説明

清浄空気を個人ユーザへ送る呼吸器

個人用の呼吸器及び清浄空気システムが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は呼吸器に関する。詳細には、開示の呼吸器は、通常は大気中の環境空気である空気を呼吸点において清浄にし、その清浄空気を個人ユーザへ送る呼吸器に関する。
【0002】
優先権主張/関連出願
本願は、2005年11月8日出願の同時継続米国出願第11/268,936号;2005年12月23日出願の同時継続米国出願第11/317,045号;2006年4月26日出願の同時継続米国出願第11/412,231号;2006年5月15日出願の同時継続米国出願第11/434,552;2006年7月17日出願の米国出願第_____号(顧客参照番号「CIP4」)(正式出願受領証はまだ受け取っていない)の優先権を主張するこれらの一部継続出願である。これらの各々は全て本明細書に組み込まれる。さらに、2006年5月1日出願の同時継続米国仮出願第60/796,368号の優先権を主張する。これも全て本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
人間は、1万年以上の間地球に存在している。人間の呼吸器系が高レベルの大気汚染物質に連続的にさらされるようになったのは、ほぼ産業革命に端を発するこの200年ほどである。都市及び郊外地域に今日住む人々が、例えば粒子状排出物、オゾン、ほこり、かび、及び屋外の都市空気中にあるその他多くの汚染物質のような大気汚染物質から逃れることはできない。さらに、研究によれば、最も裕福な都市生活者の家でさえ、屋内の空気が屋外の空気よりも汚い可能性があり、実際そういうことが多い。現実問題として、都市の住人は、先進国国民又は発展途上国国民を問わず、及びその裕福さにかかわらず、汚い空気の損害に対して何の防御もないままである。さらに、世界のほとんどの農村地域には、都市で見られるものと同様の問題のある大気汚染条件が存在する。これは、一部には、化石燃料発電所の立地と、発展途上国において、有効な汚染抑制手段が何もない工場及び自動車が広く存在することとによる。人の呼吸器系には今日の空気汚染に対する防御を発達させる時間が全くなかったので、公衆衛生は、喘息発生率の驚くべき増加、癌、肺線維症、風邪及びインフルエンザウイルス、並びに他の呼吸器疾患を含む様々な肺疾患の態様で損害を受けている。驚くべきことに、21世紀においても、汚染空気に対する有効で広く採用される防御が存在しない。実際、日常生活を送る一般市民にあっては防御が全く存在しない。清浄空気を個人へ送るべく現在使用されているシステムの範囲では、かかるシステムは主に、職場において有害な空中汚染物質(例えばアスベスト、炭塵、吹き付け塗料)にさらされる労働者に関しての使用に限られる。
【0004】
上述のように、屋内の住居用及び商用環境における空気清浄化は一般に、空中汚染物質を著しく低減するには全く不十分である。典型的な部屋全体空気フィルタシステムは、最も典型的にはHVACシステムで部屋に空気を供給するフローコンジット内の粒子フィルタを使用する。かかるHVACフィルタシステムは空気を清浄化する他の手段、例えば、所定化学物質を除去する触媒表面、又は所定の空中病原体のRNA及びDNAを殺す紫外線照射のような照射エネルギー源を含むことがあるがまれである。もちろん、最も厳重にフィルタされた部屋全体システムは、エレクトロニクス産業で使用されるようなクリーンルームに見られる。
【0005】
なお、クリーンルームのフィルタ単独では、低い空気粒子密度を維持するには不十分である。極めて急速かつ完全な空気変化も必要とされている。この必要性は、人間の動きによる内部的な粒子発生により生じる。したがって、人間に清浄空気を供給する唯一のメカニズムは、呼吸点にある。
【0006】
呼吸点で清浄空気を供給するための1つのアプローチは、外科医用のフェースマスクのような受動フィルタによる。本願の目的において、「受動」という語は、電力供給がない、すなわちブロアのようなエアムーバを含まないマスクを言及する。かかるマスク及び類似の布マスクは、顔とマスクとのシールが貧弱なので極めて漏れやすい。こうしたマスクの推定フィルタ効率は、300ナノメートルの粒子及びこれより小さな粒子に対して90パーセントである。さらに、こうしたマスクは熱くかつ不快である。これは、マスクが呼気の湿分を捕捉することと、ユーザがマスクを介する圧力降下に打ち勝つべく呼吸する付加的努力を強いられることとによる。さらに、こうした受動性、及びマスクの側部を介して汚染空気が引き込まれるリスクゆえに、こうしたタイプのマスクには、慎重なフィッティングが必要であり、顔に毛がある人又は顔の輪郭がマスクに合わない人にとっては漏れやすくなる。なお、電力供給のない受動装置は、空気の陽圧及び流れを与えることがない。
【0007】
職場において産業労働者に清浄空気を供給するべく使用される他のシステムは、3M(登録商標)が製造する陽空気圧呼吸器(Positive Air Pressure Respirator(PAPR))である。これは、ゆるいフィッティングのフード又はフルフェースマスクを含む。PAPRシステムは高い漏えい率を有し、著しい空気流、及び容易に運べるいずれのバッテリパックの能力をも越える電力消費を必要とする。したがって、典型的には、AC電源又は非常に大きくかつ重いバッテリが電力を供給する。設計の複雑さも、これを一般市民の広い使用に向かないものとしている。
【0008】
現在使用されている他のシステムには、Puritan Bennet and Respironics(登録商標)のようないくつかの医療品サプライヤが製造する持続的気道陽圧(Continuous Positive Airway Pressure(CPAP))システムもある。これは、典型的には鼻及び口を覆う加圧マスクであり、当該システムが睡眠状況において空気流ホースを開けたままに維持し、かつ、睡眠時無呼吸症を患う人においてマスクがつぶれたり壊れたりしないように、十分な弾性及び強度を備えるように設計される。さらに、CPAPシステムは典型的に、大気圧より上の、15から30水柱センチメートルまでで調整可能な相当の圧力で空気を患者に送る。高い圧力降下及びその結果生じるかかるシステムのエネルギー需要により、かかるシステムは固定電源にプラグで接続されるのが典型的である。移動を容易にするポータブルブロアが存在するが、圧力が高ければ高いほど、電力要求は著しく増加する。CPAPユニットには粒子フィルタを有するものもあれば、そうでないものもある。かかる装置は、活動的な覚せい状態の大人の吸入速度をサポートするようには設計されていない。
【0009】
上記で特定された例に加え、従来技術は、フィルタ、化学的空気フィルタシステムに接続されるフェースマスク、並びに水中ダイビング及び消火作業用圧縮空気シリンダに接続されるフェースマスクといった様々な形態を備える他のフェースマスクを含む。
【0010】
文献の包括的な考察、及び簡単な観察によって、25ナノメートル以下又は数ミクロンまで若しくはそれを超える粒子及び生物学的病原体の実質的に全てをろ過する呼吸点の空気清浄装置が存在しないことがわかる。さらに、300ナノメートル(以上)の粒子サイズにおいてでさえ最高フィルタ効率は99.97%でしかない。これでは、5千万人以上の命を奪う流行病を引き起こした(この範囲は80から120ナノメートルである)亜型のA型インフルエンザの場合、フィルタは全く効果がなく、やはりかかる流行病を防ぐことはできない。さらに重要なことに、多くのポータブルの呼吸点装置は、350標準リットル/分(slm)以上の流速を与えることができない。日常の作業条件下にある所定割合の人間は、350slmの不連続流に近い平均呼吸速度を有する。従来装置は流れの容量が限られているので、NIOSH後援の研究によれば、マスクを装着した人間は血中酸素飽和度が著しく低下する。この低下は、人間の研究参加者がさらなる参加を辞退したほど大きなものであった。十分な流れがなければ、装着者の血中酸素飽和度レベルが、死を含む著しい血液動態悪化をもたらす危険なレベルにまで達するリスクが存在する。これも、人間特に呼吸障害(例えば、喘息、肺癌回復患者、肺線維症、気腫、その他の急性又は慢性の呼吸器過敏)のある人々にとってのタイトフィットマスク全ての安全な使用を妨げる。特に、例えば流行病のような生物致死用途で使用される装置は、現在のところ、典型的と思われる高ストレス状況で作業する人間をサポートできる空気流容量がない。さらには、装着者はマスクを取り外さなければくしゃみをすることもできないので、病原体にさらされるリスクがある。
【0011】
さらに、所定の装置は、装着者に対して可撓性フードとともに販売されるが、これは、大気圧に対する陰圧を測定することができない。例えば、フィルタの目詰まり、ブロア故障、バッテリの放電若しくは故障のような複数の故障メカニズムにおいて生じる陰圧が検出される場合には、アラームを鳴らす。かかる密閉フード装置は生物致死用途において見られる。
【0012】
さらに、幅広い消費者に受け入れられ使用されるのに必要なフォームファクタ及び重量を有する装置が存在しない。また、業界で周知の大きく重い装置は本質的に高コストである。このため、大気圧に対する陰圧が汚染空気のマスク内への拡散を引き起こす多くの重要な用途で使用される当該装置の能力がさらに制限される。
【0013】
本願は、一般の人々が毎日の活動で使用する軽量なポータブル空気清浄呼吸器、好ましくは多くの異なる設定で空気を清浄化し得るプラットフォーム上に構成される呼吸器を与える。かかる呼吸器は、高度に清浄化された空気を呼吸したいと願う個人がいつでも(例えば、夜のリラックスした1、2時間の間、通勤時間、屋外で、又は高オゾン若しくは高花粉の日等)使用することができる。
【発明の概要】
【0014】
呼吸器及び清浄空気システムが開示される。一実施例において、例示の呼吸器装置は、ハウジングと、ハウジングに配置されて操作可能に空気ストリームを発生する、入口及び出口を有するエアムーバと、空気ストリーム内に配置される粒子フィルタと、一端がハウジングに操作可能に接続される供給ホースとを含む。エアムーバを有するハウジングがシステムの再使用可能部分として実装される一方、粒子フィルタ及び供給ホースは当該再使用可能部分から取り外し可能に実装される。一実施例において、呼吸器は空気貯蔵リザーバによって約200標準リットル/分(slm)の空気供給を与える。空気貯蔵リザーバは、多大な即時需要のための豊富なろ過空気を、ブロアその他のシステム構成要素をかかる需要を満たすサイズにする必要なくシステムのユーザに与えるべく構成される。一実施例において、粒子フィルタは湿式ガラス媒体を含む。一実施例において、エアムーバは、ハウジング内に配置されるインペラである。エアムーバは、少なくとも5000rpmの回転速度で空気ストリームを操作可能に発生する。
【0015】
開示される方法及び呼吸器は、以下の図面を参照してより良く理解できる。図面における構成要素は必ずしも一定の縮尺ではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】優先権主張に係る先の出願の空気供給システムを示す。
【図2A】開示される呼吸器システムの一実施例に係る3次元表現を示す。
【図2B】開示される呼吸器システムの一実施例に係る3次元表現を示す。
【図3】図2のシステムの様々な部分の側面図を示す。
【図4A】開示される呼吸器のホースの一実施例を示す。
【図4B】開示される呼吸器のホースの一実施例を示す。
【図5A】開示される呼吸器のホースの一実施例を示す。
【図5B】開示される呼吸器のホースの一実施例を示す。
【図5C】開示される呼吸器のホースの一実施例を示す。
【図6A】開示される呼吸器の粒子フィルタの一実施例の様々な図を示す。
【図6B】開示される呼吸器の粒子フィルタの一実施例の様々な図を示す。
【図7】開示される呼吸器の粒子フィルタの他実施例の異なる図を示す。
【図8】開示される呼吸器の粒子フィルタのさらなる実施例を示す。
【図9A】開示される呼吸器の粒子フィルタのさらなる実施例を示す。
【図9B】開示される呼吸器の粒子フィルタのさらなる実施例を示す。
【図10】開示される呼吸器の公共空気供給アダプタの一実施例の側面図を示す。
【図11】開示される呼吸器の公共空気供給アダプタの一実施例の側面図を示す。
【図12】開示される呼吸器のフェースマスクの一実施例を示す。
【図13】開示される呼吸器のゴーグルの一実施例を示す。
【図14】ホースとフィルタカートリッジとのシールの一形態を示す。
【図15】空気流コネクタ間のシールの一形態を示す。
【図16】皮膚様の可撓性フェースマスクを示す。
【図17】ひだ状粒子フィルタの一実施例の3次元図を示す。
【図18A】ひだ状フィルタのためのスペーサの一実施例の正面図及び上面図を示す。
