渦電流センサ
【課題】導電性膜の膜厚を精度良く測定する。
【解決手段】渦電流センサ1は、基板6に形成された導電性膜7に対向して配置されたセンサコイル2a及びセンサコイル2bと、導電性膜7に渦電流を生じさせるための交流信号をセンサコイル2a・2bのいずれかに選択的に供給する交流信号源3と、導電性膜7に生じた渦電流に応じてセンサコイル2a・2bのいずれかに流れる電流値を検出する交流電流計4とを備え、センサコイル2aの径とセンサコイル2bの径とは、導電性膜7の種類に応じて互いに異なっている。
【解決手段】渦電流センサ1は、基板6に形成された導電性膜7に対向して配置されたセンサコイル2a及びセンサコイル2bと、導電性膜7に渦電流を生じさせるための交流信号をセンサコイル2a・2bのいずれかに選択的に供給する交流信号源3と、導電性膜7に生じた渦電流に応じてセンサコイル2a・2bのいずれかに流れる電流値を検出する交流電流計4とを備え、センサコイル2aの径とセンサコイル2bの径とは、導電性膜7の種類に応じて互いに異なっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は渦電流センサに関し、特に半導体ウエハ等の基板の表面に形成した導電性膜の膜厚等を検出するのに好適な渦電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハやガラス基板の基板上にスパッタリング法や蒸着法、メッキ法により導電膜を形成する工程の膜厚管理方法として、シート抵抗測定法や、触針式段差測定法、蛍光エックス線法が知られている。しかし、シート抵抗測定法や、触針式段差測定法は、基板表面に針を接触させる必要があるため、実際の製品基板を測定すると、基板表面に傷が生じたり発塵するという問題がある。また蛍光エックス線法では、非接触であるため前述のような問題は生じにくいが、安全上、エックス線の遮蔽を完全に行う必要があるため、コストアップや設置場所の制約が生じる。
【0003】
そこで、非接触で簡易に導電膜の膜厚を測定する方法として、特許文献1〜4に、渦電流センサ法が提示されている。
【0004】
図6は、従来の渦電流センサ91の構成を示す図である。これは、図6に示すように、基板96上に形成した導電膜97の近傍に、交流信号源93と交流電流計94とを接続したセンサコイル92を配置する。センサコイル92に交流信号を加えると、導電膜97に渦電流が流れ、渦電流の影響でセンサコイル92に流れる電流が変化することを利用して、導電膜97の膜厚を測定する方法である。
【0005】
図7は、交流信号源93とセンサコイル92と導電性膜97との等価回路を示す。一次側は渦電流センサ91を表し、二次側は導電性膜97を表す。交流信号源93により供給される交流電圧により、センサコイル92に電流I1が流れる。導電性膜97の近傍に配置されたセンサコイル92に電流が流れることで、この磁束が導電性膜97と鎖交する。このため、その間に相互インダクタンスM=k(L1・L2)1/2が形成され、導電性膜97中に渦電流I2が流れる。交流信号源93から見たインピーダンスZ1は、図7に示す式で表される。
【0006】
ここで、
R1:回路配線抵抗、
R2:導電性膜97のシート抵抗Rsに比例する等価抵抗、
L1:センサコイル92を含む一次側の自己インダクタンス、
L2:導電性膜97の等価自己インダクタンス、
k:センサコイル92と導電性膜97との間の結合係数(0≦k≦1)、
ω:交流信号源93の角周波数
である。ここで、この式の右辺における実部の第2項は、導電性膜97に流れる渦電流がシート抵抗により損失する量(以下、渦電流損失量と称する)を表している。
【0007】
図8は、渦電流センサ91のセンサコイル92に流れる電流の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。図9は、センサコイル92の渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。実際には、渦電流損失量は、図8に示すように、センサコイル92に流れる電流I1の、導電性膜97が有る場合とない場合との間の差分から得られる。渦電流損失量の導電性膜97のシート抵抗Rsに対する依存性は、図9のようになる。したがって、渦電流損失量が分かれば、導電性膜97のシート抵抗Rsが分かり、さらに、導電性膜97に固有の比抵抗が分かっていれば、導電性膜97の膜厚が分かる。
【0008】
しかしながら、図9に示すように、シート抵抗Rsが小さい場合、渦電流損失量は小さい(図9:点a)。シート抵抗Rsが大きくなると、渦電流損失量が大きくなり最大点が現れる(図9:点b)。さらに、シート抵抗Rsが大きくなると、渦電流そのものが流れにくくなることにより、渦電流損失量は小さくなる(図9:点c)。したがって、渦電流損失量は、シート抵抗Rsに対して点bの変曲点を持っている。したがって、測定する導電性膜97のシート抵抗Rsの範囲は、変曲点(図9:点b)を含まない範囲としなければならない。
