説明

渦巻バネ及びシートベルト巻き取り装置

【課題】長尺のバネ形成部材が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネにおいて、保有弾性量の増加割合について巻き上げ開始段階よりも、所定回転数を超えてからの段階とにおける方が小さくなり得る構造簡単なシートベルト巻き取り装置を提供する。
【解決手段】長尺のバネ形成部材20’が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネ20において、バネ形成部材20’は、基準バネ定数領域21’と、基準バネ定数より低いバネ定数を有する低バネ定数領域22’とを備え、基準バネ定数領域21’は可動端部21から固定端部22へ向かう所定距離L1の間に位置し且つ低バネ定数領域22’は基準バネ定数領域21’から固定端部22へ向かう所定距離L2の間に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦巻状にコイリング加工された渦巻バネ、及び、該渦巻バネを備えたシートベルト巻き取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺の板状体等のバネ形成部材を渦巻状にコイリング加工してなる渦巻バネは、従来から種々の用途に用いられている。
以下、前記渦巻バネがシートベルト巻き取り装置に用いられる場合を例に説明する。
【0003】
前記シートベルト巻き取り装置は、自動車等の乗員を保護する為のシートベルトの引き出しを許容しつつ、且つ、シートベルトの非使用時には該シートベルトを自動的に巻き取る為の装置であり、斯かる作用を奏する為に前記渦巻バネを備えている。
【0004】
ところで、前記シートベルト巻き取り装置には、シートベルトを乗員に装着して使用するシートベルト装着時には該シートベルトによる拘束力(即ち、前記渦巻バネによる乗員への締め付け力)を低減させてシートベルトによる乗員の圧迫感を緩和させることが望まれる一方で、シートベルトを巻き取って収納するシートベルト収納時には可及的速やかにシートベルトを巻き取ることが望まれている。
【0005】
しかしながら、従前の渦巻バネは、該渦巻バネを形成する前記バネ形成部材のバネ定数が長手方向全域に亘って一定とされていた為、単一の渦巻バネを備えるだけでは前記相反する2つの要望に応えることができなかった。
【0006】
即ち、前記シートベルト巻き取り装置に用いられる渦巻バネは、可動端部を形成する一端部が巻き取り軸に連結された状態で渦巻状に巻き付けられ、且つ、他端部が固定端部とされている。該渦巻バネは、前記シートベルトの引き出し操作に連動して前記巻き取り軸が回転すると、保有弾性が蓄積されるように該巻き取り軸に装着されている。
斯かるシートベルト巻き取り装置において、前記渦巻バネ全体のトルクを下げると(即ち、前記バネ形成部材全体のバネ定数を下げると)、シートベルト装着時の圧迫感を緩和させることはできるが、その反面、トルク不足によりシートベルトの収納に時間を要することになる。
これとは逆に、前記渦巻バネ全体のトルクを上げると(即ち、前記バネ形成部材全体のバネ定数を上げると)、シートベルトの収納を速やかに行うことができるが、その反面、シートベルト装着時の圧迫感が増してしまう。
【0007】
前記相反する要望に応え得るシートベルト巻き取り装置として、例えば、主渦巻バネ及び副渦巻バネを含む複数の渦巻バネを備え、これらを直列連結すると共に、ラチェット機構によってシートベルト装着時においては前記主渦巻バネの付勢力が前記巻き取り軸に作用しないように構成したものが提案されているが(下記特許文献1参照)、斯かる構成では、主渦巻バネに加えて、副渦巻バネやラチェット機構等を備える必要があり、部品点数の増加によるコスト高騰化及び大型化を招くという問題がある。
【特許文献1】特開2001−140963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、長尺のバネ形成部材が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネであって、一端部が可動端部とされ且つ他端部が固定端部とされており、前記可動端部が前記渦巻状を縮径させる方向へ回動されることで保有弾性が蓄積されるように構成された渦巻バネにおいて、前記可動端部の軸線回りの回転数に対する保有弾性量の増加割合について、前記可動端部が初期位置から所定回転数回転するまでの間の巻き上げ開始段階よりも、前記可動端部の回転数が前記所定回転数を超えてからの段階とにおける方が小さくなり得る構造簡単な渦巻バネの提供を、一の目的とする。
又、本発明は、シートベルトの引き出しを許容しつつ、且つ、シートベルトの非使用時には前記シートベルトを自動的に巻き取る為のシートベルト巻き取り装置において、シートベルト装着時における乗員の圧迫感を緩和させつつ、シートベルトの収納を可及的速やかに行い得る構造簡単なシートベルト巻き取り装置の提供を、他の目的とする。
さらに、本発明は、長尺のバネ形成部材が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネであって、一端部が可動端部とされ且つ他端部が固定端部とされており、前記可動端部が前記渦巻状を縮径させる方向へ回動されることで保有弾性が蓄積されるように構成された渦巻バネにおいて、前記可動端部の軸線回りの回転数に対する保有弾性量の増加割合を変更させ得る構造簡単な渦巻バネの提供を、他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために、次の第1及び第2態様の渦巻バネを提供する。
