説明

減衰要素

減衰要素は、頭部分、首部分および土台部分を備える。首部分は、頭部分と比較して細く、隣接する減衰要素の首部分が連続的な流路を形成する。この流路は、上記頭部分を介して、頭部分の断面積が土台部分の断面積よりも小さくなるように連結される。このようにして、水制御構造体、音減衰壁などを提供することができる。かかる減衰要素は、それらを垂直に分割し、垂直部品のそれぞれをコンクリートから金型にて製造することにより、非常に簡易な方法で製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は減衰要素に関する。
【0002】
このタイプの減衰要素は、例えば堤防などの水制御構造体に対する波の作用を減衰するために使用可能である。さらに、本発明による減衰要素は、音波の減衰に使用することもでき、複数の減衰要素によって音の減衰障壁または減衰壁が形成される。減衰要素によって、例えば大量の水の除去など、波動エネルギーを減衰する他の可能性を実現することも可能である。
【背景技術】
【0003】
従来技術では、堤防(dyke)用の減衰要素として、互いに接して配置された一連のブロックが使用され、これらのブロックの上側表面はほぼ隣接する形で配置されてきた。これは、上面に水を移動させることができる開口を設けることによって改良できることがわかっている。その結果、堤防に流れる水の流れが途絶され、減衰作用が高められる。
【0004】
しかしながら、従来技術におけるこの改良は、対応して高い製造コストを伴う極めて複雑な要素を必要とする。
【0005】
特許文献1に、共通の土台部分を有する減衰要素の連続物からなる減衰要素組立体が開示されている。かかる構造は設置が非常に困難であり、もちろん手作業で扱うことはできず、堤防本体または他の壁など下にある本体の形状を変更する余地がない。土台部分が共通のため、堤防の残りの部分と相互作用することが無い。
【0006】
特許文献2に、互いに順番に接して配置された狭まった部分と大きくなった部分とを有する複数の要素からなる沿岸防御システムが開示されている。このシステムにより堤防本体の形状に合わせることは可能になるが、さらなる減衰は例え可能であるとしても限られたものとなる。かかる構造は資材の浸食防止にのみ適している。
【0007】
この種の全ての構造体は、非常に重いため手作業で簡単に設置することができず、さらに、コンクリート材料から製造するのが非常に困難であるという欠点を有する。より詳細には、そういった構造体は、非常に複雑な金型を必要とし、その結果高速で大規模にかつ比較的低いコストで製造することができない。
【0008】
特許文献3に、植物で埋め尽くされる空洞を備え、河岸で使用可能な生態学的ブロックが開示されている。このブロックはほぼ矩形をしており、第1の実施形態では両側がほぼ平坦になっている。別の派生形態(図6)では、その一方の側が平坦であり、反対側は頭部分および土台部分を備える。この平坦な側を壁に接して配置することが意図されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国出願公開第2002/0025231号
【特許文献2】米国特許第5,556,230号
【特許文献3】国際公開第03/076727号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、水の波や音波などの波を最適な形で減衰できる減衰要素を提供することである。さらに、本発明の目的は、かかる減衰要素を簡易な方法で製造できるようにすることであり、設置が簡易化された上記減衰要素は、手作業による設置が可能でありながら、稼働時に比較的複雑な形状を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、請求項1の特徴を有する減衰要素によって達成される。
【0012】
本発明によると、首部分が頭部分に隣接することから、特に効果的な減衰が実現される。頭部分は、断面積が土台部分より小さいので首部分と流体連通し、その結果、例えば堤防に当たる波などの一部分が頭部分を通って首部分へと消失するので、減衰される媒体の移動経路が妨害される。
【0013】
本発明の有利な実施形態によると、全ての減衰要素はほぼ同一であり、ほぼ同じ形で配置される。これは特許文献2で示されている構造と対照的である。
【0014】
独立した土台部分をそれぞれ有する独立した減衰要素を使用するために、本発明によって、下にある層との相互作用を実現することが可能になる。
【0015】