【0009】
検出対象の導電性膜97は、たとえば半導体基板においては、スパッタリングにより形成されるが、大きく分けて、バリアメタル層とメタル配線層とに分けられる。バリアメタル層はTi, TiW, TiN, Ta, TaN, Wなどからなる高抵抗層(シート抵抗:数Ω/□)から、メタル配線層はAi, AlSi, AlCu, Cuからなる低抵抗層まである(シート抵抗:数十mΩ/□)。ここで、一種類のセンサコイルと周波数との組み合わせだけでは、この広いシート抵抗の範囲をカバーすることは難しい。
【0010】
図10は、従来の他の渦電流センサ91aの構成を示す図である。特許文献1〜4では、図10に示すように、複数個の発振周波数を有する交流信号源93aを備え、導電性膜97の種類に応じて、使用する発振周波数を選択可能とすることにより、広いシート抵抗範囲をカバーする方法を提案している。
【0011】
図11に、交流信号源93aの発振周波数を変化させたときの渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示す。図11に示すように、交流信号源93aの発振周波数を上げることにより、変曲点のシート抵抗値は上昇する。このようにして、広いシート抵抗範囲をカバーすることができる。
【特許文献1】特開2004−301857号公報(平成16年10月28日公開)
【特許文献2】特開2003−106805号公報(平成15年4月9日公開)
【特許文献3】特開2000−314754号公報(平成12年11月14日公開)
【特許文献4】特開平1−239403号公報(平成1年9月25日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記図10に示す従来の構成では、センサコイル92に印加する交流信号の発振周波数を高くするので、図12に示すように、センサコイル92の寄生容量の影響が大きくなり、その結果、膜厚の測定精度が悪くなるという問題があった。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、導電性膜の膜厚を導電膜の種類に応じて精度良く測定することができる渦電流センサを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る渦電流センサは、上記課題を解決するために、導電性膜または基体に形成された導電性膜に対向して配置された第1センサコイル及び第2センサコイルと、前記導電性膜に渦電流を生じさせるための交流信号を前記第1及び前記第2センサコイルのいずれかに選択的に供給する信号源と、前記導電性膜に生じた渦電流に応じて前記第1及び前記第2センサコイルのいずれかに流れる電流値を検出する電流計とを備え、前記第1センサコイルの径と前記第2センサコイルの径とは、前記導電性膜の種類に応じて互いに異なっていることを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、導電性膜の種類に応じて、異なる径のセンサコイルに交流信号を供給することができる。このため、導電性膜の種類に応じて、金属膜シート抵抗の変化に対する渦電流損失量の関係を変えることができ、交流信号の発振周波数を固定しながら、導電性膜の膜厚を精度良く測定することができる。
【0016】
本発明に係る渦電流センサでは、前記第1センサコイル及び前記第2センサコイルは、前記導電性膜に直列に配置されていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、基体を移動させる機構が不要であり、構成が簡単になり、渦電流センサを小型化することができる。
【0018】
本発明に係る渦電流センサでは、前記第1センサコイル及び前記第2センサコイルは、前記導電性膜に並列に配置されていることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、第1センサコイル及び第2センサコイルを、基体の直下に配置して測定できるので、測定精度を向上させることができる。
【0020】
本発明に係る渦電流センサでは、前記信号源によって供給される前記交流信号の周波数は、前記第1及び前記第2センサコイルの自己共振を防止する値に選択されることが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、センサコイル同士の共振による測定値の誤差を防止することができる。
【0022】
本発明に係る渦電流センサでは、前記第1センサコイルの径及び前記第2センサコイルの径は、前記導電性膜のとり得るシート抵抗の値の範囲内において、渦電流損失が最大値をとらないように選択されることが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、渦電流損失からシート抵抗の値を一意的に特定でき、導電性膜の膜厚を正確に測定することができる。
