説明

清涼感に優れた織編物

【課題】
本発明は、機械的特性に優れる上に、寸法安定性、ウオッシャブル性といったポリエステル特性を有しながら、着用時の熱移動量が大きく、優れた冷感を有する清涼感に優れた織編物を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の清涼感に優れた織編物は、ポリエーテルエステル系化合物を繊維形成性重合体に分散したポリエステルフィラメント糸条を30重量%以上含む織編物であって、かつ該織編物の片面の熱移動量が0.090W/cm以上で、かつ該ポリエステルフィラメント糸条と肌との接触面積が20%以上であることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的特性と清涼感に優れた織編物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート等に代表されるポリエステルは機械的強度、耐候性、耐熱性、寸法安定性などに優れた特性を数多く有しているため、衣料用途や産業用途などを主体に幅広く使用されている。
【0003】
しかしポリエステル繊維はきわめて吸湿性が低いことに加え、熱伝導率が低いため、これを衣服として着用した際、特に夏場では発汗時のムレを感じ、その暑さによる不快感が大きいという問題があった。
【0004】
この問題を改善するために、ポリエステルに冷感性を付与させる目的で、熱伝導率の高い金属を錬り込む、あるいは紡糸後の繊維に金属粉末をコーティングする方法(特許文献1、2参照)が開示されているが、これらの方法では金属粒子による製糸工程でのガイド摩耗等の工程不良が発生しやすいという問題がある。さらに布帛にした際、色彩が含有粒子に左右され鮮明色を得ることが困難である。
【0005】
また、ポリエステル繊維を芯鞘型複合糸とし、鞘部ポリオレフィンのような熱伝導率の高い重合体を配し、芯部の可染性のある重合体が一部繊維表面に露出している繊維を含んだ織編物が提案されている(特許文献3参照)。この織編物は冷感は有するものの、繊維自体の染色性に劣るため、展開用途が限られてしまうとい問題がある。また、エチレン−酢酸ビニル系共重合体のケン化物であるエチレン−酢酸ビニル系共重合体にパラフィンワックスを添加した混合体を他の熱可塑体と複合化した繊維(特許文献4参照)が開示されている。しかしながら、この繊維ではある程度の冷感は得られるものの、繊維自体の強度が弱いために使用方法や展開用途が限定されるものである。
【0006】
このように従来の技術では汎用的に展開可能な優れた冷感を有する織編物を得ることは出来なかった。
【特許文献1】特開昭62−276076号公報の請求項1
【特許文献2】特開平6−264309号公報の請求項1
【特許文献3】特開2002−061049号公報の請求項1〜3
【特許文献4】特開2003−293223号公報の請求項1〜3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、機械的特性に優れる上に、寸法安定性、ウオッシャブル性といったポリエステル特性を有しながら、着用時の熱移動量が大きく、優れた冷感を有する清涼感に優れた織編物を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の清涼感に優れた織編物は、ポリエーテルエステル系化合物を繊維形成性重合体に分散したポリエステルフィラメント糸条を30重量%以上含む織編物であって、かつ該織編物の片面の熱移動量が0.090W/cm以上で、かつ該ポリエステルフィラメント糸条と肌との接触面積が20%以上であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機械的特性に優れ、着用時の接触冷感が高い清涼感に優れた織編物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、前記課題、つまり機械的特性に優れる上に、寸法安定性、ウオッシャブル性といったポリエステル特性を有しながら、着用時の熱移動量が大きく、優れた冷感を有する清涼感に優れた織編物について、鋭意検討し、特定なポリエステルフィラメント糸条からなる織編物を構成し、しかも、該織編物の片面の熱移動量と、該ポリエステルフィラメント糸条と肌との接触面積を特定な範囲にあるものを採用してみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0011】