【図18B】ひだ状フィルタのためのスペーサの一実施例の正面図及び上面図を示す。
【図19】ホースに接続されるフィルタカートリッジの一実施例の断面を示す。
【図20】マスク延長部分に接続されるホースを示す。
【図21】マスクとユーザの顔とのシールを示す。
【図22】開示される呼吸器のフェースマスクの一実施例の3次元図を示す。
【図23】開示される呼吸器のフェースマスクの他実施例の3次元図を示す。
【図24A】開示される呼吸器のPPRの一実施例の側面図、上面図、及び端面図を示す。
【図24B】開示される呼吸器のPPRの一実施例の側面図、上面図、及び端面図を示す。
【図24C】開示される呼吸器のPPRの一実施例の側面図、上面図、及び端面図を示す。
【図25】開示される呼吸器の呼吸器システムを運ぶためのバッグの一実施例を示す。
【図26】流速制御、O添加、又はマスク取り外し若しくはフィルタ交換のためのアラーム音発生を行うべく装着者の指又は体の他の一部に有線又は無線送信により接続される血中酸素飽和度センサを使用できる呼吸器システムの一実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示の呼吸器は、当該開示の呼吸器を実施する好ましい態様の側面が示される添付図面を参照して以下に詳細に記載されるが、当業者が、本開示の呼吸器の好ましい結果を依然達成しながらも、ここに記載される開示の呼吸器を修正できるということを以下の記載の最初に理解すべきである。したがって、以下の記載が、当業者を対象とする幅広くかつ教示ある開示であって、開示の呼吸器に限られものではないことを理解すべきである。
【0018】
ポータブル陽圧呼吸器(portable positive pressure respirator(PPR))が開示される。これは、豊富な量のろ過空気をユーザに供給する一方で、システムのサイズ、重量、及びコストが毎日の活動時の日常使用に適するように構成される。ろ過空気の「豊富な量」とは、使用中のユーザの吸気要求をサポートするのに十分な空気を意味する。例えば、開示のPPRは、少なくとも約350標準リットル/分(slm)の流速で空気を供給する。開示の呼吸器は、60ナノメートルよりも大きな粒子を有効に除去する一方で、人間の呼吸に必要な高い空気流を依然可能とする。したがって、開示の呼吸器は、ほこり、粒子、花粉、かび、ウイルス、バクテリア、カーペット粒子、及び他の空中物質から自身の肺を快適に防護したいと願う人々を含む市場を捕らえようとする。
【0019】
開示の呼吸器の一実施例は、呼吸点において、半導体産業の超厳格な基準設定(65ナノメートル線幅の半導体装置を製造するクラスIクリーンルーム)に匹敵する程度までの清浄空気を与える。さらに、かかる基準は、いずれの病院環境の基準よりもはるかに高い。病院環境では、毎年100,000人を超える市民が病院内で獲得した感染から死亡している。
【0020】
今日の市場にある現行の電力供給空気清浄呼吸器(Powered Air−Purifying Respirator(PAPR))システムの調査によると、好ましい条件で450slmまでの流速を実証する様々なメーカからのいくつかのモデルに関して、ほとんどが200slm以下の速度でろ過空気を供給することがわかっている。しかし、これらのモデルのいずれも、フィルタ効率99.999%又は25から300ナノメートルの粒子若しくは微生物に対して良好な高清浄空気を供給することがない。現行の文献及び最近の研究結果は、個人の呼吸容量及び装着者の身体活動レベルを満足させる広い範囲の呼吸速度が存在することを示す。示されるところでは、200slm未満を供給するPAPR装置は、中程度の運動レベルにある多くの個人にとって不十分である。国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health(NIOSH))による暗黙の了解でさえ、現行技術によって典型的に与えられる要求よりも大きな最小必要流量を設定することが好ましいとしている。加えて研究は、非常に激しい活動(例えば、重いパックを一連の階段を昇って運ぶ消防士)のもとでは、適切な血中酸素濃度を維持するべく600slmにもなる流れを与える必要があることを示している。したがって、一実施例の開示のPPRは、中程度の運動さえも含むほとんどの活動を求める圧倒的多数の人間集団に適切な基準として、現行技術の大多数とは異なり、約350slmを供給する。さらに、他の実施例の開示のPPRは、約600slmを供給する。これは、周知の現行装置のいずれとも異なり、最も激しい作業環境下の最も健常な個人にとってでさえ適切な速度で高度にろ過された空気を供給する。
【0021】
文献を検索すると、産業界に与えられる類似のPAPRユニットに使用される典型的なフィルタ効率は、高効率粒子エア(High−Efficiency Particulate Air(HEPA))(フィルタ)グレード(300nmにおいて効率99.97%)である。例えばH5N1ウイルスのような粒子に対して有効とするべく、開示のPPRは最小でも、超低浸透エア(Ultra Low Penetration Air(ULPA))(フィルタ)グレード(最大浸透粒子サイズ(Most Penetrating Particle Size(MPPS))及び定格空気速度において効率99.999%)となるフィルタ効率を示す。フィルタ効率は、2つの因子によって大部分が決まる。その因子の1つは、フィルタ材料そのものの性能及び構造(グレード)である。ニューハンプシャー州ロチェスターのLydallフィルタレーション/セパレーションが製造する湿式ガラス媒体の少なくとも2つのグレードは、かかる要求を満たす(6650及び6850グレード)。
【0022】
典型的なフィルタ媒体の場合、他方の因子は、空気及び空中に浮遊する粒子がフィルタを通過する際にフィルタに当たる速度(産業界において典型的には「フェース速度」という)である。フェース速度が減少につれてフィルタ効率が増加することは、実証されておりフィルタ産業において周知である。この挙動に関する主要な物理的原理は、空気内に含まれる粒子の運動エネルギー(速度の2乗に比例)である。高効率フィルタ媒体の使用から生じる、開示のPPRの主要な特徴の1つは、大きなフィルタ表面積の使用してフェース速度を最小限とすることによりフィルタ効率を最大限にすることである。例えば、フィルタのフィルタ表面積は、大きさが少なくとも約100平方インチ(約645平方センチメートル)である。これにより、25ナノメートル(人間の風邪ウイルスのサイズ)もの小さな粒子に対して99.9999%以上のフィルタ効率を達成することができる。
【0023】
開示のPPRのポータブル性の側面は、十分なエネルギー貯蔵量及び許容可能な重量を有するポータブル電源を必要とする。装置に電力供給するための十分なエネルギー貯蔵量を過剰な重量なしで達成することを保証するべく、低電力消費のブロアを使用して、空気にシステムを通過移動させる。現在のところ、要求される圧力において所望の空気流を動かすことができる一方で8W未満の消費で済むインペラ又はブロアの技術が存在する。さらに、遠心ブロアは、空気流がその定格流未満の場合に少ないエネルギーを使用するという特性を有する。したがって、例えば開示のPPRのようなシステムで使用される8W定格のブロアは、2アンペア時(Ah)以上の容量を有するバッテリで4時間まで運転することができる。かかるブロアは、定格電圧12V以上で入手することが容易である。都合がよいことに、例えばラップトップコンピュータ及び携帯電話で現在使用されているような現行技術のLi−ion電池は開示のPPRでも使用され、上述の所望のエネルギー密度を満たす。4つの直列18650Li−ion電池は、最大約14.4Vの定格電圧を供給し、2.4Ah以上の容量を有する(約34ワット時)。これにより、かかるバッテリパック2つによって稼働時間は、約400g(14oz)のバッテリの全重量で8時間を越えることができる。対照的に、3M Powerflow(登録商標)システムのためのNiMHバッテリパックは、重量が約800g(28oz)である。
【0024】
重量に関し、開示のPPRの許容可能な全体サイズ(物理的容積)は、幅広い消費者の使用にとって許容可能な快適かつ魅力的なポータブルユニットを与える因子である。ユニットの容積は、ある程度まで、フィルタのサイズによって決まる。流速及びフィルタ効率を特定することにより、フィルタ面積が決まる。さらに、所定領域のフィルタ媒体の特性及び流速は、インペラブロアが克服する必要のあるメディア自体にわたる設定圧力降下を実質的に決定する。すなわち、間接的には、流れ及びフィルタ効率値を設定することで、ブロアの圧力/流れ特性が決まる。システムのホースその他の構成要素における圧力降下も考慮することができる(ホースにおける圧力降下は、流れに正比例し、ホース径の4乗に反比例する)。
【0025】
開示の呼吸器が動作する性能範囲の下端における圧力及び流れレベルに対しては、ブロアは典型的に、1.2HOの圧力において350slmの流れを維持する。当該範囲の上端においては、ブロアは、2.5HOまでにおいて約600slmを維持することができる。しかし、当該範囲の上端での性能特性を有する1つのブロアは、350slmから600slmまでの任意の性能レベルで使用することができる。遠心ブロアを使用して圧力を高めることに関する物理的原理の試験は、かかるインペラによる圧力発生の最大因子が、インペラの外縁が移動する速度であることを示す。そして、これは、ファンの回転速度(rpm)及びその直径によって決まる。インペラのrpm又は直径のいずれかを増加させることは、インペラが生み出すことのできる圧力に直接影響を与える。
【0026】
インペラ圧力機能(例えば、シール構造、内部輪郭等)を利用できる詳細設計にもかかわらず、直径10cmのインペラは、約5,000rpmにおいて約1.2HO(本発明の性能範囲の下端)を生み出すことができる。2.5HOを生み出すには、同じインペラであれば、10,000rpmを越えて駆動しなければならない。同様に、直径7cmのファンであれば、7,000rpmから14,500rpmまでで駆動しなければならない。より小さなインペラを使用することで、開示のPPRの全体サイズを小さくすることができる。しかし、この利点は、開示のPPRに対してコスト面で相殺される。5,000rpmにおいて許容可能なコスト及び推定寿命を現在有するインペラ/ブロアは、特に高rpmレベルでの大きなインペラに関し、モータベアリング及び振動傾向への要求が増加しているので、10,000rpmで運転することはできない。したがって、運転範囲の上端(600slm)に対するサイズ及び性能要求を満足するブロアは現在のところ、高rpmブロアに要求される技術及び材料のコストがはるかに高くなるので、当該範囲の下端において最適ではない。
【0027】
したがって、上述の説明は、1つの好ましい実施例よりもむしろ少なくとも2つの実施例を提示する。これにより、350slm範囲を対象とする実施例において、600slmで運転可能なユニットの付加的なコスト及び複雑性を防ぐことができる。
【0028】
性能範囲の下端に対し、例えば、中程度のrpm値(5,000rpm)で運転する大径インペラ(10cm)のような一実施例が用いられる。フィルタ媒体は、複数のグレードのうちのいずれかである。例えば、本願における例えば100nm粒子サイズに対して99.999%効率を示すフィルタ媒体の2,800cmのフィルタを用いると、ULPAレベルのフィルタ要求を満足しかつシステム容積を最小限にする一方で圧力降下を維持して低速インペラの圧力流れ特性の利点を十分に活用する、ということができない。許容可能なフィルタの例は、Lyndall6650フィルタである。その代わりに、このインペラは、60nm以下の粒子サイズに対して99.9999%効率を示す3,700cmの媒体を使用するフィルタと組み合わせることができる。これにより、ULPAレベルを十分に越える程度までフィルタ効率を増加させる一方でシステム容積を増加かつ流れを維持することができる。許容可能なフィルタの例は、Lyndall6850フィルタである。内径25mmの滑らかなボアのホースによれば、上記実施例に対する流れは350slm付近となる。
【0029】
運転範囲の上端に対して用いることができる一実施例は、小径(7cm)高速(15,000rpm)インペラである。上記実施例によれば、フィルタ及び媒体を上述の複数のグレードのいずれかとして、所望の効率(ULPAから99.9999%までの効率)とシステムサイズ/容積とのバランスを取ることができる。内径25mmのホースによれば、システムの本実施例に対する流れは約600slm付近となる。
【0030】