【0024】
本発明に係る渦電流センサでは、前記電流計によって検出された電流値に基づいて渦電流損失を計測し、前記渦電流損失に基づいて前記導電性膜の膜厚を算出する膜厚算出部をさらに備えることが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、導電性膜の膜厚を容易に算出することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る渦電流センサは、以上のように、第1センサコイルの径と第2センサコイルの径とが、導電性膜の種類に応じて互いに異なっているので、導電性膜の膜厚を精度良く測定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の一実施形態について図1ないし図5に基づいて説明すると以下の通りである。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る渦電流センサ1の構成を示す図である。渦電流センサ1は、センサコイル2aを備えている。センサコイル2aは、基板6の表面に形成された導電性膜7に対向して配置されている。センサコイル2aのコイル径は、10mmである。渦電流センサ1には、センサコイル2bが設けられている。センサコイル2bは、センサコイル2aの導電性膜7と反対側に配置されており、コイル径は、50mmである。センサコイル2a・2bは、中心軸を共通にして、導電性膜7に直列に配置されている。
【0029】
渦電流センサ1は、交流信号源3を備えている。交流信号源3は、導電性膜7に渦電流を生じさせるための交流信号を、スイッチSW1・SW2、またはスイッチSW3・SW4を介して、センサコイル2a・2bのいずれかに選択的に供給する。渦電流センサ1には、交流電流計4が設けられている。交流電流計4は、導電性膜7に生じた渦電流に応じてセンサコイル2a・2bのいずれかに流れる電流値を検出する。
【0030】
センサコイル2a・2b同士の共振による誤差を防ぐため、交流信号源3の周波数は、自己共振が起きない値に設定されている。スイッチSW1・SW2・SW3・SW4で選択したセンサコイル2aまたはセンサコイル2bに、交流信号源3から交流信号を加えると、導電性膜7に渦電流が流れ、渦電流の影響でセンサコイル2aまたは2bに流れる電流が変化する。
【0031】
図2はセンサコイル2aまたは2bに流れる電流の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。図3はセンサコイル2aまたは2bの渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。図2に示すように、渦電流損失量は、センサコイルに流れる電流の、導電性膜7が有る場合を示す曲線C1と、導電性膜7がない場合を示す曲線C2との差分から得られる。渦電流損失量の、導電性膜7のシート抵抗Rsに対する依存性は、図3に示すようになる。したがって、渦電流損失量が分かれば、導電性膜7のシート抵抗Rsが分かり、さらに導電性膜7に固有の比抵抗が分かっていれば、導電性膜7の膜厚が分かる。
【0032】
シート抵抗Rsに基づいて、導電性膜7の膜厚tは、下記の式により導出される。
【0033】
t=(σ/RS)×100
ここで、
t:膜厚[Å]、
Rs:シート抵抗[Ω/sq.]、
σ:比抵抗[μΩ・cm]
である。
【0034】
センサコイル径を変化させて、交流信号源3の発振周波数をf=4.0MHzに固定したときの導電性膜7のシート抵抗Rsと、渦電流損失量との関係を調べた結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
図4は、センサコイルのコイル径を変化させた場合の渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフであり、表1に記載の導電性膜7のシート抵抗Rsと渦電流損失量との関係をまとめた結果である。曲線C3は、センサコイル径10mmのときの渦電流損失量とシート抵抗Rsとの関係を示している。曲線C4はセンサコイル径50mmのときの関係を示しており、曲線C5はセンサコイル径160mmのときの関係を示している。
【0037】
センサコイル径10mmφのときは、シート抵抗Rs=44〜79mΩ/□のところに変曲点P1があるがセンサコイル径50mm以上のときは、79〜836mΩ/□のところに変曲点P2がある。したがって、センサコイル径が10mmφのときは、44mΩ/□以下のシート抵抗の導電性膜、もしくは79mΩ/□以上のシート抵抗を持つ導電性膜の測定に適している。また、センサコイル径50mmφ以上の場合は、79mΩ/□以下、もしくは836mΩ/□以上のシート抵抗の導電性膜の測定に適している。