(1)第1態様の渦巻バネ
長尺のバネ形成部材が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネであって、一端部が可動端部とされ且つ他端部が固定端部とされており、前記可動端部が前記渦巻状を縮径させる方向へ回動されることで保有弾性が蓄積されるように構成された渦巻バネであって、前記バネ形成部材は、基準バネ定数領域と、前記基準バネ定数より低いバネ定数を有する低バネ定数領域とを備えており、前記基準バネ定数領域は前記可動端部から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置し且つ前記低バネ定数領域は前記基準バネ定数領域から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置していることを特徴とする渦巻バネ。
【0010】
この渦巻バネでは、前記基準バネ定数領域が前記可動端部から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置し且つ前記低バネ定数領域が前記基準バネ定数領域から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置しているので、前記可動端部の軸線回りの回転数に対する保有弾性量の増加割合について、前記可動端部が初期位置から所定回転数回転するまでの間の巻き上げ開始段階よりも、前記可動端部の回転数が前記所定回転数を超えてからの段階とにおける方が小さくすることができる。
【0011】
(2)第2態様の渦巻バネ
長尺のバネ形成部材が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネであって、一端部が可動端部とされ且つ他端部が固定端部とされており、前記可動端部が前記渦巻状を縮径させる方向へ回動されることで保有弾性が蓄積されるように構成された渦巻バネであって、前記バネ形成部材は、長手方向に関し異なる位置に、基準バネ定数領域と、前記基準バネ定数より低いバネ定数を有する低バネ定数領域とを備えていることを特徴とする渦巻バネ。
【0012】
この渦巻バネでは、前記バネ形成部材が、長手方向に関し異なる位置に、基準バネ定数領域と、前記基準バネ定数より低いバネ定数を有する低バネ定数領域とを備えているので、前記可動端部の軸線回りの回転数に対する保有弾性量の変化割合を、バネ定数が長手方向全域に亘って一定とされた従来の渦巻バネに比べて、大きく変化させることができる。
【0013】
又、本発明は、前記目的を達成するために、シートベルトが巻き付けられる巻き取りリールに連結される巻き取り軸と、長尺のバネ形成部材が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネであって、前記巻き取り軸がシートベルト引き出し方向に回転する際に保有弾性が蓄積されるように、可動端部を形成する一端部が前記巻き取り軸に連結され且つ他端部が固定端部とされた渦巻バネとを備えたシートベルト巻き取り装置であって、前記バネ形成部材は、基準バネ定数領域と、前記基準バネ定数より低いバネ定数を有する低バネ定数領域とを備えており、前記基準バネ定数領域は前記可動端部から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置し且つ前記低バネ定数領域は前記基準バネ定数領域から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置していることを特徴とするシートベルト巻き取り装置も提供する。
【0014】
本発明に係るシートベルト巻き取り装置では、例えば、前記渦巻バネにおいて、前記可動端部が初期位置から所定の第1回転数だけ回転する間においては前記基準バネ定数領域が巻き上げられるように該基準バネ定数領域の長さを設定し、且つ、前記可動端部が前記第1回転数から所定の第2回転数まで回転する間においては前記低バネ定数領域が巻き上げられるように該低バネ定数領域の長さを設定することができる。これにより、装着時におけるシートベルトによる拘束力(即ち、前記渦巻バネによる乗員への締め付け力)を低減させて該シートベルトによる乗員の圧迫感を緩和させることができる。
又、シートベルトを巻き取って収納するシートベルト収納時においては、前記基準バネ定数領域及び前記低バネ定数領域が共働して巻き戻し作用を行う為、これにより可及的速やかにシートベルトSを巻き取ることができる。
従って、シートベルト装着時における乗員の圧迫感を緩和させつつ、シートベルトの収納を可及的速やかに行うことができる。
【0015】
本発明に係る渦巻バネ及び本発明に係るシートベルト巻き取り装置における渦巻バネにおいて、前記低バネ定数領域は、前記固定端部まで延びていてもよいし、前記バネ形成部材は、前記低バネ定数領域と前記固定端部との間に、該低バネ定数領域よりもバネ定数の大きい領域を有していてもよい。
【0016】
本発明に係る渦巻バネ及び本発明に係るシートベルト巻き取り装置における渦巻バネにおいて、前記バネ形成部材は、渦巻状にコイリング加工された状態において、内端側に位置する端部が前記可動端部とされ且つ外端側に位置する端部が前記固定端部とされている態様を例示できる。この場合、本発明に係るシートベルト巻き取り装置では、前記渦巻バネが前記巻き取り軸に外装され、可動端部を形成する端部が内端側に位置し、該内端側に位置する端部が該巻き取り軸に連結される態様を例示できる。