さらなる実施例は、コストが最適化された小径(5から7cm)高速インペラを含む。可能な限り最高のフィルタ効率を有するフィルタ媒体と組み合わせることで、PPRは、上記低範囲に対して言及した実施例に匹敵するコスト程度で所望の流れ範囲全体にわたって運転することができる。
【0031】
開示の呼吸器の1つの特徴は、エネルギーを節約することによってポータブル性の独自の制限が与えられることにある。開示の呼吸器はそれでもなお、ユーザが呼吸器装着による飽和血中酸素濃度の減少を受けないような陽圧かつ空気流で呼吸に十分な空気を供給する。この空気流は、粒子フィルタと組み合わせられた遠心ブロアの形態のエアムーバを備える一実施例において達成される。当該粒子フィルタは、ユーザに適切な空気流を与え、かつ、ブロアへの大電力を不要として高フィルタ効率の達成に必要な低フィルタフェース速度を与えるのに十分なフィルタ表面積(例えば、60nm粒子サイズに最適化されたフィルタに対して3000平方センチメートル)を有する。現行技術で知られているものよりも実質的に大きなフィルタ表面積を与えることにより、開示の呼吸器は、エネルギーの効率的な使用を与える。例えば外径20−25mmの大径空気供給ホースの使用により、高流速が達成される。その代わりに、美観が大きな関心であって需要が比較的低い設定である場合は、例えば外径10−16mmの業界周知の任意の匹敵するPAPRマスク供給ホースよりも小さなホースを利用して流速を中程度にすることができる。それにもかかわらず、ブロアパワーを適切に調整することによってブロア圧力を制御し、受動状態時のリーク流れを達成して常にマスク内の陽圧を確保するべく適切なフェースマスク圧力を保証することが好ましい。
【0032】
すなわち、開示される呼吸器の他の特徴は、ごくわずかな陽圧(エネルギー節約の理由により特に狭い供給ホースが使用される場合)から大きな陽圧(ホースの圧力損失を最小限とするべく大径ホースに関連させるのが好ましい所定用途及び消費が非常に高い場合)までの範囲にわたってマスク内の陽圧を維持することにある。すなわち、開示される呼吸器のエネルギー節約の側面にもかかわらず、開示の呼吸器は、マスク内の大気圧を越える連続的陽圧を保証するシステムを与える。このため、マスクと顔とのシールが貧弱な場合、空気は外に流出するが中に流入しない。典型的には、マスクは、閉にバイアスされているが受動フェーズ中にわずかな開位置に維持することができる出口バルブを含む。マスクは、入口バルブも含むが、その代わりに入口バルブなしで与えることもできる。ユーザが息を吸うと、ブロアは、フィルタ及び任意の入口バルブを通る圧力降下よりも大きな圧力で必要な空気を供給する。このため、マスク内の圧力は大気圧よりも高いままとなり、ユーザは外気がマスク内に引き込まれることから保護される。
【0033】
すなわち、基本システムは、ブロアの空気供給能力のわずかな一部である空気量を(バルブ又はマスクの側部を通して)漏出させることができる。これにより、汚染空気がマスク内に流入しないようになる一方で、呼吸のための空気が十分に貯蔵され、かつ、ポンプによる消費電力が最小限となる。なお、遠心ポンプに必要なシャフト動力は、ポンプを通る流体流れが減少するにつれて減少する。しかし、上述のように、開示の呼吸器の一側面は、ポンプのようなエアムーバへの動力を能動的に制御して、例えば、受動状態若しくは息を吐く間又は座っている間のような低需要フェーズ中、及び子供のような空気をあまり消費しない人に対し、動力をさらに低減することにある。
【0034】
すなわち、エネルギーをさらに節約するべく、ブロアへの電力は手動又は自動で調整することができる。調整は、様々な活動、様々なユーザへの様々な空気流需要を考慮して、及び、ユーザが息を吸うか、息を吐くか、又は息を吸うことと吐くこととの間の受動状態にあるかに応じてなされる。空気流需要は、圧力センサを使用してフェースマスク内の圧力を測定することによって、又は流速センサを使用してホース内の流速を測定することによって決定される。その代わりに、流れ又は圧力をブロア回転速度(rpm)の関数としてモニタすることもできる。すなわち、開示の呼吸器の1つの特徴は、様々な空気流需要を考慮してブロアへの電力を制御することによってエネルギーを効率的に使用することにある。システムは、マスク内の圧力センサを含んでよい。圧力センサからの信号は、エアムーバへの電力を制御するべく使用することができる。他の実施例において、ホース内の空気流を検知するべく空気流センサを使用することができる。空気流センサからの信号は、エアムーバへの電力を制御するべく使用される。
【0035】
恐らくはマイクロプロセッサと通信する圧力センサ又はフローセンサが、発光ダイオードのスイッチを入れるのが好ましい。所定の実施例においては可聴アラームを作動させて、例えば、フィルタの目詰まり又はブロアの動作不能に起因してシステム圧力が大気圧未満であることをユーザに示す。さらに、発光ダイオード及び/又は可聴アラームは、ブロアへの電力の所定量増加によって起動することもできる。この場合、ユーザは(フィルタカートリッジに収容可能な)フィルタを交換することができる。または、どの要素が交換を要するのかに応じてユーザの都合でブロアを交換することができる。開示の呼吸器は、フィルタの利点がなくてもユーザが呼吸できるフィルタ品質及びフィルタ面積の組み合わせを与えることを想定するので、交換を要する部分的に目詰まりを起こしたフィルタであっても、ユーザは、マスクを取り外す必要なしに短時間の間、ブロアの助けの有無にかかわらず呼吸を続けることができる。ひとたびフィルタカートリッジ又はブロアが交換されれば、アラームをリセットするべくリセットボタンをアクティブにすることができる。
【0036】
需要の変化を自動的に補償するセンサの代わりに、システムは単に、ユーザの要求に応じてブロアへの電力を調整する手動アクチュエータを含んでもよい。
【0037】
ブロアへの電力を(自動又は手動で)制御することに加えて、システムは、例えばホース若しくはハウジング又はフェースマスク内のような空気ストリーム中に配置される手動又は電動バルブを含んでよい。自動の実施例において、バルブは圧力センサからの信号で制御され、閉ループ制御回路がバルブを調整して空気流を制御する。すなわち、マスク内のわずかな陽気圧を維持するようにシステムを実装することができる。
【0038】
開示の呼吸器の他の特徴は、粒子フィルタ(メインフィルタともいう)の交換にある。粒子フィルタは、好ましくはブロアの下流に配置される100nm以下(例えば60nm)であることが好ましい。通常、フィルタは、フィルタ交換を容易にし、かつ、ごみをシステムから締め出したままにするべく、エアムーバ(例えばブロア)の吸気側に置かれる。しかし、本開示の呼吸器の好ましいフィルタ配置はエアムーバの下流なので、マスク/チューブシステムの交換又はクリーニングによる簡単なフィルタ交換が可能となる。また、ブロア吸気と環境空気との間の気密シールを不要にすることにより、ブロア構造が単純となる。これによりブロア構造が単純となるので、コストが低減され、モータ電子制御回路の点検及び冷却が可能となる。さらに、100ナノメートル以下のフィルタの上流にブロアを置くことにより、誤動作時に気化ポリマーがユーザまで到達しないことが保証される。フィルタアセンブリは、一次フィルタにわたる圧力降下を増大させかねない大きな粒子を除去するべくプレフィルタを有してもよい。また、プレフィルタからのごみがユーザまで到達しないように、プレフィルタはメイン又は粒子フィルタから上流に配置するのが好ましい。
【0039】
マスク又はホースは、ハウジングからの空気供給が中断される場合に空気をユーザに与えるべくフィルタに関し第2入口を含んでよい。
【0040】
さらに、マスクは、清浄空気の流路を維持するべく出口バルブへの流路又はコンジットを含んでよい。流路又はコンジットは、マスクの壁に、又はフェースマスクの内若しくは外表面に沿って、配置することができる。空気出口は、2つ以上の出口ポートとしてマスクから出る2つ以上の流路に空気を分岐させる分岐マニホルドを含んでよい。各出口ポートは、それ自体の出口バルブを含んでよい。または、分岐に先立つ空気出口の内部に出口バルブを設けてよい。2つ以上の流路又はコンジットは、バランスが良くかつ美観の良いマスクを与える。また、ユーザが、例えば自転車に乗車する又は風に向かうときに遭遇するような高速空気に遭遇する場合に、出口バルブが不意に開くことを抑制又は排除するのに役立つ。
【0041】
マスクはさらに、ユーザが吐き出した空気から粒子及び病原体をろ過するフィルタが設けられたバックアップ空気出口を含んでよい。
【0042】
フェースマスクは、ユーザの少なくとも口が可視となるように全体又は一部を透明材料で作ることができる。マスクの壁の厚さは、ユーザによるコミュニケーションを向上させるべく口部分全体で低減される。
【0043】
システムはさらに、特に生物致死用途において、ゴーグル又はめがねの形態の眼の保護を含んでよい。これは、呼吸マスクとば別個とすることができる。めがね又はゴーグルの使用は、ユーザの眼が、病原体又は他のタイプの粒子により汚染されているかもしれない空気にさらされることから保護されることを保証する。
【0044】
上述のように、開示の呼吸器はまた、ホースの直径、大面積フィルタを有するホースの使用、及びブロア動力の適切な調整も考慮して、所望の空気流速度を達成する。エアムーバとフェースマスクの入口との間の空気流は、供給ホースによって与えられてよい。供給ホースは、可撓性チューブの形態であってよく、扁平形状のコンジットを含んでよい。コンジットは、コンジットを通って延びる1つ以上の空気流路を有する。つぶれないように、ホースの壁厚は突条が付けられてよい。または、ユーザが供給ホースによりかかることがあっても1つ以上の空気流路がふさがれないような十分な厚さとしてよい。上述のように、低い連続空気流を必要とする個人(例えば子供)にとって流速よりも美観の方が重要である場合、ホースは直径18−20mmの従来技術装置よりも小さな直径にすることができる。その代わりに、空気流を最大限にすることが、例えば美観よりも重要な場合は、例えば25mmのような大きなホースで代用してよい。マスクがバフルを含んで、高空気流速度で入ってくる空気ストリームをそらすことができる。
【0045】
突条付ホースは、突条なしセクションが散在するセクション(例えば、所望長さに容易に切断できるようにするべく長さ4−6インチ(102−153ミリメートル)の突条付セクション)に分割することができる。
【0046】
ホースは、扱いにくいことがないように、かつ、美観上の理由により、高度に可撓性のある材料で作られることが好ましい。ホースは透明材料から作られてよい。マスクと一体成形されたかのように見えるよう(例えばマスクのように滑らかとなるよう)、マスクと同じスタイリングを有してよい。また、ホースは、以下で詳細に説明される使い捨て機能を目的に、低コスト材料から作られるのが好ましい。
【0047】
合理的なサイズのバッテリと人間のポータブル使用のための重量とを伴って合理的なシステム稼働時間が可能な動力レベルで遠心タイプのエアムーバを使用すると、350slm以上の空気流での2.5フィート(76.2cm)のホースに対する最小ホース径は20mmであり、好ましくは25mm以上である。開示の呼吸器によれば、従来技術で以前に行われていたものよりも大面積のフィルタを与えることによって合理的な電力消費が維持される。ホースは、内部に滑らかな表面を有する高度に可撓性のある材料から作られる。また、ホースが形状変化を起こさないように外部ワイヤ又は他の手段を介して支持が与えられる。
【0048】
