説明

渦強化濾過装置

本発明の好適な態様は濾過膜(18)の少なくとも一側にテイラー渦を発生するように構成された少なくとも1個のロータ(14)を具え、膜(18)を横切る物質移動、又は熱移動を十分に強化する濾過装置(10)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の好適な態様は物質移動を改善し、濃度分極を最少にするよう、フィルタの少なくとも一側に、テイラー渦を発生する装置に関するものである。本発明の好適な実施例は腎臓疾患の患者からの血液の透析に特に有用である。他の実施例では、熱移動、及び物質移動の分野で、本発明を使用することができる。
【背景技術】
【0002】
昔から、透析は腎臓疾患を治療するために、使用される維持療法である。それには2つの一般的方法がある。一つは腹膜透析法であり、患者の腹膜内で、患者の身体内で、治療が行われる。腹膜透析には血液フィルタとして、患者の腹腔膜を使用する。腹腔を血液透析液で満たし、血流と血液透析液との間の濃度勾配を発生させる。毒素は患者の血流から、血液透析液内に拡散し、この毒素が拡散した血液透析液は新鮮な血液透析液と周期的に交換しなければならない。
【0003】
第2の方法は濾過透析によって行われる。この方法は最初は平坦なシートの透析膜を使用して行われ、数平方メートルの膜を必要とした。装置は大きく、患者に負担を掛けた。1960年代になって、中空繊維透析濾過ユニットが一般化した。大きなフィルタ膜の面積を小さな容積に圧縮し、このユニットに充填するために必要な血液の量は著しく減少し、改善された。
【0004】
中空繊維技術は透析のための比較的安全で、安価な手段を提供したが、なお問題が残されている。中空繊維カートリッジの製作は困難である。患者は依然として、人体とは異質の材料から成る広い表面積に露出されており、しかも、製造に必要な多くの化学物質は患者にとって有害である。キュプラファンは中空繊維製作のための最も普通の膜材料であるが、生体適合性に問題があり、透過性能が比較的低い。平坦なシート状であれば、優れた膜材料であるが、これ等の材料は中空繊維に形成するのが困難である。
【0005】
透析を含む濾過処理のいずれの形式においても最も限定的な問題の一つはフィルタの詰まりであり、科学的に言えば「濃度分極」である。膜の選択的な透過性の結果、膜を通過できない濾過された材料は膜の表面に集中する。この現象はコーヒーフィルタなどでの「デッドエンド」フィルタの場合に明らかに見られる。濾過処理の間、フィルタに積み重なる濾過された材料(コーヒーの出しがら)は濾過液、即ちフィルタを濾過し得る流体(コーヒー)に対する流れの抵抗となる。従って、濾過液の流量は減少し、濾過性能は減少する。
【0006】
濃度分極の問題に対する種々の解決策が提案されている。それ等の中には、流体速度及び/又は圧力の増大(例えば、Merin 等の(1980)J.Food Proc. Pres. 4(3):183-198 参照)、供給流路内の乱流の発生(Blatt 等、Membrane Science and Technology, Plenum Press, New York, 1970, pp. 47-97)、フィルタを越える供給流れを脈動させること(Kennedy 等、(1974) Chem. Eng. Sci, 29:1927-1931 )、接線流及び/又はDean渦を発生する流路の設計(Chung 等、(1993)J. Memb. Sci, 81:151-162)、及びテイラー渦を発生させる回転濾過の使用(例えばLee,及びLueptow(2001) J. Memb. Sci, 192:129-143 、及び米国特許第5194145 号、第4675106 号、第4753729 号、第4816151 号、第5034135 号、第4740331 号、第4670176 号、及び第5738792 号参照、これ等を全て、ここに援用する)がある。米国特許第5034135 号において、Fischel は血液分別を容易にするテイラー渦度の発生を開示している。また、Fischel は回転スピナと円筒ハウジングとの間の間隙の幅を変化させることを開示しているが、円周横断面の周りに幅を変化させることを教示していない。
【0007】
外部部材に対し、内部部材を回転することによって、同軸に配置された円筒部材間の間隙に、テイラー渦が導入される。テイラークェット濾過装置は遠心流の不安定性(「テイラー不安定性」)の結果として、強力な渦度を発生し、この渦度はフィルタの裏側に沿って凝縮された濾過された材料を、処理すべき流体内に混合するように作用する。通常は、静止している外側ハウジング内で、円筒フィルタを回転する。濃度分極に起因する膜の目詰まりはデッドエンド、又は接線濾過に比較し、非常に遅いことが観察された。実際、濾過性能は約100倍、改善される。
【0008】
回転する濾過装置内のテイラー渦の使用は全体の血液から、プラズマを分離するのに適用されている(例えば、米国特許第5034135 号参照)。この用途のためには、分離器は安価で、1回の患者の使用で、使い捨て可能でなければならなかった。更に、これ等の分離器は比較的短時間(例えば、約45分)作動しなければならなかった。更に、この分離器はドナー、即ち提供者から確実に集められる血液の流速(例えば、約100ミリリットル/分)を受け入れられるような寸法にされていた。この技術は血液処理産業に著しい進歩をもたらした。回転濾過システム(テイラー渦)について見られた利点、及び改良された濾過性能は腎臓透析を含む市販されている流体分離の他の分野では探求されたことが無かった。
【0009】
しかし、テイラー渦の使用は濾過についての全ての問題を解決していない。このような回転濾過装置の使用に際しての他の共通の問題は濾過膜の内側での濃度分極である。遠心流れの不安定性は内部部材と外部部材との間の流体を循環させるが、回転する内部部材はその内側の壁の付近の濃度分極を防止しない。従って、内部濃度分極の問題を解決することによって、濾過装置の濾過性能は一層改善される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は上述の従来技術の問題点、特に、濃度分極の問題を解決するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
好適な実施例では、本発明は血液透析装置に関する。この装置はハウジング壁を有する円筒ハウジングを具え、第1円筒ロータは透析膜を具える第1壁を有し、透析膜とハウジング壁との間に第1同軸間隙が存在するように、ハウジング内で、回転するよう、このハウジング内に同軸に第1円筒ロータを配置する。また、第2壁を有する第2円筒ロータを有し、第1壁と第2壁との間に第2同軸間隙が存在するよう、第1円筒ロータ内で回転するように、第1円筒ロータ内に第2円筒ロータを配置する。また、この装置は第1同軸間隙内に血液を導くためのハウジング壁の第1入口ポートと、透析された血液を第1同軸間隙の外に導くためのハウジング壁の第1出口ポートとを有する。透析流体を第2同軸間隙内に導くため、第2入口ポートをハウジングに設け、血液透析液を第2同軸間隙の外に導くため、第2出口ポートを設ける。また、この装置は円筒ハウジング内で、それぞれ第1円筒ロータ、及び第2円筒ロータを回転させるため、第1回転駆動手段と、第2回転駆動手段とを具える。従って、第1ロータ、及び第2ロータを回転する時、第1同軸間隙、及び第2同軸間隙にテイラー渦を発生し、透析膜を横切る物質移動が増大し、膜の両側での濃度分極を防止する。
【0012】
他の好適な実施例では、血液透析用の装置はハウジング壁を有する外部ハウジングと、透析膜を具える第1壁を有し、第1内部を画成する第1ロータとを具える。第1ロータを外部ハウジング内に配置し、外部ハウジング内で回転するようにして、透析膜と、ハウジング壁との間に第1間隙が存在するようにする。この装置は更に、第1間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で外部ハウジング内で、第1ロータを回転させる第1回転駆動手段を具える。