本発明による減衰要素を例えば堤防で使用する場合、減衰要素の連続物(a series of attenuating elements)を堤防のフィルタ層または砂利層の上に配置することができる。かかるフィルタ層により、水が移動できるようになり、水の除去の実現も可能になる。ただし、かなり大きな波の作用など荒れた環境下でもかかるフィルタ層が定位置に留まっていることも重要である。
【0016】
本発明によって、隣接する頭部分同士の間を流れる水の量を制御することが可能になる。まず、この水の量は、隣接する頭部分同士の間の隙間を決定することによって制御することができる。その後頭部分に沿って流れる水は、複数の隣接する首部分で形成された流路または土台部分同士の間に存在する開口によって除去され、上述のフィルタ層へと流れていくことができる。本発明によって、発生する波の作用の最適な減衰を実現できる一方で堤防本体のフィルタ層またはその他の地盤に対する損傷を防止できるように、最適な適合を実現することが可能になる。
【0017】
減衰要素を2つの減衰要素部品から組み立てることによって、特に簡易な構造を実現することができる。この減衰要素は好ましくは垂直に分割され、つまり各減衰要素部品は頭部分、首部分および土台部分を備える。この分割は平坦な表面の形になっていると好ましい。このようにすると、プレス機と組み合わせた簡易な金型または型枠で十分となり、金型または型枠の上面が分割平面になる。これにより、大量の減衰要素部品を比較的低いコストで高速で製造することが可能になる。こういった半分の減衰要素部品を、所望に応じて製造後(または製造中)に互いに取り付けることができる。このために、例えば接合技術を使用することが可能である。ただし、要素の連続物を設置するときに、減衰要素部品を互いに取り付けずに互いに接して配置することも可能である。
【0018】
減衰要素は、コンクリートでできている場合、例えばプレス機を使用して製造することができる。この場合、使用する材料の水分含有量、したがって可塑性は、最適な形状を形成できるように選択される一方、プレス金型での滞留時間をできるだけ短く抑えることができるように選択される。一派生形態では、比較的薄手の素材でできた、形状が減衰要素のものに対応している補助ホルダをプレス金型に配置し、そこに減衰要素の材料をプレスすることが可能である。可塑性は、その材料がプレス後にまだ十分に寸法的に安定していないように選択される。補助金型を使用しそれをプレス機から取り外すことによって、この材料を補助金型内でその取り外しが可能になるまでさらに硬化させることができるようになる。かかる補助金型の製造コストは、プレス機内で長引く滞留時間に伴うものよりも遙かに低い。
【0019】
本発明の特定の実施形態では、複数の減衰要素が互いに接して配置された状態で、首部分が流路を形成することから隙間が得られる。減衰要素が傾斜した堤防に配置された場合、水は頭部分を通って首部分へと流れ込み、隣接する減衰要素の隣接する首部分で形成された流路に行き着き、次いで戻ってくる。これにより非常に効果的な減衰がもたらされる一方、水の除去が実現する。この隙間が減衰要素の土台部分同士の間にも存在すると好ましい。その結果、水が例えば堤防本体へ流出することができる。この隙間は頭部分同士の間よりもかなり小さいと好ましい。これにより、減衰要素が完全に水で覆われたときに真空の影響が生じなくて済み、水は引いていく。そのことにより、砂利状物質などの隣接する土台部分同士の間に存在する物質は離れていくはずである。
【0020】
本発明によると、各減衰要素は、互いに接して配置される2つの減衰要素部品からなると好ましく、2つのかかる部分がその境界面に沿って互いに接して配置されると、頭部分、首部分および土台部分が作り出される。
【0021】
対応する機構を、音の減衰に使用することもできる。このような場合、首部分に、繊維材料など音減衰材料を設けることがさらに可能である。
【0022】
頭部分は考え得る任意の形状を有することができる。頭部分は、減衰させる流体流に影響を及ぼすように構成することができる。つまり、頭部分を特定の方法で構成することによって、流体流を例えば一定の方向に逸らしたり、支流に分割したりすることができる。
【0023】
したがって音を減衰する場合、頭部分の尖った、球状のまたは同様の形状によって音を分散させることが有利なことがある。この形状は任意選択で対称的にすることができる。頭部分の下面、つまり首部分への移行部を、それが音を首部分に閉じ込めかつ/または保持するように構成してもよい。本発明により、音だけでなく衝突する流体を一定の方向に逸らすような形状を頭部分に与えることも容易に可能になる。
【0024】
土台もまた多角形なるように構成されると好ましく、より詳細には正方形になるように構成される。
【0025】