【0038】
たとえば、LSI製造工程において、スパッタリング法により形成したAl膜やAu膜は、LSIの金属配線層や、金バンプメッキの下地層として用いられ、概ね12000Å(1200nm)以下の膜厚で使用されている。
【0039】
Al膜(比抵抗2.8μΩ・cm)では、センサコイル径10mmφのときは、3500Å(350nm)以下、もしくは6000Å(600nm)以上の導電性膜の測定に適している。また、センサコイル径50mmφ以上のときは、3500Å(350nm)以上、または300Å(30nm)以下の導電性膜の測定に適している。また、たとえば、Au膜(比抵抗3.0μΩ・cm)では、センサコイル径10mmφのときは、3750Å(375nm)以下、もしくは7000Å(700nm)以上の導電性膜の測定に適しており、センサコイル径50mmφ以上のときは、3750Å(375nm)以上、または350Å(35nm)以下の導電性膜の測定に適している。
【0040】
Al膜では、センサコイル径10mmφとすると、膜厚3500Å(350nm)以下になると、Al膜のシート抵抗が79mΩ/□以上となり、図3における点bと点cとの間で過電流損失が発生し、また、膜厚6000Å(600nm)以上になると、Al膜のシート抵抗が44mΩ/□以下となり、図3における点bと点aとの間で過電流損失が発生し、また、センサコイル径50mmφ以上とすると、膜厚300Å(30nm)以下になると、Al膜のシート抵抗が836mΩ/□以上となり、図3における点bと点cとの間で過電流損失が発生し、また、膜厚3500Å(350nm)以上になると、Al膜のシート抵抗が79mΩ/□以下になって、図3における点bと点aとの間で過電流損失が発生する。
【0041】
また、センサコイル径を大きくすると、センサコイルと導電性膜との間の距離を大きくすることができる。なぜならば、センサコイルによって発生する磁界の大きさは、コイルの断面積に比例するからである。これにより、センサコイルと導電性膜との間の距離のずれによる渦電流損失の誤差を受けにくくすることができる。このことも考慮してコイル径の選択を行うことが望ましい。
【0042】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る渦電流センサ1aの構成を示す図である。実施の形態1で前述した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付している。これらの構成要素の詳細な説明は省略する。
【0043】
実施の形態2では、センサコイル2a・2bは、導電性膜7に対して並列に並べて配置されている。交流信号源3は何れかのセンサコイル2a・2bに信号を供給できるようにスイッチSW1・SW2・SW3・SW4で切り替え可能としている。このとき、センサコイル2a・2b同士の共振による誤差を防ぐため、交流信号源3の周波数では、自己共振が起きないようにしなければならない。
【0044】
図5に示すように、移動機構(図示せず)により基板6を移動させ、基板6直下のセンサコイル2a・2bのいずれかを選択し交流信号を供給する。センサコイルに交流信号を加えると、導電性膜7に渦電流が流れ、渦電流の影響でセンサコイルに流れる電流が変化する。
【0045】
以上説明したように、実施の形態1及び2によれば、非接触で寄生容量の影響をおさえつつ高精度で幅広いシート抵抗範囲の導電性膜厚を測定することができる手段を提供することができる。これにより、LSI金属配線層やメッキ下地層に用いられる12000Å(1200nm)以下のAl、Auスパッタ薄膜を測定することができる。実施の形態1及び2の渦電流センサは、真空中やガラス越しでも設置可能であるため、スパッタリング、蒸着などの真空成膜装置のインラインモニターとして活用することができる。
【0046】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は渦電流センサに適用することができ、特に半導体ウエハ等の基板の表面に形成した導電性膜の膜厚等を検出するのに好適な渦電流センサに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態1に係る渦電流センサの構成を示す図である。
【図2】上記渦電流センサのセンサコイルに流れる電流の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。
【図3】上記センサコイルの渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。