【0013】
他の好適な実施例では、血液透析のための装置を設ける。このシステムは患者から血液を引き出す抽出管と、患者に血液を復帰させる復帰管とを具える。更に、このシステムは血液から副産老廃物を抽出する血液透析装置を具える。この血液透析装置はハウジング壁を有する外部ハウジングと、透析膜を具える第1壁を有する第1ロータとを有する。また、第1ロータは第1内部を画成していて、この第1ロータは上記外部ハウジング内に配置され、この外部ハウジング内で回転するように構成され、透析膜とハウジング壁との間に第1間隙が存在するようにされている。この血液透析装置は更に、血液を第1間隙に導くためのハウジング壁の第一入口ポートと、透析された血液を第1間隙の外に導くためのハウジング壁の第1出口ポートとを有する。更にこの血液透析装置は透析流体を第1内部に導くための外部ハウジングの第2入口ポートと、血液透析液を第1内部の外に導くための第2出口ポートとを有する。更に、この血液透析装置は第1間隙内でテイラー渦度を発生するのに十分な速度で、第1ロータを上記外部ハウジング内で回転させるための第1回転駆動手段を有する。更に、このシステムはプラズマ水を抽出するための分離器と、プラズマ水を血液と一体化する接合部とを具える。
【0014】
他の好適な実施例では、本発明は物質移動を容易にする装置に関する。この装置はハウジング壁を有するハウジングを具え、濾過膜を具える第1壁を有する第1ロータをハウジング内に、回転するように配置して、濾過膜とハウジング壁との間に第1間隙が存在するようにする。また、第2壁を有する第2ロータを有し、この第2ロータを第1ロータ内に回転するように設置し、第1壁と第2壁との間に第2間隙が存在するようにする。また、この装置は第1流体を第1間隙内に導くためのハウジング壁の第1入口ポートと、濾過された第1流体を第1間隙の外に導くためのハウジング壁の第1出口ポートとを有する。また、この装置はハウジング内で第1ロータと第2ロータとを回転させるための第1回転駆動手段、及び第2回転駆動手段とを具える。従って、第1ロータ、及び第2ロータを回転する時、第1間隙、及び第2間隙にテイラー渦を発生し、これにより、濾過膜に通る物質移動を増大し、膜の両側での濃度分極を防止する。
【0015】
他の好適な実施例では、本発明は熱移動を容易にする装置に関する。この装置はハウジング壁を有するハウジングを具え、濾過膜を具える第1壁を有する第1ロータをハウジング内で回転するように、ハウジング内に配置し、濾過膜とハウジング壁との間に第1間隙が存在するようにする。また、第2壁を有する第2ロータを有し、この第2ロータを第1ロータ内で回転するように、第1ロータ内に配置し、第1壁と第2壁との間に第2間隙が存在するようにする。また、この装置は第1流体を第1間隙内に導くためのハウジング壁の第1入口ポートと、濾過された第1流体を第1間隙の外に導くためのハウジング壁の第1出口ポートとを有する。また、この装置は第1ロータ、及び第2ロータをそれぞれ、ハウジング内で回転するための第1回転駆動手段と、第2回転駆動手段とを具える。従って、第1ロータ、及び第2ロータを回転する時、第1間隙、及び第2間隙内にテイラー渦を発生し、それにより、濾過膜に通る物質移動を増大し、膜の両側での濃度分極を防止する。
【0016】
他の好適な実施例では、本発明は第1流体からの物質移動を容易にする装置に関する。この装置はハウジング壁を有するハウジングと、濾過膜を具える壁を有し、内部を画成するロータとを具え、ハウジング内で回転するように、ハウジング内に上記ロータを配置する。更に、この装置は濾過膜とハウジング壁との間に間隙を具え、この間隙は円周の周りに幅が変化する横断面を有しており、間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度でロータを上記ハウジング内で回転させる回転駆動手段を具える。
【0017】
本発明を組み入れている方法の一実施例では、テイラー渦度を発生するように構成された血液透析装置を設けることによって、患者に血液透析を実施する。血液を患者から、血液透析装置内に導入し、血液透析装置内の第1ロータを回転して、血液内にテイラー渦度を発生させる。透析流体をこの血液透析装置内に導入し、透析された血液を血液透析装置から捕集し、患者に復帰させる。
【0018】
患者に血液透析を行う方法の他の実施例では、血液透析装置をまず設ける。この装置はハウジング壁を有するハウジングと、透析膜を具える第1壁を有する第1円筒ロータとを具え、第1円筒ロータをハウジング内で回転するように、このハウジング内に同軸に配置し、透析膜と、ハウジング壁との間に、第1同軸間隙が存在するようにする。また、第2壁を有する第2円筒ロータを設け、この第2円筒ロータを第1円筒ロータ内で回転するように、この第1円筒ロータ内に同軸に配置し、第1壁と第2壁との間に第2同軸間隙が存在するようにする。また、この装置は血液を第1同軸間隙内に導くためのハウジング壁の第1入口ポートと、透析された血液を第1同軸間隙の外に導くためのハウジング壁の第1出口ポートとを有する。透析流体を第2同軸間隙内に導くため、第2入口ポートをハウジングに設け、血液透析液を第2同軸間隙の外に導くため、第2出口ポートを設ける。また、この装置はハウジング内に第1円筒ロータ、及び第2円筒ロータをそれぞれ回転させるための第1回転駆動手段、及び第2回転駆動手段を具える。第1入口ポートを通じて、血液を患者から、第1同軸間隙内に導入する。第1回転駆動手段を使用して、第1円筒ロータを回転することによって、血液中にテイラー渦度を発生する。第2入口ポートを通じて、透析流体を第2同軸間隙内に導入し、第2回転駆動手段を使用して、第2円筒ロータを回転することによって、透析流体内にテイラー渦度を発生させる。第1出口ポートを通じて、透析された血液を血液透析装置から捕集し、第2出口ポートを通じて、血液透析装置から透析流体を捕集する。
【0019】
第1流体から物質移動を行う方法の一実施例では、まず濾過装置を設ける。この濾過装置はハウジング壁を有するハウジングと、濾過膜を具える第1壁を有する第1円筒ロータとを具えている。また、第1円筒ロータは上記ハウジング内で回転するように、このハウジング内に同軸に配置され、濾過膜とハウジング壁との間に第1同軸間隙が存在する。また、この濾過装置は第2壁を有する第2円筒ロータを有し、上記第2円筒ロータを上記第1円筒ロータ内で回転するように、この第1円筒ロータ内に同軸に配置し、第1壁と、第2壁との間に第2同軸間隙が存在するようにする。更に、この濾過装置はハウジング壁の第1入口ポートと、ハウジング壁の第1出口ポートとを有する。また、この濾過装置は上記ハウジング内で、第1円筒ロータ、及び第2円筒ロータを回転させるための第1回転駆動手段、及び第2回転駆動手段を有する。第1入口ポートを通じて、第1流体を第1同軸間隙内に導入する。第1回転駆動手段を使用して、第1円筒ロータを回転することによって、第1流体内にテイラー渦度を発生させる。また、第2回転駆動手段を使用して、第2円筒ロータを回転することによって、テイラー渦度を発生させる。第1出口ポートを通じて、濾過された第1流体を濾過装置から、捕集する。
【0020】
第1流体からの熱移動を行う方法の一実施例では、まず、濾過装置を設ける。この濾過装置はハウジング壁を有するハウジングと、膜を具える第1壁を有する第1円筒ロータとを有する。また、第1円筒ロータを上記ハウジング内で回転するように、ハウジング内に同軸に配置し、膜と、ハウジング壁との間に、第1同軸間隙が存在するようにする。また、この濾過装置は第2壁を有する第2円筒ロータを有し、この第2円筒ロータを上記第1円筒ロータ内で回転するよう、この第1円筒ロータ内に同軸に配置し、第1壁と第2壁との間に第2同軸間隙が存在するようにする。更に、この濾過装置はハウジング壁に第1入口ポートと、ハウジング壁に第1出口ポートとを有する。また、この濾過装置は上記ハウジング内で、第1円筒ロータ、及び第2円筒ロータを回転させる第1回転駆動手段、及び第2回転駆動手段を有する。第1入口ポートを通じて、第1流体を第1同軸間隙内に導入する。第1回転駆動手段を使用して、第1円筒ロータを回転することによって、第1流体内にテイラー渦度を発生する。また、第2回転駆動手段を使用して、第2円筒ロータを回転することによって、テイラー渦度を発生する。第1出口ポートを通じて、熱交換された第1流体をこの濾過装置から捕集する。