より詳細には、それぞれの多角形は、湾曲した球状凸形の辺を有する。これにより、隣接する要素を互いにわずかな角度を付けて配置することが可能になり、その結果、堤防本体の湾曲に合わせることができる。さらに、隣接する土台同士の間に存在する中間の空間に物質が入り、その結果上記要素がさらに安定する。例えば形状が正方形であるために、六角形の形状と比較して、安定性を改善する凸形の部分のための空間がより多く存在する。
【0026】
所望なら、土台部分をテーパ形になるように構成することができる。本発明で提供される複雑な形状の要素部品を含んだ組み立てを用いると、その減衰要素の複雑な形状を安上がりな形で製造することが可能になる。
【0027】
減衰要素の頭部分の断面積は、土台部分より少なくとも10%小さくするべきであることが指摘される。この頭部分の断面積を土台部分の断面積より小さくするのは、最大でも50%にすることが好ましい。
【0028】
上記と同じことが頭部分にも当てはまる。例えば堤防本体を作り出すためなどに、その後その頭部分を直列に配置するときは、減衰要素は、頭部分および好ましくは土台部分も互いに接して位置するように構成されると好ましい。この結果、かかる減衰要素の連続物の特に大きな安定性が得られる。
【0029】
本発明の他の有利な実施形態によると、頭部は、その頭部上を歩行したり、堤防本体上を歩行したり車で通ったりしたときに損傷しないように、面取りした丸みのある縁部を備える。
【0030】
頭部分は、より詳細には堤防本体で使用されるときは、減衰要素の連続物が互いに接して配置されたときに隣接する頭部分の間に開口が存在するように構成されると好ましく、その開口を通って水が下にある首部分に流れることができる。かかる開口のサイズにより、波が堤防本体を横切って移動するときにその水が受ける「逆圧」が決まる。さらに、首部分の形状によって、かかる開口を介した水の除去に影響を及ぼすことが可能である。この首部分は、頭部分より大きくなるようにも小さくなるようにも構成することができる。さらに、首部分を非対称的に構成して、流れの一方向で別の方向よりも大きな断面積が利用可能になるようにすることも可能である。
【0031】
減衰要素は、できる限り多くの丸みが存在するように構成されると好ましく、したがって尖った縁部が無い結果、最大強度が得られる。
【0032】
仕上げの選択は、用途に応じて決まる。
【0033】
堤防本体を使用する場合、砂利などの充填材を挿入することによって、減衰要素の連続物を設置した後に安定性を向上させることができる。この充填材は土台部分同士の間に挿入すると好ましい。
【0034】
上述の減衰要素は、考え得る任意の方法で製造することができる。
【0035】
特に好都合な製造方法は、減衰要素をコンクリートから作るものである。製造される減衰要素の形状の型枠がコンクリートで充填され、減衰要素が(わずかに)硬化した後そこから取り外される。
【0036】
さらに、特に減衰要素の上面つまり環境の方に向けられる部分に、一般に使用されるコンクリートの特性よりも優れた生態学的特性を有する層を設けることが可能である。かかる被覆層の例として、生物が付着できる溶岩石が挙げられる。
【0037】
コンクリートを金型または型枠に注入する前にかかる層を設けることが可能である。所望に応じて、かかる金型または型枠は取り外し可能な仕切壁を備えることもできる。その結果、生態学的により優れたタイプの材料を充填できる一方で従来使用されているコンクリート材料を充填できる、別々の空間が得られる。
【0038】
さらに、環境的汚染材料を、上記要素を製造する材料に封入することも可能である。そういった汚染材料は浸出できないようにする必要がある。例として硫黄やフライアッシュが挙げられる。こういった材料を、例えば要素部品の製造に使用するコンクリート材料に混合することができる。
【0039】
上記の製造方法により、減衰要素に任意の所望の形状を与えることが可能になる。したがって土台部分の側部は凸形にすることができる。
【0040】
上記製造方法によって、また、他の考え得る任意の方法によってであっても、用途に適合した土台部分を製造することができる。堤防本体への水の除去を可能にするための上述した土台部分同士の間にある空間の生成に加えて、土台部分を対合するように構成することも可能であり、その結果、正確な配置と特にその固定が可能になる。
【0041】
上記で指摘したように、減衰要素を、任意選択的に、等しい2つの部分からまたは一部品で組み立てることが可能である。
【0042】
上述の製造技法に加えて、コンクリート材料をプレスすることによって高速の製造方法を実現することもできる。減衰要素が一部品で作られる場合、2つの互いに移動可能な金型部品からなる金型を使用する必要がある。
【0043】