【図4】上記センサコイルのコイル径を変化させた場合の渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。
【図5】実施の形態2に係る渦電流センサの構成を示す図である。
【図6】従来の渦電流センサの構成を示す図である。
【図7】上記渦電流センサの等価回路を示す図である。
【図8】上記渦電流センサのセンサコイルに流れる電流の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。
【図9】上記センサコイルの渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。
【図10】従来の他の渦電流センサの構成を示す図である。
【図11】上記渦電流センサの交流信号源の発振周波数を変化させたときの、渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示す図である。
【図12】交流信号源の発振周波数を高くしたときの、センサコイルに生じる寄生容量を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 渦電流センサ
2a センサコイル(第1センサコイル)
2b センサコイル(第2センサコイル)
3 交流信号源(信号源)
4 交流電流計(電流計)
5 膜厚算出部
6 基板(基体)
7 導電性膜
【技術分野】
【0001】
本発明は渦電流センサに関し、特に半導体ウエハ等の基板の表面に形成した導電性膜の膜厚等を検出するのに好適な渦電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハやガラス基板の基板上にスパッタリング法や蒸着法、メッキ法により導電膜を形成する工程の膜厚管理方法として、シート抵抗測定法や、触針式段差測定法、蛍光エックス線法が知られている。しかし、シート抵抗測定法や、触針式段差測定法は、基板表面に針を接触させる必要があるため、実際の製品基板を測定すると、基板表面に傷が生じたり発塵するという問題がある。また蛍光エックス線法では、非接触であるため前述のような問題は生じにくいが、安全上、エックス線の遮蔽を完全に行う必要があるため、コストアップや設置場所の制約が生じる。
【0003】
そこで、非接触で簡易に導電膜の膜厚を測定する方法として、特許文献1〜4に、渦電流センサ法が提示されている。
【0004】
図6は、従来の渦電流センサ91の構成を示す図である。これは、図6に示すように、基板96上に形成した導電膜97の近傍に、交流信号源93と交流電流計94とを接続したセンサコイル92を配置する。センサコイル92に交流信号を加えると、導電膜97に渦電流が流れ、渦電流の影響でセンサコイル92に流れる電流が変化することを利用して、導電膜97の膜厚を測定する方法である。
【0005】
図7は、交流信号源93とセンサコイル92と導電性膜97との等価回路を示す。一次側は渦電流センサ91を表し、二次側は導電性膜97を表す。交流信号源93により供給される交流電圧により、センサコイル92に電流I1が流れる。導電性膜97の近傍に配置されたセンサコイル92に電流が流れることで、この磁束が導電性膜97と鎖交する。このため、その間に相互インダクタンスM=k(L1・L2)1/2が形成され、導電性膜97中に渦電流I2が流れる。交流信号源93から見たインピーダンスZ1は、図7に示す式で表される。
【0006】
ここで、
R1:回路配線抵抗、
R2:導電性膜97のシート抵抗Rsに比例する等価抵抗、
L1:センサコイル92を含む一次側の自己インダクタンス、
L2:導電性膜97の等価自己インダクタンス、
k:センサコイル92と導電性膜97との間の結合係数(0≦k≦1)、
ω:交流信号源93の角周波数
である。ここで、この式の右辺における実部の第2項は、導電性膜97に流れる渦電流がシート抵抗により損失する量(以下、渦電流損失量と称する)を表している。
【0007】
図8は、渦電流センサ91のセンサコイル92に流れる電流の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。図9は、センサコイル92の渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。実際には、渦電流損失量は、図8に示すように、センサコイル92に流れる電流I1の、導電性膜97が有る場合とない場合との間の差分から得られる。渦電流損失量の導電性膜97のシート抵抗Rsに対する依存性は、図9のようになる。したがって、渦電流損失量が分かれば、導電性膜97のシート抵抗Rsが分かり、さらに、導電性膜97に固有の比抵抗が分かっていれば、導電性膜97の膜厚が分かる。
【0008】