本発明で使用するポリエステルフィラメント糸条を形成する繊維形成性重合体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステルを採用することができる。汎用性を考慮するとポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルであることが好ましい。また、かかるポリエステルには、無機粒子、カーボンブラック等の顔料のほか抗酸化剤、着色防止剤、帯電防止剤、耐光剤等が添加されていても良く、得られる織編物の熱移動量を大きくするため、熱伝導率の高い酸化チタンもしくは酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどが添加されていることがより好ましい。
【0012】
また、本発明のポリエステルフィラメント糸条を構成する前記繊維形成性重合体に分散して含有させるポリエーテルエステル系化合物とは、同一分子鎖内にエーテル結合とエステル結合を有する共重合体である。具体的にはジカルボン酸とジオールとのポリエステル成分とポリオキシアルキレングリコールからなるポリエーテル成分の共重合体である。また、かかるポリエステルの酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等があげられる。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等があげられる。また、本発明の効果を損なわない範囲でトリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能カルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール如きポリオールを用いても良い。
【0013】
上記ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−または1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ポリヘキサメチレンオキシドグリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドまたはテトラヒドロフランとのランダムまたはブロック共重合等があげられ、特にポリエチレングリコールが好ましい。また、ポリエチレングリコールのポリエーテルエステル化合物に対する共重合量は20〜70重量%が好ましく、より好ましくは20〜40重量%である。共重合比率の上限は製糸性の観点から設定され、下限については接触冷感性から設定される。
【0014】
また、本発明で使用するポリエステルフィラメント糸条においては、かかるポリエーテルエステル系化合物が、前記繊維形成性重合体中に分散された状態で存在することが必要である。かかるポリエーテルエステル系化合物のような親水性成分を繊維形成性重合体中に分散させることで、繊維の吸湿性を向上させることができ、かかる吸湿効果により冷感性能をさらに向上させることができる。
【0015】
かかるポリエーテルエステル系化合物を繊維形成性重合体中に分散させる手段としては、ポリエステルフィラメントの溶融紡糸時に静止混練子を用いるのが好ましい。また、かかるポリエーテルエステル系化合物は、該ポリエステルフィラメント全体の20〜50重量%含有されていることが好ましい。かかる含有率の上限は製糸性の観点から設定され、下限については吸湿特性から設定される。
【0016】
さらに、本発明で使用するポリエステルフィラメント糸条は、アルカリ減量処理を施した場合の強度低下を抑制するために、芯鞘型複合繊維であるのが好ましく、しかも、その芯部にポリエーテルエステル系化合物を分散して含有させた構造、つまり芯鞘複合型ポリエステルフィラメントであることが好ましい。また、かかる芯鞘の複合比率は、重量比で90:10〜50:50とすることが好ましい。
【0017】
かかる芯鞘型複合繊維の断面形状は特に限定するものではなく、丸、三角、四角、扁平断面等が好ましく採用でき、特に限定されるものではない。
【0018】
また、用途展開を広げるために、本発明の織編物は、編物とした際は破裂強力が0.4MPa以上、織物とした際は引裂強力が8.0N以上とすることが好ましい。
【0019】
