説明

減塩梅干の製造法

【課題】
塩分量が低減された減塩梅干、その製造方法、及び減塩梅干を用いた加工食品を提供すること。
【解決手段】
生梅に食塩及びバクテリオシンを添加して梅干を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減塩梅干の製造法、当該方法で製造された梅干および梅干を利用した加工食品に関するものである。より詳しくは、梅干の製造工程にバクテリオシン及び/又はバクテリオシン生産菌を用いることによって塩分濃度を減少させた梅干の製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本人の食卓に欠かすことのできない梅干は、古来より保存食として用いられてきた。伝統的には、生梅・食塩、必要に応じてシソを容器に漬け込み常温で放置することによって製造されている。梅干の工業的製造において、通常問題となる微生物汚染は、カビ、酵母等真菌類によるものである。従って、常温での微生物汚染、特にカビ・酵母による真菌類汚染を避けるため、生梅に対し重量比で23%もの食塩が梅干の製造に使用されている。生梅と食塩を漬け込むと、食塩の浸透作用によって生梅から白梅酢が上がってくる。生梅が白梅酢に漬かった状態で一定期間放置し、晴天日に生梅を土用干により乾燥させ、梅干を製造する。生梅は、毎年6月ごろに収穫されるため、工業的には生梅が白梅酢に漬かっている期間を調整することによって梅干の生産時期を調整することができる。このように生梅の漬け込みに大量の食塩を使用する為、伝統的な製法で作られた梅干の塩分濃度は非常に高いものになっている。しかしながら、近年の健康志向の高まりとともに、消費者は塩分濃度の高い食品を避ける傾向があり、塩分濃度の低い梅干の開発が望まれていた。
【0003】
このような状況に対応し、減塩梅干の製造方法が精力的に検討されてきた。減塩梅干の製造に関しては数多くの検討がなされているが、その方法は大きく2つに分類することができる。
【0004】
減塩梅干の一つ目の製法としては、伝統的な方法で製造した梅干を脱塩処理することにより減塩梅干を製造する方法である。例えば、特許文献1では、「高塩梅干を無塩梅酢に浸漬して減塩し、乾燥後梅粉末のエタノール溶解液に浸漬する方法」が開示されている。また、特許文献2では、「梅干を食酢に漬けて梅干の含有塩分を食酢に置換させることによって梅干の含有塩分を減少させる方法」が開示されている。更には、特許文献3では、「生梅を塩漬けした後天日干しすることによって得た塩梅を、前記塩梅に含まれる塩分の濃度よりも高い濃度の糖分を含むシロップ液に漬け込む方法」が開示されている。これらの方法のように、梅干を脱塩処理すると、塩分とともに梅干の呈味成分が取り除かれる。呈味成分の喪失を防止するために脱塩処理方法に検討したり、或は、喪失した呈味成分を補うために各種調味液が加えられているが、梅干特有の呈味を再現するにはいたっていない。また、梅干特有の呈味成分を梅干単体としてある程度再現することができたとしても、梅干を加工食品例えば梅粥に使用する際には、比較例として後述したように梅干特有の品質を再現することができていない。
【0005】
減塩梅干の2つ目の製法としては、食塩量を低減して生梅を漬け込む方法である。塩分量を低減させると漬け込み中の微生物汚染、特にカビ・酵母をはじめとする真菌類汚染が避けられない。そこで、塩分量を低減しかつ微生物汚染を避けるために様々な方法が提案されている。
【0006】
前述の一つの方法として、梅干の漬け込み容器・方法に改良を加える方法が提案されている。例えば、特許文献4では、「冷蔵庫の中で梅干を漬け込むことによって塩分を普通の梅干の半分以下である9%までに減らした健康梅干」を製造する方法が提案されている。この方法では、低温増殖微生物以外の増殖を抑制することが期待できる。しかしながら、家庭で梅干を漬け込む場合と異なり、工業的には本方法を使用する際には専用の冷蔵設備を導入することが必要となり既存の設備を使用することができない。また、工業的には生梅の白梅酢への浸漬期間を変動させて梅干の製造期間を調整しているため、保存が長期間に及び冷蔵コストがかさみ望ましくない。