説明

減衰器

【課題】減衰量の周波数依存性を改善することができる減衰器を提供すること。
【解決手段】減衰器10は、FET11〜13、インダクタ14及び15、抵抗16、入力端子17、出力端子18を備え、入力端子17には、FET11のドレイン電極と、FET12のドレイン電極と、インダクタ14の一方端とが接続され、出力端子18には、FET11のソース電極と、FET13のドレイン電極と、インダクタ15の一方端とが接続され、FET11のドレイン電極とソース電極との間にインダクタ14と、抵抗16と、インダクタ15とが直列に接続された構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、マイクロ波帯やミリ波帯の周波数信号を扱う無線通信機や測定装置で用いられる減衰器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の減衰器として、電界効果トランジスタ(以下「FET」という。)をπ型又はT型に接続した減衰器が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。FETで構成された減衰器は、例えば、図4(a)に示すようなπ型構成の固定減衰器30の抵抗31〜33をFETや、FETと抵抗とを組み合わせた素子にそれぞれ置き換えたものである。
【0003】
FETによるπ型構成の減衰器の回路例を図4(b)〜(d)に示す。図4(b)は、抵抗31〜33をFET34〜36にそれぞれ置き換えたものを示す。図4(c)は、図4(b)の構成に加えて、FET34のソース電極とドレイン電極との間に抵抗37を接続したものを示す。図4(d)は、図4(c)の構成に加えて、FET35及び36のソース電極又はドレイン電極とグランドとの間に抵抗38及び39をそれぞれ接続した構成を示している。
【0004】
ところで、FETは、ゲート電極に印加する電圧によって、ソース電極とドレイン電極との間のインピーダンスが変化するようになっている。例えば、D(Depletion)モードで動作するFETにおいては、図5(a)に示すように、ゲート電圧Vc=0[V]のときFETはオン状態となり、抵抗性の低インピーダンス状態となる。オン状態のFETは等価的に低抵抗RONで表現することができる。また、ゲート電圧Vcがピンチオフ電圧Vp以下(Vc≦Vp)のときFETはオフ状態となり、容量性の高インピーダンス状態となる。オフ状態のFETは等価的に高抵抗ROFFと寄生容量COFFとを並列接続した回路で表現することができる。
【0005】
したがって、図4(b)〜(d)において、FET34にゲート電圧Vc2=0[V]を印加し、FET35及び36にゲート電圧Vc1<Vp[V]を印加した場合は低減衰状態の減衰器となる。また、FET35及び36にゲート電圧Vc1=0[V]を印加し、FET34にゲート電圧Vc2<Vp[V]を印加した場合は高減衰状態の減衰器となる。
【0006】
具体的には、例えば、図4(b)に示した従来の減衰器は、低減衰状態及び高減衰状態において、それぞれ、図5(b)及び(c)に示す等価回路で表される。
【0007】
すなわち、図5(b)に示すように、低減衰状態の等価回路は、FET34は抵抗R34ONに、FET35は抵抗R35OFFと寄生容量C35OFFとの並列回路に、FET36は抵抗R36OFFと寄生容量C36OFFとの並列回路に、それぞれ、置き換えられたものとなる。
【0008】
また、図5(c)に示すように、高減衰状態の等価回路は、FET34は抵抗R34OFFと寄生容量C34OFFとの並列回路に、FET35は抵抗R35ONに、FET36は抵抗R36ONに、それぞれ、置き換えられたものとなる。
【0009】
その結果、従来の減衰器は、図6に示すような、低減衰状態及び高減衰状態における通過特性(S21)の周波数特性と、低減衰状態の通過特性(S21)と高減衰状態の通過特性(S21)との差である減衰量の周波数特性とを有するものとなる。なお、図6に示した特性は、図4(c)において、FET35及び36は同じ構造のFETを使用し、FET34は、そのゲート電極の幅を、FET35及び36のゲート電極の幅の4倍にしたものを使用し、抵抗37を30[Ω]としたときのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3362931号公報
【特許文献2】特開平9−135102号公報
【特許文献3】特開平10−41774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図6に示したように、従来の減衰器では、周波数が高くなるに従って、寄生容量C34OFFの影響を受けて寄生容量C34OFFと抵抗R34OFFからなる並列回路のインピーダンスが低くなるため減衰量が低下するという課題があった。すなわち、従来の減衰器は、減衰量が周波数に依存するという課題があった。