又、前記バネ形成部材は、渦巻状にコイリング加工された状態において、外端側に位置する端部が前記可動端部とされ且つ内端側に位置する端部が前記固定端部とされている態様を例示できる。この場合、本発明に係るシートベルト巻き取り装置では、前記巻き取り軸が中空状とされると共に、前記渦巻バネが該中空巻き取り軸に内装され、可動端部を形成する端部が外端側に位置し、該外端側に位置する端部が該中空巻き取り軸の内周面に連結される態様を例示できる。
【0017】
本発明に係る渦巻バネ及び本発明に係るシートベルト巻き取り装置における渦巻バネにおいて、前記バネ形成部材は、それには限定されないが、長尺の板状部材とされていてもよいし、軸線方向に延びる長尺の円柱部材とされていてもよい。
【0018】
前記低バネ定数領域を前記基準バネ定数領域よりも低いバネ定数にする為の前記バネ形成部材の態様として、次のものを例示できる。
(a)前記バネ形成部材が板状部材とされており、前記低バネ定数領域は、前記基準バネ定数領域よりも板厚が薄い態様、
(b)前記バネ形成部材が板状部材とされており、前記低バネ定数領域は、前記基準バネ定数領域よりも幅が狭い態様、
(c)前記低バネ定数領域が、前記基準バネ定数領域よりも低硬度に形成されている態様、
(d)前記低バネ定数領域が、前記基準バネ定数領域よりも渦巻状にコイリング加工する際の曲率が大きい態様、
(e)前記(a)〜(d)のうち少なくとも二つを組み合わせた態様である。
なお、前記曲率が大きいとは、コイリング加工する際のロールの径が大きい(即ち、前記バネ形成部材を塑性変形させる為に要する加工力が小さい)ことを意味し、前記低バネ定数領域が直線状に形成されている場合(例えば、非コイリング状態とされている場合)を含む。
【0019】
前記(d)の態様及び前記(e)の前記(d)の態様を含む態様において、前記コイリング加工は、例えば、前記バネ形成部材を長手方向に搬送する搬送機構と、前記バネ形成部材の一方側の平面と当接するように配設された支持部材と、前記バネ形成部材を挟んで前記支持部材と対向するように配置された押圧部材とを備えた加工装置によって行うことができる。
斯かる加工装置を用いて、前記バネ形成部材を長手方向に沿って挟持しつつ、前記押圧部材によって該バネ形成部材を押圧させて塑性変形させることにより、前記渦巻バネを形成することができる。
好ましくは、前記バネ形成部材から一次巻加工を行って中間渦巻体を形成し、その後に、該中間渦巻体を巻き戻しつつ、逆向きに二次巻加工を行って前記渦巻バネを形成することができる。
このように、一次巻加工に加えて二次巻加工を行うことにより、前記渦巻バネのバネ性を向上させることができる。
【0020】
なお、前記一次巻加工及び/又は前記二次巻加工におけるコイリング加工の際の曲率を前記バネ形成部材の長手方向に関し異ならせることによって、前記基準バネ定数領域及び前記低バネ定数領域を形成させることも可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る第1態様の渦巻バネによれば、前記基準バネ定数領域は前記可動端部から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置し且つ前記低バネ定数領域は前記基準バネ定数領域から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置しているので、前記可動端部の軸線回りの回転数に対する保有弾性量の増加割合について、前記可動端部が初期位置から所定回転数回転するまでの間の巻き上げ開始段階よりも、前記可動端部の回転数が前記所定回転数を超えてからの段階とにおける方が小さくすることができる。
【0022】
本発明に係る第2態様の渦巻バネによれば、前記バネ形成部材が、長手方向に関し異なる位置に、基準バネ定数領域と、前記基準バネ定数より低いバネ定数を有する低バネ定数領域とを備えているので、前記可動端部の軸線回りの回転数に対する保有弾性量の変化割合を、バネ定数が長手方向全域に亘って一定とされた従来の渦巻バネに比べて、長手方向に関し異ならせることができる。従って、仕様に応じて前記基準バネ定数領域及び前記低バネ定数領域の位置を設定することで、所望のバネ特性を得ることができる。
【0023】
本発明に係るシートベルト巻き取り装置によれば、例えば、前記渦巻バネにおいて、前記可動端部が初期位置から所定の第1回転数だけ回転する間においては前記基準バネ定数領域が巻き上げられるように該基準バネ定数領域の長さを設定し、且つ、前記可動端部が前記第1回転数から所定の第2回転数まで回転する間においては前記低バネ定数領域が巻き上げられるように該低バネ定数領域の長さを設定することができる。これにより、装着時におけるシートベルトによる拘束力(即ち、前記渦巻バネによる乗員への締め付け力)を低減させて該シートベルトによる乗員の圧迫感を緩和させることができる。
又、シートベルトを巻き取って収納するシートベルト収納時においては、前記基準バネ定数領域及び前記低バネ定数領域が共働して巻き戻し作用を行う為、これにより可及的速やかにシートベルトSを巻き取ることができる。
