害度は大きいから、噴出口36aの一部又は複数箇所の一部を加圧空気供給装置36の上面から曲面を持って突起させ、この、あるいはこれらの突起から最上段棚部32aの表面へのジェット噴流を生じさせることが、障害度を最小とするには好ましい。
【0037】
加圧空気供給装置36はまた、この場合、その上面に空気取入孔38を備え、高圧遠心送風機37に空気を供給する。さらに、この上面には例えば赤外線センサによる人体感知器39を設け、電源スイッチを含む図示しないスイッチ回路を介して高圧遠心送風機37と接続する。スイッチ回路は前記電源コードに接続され、人体感知器39を常時ONにして置くが、一つの実施態様として人体すなわち床材30上の使用者の存在を感知したとき電源スイッチをONにし、高圧遠心送風機37を作動させ、使用者が存在しなくなったときに電源スイッチをOFFして送風を停止する。つまり、使用者が床材30上にある間は床材30のノズル34からジェット噴流が生じているようにする。
【0038】
別の実施態様では、使用者の存在を感知した後使用者が床材30の上から離れたことを感知したとき電源スイッチをONさせ、高圧遠心送風機37を一定時間作動させる、つまり、使用者が存在しなくなってから所定時間、ジェット噴流を生じさせるようにする。また、別の態様として、ノズル34の一部に、またはノズル34と併設して洗浄水噴流ノズルを形成し、この洗浄水噴流ノズルに通じる導入口33の一部と連通路35の一部に接続した洗浄水噴流発生源を設け、スイッチ回路により、高圧遠心送風機37の一定時間作動に先立って、使用者が存在しなくなって後所定時間だけ洗浄水噴流発生源を作動させれば、床材表面の水洗と高速払拭乾燥とを行なうことができる。
【0039】
図3Bには複数の棚部32を構成する各段部31a−31cの頂縁間を結ぶ一点鎖線を示す。この一点鎖線は、棚部32の表面を水平にすれば最上段の棚部から最下段の棚部に向けて次第に下降する斜線となる。前述のように段部の高さを3mmとし、段部の間隔を30mmとした場合、この斜線は棚部の表面に対して約6度の角度をなす仮想線であり、実際にこの角度の斜面が存在するわけではないが、例えばこれらの寸法で段部数を10段とした床材30を小便器前面に設置した場合、最上段と最下段の間には明らかな高低差があるから、健常者にはこの程度の高低差はなんら不安を感じさせないとしても、高齢者や平衡感覚器官に支障のある人にとっては問題となり得る。これを考慮すると共に、ジェット噴流の有効清掃距離も考慮した場合、段部高さはそのままとして、段部間隔は50mmから100mmの範囲として斜線角度を約3.5度ないし約2度とすることが適宜である。逆に、段部頂縁間の一点鎖線それ自体を水平にするように、棚部表面をこれら角度の斜面となるように構成することも可能である。
【0040】
その意味では、実施例2における細幅の棚部22を設けた床材20は、棚部22の上流側と下流側は高低差のない同じ水平面である点で有利である。この点は細幅の棚部22を多数、間隔をおいて並列設置しても変わらないが、この場合、上流側の棚部からのジェット噴流が下流側の棚部の緩斜面によって斜め上向きとなり、下流側棚部からのジェット噴流と円滑に合流しない。この点を考慮した実施例4を図4に示す。ただし、斜め上向きの噴流が全く不要であるということはなく、便器使用中にジェット噴流を発生する実施態様の場合、尿の飛沫が床材の表面に達する以前に斜め上向きの噴流により空中で捕捉され、床材表面に沿って流れるジェット噴流との合流が円滑になると言う効用もあるから、後述するように積極的に斜め上向き噴流を発生させることも有用である。
【実施例4】
【0041】
本発明の実施例4を示す図4において、方形の床材40は全般に平坦な表面40aに、複数列の細幅棚部42a、42b,42c…が床材の一端側面40bに対しかつ互いに平行に、等間隔に設けられる。各列の細幅棚部は長さ方向において等間隔に複数の区分棚部42a1,42a2,42a3…;42b1,42b2,42b3…;…に分割され、各列の区分棚部はまた隣接する列の各区分棚部とは互い違いになるように配置される。つまり、例えば第1列の区分棚部42a1のノズル44からのジェット噴流は第2列の区分棚部42b1と42b2との間の空間を通過して第3列の区分棚部42c1の緩斜面に至る。従って、細幅棚部を長いまま併置した場合には流体噴流は直ちに隣接の細幅棚部の緩斜面に一斉に衝突し、一斉に斜め上方に向かうことになり、全般的に見ればジェット噴流の層の厚さを増す効果が大きくなるから、飛散する尿飛沫を空中で捕らえる率が高まるので、比較的に使用中に作動する態様において高い効果を期待し得るが、図4のように区分棚部を互い違いに分散させた場合には、ジェット噴流の層厚も増すと共に噴流の直進性も強く保たれる効果があるので、実施例4は便器使用中に作動する態様と使用後に作動する態様の双方に適用し得る。
【0042】
上記実施例のいずれにおいても、連通路は入り口から出口すなわちノズルにいたるまで断面をスリット状、つまり薄く広がる空洞状のものとして説明してきたが、これは薄く限定された空間を、最小の摩擦抵抗で流体すなわち空気又は水が通過し得る最適の通路断面形状として選択されるものである。従って連通路の幅、つまり加圧空気の流れ方向に直交する段部の長さ方向における寸法には何ら規定も限定もないが、流体通路を区画する棚部又は床材表面には使用者の荷重が反復して掛かるので、床材を構成する材料に応じて棚部又は床材表面の強度を保つために、幅方向の適宜間隔で連通路を仕切る仕切り板を設けても良い。
【0043】
強度を重視すれば、連通路の断面形状はスリット状のものに限定されることなく、少なくともノズル部分を円形又は角型の断面の細孔とすることも可能であり、通路全体を並列に配置した多数の細孔によって形成することもできる。並列細孔による場合の構造上ないし製造上の簡易性から見れば、二枚の平板で波板を挟んだコルゲート構造体を用いても良い。
【0044】
また、実施例1、実施例3においては棚部のノズルから出るジェット噴流はほぼ直線的に床材または次段の棚部表面に沿うものとなるので、一部を斜め上方に向けるために、例えばスリット状断面または細孔状のノズルを部分的に斜め上方に向くものとするか、一部を二重構造にし、上側のノズルを斜め上方に向くものとすることも可能である。
【実施例5】
【0045】
図5Aに示す本発明の実施例5は、ほぼ長方形の床材50の長手方向の一端側面50bに加圧空気供給装置56を取り付け、他端50c側に図5Bに断面図で示す気液分離装置60を取り付けると共に、床材50の長手方向の中心線に沿って腰掛型の洋式水洗大便器70が設置されてなる。床材としては上記の第1ないし実施例4のいずれに示すものを用いても良いが、ここでは実施例3の床材を例として用いる。
【0046】
従って、床材50の表面50aは実施例3に示す床材30と実質的に同じ多段型に形成され、床材の一端側面50bと平行な複数の段部51a,51b…51nで区画される棚部52a,52b…52nが床材の他端50cに向けて高さを漸減して配列される。図示の場合、これも実施例3のものと実質的に同じ構成の加圧空気供給装置56とこれに続く第1から第3の棚部52a−52cとで、水洗大便器70の前方側に位置する前方床面部分が構成される。第3棚部52cの段部51cはその中央部分が水洗便器70の前方端側壁72に当接するから、この中央の当接部分において段部51cはノズルを設けなくとも良いが、設けた場合には必要に応じてジェット噴流を便器の両側方に振り分ける手段を講じる。
【0047】
前方床面部の下流端、ここでは第3棚部52cの段部51cに連続して、水洗便器70の両側方の床面を、一対の側方床面部分を成す第4棚部52dから第n棚部52nまでによって形成する。前方床面部分の第1の棚部52aからこの側方床面部分の第nの棚部52nまでは順次多段式に高さを減じ、第n棚部52nの段部51n下流となる床材表面50aを最下段とすることは勿論である。このとき最後の段部51nをどこに位置させるか、については、便座71の縁を越えて便器70の外に飛ぶ水滴と飛散尿滴が飛散し落下する領域をカバーするために、便座71の後方端近辺とするのが適宜である。
【0048】
水洗大便器70の後背部で終端する両側方床面部の下流端を成す床材50の他端50cに連接して、一側面を開放した長方形の箱型の気液分離装置60が設置される。図5Bの部分断面図に見られるように、この気液分離装置60は、床材50の他端50cの先端に直立させた壁体61と、壁体上部から手前に折り返した頂部62と、頂部前端から垂下してジェット噴流の上側に位置する下端63aを有する上壁部63とにより減衰空間60aを区画し、上壁部下端63aと床体表面50aとの間にジェット噴流の全幅を受け入れる開口60bを設ける。床材の他端50cの減衰空間60aとの対向部分に凹面をなす底部64と、この底部64の最下位位置に設けて水洗大便器70の排水配管(図示しない)に接続した排水口65を設ける。
【0049】
前方床面部分と両側方床面部分の各段部51a〜51nのノズルからのジェット噴流は各棚部52b~52nの各表面ないしそれより下流の床材表面50aを払拭清掃した後、捕捉した尿滴と共に気液分離装置60内に開口60aから入り(図5B中実線矢印と破線矢印)、壁体61に衝突したジェット噴流の気体分は流れ方向を上方に変え、減衰空間60aで流速を減衰し、液体分である尿滴は下方に流れて排水口65に到る。つまり、ジェット噴流はそのままの状態で放散されることなく、気液分離装置60により気体と液体とに分離され、それぞれ処理される。
【0050】
上記実施例では気液分離装置60において壁体61の表面に水洗流を供給する構成を採らないが、分離後の液体分すなわち尿分は少量ではあっても底部63の内面に付着する可能性があるので、この少量の尿分を洗い流す程度の少量の水洗流を、少なくともジェット噴流による清掃の停止直後に供給する手段を設けても良い。或いは、ジェット噴流として先ず水を流し、次いで空気を流すこともできる。