本発明はまた、上述したように流路が首部分によって画定される減衰要素の連続物に関する。
【0044】
かかる連続物は少なくとも100個の要素、より詳細には少なくとも1000個の要素を備えると好ましい。上記で指摘したように、こういった減衰要素はほぼ同一であると好ましい。他の好ましい実施形態によると、1つの連続物のかかる減衰要素はほぼ同様に向きが合わせられる。
【0045】
減衰要素を音の減衰に使用する場合、角度をもたせて減衰要素を配置することができ、極端な配置では垂直に配置して垂直壁を作ることもできる。
【0046】
本発明の他の用途は、トンネルまたは大量の水が集まる可能性があるその他の場所における雨水の除去である。
【0047】
用途に応じて、減衰要素の連続物を設けることができる。したがって例えば、こういった要素を堤防などの用途では互いに緩やかに接して配置することができる。その他の用途では、また、水を減衰するときであっても、減衰要素を互いに接着接合することができ、例えば音の減衰の用途では、減衰効果をさらに高めるために、各種減衰要素の間に音の減衰材料を設けることができる。かかる減衰材料は弾性タイプの接着剤であってもよく、また、減衰特性を有する充填片からなっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】堤防などの水制御構造体の模式図である。
【図2】図1の例示的な実施形態で使用される減衰要素の図である。
【図3】音を減衰するための減衰要素の他の実施形態の図である。
【図4】図3の減衰要素の連続物の図である。
【図5】減衰要素部品の製造方法の図である。
【図6】減衰要素の頭部分のいくつかの形状の上面図である。
【図7】減衰要素の配置の例の上面図である。
【図8】図1に示されている水制御構造体の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明を、各図面に示されている例示的な実施形態を参照して、以下でより詳細に説明する。
【0050】
図1に、参照番号1で表された堤防が示されている。堤防の上面は、材料の浸食を防止するために、参照番号2で表された補強物および/または防護物を備える。かかる補強物および/または防護物は、互いに接して配置された本発明による減衰要素3の連続物からなる。
【0051】
図2に、かかる減衰要素の例が示されている。図に示されているように、各減衰要素3は、2つの減衰要素部品4、5からなる。明確化のため、これらは幾分隔てて示されているが、実際には上記減衰要素部品のそれぞれの平坦な分割平面12は、図1に示されているように、減衰要素3の連続物を組み立てる際に互いに接して配置される。
【0052】
各減衰要素部品は、頭部分6、首部分7および土台部分8からなる。土台部分は矩形、より詳細には正方形であると好ましい。図2に示されているように、この部分は形状がわずかに凸形になっている。上記部品が互いに接して配置されると、結果として生じる中間の空間に物質を注入すること、またはその中間の空間にかかる物質を自動的に充填すること(例えば海水が打ち寄せて通過する場合など)が可能である。首部分は、流れ表面にあまり影響を及ぼすことなくその強度を増すために、リブ25を備えることができる。
【0053】
頭部分は、面取り部10を備えた多角形の形状を有する。したがって、本発明による4つの減衰要素3を互いに接して配置すると、首部分7に向かって開口11が生じる。首部分は、頭部分より小さい断面積を有することから、参照番号9で表された連続的な流路を画定する。頭部分の断面積は、土台部分の断面積よりも少なくとも10%小さく、最大でも50%である。実際には、土台部分8は、現行の規制に従って互いに接して配置される。現行の規制に応じて、水が下方向に通過するのを可能にするために、隣接する土台部分同士の間に隙間が存在してもよい。オランダ当局は例えば、全表面積の少なくとも8〜15%の隙間が存在する必要があること、最大開口が5cmより小さくなければならないことを規定している。当然ながらこのシステムから逸脱することも可能である。土台部分を互いに接して配置すると、頭部分の断面積がそれより小さいために、水が首部分7に戻ってからその首部分7によって形成された流路9を通って流れていくのに十分な空間が常にできる。
【0054】
ただし、減衰要素を、互いに接して配置したときに頭部分が互いに接して位置するようになるように製造することも可能である。要素の連続物を設置するときに頭部分と土台部分を両方共互いに接して配置すると、非常に安定した構造になる。土台部分と同様に、頭部分にわずかな丸みを設けることも可能である。さらに、土台部分は、その下面から上面までテーパにすることもでき、つまり2つの減衰要素が互いに接して配置されると、下向き方向に小さくなる隙間がその2つの間に存在する。