従って、シートベルト装着時における乗員の圧迫感を緩和させつつ、シートベルトの収納を可及的速やかに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る渦巻バネが適用されたシートベルト巻き取り装置の一例を示す図であって、図1(a)は、該シートベルト巻き取り装置の概略構成を示す分解斜視図であり、図1(b)は、該シートベルト巻き取り装置における巻き取り軸及び渦巻バネ部分の側面図である。
又、図2は、本実施の形態に係る渦巻バネのコイリング加工される前のバネ形成部材の例を示す図であって、図2(a)は、該バネ形成部材の一例を示す概略斜視図であり、図2(b)は、該バネ形成部材の他の例を示す概略斜視図である。
【0025】
図1に示すシートベルト巻き取り装置100は、シートベルトSが巻き付けられる巻き取りリール10aに連結される巻き取り軸10と、長尺のバネ形成部材20’が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネ20とを備えている。
【0026】
前記渦巻バネ20は、一端部21が可動端部とされ且つ他端部22が固定端部とされており、前記可動端部21が前記渦巻状を縮径させる方向(図中C方向)へ回動されることで保有弾性が蓄積されるように構成されている。
【0027】
本実施の形態では、前記渦巻バネ20は、前記巻き取り軸10がシートベルトS引き出し方向(図1中A方向)に回転する際に保有弾性が蓄積されるように、可動端部を形成する一端部21(図示例では内端部)が前記巻き取り軸10に連結され且つ他端部22(図示例では外端部)が固定端部とされている。
即ち、前記渦巻バネ20は、前記シートベルトSの引き出し操作に連動して前記巻き取り軸10が回転すると、保有弾性が蓄積されるように該巻き取り軸10に装着されている。
【0028】
前記渦巻バネ20のコイリング加工される前のバネ形成部材20’は、図2に示すように、基準バネ定数領域21’と、前記基準バネ定数より低いバネ定数を有する低バネ定数領域22’とを備えている。
前記基準バネ定数領域21’は前記可動端部21から前記固定端部22へ向かう所定距離L1の間に位置し且つ前記低バネ定数領域22’は前記基準バネ定数領域21’から前記固定端部22へ向かう所定距離L2の間に位置している。
【0029】
図2(a)に示すバネ形成部材20’においては、前記低バネ定数領域22’が、前記固定端部22まで延びている。又、図2(b)に示すバネ形成部材20’においては、前記低バネ定数領域22’と前記固定端部22との間に、該低バネ定数領域22’よりもバネ定数の大きい領域23’を有している。
なお、図2(b)に示す領域23’のバネ定数は、前記基準バネ定数と同一としてもよいし、若しくは、異ならせることも可能である。
前記領域23’のバネ定数を前記基準バネ定数と異ならせる態様には、該領域23’のバネ定数を、前記低バネ定数領域22’のバネ定数より大きく且つ前記基準バネ定数より小さくする態様や、前記基準バネ定数より大きくする態様が含まれる。
【0030】
このバネ形成部材20’は、本実施の形態では、板状部材とされており、図2(a)及び図2(b)に示すように、前記低バネ定数領域22’の板厚d2は、前記基準バネ定数領域21’の板厚d1よりも薄くされている。これにより、前記低バネ定数領域22’が前記基準バネ定数領域21’よりも低いバネ定数にされ得る。
なお、前記基準バネ定数領域21’の板厚d1及び前記低バネ定数領域22’の板厚d2は、該基準バネ定数領域21’及び該低バネ定数領域22’で設定されるバネ定数になるように適宜設定することができる。また、前記バネ形成部材20’は、本実施の形態では、長尺の板状部材とされているが、これに限定されるものではなく、例えば、軸線方向に延びる長尺の円柱部材とされていてもよい。
【0031】
又、図2(a)に示すバネ形成部材20’においては、前記低バネ定数領域22’は、前記基準バネ定数領域21’から前記固定端部22に向かうに従って板厚が薄くされた第1領域22a’と、前記第1領域22a’から前記固定端部22に亘って板厚d2が略一定とされた第2領域22b’とを有している。
図2(b)に示すバネ形成部材20’においては、前記低バネ定数領域22’は、前記基準バネ定数領域21’から前記領域23に向かうに従って板厚が薄くされた第1領域22c’と、前記領域23から前記基準バネ定数領域21’に向かうに従って板厚が薄くされた第2領域22d’と、前記第1領域22c’と前記第2領域22d’との間で板厚d2が略一定とされた第3領域22e’とを有している。
【0032】
図3は、本実施の形態に係る渦巻バネのコイリング加工される前のバネ形成部材のさらに他の例を示す図であって、図3(a)乃至図3(c)は、その概略側面図である。
前記バネ形成部材20’は、図3に示すような態様であってもよい。即ち、
(a)図3(a)に示すバネ形成部材20’では、前記低バネ定数領域22’は、前記固定端部22まで延びており、前記基準バネ定数領域21’から前記固定端部22に向かうに従って板厚d2が薄くされている。
(b)図3(b)に示すバネ形成部材20’では、前記低バネ定数領域22’は、前記固定端部22まで延びている。該低バネ定数領域22’は、前記基準バネ定数領域21’と前記固定端部22との間で板厚d2が前記基準バネ定数領域21’の板厚d1よりも薄く且つ略一定とされている。
(c)図3(c)に示すバネ形成部材20’では、前記低バネ定数領域22’は、前記低バネ定数領域22’と前記固定端部22との間に、該低バネ定数領域22’よりもバネ定数の大きい領域23’を有している。該低バネ定数領域22’は、前記基準バネ定数領域21’と前記領域23’との間で板厚d2が前記基準バネ定数領域21’の板厚d1よりも薄く且つ略一定とされている。