また、特許文献5では「圧力を制御可能な密閉容器に生梅と食塩を漬け込み、空気の存在しない状態を保持し、適宜の時間間隔をあけて、転倒、倒置、振とうするなどの方法」により減塩梅干を製造する方法が提案されている。この方法は、家庭などでの1kg程度の小規模な製造には適用できるが、工業的に数100kg〜数tに及ぶスケールでの製造を行う際には専用の設備を開発し導入する必要があるため、工業的に既存の設備に適用することは困難である。更には、特許文献6では「低塩梅干“ちづこ”の製造方法」が開示されている。この方法は、生梅を食塩に漬け込む際に、まず2/3量を使用し、残り1/3量は梅の状態を観察しながら使用する。また、腐食を防ぐため絶えず白梅酢を攪拌することにより、生梅が白梅酢に浸漬している状態にする。更には、漬けあがった生梅を土用干しし、1個1個並べて積み重ねるという手間隙かかる方法である。この方法も、やはり小規模な製造には適用できるが、工業的に数100kg〜数tに及ぶスケールでの製造を行う際には適用困難なものである。
【0007】
前述の別の方法として、食塩以外の保存料を使用する方法が提案されている。例えば、特許文献7では、「完熟梅果を、アルコール、ハチミツおよびマルチミネラルバランスクエン酸塩よりなる混合液に漬け込む方法」が開示されている。本方法で製造された梅干は当該明細書に記載されているように適度な甘みが加わっており、梅干本来の呈味を再現していない。
【0008】
ところで、1992年に食品の微生物制御の手段としてバイオプリザベーションを利用しようとする試みがRayらによって提唱された(非特許文献1)。なかでも、バイオプリザバティブとしてバクテリオシンの利用が試みられている。例えば、Lactococcus属やLactobacillus属によって産生されるナイシン(クラスIに属するランチビオティック系のバクテリオシン)は、真菌類に対しては静菌効果を有さないがグラム陽性菌に対して幅広い静菌効果を有することが知られている。特許文献8には、静菌活性を有するStreptococcus lactis培養物をしるこに添加し、フラットサワー菌等耐熱芽胞形成菌を抑制する方法が開示されている。特許文献9には、ナイシンがチーズ、缶詰等の食品の保存に使用され、Clostridum、Streptococci、Staphylococci、Micrococcus、Bacillus(いくつかの種)、Mycobacterium、Lactobacillus、Octinomyces、Erysipelothrixを抑制する旨記載されている。特許文献10には、煮豆の製造においてナイシンを添加し、Bacillusを抑制することが記載されている。しかしながら、後述する本発明のように、ナイシンにより真菌類を抑制する方法については記載はない。
【特許文献1】特開昭57−141243号公報
【特許文献2】特開平4−179436号公報
【特許文献3】特開2000−139395号公報
【特許文献4】特開平11−196809号公報
【特許文献5】特開平10−117678号公報
【特許文献6】特開2001−120176号公報
【特許文献7】特開平9−275894号公報
【特許文献8】特開平5−268975号公報
【特許文献9】特開平5−211859号公報
【特許文献10】特開2003−116477号公報
【非特許文献1】Ray, B. and Daeschel, M. ; Food Preservatives of Microbial Origin , CRC Press 1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、梅干単独で食べても通常の梅干と呈味が同等で、塩分量が低減された減塩梅干及び減塩下においても真菌類の増殖が制御される、工業的にスケールアップ可能な減塩梅干の製造方法を提供することを目的とする。更には、前述の方法で製造された梅干を用いた加工食品を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、梅干の製造にバクテリオシンを用いることによって、通常減塩梅干で問題となる真菌類の増殖が抑えられ、常温で特別な容器を使用することなく減塩梅干を製造できることを見出した。また、このようにして製造された減塩梅干は梅干本来の呈味を有しており、梅粥等の加工食品に用いることができる。この結果は、梅干を減塩化する場合に問題となる真菌類を、グラム陽性菌に対して静菌効果を有するバクテリオシンによって、抑制できるという驚くべきものであった。本発明は詳細には以下の通りである。