【0012】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、減衰量の周波数依存性を改善することができる減衰器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の減衰器は、第1、第2及び第3の電界効果トランジスタを備え、前記第2の電界効果トランジスタのドレイン電極及びソース電極のいずれか一方と、前記第3の電界効果トランジスタのドレイン電極及びソース電極のいずれか一方とが、それぞれ、前記第1の電界効果トランジスタのドレイン電極とソース電極とに接続され、前記第2の電界効果トランジスタのドレイン電極及びソース電極のいずれか他方と、前記第3の電界効果トランジスタのドレイン電極及びソース電極のいずれか他方とがそれぞれ接地された減衰器において、前記第1の電界効果トランジスタのドレイン電極とソース電極との間に、インダクタンス成分を有する素子が接続された構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の減衰器は、第1の電界効果トランジスタのドレイン電極とソース電極との間に、インダクタンス成分を有する素子が接続されているので、第1の電界効果トランジスタの寄生容量と、インダクタンス成分を有する素子とが並列に接続されたものとなる。その結果、本発明の減衰器は、周波数が高くなるに従って第1の電界効果トランジスタの寄生容量のインピーダンスが小さくなっても、インダクタンス成分を有する素子のインピーダンスが大きくなるので、寄生容量による周波数特性の変化を補償することができる。したがって、本発明の減衰器は、減衰量の周波数依存性を改善することができる。
【0015】
また、本発明の減衰器は、前記第1の電界効果トランジスタのドレイン電極とソース電極との間に、前記インダクタンス成分を有する素子と、抵抗と、前記インダクタンス成分を有する素子とが順次直列に接続された構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の減衰器は、第1の電界効果トランジスタのドレイン電極とソース電極との間のインピーダンスと、抵抗とにより減衰量を定めることができる。
【0017】
また、この構成により、本発明の減衰器は、回路が入出力対称であるため入出力のインピーダンスを一致させることができて好ましい。
【0018】
さらに、本発明の減衰器は、前記インダクタンス成分を有する素子が、伝送線路で形成されたものであってもよい。
【0019】
この構成により、本発明の減衰器は、誘電体の基板上に形成された伝送線路によって、インダクタンス成分を有する素子を形成することができるので、容易な構造及び低コストで、減衰量の周波数依存性を改善することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、減衰量の周波数依存性を改善することができるという効果を有する減衰器を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る減衰器の一実施形態における構成と、低減衰状態及び高減衰状態における等価回路とを示す図
【図2】本発明に係る減衰器の一実施形態における通過特性及び減衰量を示す図
【図3】本発明に係る減衰器の他の態様における構成を示す図
【図4】従来の減衰器の構成を示す図
【図5】従来の減衰器の低減衰状態及び高減衰状態の等価回路を示す図
【図6】従来の減衰器の通過特性及び減衰量を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0023】
まず、本発明に係る減衰器の一実施形態における構成について説明する。
【0024】
図1(a)に示すように、本実施形態における減衰器10は、FET11〜13、インダクタ14及び15、抵抗16、入力端子17、出力端子18を備え、例えば、誘電体基板上に形成される。
【0025】
入力端子17には、FET11のドレイン電極と、FET12のドレイン電極と、インダクタ14の一方端とが接続され、FET12のソース電極は接地されている。また、出力端子18には、FET11のソース電極と、FET13のドレイン電極と、インダクタ15の一方端とが接続され、FET13のソース電極は接地されている。なお、FET11〜13のドレイン電極とソース電極とが、それぞれ、図1(a)に示したものに対して入れ替わってもよい。
【0026】
さらに、FET11のドレイン電極とソース電極との間には、2つのインダクタ14及び15と、インダクタ14の他方端とインダクタ15の他方端とに接続された抵抗16とが設けられている。なお、入力端子17から出力端子18に向かって、順に、インダクタ14、抵抗16、インダクタ15が直列に接続された構成となっているが、この構成を以下「インダクタ14、15及び抵抗16」と記す。