開示の呼吸器の他の特徴は、メインフィルタのシステム内への配置及び接続にある。特に、エアムーバは、空気入口及び空気出口を有するハウジングに配置される。プレフィルタは、エアムーバの上流に(例えばハウジングの空気入口に)設けること及び/又はブロアの出力側のフィルタハウジング内に含めることができる。典型的には60ナノメートル又は100ナノメートルの粒子をろ過できる能力がある高品質フィルタである粒子フィルタ(メインフィルタ)は、全体又は一部をハウジング内に配置することができる。また、フェースマスクにつながる空気供給ホースを接続するためのホースコネクタを画定することができる。その代わりに、ホースをハウジングに直接接続することもできる。粒子フィルタは、フィルタの下流に清浄空気環境を画定するべくエアムーバの下流に配置するのが好ましい。これは、エアムーバを清浄空気環境に配置する必要がないという利点を有する。フィルタは、全体又はその一部をハウジング内に配置する代わりに、ホース内又はフェースマスク内若しくはそれに接して配置してもよい。フィルタは、ハウジング内の1つ以上のフィルタ要素から構成できる。ハウジングは、円形の「ねじ込み」若しくはクリップ留めのフィルタカートリッジ若しくはエンクロージャ、又は矩形若しくは正方形のクリップ留めフィルタカートリッジを受け入れるように構成することができる。フィルタカートリッジは、1つ以上のプレフィルタ又は空気浄化装置(例えば、オゾン、SO若しくはNO等を除去するための粗粒子フィルタ又は装置)を収容することもできる。好ましくは、例えば60nm又は100nmULPAフィルタのような高品質粒子フィルタが、プレフィルタから漏れる粒子が空気ストリームを汚染することのないように、プレフィルタの下流側に配置される。上述のように、プレフィルタは、例えばCO等の所定ガスを除去することのような単なるろ過以外の機能を有してよい。プレフィルタは、メイン粒子フィルタと同じカートリッジ内に配置する代わりに、空気ストリーム内に別個に配置してよい。また、例えば、COをろ過する二酸化マンガン又は酸化銅触媒の含浸スポンジ、リング層、又は表面コーティングを使用することによって、様々な形態で実装することができる。水酸化カルシウム又はケイ酸カルシウム固体が含浸された固体リング層は、二酸化硫黄及び二酸化窒素を除去することができる。一方、オゾンは、例えば、活性炭が含浸されたHoneycycleZGのようなハニカムセラミックスを使用して、又はオゾンと反応してファイバ、シート、粒子、若しくは他の適切な形態の安定酸化物を形成するチタン、アルミニウム、若しくは他の材料のようなゲッタリング材料を使用して除去し得る。オゾンのゲッタリング及び触媒材料は、ラテックスマトリクスにおいてホウケイ酸ファイバを有する酸化マグネシウムファイバのようなフィルタ材料に組み込んでよい。これにより、オゾン触媒及びフィルタが与えられる。これは、プレフィルタとしても使用することができる。二酸化マンガン及び酸化銅のような、オゾンのOへの再結合の触媒となる材料は、ファイバ、シート、粒子、又は他の適切な形態で使用することができる。
【0049】
開示の呼吸器のさらに他の特徴は、メインフィルタの構成及びフィルタ効率の最適化にある。正方形又は矩形フィルタカートリッジの1つの利点は、矩形フィルタを使用することによってフィルタ材料の使用を最適化できることにある。これは、フィルタシートの切り出しであるフィルタとフィルタとの間のくずが回避されることによる。フィルタ自体は、表面積を増加させるべくひだ状にするのが好ましい。開示の呼吸器の1つの特徴として、ひだは丸まった端部を有してよい。これにより、より高流量の空気流がフィルタを通過できる。ひだの形状を維持するべく、1つ以上のスペーサを含めることができる。スペーサは、ひだの端部を造形又は成形してひだを均等に離れた間隔にすることができる。スペーサは、空気流を妨害しないように蛇行形状で実装することができる。丸形又は正方形に構成されるフィルタの代わりに、フィルタは環状(ドーナツ形状)フィルタであってよい。これは、ブロアからの空気が径方向外側に追い出される場合にブロアに巻き付けられる。かかるフィルタ構成においてハウジングは、フィルタのまわりに、ホースと接続可能な出口を有する環状流路を形成する。
【0050】
開示の呼吸器のさらに他の特徴は、低コスト要素を使用するコスト効果のある呼吸装置を与えることにある。特に、所定要素は、従来技術装置の耐用年数よりも著しく短い限られた耐用年数を有するように設計される。すなわち、フィルタ又はフィルタカートリッジは、使い捨てされて新たなフィルタ又はフィルタカートリッジと交換されるように容易に取り外し可能に構成されるのが好ましい。その代わりとして、ホース及びフィルタを有するフェースマスク全体が使い捨て可能に構成できる。他方、例えばブロア及び電源を有するハウジングのような、システムの他の要素は、再使用できるように長い耐用年数を有するように設計できる。
【0051】
システムは典型的には、カートリッジに配置される少なくとも1つのバッテリ若しくは複数のバッテリ、又はハウジング内のコンパートメントに収容できる充電可能なバッテリパックの形態の電源又はエネルギー源を含む。バッテリパックの場合、パックはプラグを含んでよい。例えば、ハウジング内に配置される相補的なソケットによって受容可能なリードの先にあるプラグである。バッテリパックの場合、パックは典型的には、電気接点を含む。ハウジングは相補接点を有するコンパートメントを含むのが好ましい。所定の実施例において、ハウジングは、冗長なエネルギー源を与えるべく2つのバッテリパック又はバッテリカートリッジを受容するように構成される。これにより、エネルギー源のホットスワッピングが容易になる。2つのエネルギー源は、同じサイズでも異なるサイズでもよい。それの代わりに又はそれに加えてシステムは、所定の最終用途に対して、ACアダプタを含んでよい。これにより、システムはACコンセントからの電力供給が可能となり又はバッテリ又はバッテリパックの充電が容易となる。ACアダプタは、ハウジング内に配置してよい。
【0052】
エアムーバ及び電源並びにフィルタを有するハウジング(ここではPPRともいう)は、他の機能を果たすキャリングバッグ内に収容される。例えば、PPRは、ラップトップコンピュータを含むバッグ内に収容することができる。この場合、PPRは、コンピュータのUSBポートを介して電源供給を受けることができる。または、ラップトップに電源供給するべくPPR電源を使用することができる。同様に、コンピュータ及びPPRは、同じ電源を共有することができる。
【0053】
PPRと他の装置との電力共有接続は、所定の電力調整回路によって対処される。例えば、ラップトップコンピュータのUSBポートからのエネルギーは、業界で周知のDC−DCステップアップコンバータを使用してUSB電圧をステップアップすることによりPPRユニットに電力供給するべく使用される。同様に、例えば携帯電話、全地球測位衛星受信機、音楽及び映像のダウンロード及び再生装置(例えばiPOD(登録商標)、並びにDVDプレーヤのような他の電子装置が同じ電源を共有又は互いに電力供給しあうことができる。
【0054】
エアムーバ及びエネルギー源を有するハウジングは、システムの再使用可能部分として実装できる一方、フィルタ、プレフィルタ、ホース、及びフェースマスクは、再使用可能部分から取り外して使い捨てられるように実装できる。したがって、ホース及び恐らくはフェースマスクも、ホース及びフェースマスクが再使用可能部分として同様の耐用年数を有するものとされる場合よりも、安価に(薄い材料及び/又は安価な材料で)作ることができる。
【0055】
高品質フィルタの粒子ろ過能力が危うくされないことを保証するべく、ホースは、その2つの端部が、粒子の侵入を防ぐ少なくとも1つのシールによって接続される。使い捨て可能部分がともに接続されている場合、接続又はシールは、永久的なシール又は接続の形態(例えば熱的なシール又は接着剤)にすることができる一方、使い捨て可能部分と再使用可能部分との接続はいずれも、ガスケットをさらに有する摩擦ばめ接続を使用して実装することができる。ガスケットは、例えば、非多孔質フォームガスケット、又は分離可能接続を画定する高品質フィルタ材料からなるガスケットである。完全性を向上させるべく、シールは冗長層シール材料を含んでよい。これは、シーラントの2つ以上のリング層の形態にすることができる。これにより、シールの一体性が機械的応力、製造欠陥等によって危うくされることが防止される。分離可能な接続は、2つの部分を相互に固定するクランプを含む。
【0056】
ハウジングは、ベルト配置構成として実装できる。この場合、ハウジングは、ファニーパック型(fanny−pack type)構成に適合するか又はベルトに固定可能なバッグに適合する。ハウジングは、デザイナーアパレルの外皮又はカバーを有するように実装できる。ハウジングがバッグ又はパックに受容される場合、バッグ又はパックは、例えばデザイナーアパレル商取引用装飾のようなファッションアイテムとして実装することができる。その代わりに又はそれに加えて、システムは、生地見本(swatches)又はカバーを含んでよい。ハウジング又はバッグの少なくとも一部を覆うデザイナーアパレル生地見本を含むのが好ましい。
【0057】
より一般的には、PPRシステムは、例えばデザイナーパース、登山者用バックパック、コンピュータキャリングケースのような特定のデザイン又は標準のバッグに適合することができる。PPRシステムは、既存のファッションアクセサリの所定のポケットに適合する長さ、幅、及び高さに設計することができる。さらに、かかるアクセサリは、マスク、複数のフィルタ及びオプションの折りたたみホース、又は、例えば家族用のフィルタを有する複数組の子供サイズマスク及びホースを格納するのに十分なスペースが与えられるように選択されている。
【0058】
特に、製品の市場受け入れは、PPRユニットと、デザイナーハンドバッグ、ヒップバッグ、又はバックパック等であるがこれらに限られないアクセサリとの統合によって高められる。すなわち、PPRは、最大限の汎用性をもってユーザが選択するキャリング装置で、又は、PPRユニットの機能を高めるべく特別に作られるハンドバッグ/ヒップバッグ/バックパックで容易に運ぶことができる。様々な色及び模様のシステム構成要素の実装により、多数のパーソナライズオプションが可能となる。ビジネス戦略としては、開示の呼吸器は、システムをファッションアクセサリとして与え、かつ、本製品をカスタマイズすること、又は主に実用性を考慮して設計される他製品から差別化することを意図する。PPRシステムは、かかる実施例において使用されるべく、小さな物理的サイズ、最小重量、及び好都合な形状が必要とされる。
【0059】
ハウジング及びホース(又は上述のフィルタカートリッジ)の一方又は双方は、ハウジング内に入る空気のオゾン、一酸化炭素、二酸化硫黄、及び二酸化窒素の少なくとも1つを低減する手段を含んでよい。オゾンを低減する手段は、オゾン分子から酸素原子を分離するオゾン触媒、又はオゾンと反応して安定酸化物を形成する材料を含んでよい。一酸化炭素を低減する手段は、酸素原子をCOに添加してCOを形成する一酸化炭素触媒を含んでよい。オゾン触媒は、活性炭を含んでよい。一酸化炭素触媒は、チタン、二酸化マンガン、又は酸化銅を含んでよい。さらに加えて又はその代わりに、水酸化カルシウム又はケイ酸カルシウムの固体、又はスポンジに浸した石灰スラリを使用して二酸化硫黄及び二酸化窒素を除去してもよい。一酸化炭素触媒及びオゾン触媒の少なくとも一方は、ハウジング若しくはホース又はハウジングとホースとの双方の内壁の少なくとも一部へのコーティングを含んでよい。
【0060】
ハウジング内又はその一部内にフィルタカートリッジを取り付けてホースの第2端をフィルタカートリッジに接続する代わりに、ホース内又はそれに接触させて(例えば、フェースマスクに接続されるホースの第1端に)粒子フィルタを取り付けてもよい。さらに、フェースマスクは、呼気から粒子をろ過するべく空気出口と流体連通する第2粒子フィルタを含んでよい。
【0061】
ホースの第2端に粒子フィルタが接続される場合、フィルタは、少なくとも1つの公共空気供給システム、又は少なくとも1つの公共空気供給システムに接続されるアダプタに当該フィルタを接続する第2コネクタを含んでよい。アダプタには、複数の公共空気供給システムに接続される複数のコネクタが設けられてよい。ホースを少なくとも1つの公共空気供給システム若しくはアダプタに、又はアダプタを少なくとも1つの公共空気供給システムに接続するコネクタは、少なくとも1つの摩擦ばめ接続を含む。少なくとも1つの摩擦ばめ接続の各々はガスケットを含んでよい。当該少なくとも1つの摩擦ばめ接続は、当該接続を固定するクランプを含んでよい。ガスケットは、非多孔質フォーム材料又はフィルタ材料から作られてよい。
【0062】
上述のように、粒子フィルタは、例えば1日(16時間)のような所定の有用な寿命を有する短期フィルタとして設計してよい。また、他実施例では、1週間(16時間の日が7日)としてよい。
【0063】
なおもさらに、開示の呼吸器によれば、一対の眼を保護するゴーグルが与えられる。これは、レンズ部分、及び空気ベントを有する周縁ガスケットを含む。空気ベントにはHEPA又はULPAフィルタが設けられる。本開示の呼吸器の目的上、用語「レンズ」は単に、ゴーグルの透明部分を言及し、「レンズ」が凹表面又は凸表面を有することを示唆するものではない。ガスケットは、互いに前後して配列されて複数のシール又は複数の突条及び溝を有する1つのシールを画定する2列以上の材料を含んでよい。ガスケットの材料は、非多孔質フォーム材料又はHEPA若しくはULPAフィルタを含んでよい。空気ベントのフィルタは、交換可能に構成されてよい。周縁ガスケットは、レンズ部分に取り付けられてよい。また、ゴーグルは、ガスケットが取り付けられるフレームを含んでよい。
【0064】
さらに、開示の呼吸器によれば、周縁フレームがなく周縁ガスケットが設けられるのみのレンズ部分を含む、眼を保護するゴーグルが与えられる。ガスケットは、一体的に形成されて1つのガスケットを画定するか、又は、互いに平行に配列される別個のガスケットを形成する複数列のシール材料を含む。