【0033】
図4は、本実施の形態に係る渦巻バネのコイリング加工される前のバネ形成部材のさらに他の例を示す図であって、図4(a)乃至図4(d)は、その概略平面図である。
前記バネ形成部材20’は、前記の板厚d2を薄くする態様に加えて、或いは、代えて、図4(a)乃至図4(c)に示すように、前記低バネ定数領域22’の幅w2が、前記基準バネ定数領域の幅w1よりも狭くされていてもよい。即ち、
(a)図4(a)に示すバネ形成部材20’では、前記低バネ定数領域22’は、前記固定端部22まで延びており、前記基準バネ定数領域21’から前記固定端部22に向かうに従って幅w2が狭くされている。
(b)図4(b)に示すバネ形成部材20’では、前記低バネ定数領域22’は、前記固定端部22まで延びている。該低バネ定数領域22’は、前記基準バネ定数領域21’と前記固定端部22との間で幅w2が前記基準バネ定数領域21’の幅w1よりも狭く且つ略一定とされている。
(c)図4(c)に示すバネ形成部材20’では、前記低バネ定数領域22’は、前記低バネ定数領域22’と前記固定端部22との間に、該低バネ定数領域22’よりもバネ定数の大きい領域23’を有している。該低バネ定数領域22’は、前記基準バネ定数領域21’と前記領域23’との間で幅w2が前記基準バネ定数領域21’の幅w1よりも狭く且つ略一定とされている。
【0034】
前記バネ形成部材20’は、前記の板厚d2及び/又は前記の幅w2を長手方向に関し異ならせる態様に加えて、或いは、代えて、図4(d)に示すように、前記低バネ定数領域22’が、前記基準バネ定数領域21’よりも低硬度になるように形成され得る。即ち、
図4(d)に示すバネ形成部材20’では、前記低バネ定数領域22’が、前記基準バネ定数領域21’よりも低硬度に形成されている。
図4(d)に示すような、前記低バネ定数領域22’が前記基準バネ定数領域21’よりも低硬度とされたバネ形成部材20’は、例えば、前記基準バネ定数領域21’及び前記低バネ定数領域22’の熱処理温度を異ならせることによって形成される。一例としては、前記低バネ定数領域22’の熱処理温度を350℃〜450℃、前記基準バネ定数領域21’の熱処理温度を200℃〜300℃にすることにより、硬度を変えることができる。なお、前記熱処理には、焼き入れ処理、焼き鈍し処理、低温焼き鈍し処理等が含まれる。
【0035】
ここで、前記バネ形成部材20’を渦巻状にコイリング加工する際の加工方法の一例について説明する。
図5は、前記バネ形成部材20’を渦巻状に加工するコイリング加工の一例を説明する為の概略側面図であって、図5(a)は、該バネ形成部材20’が一次巻加工されている状態を示し、図5(b)は、該バネ形成部材20’が二次巻加工されている状態を示す。
【0036】
前記コイリング加工は、例えば、図5(a)に示すように、前記バネ形成部材20’を長手方向に搬送する搬送機構(図示せず)と、前記バネ形成部材20’の一方側の平面と当接するように配設された支持部材(図示例では一対の支持ローラ210,210)と、前記バネ形成部材を挟んで前記支持部材と対向するように配置された押圧部材(図示例では押圧ローラ220)とを備えた加工装置200によって行われる。
前記押圧部材は、前記バネ形成部材20’の平面と直交する方向に移動可能とされており、前記支持部材によって一方側の平面が支持された状態の前記バネ形成部材20’の他方側の平面を押圧し得るように構成されている。
斯かる加工装置200を用いて、前記バネ形成部材20’を長手方向に沿って挟持しつつ、前記押圧部材によって該バネ形成部材20’を押圧させて塑性変形させることにより、前記渦巻バネ20を形成することができる。
好ましくは、前記バネ形成部材20’から一次巻加工を行って中間渦巻体20”を形成し(図5(a))、その後に、該中間渦巻体20”を巻き戻しつつ、逆向きに二次巻加工を行って前記渦巻バネ20を形成することができる(図5(b))。
このように、一次巻加工に加えて二次巻加工を行うことにより、前記渦巻バネ20のバネ性を向上させることができる。
【0037】
なお、前記一次巻加工及び/又は前記二次巻加工におけるコイリング加工の際の曲率を前記バネ形成部材20’の長手方向に関し異ならせることによって、前記基準バネ定数領域21’及び前記低バネ定数領域22’を形成させることも可能である。
即ち、前述のように、前記バネ形成部材20’の厚み及び/又は幅を長手方向に関し異ならせることや、前記バネ形成部材20’の硬度を長手方向に関し異ならせることによって、前記基準バネ定数領域21’及び前記低バネ定数領域22’を形成することができるが、これらに代えて、若しくは、加えて、前記渦巻バネ20の曲率を前記バネ形成部材20’の長手方向に関し異ならせることによっても、前記基準バネ形成領域21’及び前記低バネ定数領域22’を形成することができる。
【0038】
詳しくは、前記一次巻加工及び前記二次巻加工のうち少なくとも一方において、前記低バネ定数領域22’をコイリング加工する際の前記押圧部材の径を、前記基準バネ定数領域21’をコイリング加工する際よりも大きくすることで、前記低バネ定数領域22’の曲率を前記基準バネ定数領域21’の曲率よりも大きくすることができる。
斯かる構成によっても、前記低バネ定数領域22’のバネ定数を前記基準バネ定数領域21’における基準バネ定数よりも小さくすることができる。