【0021】
半透過性遮壁を通ずる、物質移動を増大する方法の他の好適な実施例では、この遮壁の両側に過度を発生させる。
【実施例】
【0022】
ここで、テイラー渦度と称しているテイラー渦はフィルタに通る物質移動を一次、又は二次の大きさで増大させ得ることは良く知られている。このことは供給流体から寸法による分離によって、流体の成分を除去するのが望ましい場合に有用である。例えば、血液からプラズマを除去する際に、テイラー渦度は有用である。ここでの分離機構はフィルタの孔の寸法によって成し遂げられる。
【0023】
他の分離のプロセスでは、濃度勾配を追求することによって、供給流体の成分を除去する。この例は透析にあり、特に、血液の透析にある。この場合は、血液を膜の一側に置き、低濃度の尿素、及びその他の副産老廃物を有する流体を膜の反対側に置くことによって、尿素、及びその他の低分子量の副産老廃物を血液から除去する。尿素、及びその他の副産老廃物は濃度勾配に従って動き、膜を通じて、血液から、透析流体に移動する。代案として、フィルタの孔の寸法と、濃度勾配とを組み合わせて透析に使用してもよい。プラズマ水はその分子寸法が小さい結果、膜を横切って、一層自由に動き、また、血液中の副産老廃物はその寸法、及び生じている濃度勾配の結果として、膜を横切って拡散する。
【0024】
濃度分極を減少させるとともに、濾過膜を通ずる低分子量の副産老廃物の物質移動を増大させるテイラー渦度を発生するシステムを使用することによって、このような血液透析装置の性能を向上させる。本発明の一実施例では、このようなテイラー渦度を発生する血液透析装置を提供する。
【0025】
上述したように、濃度分極は膜の血液透析液側、及び血液側において、問題になり得る。本発明の好適な実施例では、膜の両側にテイラー渦を発生させることによって、濾過膜の両側における濃度分極の問題を解決する。第1ロータを具える濾過膜の両側にテイラー渦度を発生させることは、本発明の好適な実施例に従って、第1ロータの内側に、第2回転ローラを設けることによって、成し遂げられる。第1流体から膜への移送、及び膜から、第1ロータ、及び第2ロータ間の間隙内への移送の両方の移送を向上させるのに、このことを使用することができる。
【0026】
図1はこの発明の可能性ある一実施例の横断面を示し、単一のロータ装置がテイラー渦度を発生している。図示の実施例では、血液から、好ましくない副産老廃物を濾過する血液透析を遂行するため、この濾過装置10を使用する。他の実施例では、更に一般的に、一つ流体から他の流体に、物質を移送するのに、装置10を使用する。なお他の実施例では、一つ流体から他の流体に、熱を移送するのに、装置10を使用する。当業者には良く知られているように、本発明は医療への適用に限定すべきでない。
【0027】
一実施例では、濾過装置10は円筒ロータ14を収容する円筒ケース12を具える。ケース12とロータ14との間には間隙16があり、好適な実施例では、ロータ14は円筒ケース12内に同軸に配置されている。他の実施例では、ケース、及びロータのために、異なる幾何学形状、及び形態を採用し、テイラー渦度を発生する他の流体、及び他の手段にも対応し得るようにする。
【0028】
図示の実施例では、ロータ14の円筒形の円周壁は少なくとも一部、濾過膜18から成り、一部はロータの内部20を画成している。更に、ロータの内部20はロータ14の頂壁と、底壁とによって画成されており、濾過膜を具えていても、具えていなくとも良い。図1に示すように、濾過膜18は透析膜であり、血液中に存在する副産老廃物を現す小さい分子から、中間の大きさの分子までに対する多孔性の、即ち浸透性の膜である。代表的な用途では、この透析膜18は約10000(1万)ダルトンの質量まで対応できる多孔性、即ち浸透性である。他の実施例では、濾過、及び/又は熱伝達の程度を変化させるのを異なる濾過膜の使用によって容易にすることができる。例えば、熱伝達、即ち熱移動の用途では、この濾過膜を不透過性構造にし、しかも熱の有効熱伝達体にすることもできる。
【0029】
図示の実施例では、円筒ケース12は3個の流体のアクセスポート22、24、26を有しており、そのうちのポート22、24はケース22とロータ14との間の間隙16に達しており、ポート26はロータの内部20から延びている。他の実施例では、異なる流体アクセス形態を設けることができる。例えば、一実施例では、唯1個の流体アクセスポートをケースとロータとの間の間隙まで達せしめ、2個のポートはロータ内部に達せしめる。
【0030】
一実施例では、円筒ケース12の軸線Aに、2個の枢着ピン30、32を両端に1個宛、取り付ける。これ等の枢着ピン30、32はロータ14の回転軸線Aを画成しており、このロータ14の自由な回転を容易にしている。図示されているように、底部枢着ピン32は中空であり、ケース12、及びロータ14に通る流体移送路を生ぜしめている。もちろん、他の実施例では、頂部枢着ピン30も中空にし、他方の流体アクセスポートを収容する。例えば、当業者に良く知られている玉軸受アセンブリ、及びその他の手段を含む回転を容易にする他の手段を設けることができる。
【0031】
本発明の一実施例では、ロータ14は円筒ケース12内で自由に回転することができる。この回転を制御するため、ロータ14の内部にスピナ磁石34を取り付けてもよく、このスピナ磁石34と相互作用をするように、外部回転磁界(図示せず)を構成させる。外部磁界を変調することによって、磁石34、ひいてはロータ14を変化する速度で異なる方向に回転させることができる。本発明の好適な実施例ではロータ14とケース12との間の間隙16内の流体内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で、ロータ14を回転させる。この間隙16内にテイラー渦度を生ぜしめることによって、濾過性能を劇的に向上させることができる。テイラー渦度を発生させるため、ロータ14を回転させる他の手段であって、当業者に既知の手段も本発明の範囲内で使用することができる。例えば、一実施例では、枢着ピンの少なくとも一方に、例えばロータ14に取り付けられた頂部枢着ピン30にモータを取り付けてもよい。
【0032】
一実施例では、濾過装置10の頂部を包囲する一連の磁気コイルによって、ロータ14を制御する回転磁界を生ぜしめる。これ等の電気コイルアセンブリを装置10の周りに閉じている半アーチ(「C」形断面)の形状に形成することができる。しかし、他の形態も可能である。
【0033】
装置10に図示された大きさは血液透析には十分であると考えられるが、他の用途においては、処理される特定の流体に適合するよう、一層大きな、又は一層小さな濾過装置を利用する。
【0034】
血液透析の用途では、ロータ14とケース12の内壁との間の間隙16は血液中に十分なテイラー渦度を発生するように選択される。この間隙16はロータ14の直径と毎分の回転数とによるが、これ等のパラメータは当業者によって変更することができる。毎分の回転数が約1000〜5000で、ロータの直径が約2.54mm〜254mm(0.1〜10インチ)の範囲の遠心速度の場合、テイラー渦を発生するのに十分な幅は約0.076 mm〜7.6 mm(0.003〜0.3インチ)の範囲内にある。毎分約2400の回転数で回転する直径約25.4mm(1インチ)のロータ14に対しては、約0.762 mm(0.03インチ) の幅を有する間隙16であれば十分なテイラー渦度を生ずるはずであり、一層好適である。
【0035】