【0065】
2006年4月26日出願の先の出願である「空気供給装置」という名称の出願第11/412,231号において、空気供給システムが、(本願において図1として含まれる)図1を参照して記載されている。図1のシステムは、フィルタと、例えばポンプ、ファン、又はブロアのような空気移動手段と、空気ストリーム流速又は空気圧力のいずれかを制御する手段とを含む。システムが従来技術と対比される。これは、従来技術の装置が小面積フィルタによる一定の高流速を利用することを前提とする。小面積フィルタによれば、大きな圧力降下があるので、HEPAグレードよりも良好なフィルタ材料を使用することができない。他方、図1に示される出願人のシステムは、かかる欠点を回避するべく制御空気流システムを利用する。出願人の出願第11/412,231に記載の実施例には、例えばUV照射により空気ストリームを照射することによって空気ストリーム内の有機汚染物質を死滅又は破壊する手段が記載される。しかし、当該出願に記載されているように、空気供給システムは、生物学的汚染物質を死滅又は破壊する手段が何らなくとも同様に適用できる。開示の呼吸器は、好ましくはエアムーバの下流側に配置される粒子フィルタを有してハウジング内に配置されるエアムーバと、送りチューブ又はホースによってハウジング又はフィルタに接続されるフェースマスクとを含み、UV照射源が全くないシステムを扱う。このため、開示の呼吸器は、先の出願の多くの特徴に基づきそれらを組み込むので、なおも図1の実施例を考慮することは有益である。
【0066】
先の出願第11/412,231号に記載されて図1に示されるように、図1のシステムは、可撓性送りチューブ120によって滅菌チャンバ110に接続されるフェースマスク100を含む。なお、用語「滅菌チャンバ」がここで選択されたのは、当該チャンバが、空気中の病原体のDNA又はRNAを破壊するUV光源を含むからである。ハウジングがエアムーバ、電源、及びフィルタを支持する機能のみを果たす実施例においては、単純な用語であるチャンバ又はハウジングがより適切である。本願の目的上、UV光源なしの実施例が、単にハウジングを含むものとして参照される。フェースマスク100は、一方向吸気バルブ122及び一方向排気バルブ124を含む。フェースマスク100は、呼気を排気バルブ124が大気中に送ることにより、人の鼻及び口を覆ってフィットする。吸気バルブ122により人は清浄空気を吸うことができる。一方向バルブ122、124により、人が清浄空気を吸う一方で使用済空気を大気へ排除することが保証される。バルブ122、124は、単純な、フラップバルブ、中央フラップバルブ、又は電気作動バルブでよい。一実施例において、バルブ開領域は、人の気管の断面積(約3−5cm)にほぼ対応するように選択される。好ましくは可撓性材料で作られる送りチューブ120が、類似の断面積(3−5cm)を有するように選択される。好ましい実施例において、マスク100、バルブ122、124、及び送りチューブ120は、洗浄を容易にするべく滅菌チャンバ110から取り外し可能に設計され、食器洗い機で洗える材料で作られる。簡易着脱コネクタを設けるか、又は滅菌チャンバ、送りチューブ若しくはホースとフェースマスクとが互いに容易に分離されるコネクタを設けることにより、様々なパーツが損耗パーツと容易に交換できたり又は他の装置から構成要素を使用できる。一実施例において、装置は、めがね若しくはゴーグル、又は参照番号130で示されるフリップダウン透明バイザのような眼の保護を含む。本実施例のバイザ130は、ヘッドアップディスプレイ及び受信機190を含む。受信機190は、ディスプレイ130上に情報を表示するべく外部フィードを受信する。受信機190は、例えば、無線インターネットフィード又はキャッシュコンテンツ情報フィードを受信するWiFi受信機のような無線受信機であってよい。図示される一実施例において、空気ポンプ170の形態のエアムーバは、チャンバ110に含まれ、マスク100内で陽圧を与える。これにより、周囲の空気がマスク100内に、ユーザの顔と突き合わされるマスク100の側部に沿って不意に引き込まれないことが保証される。ポンプ170はまた、マスク100に向けて空気流を与えることにより、息を吸い込むプロセスを容易にする機能も果たす。かかるポンプの1つは、例えばコネチカット州ファーミントンのEBM−Paps社が販売するREF100−11/12のような遠心ポンプである。他の実施例において、空気をマスクに直接押し込む代わりに、ポンプは供給タンクに空気を供給する。そして、供給タンクが、マスク又はタンクの所定のレギュレータを介してフェースマスクに空気を供給する。
【0067】
本実施例において、滅菌チャンバ110は、中程度の活動中の大人の一息にほぼ対応する内部容積を有する。(休憩中の大人の典型的な呼吸は約0.5リットルであり、中程度の活動中の容積は、典型的な大人に対して1及び1.5リットルまで増加するのが典型的である。)しかし、以下で詳細に説明するように、開示の呼吸器は、可変需要アプローチに基づく。このアプローチでは、圧力又は流速がモニタされ、需要変化に応じて一定圧力を維持するべくエアムーバへの電力が調整される。実際、他の実施例において、チャンバ容積は具体的には、装置の典型的なユーザの平均呼吸よりも小さくなるように選択される。図1のシステムにおいて、滅菌チャンバ110は、直径約3インチ(76mm)、長さ6から8インチ(15−20cm)のチューブ形状である。UV光源はチャンバ110内に配置される。この場合、UV光源として水銀ランプが使用される。水銀ランプは、破損の可能性を低減するべく水晶スリーブで保護される。また、センサ172が、水銀ランプの出力をモニタするべく設けられ、ランプが放射をやめるとマスク100へのバルブ174を閉める。本実施例のUV光源は、本実施例ではバッテリパック142を含む電源によって電力供給される。電源142は、DC10ボルトバッテリのようなバッテリから水銀ランプに電力供給するAC120ボルト以上を与えるDC−ACコンバータを含んでよい。なお、電源は所定の安定回路を含む。UV源としてLEDが使用される場合、電源は、所定DC電圧コンバータによって、又はMAXIM(登録商標)が製造するLED用最適化回路の使用によって、所定のLED電流を与える。本実施例において電源142を構成するバッテリパックは、チャンバと一体的にパッケージ化されて、バッテリパック用充電器を含む。しかし、バッテリパックは、例えばユーザのベルト上に、個別に収容されて運ばれてもよい。なお、センサ及びバッテリパックを有する滅菌チャンバだけでなく、マスク100に存在する必要がないその他の任意の要素もマスクとは別個に運ばれるのが好ましい。これらは、マスクとは別個に、例えばバックパック、ショルダーバッグ等で運ばれてよい。したがって、例えば任意の携帯電話、AM/FMラジオ、トランシーバ、又はバイザ情報受信機が、滅菌チャンバ110を有するバックパックに収容されて運ばれてよい。開示の呼吸器は、図1を参照して記載されたシステムに対して複数の付加物及びバリエーションを与える。
【0068】
図2A及び2Bは、個人ユーザに清浄空気を送るポータブル型バッテリ動作呼吸器システム200という形態の、開示の呼吸器の基本システムの3次元図を示す。一実施例の呼吸器システム200は、再使用可能部分202と、その再使用可能部分202に取り外し可能に接続される使い捨て可能部分とを含む。再使用可能部分202は、スクリーン又はグリッド208を備える空気入口206及び空気出口210を有するハウジング204を含む。本実施例の空気入口には、プレフィルタ212が設けられる(図3参照)。2つの電源又はエネルギー源のコンパートメント220、222は、ハウジング204内に形成される。図3に示すように、ハウジング204は、ブロア206と、図2Bを参照してより詳細に記載される電源とを収容する。以下で詳細に記載するように、ハウジングは、ファニーパック250、バッグ等と併用してユーザが運ぶことができる。呼吸器200はまた、粒子フィルタ260(例えばULPA又はHEPA)と、送りホース262と、口及び鼻を覆うマスク部を含むフェースマスク264とを含む取り外し可能部分(洗浄可能及び/又は使い捨て可能)も含む。フェースマスク264は本実施例において、入口バルブ302及び出口バルブ304を含む。
【0069】
本実施例において、ブロアは、35から70ワット時の充電可能バッテリに接続される8ワット遠心ブロアの形態をとる。低流速時の実際の電力消費は高流速時よりも低い。ブロア206は、ゼロ流れ時に約1.7インチ(43mm)HOのピーク圧力を有し、約1.2インチ(30.5mm)の水柱圧力により350slm(12cfm)を維持することができる。本実施例における粒子フィルタ260は、以下でより詳細に記載するフィルタカートリッジに収容され、ブロア206のちょうど下流に配置されるULPAひだ状フィルタパックの形態をとる。ULPAフィルタにわたる圧力降下は、350slmにおいて約1.0インチ(25.4mm)HOである(流速と圧力降下との間には線形関係がある)。可撓性送りホース又はチューブ262は、エアムーバ(この場合はブロア206)とフェースマスク264とを接続する。一方向入口バルブ302は、「ゼロ抵抗」バルブ(350slmにおいて0.1インチ(2.5mm)HO)として選択される。出口バルブ304もまた一方向であり、約0.5インチ(12.7mm)HOで開く。
【0070】
ULPA粒子フィルタ260は、0.1ミクロン粒子に対して99.99%よりも良好なフィルタ効率を有するサブミクロンフィルタである。
【0071】
運転時、ブロアは、フィルタ260を介して空気をマスク264に押し込む。少なくとも1つのプレフィルタ(これも以下でより詳細に記載される)は、ULPAフィルタと同じフィルタカートリッジに含まれてよい。また、当該プレフィルタは、空気から非常に大きな粒子を、それがULPAフィルタに到達する前に除去する低品質フィルタを含んでよい。ユーザが息を吐くことも吸うこともしない場合、マスク内の圧力は約0.5インチ(12.7mm)HO(すなわち出口バルブ作動圧力が0.5インチ(12.7mm)HO)となる。
【0072】
ユーザが息を吸うと、ピーク吸気速度は、350slm以上のブロア出力を必要とする350slmまでになる。350slmにおいて、ブロア送り圧力は約1.2インチ(30.5mm)H2Oである。マスク圧力は、フィルタの圧力降下約1.0インチ(25.4mm)H2O並びにホース及び入口バルブの圧力降下約0.2インチ(5.1mm)HOをブロア圧力から差し引いたものとなる。すなわち、吸気マスク圧力は、最大ブロア出力350slmを越えるまで大気圧に対して陽圧のままとなる。
【0073】
ユーザが息を吐き始めると、マスク圧力は上昇して0.5インチ(12.7mm)HOを上回る。この場合、マスク入口バルブ(利用されている場合)が閉じられる。この結果、ブロア出力流が無視できるようになり、ブロア電力消費は、ブロアが受ける抵抗又は負荷が小さくなるので、自動的に約4ワットまで下降する。ただし、好ましくはブロアモニタが速度制御されて、モータのRPMは、モータ負荷が変化しても相対的に一定のままとなる。0.5インチ(12.7mm)HOを上回ると、マスク出口バルブが開く。この結果、バルブにおける出口圧力降下は、呼気流速が10から100slmになると、約0.5から1.0インチ(12.7から25.4mm)HOになる。
【0074】
ユーザが呼息をやめると、マスク圧力は約0.5インチ(12.7mm)HOまで下降して出口バルブが閉まる。呼気圧力が下降して0.4インチ(10.2mm)HOを下回ると、入口バルブが開いてブロア空気をユーザへ供給する。
【0075】
上記記載は、1分当たり約12回すなわち5秒ごとに1回生じる約500mLの吸気となる、男性若年成人の典型的呼吸をモデルとする(Guyton,Medical Physiology)。ピーク吸息速度は、0.1から1.0秒に0.5リットル又は約30から300slm及びそれよりも若干高い即時値の平均吸入速度として見積もられる。
【0076】