なお、前記低バネ定数領域22’の曲率が前記基準バネ定数領域21’の曲率よりも大きい態様には、前記低バネ定数領域22’が直線状に形成されている場合(例えば、非コイリング状態とされている場合)を含む。
【0039】
次に、図1を参照しつつ、前記渦巻バネ20が適用された前記シートベルト巻き取り装置100について説明する。
前記シートベルト巻き取り装置100は、前記巻き取り軸10及び前記渦巻バネ20に加えて、本体フレーム30と、収納ケース40とを備えている。
前記巻き取り軸10は、前記シートベルトSの引き出し及び巻き取りを行えるように、前記本体フレーム30に軸線回り回転自在に支持されている。
詳しくは、前記シートベルトSには図示を省略したタングプレートが装着されている。該タングプレートは、車体に備えられているバックルに脱着可能とされている。
【0040】
本実施の形態では、前記渦巻バネ20は、既述のとおり、内端側に位置する端部21が可動端部とされ且つ外端側に位置する端部22が固定端部とされている。
即ち、前記渦巻バネ20は、可動端部を形成する内端側の端部21が前記巻き取り軸10に固定された状態で、前記巻き取り軸10に外挿支持されている。
【0041】
詳しくは、前記巻き取り軸10には、図1に示すように、係合部11(図示例では溝)11が形成されており、前記渦巻バネ20の内端部21は該係合部11に係合されることで、前記巻き取り軸10に対して相対回転不能とされている。
一方、前記渦巻バネ20の外端側の端部22は、該渦巻バネ20を囲繞する前記収納ケース40に設けられた連結部40’に固定される。
なお、前記収納ケース40には、図1(a)に示す如く、蓋部材41が設けられていてもよい。
【0042】
なお、本実施の形態においては、前述の通り、前記渦巻バネ20の内端部21が可動端部とされ且つ外端部22が固定端部とされているが、当然ながら、前記渦巻バネ20の内端部21を固定端部とし且つ外端部22を可動端部とすることも可能である。
この場合、例えば、前記巻き取り軸10が中空状とされると共に、前記渦巻バネ20が該中空巻き取り軸10に内装され、可動端部を形成する外端部22が該中空巻き取り軸10に相対回転不能に連結され、且つ、固定端部を形成する内端部21が適宜の固定部材に固定連結される。
【0043】
前記シートベルト巻き取り装置100は、さらに、緊急ロック機構50を備えている。
前記緊急ロック機構50は、緊急時における前記シートベルトSの引き出しを防止する為に前記巻き取り軸10をロックするものである。
例えば、前記緊急ロック機構50は、自動車の衝突を機械的に検知する衝突検知センサと、該衝突検知センサの作動時に前記巻き取り軸10をロックするラチェット機構などを備えている。
本実施の形態においては、前記緊急ロック機構50は、図1に示すように、前記本体フレーム10の外側面に付設されている。
【0044】
以上説明したシートベルト巻き取り装置100は、以下のように作動する。
前記シートベルトSが収納されている状態から該シートベルトSが矢印のA方向へ引出されると、前記巻き取り軸10は軸線回りに引き出し方向Cへ回転する。
前記渦巻バネ20は、前記巻き取り軸10が軸線回りに引き出し方向Cへ回転する際に、該巻き取り軸10に相対回転不能に連結された可動端部21を介して縮径するように該巻き取り軸10に巻き付けられている。
つまり、前記渦巻バネ20は、前記シートベルトSの矢印A方向への引き出し量(即ち、前記巻き取り軸10の引き出し方向Cへの軸線回りの回転数)に応じて保有弾性が蓄積されるようになっている。
従って、前記タングプレートを前記バックルに係合させて乗員が前記シートベルトを装着すると、前記渦巻バネ20は、該シートベルトSの引き出し量に応じた保有弾性を有する状態に保持される。
シートベルト装着状態から乗員が前記タングプレート及び前記バックルの係合を解除させると、蓄積されている前記渦巻バネ20の保有弾性よって前記巻き取り軸10が軸線回りに前記引き出し方向Cとは反対方向に回転し、これにより、前記シートベルトSが矢印Bの方向へ戻されて、前記巻き取りリール10aに巻き取られる。
【0045】
本実施の形態においては、前述の通り、前記渦巻バネ20を形成するバネ形成部材20’のバネ定数を長手方向に関し異ならせている。
詳しくは、前記バネ形成部材20’は、前記可動端部21から前記固定端部22へ向かう所定距離L1の範囲が前記基準バネ定数領域21’とされ、且つ、前記基準バネ定数領域21’から前記固定端部22へ向かう所定距離L2の範囲が前記低バネ定数領域22’とされている。
【0046】
従って、前記巻き取り軸10の前記引き出し方向Cへの回転数に対する前記渦巻バネ20の保有弾性増加割合は、該巻き取り軸10が初期位置から前記引き出し方向Cへ所定回転数回転するまでの状態より、該巻き取り軸10が前記所定回転数を超えて回転する状態の方が小さくなっており、これにより、シートベルト装着時における乗員への圧迫感を緩和しつつ、シートベルト格納速度の低下を可及的に防止し得るようになっている。
【0047】
斯かる効果について、図6を参照しつつ詳細に説明する。
図6に、前記可動端部21の回転数に対する前記渦巻バネ20の保有弾性の変化量を示す。
なお、図6中のαが、本実施の形態に係る前記渦巻バネ20における変化量を示し、βは、長手方向全域に亘ってバネ定数が均一とされた従来の渦巻バネにおける変化量を示している。