【0051】
一方、分離後の気体は減衰空間60aで減衰させ、消滅させるが、減衰させるに充分な容積の空間の確保が困難であれば、頂部62に解放口66を設け、可能な範囲の空間で減衰させた後、外気に開放しても良い。その場合も、尿分は分離してあるので外気に対する汚染はない。
【0052】
上記実施例5では、図5Aに示す洋式腰掛型の水洗大便器70と、本発明による清掃機能付き床材50ならびに気液分離装置60との組合せを示したが、この実施例の水洗大便器70を図5Cに示すように和式床付け形の水洗大便器70Aに入れ替えることが可能である。床材50Aと加圧空気供給装置56Aならびに気液分離装置60Aは、図5A、5Bについて記載した床材50と加圧空気供給装置56ならびに気液分離装置60の構成をそのまま用いることができる。ただし、図5Cの和式水洗大便器70Aに対する前方床面部は段部51Aaと51Abを持つ棚部52Aaと52Abでなるものとして示すが、和式大便器の場合は洋式大便器と異なり、使用者の両足は便器の側方に置かれるので、段部51Acから51Anを持つ棚部52Acから52Anでなる側方床面部を長く、前方床面部は短くする程度の変更が必要となる。
【実施例6】
【0053】
図6A及び6Bに示す実施例6は、本発明による清掃機能付き床材と立設型の水洗小便器との組合せを示す。図6Aに示すように、実質的に実施例3に示す多段式の床材でなるステップ部を含む床体80は、立設されて使用者の排尿を受ける受面部92とその下部をなすシンク部96とを含む水洗小便器の本体90と一体に形成される。勿論、この場合、床体80と本体90とを製造工程の初めから完全に一体にする代わりに、例えば本体90のシンク部96と床体80との間を結合可能に分離して形成し、設置の際に組立結合しても良いことは言うまでもない。
【0054】
シンク部96から最も離れた床体80の一端に設ける加圧空気供給装置85を含め、床体80は実施例3の床材30と実質的に同じ構成を備えるが、勿論第1から第5の実施例における床材のいずれの床材も採用可能であることは言うまでもない。ただここでは、本体90の受面部92の前のステップ部に立った使用者の両足の間に突き出すシンク部95の垂れ受部96aを比較的に長く突き出させる場合には、図5Aの実施例5の側方床面部と同様な配列を採用することが好ましい。図6Aでは従って最下流側の棚部82nを垂れ受部96aの両側方部分に分けて示すが、最上流側の棚部82aを含み、使用者が立つステップ部の過半部分をなす、垂れ受部96aより上流の段部、例えば81a,81bのノズルからのジェット噴流が垂れ受部96aの両側方の床面を清掃するに充分な流速と流量を有していれば、両側方部分の棚部、ここでは82nとその段部81nは省略しても良い。垂れ受部96aの立ち上がり上縁部は、図6A,6Bに示すように、床体80つまりステップ部の最下流位置の高さと同じかそれ以下としてあるので、床体表面から流れるジェット噴流はなんら垂れ受部による障害なしにシンク部96の上層に達する。換言すれば、ステップ部の最下流位置つまりシンク部96に隣接する位置に落下付着した尿飛沫はジェット噴流に捕捉されてシンク部上層に運ばれるから、格別にステップ部に突き出す垂れ受部96aは設けなくとも良い。
【0055】
この実施例6における気液分離装置90aは、本体90の受面部92の中央下方部分に設けられ、図6Bの部分断面図に示す構成を有する。受面部92は、ステップ部に立った使用者と対面する中央から両側方にかけた中央下端部分において、下向前壁93と、壁体を成す後方周壁94との間に減衰空間95を設けた二重構造に形成される。受面部下端をなす下向前壁93は、シンク部96の底面から離間し、ステップ部表面からシンク部を越えてくるジェット噴流のほぼ上面となる位置の高さに下端93aを有する。減衰空間95は、例えば本体90の方形側背部壁面と受面部92の半円形背壁面との間の大きな空間に連続させることにより、充分な容積を持つ。ステップ部をなす棚部82a〜82nからのジェット噴流によってステップ部表面から剥離され、ないしは落下中に捕捉された飛散尿でなる液体分を含むジェット噴流は直交壁体を成す後方周壁94に衝突し、気体分は上方の減衰空間95に導かれ、液体分はシンク部96の排水口97に導かれる。この場合、本体90の上部の給水部91から出て受面部92の表面とこれに連続する下向前壁93の表面を洗浄する水洗流は、例えばジェット噴流によるステップ部の清掃完了後に供給する。勿論この順序は逆でも良いが、受面部への水洗流とステップ部へのジェット噴流はそれぞれ別個に発生させることが好ましい。
【0056】
また、実施例6における加圧空気供給装置85の構成と動作については、図3による実施例3の構成と動作についての記載が適用され得るため、ここでは詳述を省略する。
【実施例7】
【0057】
図7Aおよび7Bに示す本発明の実施例7は、本発明による清掃機能付き床材を用いた床体と、併置して立設される複数の水洗式小便器との組み合わせ組体である。図では併置した3台の小便器と、それぞれ3台分のシンク部と床体とを一体化した組体を示すが、3台分以下又は3台分以上の組体とすることも可能である。また、床材として図3に示す実施例3のものを例として示すが、他の実施例のいずれを用いても良いことは言うまでもない。
【0058】
実施例3と同じ構成の床材100でなる床体は、それぞれスリット状のノズルを小便器本体110に向けて開口させた段部101a〜101nの各々を有する棚部102a〜102nを多段式に配列してなるとともに、頭部に共通の給水装置111を置いて併置した小便器本体110の3個の受面部112a〜112cの幅に対応する3台分の幅を有する。この床体の最上流側の一端側面において棚部102aに接続する加圧空気供給装置103も床体と同じ3台分の幅を持ち、これら床体と加圧空気供給装置103の内部構成は3台分に共通する1台分として形成することがコスト上は有利であるが、1台分ごとに別個に構成することも勿論可能である。また、床体は共通構成とし、加圧空気供給装置は個別構成としても良い。両者とも共通構成とする場合のジェット噴流発生動作として、実施例3において述べた人体センサによる自動運転の代わりに、一定時間間隔による間歇運転とすることも可能である。これらの構成ならびに運転の態様は、本体110の受面部112に対する給水装置111の水洗流供給動作についても同様に適用される。
【0059】
床体は、実施例6の場合と同様に、小便器本体110の下部に設けたシンク部116に対して一体に、あるいは一体結合可能に設けられる。図7Aのような複数併置型の場合には個々の受面部112a〜112cごとに垂れ受部を、使用者のステップ位置に向け突き出させる構成とせず、シンク部116の床体側先端縁を全シンク部の幅にわたってステップ位置側に位置させる、つまりシンク部の奥行き寸法を大きくすることが有利である。従って、使用者が受面部112にできる限り近接して立つためには、使用者はシンク部に近く、つまり床体の先端縁近くに立つことになるので、床体の最下流の段部101nをできる限りシンク部に近く配置することが有利である。
【0060】
床体の各段部101a〜101nのノズルから噴出して床体の表面を清掃したジェット噴流は、シンク部116の上層を吹き抜けて小便器本体110の受面部112の下部に設けた気液分離装置110aに到達し、気体分は上方に導かれて減衰処理され、液体分は下方に導かれて排水処理される。気液分離装置110aは、シンク部116の底面から離間してジェット噴流のほぼ上側の位置で終端する受面部112の下端113と、この下端113から後退した位置で底面から立ち上がる後方周壁114と、受面部下端部分と後方周壁114との間に設けた減衰空間115とでなる。この場合、減衰空間115は、例えば後方周壁114を受面部112の頭部まで立ち上げて、背部を完全な二重構造とすることにより十分な容積を得られるが、図7Bに示すように後方周壁114は受面部背面との対面長さをある程度確保した後、減衰空間115を上方に向けて開放し、受面部背面と、本組体を設置するトイレットルームの壁面との間の空隙を利用することもできる。その場合、ジェット噴流に含まれた僅かな尿分は分離されているから、トイレットルームに悪臭をもたらすことはない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例1における清掃機能付き床材の斜視図。
【図2】本発明の実施例2における清掃機能付き床材の斜視図。
【図3A】本発明の実施例3における清掃機能付き床材の斜視図。
【図3B】図3Aの床材の縦断面図。
【図4】本発明の実施例4における清掃機能付き床材の斜視図。
【図5A】本発明の実施例5における清掃機能付き床材と洋式水洗大便器の組み合わせの斜視図。
【図5B】図5Aの組み合わせの一部の縦断面図。
【図5C】図5Aの大便器を和式水洗大便器とした組み合わせの斜視図。
【図6A】本発明の実施例6における清掃機能付き床材と水洗小便器の組み合わせの斜視図。
【図6B】図6Aの組み合わせの一部の縦断面図。
【図7A】本発明の実施例7における清掃機能付き床材と複数の水洗小便器との組み合わせ組体の斜視図。
【図7B】図7Bの組み合わせ組体の一部の縦断面図。
【符号の説明】
【0062】
10;20;30;40;50;80;100 床材
11:21;31a−c;41;51a−n;81a−n;101a−n 段部
12;22;32a−c;42a−d;52a−n;82a,b;102a−n 棚部
13;23;33 導入口
14;24;34 ノズル
15;25;35 連通路
36;56;85;103 加圧空気供給装置