しかしながら、図9に示すように、シート抵抗Rsが小さい場合、渦電流損失量は小さい(図9:点a)。シート抵抗Rsが大きくなると、渦電流損失量が大きくなり最大点が現れる(図9:点b)。さらに、シート抵抗Rsが大きくなると、渦電流そのものが流れにくくなることにより、渦電流損失量は小さくなる(図9:点c)。したがって、渦電流損失量は、シート抵抗Rsに対して点bの変曲点を持っている。したがって、測定する導電性膜97のシート抵抗Rsの範囲は、変曲点(図9:点b)を含まない範囲としなければならない。
【0009】
検出対象の導電性膜97は、たとえば半導体基板においては、スパッタリングにより形成されるが、大きく分けて、バリアメタル層とメタル配線層とに分けられる。バリアメタル層はTi, TiW, TiN, Ta, TaN, Wなどからなる高抵抗層(シート抵抗:数Ω/□)から、メタル配線層はAi, AlSi, AlCu, Cuからなる低抵抗層まである(シート抵抗:数十mΩ/□)。ここで、一種類のセンサコイルと周波数との組み合わせだけでは、この広いシート抵抗の範囲をカバーすることは難しい。
【0010】
図10は、従来の他の渦電流センサ91aの構成を示す図である。特許文献1〜4では、図10に示すように、複数個の発振周波数を有する交流信号源93aを備え、導電性膜97の種類に応じて、使用する発振周波数を選択可能とすることにより、広いシート抵抗範囲をカバーする方法を提案している。
【0011】
図11に、交流信号源93aの発振周波数を変化させたときの渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示す。図11に示すように、交流信号源93aの発振周波数を上げることにより、変曲点のシート抵抗値は上昇する。このようにして、広いシート抵抗範囲をカバーすることができる。
【特許文献1】特開2004−301857号公報(平成16年10月28日公開)
【特許文献2】特開2003−106805号公報(平成15年4月9日公開)
【特許文献3】特開2000−314754号公報(平成12年11月14日公開)
【特許文献4】特開平1−239403号公報(平成1年9月25日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記図10に示す従来の構成では、センサコイル92に印加する交流信号の発振周波数を高くするので、図12に示すように、センサコイル92の寄生容量の影響が大きくなり、その結果、膜厚の測定精度が悪くなるという問題があった。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、導電性膜の膜厚を導電膜の種類に応じて精度良く測定することができる渦電流センサを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る渦電流センサは、上記課題を解決するために、導電性膜または基体に形成された導電性膜に対向して配置された第1センサコイル及び第2センサコイルと、前記導電性膜に渦電流を生じさせるための交流信号を前記第1及び前記第2センサコイルのいずれかに選択的に供給する信号源と、前記導電性膜に生じた渦電流に応じて前記第1及び前記第2センサコイルのいずれかに流れる電流値を検出する電流計とを備え、前記第1センサコイルの径と前記第2センサコイルの径とは、前記導電性膜の種類に応じて互いに異なっていることを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、導電性膜の種類に応じて、異なる径のセンサコイルに交流信号を供給することができる。このため、導電性膜の種類に応じて、金属膜シート抵抗の変化に対する渦電流損失量の関係を変えることができ、交流信号の発振周波数を固定しながら、導電性膜の膜厚を精度良く測定することができる。
【0016】
本発明に係る渦電流センサでは、前記第1センサコイル及び前記第2センサコイルは、前記導電性膜に直列に配置されていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、基体を移動させる機構が不要であり、構成が簡単になり、渦電流センサを小型化することができる。
【0018】
本発明に係る渦電流センサでは、前記第1センサコイル及び前記第2センサコイルは、前記導電性膜に並列に配置されていることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、第1センサコイル及び第2センサコイルを、基体の直下に配置して測定できるので、測定精度を向上させることができる。
【0020】
本発明に係る渦電流センサでは、前記信号源によって供給される前記交流信号の周波数は、前記第1及び前記第2センサコイルの自己共振を防止する値に選択されることが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、センサコイル同士の共振による測定値の誤差を防止することができる。
【0022】