又、図6中の実線は、巻上げ時(即ち、前記渦巻バネ20が縮径する方向へ前記可動端部21が回転する際)における前記渦巻バネの保有弾性変化量を示し、且つ、破線は、巻戻し時(即ち、保有弾性が蓄積された状態の前記渦巻20が拡径する方向へ前記可動端部21が回転する際)における前記渦巻バネの保有弾性変化量を示している。
【0048】
渦巻バネの巻き上げ時における動作について説明すると、前記渦巻バネ20の巻き上げ開始時(以下、巻き上げ第1段階という)には、まず、前記可動端部21の回転に伴って該可動端部21に近接する領域が巻き上げられ、その後、前記巻き上げ初期段階を超えてさらに巻き上げ続ける段階(以下、巻き上げ第2段階という)には前記可動端部21の回転数が増加するにつれて徐々に前記固定端部22側の領域が巻き上げられる。
【0049】
この点に関し、本実施の形態に係る前記渦巻バネ20においては、前述の通り、前記可動端部21から前記固定端部22へ向かう所定距離L1の領域が前記基準バネ定数領域21’とされ、且つ、前記基準バネ定数領域21’から前記固定端部22へ向かう所定距離L2の領域が前記低バネ定数領域22’とされている。
つまり、本実施の形態に係る前記渦巻バネ20は、巻き上げ第1段階においては前記基準バネ定数領域21’が巻き上げられ、該巻き上げ第1段階を超えて巻き上げ第2段階へ移行すると、前記低バネ定数領域22’が巻き上げられるようになっている。
斯かる前記渦巻バネ20においては、前記可動端部21の軸線回りの回転数に対する保有弾性量の変化割合は、図6のαに示すように、巻き上げ第1段階においては大きく、且つ、巻き上げ第2段階においては小さくなる。
特に、巻き上げ第2段階においては、本実施の形態に係る渦巻バネ20は、バネ定数が長手方向全域に亘って一定とされた従来の渦巻バネ(図6のβ曲線参照)に比べて、前記可動端部21の回転数に対する保有弾性量の増加割合がかなり小さくなっている。
【0050】
斯かる特性を利用することで、前記渦巻バネ20が適用された前記シートベルト巻き取り装置100は、シートベルト装着時における乗員への圧迫感を緩和しつつ、シートベルト格納速度の低下を可及的に防止することができる。
詳しくは、前記シートベルトSの装着時引き出し範囲は、想定される乗員の体格に基づき決定される。つまり、使用する乗員の最も細い体格と最も太い体格を想定し、前者がシートベルトSを装着する際の装着時引き出し下限値と後者がシートベルトSを装着する際の装着時引き出し上限値との間が前記シートベルトSの装着時引き出し範囲とされる。
ここで、前記装着時引き出し下限値だけ前記シートベルトSが引き出される際の前記可動端部21の回転数をR1とし且つ前記装着時引き出し上限値だけ前記シートベルトSが引き出される際の前記可動端部21の回転数をR2とした場合において(図6参照)、該可動端部21が初期位置から回転数R1だけ回転する間においては前記基準バネ定数領域21’が巻き上げられるように該基準バネ定数領域21’の長さL1を設定し、且つ、該可動端部21が回転数R1から回転数R2まで回転する間においては前記低バネ定数領域22’が巻き上げられるように該低バネ定数領域22’の長さL2を設定すれば、装着時におけるシートベルトSによる拘束力(即ち、前記渦巻バネ20による乗員への締め付け力)を低減させて該シートベルトSによる乗員の圧迫感を緩和させることができる。
なお、シートベルトSを巻き取って収納するシートベルト収納時においては、前記基準バネ定数領域21’及び前記低バネ定数領域22’が共働して巻き戻し作用を行う為、これにより可及的速やかにシートベルトSを巻き取ることができる。
【0051】
本実施の形態においては、前記渦巻バネ20の可動端部21側に前記基準バネ定数領域21’を設けたが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
例えば、前記可動端部21の回転数がゼロ(初期位置)〜第1所定回転数の範囲において、該可動端部21の回転数に対する前記渦巻バネ20の保有弾性増加量を低減させたい場合には、該渦巻バネ20の可動端部21から前記第1所定回転数に対応した位置までの領域を前記低バネ定数領域22’とし、該低バネ定数領域22’から前記固定端部22へ向かって前記基準バネ定数領域21’を設けることができる。
又、前記可動端部21の回転数が第1所定回転数〜第2所定回転数の範囲において、該可動端部21の回転数に対する前記渦巻バネ20の保有弾性増加量を低減させたい場合には、前記渦巻バネ20を形成する前記バネ形成部材20’のうち,前記第1所定回転数〜前記第2所定回転数に対応した領域を前記低バネ定数領域22’とし、その他の領域を前記基準バネ定数領域21’とすることができる。
又、当然ながら、前記渦巻バネ20を形成する前記バネ形成部材20’のバネ定数を、長手方向に沿って3種類以上設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本実施の形態に係る渦巻バネが適用されたシートベルト巻き取り装置の一例を示す図であって、図1(a)は、該シートベルト巻き取り装置の概略構成を示す分解斜視図であり、図1(b)は、該シートベルト巻き取り装置における巻き取り軸及び渦巻バネ部分の側面図である。
【図2】又、図2は、本実施の形態に係る渦巻バネのコイリング加工される前のバネ形成部材の例を示す図であって、図2(a)は、該バネ形成部材の一例を示す概略斜視図であり、図2(b)は、該バネ形成部材の他の例を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、本実施の形態に係る渦巻バネのコイリング加工される前のバネ形成部材のさらに他の例を示す図であって、図3(a)乃至図3(c)は、その概略側面図である。