36a 噴出口
37 高圧遠心送風機
38 空気取入孔
39 人体感知器
30A;60;60A;90a;110a 気液分離装置
70 洋式腰掛形水洗大便器
70A 和式床付け形水洗大便器
90;110 水洗小便器本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に液体の飛沫で汚染される床面を清掃する機能を備える床材と、この床材を用いた床体を便器本体と組み合わせ又は一体化してなる水洗便器と、更に、この床材を用いた床体と水洗便器の組体に関する。
【背景技術】
【0002】
個人住宅用のみならず各種公共施設におけるトイレットルームの、特に便器周りの床面は使用の都度使用者が排泄する尿の飛沫で汚染される。汚染された床面は早期に清掃することが望ましいが、そのための方策は先ず人手による清拭あるいは洗浄の作業であり、公共施設にあってはこの作業のため専門の清掃作業員が必要である。この職種は近年志望者の数を減少させる一方、専門作業員の雇用費用を増大させている。したがって、人手を要することなく機械的に、或いは自動的に便器周りの床面を清掃する装置ないし設備が各種提案されている。
【0003】
例えば特開平1−287328号公報に記載される小便器は、壁面に立設された小便器の下の床面上を壁面に対し前後方向に往復動する洗浄ブラシによって払掃する床清掃装置を備え、小便器への給水源とは別の配管で洗浄ブラシに洗浄水を供給し、床面下の排水パンから排水する。
【0004】
実開平6−26693号公報は一実施例として、床置き型と壁掛け型の双方における小便器の垂れ受け部下方の、あるいはその周囲の床面に排水用凹部を設け、これを透水性のカバーで覆い、清掃作業員がこの透水性カバーを水洗する構成を開示する。別の実施例では、壁掛け型小便機を設置した壁面と反対側の壁面から床面を下り勾配とし、人体を検知して反対側壁面のノズルから床面に水を流して洗浄し、小便器下方の排水溝から排水するようにしたトイレットルームの構成が開示されている。
【0005】
トイレットブースの洗浄装置を開示する実開平3−125875号公報では、壁掛け型の小便器の両側と下側とを正面取付け壁から張り出す壁部で取り囲み、これらへ基部に設けた複数の吐水口から小便器の外面と床面とに水を吹き付けて洗浄し、床面に設けた排水口から排水する構成が提案される。
【0006】
特開平8−103399号公報に記載されるトイレの床洗浄装置においては、使用者の履物から落ちる土砂を洗い流すために、便器の前後の壁面にトイレの幅方向に伸びる散水管を一定角度だけ軸回転させ、床面に散水された水を往復移動させる。
【0007】
特開2004−316211号公報に提案される床置型の男性用便器においては、床面に立設した主便器の両側壁の端縁面とその下方に続く垂れ受部の端縁面から垂れ受部内にかけて流水用樋を設け、これら端縁面の汚れを洗浄し得るようにする一方、主便器下方の床面に連結して設けた足元受皿に、主便器の排水路に接続した排水口を有する凹部を設け、その上面に格子状の踏み板を載せ、便器使用後に主便器内面と流水用樋と足元受け皿の凹部内周とに洗浄水を供給して、便器下部の床面も同時に洗浄する構成を示す。
【0008】
更に、特開平6−26090号公報に記載の水洗式小便器は、壁掛け式小便器の下部の使用者側に突き出す垂れ受部の更に下方の床面に、小面積の水洗式垂れ受け皿を設け、使用後に小便器本体と垂れ受け皿とを同時に洗浄する。
【特許文献1】特開平1−287328号
【特許文献2】実開平6−26693号
【特許文献3】実開平6−26693号
【特許文献4】実開平3−125875号
【特許文献5】特開平8−103399号
【特許文献6】特開2004−316211号
【特許文献7】特開平6−26090号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した特開平01−287328号公報の床清掃装置は、常時は小便器を立設した壁面の下部に格納されている横長の回転ブラシつき洗浄機が、小便器洗浄用水の給水ノブ操作から所定時間後にモータで駆動され、給水を受けながら、床面とその下の排水パンを形成する床パネルの床面に沿って壁面から離れる方向に移動し、床パネル後端から折り返して往復する間にブラシと水で床面を洗浄する。洗浄後の水は排水パンに流下し、排水口から排出される。この構成は無人での床面の清掃効果は高いが、構造が複雑で、製造と維持にコストが掛かり過ぎるといる課題を含む。
【0010】
実開平06−26693号公報の床面の排水凹部は人為的な洗浄を必要とし、また、床面に勾配をつけて流水で床面を洗浄する構成は効果的ではあっても、床面全般の勾配付けは使用者に危険を与えることになるので、この発明では滑り止めとして床面に小突起を設けているが、小突起は却って危険になる場合もあり得るし、余分なコストを要することは確かである。
【0011】
実開平3−125875号公報の洗浄装置付きトイレットブースは小便器内外面全般と共に下方の床面を同時に洗浄する点で有利であるが、トイレットブースを形成する正面と両側壁面は多数の吐水口、開閉弁装置と配水管を内蔵するために壁厚が大きくなり、製造コストが嵩むのみでなく、限られたスペースに多数のトイレットブースを設置するときは不利となる。
【0012】
特開平8−103399号公報の場合、散水管を軸回転させる装置を必要とする点で構造が複雑であり、また散水された水が床面で往復運動を生じるためにはかなりの水量を必要とする点においてもコスト高となる。
【0013】
特開2004−316211号公報の小便器は、主便器の両側壁の端縁面に流水用樋を設けてこれら端縁面の汚れを洗浄する点は画期的だが、樋の側縁外面は洗えずに残る。また、垂れ受部外側の床面に足元受け皿を設けてその凹面内を洗浄する点も画期的だが、飛散する尿が直接降りかかる格子状踏み板の洗浄は人手に頼るものとして残る。
【0014】
特開平6−26090号公報では、小面積の水洗式垂れ受皿が床面に、小便器本体の垂れ受部の下方において設けられるのみであるため、垂れ受部からほぼ垂直に落ちる垂れに対しては有効だが、垂直に落ちずに拡散して落ちる飛沫に対しては無力であり、垂れ受皿の周囲の床面は依然として人手による清掃を待たねばならない。
【0015】
これら先行技術はいずれも便器周囲ないしその下方の床面の限定領域、あるいはトイレットルーム全体の床面における排尿の垂れと飛沫による汚染を、自動的又は人為的な水洗により清浄化することを提示する。住宅用の場合は通常手動の開弁動作で水洗が行なわれるが、公共施設における自動的な場合には、通常は便器毎に使用者が便器を離れる都度これを感知して一定時間あるいは一定水量の水洗を行なうか、複数の便器について、使用の有無と無関係に、ある一定時間ごとに間歇的に水洗が行なわれる。便器自体の一回の水洗に必要な水量は一般に小便器で約6リットル、大便器で約12リットルとされている(「トイレ・近未来 ‐Dreams on a Railway‐」; http: //www.tsubasa.to/dreams/html/90-05.html)から、近時は節水型の水洗便器が普及してかなりこの水量は減じられているとしても、便器周りの床面の水洗用水量を加えれば、非常に大量の水が便器とトイレットルーム床面の自動水洗のために消費されていることは明らかである。本発明はこの問題を解決して、特に床面の洗浄あるいは清浄化に必要な水量を顕著に減じるか、又は不要とすると同時に、便器の周囲又は下方の限定領域に限られることなく、一台あるいは複数台の便器が置かれるトイレットルームの少なくとも便器下方部分又は全面に亘る広範囲の床面の清掃を可能とし、しかも人為的な清掃作業を不要とすることを課題とする。
【0016】
本発明は上記の従来技術における問題点を解決するために提案されたもので、飛散排尿等の液体の飛沫による床面の汚染を自動的に、簡単かつ確実に清掃するのみでなく、落下してくる飛散尿滴を床面に達する以前に捕捉し排除する機能を備えた床材を提供することを目的とする。
【0017】
本発明はまた、上記の床面を清掃する機能を備えた床材を、便器に関連して使用者の両足が置かれる床面部分に使用して、主として便器本体の使用後の水洗とは別個にこの床面部分も清掃し得るようにした小便器の提供を目的とする。
【0018】
本発明は更に、上記の床面を清掃する機能を備えた床材と、単独又は複数の水洗便器とを組み合わせた組体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するため、本発明の清掃機能付き床材は、板状の床材の表面に床材の一端側から他端側に向けて開口させたノズルと、床材に設けてノズルに連結した導入口と、導入口に加圧空気を供給してノズルから床材の表面を覆うジェット噴流を生じさせる加圧空気供給装置と、床材の他端側のジェット噴流下流位置においてジェット噴流と直交する壁体を含む気液分離装置とよりなり、ジェット噴流は床材表面の上方から落下する液滴を床材表面に達する以前に捕捉しかつ床材表面に付着する液滴を剥離させて下流位置に運び、気液分離装置の壁体に衝突して液体分を下方に、気体分を上方に分離することを特徴とする。
【0020】
本発明による清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた洋式腰掛型または和式床付け型の水洗大便器は、請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材でなると共に前記水洗大便器を取り囲む床面を成す床体とを備え、床体は、使用者が接近する水洗大便器の前方側に配置され、少なくとも加圧空気供給装置の供給端とこの供給端に接続したノズルとを含む床材でなる前方床面部分と、水洗大便器の両側を挟んで水洗大便器の後方まで延びる床材でなる一対の側方床面部分と、水洗大便器の後方において一対の側方床面部分の後端縁に連接した前記気液分離装置とよりなることを特徴とする。