【0055】
減衰要素の表面の粗さは、要件に基づいて選択することができる。図において、首部分は図2では円形である。この首部分は長円形にすることもでき、その結果、減衰要素が互いに接して配置されたとき、各首部分によって、各部で2方向に異なる断面寸法を有する通路を画定することが理解されるだろう。
【0056】
この実施形態により、水の波の特に大きな減衰が実現する結果、従来通り十分な防護を可能にしながらも堤防本体を比較的軽量にできるということがわかっている。
【0057】
図3に、参照番号13で全体が表された、本発明による減衰要素の他の派生形態が示されている。各減衰要素は、減衰要素部品14、15からなる。各減衰要素部品は頭部分16、首部分17および土台部分18からなる。前述の実施形態と同様に、頭部分16の断面積は土台部分18の断面積よりも小さい。前述の派生形態と対照的に、頭部分16は平坦ではなく、尖った先端20を備える。
【0058】
首部分と隣接する減衰要素とが組み合わさって、流路19を形成する。
【0059】
任意選択的には、減衰要素を防音壁として使用するときに、首部分にミネラルウールなどの音減衰材料を設けることが可能である。
【0060】
図4には、このような、土台部分の土台表面がほぼ垂直に配置された防音壁としての用法が示されている。この方法によれば、特に簡易で防音性を有する壁が製造できるということがわかっている。さらに、上記防音壁を植物で覆うことが可能である。所望に応じて、頭部分を互いに重ねて載置することもできる。
【0061】
図5に、減衰要素部品4、5および14、15の製造例がそれぞれ示されている。製造する減衰要素部品の形状に対応した金型キャビティ27を設けた金型または型枠26がある。その下面は、後の平面12に対応するプレートを備えている。
【0062】
図6に、頭部分6および16の上面のいくつかの派生形態がそれぞれ示されている。
【0063】
図7に、図2に例示されているいくつかの減衰要素の配置の上面図が示されている。図に示されているように、土台部分8の凸形の形状により、湾曲の生成が容易になる。各減衰要素を分割することによって、減衰要素部品の重量は比較的低く抑えておくことができる。例として、重量約6kgが挙げられる。最大40%までの重量の節減を達成することができる。
【0064】
図示されている減衰要素3は、図7では示されていないが、いずれの場合にも図2にはっきり示されているように2つの減衰要素部品4、5からなる。ただし、減衰要素を一部品で製造することも可能である。
【0065】
最初の実験で、「なだらかな」傾斜についてかなりの減衰を実現できること、つまり波があまり遠くまで達しない、あるいは堤防本体を通過する高さがより低いことが示された。その結論とは、同じ予期される波の作用に対して、堤防本体はより低くて十分であるということである。したがって上述の減衰要素を設置することによって、既存の堤防をより高い波に耐えられるようにすることが可能である。
【0066】
図8に、堤防1に設置された、複数の隣接する減衰要素3が示されている。この堤防1は、任意の従来技術の材料でできた地盤31およびその上に配置されたフィルタ層32からなる。かかるフィルタ層は、例えば直径が5〜6cmの砂利などの砂利で構成することができる。さらに、フィルタ層32を、事例ごとに異なる砂利または石のサイズからなる複数のフィルタ層として具体化することも可能である。さらに、そのフィルタ層にジオテキスタイル布があってもよい。
【0067】
原則的に、フィルタ層は多孔質であり、様々な水の流れが各矢印で示されている。この砂利層は波の作用によって生じる水圧を受ける。砂利層は堤防本体を安定化させる働きをし、ここに示されている減衰要素3は、そのフィルタ層を固定する働きをする。この図面で、頭部分同士の間で移動する水量が、首部分の間にある水路から部分的に除去され、砂利層内に部分的に消失し、この砂利層を介して除去されることがはっきりと示されている。流れが首部分と砂利層の間に生じることが重要である一方、この流れが過度に大きくなり、それによって砂利層が減衰要素のための支持強度を失い、不安定にならないことが重要である。頭部分の開口表面と、首部分の寸法と、互いに隣接する土台部分同士の間の開口の寸法とを適合させることによって、こういった流れを、予期される最大波の作用に正確に調整することができる。
【0068】
頭部分、土台部分および首部分は、その他任意の形状を有することができることが理解されるだろう。媒体が頭部分から首部分まで通過できることが重要であり、このために、頭部分が土台部分より小さい断面積を有する。そして首部分は、上述の流路を形成するために、頭部分よりもかなり小さい断面積を有する。