【図4】図4は、本実施の形態に係る渦巻バネのコイリング加工される前のバネ形成部材のさらに他の例を示す図であって、図4(a)乃至図4(d)は、その概略平面図である。
【図5】図5は、バネ形成部材が渦巻状にコイリング加工されるコイリング加工の例を示す概略側面図であって、図5(a)は、該バネ形成部材が一次巻加工されている状態を示し、図5(b)は、バネ形成部材が二次巻加工されている状態を示す。
【図6】図6は、可動端部の回転数に対する渦巻バネの保有弾性の変化量を示すグラフである。
【符号の説明】
【0053】
10…巻き取り軸 10a…巻き取りリール 20…渦巻バネ 20’…バネ形成部材
21…可動端部 21’…基準バネ定数領域 22…固定端部
22’…低バネ定数領域 100…シートベルト巻き取り装置
L1,L2…所定距離 S…シートベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のバネ形成部材が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネであって、一端部が可動端部とされ且つ他端部が固定端部とされており、前記可動端部が前記渦巻状を縮径させる方向へ回動されることで保有弾性が蓄積されるように構成された渦巻バネであって、
前記バネ形成部材は、基準バネ定数領域と、前記基準バネ定数より低いバネ定数を有する低バネ定数領域とを備えており、前記基準バネ定数領域は前記可動端部から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置し且つ前記低バネ定数領域は前記基準バネ定数領域から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置していることを特徴とする渦巻バネ。
【請求項2】
前記低バネ定数領域は、前記固定端部まで延びていることを特徴とする請求項1に記載の渦巻バネ。
【請求項3】
前記バネ形成部材は、前記低バネ定数領域と前記固定端部との間に、該低バネ定数領域よりもバネ定数の大きい領域を有していることを特徴とする請求項1に記載の渦巻バネ。
【請求項4】
前記バネ形成部材は、渦巻状にコイリング加工された状態において、内端側に位置する端部が前記可動端部とされ且つ外端側に位置する端部が前記固定端部とされていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の渦巻バネ。
【請求項5】
前記バネ形成部材は板状部材とされており、
前記低バネ定数領域は、前記基準バネ定数領域よりも板厚が薄いことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の渦巻バネ。
【請求項6】
前記バネ形成部材は板状部材とされており、
前記低バネ定数領域は、前記基準バネ定数領域よりも幅が狭いことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の渦巻バネ。
【請求項7】
前記低バネ定数領域は、前記基準バネ定数領域よりも低硬度に形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の渦巻バネ。
【請求項8】
前記低バネ定数領域は、前記基準バネ定数領域よりも渦巻状にコイリング加工する際の曲率が大きいことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の渦巻バネ。
【請求項9】
シートベルトが巻き付けられる巻き取りリールに連結される巻き取り軸と、
長尺のバネ形成部材が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネであって、前記巻き取り軸がシートベルト引き出し方向に回転する際に保有弾性が蓄積されるように、可動端部を形成する一端部が前記巻き取り軸に連結され且つ他端部が固定端部とされた渦巻バネとを備えたシートベルト巻き取り装置であって、
前記バネ形成部材は、基準バネ定数領域と、前記基準バネ定数より低いバネ定数を有する低バネ定数領域とを備えており、前記基準バネ定数領域は前記可動端部から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置し且つ前記低バネ定数領域は前記基準バネ定数領域から前記固定端部へ向かう所定距離の間に位置していることを特徴とするシートベルト巻き取り装置。
【請求項10】
長尺のバネ形成部材が渦巻状にコイリング加工された渦巻バネであって、一端部が可動端部とされ且つ他端部が固定端部とされており、前記可動端部が前記渦巻状を縮径させる方向へ回動されることで保有弾性が蓄積されるように構成された渦巻バネであって、
前記バネ形成部材は、長手方向に関し異なる位置に、基準バネ定数領域と、前記基準バネ定数より低いバネ定数を有する低バネ定数領域とを備えていることを特徴とする渦巻バネ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−187219(P2007−187219A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4738(P2006−4738)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】