上述のように、ブロアモータは、流速が低下すると自動的に低い電力を使用する。さらにエネルギーを節約するべく、一実施例のブロアモータは動的に制御され、需要に応じて流れを変化させる。したがって、吸息に起因して需要が増加するとブロアへの流れが増加し得る一方で、低需要時(例えば、呼息、及び吸息ステージと呼息ステージとの間の受動状態)に流れは低下する。これは、一実施例においては、圧力センサ(例えばマスク内に配置される圧力センサ)によって達成される。受動状態の間、漏れの流れのみが存在し、それゆえにホース内の圧力降下がほとんどない場合(入口バルブにわたって実質的に0.1インチ(2.54mm)HOのみの圧力降下)、マスク圧力は、ブロアが1インチ(25.4mm)HOの圧力を生成するので、0.9インチ(22.9mm)HOとなる。吸息中、空気流が上昇して恐らくは約300又は350slmまでとなると、ブロアは約1.2インチ(30.5mm)HOで供給する。この流速において、ホース及びフィルタを通っての圧力損失は著しく、約0.9から1.0となる。したがって、入口バルブ(使用されている場合)にわたって0.1インチ(2.54mm)HOの降下があると、マスク内の圧力は、約0.2から0.3インチ(5.1から7.6mmHO)まで著しく低下する。これは、需要が上昇したことを意味する。呼息中、マスク内の圧力は、吐き出された空気に起因して約0.5インチ(12.7mm)HOを上回る(入口バルブ(使用されている場合)が吐き出された空気によって閉められる)。マスク内の圧力が約0.5インチ(12.7mm)HOにとどまる限り、出口バルブは開かれてそのまま維持される。したがって、マスク内の圧力は、低需要を意味する高いものとなる。したがって、モータへの電流を低減することによりモータを制御するべく、2つの高い圧力すなわち低需要ステージ(受動ステージ及び呼息)を測定して使用することができる。一実施例において、これはマイクロプロセッサ(不図示)が行う。マスク内の圧力をモニタする代わりに、ホース内の流速を、流速センサによりモニタすることができる。高流速時、ユーザが息を吸い入口バルブが開くと、高需要が関連付けられる。他方、例えば受動状態時にリーク流れのみが存在する場合、又は入口バルブが閉じているか若しくは呼気背圧によりほとんど閉じていることに起因して流れが全く存在しないか若しくはほとんど存在しない場合のような低流速では、需要が低いのでブロアへの流れを低減することができる。
【0077】
図2Bに示されるように、本実施例においては、コンパートメント220には、充電可能バッテリカートリッジ228上の相補接点226に接触する電気接点が設けられる。次に、コンパートメント222はバッテリパック230を受け入れるサイズとされて、相補プラグ232を受け入れるためのソケット(不図示)が設けられる。本実施例におけるバッテリパックは、円筒バッテリ236を支持するプラスチックホルダ234を含む。2つのエネルギー源を有する目的は、一方が機能しなくなった場合のバックアップを与えるためと、エネルギー源を電力喪失なしで1つずつ交換すること(ホットスワッピング)を可能とするためである。なお、双方のエネルギー源コンパートメントは、代わりにバッテリパックのためのものでもよく、又は双方ともバッテリカートリッジのためのものであってよい。2つのパック又は2つのカートリッジは同じサイズ又は異なるサイズでよい。電源又はエネルギー源228、230は、遠心ブロア240の形態のエアムーバのためのエネルギー源として機能し、制御回路242に電力を供給する。ブロア240(これは他実施例においてはファン又はポンプに置き換えられる)は、空気入口206からプレフィルタ312を通って空気出口210までの空気ストリームを生成する。なお、バッテリパック又はバッテリカートリッジの使用は、ポータブル性を与える。充電可能バッテリカートリッジ228又はバッテリパック230内の充電可能バッテリを使用することにより、図2Bに示されるようなAC充電器238を使用して電源は容易に充電することができる。他実施例において、充電器238のようなAC充電器は、エネルギー源システムに永久接続されてもい。この場合、ハウジング204内のコンパートメント220、222の1つは、使用されないときに充電器を受け入れるように構成されてよい。これにより、ACコンセントを電源として使用することも、かかる電源がユーザに利用可能な場合には可能となる。一実施例において、非ポータブル呼吸器が考慮される。ここでは、バッテリパック又はバッテリカートリッジのようなポータブルエネルギー源の代わりに、ACアダプタのみが設けられてシステム200に電力を供給する。図2の実施例がハウジングのブロア部分の両側に電源コンパートメント220、224を示す一方、電源は代わりにハウジング下部(ハウジングの裏側)に配置してもよい。しかし、かかる配置においてはバッテリパック又はバッテリカートリッジの取り替えが少し難しくなる。
【0078】
開示の呼吸器の他実施例が図24A、B、Cに示される。これらは、プレフィルタ2404に覆われた遠心ファン2402を有するハウジング2400を示す。プレフィルタは、ファン2402及びシステムの他の構成要素が大きな粒子により目詰まりするのを防ぐ。ファンからの空気は、径方向外側に通気され、ハウジング壁による流路を通ってメイン粒子フィルタ2410を通過する。メイン粒子フィルタ2410は、バッテリパック2412の上に配置される。空気は出口ポート2410から外へ抜ける。出口ポート2410にはホース(不図示)が接続可能である。ハウジングはブロア、フィルタ、及び電源を備え、ベルト2430によってファニーパックファッションに取り付けられる。
【0079】
図2Aを再び参照すると、本実施例もまたポータブルシステムであるので、ハウジング205もまたユーザに固定することができる。この場合、ハウジング205は、ファニーパック型構成(不図示)を与えることにより、又はバッグ250をベルト240に接続するためのループ、クリップ、ボタンその他の取付手段を有する、ハウジング204を受け入れるサイズにされたバッグ250を与えることにより、ベルト240に固定される。所定の実施例において、開示の呼吸器は、ハウジング204又はハウジング204を運ぶバッグ若しくはパック250をファッションアイテムにすることを提案する。これは、図25に示されるハンドバッグ配置によってハウジング204又はパック若しくはバッグ250にアパレルデザイナー商取引用装飾を設けることにより行われる。当該ハンドバッグ配置は、空気がブロアにより容易に引き込まれることを可能とする通気セクション2500を含む。開示の呼吸器はまた、ハウジング204又はパック若しくはバッグ250の全て又は一部に生地見本又は交換可能カバーを与えることを提案する。これにより、ユーザは、ハウジング、パック、及びバッグの外観を取り替えることができる。
【0080】
システム200の使い捨て可能部分205は、送りホース又はチューブ262によってフェースマスク264に接続される粒子フィルタ260を含む。送りチューブ262は、本実施例ではフィルタ260に直接接続されるが、他実施例では、ホースがハウジング204に接続され、フィルタが、空気出口210若しくはホース262、又はマスク264とホース262との間、若しくはフェースマスク264内若しくはその一部に配置される。
【0081】
送りチューブを扱いにくくなることがないように、開示の呼吸器は、高度に可撓性のあってユーザがチューブを押してもつぶれない十分な抵抗を有するホースの使用を提案する。一実施例において、扁平矩形ホースが使用される。扁平矩形ホースは、当該ホースを通って延びる1つ以上の流路を有する。他実施例において、図2及び3に示すように、丸形断面高可撓性チューブが使用される。これは、図4Aに側面図が図4Bに断面図が示される両方が波形であることにより構造の完全性が得られる。さらに他の実施例は単に、つぶれない耐性の十分な厚さの壁を有する丸形断面ホースを含む。扁平断面を含む他実施例は、図5Aに上面図が、図5Bに側面図が、図5Cに断面図が示される、楕円断面の波形可撓性チューブである。美観上の理由により、供給ホース又はチューブの構成にかかわらず、透明チューブがオプションとして提案される。さらに美観を洗練するものとして、一実施例は、例えば色及び表面テクスチャのような、フェースマスクに類似のスタイリングを有するホース又はチューブを与える。これにより、ホースがマスクの自然な延長部分となる。一実施例において実際、ホースは、マスクと一体成形されているように見える態様でマスクに取り付けられる形状である。しかし、典型的には、ホースは例えば押出成形のような製造を容易にするべく別個に形成され、マスクはモールディング工程により形成される。美観を高めるべく、開示の呼吸器は、従来技術装置よりも直径が小さいチューブの使用を提案する。具体的には、チューブの外径は約16mmよりも小さく、例えば10−16mmが提案される。なお、チューブが薄くなればなるほど、同じ流速を与えるためには空気速度を増加させる必要がある。したがって、一実施例は、流入する空気ストリームを偏向させるべくフェースマスク264内にバフル300を含めることを提案する。上述のように、開示の呼吸器は一実施例において、10−16mmという非常に小さい直径のホースを使用する。これは、従来の呼吸システムに対して行われたことがない。開示の呼吸器は、薄いホースを、はるかに大きい(3000平方センチメートル以上の)高品質粒子フィルタ(60−100nm粒子フィルタ)と併用することによって従来システムの流れの問題を克服する。これにより、扱いにくさがはるかに低減されたシステムが達成される。
【0082】
他実施例において、開示の呼吸器は、例えば20−25mm又はそれよりもはるかに大きい外径の肉厚ホースの使用を考慮する。これにより、大きな空気消費を伴う状況に対して、非常に高い流速が達成される。それにもかかわらず、開示の呼吸器によれば、3000平方センチメートル以上の大きなフィルタ面積を有するホースが使用される。これにより、流れが最適化され、エアムーバにより消費される電力量が低減される。したがって、開示の呼吸器は、大きなフィルタ面積を所定直径のホースと組み合わせてブロア出力を調整することによって、利点の1つを引き出すこととなる。このため、エネルギー消費が最適化される。
【0083】
開示の呼吸器の他の特徴は、上述のように、呼吸装置の使い捨て可能部分を与えることにある。一実施例において、ホース、フィルタ、及びマスクは使い捨て可能に作られる。これは、ホース、マスク、及びフィルタを再使用可能部分(この場合ハウジングはエアムーバを有する)から取り外し可能とすることだけではなく、使い捨て可能なマスク及びチューブに対して安価な材料又は薄い材料を使用することも含む。他実施例において、フェースマスク全体を使い捨て可能に作る代わりに、フィルタ又はフィルタカートリッジのみを使い捨て可能に作ることができる。したがって、フィルタ又はフィルタカートリッジのみがマスクに取り外し可能に接続される。
【0084】
上述のように、粒子フィルタカートリッジ260は、図2及び3、詳細には図6A−6Bに示されるようにホースに接続することができる。本実施例において、粒子フィルタは、0.1μm粒子サイズろ過能力を有するULPAフィルタであり、基準サイズのホッケー用パック型構成として実装される。フィルタカートリッジ260は、図2Aの出口210のような空気出口の溝にねじ込まれる雄ねじ263を有する。当該空気出口の溝には、ねじ263と係合するべく相補的なねじが設けられる。図6Bの断面図に最も明確に示されるように、カートリッジ263は、フィルタ材料266を保持するべく上部にわたる成形ゲート又はグリル265とともにハウジングを画定する。フィルタカートリッジ262の変形例は図7に示される。図7は、2つの大径フィルタ270を収容するべく大きな直径を有する深いハウジング268を示す。二重フィルタ構成が空気流に対する大きな抵抗を与える一方で、その影響は大きな直径を与えることによって対処される。図8に示されるように、さらに他の実施例において、2つの粒子フィルタ272及び1つのプレフィルタ274が、フィルタカートリッジの一部として設けられる。上述の実施例全ては円形フィルタを使用するが、開示の呼吸器はそれに限られるわけではない。フィルタカートリッジに対してホッケー用パック構成を使用する代わりに、一実施例は、図9A及び9Bにそれぞれ示されるように、3−4インチ(7.6−10.2cm)辺の正方形フィルタ276及び対応するハウジング279を使用する。なお、矩形フィルタもまた実装してよい。図7及び8の構成に類似するフィルタハウジング又はフィルタカートリッジに複数のフィルタが設けられてもよい。本実施例のフィルタカートリッジ279は、単純なろ過以外の機能を有するプレフィルタ280を含む。これは、一酸化炭素を二酸化炭素に変換するための二酸化マンガン又は酸化銅触媒の粒子フィルタ上の含浸スポンジ、リング層、又は表面コーティングを使用する。他実施例において、水酸化カルシウム又はケイ酸カルシウム固体が含浸された固体リング層は、二酸化硫黄及び二酸化窒素を除去する。さらに他の実施例においてはその代わりに、二酸化硫黄が、スポンジに浸した石灰スラリによって除去される。一実施例において、オゾンは、活性炭が含浸されたHoneycycleZGのようなハニカムセラミックスファイバ又は前述の他の手段を使用して除去される。
【0085】