本発明の織編物は、ポリエーテルエステル系化合物を繊維形成性重合体に分散したポリエステルフィラメント糸条を30重量%以上、好ましくは40重量%以上含むことが必要である。該ポリエステルフィラメント糸条を30重量%以上含むことで、目的の優れた冷感を得ることができるが、30重量%未満では、かかる効果を達成することができない。
【0020】
さらに、本発明の織編物は、前記ポリエステルフィラメント糸条を含んだ織編物片面の熱移動量(q−max)が0.090W/cm以上であることが必要であり、0.100W/cm以上であることがより好ましい。かかる織編物のq−maxが0.090W/cm未満では、着用者が十分に冷感を感じることができない。
【0021】
かかる熱移動量(q−max)は下記の方法により測定したものである。
【0022】
すなわち、カトーテック(株)製精密迅速熱物性測定装置KES−F7(THERMO LABO II TYPE)を使用し、面積9cm、質量9.79gの純銅板(熱容量0.41855J/℃)に熱を蓄え、これが試料測定面に接触した直後、蓄えられた熱量が低温側の試料物体に移動する熱量のピーク値(q−max)を測定し、試験片5枚の平均値を測定値とした。q−maxは、純銅板の初期温度と試料温度の差(ΔT)と接触圧(P)に大きく影響されるため、ΔT=10.0℃、P=980Paとした。
【0023】
本発明の織編物は、織編物を構成する前記ポリエステルフィラメント糸条と肌との接触面積を20%以上とすることが必要である。より好ましくは30&以上である。ここでいう接触面積とは、ある面積の織編物片面のうち、該織編物を肌に接触させたとき、前記ポリエステルフィラメント糸条が実際に肌に触れている面積の割合(%)をいう。
【0024】
かかる接触面積は、下記の方法により測定したものである。
【0025】
すなわち、面積9cm、質量9.79gの純銅板表面にインクを塗布し、接触圧P=980Paで試料表面と接触させた後、試料表面を写真撮影し、インクが付いた本発明のポリエステルフィラメント糸条の総面積を測定し、下記式にしたがって算出したものである。各試料につき5回測定を行い、その平均値を測定値とした。
接触面積=(ポリエステルフィラメント糸条のインク付着部総面積/銅板面積)×100(%)
かかる接触面積と冷感は密接な関係があるが、本発明で使用するポリエステルフィラメント糸条を使用して織編物を得た場合、接触面積を20%以上となるような布帛設計とすることで、十分な冷感を得ることができる。接触面積が20%未満とならなければ、如何なる糸加工方法、織編組織等を採用することができ、特に限定することはないが、組織の種類では、織物であれば、前記ポリエステルフィラメント糸条が片面に出現しやすい平織、ツイル、サテン等が好ましく、編物であれば接触面積を増加する傾向にある天竺、スムース等プレーンな組織が好ましく用いられる。また、本発明の織編物は、目的としている接触冷感性および機械的特性を阻害しない範囲でポリエステルフィラメント糸条以外の繊維を混用することができる。
【0026】
本発明の織編物は、本発明で使用するポリエステルフィラメントを公知の織機、編機で製織、製編することで得られ、得られた生機の熱処理、精練や染色等の加工は通常の加工法に準じて行うことができる。さらに本発明の織編物は、本発明の目的を損なわない範囲内において樹脂加工やタンブラー等の処理による機能加工や風合い出し加工等の加工処理を施すことができる。
【0027】
また、本発明の織編物は、特に用途限定されるものではないが、スポーツ衣料、インナー、裏地、ユニフォーム、一般用紳士・婦人衣料等に好ましく使用されるものである。
【実施例】
【0028】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何等制限されるものではない。なお、本発明における各種測定法は下記の通りである。
(1)ポリエステルの極限粘度
ポリエステル0.8gをオルトクロロフェノール10mlに100℃で溶解し、冷却後、25℃で溶液粘度を測定し、算出した。
(2)織編物片面の熱移動量(q−max)
カトーテック(株)製精密迅速熱物性測定装置KES−F7(THERMO LABO II TYPE)を使用し、面積9cm、質量9.79gの純銅板(熱容量0.41855J/℃)に熱を蓄え、これが試料測定面に接触した直後、蓄えられた熱量が低温側の試料物体に移動する熱量のピーク値(q−max)を測定し、試験片5枚の平均値を測定値とした。q−maxは、純銅板の初期温度と試料温度の差(ΔT)と接触圧(P)に大きく影響されるため、ΔT=10.0℃、P=980Paとした。