【0027】
以上の構成において、FET11、12及び13は、それぞれ、本発明に係る第1、第2及び第3のFETを構成する。また、インダクタ14及び15は、本発明に係るインダクタンス成分を有する素子を構成する。
【0028】
FET11〜13は、それぞれ、例えば、Dモードで動作するFETで構成され、ゲート電極に印加するゲート電圧によって、ソース電極とドレイン電極との間のインピーダンスが変化するようになっている。具体的には、FET11〜13は、それぞれ、ゲート電圧Vc=0[V]のときオン状態となり、オン状態の各FETは等価的に低抵抗RONに置き換えることができるようになっている。また、FET11〜13は、それぞれ、ゲート電圧Vcがピンチオフ電圧Vp[V]以下のときオフ状態となり、オフ状態の各FETは等価的に高抵抗ROFFと寄生容量COFFとを並列接続した回路に置き換えることができるようになっている。
【0029】
ここで、低抵抗RON、高抵抗ROFF、寄生容量COFFは、各FETの構造、例えば、各FETのゲート電極の幅に応じて決まる値である。各FETのゲート電極の幅が広くなるほど、低抵抗RON及び高抵抗ROFFは小さくなり、寄生容量COFFは大きくなる。したがって、低抵抗RON、高抵抗ROFF、寄生容量COFFの値が使用周波数において所望の値になるよう、各FETのゲート電極の幅を予め決めるのが好ましい。
【0030】
インダクタ14及び15は、例えば、銅線等の導体をスパイラル(渦巻き)状に巻いた空心インダクタ、又は伝送線路で形成されたインダクタ、あるいは誘電体の基板上に薄膜導体パターンを角形や丸形のスパイラル状に形成した薄膜スパイラルインダクタ等で構成される。特に、減衰器10を準ミリ波帯又はミリ波帯の周波数で使用する場合は、インダクタ14及び15をマイクロストリップ線路やコプレーナ線路などの伝送線路に置き換えることができる。
【0031】
次に、減衰器10の等価回路を図1(b)及び(c)に示す。
【0032】
図1(b)は、FET11にゲート電圧Vc4=0[V]が印加され、FET12及び13にゲート電圧Vc3<Vp[V]がそれぞれ印加されたときの等価回路を示している。すなわち、図1(b)は、FET11がオン状態、FET12及び13がオフ状態にあり、減衰器10の低減衰状態における等価回路を示している。
【0033】
図1(b)に示すように、減衰器10の低減衰状態における等価回路は、FET11が置き換えられた抵抗R11ONと、FET12が置き換えられた抵抗R12OFF及び寄生容量C12OFFの並列回路と、FET13が置き換えられた抵抗R13OFF及び寄生容量C13OFFの並列回路と、抵抗R11ONの両端に接続されたインダクタ14、15及び抵抗16とで構成されている。
【0034】
また、図1(c)は、FET11にゲート電圧Vc4<Vp[V]が印加され、FET12及び13にゲート電圧Vc3=0[V]がそれぞれ印加されたときの等価回路を示している。すなわち、図1(c)は、FET11がオフ状態、FET12及び13がオン状態にあり、減衰器10の高減衰状態における等価回路を示している。
【0035】
図1(c)に示すように、減衰器10の高減衰状態における等価回路は、FET11が置き換えられた抵抗R11OFF及び寄生容量C11OFFの並列回路と、FET12が置き換えられた抵抗R12ONと、FET13が置き換えられた抵抗R13ONと、抵抗R11OFF及び寄生容量C11OFFの並列回路の両端に接続されたインダクタ14、15及び抵抗16とで構成されている。
【0036】
次に、本実施形態における減衰器10の動作について図1(a)〜(c)を用いて説明する。なお、以下の説明において、FET11と、インダクタ14、15及び抵抗16との並列回路を「直列素子側」といい、FET12及び13を「並列素子側」という。
【0037】
まず、FET11にゲート電圧Vc4=0[V]を印加し、FET12及び13にゲート電圧Vc3<Vp[V]をそれぞれ印加すると、FET11がオン状態、FET12及び13がオフ状態となり、減衰器10は低減衰状態となる。
【0038】
低減衰状態の減衰器10において、直列素子側では、周波数が高くなるとインダクタ14及び15のインピーダンスは大きくなるが、抵抗R11ONは低抵抗であり、インダクタ14、15及び抵抗16を直列に接続した回路のインピーダンスに比べ十分に小さい値であれば直列素子全体のインピーダンスに与える影響は小さい。一方、並列素子側では、周波数が高くなると寄生容量C12OFF及びC13OFFによってインピーダンスは小さくなる。
【0039】