図2〜図4は上述の血液透析装置の種々の実施例の若干の他の構造要旨を示している。特に、種々の利点が得られるように実施されたハウジング、及びロータの種々の幾何学形状、及び形態を示している。図2は上述の実施例を示している。この図面に一層明らかなように、ロータ14は円筒形で、円筒ケース12内に同軸に設置されている。従って、間隙16は装置10の円周の周りに一定幅である。この比較的単純な実施例では、ロータ14の適切な速度の調整を一層容易に行うことができ、テイラー渦は全体の濾過膜18の周りに、かなり一定の強度である。
【0036】
図3はケース12、及びロータ14の他の形態を示している。この実施例では、ケース12、及びロータ14の個々の横断面は図2のものに類似しているが、同軸に配置されていない。従って、図3に示すように、間隙16の幅はケース12の円周の周りに変化している。生ずるテイラー渦の強さを反映するテイラー数は間隙の幅に正比例するから、ケース12の壁から一層離れているロータ14の部分はケース12の壁に一層近いロータ14の部分より一層大きなテイラー渦度を生ずる。ロータ14がこれ等の一層広い間隙位置を通過する際、残留濃度分極、及びフィルタ隔膜18の目詰まりは一層強力なテイラー渦によって「吹き飛ばされ」、膜18の目詰まり帯域は開放される。その結果、一回転毎に、膜18の縦方向に延びている部分は間隙16の広くなった部分を通過することによって「清掃」され、装置10の効率は改善される。更に、間隙16の幅が減少する場所では、間隙内の剪断力が増大し、この変化する剪断力は膜18を横切る質量移動を増大させる。従って、一回転毎に、ロータ14上の膜18上のいかなる点においても、剪断作用を増大し、渦度を減少させることができる。
【0037】
図4では、同様に、一定でない間隙幅を生ずるケース12、及びロータ14の他の形態を示している。この形態では、ケース12、及びロータ14は図2のものと同様に構成されているが、ケース12はその壁に組み込んだ膨大部42を有する。従って、間隙16の幅はケース12の円周の周りに変化し、膨大部42の位置で広くなり、図3についての上述の利点を生ずる。この実施例における広い幅と、狭い幅との間の急激な変化は透析を容易にする更なる渦特性を生ずる。他の実施例では、可変幅の間隙16を生ずるよう、ケース12、及びロータ14の横断面形状を他の形状にすることができる。
【0038】
図1に戻り、この図面を参照して、血液透析装置10を実施する一方法を説明する。矢印36、38、及び40は装置10に流入し、流出する流れの入力、及び出力を示している。図示の実施例では、患者からの血液はロータ14とケース12との間の間隙16に流れ、プラズマ水、及び副産老廃物はロータの内部20内に濾過される。血液と、最初に膜18を横切るプラズマ水との間の濃度勾配に起因し、或る量の副産老廃物が透析膜18を通って、プラズマ水内に、優先的に流れ、血液を透析する。ロータ14は血液内にテイラー渦を発生するのに十分な速度で回転し、透析膜18に近い血液内の濃度分極を防止する。このようにして、本発明の一実施例は一層小さな一層生体適合性がある血液透析装置10を使用するのを可能にする。
【0039】
一層詳細に説明すれば、血液入口ポート22を円筒ケース12の頂部に設置し、血液出口ポート24を底部に設置する。これにより、重力のエネルギー、及び血液の流入からの圧力とを単に使用して、血液を頂部から底部に流す。或る量の血液を血液透析装置10の頂部から底部まで移動させるのに要する時間内に、希望する量の副産老廃物が抽出し終わっているように、装置10を設計するのが好適である。プラズマ水、及び副産老廃物の出口ポート26はロータ14の底部に設置する。好適な実施例では、以下に一層詳細に説明するように、この溶液は装置10から流出する。
【0040】
他の実施例では、血液透析を容易にするため、透析流体を使用する。他の流体用アクセスポートを装置10の頂部に加えて、透析流体を装置に入れることができるようにする。図6を参照して詳細に説明するように、副産老廃物は透析流体内に拡散し、血液透析液の流れによって、装置から運び出される。他の変形も本発明内で実施することができる。
【0041】
図5は二重ロータ装置がテイラー渦度を発生する本発明の他の可能な実施例の横断面を示す。図示の実施例では、濾過装置110を使用して、望ましくない副産老廃物を血液から、透析流体内に濾過する血液透析を遂行する。他の実施例では、装置110を使用して、一層、一般的に、一方の流体から、他方の流体に、物質を移送する。また、他の実施例では、装置110を使用して、熱を一方の流体から、他の流体に移送する。当業者には明らかであるが、本発明は医療の用途に限定されない。
【0042】
一実施例では、濾過装置110は円筒外部ロータ114を収容する円筒ケース112を具える。円筒ケース112と、外部ロータ114との間に第1間隙116が存在し、この第1間隙を通じて、血液を流すが、好適な実施例では外部ロータ114を円筒ケース112内に同軸に配置する。他の実施例では、図2〜図4を参照して、上に説明したように、円筒ケース、及びロータに対しては種々の幾何学形状、及び形態を選択することができる。
【0043】
図示の実施例では、外部ロータ114の円筒形の円筒壁は少なくとも一部、濾過膜118から成り、外部ロータの内部120を一部画成している。この外部ロータの内部120は更に、外部ロータ114の頂壁と底壁とによって、画成されており、これ等の頂壁、及び底壁は濾過膜を具えていても、具えていなくともよい。図5に示すように、この濾過膜118は透析膜である。他の実施例では、濾過作用、及び/又は熱移送の程度を変化させるのを、異なる濾過膜の使用によって、容易にすることができる。例えば、熱移送、即ち熱移動の用途では、不透過性でありながら、有効な熱伝達体である構造に濾過膜を構成する。
【0044】
一実施例では、円筒ケース112の軸線Aに2個の枢着ピン130、132をそれぞれの端部に1個宛取り付ける。これ等の枢着ピン130、132は外部ロータ114の回転軸線Aを画成しており、この外部ロータ114の自由な回転を容易にしている。図面に示すように、枢着ピン130、132も中空であり、円筒ケース112、及び外部ロータ114に貫通する流体移送通路を提供している。他の実施例では、この分野で当業者に良く知られた、例えば玉軸受装置、及びその他の手段を含む回転を一層容易にする他の手段を設けることができる。
【0045】
本発明の一実施例では、外部ロータ114を円筒ケース112内で自由に回転することができる。この回転を制御するため、外部ロータ114の内部にスピナ磁石134を取り付け、このスピナ磁石134に交差する外部回転磁界(図示せず)を構成する。この外部磁界を変調することによって、スピナ磁石134、従って外部ロータ114を異なる方向に、変化する速度で回転させることができる。本発明の好適な実施例では、外部ロータ114と円筒ケース112との間の第1間隙116内の流体にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で外部ロータ114を回転させることができる。この第1間隙116内にテイラー渦度を発生させることによって、濾過性能を劇的に改善することができる。テイラー渦度を発生するため外部ロータ114を回転させる他の手段を本発明の実施に使用し得ることは当業者には明らかである。例えば、一実施例では、外部ロータ114に取り付けた枢着ピンの少なくとも一方、例えば上部枢着ピン130にモータを取り付けてもよい。
【0046】
外部ロータ114の内部には、また、内部ロータ144を上下の枢着ピン130、132によって支持するが、同軸に取り付けてもよく、2個のロータ114、144の間に、第2間隙146を生じさせる。内部ロータ144は一部、他の濾過膜を具えることができるが、好適な実施例では、内部ロータは比較的不透過性で、2個のロータ114、144の間に、単に第2間隙を画成している。外部ロータ、及びケースに関して、上に一層詳細に説明したように、内部ロータ144は異なる横断面の幾何学形状を有していてもよく、軸線を合致させないで、他の流体を受け入れてもよく、テイラー渦度を発生する他の手段を受け入れてもよい。これ等の代案の実施例では、外部ロータ114を支持する構造以外の構造によって、内部ロータ144を支持し、内部ロータを異なる軸線の周りに回転してもよい。