(3)接触面積
面積9cm、質量9.79gの純銅板表面にインク(シャチハタ朱肉(エコス))を塗布し、接触圧P=980Paで試料表面と接触させた後、試料表面を写真撮影し、インクが付いた本発明のポリエステルフィラメント糸条の総面積を測定し、下記式にしたがって算出した。各試料につき5回測定を行い、その平均値を測定値とした。
接触面積=(ポリエステルフィラメント糸条のインク付着部総面積/銅板面積)×100(%)
(4)引裂強力
JIS L 1096に規定されている引裂強さ(ペンジュラム法)を採用した。本発明では、エレメンドルフ形引裂試験機を用いて、6.3×10cmの試験片中央で直角に2cmの切れ目を入れ、残りの4.3cmを経方向および緯方向に引き裂いたときに示す荷重強さ(引裂強さ)(N)を測定し、経方向と緯方向の平均値とした。
(5) 破裂強力
JIS L 1018に規定されている破裂強さ(ミューレン形法)を採用し、ミューレン形破裂試験機を用いて、ゴム膜が試験片を突き破った瞬間の圧力を測定し、続いて試験片を取り去ったときのゴム膜の圧力を測定し、両者の差を破裂強力(MPa)とした。
【0029】
(実施例1)
ポリエーテルエステル系化合物は、ポリエステルの酸性分としてテレフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールとしてポリエチレングリコールを用いて重合を行い、ポリエチレングリコールが30wt%共重合されている共重合体を得た。
【0030】
上記ポリエーテルエステル系化合物と、極限粘度0.65で酸化チタン2.2wt%含有したポリエチレンテレフタレートを別々に溶融し、紡糸パック内に組み込んだ10段の静止混練子(東レエンジニアリング社製‘ハイミキサー’(登録商標))を35(ポリエーテルエステル系化合物):65(ポリエチレンテレフタレート)の体積比で通過させ複合繊維の芯成分とし、同じく極限粘度0.65で酸化チタンを2.2wt%含有したポリエチレンテレフタレートが鞘成分、また断面が丸となるように吐出し、紡糸速度1500m/分で未延伸糸を巻き取り、次いで2.5倍で延伸、120℃で熱処理することにより84デシテックス24フィラメントの芯鞘型複合ポリエステルフィラメント糸条を得た。このポリエステルフィラメント糸条の芯鞘複合比率は60:40であった。
【0031】
得られたポリエステルフィラメント糸条のみを用いて、28Gダブル丸編機でスムース編地を編成し、通常のポリエステル編地の染色加工法に準じ、リラックス、精練、染色、乾燥、仕上げセットを行い、目付が163g/mの編地を得た。
【0032】
この編地のポリエステルフィラメント糸条が含まれる割合は100重量%、接触面積は40%、編地片面のq−maxは0.128W/cmと優れた接触冷感を示した。また、編地の破裂強力は0.91MPaと十分な機械的強度を有した編地であった。結果を表1に示す。
【0033】
(実施例2)
実施例1で得られたポリエステルフィラメント糸条のみを用いて、28Gダブル丸編機にて表鹿ノ子組織で編成し、実施例1と同様に、リラックス、精練、染色、乾燥、仕上げセットを行った。
【0034】
この編地のポリエステルフィラメント糸条が含まれる割合は100重量%、接触面積は25%、編地片面のq−maxは0.108W/cmであり良好な接触冷感を示した。編地の破裂強力は0.88MPaと十分な機械的強度を有した編地であった。結果を表1に示す。
【0035】
(実施例3)
28Gダブル丸編機を使用し、実施例1で得られたポリエステルフィラメント糸条と84デシテックス24フィラメントの通常のポリエステルフィラメント糸条を用い構成比が1:2になるようにリバーシブル(表メッシュ、裏フラット)編地を編成した。この編地を実施例1と同様にリラックス、精練、染色、乾燥、仕上げセットを行い、目付が172g/mの編地を得た。
【0036】
この編地のポリエステルフィラメント糸条が含まれる割合は32重量%、接触面積は20%、編地裏面のq−maxは0.102W/cm、編地の破裂強力は0.92MPaであった。結果を表1に示す。
【0037】
(実施例4)