次に、FET11にゲート電圧Vc4<Vp[V]を印加し、FET12及び13にゲート電圧Vc3=0[V]をそれぞれ印加すると、FET11がオフ状態、FET12及び13がオン状態となり、減衰器10は高減衰状態となる。
【0040】
高減衰状態の減衰器10において、直列素子側では、周波数が高くなるとFET11の寄生容量C11OFFのインピーダンスは小さくなるが、インダクタ14及び15のインピーダンスは大きくなる。一方、並列素子側では、抵抗R12ON及び抵抗R13ONは低抵抗になるのでFET12及び13の寄生容量の影響は小さい。
【0041】
したがって、インダクタ14及び15のインダクタンスを、例えば、シミュレーションや実験等の結果に基づいて、寄生容量C11OFFのインピーダンス変化をインダクタ14及び15のインピーダンス変化が所望値だけ打ち消すよう適切に設定することにより、直列素子側全体のインピーダンスの周波数特性を所望の特性に変化させ、減衰器10の減衰量を周波数に依存しない一定値とすることができる。
【0042】
次に、図2に基づき、本実施形態における減衰器10の特性に関するシミュレーション結果について説明する。
【0043】
図2は、減衰器10の低減衰状態及び高減衰状態における通過特性(S21)の周波数特性と、減衰量の周波数特性とを示している。ここで、S21とは、散乱行列(Scattering Matrix)における通過特性を示すSパラメータをいう。また、減衰量とは、低減衰状態の通過特性(S21)と高減衰状態の通過特性(S21)との差をいう。
【0044】
図2に示した特性は、図6に示した特性を有する従来のものと同様のFET構造としたときのものである。すなわち、FET12と13とが同じ構造のFETであり、FET11として、そのゲート電極の幅を、FET12及び13のゲート電極の幅の4倍にしたものを使用したときのものである。また、インダクタ14及び15のインダクタンスをそれぞれ0.035[nH]、抵抗16を30[Ω]としたものである。
【0045】
図2に示すように、本実施形態における低減衰状態での通過特性(S21)は、従来の特性(図6参照)と比較して、ほぼ同等な周波数特性である。これは、本実施形態における直列素子側では、周波数が高くなるとインダクタ14及び15のインピーダンスは大きくなるが、抵抗R11ONは低抵抗であり、インダクタ14、15及び抵抗16を直列に接続した回路のインピーダンスに比べ十分に小さい値であって、直列素子側のインピーダンスに与える影響は小さいためである。
【0046】
一方、本実施形態における高減衰状態での通過特性(S21)は、周波数が高くなっても、従来のものほど通過量が小さくなっていない。これは、本実施形態における直列素子側では、周波数が高くなるとFET11の寄生容量C11OFFのインピーダンスは小さくなるが、インダクタ14及び15のインピーダンスが大きくなるので、周波数特性の変化を補償できるからである。
【0047】
前述のように、低減衰状態での通過特性(S21)と高減衰状態での通過特性(S21)との差より、本実施形態における減衰器10の減衰量は、0〜50[GHz]の周波数範囲において、ほぼ平坦な周波数特性となっている。
【0048】
以上のように、本実施形態における減衰器10によれば、FET11のドレイン電極とソース電極との間に、インダクタ14及び15を備える構成としたので、周波数が高くなるに従ってFET11の寄生容量のインピーダンスが小さくなっても、インダクタ14及び15のインピーダンスが大きくなるので、周波数特性の変化を補償することができる。したがって、本実施形態における減衰器10は、減衰量の周波数依存性を改善することができる。
【0049】
また、従来の減衰器では減衰量が周波数に依存するため、周波数の高低によって信号レベルが変化するので、従来の減衰器を備えた無線通信機では、無線通信品質の劣化、例えば、BER(Bit Error Rate)特性が劣化することがあった。これに対し、本実施形態における減衰器10によれば、減衰量の周波数依存性を改善することができるので、無線通信品質を改善することができる。
【0050】
また、従来の減衰器では減衰量が周波数に依存するため、例えば、10[GHz]及び40[GHz]の高周波信号を扱う無線通信機には、10[GHz]と40[GHz]とでそれぞれ別個の減衰器を用いる構成のものがあった。これに対し、本実施形態における減衰器10によれば、1つの減衰器を備える構成でよいので、回路規模の縮小化や製造コストの低減化を図ることができる。この効果は、無線通信機よりも一般に広範な周波数信号を扱う測定装置において、一層顕著となる。
【0051】