【0021】
本発明による清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた水洗小便器は、立設されて使用者の排尿を受ける受面部およびこの受面部に上方から水洗流を供給する給水装置を含む本体と、使用者が立つ床面のレベルで受面部の下端に面しかつ排水口を有するシンク部及びこのシンク部に連続すると共に床面のレベルに展延して使用者が載るステップ部を含みかつ請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材を用いて本体と一体に形成される床体とよりなり、床体のステップ部は、シンク部の排水口を有する内底面に連なる内端縁とこの内端縁とほぼ平行しかつ使用者の両足底面を受けるに充分な幅と長さをもって離間した外端縁との間において、外端縁側に少なくとも加圧空気供給装置の供給端を配置し、その内側に床材を配置してなり、気液分離装置の壁体は、ステップ部の内端縁と対峙する本体の受面部の下方部分、または、シンク部の内底面から上方に離間して設けた受面部下端から後退した位置で立ち上がるとともに受面部下端部分の背面との間に減衰空間を形成するシンク部の後方周壁でなることを特徴とする。
【0022】
本発明による清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた水洗式の小便器組体は、併置して立設され使用者の排尿を受ける複数の受面部、これら受面部の上部から各受面部に水洗流を供給する給水部、及び使用者が立つ床面のレベルにおいて各受面部の下端に面しかつ底面に排水口を有するシンク部を含む本体と、使用者が立つ床面のレベルにおいて前記複数の受面部の全幅にわたりシンク部に連続して展延して前記本体と一体に設けられかつ請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材でなる床体とを備え、床体は、シンク部の底面に連なる内端縁とこの内端縁と平行しかつ使用者の両足底面を受けるに充分な長さをもって離間する外端縁との間において、本体の複数の受面部の全幅に対応する横幅とした床材の前記一端側を外端縁側とすると共に床材の他端を内端縁側として配置し、外端縁側に加圧気体供給装置の少なくとも加圧気体供給端を配置し、気液分離装置の壁体は、床体の内端縁と対峙する複数の受面部の下方部分、もしくは、ほぼ床面のレベルにおいてシンク部底面から上方に離間させた受面部下端から後退した位置で立ち上がり、受面部の背面との間に減衰空間を形成するシンク部の後方周壁よりなることを特徴とする。
[作用]
【0023】
本発明の基本をなす清掃機能付き床材は、板状の床材の一端側から他端側に向かう一方向に、そして床材の表面に沿う広がりを持って開口して床材の表面に設けたノズルに、高圧空気供給装置によって床材の他面に設けた導入口を介して高圧空気を供給することにより、床材のほぼ全表面を覆うジェット噴流を形成し、上方から落下する飛散尿のような液滴を床材表面に達する以前に捕捉し、また既に床材表面に付着する液滴を剥離させて捕捉し、気液分離装置は床材の他端側の下流位置でジェット噴流とほぼ直角に交差する壁体でジェット噴流の液体分を下方に、気体分は上方に、それぞれ向きを変えて分離処理を可能とし、床材の表面は自動的に清掃される。
【発明の効果】
【0024】
以上詳細に説明したように、本発明の清掃機能付き床材によれば、板状の床材の表面に、表面に沿う広がりを持つノズルを設け、このノズルにより床材の一端側から他端に向けて床材のほぼ全面を蓋うジェット噴流を生じさせるので、このジェット噴流の中流域に大便器を、または下流域に小便器を配置してこれら便器の使用者が飛散させる尿の飛沫を、床材表面に到達する以前に空中で、あるいは床材表面に既に付着していればこれを剥離させてジェット噴流に載せることにより、床材表面の汚染を予防しかつ清掃する。さらに、ジェット噴流の下流域において気体分と液体分とに分離し、液体すなわち尿分は便器の水洗流と共に排水させ、気体分は流速を減衰させるから、簡単に処理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明による清掃機能つき床材と、この床材と組み合わせた水洗大便器、小便器ならびに小便器組体とのいくつかの具体的な実施例について、添付の図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0026】
図1に本発明の実施例1における基本的な構成の清掃機能付き床材10を示す。図において方形板状の床材10のほぼ平坦な表面10aに、床材の一端側面10bとほぼ平行に設けた段部11を有する棚部12を形成する。この棚部12は、床材の一端側面10bから段部11まで、床材の表面10aと平行に、段部11の高さを段差として拡がる表面と、その表面の内部に一端側面10bに開口する導入口13から段部11に開口するノズル14まで床材10の長さ方向に表面と平行に伸び、かつこの長さ方向に直交する幅方向のほぼ全般に広がる連通路15とを備えて形成される。
【0027】
この場合、連通路15は例えば断面をスリット状に形成し、入口13から例えば加圧空気を連通路15に供給すれば、加圧空気は細長いスリット状のノズル14からジェット状に噴出され、段部11から下流の床材10の表面10aに沿って床材10の長さ方向の他端10cに向かう面状あるいは層状のジェット噴流を形成する。このジェット噴流によって、床材の段部11から下流の表面10aに向け上方から落下して来る飛散尿は表面に達する以前に捕捉され、既に表面に付着する尿滴は剥離されて捕捉され、他端10cに運ばれて床材表面10aは清掃される。
加圧空気の圧力調整により、ジェット噴流の流速を150から200m/secとし、実施した所、充分な捕捉結果が得られたが、ジェット噴流の流速はこれに限定するものではない。
【0028】
床材10は使用者が履物を履いてその表面上に載るものであることを考慮すれば、例えば陶器、ステンレススチールのような耐圧性、耐摩耗性で耐水性の材料によって作製すること、また、少なくとも表面に撥水性を有するものとするか、撥水加工を施したものとすることが好ましいが、これらの条件を満たすものであればプラスチック製とすることも勿論可能である。連通路15内には、その天井部分をなす床材10の厚さや強度に応じて決まる床材の幅方向の間隔で仕切り壁を設けることにより、流体通路の天井部分の強度を高めることができる。
【0029】
段部11の高さについては、特に使用者の歩行の障害とならず、しかも段部に設ける連通路15のノズル14の寸法が有効なジェット噴流を生じうる程度にする必要があるが、概ね3mm程度とし、スリット状のノズル14の幅が2mm程度に保たれるようにすることが望ましい。
【実施例2】
【0030】
図2は本発明の実施例2における基本構成の清掃機能付き床材20を示す。この実施例が実施例1と異なるのは、段部21の頂縁から床材20の表面20aと平行に拡がる棚部22の表面が床材20の一端側面20bまで続かず、段部21に比較的に近い位置で緩斜面を介して床材の表面20aの高さに戻ることである。つまり、棚部22は比較的に細幅で長い帯状に形成されることを特徴とする。
【0031】
床材の一端側面20bに開口する導入口23と段部21において開口するノズル24を有する連通路25は、床材の一端側面20bの側の表面20aの内部から緩斜面の内部を経て細幅の棚部22の内部を通り、段部21のノズル24に至る。この場合、導入口23を一端側面20bの低い位置にして緩斜面部分までの連通路25をやや傾斜するようにすれば、緩斜面部分における屈曲度を低めうるが、棚部22の内部からノズル24までにおける床材表面20aと平行な通路部分は、ノズル24から出るジェット噴流の向きを表面20aに沿わせるに充分な長さを持つものとする。
【実施例3】
【0032】
図3Aと3Bは、本発明の実施例3を示し、上記実施例1における段部から床材の一端側面まで拡がる表面をもつ棚部を複数とするもので、ここでは床材30は3段の棚部32a,32bおよび32cを備え、階段状あるいは棚田形に形成される。それぞれの段部31a,31bおよび31cは互いに平行に、かつ床材30の一端側面30bについてほぼ等間隔に設けられるが、必ずしも等間隔である必要はない。要は、各段部から下流の棚部の表面が連通路35のノズル34からのジェット噴流の充分な流速でカバーされうる長さに設定されることである。このジェット噴流のための加圧空気源として、例えば手洗い後の濡れた手の高速乾燥機に用いられる小型の高圧遠心送風機を用いる場合であれば、段部間の間隔は概ね30mmから100mm前後、望ましくは50mm前後とすることが適宜である。勿論この寸法設定は、棚部32a−32cのそれぞれの流体通路35をどのように構成するかによって変わる設定条件に依存する。
【0033】
図3Bの断面図に示すのは、各棚部32a−32cを3層に重ね、連通路35も従って3層に設け、各層の導入口33を床材30の一端側面30bに併置する構成である。この場合、最下段の棚部、つまりここでは3段目の棚部32cの連通路35は最上段の棚部32aの連通路のほぼ3倍の長さを有することになり、連通路の内壁面との摩擦抵抗によって加圧空気の流速に減衰を来たすから、この減衰を減じるためには、棚部32が下段になって長くなるに従って、断面をスリット状とする連通路35の厚さを増やしたり、連通路35の長さを順次短くしたりする方策が考えられる。しかし、本実施例の構成においては、例えば最下段の棚部32cの段部31cの真上には、最上段の棚部32aと2段目の棚部32bの各ノズルからのジェット噴流が流れているため、段部31cの頂縁の直後に負圧が生じ、この負圧によって段部31cのノズルからの流体の噴出が促進される効果がある。この点は2段目の段部31bについても同様である。連通路の内部抵抗を減じる意味では、連通路を層ごとに分割せず、全層分を一つの共通空間とすることも可能であり、同様に一体化した導入口は加圧空気源に接続する。