【0047】
好適な実施例では、外部ロータ114、及び円筒ケース112内で、内部ロータ144が自由に回転する。この回転を制御するため、内部ロータ144の内部に第2スピナ磁石148を取り付け、この第2スピナ磁石148に相互作用をするように、第2外部回転磁界(図示せず)を構成する。図示の実施例では、内部ロータ144のための第2スピナ磁石148を装置110の頂部に設置し、外部ロータ114のためのスピナ磁石134を装置110の底部に設置する。このようにして、2個の別個の独立した磁界により、2個のロータ114、144の回転を制御することができる。上に更に詳細に述べたように、内部ロータ144に取り付けた第2スピナ磁石148は外部ロータ114に取り付けられたスピナ磁石と同様に制御される。好適な実施例では、内部ロータと外部ロータとの間の第2間隙146内に、テイラー渦度を発生するのに十分な速度で内部ロータ144を回転する。他の好適な実施例では、内部ロータ144を外部ロータ114の回転方向の反対方向に回転し、一層強力なテイラー渦度を発生させる。この第2間隙146内にテイラー渦度を発生させることによって、内部ロータ144に向いている濾過膜118の側での濃度分極を防止するので、濾過性能を一層、改善することができる。テイラー渦度を発生させるため、内部ロータ144を回転させる当業者には既知の他の手段を使用することもできる。例えば、一実施例では、枢着ピンの少なくとも一方に、例えば内部ロータ144に取り付けた下部枢着ピン132にモータを取り付けてもよい。
【0048】
一実施例では、2個のロータを制御する回転磁界を一連の磁気コイルによって作ることができ、これ等の磁気コイルは濾過装置110の頂部、及び底部を包囲している。予め連結している管(図示せず)を図示の実施例の軸線A上で、装置110に入れて、この装置内に存在させることにより、これ等の電気コイルアセンブリを半アーチ形(「C」形)に形成することができ、装置10の周りに閉じることができる。
【0049】
装置110の図示の寸法は血液透析には十分であると考えられるが、他の用途では、特殊な流体を処理するのに適するよう、一層大きな、又は一層小さな濾過装置を利用することができる。
【0050】
血液透析の用途では、外部ロータ114とケース112の内壁との間の第1間隙116は血液中に十分なテイラー渦度を生ずるように選択する。この第1間隙116は外部ロータ114の直径と毎分の回転数とによって定まり、このパラメータは一当業者によって変更することができる。外部ロータの直径が2.54mm〜254mm(0.1 〜10インチ)で、毎分の回転数が1000〜5000の範囲内での遠心速度の場合、テイラー渦度を発生する十分な幅は約0.076 mm〜7.62mm(0.003 〜0.3 インチ)の範囲内にある。一層好適な場合には、約0.76mm(0.03インチ)の幅を有する第1間隙116は毎分約2400回転で回転する直径約25.4mm(1インチ)の外部ロータ114に対して、十分なテイラー渦度を生ずる。
【0051】
図示の実施例では、内部ロータと外部ロータとの間の第2間隙146は透析に十分なテイラー渦度を発生するように選択する。この第2間隙146は内部ロータと外部ロータとの直径、及び毎分回転数の差によって定まる。内部ロータの直径が約2.5 mm〜254 mm(0.1〜10 インチ)で、毎分回転数が1000〜5000の範囲内の遠心速度の場合、内部ロータ144と外部ロータ114との間に、テイラー渦度を発生するのに十分な幅は約0.076 mm〜7.62mm(0.003 〜0.3 インチ)の範囲内にある。好適には、約0.76mm(0.03インチ)の幅を有する第2間隙146は毎分約3600回転で回転する直径約20.32 mm(0.8 インチ)の内部ロータに対して十分なテイラー渦度を発生するはずである。この好適なパラメータの組は毎分回転数が約1200回転の外部ロータ114に対して相対的な内部ロータ144の回転速度を与える。代案として、外部ロータ114の回転方向の反対方向に内部ロータ144を回転することによって、透析において、強力なテイラー渦度を発生することができる。
【0052】
種々の潜在的な用途に対しては、内部ロータ、外部ロータ、及びケースの寸法、及び速度は劇的に相違している。例えば、或る産業的な用途では、一層大きな流れ、及び粘性が相違する流体を受け入れるため、濾過装置110を著しく大きな規模に設計する。間隙、ロータの寸法、遠心速度、及びロータの回転方向を最適なものにすることは、ここに教示したところに基づいて、当業者であれば行うことができる。
【0053】
図示の実施例では、円筒ケースは4個の流体アクセスポート122、124、126、128を有する。第1入口ポート122は円筒ケース112の頂部に設置され、第1出口ポート124は底部に設置されている。血液透析の用途では、これにより、重力のエネルギーと、血液の流入からの圧力とを使用して、簡単に、第1間隙116を通じて、血液を頂部から底部に流す。或る量の血液を血液透析装置110の頂部から底部に移送するのに要する時間内に、希望する量の副産老廃物を抽出してしまうように、装置110を設計するのが好適である。第2入口ポート126は外部ロータ114の底部に設置され、第2出口ポート128は外部ロータ114の頂部に設置されている。この血液透析の用途では、透析流体は内部ロータと外部ロータとの間の第2間隙146を通じて、装置110の底部のポートから頂部のポートまで流れる。この好適な実施例では、血液の流路と血液透析液の流路とが反対方向であることを意味する向流物質移動を利用するように、流体路を設計する。透析膜118を介して、新鮮な血液透析液は濃度勾配が最低の最も透析された血液に露出される。しかし、当業者には良く知られているように、本発明を実施するのに、他の数、及び形態の流体アクセスポートを使用することができる。
【0054】
第1入口ポート122、及び第1出口ポート124はケース112の外径上にあるから、この流路には高圧は必要でない。このような状況であれば、図示の実施例では、血液は外部ロータ114の回転中心に向け、強制的に押圧されることはなく、従って、内部ロータ144に血液が入るのを防止する流体シ−ルは必要でない。血液透析、又はその他の用途で、一層高い流体圧力を採用する場合か、又は何らかの理由で、濾過のための流体を内部ロータ144に入れる場合には流体シ−ルを加えることができる。
【0055】
好適な実施例では、血液透析液が下部枢着ピン132を通り、次に、内部ロータと外部ロータとの間の第2間隙146内に指向するが、外部ロータ114とケース112との間の第1間隙116内に下降することがないように、血液透析液用の第2入口ポート126の形態を定めることができる。図示の実施例では、外部ロータ114とケース112との間の第1間隙116内に血液透析液が移動するのを防止するため、頂部の枢着ピン130の流体シ−ル150を設けている。このシ−ル150は任意の通常のポリマーリップシ−ルにすることができる。当業者には良く知られているように、他のシ−ルでも使用することができる。代案としての実施例では底部の枢着ピン132に、他の流体シ−ルを設けている。
【0056】
本発明を実施する一方法はテイラー渦度を生じている透析膜118に血液を露出し、外部ロータ114とケース112との間の第1間隙116内での濃度分極を最小にし、患者の血液から、低分子量の副産老廃物を除去する能力を最大にすることである。濾過装置110に通すプロセスにおいて、血液透析液もテイラー渦度に露出し、透析膜118の内部に近い濃度分極層を最小にし、低分子量の副産老廃物を血液透析液流に混合する能力を最大にする。
【0057】