【0011】
(1)生梅に食塩及びバクテリオシンを添加することを特徴とする梅干の製造方法。
(2)食塩の添加量が生梅に対し8重量%以上15重量%以下である(1)記載の製造方法。
(3)バクテリオシンがグラム陽性菌に対して静菌効果を有するものである(1)及び(2)記載の製造方法。
(4)バクテリオシンがナイシンである(1)乃至(3)記載の製造方法。
(5)(1)乃至(4)記載の方法で製造された梅干。
(6)(5)記載の梅干を用いた加工食品。
(7)(5)記載の梅干を用いた粥。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、真菌類の汚染を受けず、工業的にスケールアップ可能な新規な減塩梅干の製造方法が提供される。当該方法によって製造された減塩梅干は、官能面において従来の梅干と同等の品質を有するため、梅干それ自体で食するだけでなく、幅広く加工食品に使用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において用いる生梅は、通常梅干の製造に用いられるものであれば問題なく用いることができる。青梅、南高梅など特に品種を問わないが、幅広く梅干の原料として使用されている南高梅が消費者の嗜好から望ましい。また、本発明において用いる生梅の大きさも特に問わない。L玉、2L玉、3L玉、4L玉など用いる加工食品の用途に合わせて選択すればよい。
【0014】
使用するバクテリオシンは、食塩と併用することによって梅干の製造における微生物汚染を防止することができるものであれば特に制限されない。真菌類に直接作用するものでもよいし、細菌類に作用し、真菌類の増殖が困難な環境を創出し間接的に真菌類の増殖を抑制するものであってもよい。後者の例として、グラム陽性菌に作用するバクテリオシンを上げることができる。グラム陽性菌に作用するバクテリオシンとしては、ナイシン、ラクティシン、ペディオシン、サカシン、ヌカシンなどがあり、中でも、ナイシンは世界各国で食品添加物として認可されていることから市場の受容性から考えても好ましい。なお、ナイシンのようにナイシンA、ナイシンZ、ナイシンQなど類縁体を有するものもあるが、使用する類縁体は直接効果・間接効果を問わず梅干の製造工程における真菌類の増殖を抑制できるものである限り特に制限されない。バクテリオシンの至適添加量は、その種類によって異なるが、多ければ多いほど望ましい。しかし、その添加量は、真菌類の増殖を抑制できる限り特に制限されない。例えば、ナイシンの場合は、生梅の重量1gに対し10〜10,000IU、望ましくは100〜10,000IU、より望ましくは1,000〜10,000IU用いればよい。併用する食塩の量は、バクテリオシンの種類によって決定すればよい。一般に、食塩量と耐塩性微生物の静菌領域の関係および梅干を加工食品に用いる際の至適塩分量から考えて、生梅に対して6〜21重量%、好ましくは8〜21重量%、より好ましくは8〜15重量%、更に好ましくは10〜15重量%であればよい。食塩の量が6重量%未満であると微生物汚染の防止は難しく、21重量%を超えると、通常の梅干と比較して減塩量が顕著ではない。
【0015】
使用するバクテリオシンの形態は、食塩と併用することによって梅干の製造における微生物汚染を防止することができる限り特に制限されない。バクテリオシン生産菌を培養して、バクテリオシンを培養液中に生産させた後、加熱等の処理によって菌体を死滅させた発酵液、或いは菌体を分離した発酵液を使用してもよいし、当該発酵液を膜濃縮したものや、粉末化したものであってもよい。また、バクテリオシン生産菌として非耐塩性の微生物や添加した食塩によって死滅する微生物を用いる場合は、菌体を除去又は死滅させていない培養液を用いることができる。このような微生物の例として、ナイシンを生産するLactococcus lactisを例示することができる。
【0016】
上記方法で製造された減塩梅干は、梅干を使用する加工食品に幅広く使用することができる。加工食品の1例として、おにぎり、梅粥等の米飯食品、いわしの梅干煮などをあげることができる。
【0017】