また、従来の減衰器には、比較的高い周波数まで寄生容量を小さく抑えた高周波数帯用のFETを採用したものがあるが、製造コストが増大してしまう。これに対し、本実施形態における減衰器10によれば、減衰量の周波数依存性を改善することができるので、比較的安価な低周波数帯用のFETを用いて構成することにより、製造コストの低減化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態における減衰器10によれば、FET11のドレイン電極とソース電極との間に、インダクタ14と、抵抗16と、インダクタ15とを順次直列に接続する構成としたので、FET11のドレイン電極とソース電極との間のインピーダンスの周波数特性を所望の値とすることができるとともに、入出力のインピーダンスを一致させることができて好ましい。
【0053】
また、本実施形態における減衰器10によれば、インダクタ14及び15を、誘電体の基板上に設けられた伝送線路によって形成することができるので、簡単な構造及び低コストで、減衰量の周波数依存性を改善することができる。
【0054】
なお、前述の実施形態において、FET11のドレイン電極とソース電極との間に、2つのインダクタ14及び15と、抵抗16とを備える構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、FET11のドレイン電極とソース電極との間に、1つのインダクタ14と、抵抗16とを備える構成としてもよい。また、例えば、FET11のドレイン電極とソース電極との間に、インダクタンス成分を有する素子のみを設ける構成としてもよい。
【0055】
また、例えば、前述の実施形態における減衰器10を2つ以上設け、減衰量が互いに異なる複数段のステップ減衰器を構成することにより、所望の減衰量が得られる構成とすることもできる。
【0056】
次に、本実施形態における減衰器10の他の態様について説明する。図3に示す減衰器20は、前述の減衰器10(図1(a)参照)と比較して、抵抗21及び22を備えている点が異なっている。すなわち、減衰器20は、FET12のソース電極とグランドとの間に抵抗21を備え、FET13のソース電極とグランドとの間に抵抗22を備えたものである。
【0057】
この構成により、減衰器20は、抵抗21及び22の値に応じて、所望の減衰量の周波数特性が得られることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明に係る減衰器は、減衰量の周波数依存性を改善することができるという効果を有し、マイクロ波帯やミリ波帯の周波数信号を扱う無線通信機や測定装置等で用いられる減衰器として有用である。
【符号の説明】
【0059】
10、20 減衰器
11 FET(第1の電界効果トランジスタ)
12 FET(第2の電界効果トランジスタ)
13 FET(第3の電界効果トランジスタ)
14、15 インダクタ(インダクタンス成分を有する素子)
16、21、22 抵抗
17 入力端子
18 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2及び第3の電界効果トランジスタを備え、前記第2の電界効果トランジスタのドレイン電極及びソース電極のいずれか一方と、前記第3の電界効果トランジスタのドレイン電極及びソース電極のいずれか一方とが、それぞれ、前記第1の電界効果トランジスタのドレイン電極とソース電極とに接続され、前記第2の電界効果トランジスタのドレイン電極及びソース電極のいずれか他方と、前記第3の電界効果トランジスタのドレイン電極及びソース電極のいずれか他方とがそれぞれ接地された減衰器において、
前記第1の電界効果トランジスタのドレイン電極とソース電極との間に、インダクタンス成分を有する素子が接続されたことを特徴とする減衰器。
【請求項2】
前記第1の電界効果トランジスタのドレイン電極とソース電極との間に、前記インダクタンス成分を有する素子と、抵抗と、前記インダクタンス成分を有する素子とが順次直列に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の減衰器。
【請求項3】
前記インダクタンス成分を有する素子は、伝送線路で形成されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の減衰器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−223390(P2011−223390A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91456(P2010−91456)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度、総務省、電波資源拡大のための研究開発における委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】