図6に関連して、図5において説明した装置を使用して、血液透析を遂行する例示の方法を説明する。装置110内において、外部ロータ114とケース112との間、及び内部ロータ144と外部ロータ114との間の流体に、テイラー渦を発生するのに十分な速度で、内部ロータ、及び外部ロータを反対方向に回転させる。血液は患者から、特定の流速(矢印136で示す)で集められ、装置110の頂部にある血液入口ポート122を経て、血液透析装置110に入る。また、透析流体は底部から、第2血液透析液入口ポート126を経て、矢印140にて示すように血液透析装置に入る。2つの流体はロータから力を受け、これ等の流体内にテイラー渦を形成する。従って、濃度分極は外部ロータ114の透析膜118において、著しく和らげられ、膜118を通じて、副産老廃物の一層、一定な流れが、血液透析装置内に移動する。血液透析液は血液透析装置110を通じて、外部ロータと内部ロータとの間の第2間隙146内を移動し、透析出口ポート128を通じて、頂部から出るが、一方、透析を受けた血液は装置110の底部の血液出口ポート124を通じて出て、患者に復帰する。
【0058】
血液透析の上述の両方の方法の一つの問題は図示の透析膜は水、及び副産老廃物に対し、多孔性、即ち浸透性であることである。従って、透析膜を通じて、大量のプラズマ水が副産老廃物を随伴し、血液出口ポートを通じて出る透析を受けた血液の流れはこの血液透析装置に入る血液より、大きく減少する。一実施例では、透析を受けた血液が患者に復帰する前に、接合部において、この透析を受けた血液には滅菌置換流体が加えられるかも知れない。しかし、この実施例は汚染置換流体に患者を露出する危険にさらし、置換流体の費用により血液透析の費用を増大させる。
【0059】
他の、一層好適な実施例では、患者を置換流体の一供給源として使用する。このことは血液透析液、又は第2分離器を通じて、血液透析装置から出るプラズマ水を指向させることによって達成される。この第2分離器は水と塩分を通過させ、好ましくは副産老廃物を残すように選択された一層小さい孔寸法の膜を有する。水と塩分は生物適合性の置換流体を構成しており、最初の血液透析において、大量に失われた分に置き替えるため、透析を受けた血液に加えることができる。一実施例では、第2分離器は上述の血液透析装置10、又は110と同様に機能する第2濾過装置から成る。この第2濾過装置は濾過膜の多孔性、即ち浸透性のみが相違しており、これは装置から流れる流体の残りから、水と塩分とを分離するのに、その膜を使用するからである。
【0060】
図5に従って構成された装置を使用する一実施例ではでは、血液を患者から集めて、血液濾過装置110に流す。血液濾過液も血液透析装置110に流し、流入するプラズマ水、及び血液透析膜118に通る副産老廃物を受け取る。血液透析液は血液透析装置110から流出して、上述の第2濾過装置に入る。この第2濾過装置は抽出された副産老廃物から、プラズマ水を分離するための第2分離器として作用する。この第2濾過装置において、抽出されたプラズマ水は濾過された血液と、接合部において結合し、患者に復帰する。若干の実施例では、プラズマ水の全部がこのシステムにおいて、回収される訳ではなく、そこで、患者に復帰する前に、透析された血液に、付加的置換流体を加えなければならない。しかし、ドナー、即ち提供者として患者自身を使用することによって、人工的な置換流体の容積は減少する。
【0061】
血液透析装置110から流れる血液透析液を濾過し、透析を受けた血液にプラズマ水を復帰させるように、第2濾過装置を記述したが、他の位置において、このシステムからのプラズマ水を濾過し、他の位置において、このシステムに戻すようにしてもよいことは明らかである。例えば、一実施例において、プラズマ水を血液透析液から濾過し、次に、透析を行う前に、このプラズマ水を血液に復帰させる。患者を置換流体のドナーとして、即ち提供者として患者を使用する他の実施例は当業者に良く知られているように、具体化することができる。
【0062】
図7において、逆浸透膜(RO膜)を通る増大する物質移送に関し、テイラー渦度の利点が明らかである。この要旨は本明細書に援用したLee とLueptow の文献に由来する。その結果はプラズマフェーレーシス(血漿交換)におけるテイラー渦度の利点を本発明者が観察したところと合致する。通常の接線流において、観察する間、プラズマフラックス(物質移動)は100倍増大した。本発明の渦強化装置に適用した時、約100倍の物質移送の速度の増加は有効な濾過のために必要な膜の面積を約100分の1に減少させるはずである。更に、通常の中空繊維形状に適合しない(例えば膜材料を中空管に成形するのが困難な)多くの材料をこの設計は血液透析膜として使用できるようにしている。
【0063】
本発明の好適な実施例に多くの変更を加えることができ、また、そのような変更は開示された本発明の範囲内にあることは当業者には明らかである。従って、特許請求の範囲はそのような変更を全て包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の渦強化透析装置の一実施例の縦断面を示す。
【図2】図1の装置の一実施例の横断平面図である。
【図3】渦強化透析装置の第2実施例の横断平面図である。
【図4】渦強化透析装置の第3実施例の横断平面図である。
【図5】本発明の二重ロータ渦強化透析装置の一実施例の縦断面図である。
【図6】血液(外側間隙)、及び血液透析液(内側間隙)の流路を明示した図5の縦断面図である。
【図7】回転する逆浸透膜の物質移動の相互関係を示し、塗り潰した記号は実験データを示しており、誤差を示す棒はその棒が示されている場合を除き、記号より小さく示されており、太い線は最小自乗法適合を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング壁を有する円筒ハウジングと、
透析膜を具える第1壁を有する第1円筒ロータであって、前記透析膜と前記ハウジング壁との間に第1同軸間隙が存在するように、前記ハウジング内で回転するよう、前記ハウジング内に同軸に配置された第1円筒ロータと、
第2壁を有する第2円筒ロータであって、前記第1壁と前記第2壁との間に第2同軸間隙が存在するように、前記第1円筒ロータ内で回転するよう、前記第1円筒ロータ内に同軸に配置された第2円筒ロータと、
前記第1同軸間隙内に血液を導くための前記ハウジング壁の第1入口ポートと、透析された血液を前記第1同軸間隙の外に導くための前記ハウジング壁の第1出口ポートと、
透析流体を前記第2同軸間隙内に導くための前記ハウジングの第2入口ポートと、血液透析液を前記第2同軸間隙の外に導くための前記ハウジングの第2出口ポートと、
前記ハウジング内で、前記第1円筒ロータを回転させる第1回転駆動手段と、
前記ハウジング内で、前記第2円筒ロータを回転させる第2回転駆動手段とを具えることを特徴とする血液透析装置。
【請求項2】
前記第1回転駆動手段は前記第1円筒ロータに取り付けられたスピナ磁石と、外部回転磁界とを具える請求項1の装置。
【請求項3】
前記第2回転駆動手段は前記第2円筒ロータに取り付けられたスピナ磁石と、外部回転磁界とを具える請求項1の装置。
【請求項4】
前記第1円筒ロータは前記第1同軸間隙内の血液にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で回転するものである請求項1の装置。
【請求項5】
前記第2円筒ロータは前記第2同軸間隙内の血液透析液にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で回転するものである請求項1の装置。
【請求項6】
ハウジング壁を有するハウジングと、
透析膜を具える第1壁を有し、第1内部を画成する第1ロータであって、前記透析膜と前記ハウジング壁との間に、第1間隙が存在するように、前記ハウジング内に回転するよう、前記ハウジング内に配置された第1ロータと、
前記第1間隙内に、テイラー渦度を発生するのに十分な速度で、前記ハウジング内に、前記第1ロータを回転する第1回転駆動手段とを具えることを特徴とする血液透析装置。
【請求項7】
前記第1回転駆動手段は前記第1ロータに取り付けられたスピナ磁石と、外部回転磁界とを具えている請求項6の装置。
【請求項8】
前記第1間隙は可変幅を有する横断面を有する請求項6の装置。
【請求項9】
前記第1壁はほぼ円形の横断面を有する請求項6の装置。
【請求項10】
前記第1ロータは前記ハウジング内に同軸に配置されている請求項9の装置。