以下本発明を実施例に基づき説明する。なお、本発明は以下実施例になんら限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
(ナイシン粉末の調製)
ナイシンZを含有するラクティスエイドDL7溶液(オウム乳業製、ナイシン活性7,000IU/ml)480Lを常法に従い、CPスケールUFモジュール(SAP−3013:分画分子量4,000Da)を用い、25Lまで濃縮し、次にBPスケールUFモジュール(SAP−1013:分画分子量4,000Da)を用い、15Lまで濃縮した後、凍結乾燥することにより、260万IU/gの抗菌活性を有するナイシンZ粉末を調製した。ナイシンZ活性は、HPLCによる定量及びバイオアッセイ(Appl. Microbiol. Biotechnol. (1996) 45:36−40 A. Ishizaki et al.)により調べた。
【0019】
(減塩梅干の製造:精製ナイシンでの検討)
熟し薄い黄色をした南高梅(L玉)1kgを蒸留水でよく洗浄した。次に、食塩(「瀬戸のほんじお」味の素製)を230g、150g、120g、100g、又は80gを用いて生梅を市販の梅干用容器に漬け込んだ。この際、実施例1で調製したナイシン粉末500mgを「瀬戸のほんじお」と混合し生梅全体にいきわたるように混合したナイシン添加区も同様の食塩量で検討した。2.5kgの重しを使用し、室温(25℃)で放置した。漬け込みは使用した南高梅が食塩水中に浸漬するように行った。漬け込み10日目、30日目の白梅酢中の微生物菌叢を調べたところ、ナイシン添加区では真菌類は検出されなかった。一方、ナイシン非添加区では120、100、80gの食塩添加区で真菌類が検出された。
【0020】
次に、漬け込み30日目の南高梅の土用干しを行った。土用干しは、通常の場合と同じく、晴天が4日ほど続く日を見極めて、3日3晩行った。日中、1〜2度梅の上下を返し、夜は雨に当てないために室内に取り込んだ。本梅干の微生物菌叢を調べたところ、ナイシン添加区では真菌類は検出されなかった。一方、ナイシン非添加区では、120、100、80gの食塩添加区で真菌類(酵母)が検出された。
【0021】
前述の工程で製造した梅干の保存性試験を行った。室温(25℃)で、3ヶ月間保存し、梅干の微生物菌叢を調べたところ、ナイシン添加区では、真菌類は検出されなかった。一方、ナイシン非添加区では、120、100、80gの食塩添加区では目視で真菌類(カビ)が検出された。これらの結果より、ナイシン添加によって真菌類汚染を抑制し、減塩梅干の製造が可能なことが確認された。ナイシンは真菌類に直接作用しないことから、ナイシン添加によって、微生物菌叢が変化し、真菌類が増殖困難な環境が形成された結果、減塩梅干の製造が可能になった為と推定された。
【実施例2】
【0022】
(減塩梅干:梅の大きさの検討)
次に、梅の大きさによる影響を検討した。南高梅L玉、2L玉、3L玉、4L玉を用い、ナイシン添加区で120、100、80gの食塩添加区での梅の漬け込み、土用干し、保存性試験を実施例1と同様の条件で実施した。前述の結果と同じく、ナイシン添加によって真菌類の増殖を抑制することができた。この結果より、梅の大きさによらず、効果があることが確認された。
【実施例3】
【0023】
(減塩梅干:ナイシン培養液での検討)
次に、精製ナイシンの代わりに、ナイシン培養液での検討を行った。ナイシン培養液は、Lactococcus lactis AJ110212 (FERM BP-8552)株を0.5%の酵母エキス、0.5%の塩化ナトリウム、3%のグルコース、1.5%のカルシウムを含有する培地を用いて30℃で培養することにより調整した(ナイシン活性:約11,000IU/ml)。本培養液100mlをナイシン粉末の代わりに用いた。
ナイシン添加区で、120、100、80gの食塩添加区での梅の漬け込み、土用干し、保存性試験を実施例1と同様の条件で実施した。前述の結果と同じく、ナイシン培養液の添加によって真菌類の増殖を抑制することができた。この結果より、ナイシン源の種類によらず、効果があることが確認された。
【実施例4】
【0024】
(梅粥系での評価)