【0034】
この実施例3においては更に、床体30の連通路35に対する加圧空気供給装置36の組み込み例が示される。この例では、加圧空気供給装置36は少なくとも床材30の一端側面30bの長さ、すなわち床材30の幅と同じ長さを有する箱型のコンパクトな装置として用意され、加圧空気の噴出口36aを連通路の導入口33に結合させて、床材の一端側面30bに、上面を最上段の棚部32aの表面と面一にして取り付けられる。加圧空気は、例えば前述した小型の高圧遠心送風機37を箱型の加圧空気供給装置36内に装備し、加圧気流を噴出口36aに集中させるように装置内部を構成する。高圧遠心送風機37への電力供給手段については、この送風機に接続した電源コードを加圧空気供給装置36の上面以外のいずれかの側面に引き出し、トイレットルームの壁面の電源ソケットに接続するようにするのが一般的であり、トイレットの床面の一部となる加圧空気供給装置の上面には、使用者のステップの障害となるものは作らない、あるいは少なくとも最小限にとどめるようにすることが望ましい。また、加圧空気供給装置自体を床材と切り離してコンパクトに構成し、外部に設置する、例えば電源ソケットに直接接続したり、或いはその近傍に設置したりして、加圧空気供給端のみを床材30の一端側面30bに結合する構成とすることもできる。
【0035】
また、図3Bの断面図には、床材30の他端30c側、つまりジェット噴流の下流側に設けてジェット噴流を処理する気液分離装置30Aを示す。この気液分離装置30Aはジェット噴流にほぼ直交して立設させた壁体30dでなり、この壁体30dは上部に減衰空間30eを区画し、下部に水洗便器の排水設備と連結した排水口30fを備える。この壁体30dに衝突したジェット噴流の気体分は上方に向きを変えて減衰空間30eで流速を減衰され、液体分は下方に向かうので排水口30fに導かれる。減衰空間30eは壁体30dに沿って上昇する気流の流速を減衰させるに充分な容積を持つが、空間的に制約される場合には、気体分は尿分を既に含まないから外気に解放しても外気の汚染にはならない。
【0036】
図3A,Bに示す構成では、床材30の最上段の棚部32aの表面を清掃するジェット噴流は生じない。そこで、加圧空気供給装置36の噴出口36aを床材30の棚部32のほぼ一段分大きく設け、その大きくした分の噴出口36aによって最上段の棚部32aの表面を清掃するようにすることもできる。そのため、加圧空気供給装置36の高さあるいは床材30への取り付け位置を棚部一段分高くすることもできるが、この高くした一段分の使用者ステップへ障害度は大きいから、噴出口36aの一部又は複数箇所の一部を加圧空気供給装置36の上面から曲面を持って突起させ、この、あるいはこれらの突起から最上段棚部32aの表面へのジェット噴流を生じさせることが、障害度を最小とするには好ましい。
【0037】
加圧空気供給装置36はまた、この場合、その上面に空気取入孔38を備え、高圧遠心送風機37に空気を供給する。さらに、この上面には例えば赤外線センサによる人体感知器39を設け、電源スイッチを含む図示しないスイッチ回路を介して高圧遠心送風機37と接続する。スイッチ回路は前記電源コードに接続され、人体感知器39を常時ONにして置くが、一つの実施態様として人体すなわち床材30上の使用者の存在を感知したとき電源スイッチをONにし、高圧遠心送風機37を作動させ、使用者が存在しなくなったときに電源スイッチをOFFして送風を停止する。つまり、使用者が床材30上にある間は床材30のノズル34からジェット噴流が生じているようにする。
【0038】
別の実施態様では、使用者の存在を感知した後使用者が床材30の上から離れたことを感知したとき電源スイッチをONさせ、高圧遠心送風機37を一定時間作動させる、つまり、使用者が存在しなくなってから所定時間、ジェット噴流を生じさせるようにする。また、別の態様として、ノズル34の一部に、またはノズル34と併設して洗浄水噴流ノズルを形成し、この洗浄水噴流ノズルに通じる導入口33の一部と連通路35の一部に接続した洗浄水噴流発生源を設け、スイッチ回路により、高圧遠心送風機37の一定時間作動に先立って、使用者が存在しなくなって後所定時間だけ洗浄水噴流発生源を作動させれば、床材表面の水洗と高速払拭乾燥とを行なうことができる。
【0039】
図3Bには複数の棚部32を構成する各段部31a−31cの頂縁間を結ぶ一点鎖線を示す。この一点鎖線は、棚部32の表面を水平にすれば最上段の棚部から最下段の棚部に向けて次第に下降する斜線となる。前述のように段部の高さを3mmとし、段部の間隔を30mmとした場合、この斜線は棚部の表面に対して約6度の角度をなす仮想線であり、実際にこの角度の斜面が存在するわけではないが、例えばこれらの寸法で段部数を10段とした床材30を小便器前面に設置した場合、最上段と最下段の間には明らかな高低差があるから、健常者にはこの程度の高低差はなんら不安を感じさせないとしても、高齢者や平衡感覚器官に支障のある人にとっては問題となり得る。これを考慮すると共に、ジェット噴流の有効清掃距離も考慮した場合、段部高さはそのままとして、段部間隔は50mmから100mmの範囲として斜線角度を約3.5度ないし約2度とすることが適宜である。逆に、段部頂縁間の一点鎖線それ自体を水平にするように、棚部表面をこれら角度の斜面となるように構成することも可能である。
【0040】
その意味では、実施例2における細幅の棚部22を設けた床材20は、棚部22の上流側と下流側は高低差のない同じ水平面である点で有利である。この点は細幅の棚部22を多数、間隔をおいて並列設置しても変わらないが、この場合、上流側の棚部からのジェット噴流が下流側の棚部の緩斜面によって斜め上向きとなり、下流側棚部からのジェット噴流と円滑に合流しない。この点を考慮した実施例4を図4に示す。ただし、斜め上向きの噴流が全く不要であるということはなく、便器使用中にジェット噴流を発生する実施態様の場合、尿の飛沫が床材の表面に達する以前に斜め上向きの噴流により空中で捕捉され、床材表面に沿って流れるジェット噴流との合流が円滑になると言う効用もあるから、後述するように積極的に斜め上向き噴流を発生させることも有用である。
【実施例4】
【0041】
本発明の実施例4を示す図4において、方形の床材40は全般に平坦な表面40aに、複数列の細幅棚部42a、42b,42c…が床材の一端側面40bに対しかつ互いに平行に、等間隔に設けられる。各列の細幅棚部は長さ方向において等間隔に複数の区分棚部42a1,42a2,42a3…;42b1,42b2,42b3…;…に分割され、各列の区分棚部はまた隣接する列の各区分棚部とは互い違いになるように配置される。つまり、例えば第1列の区分棚部42a1のノズル44からのジェット噴流は第2列の区分棚部42b1と42b2との間の空間を通過して第3列の区分棚部42c1の緩斜面に至る。従って、細幅棚部を長いまま併置した場合には流体噴流は直ちに隣接の細幅棚部の緩斜面に一斉に衝突し、一斉に斜め上方に向かうことになり、全般的に見ればジェット噴流の層の厚さを増す効果が大きくなるから、飛散する尿飛沫を空中で捕らえる率が高まるので、比較的に使用中に作動する態様において高い効果を期待し得るが、図4のように区分棚部を互い違いに分散させた場合には、ジェット噴流の層厚も増すと共に噴流の直進性も強く保たれる効果があるので、実施例4は便器使用中に作動する態様と使用後に作動する態様の双方に適用し得る。
【0042】
上記実施例のいずれにおいても、連通路は入り口から出口すなわちノズルにいたるまで断面をスリット状、つまり薄く広がる空洞状のものとして説明してきたが、これは薄く限定された空間を、最小の摩擦抵抗で流体すなわち空気又は水が通過し得る最適の通路断面形状として選択されるものである。従って連通路の幅、つまり加圧空気の流れ方向に直交する段部の長さ方向における寸法には何ら規定も限定もないが、流体通路を区画する棚部又は床材表面には使用者の荷重が反復して掛かるので、床材を構成する材料に応じて棚部又は床材表面の強度を保つために、幅方向の適宜間隔で連通路を仕切る仕切り板を設けても良い。
【0043】
強度を重視すれば、連通路の断面形状はスリット状のものに限定されることなく、少なくともノズル部分を円形又は角型の断面の細孔とすることも可能であり、通路全体を並列に配置した多数の細孔によって形成することもできる。並列細孔による場合の構造上ないし製造上の簡易性から見れば、二枚の平板で波板を挟んだコルゲート構造体を用いても良い。
【0044】
また、実施例1、実施例3においては棚部のノズルから出るジェット噴流はほぼ直線的に床材または次段の棚部表面に沿うものとなるので、一部を斜め上方に向けるために、例えばスリット状断面または細孔状のノズルを部分的に斜め上方に向くものとするか、一部を二重構造にし、上側のノズルを斜め上方に向くものとすることも可能である。
【実施例5】
【0045】
図5Aに示す本発明の実施例5は、ほぼ長方形の床材50の長手方向の一端側面50bに加圧空気供給装置56を取り付け、他端50c側に図5Bに断面図で示す気液分離装置60を取り付けると共に、床材50の長手方向の中心線に沿って腰掛型の洋式水洗大便器70が設置されてなる。床材としては上記の第1ないし実施例4のいずれに示すものを用いても良いが、ここでは実施例3の床材を例として用いる。
【0046】