正方形又は矩形形状を有するフィルタの利点は、丸形フィルタの場合のようにフィルタ切り出し間でフィルタ材料が無駄にされることがないことにある。他方、丸形フィルタは、シールプロセスを容易にするという利点を与える。丸形又は正方形構成のフィルタの代わりに、フィルタは、環状(ドーナツ形状)であって、ブロアからの空気が径方向外側に追い出される場合にブロアに巻き付けられてよい。かかる構成において、ハウジングは、フィルタ周りに環状流路を形成してよい。当該流路の少なくとも1つの側部上には、少なくとも1つのホースが接続される出口が画定される。
【0086】
フィルタ自体は、表面積を増加させるべく、ひだ状であってよく、またそうするのが好ましい。図6Bのフィルタは、ジグザグ構成を有するように示されるが、好ましい実施例は図17に示される。図17は、丸まった端部1702を有するひだ状粒子フィルタ1700を示す。この丸まった構成は、図18A及び18Bに示されるスペーサを使用することによって維持される。図18Aは、スペーサ1800の側面図を示す。スペーサ1800は、、図17及び18において文字Aで示されるように、(上部側1802及び底部側1804が)ひだに垂直に差し込まれる。中間脚1806は、ひだがつぶれないように、ひだの中間に対して付加的な支持を与える。なお、空気はフィルタを矢印Bで示される方向に向かって流れるので、スペーサ1800は空気流をさえぎることがない。これは、脚1802、1804、1806を蛇行形状で与え、ひだに挿入されるときに垂直に延びる流路フィルタを残すことによって本実施例で達成される。なお、開示の呼吸器の範囲から逸脱することなく他のスペーサ構成を与えて、ひだ状フィルタに丸まった端部を与えることができる。また、ひだに間隔をあけてもなお空気がひだを通過できるようにすることができる。また、丸まった端部のひだ及びスペーサは、他のフィルタアプリケーションでも使用可能であり、ポータブル呼吸器に限られない。例えば、自動車のフィルタシステムを本構成及び配置を使用して改善することができる。
【0087】
上述のように、フィルタ又はフィルタカートリッジは容易に取り外し可能に構成され、使い捨てられて新しいフィルタ又はフィルタカートリッジと交換することができる。これを達成するべく、フィルタは、ホースに取り外し可能に取り付けられる必要がある。ただし、同時にホースを廃棄することを意図する場合を除く。この場合、ホースは、図19の構成に示されるようにフィルタに永久的に固定することができる。ホース1900は、フィルタカートリッジ1904から延びるプラスチック延長部分1902に接続される。本実施例のカートリッジは、メインフィルタを形成するULPAフィルタ1910の他に、SO・NOフィルタ1912、オゾンフィルタ1914、及び粗粒子フィルタ1916も含む。粗粒子フィルタ1916は、壁カートリッジ1904から周縁に延びるプラスチックフィンガ1920によって所定位置に保持される。本実施例は、正方形フィルタを含む。カートリッジ1904は、ハウジングから延びる相補コネクタに差し込まれることによりハウジングに固定される。相補コネクタは、カートリッジ1904と一体成形された可撓性プラスチッククリップによってカートリッジを固定し、コネクタ内の相補スロットに係合する。なお、カートリッジ1904を受け入れる正方形コネクタは、そのスロットにアクセスできるようにする必要がある。これにより、複数のクリップ又はフック1930が共に押圧されて、カートリッジがコネクタから解放される。
【0088】
他実施例において、フィルタ又は使い捨てされるフィルタ及びホースだけではなく、フィルタ及びホースを有するフェースマスク全体を使い捨て可能に構成することもできる。一実施例において、フィルタ、ホース、及びフェースマスクは、異なる耐用年数を有するように設計される。これにより、異なる時期の後に交換が必要となる。
【0089】
非標準サイズのホッケー用パック型構成又は他の非標準構成を使用することには、交換部品市場を捕らえる上で付加的な利益がある。
【0090】
上述の粒子フィルタは任意の粒子フィルタであってよいが、好ましくは、HEPA又はULPAフィルタのような、60−100nmのオーダの極小粒子をろ過できるサブミクロンフィルタを含んでよい。
【0091】
開示の呼吸器はまた、粒子フィルタを他の部品に関して有利に配置できる。特に、好ましい実施例は、粒子フィルタ260をハウジング204の空気出口210に配置する。これにより、フィルタ260の下流側に清浄空気ゾーンが画定される。よって、ブロアが清浄空気ゾーンに配置されることにより生じるブロアによる汚染問題を回避することができる。ハウジング内にプレフィルタ212を付加することは、ハウジング内のブロア及び電子機器をほこりその他の大きな粒子からの所定の保護を与える。しかし、開示の呼吸器の一実施例は、小さな粒子に対する付加的なバリアのような、ハウジング内の第2のHEPA又はULPAフィルタ等のプレフィルタを実装する。図19に示されるように、フィルタカートリッジに1つ以上のプレフィルタが含まれる好ましい実施例において、メイン粒子フィルタ1910が下流側に配置されて、プレフィルタからの任意のごみが捕獲される。
【0092】
本実施例のフェースマスク264はまた、シリコーンのような透明材料から作ることにより大きな利便性及び美的外観に適合されている。かかるマスク390は、図12に詳細に示される。他実施例において、口部分のみが透明材料から作られ、会話時ユーザのくちびるを観察することができる。口部分392のマスク390の壁厚も、ユーザの声を消音することがないように薄くされる。その代わりに、上述で特定された我々の先の共同出願において説明されるように、マスクには、ユーザと第三者との会話を容易にするべくマイクロホン及びスピーカを設けることもできる。
【0093】
好ましい実施例において、全てのジョイント又は接続部は、フィルタ260のフィルタ性能を越える粒子の侵入を防ぐように設計される。再使用可能部品同士、又は、例えばホース262とフェースマスク264との間及びホース262とフィルタカートリッジ260との間のような交換部品同士の接続は、熱接着又は熱溶接のような永久的な接続によって行われる。ホース1900とフィルタカートリッジへの延長部分1902との接着の場合、これらは熱接着によって接続される。対照的に、交換部品と再使用可能部品との接続又はシールは、例えば複数の突条を有する複数のOリング又はガスケット等の1つ以上の摩擦接続のような解除可能コネクタを含む。図6Bに示される実施例においては、3つのOリング281が使用されてフィルタカートリッジ290がホース292に接続される。これにより、冗長な構造を与えることができる。図14は、シール1400によってフィルタカートリッジに接続されるホースの実施例を示す。シール1400は、シーラント1402の2つのリング層の形態で冗長層シールを画定する複数突条のガスケットを含む。2つのリング層は、溝1404により分離される2つの突条を形成する。この複数突条構成により、シールの一体性が機械的応力、製造欠陥等により危うくされる可能性が低減される。
【0094】
図20の実施例において、突き合わせ面同士の間には、例えば非多孔質フォーム材料から作られるガスケットが使用される。図20は、マスク延長部分2002にわたって差し込まれたホース2000を示す。延長部分2002の複数の環状非多孔質フォームガスケット2010により、ホース2000と延長部分2002との間に複数の冗長なシールが保証される。
【0095】
複数の突条を有するガスケットは、フェースマスク2110の周縁沿いに複数の平行なシール2100を画定し、ユーザの顔2112に対する効率的なシールを与える。ガスケット又はシールに加えて、図6Bのクランプ294のようなクランプを使用して2つの部分が容易に離れないことを保証してもよい。
【0096】
所定の化学物質を除去するためのいくつかプレフィルタが上述された。さらに、環境空気中の所定の化学物質は、ハウジング又は供給ホース内の触媒の表面コーティングその他の形態を利用して低減することができる。CO及びオゾンにさらされないようにするべく、開示の呼吸器の一実施例は、ハウジング204及びホース262の内表面上のチタンコーティングを含む。これは、一酸化炭素(CO)を二酸化炭素(CO)に変換する触媒として作用する。例えば、CO分子から酸素原子を分離して炭素及び酸素にするべく、他の触媒も使用できる。なお、ハウジング又はホースの表面積の所定部分にのみ、かかる触媒コーティングを与えてもよい。空気中のオゾンを低減するべく、一実施例に係るハウジング204及び供給ホース262の少なくとも一部の内表面に、二酸化マンガン又は酸化銅触媒のコーティングが与えられる。他実施例において、水酸化カルシウム又はケイ酸カルシウム固体のコーティングにより二酸化硫黄及び二酸化窒素が除去される。その代わりに、他実施例において、スポンジに浸した石灰スラリにより二酸化硫黄が除去される。さらに他の実施例において、活性炭が含浸されたHoneycycleZGのようなハニカムセラミックスファイバを使用してOが除去される。
【0097】
図2の実施例は、圧力センサと、ブロア206に制御電力を供給するコントローラとを含む。入口バルブ302を、ホース262(図2A参照)又はハウジング204に設けてもよい。マスク264はまた、出口バルブ304を含む。出口バルブ304は、外部のろ過されていない空気がマスクに入るのを防ぎ、システムが上述のマスク内の一定のわずかな陽圧を維持しようとするのを容易にする。一実施例において出口バルブ304が、ユーザが吐く空気からの付加的空気圧に応じて開くように実装される。ろ過されていない周囲の空気がマスクに入るのを防ぐべく、一実施例はさらに、少なくとも1つの流路又はコンジットを含み(図15の実施例において、出口バルブ1502につながる2つの流路1500が設けられる)、清浄空気の流路が維持される。流路又はコンジットは、本実施例のマスク1501の壁に配置されるが、フェースマスクの内表面又は外表面に沿って配置してもよい。図15のマスクにおける空気出口1504は、分岐マニホルドを含む。分岐マニホルドにおいて、空気は、2つの出口ポート1502としてマスクから出る2つの流路に分岐される。2つの出口ポート1502はそれぞれ、自身の出口バルブを有し、バランスが良くかつ美観の良いマスクが与えられる。図15に示されるように、空気供給ホース1510が、鼻領域(空気出口1504に対応)とあご領域1520との間に配置される。空気供給ホース1510は、マスクと一体的に形成されているように見える態様でマスクに取り付けられる。本実施例において、ホースは、机で仕事をする人にとって快適な角度を与えるべく垂線から45度から60度の角度で下方に傾けられる。ユーザにとっての快適さを向上させるべく、マスク1501は、複数のクロスエア換気孔1530を含む。クロス通気孔1530には、例えばHEPA又はULPAフィルタのような高品質粒子フィルタが設けられて、ろ過されていない空気がマスクに入るのが防止される。
【0098】
同様の構成が図22のマスクに示される。これは、外部に空気を抜くデュアル開口2200まで延びるデュアル流路2201を有する。しかし本実施例において、出口バルブ(不図示)が共通の内部開口2202に設けられる一方で、外部開口2200は単なる出口孔である。
【0099】
ホース2310及びストラップ2312を有する、図23に示されるマスク2300の他実施例において、ユーザの口部分を可視とする中央透明領域2330を残すべく、2つの出口バルブ2320がデュアルコンジットから出る空気流を制御する。本実施例における透明領域も、ユーザによるコミュニケーションを向上させるべく薄い材料から作られる。
【0100】
他のマスクの実施例において、図16に示される皮膚様可撓性マスク本体1600が与えられる。マスク1600は、ユーザの鼻及び口を覆う空気空間を与えるための小領域部分1604を有する。また、マスクの周縁には、完全性を向上させるべく周縁沿いに平行に配置される複数のフィルタ突条が設けられる。図15の実施例のように、図16の実施例は、出口バルブ1604及びバックアップ入口バルブ1604に加えてHEPAフィルタ1610を有するクロス通気孔を含む。バックアップ入口バルブ1604は、何らかの理由で空気パイプ1650経由の空気流が中断された場合に清浄空気を供給する。
【0101】
上述のように、開示の呼吸器は、その基本的な形態において、ゆるくフィットされるマスク構成で実装されるよう考慮される。ゆるくフィットされるマスク構成では、マスクはユーザの顔に対してシールすることはないが、ろ過空気を連続して追い出すことにより清浄でない空気がマスクに入ることを防止するための陽圧に依存する。この点において、図2Aに示されるように、フェースマスク264には、他の粒子フィルタ301を設けることができる。他の粒子フィルタ301により、ハウジング204からの空気流が何らかの理由により中断される場合に、ろ過空気をマスクに入れ続けることができる。また、フェースマスク264は、出口バルブ304に取り付けられる粒子フィルタを与える。粒子フィルタは、呼気から粒子をろ過する。他実施例において、フェースマスクは、ユーザの顔に実質的に固定するべくタイトフィット又は実質的にタイトフィットにしてよい。タイトフィットマスクの一実施例において、顔の周縁の実質的に全てが、ユーザの顔及び/又はあご(chin及び/又はjaw)に接触する。なお、好ましい実施例において、上記粒子フィルタは、内部表面が250nmから280nmの波長範囲で高反射率を有する材料から作られる滅菌チャンバである。滅菌チャンバは、単数又は複数の水銀ランプ、発光ダイオードその他の発光光電子装置(250nmから280nmのUV照射を発する全ての装置)により生成される紫外光を利用し、ユーザが吐き出す任意の空中病原体のRNA又はDNAを破壊する。