実施例1で得られたポリエステルフィラメント糸条を経糸および緯糸としてエアジェットルームにて平組織で製織し、得られた生機を常法により精練、プレセット、染色、乾燥を行った。
【0038】
この織物のポリエステルフィラメント糸条が含まれる割合は100重量%、接触面積は45%、織物片面のq−maxは0.135W/cmと非常に優れた接触冷感を示した。また、織物の引裂強力は10.0Nであった。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例5)
紡糸口金のみ扁平型吐出孔に変更した以外は、実施例1と同様の紡糸方法、条件で紡糸、延伸を行い、断面が扁平度1.8の扁平芯鞘型のポリエステルマルチフィラメント糸条を得た。このポリエステルフィラメント糸条を実施例4と同様に製織、精練、プレセット、染色、乾燥を行った。
【0040】
この織物のポリエステルフィラメント糸条が含まれる割合は32重量%、接触面積は53%、編地片面のq−maxは0.138W/cmと非常に優れた接触冷感を示した。また、織物の引裂強力は9.7Nであった。結果を表1に示す。
【0041】
(実施例6)
実施例1で得られたポリエーテルエステル系化合物と、極限粘度0.65で酸化チタン2.2wt%含有したポリエチレンテレフタレートを別々に溶融し、実施例1と同一の、紡糸パック内に組み込んだ10段の静止混練子を用い、体積比で20(ポリエーテルエステル系化合物):80(ポリエチレンテレフタレート)となるように通過させ両者をブレンドした後、断面が丸となるように吐出し、紡糸速度1500m/分で未延伸糸を巻き取り、次いで2.5倍で延伸、120℃で熱処理することにより、84デシテックス24フィラメントのポリエステルフィラメント糸条を得た。得られたポリエステルフィラメント糸条を用いて実施例1と同様の方法で編成、染色、仕上げ等を実施し、編地を得た。
【0042】
この編地のポリエステルフィラメント糸条が含まれる割合は100重量%、接触面積は40%、編地裏面のq−maxは0.131W/cm、編地の破裂強力は0.42MPaであった。結果を表1に示す。
【0043】
(比較例1)
84デシテックス24フィラメントの通常のポリエステル(ポリエチレンテレフタレート100%)フィラメント糸条を用いて、実施例1と同様の方法で編成、染色、仕上げ等を実施し、編地を得た。
【0044】
該編地の本発明でいう接触面積は0%で、編地片面のq−maxは0.072W/cmと接触冷感がないものとなった。結果を表1に示す。
【0045】
(比較例2)
実施例1で得られたポリエステルフィラメント糸条のみを用い、28Gダブル丸編機にてメッシュ組織で編成し、実施例1と同様に、リラックス、精練、染色、乾燥、仕上げセットを行った。
【0046】
この編地のポリエステルフィラメント糸条が含まれる割合は100重量%であるが、接触面積は14%と低く、編地片面のq−maxは0.083W/cmと接触冷感が不十分な編地であった。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルエステル系化合物を繊維形成性重合体に分散して含有するポリエステルフィラメント糸条を30重量%以上含む織編物であって、かつ該織編物の片面の熱移動量が0.090W/cm以上で、かつ該ポリエステルフィラメント糸条と肌との接触面積が20%以上であることを特徴とする清涼感に優れた織編物。
【請求項2】
前記ポリエステルフィラメントが、芯鞘型複合繊維であって、その芯部がポリエーテルエステル系化合物を分散して含有する繊維形成性重合体からなるものであることを特徴とする請求項1記載の清涼感に優れた織編物。
【請求項3】
該織編物が、編物であって、その破裂強力が0.4MPa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の清涼感に優れた織編物。
【請求項4】
該織編物が、織物であって、その引裂強力が8.0N以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の清涼感に優れた織編物。

【公開番号】特開2006−77341(P2006−77341A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260811(P2004−260811)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】