従って、床材50の表面50aは実施例3に示す床材30と実質的に同じ多段型に形成され、床材の一端側面50bと平行な複数の段部51a,51b…51nで区画される棚部52a,52b…52nが床材の他端50cに向けて高さを漸減して配列される。図示の場合、これも実施例3のものと実質的に同じ構成の加圧空気供給装置56とこれに続く第1から第3の棚部52a−52cとで、水洗大便器70の前方側に位置する前方床面部分が構成される。第3棚部52cの段部51cはその中央部分が水洗便器70の前方端側壁72に当接するから、この中央の当接部分において段部51cはノズルを設けなくとも良いが、設けた場合には必要に応じてジェット噴流を便器の両側方に振り分ける手段を講じる。
【0047】
前方床面部の下流端、ここでは第3棚部52cの段部51cに連続して、水洗便器70の両側方の床面を、一対の側方床面部分を成す第4棚部52dから第n棚部52nまでによって形成する。前方床面部分の第1の棚部52aからこの側方床面部分の第nの棚部52nまでは順次多段式に高さを減じ、第n棚部52nの段部51n下流となる床材表面50aを最下段とすることは勿論である。このとき最後の段部51nをどこに位置させるか、については、便座71の縁を越えて便器70の外に飛ぶ水滴と飛散尿滴が飛散し落下する領域をカバーするために、便座71の後方端近辺とするのが適宜である。
【0048】
水洗大便器70の後背部で終端する両側方床面部の下流端を成す床材50の他端50cに連接して、一側面を開放した長方形の箱型の気液分離装置60が設置される。図5Bの部分断面図に見られるように、この気液分離装置60は、床材50の他端50cの先端に直立させた壁体61と、壁体上部から手前に折り返した頂部62と、頂部前端から垂下してジェット噴流の上側に位置する下端63aを有する上壁部63とにより減衰空間60aを区画し、上壁部下端63aと床体表面50aとの間にジェット噴流の全幅を受け入れる開口60bを設ける。床材の他端50cの減衰空間60aとの対向部分に凹面をなす底部64と、この底部64の最下位位置に設けて水洗大便器70の排水配管(図示しない)に接続した排水口65を設ける。
【0049】
前方床面部分と両側方床面部分の各段部51a〜51nのノズルからのジェット噴流は各棚部52b~52nの各表面ないしそれより下流の床材表面50aを払拭清掃した後、捕捉した尿滴と共に気液分離装置60内に開口60aから入り(図5B中実線矢印と破線矢印)、壁体61に衝突したジェット噴流の気体分は流れ方向を上方に変え、減衰空間60aで流速を減衰し、液体分である尿滴は下方に流れて排水口65に到る。つまり、ジェット噴流はそのままの状態で放散されることなく、気液分離装置60により気体と液体とに分離され、それぞれ処理される。
【0050】
上記実施例では気液分離装置60において壁体61の表面に水洗流を供給する構成を採らないが、分離後の液体分すなわち尿分は少量ではあっても底部63の内面に付着する可能性があるので、この少量の尿分を洗い流す程度の少量の水洗流を、少なくともジェット噴流による清掃の停止直後に供給する手段を設けても良い。或いは、ジェット噴流として先ず水を流し、次いで空気を流すこともできる。
【0051】
一方、分離後の気体は減衰空間60aで減衰させ、消滅させるが、減衰させるに充分な容積の空間の確保が困難であれば、頂部62に解放口66を設け、可能な範囲の空間で減衰させた後、外気に開放しても良い。その場合も、尿分は分離してあるので外気に対する汚染はない。
【0052】
上記実施例5では、図5Aに示す洋式腰掛型の水洗大便器70と、本発明による清掃機能付き床材50ならびに気液分離装置60との組合せを示したが、この実施例の水洗大便器70を図5Cに示すように和式床付け形の水洗大便器70Aに入れ替えることが可能である。床材50Aと加圧空気供給装置56Aならびに気液分離装置60Aは、図5A、5Bについて記載した床材50と加圧空気供給装置56ならびに気液分離装置60の構成をそのまま用いることができる。ただし、図5Cの和式水洗大便器70Aに対する前方床面部は段部51Aaと51Abを持つ棚部52Aaと52Abでなるものとして示すが、和式大便器の場合は洋式大便器と異なり、使用者の両足は便器の側方に置かれるので、段部51Acから51Anを持つ棚部52Acから52Anでなる側方床面部を長く、前方床面部は短くする程度の変更が必要となる。
【実施例6】
【0053】
図6A及び6Bに示す実施例6は、本発明による清掃機能付き床材と立設型の水洗小便器との組合せを示す。図6Aに示すように、実質的に実施例3に示す多段式の床材でなるステップ部を含む床体80は、立設されて使用者の排尿を受ける受面部92とその下部をなすシンク部96とを含む水洗小便器の本体90と一体に形成される。勿論、この場合、床体80と本体90とを製造工程の初めから完全に一体にする代わりに、例えば本体90のシンク部96と床体80との間を結合可能に分離して形成し、設置の際に組立結合しても良いことは言うまでもない。
【0054】
シンク部96から最も離れた床体80の一端に設ける加圧空気供給装置85を含め、床体80は実施例3の床材30と実質的に同じ構成を備えるが、勿論第1から第5の実施例における床材のいずれの床材も採用可能であることは言うまでもない。ただここでは、本体90の受面部92の前のステップ部に立った使用者の両足の間に突き出すシンク部95の垂れ受部96aを比較的に長く突き出させる場合には、図5Aの実施例5の側方床面部と同様な配列を採用することが好ましい。図6Aでは従って最下流側の棚部82nを垂れ受部96aの両側方部分に分けて示すが、最上流側の棚部82aを含み、使用者が立つステップ部の過半部分をなす、垂れ受部96aより上流の段部、例えば81a,81bのノズルからのジェット噴流が垂れ受部96aの両側方の床面を清掃するに充分な流速と流量を有していれば、両側方部分の棚部、ここでは82nとその段部81nは省略しても良い。垂れ受部96aの立ち上がり上縁部は、図6A,6Bに示すように、床体80つまりステップ部の最下流位置の高さと同じかそれ以下としてあるので、床体表面から流れるジェット噴流はなんら垂れ受部による障害なしにシンク部96の上層に達する。換言すれば、ステップ部の最下流位置つまりシンク部96に隣接する位置に落下付着した尿飛沫はジェット噴流に捕捉されてシンク部上層に運ばれるから、格別にステップ部に突き出す垂れ受部96aは設けなくとも良い。
【0055】
この実施例6における気液分離装置90aは、本体90の受面部92の中央下方部分に設けられ、図6Bの部分断面図に示す構成を有する。受面部92は、ステップ部に立った使用者と対面する中央から両側方にかけた中央下端部分において、下向前壁93と、壁体を成す後方周壁94との間に減衰空間95を設けた二重構造に形成される。受面部下端をなす下向前壁93は、シンク部96の底面から離間し、ステップ部表面からシンク部を越えてくるジェット噴流のほぼ上面となる位置の高さに下端93aを有する。減衰空間95は、例えば本体90の方形側背部壁面と受面部92の半円形背壁面との間の大きな空間に連続させることにより、充分な容積を持つ。ステップ部をなす棚部82a〜82nからのジェット噴流によってステップ部表面から剥離され、ないしは落下中に捕捉された飛散尿でなる液体分を含むジェット噴流は直交壁体を成す後方周壁94に衝突し、気体分は上方の減衰空間95に導かれ、液体分はシンク部96の排水口97に導かれる。この場合、本体90の上部の給水部91から出て受面部92の表面とこれに連続する下向前壁93の表面を洗浄する水洗流は、例えばジェット噴流によるステップ部の清掃完了後に供給する。勿論この順序は逆でも良いが、受面部への水洗流とステップ部へのジェット噴流はそれぞれ別個に発生させることが好ましい。
【0056】
また、実施例6における加圧空気供給装置85の構成と動作については、図3による実施例3の構成と動作についての記載が適用され得るため、ここでは詳述を省略する。
【実施例7】
【0057】
図7Aおよび7Bに示す本発明の実施例7は、本発明による清掃機能付き床材を用いた床体と、併置して立設される複数の水洗式小便器との組み合わせ組体である。図では併置した3台の小便器と、それぞれ3台分のシンク部と床体とを一体化した組体を示すが、3台分以下又は3台分以上の組体とすることも可能である。また、床材として図3に示す実施例3のものを例として示すが、他の実施例のいずれを用いても良いことは言うまでもない。
【0058】
実施例3と同じ構成の床材100でなる床体は、それぞれスリット状のノズルを小便器本体110に向けて開口させた段部101a〜101nの各々を有する棚部102a〜102nを多段式に配列してなるとともに、頭部に共通の給水装置111を置いて併置した小便器本体110の3個の受面部112a〜112cの幅に対応する3台分の幅を有する。この床体の最上流側の一端側面において棚部102aに接続する加圧空気供給装置103も床体と同じ3台分の幅を持ち、これら床体と加圧空気供給装置103の内部構成は3台分に共通する1台分として形成することがコスト上は有利であるが、1台分ごとに別個に構成することも勿論可能である。また、床体は共通構成とし、加圧空気供給装置は個別構成としても良い。両者とも共通構成とする場合のジェット噴流発生動作として、実施例3において述べた人体センサによる自動運転の代わりに、一定時間間隔による間歇運転とすることも可能である。これらの構成ならびに運転の態様は、本体110の受面部112に対する給水装置111の水洗流供給動作についても同様に適用される。
【0059】