次に、上記方法で製造した梅干を加工食品系で官能評価を行った。食塩を23%添加して製造した梅干と、生梅に対し10重量%の食塩とナイシンを添加して製造した梅干(実施例1記載)を用いて、梅粥を調理した。梅粥は、梅干8gに対してコシヒカリが約30gになるような割合で加え、通常の方法と同様に調理した。なお、塩分濃度を調整する目的でナイシンを利用した減塩梅干を使用する際には、差分の塩分を添加して調理した。出来上がった梅粥を2点識別法にて官能差を感じるか否か、熟練した20名のパネラーで実施した。その結果、17名が官能差を感じなかった。本結果より、梅粥系において、ナイシンを利用した梅干は通常の梅干と同等の官能品質を有することが確認された(優位水準1%で官能品質同等。「統計的官能検査法」東洋経済印刷株式会社出版 による。ISBN 4-8171-9011-6)。
[比較例1]
【0025】
(減塩梅干の梅粥系での評価:特開昭57−141243記載の手法使用)
実施例1で23%の食塩を添加して製造した梅干、及びその生梅の漬け込み工程の副産物である白梅酢を用いた。まず、白梅酢を電解透析により脱塩し、無塩梅酢を調整した。次に、特開昭57−141243記載の方法により梅粉末のエタノール溶解液を調整した。梅干100gを200mlの無塩梅酢に14時間浸漬した。これを梅粉末エタノール溶解液に1時間浸漬することにより、減塩梅干を製造した。
次に、実施例4の場合と同様に、実施例1の23%の食塩添加区で製造した梅干と上述の方法で調整した減塩梅干を用いて梅粥を調理した。熟練した20名のパネラーにより官能評価を行った結果、全員が両者に官能差を感じた。このことより、本手法で製造した減塩梅干は加工食品系において、同等の官能品質を有さないことが確認された。
[比較例2]
【0026】
(減塩梅干の梅粥系での評価:特開平4-179436記載の手法使用)
実施例1で23%の食塩を添加して製造した梅干100gを250mlの食酢に8時間浸漬することにより減塩梅干を製造した。
次に、実施例4の場合と同様に、実施例1の23%の食塩添加区で製造した梅干と上述の方法で調整した減塩梅干を用いて梅粥を調理した。熟練した20名のパネラーにより官能評価を行った結果、全員が両者に官能差を感じた。このことより、本手法で製造した減塩梅干は加工食品系において、同等の官能品質を有さないことが確認された。
[比較例3]
【0027】
(減塩梅干の梅粥系での評価:特開2000−139395記載の手法使用)
実施例1で23%の食塩を添加して製造した梅干100gを300mlのシロップ液A(氷砂糖を水に溶解させ、糖分濃度を40重量%に調整した液体)に漬け込み30日間放置した。その後、梅干を取り出し、シロップ液B(シロップ液Aと蜂蜜を2:1の比率で混合した液体)に漬け込み30日間放置した。このようにして減塩梅干を製造した。次に、実施例4の場合と同様に、実施例1の23%の食塩添加区で製造した梅干と上述の方法で調整した減塩梅干を用いて梅粥を調理した。熟練した20名のパネラーにより官能評価を行った結果、全員が両者に官能差を感じた。このことより、本手法で製造した減塩梅干は加工食品系において、同等の官能品質を有さないことが確認された。




























【特許請求の範囲】
【請求項1】
生梅に食塩及びバクテリオシンを添加することを特徴とする梅干の製造方法。
【請求項2】
食塩の添加量が生梅に対し8重量%以上15重量%以下である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
バクテリオシンがグラム陽性菌に対して静菌効果を有するものである請求項1及び2記載の製造方法。
【請求項4】
バクテリオシンがナイシンである請求項1乃至3記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の方法で製造された梅干。
【請求項6】
請求項5記載の梅干を用いた加工食品。
【請求項7】
請求項5記載の梅干を用いた粥。



【公開番号】特開2006−141201(P2006−141201A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318318(P2004−318318)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】