【0102】
図2の実施例は、使い捨て可能部分205と併用しての再使用可能部分202の使用を考慮する。しかし、他実施例においては、使い捨て可能部分205のみが使用される。特に、これは、例えば、飛行機又はバス若しくは列車の空気供給システムのような公共空気供給システムと共に使用される。使い捨て可能部分205の公共空気供給システムへの接続を容易にするべく、開示の呼吸器は、使い捨て部分205と公共空気供給システムとのインターフェースとなるコネクタを使用する。コネクタは、一タイプの空気供給システムへの接続を容易とするが、かならずしも利用可能な全ての空気供給というわけではない。したがって、開示の呼吸器は、少なくとも2つではあるが好ましくは全ての公共空気供給システムに接続するアダプタを与える。かかるアダプタ320の1つが図10に示される。アダプタ320はアダプタハウジング322を含む。アダプタハウジング322は、空気ベント330と係合する一端から延びるラバー環状シール324を有する。ハウジング322の他端のコネクタ部分312は、摩擦シールを介して空気供給ホースの入口をハウジング322に係合させる。アダプタ320は、清浄空気システムの使い捨て部分(粒子フィルタ、供給チューブ又はホース、及びフェースマスク)を、飛行機内の空気ベントのような公共空気供給システムに取り付けるための簡単な解決法を与える。
【0103】
アダプタ340の他実施例を図11に示す。アダプタ340は、ハウジング344内に粒子フィルタ342を含む。ハウジング344は、公共空気供給システムの空気ベント350と気密に係合する可撓性材料から作られる。
【0104】
粒子フィルタがホースの入口端に接続される実施例において、アダプタは、ホースに直接ではなく粒子フィルタ260に接続される。他方、粒子フィルタが、ホース262に、マスク264に、ホースの出口端とマスク264との間に、又は図11の実施例のようなアダプタ自体に取り付けられる場合、アダプタは、ホース262の入口端に直接接続される。
【0105】
空気供給装置の上記要素が呼吸のための清浄空気供給を扱う一方で、開示の呼吸器の他の側面は、眼に対して同様の保護を与える。したがって、開示の呼吸器は、マスク内へのろ過空気の通過を容易にするフィルタ付通気孔を有するゴーグルを含む。すなわち、ゴーグルが曇りから保護されるのと同時に、ユーザは、望まずに汚染空気にさらされることから保護されたままとなる。かかるゴーグルの一実施例を図13に示す。これは、ユーザの顔に係合するゴーグルの裏側を示す。本実施例において、ゴーグルは、フレーム402に支持されるレンズ400を含む。(本開示の呼吸器の目的上、用語「レンズ」は、ゴーグルの透明なガラス又はプラスチックののぞき部分を言及するのみであって、「レンズ」の凹表面又は凸表面を示唆しない。フレームは、フレームの周縁沿いに固定されるガスケット又はシール404によってユーザの顔にぴったりと保持される。本実施例のガスケット404は、3つの平行ガスケット要素を含む。3つの平行ガスケット要素は、非多孔質フォーム材料のシングルピースから一体的に作られて、3重シール又は2重冗長シールを与える。さらに、ガスケット404には、ガスケット404の空気孔に取り付けられる交換可能粒子フィルタの形態で、ろ過空気ベント406が設けられる。これにより、マスクを通る空気の移動が容易となり、ゴーグルが曇るのが防止される。ガスケット404は、異なる方法で実装することもできる。例えば、非多孔質フォーム材料の代わりに粒子フィルタ材料を使用することによる。一実施例において、ガスケットはレンズ400に、例えばレンズに接着されることによって直接固定されて、フレームを完全に不要にできる。
【0106】
一実施例において、開示の呼吸器は、散発的な運動中の高ピーク吸息空気流に適合する貯蔵リザーバを含んでよい。リザーバは、ユーザによる空気の需要が、短時間ブロアの容量を越える場合に、加圧空気を一次的に供給する。
【0107】
一実施例において、PAPRは、例えば350slmの定常空気流を与える。高出力条件下において、ユーザは時々、500slmまでのピーク吸息空気流速を有する。しかし、これはスパイクとなる傾向がある。これは非常に高い流量を必要とするが、持続時間は極めて短いので容積は比較的小さい。例えば、ユーザが急な階段を昇っている又は上り坂で自転車に乗っている場合である。流量需要がブロアの能力を越える場合、貯蔵空気リザーバから空気が抜かれ、ユーザは連続して適切な流れを受け取ることができる。
【0108】
ブロアによって与えられるシステム内の過剰流及び圧力は、例えばユーザの呼気サイクル中に、リザーバを膨張させる。システム内の圧力が所定ポイントよりも下がるとリザーバは、これが空になるまで、ブロアが供給できることに加えて、短時間ユーザに加圧流を供給することにより収縮する。ひとたび圧力が通常まで上昇すると、過剰流及び圧力によってリザーバは再び膨張する。
【0109】
空気リザーバを開示の呼吸器に配置するためのいくつかの異なる構成が存在する。例えば、一実施例において、ホースが空気リザーバとして使用される。本実施例において、ブロアの圧力はホースを伸ばす。例えば、74mLのリザーバ(25mmのホースを有する)に対して75cmから90cmまで伸ばす。ブロアの圧力は、ホースを、161mLのリザーバに対して直径を25mmから30mmまで拡大して膨張させることができる。一実施例において、別個のリザーバを、フィルタに沿って配置することができる。例えば、空気リザーバは、一実施例において0.5リットルの容量を有する空気袋であってよい。しかし、ブロアと組み合わせて設計される他実施例において袋は0.1から2リットルであってよい。これにより、1000slmまでの連続空気流が必要とされる呼吸需要に匹敵する即時的な空気を入手することができる。ブロアと組み合わせて空気リザーバを使用することは、呼吸の吸息サイクルのピークでない部分の間に出口バルブを通る高流速を必要としないという付加的な利点を有する。
【0110】
空気リザーバは、小さな高圧Oタンクを含んでもよい。これは、海水面大気中濃度の代わりに30%のような空気中のO所定濃度を与える。または、酸素センサを併用して海水面大気中酸素濃度を維持することができる。さらに、ここに開示される呼吸器の実施例は、血中酸素飽和度センサを利用してもよい。血中酸素飽和度センサは、装着者の指その他の体部に取り付けられる。有線又は無線送信機が流速を制御し、Oを添加し、又はマスク取り外し若しくはフィルタ交換に対するアラームを鳴らす(図25参照)。
【0111】
開示の呼吸器が具体的な実施例に関して記載されてきたが、開示の呼吸器は、これらの実施例に限定されず、請求項の範囲内で異なった方法で実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気入口及び空気出口を有して操作可能に豊富な量の空気ストリームを生成するエアムーバと、
前記空気ストリーム内に取り付けられる粒子フィルタと、
前記エアムーバの前記空気出口と操作可能に接続され、かつ、流体連通する供給手段と
を含む呼吸器装置であって、
ユーザの血中酸素濃度を相対的に安定に維持するべく空気を前記供給手段に与える呼吸器装置。
【請求項2】
ハウジングに操作可能に接続される供給ホースの端部に対向する端部で供給ホースに操作可能に接続されるフェースマスクをさらに含む、請求項1に記載の呼吸器。
【請求項3】
少なくとも約350slmの流速で空気を与える、請求項1に記載の呼吸器。
【請求項4】
2.5HOまでの圧力において約600slmまでの流速で空気を与える、請求項1に記載の呼吸器。
【請求項5】
前記エアムーバは、5,000rpmで動作する直径10cmのインペラを含む、請求項4に記載の呼吸器。
【請求項6】
前記エアムーバは、15,000rpmで動作する直径7cmのインペラを含む、請求項4に記載の呼吸器。
【請求項7】
前記粒子フィルタは、300ナノメートル粒子サイズに対して99.97%の効率を有する高効率粒子エア(HEPA)フィルタ材料を含む、請求項1に記載の呼吸器。
【請求項8】
前記粒子フィルタは、25ナノメートル粒子サイズに対して99.999%の効率を有する超低浸透エア(ULPA)フィルタを含む、請求項1に記載の呼吸器。
【請求項9】
前記粒子フィルタは湿式ガラス媒体を含む、請求項1に記載の呼吸器。
【請求項10】
前記ハウジングに配置される、前記エアムーバのための電源をさらに含み、
前記電源は、14.4Vまで供給し、かつ、少なくとも約2.4アンペア時(Ah)の容量を有するリチウムイオン電池を含む、請求項1に記載の呼吸器。
【請求項11】
空気入口及び空気出口を有して操作可能に空気ストリームを生成するエアムーバと、
前記エアストリーム内に取り付けられる粒子フィルタと、
一端が前記ハウジングに操作可能に接続される供給ホースと、
前記エアムーバの出力を増加させることなく付加的空気をシステムのユーザに供給する空気貯蔵リザーバと
を含むシステム。
【請求項12】
前記空気貯蔵リザーバは前記供給ホースとして構成され、前記供給ホースは、付加的空気を収容するべく、前記ユーザが前記付加的空気を必要とするまで伸びる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記空気貯蔵リザーバは、前記粒子フィルタに沿って配置される別個の空気袋である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも200標準リットル/分(slm)の空気供給を与える、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
ハウジングと、
空気入口及び空気出口を有して操作可能に空気ストリームを生成する、前記ハウジング内に取り付けられるエアムーバと、
湿式ガラス媒体を含み前記空気ストリーム内に取り付けられる粒子フィルタと、
一端が前記ハウジングに操作可能に接続される供給ホースと
を含む呼吸器装置。
【請求項16】
前記粒子フィルタは、300ナノメートル粒子サイズに対して99.97%の効率を有する高効率粒子エア(HEPA)フィルタ材料を含む、請求項15に記載の呼吸器。
【請求項17】
前記粒子フィルタは、25ナノメートル粒子サイズに対して99.999%の効率を有する超低浸透エア(ULPA)フィルタを含む、請求項15に記載の呼吸器。
【請求項18】
前記ハウジングに配置される、前記エアムーバのための電源をさらに含み、前記電源は、14.4Vまで供給し、かつ、少なくとも約2.4アンペア時(Ah)の容量を有するリチウムイオン電池を含む、請求項15に記載の呼吸器。
【請求項19】
空気入口及び空気出口を有し、少なくとも5,000rpmの速度で操作可能に空気ストリームを生成するインペラと、
前記空気ストリーム内に取り付けられる粒子フィルタと、
一端が前記ハウジングに操作可能に接続される供給ホースと
を含む呼吸器装置。
【請求項20】
前記インペラは10cmの直径を有する、請求項19に記載の呼吸器。
【請求項21】
前記インペラは、7cmの直径を有して約15,000rpmの速度で動作する、請求項19に記載の呼吸器。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24A】
image rotate

【図24B】
image rotate

【図24C】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公表番号】特表2010−504170(P2010−504170A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529383(P2009−529383)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/078977
【国際公開番号】WO2008/036791
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(509079260)ネクスト セーフティ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】