床体は、実施例6の場合と同様に、小便器本体110の下部に設けたシンク部116に対して一体に、あるいは一体結合可能に設けられる。図7Aのような複数併置型の場合には個々の受面部112a〜112cごとに垂れ受部を、使用者のステップ位置に向け突き出させる構成とせず、シンク部116の床体側先端縁を全シンク部の幅にわたってステップ位置側に位置させる、つまりシンク部の奥行き寸法を大きくすることが有利である。従って、使用者が受面部112にできる限り近接して立つためには、使用者はシンク部に近く、つまり床体の先端縁近くに立つことになるので、床体の最下流の段部101nをできる限りシンク部に近く配置することが有利である。
【0060】
床体の各段部101a〜101nのノズルから噴出して床体の表面を清掃したジェット噴流は、シンク部116の上層を吹き抜けて小便器本体110の受面部112の下部に設けた気液分離装置110aに到達し、気体分は上方に導かれて減衰処理され、液体分は下方に導かれて排水処理される。気液分離装置110aは、シンク部116の底面から離間してジェット噴流のほぼ上側の位置で終端する受面部112の下端113と、この下端113から後退した位置で底面から立ち上がる後方周壁114と、受面部下端部分と後方周壁114との間に設けた減衰空間115とでなる。この場合、減衰空間115は、例えば後方周壁114を受面部112の頭部まで立ち上げて、背部を完全な二重構造とすることにより十分な容積を得られるが、図7Bに示すように後方周壁114は受面部背面との対面長さをある程度確保した後、減衰空間115を上方に向けて開放し、受面部背面と、本組体を設置するトイレットルームの壁面との間の空隙を利用することもできる。その場合、ジェット噴流に含まれた僅かな尿分は分離されているから、トイレットルームに悪臭をもたらすことはない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例1における清掃機能付き床材の斜視図。
【図2】本発明の実施例2における清掃機能付き床材の斜視図。
【図3A】本発明の実施例3における清掃機能付き床材の斜視図。
【図3B】図3Aの床材の縦断面図。
【図4】本発明の実施例4における清掃機能付き床材の斜視図。
【図5A】本発明の実施例5における清掃機能付き床材と洋式水洗大便器の組み合わせの斜視図。
【図5B】図5Aの組み合わせの一部の縦断面図。
【図5C】図5Aの大便器を和式水洗大便器とした組み合わせの斜視図。
【図6A】本発明の実施例6における清掃機能付き床材と水洗小便器の組み合わせの斜視図。
【図6B】図6Aの組み合わせの一部の縦断面図。
【図7A】本発明の実施例7における清掃機能付き床材と複数の水洗小便器との組み合わせ組体の斜視図。
【図7B】図7Bの組み合わせ組体の一部の縦断面図。
【符号の説明】
【0062】
10;20;30;40;50;80;100 床材
11:21;31a−c;41;51a−n;81a−n;101a−n 段部
12;22;32a−c;42a−d;52a−n;82a,b;102a−n 棚部
13;23;33 導入口
14;24;34 ノズル
15;25;35 連通路
36;56;85;103 加圧空気供給装置
36a 噴出口
37 高圧遠心送風機
38 空気取入孔
39 人体感知器
30A;60;60A;90a;110a 気液分離装置
70 洋式腰掛形水洗大便器
70A 和式床付け形水洗大便器
90;110 水洗小便器本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の床材の表面に床材の一端側から他端側に向けて開口させたノズルと、床材に設けてノズルに連結した導入口と、導入口に加圧空気を供給してノズルから床材の表面を覆うジェット噴流を生じさせる加圧空気供給装置と、床材の他端側のジェット噴流下流位置においてジェット噴流と直交する壁体を含む気液分離装置とよりなり、ジェット噴流は床材表面の上方から落下する液滴を床材表面に達する以前に捕捉しかつ床材表面に付着する液滴を剥離させて下流位置に運び、気液分離装置の壁体に衝突して液体分を下方に、気体分を上方に分離することを特徴とする清掃機能付き床材。
【請求項2】
ノズルは床材の一端側面とほぼ平行な段部において床材の他端にむけて開口し、導入口は床材の一端側面に開口し、床材は導入口からノズルまで伸びる連通路を備えることを特徴とする請求項1の清掃機能付き床材。
【請求項3】
段部は床材の一端側面から同じ高さで続く頂面を有する棚部の他端面として形成され、連通路は床材の一端側面から段部のノズルまで、棚部の頂面に沿って伸びることを特徴とする請求項2の清掃機能付き床材。
【請求項4】
段部は床材の一端側で緩斜面を介して床材の表面から立ち上がる細幅の頂面を有する棚部の床材他端側に形成され、連通路は床材の一端側面から緩斜面と細幅の頂面に沿って段部のノズルまで伸びることを特徴とする請求項2の清掃機能付き床材。
【請求項5】
少なくともノズルはスリット状の断面を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項6】
少なくとも連通路は多数の細孔でなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項7】
前記ノズルは前記床材の他端方向において斜め上方に向かう部分を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項8】
棚部は、それぞれ床体の一端側面からの距離を変えた複数位置に段部を有する複数の棚部を多段状に設けてなり、各段部のノズルからのジェット噴流は順次重畳されることを特徴とする請求項3の清掃機能付き床材。
【請求項9】
複数の棚部の多段状の段部は互いに等間隔に設けられることを特徴とする請求項8の清掃機能付き床材。
【請求項10】
多段状の段部の頂縁を結ぶ線がほぼ水平となるように複数の棚部は設けられることを特徴とする請求項8または9に記載の清掃機能付き床材。
【請求項11】
少なくとも棚部はコルゲート構造体でなり、連通路を構成するコルゲート構造体の波状部は棚部の一端側面から段部まで伸びることを特徴とする請求項3の清掃機能付き床材。
【請求項12】
細幅の棚部は床材の一端側面からの距離を変えた複数位置に設けられることを特徴とする請求項4の清掃機能付き床材。
【請求項13】
複数の細幅の棚部はそれぞれの長さ方向においてそれぞれ等間隔で複数の区分に分割され、それぞれの棚部の各分割区分は隣接する棚部の各間隔部分に面するように互い違いに配置されることを特徴とする請求項12の清掃機能付き床材。
【請求項14】
床材の表面が高撥水性を備えることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項15】
加圧空気供給装置は人体を感知する感知スイッチおよびこの感知スイッチのオン時に作動して加圧空気を発生する加圧空気発生源を備え、感知スイッチは人体を感知してオンして人体の存在中に加圧空気発生源を作動させ、ノズルからジェット噴流を生じさせることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項16】
加圧空気供給装置は人体を感知するスイッチを含む感知回路およびこの感知回路のオン時に作動して加圧空気を発生する加圧空気発生源を備え、感知回路は人体が床材を離れたときから一定時間オンして加圧空気発生源を作動させることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項17】
ノズルはジェット噴流発生用ノズルと併設した洗浄水ノズルを含み、洗浄水ノズルに通じる導入口に洗浄水を供給して洗浄水噴流を発生する洗浄水噴流発生源を更に備え、加圧空気供給装置の感知回路は、加圧空気発生源の一定時間作動に先立って、人体が床材を離れたときから一定時間だけ洗浄水噴流発生源を作動させることを特徴とする請求項16の清掃機能付き床材。
【請求項18】
洋式腰掛型または和式床付け型の水洗大便器と、請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材でなると共に前記水洗大便器を取り囲む床面を成す床体とを備え、
床体は、使用者が接近する水洗大便器の前方側に配置され、少なくとも加圧空気供給装置の供給端とこの供給端に接続したノズルとを含む床材でなる前方床面部分と、水洗大便器の両側を挟んで水洗大便器の後方まで延びる床材でなる一対の側方床面部分と、水洗大便器の後方において一対の側方床面部分の後端縁に連接した気液分離装置とよりなることを特徴とする、清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた水洗大便器。
【請求項19】
立設されて使用者の排尿を受ける受面部およびこの受面部に上方から水洗流を供給する給水装置を含む本体と、使用者が立つ床面のレベルで受面部の下端に面しかつ排水口を有するシンク部及びこのシンク部に連続すると共に床面のレベルに展延して使用者が載るステップ部を含みかつ請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材を用いて本体と一体に形成される床体とよりなり、
床体のステップ部は、シンク部の排水口を有する内底面に連なる内端縁とこの内端縁とほぼ平行しかつ使用者の両足底面を受けるに充分な幅と長さをもって離間した外端縁との間において、外端縁側に少なくとも加圧空気供給装置の供給端を配置し、その内側に床材を配置してなり、
気液分離装置の壁体は、ステップ部の内端縁と対峙する本体の受面部の下方部分、または、シンク部の内底面から上方に離間して設けた受面部下端から後退した位置で立ち上がるとともに受面部下端部分の背面との間に減衰空間を形成するシンク部の後方周壁でなることを特徴とする、清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた水洗小便器。
【請求項20】