【請求項11】
前記第1ロータは前記ハウジング内に同軸でなく配置されている請求項9の装置。
【請求項12】
前記第1間隙内に血液を導く前記ハウジング壁の第1入口ポートと、透析された血液を前記第1間隙の外に導くための前記ハウジング壁の第1出口ポートと、
透析流体を前記第1内部内に導くための前記ハウジングの第2入口ポートと、血液透析流体を前記第1内部の外に導くための前記ハウジングの第2出口ポートとを更に具える請求項6の装置。
【請求項13】
第2壁を有し、第2内部を画成する第2ロータであって、前記第1壁と前記第2壁との間に第2間隙が存在するように、前記第1内部内で回転するよう、前記第1内部内に配置された第2ロータと、
前記第2間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で、前記第2ロータを前記第1ロータ内で回転させる第2回転駆動手段とを更に具える請求項12の装置。
【請求項14】
前記第2入口ポートは透析流体を前記第2間隙内に導き、前記第2出口ポートは血液透析液を前記第2間隙の外に導くもにである請求項13の装置。
【請求項15】
前記第2壁が透析流体に対して不透過性である請求項13の装置。
【請求項16】
前記第2回転駆動手段は前記第2ロータに取り付けられたスピナ磁石と、外部回転磁界とを具える請求項13の装置。
【請求項17】
前記第2間隙は可変幅を有する横断面を有する請求項13の装置。
【請求項18】
前記第2壁はほぼ円形の横断面を有する請求項13の装置。
【請求項19】
前記第2ロータは前記第1ロータ内に同軸に配置されている請求項18の装置。
【請求項20】
前記第2ロータは前記第1ロータ内に同軸でなく配置されている請求項18の装置。
【請求項21】
患者から血液を引き出す抽出管と、
血液を患者に復帰させる復帰管と、
血液から副産老廃物を抽出する血液透析装置とを具え、
前記血液透析装置は
ハウジング壁を有するハウジングと、
透析膜を具える第1壁を有し、第1内部を画成する第1ロータであって、前記透析膜と前記ハウジング壁との間に第1間隙が存在するように、前記ハウジング内で回転するよう、前記ハウジング内に配置された第1ロータと、
血液を前記第1間隙内に導くための前記ハウジング壁の第1入口ポートと、透析された血液を前記第1間隙の外に導くための前記ハウジング壁の第1出口ポートと、
透析流体を前記第1内部内に導くための前記ハウジングの第2入口ポートと、血液透析液を前記第1内部の外に導くための前記ハウジングの第2出口ポートと、
前記第1間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で、前記第1ロータを前記ハウジング内で回転させる第1回転駆動手段とを具え、
更に、プラズマ水を抽出する分離器と、
前記プラズマ水を前記血液に一体化する接合部とを具えることを特徴とする血液透析システム。
【請求項22】
前記接合部は前記抽出管に連結している請求項21のシステム。
【請求項23】
前記接合部は前記復帰管に連結している請求項21のシステム。
【請求項24】
前記分離器は、
分離器ハウジング壁を有する分離器ハウジングと、
分離膜を具える第1分離器壁を有し、第1分離器内部を画成する第1分離器ロータであって、前記分離膜と前記分離器ハウジング壁との間に、第1分離器間隙が存在するように、前記分離器ハウジング内で回転するよう、前記分離器ハウジング内に配置された第1分離器ロータと、
第1流体を前記第1分離器間隙内に導くための前記分離器ハウジング壁の第1分離器入口ポートと、前記第1流体を前記第1分離器間隙の外に導くための前記分離器ハウジング壁の第1分離器出口ポートと、
プラズマ水を前記第1分離器内部の外に導くための前記分離器ハウジングの第2分離器出口ポートと、
前記第1分離器間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で、前記第1分離器ロータを前記分離器ハウジング内で回転させる第1分離器回転駆動手段とを具える請求項21のシステム。
【請求項25】
前記第1流体が血液透析液である請求項24のシステム。
【請求項26】
ハウジング壁を有するハウジングと、
濾過膜を具える壁を有し、内部を画成するロータであって、前記ハウジング内で回転するように、前記ハウジング内に配置されたロータと、
前記濾過膜と前記ハウジング壁との間にあって、可変幅を有する横断面を有する間隙と、
前記間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で、前記ハウジング内で、前記ロータを回転するための回転駆動手段とを具えることを特徴とし、第1流体からの物質移動を容易にする装置。
【請求項27】
ハウジング壁を有するハウジングと、
膜を具える壁を有し、内部を画成するロータであって、前記ハウジング内で回転するように、前記ハウジング内に配置されたロータと、
前記膜と前記ハウジング壁との間にあって、可変幅を有する横断面を有する間隙と、
前記間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で、前記ハウジング内で、前記ロータを回転するための回転駆動手段とを具えることを特徴とし、第1流体からの熱移動を容易にする装置。
【請求項28】
ハウジング壁を有するハウジングと、
透析膜を具える壁を有し、内部を画成するロータであって、前記ハウジング内で回転するように、前記ハウジング内に配置されたロータと、
前記透析膜と前記ハウジング壁との間にあって、可変幅を有する横断面を有する間隙と、
前記間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で、前記ロータを前記ハウジング内で回転するための回転駆動手段とを具えることを特徴とする血液透析装置。
【請求項29】
ハウジング壁を有するハウジングと、
濾過膜を具える第1壁を有する第1ロータであって、前記濾過膜と前記ハウジング壁との間に第1間隙が存在するように、前記ハウジング内で回転するよう、前記ハウジング内に配置された第1ロータと、
第2壁を有する第2ロータであって、前記第1壁と前記第2壁との間に第2間隙が存在するように、前記第1ロータ内で回転するよう、前記第1ロータ内に配置された第2ロータと、
第1流体を前記第1間隙に導くための前記ハウジング壁の第1入口ポートと、濾過された第1流体を前記第1間隙の外に導くための前記ハウジング壁の第1出口ポートと、
前記第1ロータを前記ハウジング内で回転させるための第1回転駆動手段と、
前記第2ロータを前記ハウジング内で回転させるための第2回転駆動手段とを具えることを特徴とする第1流体からの物質移動を容易にする装置。
【請求項30】
前記第1流体から移動する物質を受理するための第2流体と、
前記第2流体を前記第2間隙内に導くための前記ハウジングの第2入口ポートと、前記第2流体を前記第2間隙の外に導くための第2出口ポートとを更に具える請求項29の装置。
【請求項31】
前記第1ロータは前記第1間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で回転する請求項29の装置。
【請求項32】
前記第2ロータは前記第2間隙内に、テイラー渦度を発生するのに十分な速度で回転する請求項29の装置。
【請求項33】
前記第2壁は第2濾過膜を具える請求項29の装置。
【請求項34】
前記第2壁は流体に対して不透過性である請求項29の装置。
【請求項35】
前記第1間隙は可変幅を有する横断面を有する請求項29の装置。
【請求項36】
前記第2間隙は可変幅を有する横断面を有する請求項29の装置。
【請求項37】
前記第1壁、及び前記第2壁はほぼ円形の横断面を有する請求項29の装置。
【請求項38】
前記第1ロータ、及び前記第2ロータは前記外部ハウジング内に同軸に配置されている請求項37の装置。
【請求項39】
前記第1ロータ、及び前記第2ロータは前記外部ハウジング内に同軸でなく配置されている請求項37の装置。
【請求項40】