【0069】
さらに、上記減衰要素は多くの用途を有することが理解されるだろう。上記の説明では、全て、堤防本体の水が存在する側に関連してこの減衰要素を例示した。ただし、かかる減衰要素を堤防本体のもう一方の側に設置することも可能であり、その結果、パイピングまたは渦による堤防に対する損傷を防止することができる。
【0070】
当業者は、上記の説明を読むことによりすぐに、添付の特許請求の範囲により包含される明白な派生形態に想到できるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートユニットを構成する互いに隣接する頭部分(6、16)、首部分(7、17)および土台部分(8、18)を備える減衰要素(3、13)であって、前記頭部分(6)の断面積が前記土台部分(8、18)の断面積よりも少なくとも10%小さく、前記土台部分(8、18)が多角形を備え、前記首部分が前記頭部分(6、16)よりかなり小さい断面を有する、減衰要素。
【請求項2】
互いに接して配置される2つの減衰要素部品(4、14;5、15)を備え、前記減衰要素部品が組み合わさって前記減衰要素を形成し、略平坦な平面(12)に沿って分割されている、請求項1に記載の減衰要素(3、13)。
【請求項3】
前記頭部分(6、16)が多角形を備える、請求項1または2に記載の減衰要素。
【請求項4】
前記頭部分(16)の上面が流体反射表面(20)を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の減衰要素。
【請求項5】
前記頭部分(6)の上面が略平坦である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の減衰要素。
【請求項6】
前記頭部分が、前記首部分に連結された空間(11)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の減衰要素。
【請求項7】
音減衰要素を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の減衰要素。
【請求項8】
前記首部分の周りに音減衰用の覆いが設けられる、請求項7に記載の減衰要素。
【請求項9】
水減衰要素を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の減衰要素。
【請求項10】
前記土台部分(8、18)が、凸形の辺を有する多角形を備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の減衰要素。
【請求項11】
前記首部分が、非回転対称な形状を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の減衰要素。
【請求項12】
各減衰要素(3、13)が、独立した頭部分および土台部分を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の減衰要素を備える、減衰要素の連続物(2、22)。
【請求項13】
前記土台部分(8、18)が互いに接して配置され、前記首部分(7、17)が連続的な流路(9)を画定する、請求項12に記載の連続物。
【請求項14】
前記頭部分(6、16)が互いに接して配置される、請求項12または13に記載の連続物。
【請求項15】
前記土台の表面が略垂直になっている、請求項12〜14のいずれか一項に記載の連続物を備える音減衰壁。
【請求項16】
前記減衰要素の前記土台部分同士の間に、音減衰弾性材料が存在する、請求項15に記載の音減衰壁。
【請求項17】
前記土台の表面が、水平に対して45°未満の傾きの角度で配置される、請求項12〜14のいずれか一項に記載の減衰要素の連続物を備える水制御構造体(1)。
【請求項18】
フィルタ層(32)を備える堤防本体(31)を含み、前記フィルタ層上に前記減衰要素が配置される、請求項17に記載の水制御構造体(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−521424(P2013−521424A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−557001(P2012−557001)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/NL2011/050153
【国際公開番号】WO2011/108931
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512230948)
【Fターム(参考)】