併置して立設され使用者の排尿を受ける複数の受面部、これら受面部の上部から各受面部に水洗流を供給する給水部、及び使用者が立つ床面のレベルにおいて各受面部の下端に面しかつ底面に排水口を有するシンク部を含む本体と、使用者が立つ床面のレベルにおいて前記複数の受面部の全幅にわたりシンク部に連続して展延して前記本体と一体に設けられかつ請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材でなる床体とを備え、
床体は、シンク部の底面に連なる内端縁とこの内端縁と平行しかつ使用者の両足底面を受けるに充分な長さをもって離間する外端縁との間において、本体の複数の受面部の全幅に対応する横幅とした床材の前記一端側を外端縁側とすると共に床材の他端を内端縁側として配置し、外端縁側に加圧空気供給装置の少なくとも供給端を配置し、
気液分離装置の壁体は、床体の内端縁と対峙する複数の受面部の下方部分、もしくは、ほぼ床面のレベルにおいてシンク部底面から上方に離間させた受面部下端から後退した位置で立ち上がり、受面部の背面との間に減衰空間を形成するシンク部の後方周壁よりなることを特徴とする、清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた水洗式の小便器組体。
【請求項1】
板状の床材の表面に床材の一端側から他端側に向けて開口させたノズルと、床材に設けてノズルに連結した導入口と、導入口に加圧空気を供給してノズルから床材の表面を覆うジェット噴流を生じさせる加圧空気供給装置と、床材の他端側のジェット噴流下流位置においてジェット噴流と直交する壁体を含む気液分離装置とよりなり、ジェット噴流は床材表面の上方から落下する液滴を床材表面に達する以前に捕捉しかつ床材表面に付着する液滴を剥離させて下流位置に運び、気液分離装置の壁体に衝突して液体分を下方に、気体分を上方に分離することを特徴とする清掃機能付き床材。
【請求項2】
ノズルは床材の一端側面とほぼ平行な段部において床材の他端にむけて開口し、導入口は床材の一端側面に開口し、床材は導入口からノズルまで伸びる連通路を備えることを特徴とする請求項1の清掃機能付き床材。
【請求項3】
段部は床材の一端側面から同じ高さで続く頂面を有する棚部の他端面として形成され、連通路は床材の一端側面から段部のノズルまで、棚部の頂面に沿って伸びることを特徴とする請求項2の清掃機能付き床材。
【請求項4】
段部は床材の一端側で緩斜面を介して床材の表面から立ち上がる細幅の頂面を有する棚部の床材他端側に形成され、連通路は床材の一端側面から緩斜面と細幅の頂面に沿って段部のノズルまで伸びることを特徴とする請求項2の清掃機能付き床材。
【請求項5】
少なくともノズルはスリット状の断面を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項6】
少なくとも連通路は多数の細孔でなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項7】
前記ノズルは前記床材の他端方向において斜め上方に向かう部分を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項8】
棚部は、それぞれ床体の一端側面からの距離を変えた複数位置に段部を有する複数の棚部を多段状に設けてなり、各段部のノズルからのジェット噴流は順次重畳されることを特徴とする請求項3の清掃機能付き床材。
【請求項9】
複数の棚部の多段状の段部は互いに等間隔に設けられることを特徴とする請求項8の清掃機能付き床材。
【請求項10】
多段状の段部の頂縁を結ぶ線がほぼ水平となるように複数の棚部は設けられることを特徴とする請求項8または9に記載の清掃機能付き床材。
【請求項11】
少なくとも棚部はコルゲート構造体でなり、連通路を構成するコルゲート構造体の波状部は棚部の一端側面から段部まで伸びることを特徴とする請求項3の清掃機能付き床材。
【請求項12】
細幅の棚部は床材の一端側面からの距離を変えた複数位置に設けられることを特徴とする請求項4の清掃機能付き床材。
【請求項13】
複数の細幅の棚部はそれぞれの長さ方向においてそれぞれ等間隔で複数の区分に分割され、それぞれの棚部の各分割区分は隣接する棚部の各間隔部分に面するように互い違いに配置されることを特徴とする請求項12の清掃機能付き床材。
【請求項14】
床材の表面が高撥水性を備えることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項15】
加圧空気供給装置は人体を感知する感知スイッチおよびこの感知スイッチのオン時に作動して加圧空気を発生する加圧空気発生源を備え、感知スイッチは人体を感知してオンして人体の存在中に加圧空気発生源を作動させ、ノズルからジェット噴流を生じさせることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項16】
加圧空気供給装置は人体を感知するスイッチを含む感知回路およびこの感知回路のオン時に作動して加圧空気を発生する加圧空気発生源を備え、感知回路は人体が床材を離れたときから一定時間オンして加圧空気発生源を作動させることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかの清掃機能付き床材。
【請求項17】
ノズルはジェット噴流発生用ノズルと併設した洗浄水ノズルを含み、洗浄水ノズルに通じる導入口に洗浄水を供給して洗浄水噴流を発生する洗浄水噴流発生源を更に備え、加圧空気供給装置の感知回路は、加圧空気発生源の一定時間作動に先立って、人体が床材を離れたときから一定時間だけ洗浄水噴流発生源を作動させることを特徴とする請求項16の清掃機能付き床材。
【請求項18】
洋式腰掛型または和式床付け型の水洗大便器と、請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材でなると共に前記水洗大便器を取り囲む床面を成す床体とを備え、
床体は、使用者が接近する水洗大便器の前方側に配置され、少なくとも加圧空気供給装置の供給端とこの供給端に接続したノズルとを含む床材でなる前方床面部分と、水洗大便器の両側を挟んで水洗大便器の後方まで延びる床材でなる一対の側方床面部分と、水洗大便器の後方において一対の側方床面部分の後端縁に連接した気液分離装置とよりなることを特徴とする、清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた水洗大便器。
【請求項19】
立設されて使用者の排尿を受ける受面部およびこの受面部に上方から水洗流を供給する給水装置を含む本体と、使用者が立つ床面のレベルで受面部の下端に面しかつ排水口を有するシンク部及びこのシンク部に連続すると共に床面のレベルに展延して使用者が載るステップ部を含みかつ請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材を用いて本体と一体に形成される床体とよりなり、
床体のステップ部は、シンク部の排水口を有する内底面に連なる内端縁とこの内端縁とほぼ平行しかつ使用者の両足底面を受けるに充分な幅と長さをもって離間した外端縁との間において、外端縁側に少なくとも加圧空気供給装置の供給端を配置し、その内側に床材を配置してなり、
気液分離装置の壁体は、ステップ部の内端縁と対峙する本体の受面部の下方部分、または、シンク部の内底面から上方に離間して設けた受面部下端から後退した位置で立ち上がるとともに受面部下端部分の背面との間に減衰空間を形成するシンク部の後方周壁でなることを特徴とする、清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた水洗小便器。
【請求項20】
併置して立設され使用者の排尿を受ける複数の受面部、これら受面部の上部から各受面部に水洗流を供給する給水部、及び使用者が立つ床面のレベルにおいて各受面部の下端に面しかつ底面に排水口を有するシンク部を含む本体と、使用者が立つ床面のレベルにおいて前記複数の受面部の全幅にわたりシンク部に連続して展延して前記本体と一体に設けられかつ請求項1ないし17のいずれかの清掃機能付き床材でなる床体とを備え、
床体は、シンク部の底面に連なる内端縁とこの内端縁と平行しかつ使用者の両足底面を受けるに充分な長さをもって離間する外端縁との間において、本体の複数の受面部の全幅に対応する横幅とした床材の前記一端側を外端縁側とすると共に床材の他端を内端縁側として配置し、外端縁側に加圧空気供給装置の少なくとも供給端を配置し、
気液分離装置の壁体は、床体の内端縁と対峙する複数の受面部の下方部分、もしくは、ほぼ床面のレベルにおいてシンク部底面から上方に離間させた受面部下端から後退した位置で立ち上がり、受面部の背面との間に減衰空間を形成するシンク部の後方周壁よりなることを特徴とする、清掃機能付き床材を用いた床体と組合せた水洗式の小便器組体。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【公開番号】特開2008−148963(P2008−148963A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340655(P2006−340655)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(505381541)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(505381541)
【Fターム(参考)】
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