ハウジング壁を有するハウジングと、
膜を具える第1壁を有する第1ロータであって、前記膜と前記ハウジング壁との間に第1間隙が存在するように、前記ハウジング内で回転するよう、前記ハウジング内に配置された第1ロータと、
第2壁を有する第2ロータであって、前記第1壁と前記第2壁との間に第2間隙が存在するように、前記第1ロータ内で回転するよう、前記第1ロータ内に配置された第2ロータと、
第1流体を前記第1間隙に導くための前記ハウジング壁の第1入口ポートと、熱交換された第1流体を前記第1間隙の外に導くための前記ハウジング壁の第1出口ポートと、
前記第1ロータを前記ハウジング内で回転させるための第1回転駆動手段と、
前記第2ロータを前記ハウジング内で回転させるための第2回転駆動手段とを具えることを特徴とする第1流体からの熱移動を容易にする装置。
【請求項41】
前記第1流体から移動する熱を受理するための第2流体と、
前記第2流体を前記第2間隙内に導くための前記ハウジングの第2入口ポートと、前記第2流体を前記第2間隙の外に導くための前記ハウジングの第2出口ポートとを更に具える請求項40の装置。
【請求項42】
前記第1ロータは前記第1間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で回転する請求項40の装置。
【請求項43】
前記第2ロータは前記第2間隙内にテイラー渦度を発生するのに十分な速度で回転する請求項40の装置。
【請求項44】
前記第1間隙は可変幅を有する横断面を有する請求項40の装置。
【請求項45】
前記第2間隙は可変幅を有する横断面を有する請求項40の装置。
【請求項46】
前記第1壁、及び前記第2壁はほぼ円形の横断面を有する請求項40の装置。
【請求項47】
前記第1ロータ、及び前記第2ロータは前記外部ハウジング内に同軸に配置されている請求項46の装置。
【請求項48】
前記第1ロータ、及び前記第2ロータは前記外部ハウジング内に同軸でなく配置されている請求項46の装置。
【請求項49】
テイラー渦度を発生するよう構成した血液透析装置を設け、
患者からの血液を前記血液透析装置に導入し、
前記血液内にテイラー渦度を発生するよう、前記血液透析装置内で第1ロータを回転し、
患者に戻すため、透析された血液を前記血液透析装置から捕集することを特徴とする患者に血液透析を行う方法。
【請求項50】
透析流体を前記血液透析装置内に導入する工程を更に具える請求項49の方法。
【請求項51】
前記透析流体内にテイラー渦度を発生するように、前記血液透析装置内で第2ロータを回転する工程を更に具える請求項50の方法。
【請求項52】
前記血液透析装置から流れる老廃物から、プラズマ水を分離する工程を更に具える請求項49の方法。
【請求項53】
透析された血液を捕集する前記工程はこの血液を患者に復帰させるため、前記透析された血液に組み合わせるための前記プラズマ水を捕集する工程を更に具える請求項52の方法。
【請求項54】
患者から血液を導入する前記工程は患者からの血液に組み合わせて、前記プラズマ水を導入する工程を更に具える請求項52の方法。
【請求項55】
分離する前記工程は前記プラズマ水、及び老廃物にテイラー渦度を発生させる工程を更に具える請求項52の方法。
【請求項56】
ハウジング壁を有するハウジングと、
透析膜を具える第1壁を有する第1円筒ロータであって、前記透析膜と前記ハウジング壁との間に、第1同軸間隙が存在するように、前記ハウジング内に回転するよう、前記ハウジング内に同軸に配置された第1円筒ロータと、
第2壁を有する第2円筒ロータであって、前記第1壁と前記第2壁との間に第2同軸間隙が存在するように、前記第1円筒ロータ内に回転するよう、前記第1円筒ロータ内に同軸に配置された第2円筒ロータと、
前記ハウジング壁の第1入口ポートと、前記ハウジング壁の第1出口ポートと、
前記ハウジングの第2入口ポートと、前記ハウジングの第2出口ポートと、
前記第1円筒ロータを前記ハウジング内で回転させるための第1回転駆動手段と、
前記第2円筒ロータを前記ハウジング内で回転させるための第2回転駆動手段とを有する血液透析装置を設け、
前記第1入口ポートを通じて、患者からの血液を前記第1同軸間隙内に導入し、
前記第1回転駆動手段を使用して、前記第1円筒ロータを回転することによって、前記血液内にテイラー渦度を発生させ、
前記第2入口ポートを通じて、透析流体を前記第2同軸間隙内に導入し、
前記第2回転駆動手段を使用して、前記第2円筒ロータを回転することによって、前記透析流体内に、テイラー渦度を発生させ、
前記第1出口ポートを通じて、透析された血液を前記血液透析装置から捕集し、
前記第2出口ポートを通じて、透析流体を前記血液透析装置から捕集することを特徴とする患者に血液透析を行う方法。
【請求項57】
ハウジング壁を有するハウジングと、
濾過膜を具える第1壁を有する第1ロータであって、前記濾過膜と前記ハウジング壁との間に第1間隙が存在するように、前記ハウジング内で回転するよう、前記ハウジング内に配置された第1ロータと、
第2壁を有する第2ロータであって、前記第1壁と前記第2壁との間に第2間隙が存在するように、前記第1ロータ内で回転するよう、前記第1ロータ内に配置された第2ロータと、
前記ハウジング壁の第1入口ポートと、前記ハウジング壁の第1出口ポートと、
前記ハウジング内で、前記第1ロータを回転させる第1回転駆動手段と、
前記ハウジング内で、前記第2ロータを回転させる第2回転駆動手段とを有する濾過装置を設け、
前記第1入口ポートを通じて、第1流体を前記第1間隙に導入し、
前記第1回転駆動手段を使用して、前記第1ロータを回転することによって、前記第1流体内にテイラー渦度を発生させ、
前記第2回転駆動手段を使用して、前記第2ロータを回転することによって、テイラー渦度を発生させ、
前記第1出口ポートを通じて、濾過された第1流体を前記濾過装置から捕集することを特徴とする第1流体から物質移動を行う方法。
【請求項58】
ハウジング壁を有するハウジングと、
膜を具える第1壁を有する第1ロータであって、前記膜と前記ハウジング壁との間に第1間隙が存在するように、前記ハウジング内で回転するよう、前記ハウジング内に配置された第1ロータと、
第2壁を有する第2ロータであって、前記第1壁と前記第2壁との間に第2間隙が存在するように、前記第1ロータ内で回転するよう、前記第1ロータ内に配置された第2ロータと、
前記ハウジング壁の第1入口ポートと、前記ハウジング壁の第1出口ポートと、
前記ハウジング内で、前記第1ロータを回転させる第1回転駆動手段と、
前記ハウジング内で、前記第2ロータを回転させる第2回転駆動手段とを有する濾過装置を設け、
前記第1入口ポートを通じて、第1流体を前記第1間隙内に導入し、
前記第1回転駆動手段を使用して、前記第1ロータを回転することによって、前記第1流体内にテイラー渦度を発生させ、
前記第2回転駆動手段を使用して、前記第2ロータを回転することによって、テイラー渦度を発生させ、
前記第1出口ポートを通じて、熱交換された第1流体を前記濾過装置から捕集することを特徴とする第1流体から熱移動を行う方法。
【請求項59】
遮壁の両側に、渦を発生させることから成ることを特徴とする半透過性遮壁を横切る物質移動を増大する方法。
【請求項60】
渦を発生させる工程は前記遮壁の両側にテイラー渦度を発生させる工程から成る請求項59の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−520640(P2006−520640A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506996(P2006−506996)
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/007163
【国際公開番号】WO2004/080510
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505343158)
【出願人】(505343125)
【Fターム(参考)】