本発明に係る渦電流センサでは、前記第1センサコイルの径及び前記第2センサコイルの径は、前記導電性膜のとり得るシート抵抗の値の範囲内において、渦電流損失が最大値をとらないように選択されることが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、渦電流損失からシート抵抗の値を一意的に特定でき、導電性膜の膜厚を正確に測定することができる。
【0024】
本発明に係る渦電流センサでは、前記電流計によって検出された電流値に基づいて渦電流損失を計測し、前記渦電流損失に基づいて前記導電性膜の膜厚を算出する膜厚算出部をさらに備えることが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、導電性膜の膜厚を容易に算出することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る渦電流センサは、以上のように、第1センサコイルの径と第2センサコイルの径とが、導電性膜の種類に応じて互いに異なっているので、導電性膜の膜厚を精度良く測定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の一実施形態について図1ないし図5に基づいて説明すると以下の通りである。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る渦電流センサ1の構成を示す図である。渦電流センサ1は、センサコイル2aを備えている。センサコイル2aは、基板6の表面に形成された導電性膜7に対向して配置されている。センサコイル2aのコイル径は、10mmである。渦電流センサ1には、センサコイル2bが設けられている。センサコイル2bは、センサコイル2aの導電性膜7と反対側に配置されており、コイル径は、50mmである。センサコイル2a・2bは、中心軸を共通にして、導電性膜7に直列に配置されている。
【0029】
渦電流センサ1は、交流信号源3を備えている。交流信号源3は、導電性膜7に渦電流を生じさせるための交流信号を、スイッチSW1・SW2、またはスイッチSW3・SW4を介して、センサコイル2a・2bのいずれかに選択的に供給する。渦電流センサ1には、交流電流計4が設けられている。交流電流計4は、導電性膜7に生じた渦電流に応じてセンサコイル2a・2bのいずれかに流れる電流値を検出する。
【0030】
センサコイル2a・2b同士の共振による誤差を防ぐため、交流信号源3の周波数は、自己共振が起きない値に設定されている。スイッチSW1・SW2・SW3・SW4で選択したセンサコイル2aまたはセンサコイル2bに、交流信号源3から交流信号を加えると、導電性膜7に渦電流が流れ、渦電流の影響でセンサコイル2aまたは2bに流れる電流が変化する。
【0031】
図2はセンサコイル2aまたは2bに流れる電流の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。図3はセンサコイル2aまたは2bの渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。図2に示すように、渦電流損失量は、センサコイルに流れる電流の、導電性膜7が有る場合を示す曲線C1と、導電性膜7がない場合を示す曲線C2との差分から得られる。渦電流損失量の、導電性膜7のシート抵抗Rsに対する依存性は、図3に示すようになる。したがって、渦電流損失量が分かれば、導電性膜7のシート抵抗Rsが分かり、さらに導電性膜7に固有の比抵抗が分かっていれば、導電性膜7の膜厚が分かる。
【0032】
シート抵抗Rsに基づいて、導電性膜7の膜厚tは、下記の式により導出される。
【0033】
t=(σ/RS)×100
ここで、
t:膜厚[Å]、
Rs:シート抵抗[Ω/sq.]、
σ:比抵抗[μΩ・cm]
である。
【0034】
センサコイル径を変化させて、交流信号源3の発振周波数をf=4.0MHzに固定したときの導電性膜7のシート抵抗Rsと、渦電流損失量との関係を調べた結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
図4は、センサコイルのコイル径を変化させた場合の渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフであり、表1に記載の導電性膜7のシート抵抗Rsと渦電流損失量との関係をまとめた結果である。曲線C3は、センサコイル径10mmのときの渦電流損失量とシート抵抗Rsとの関係を示している。曲線C4はセンサコイル径50mmのときの関係を示しており、曲線C5はセンサコイル径160mmのときの関係を示している。
【0037】
センサコイル径10mmφのときは、シート抵抗Rs=44〜79mΩ/□のところに変曲点P1があるがセンサコイル径50mm以上のときは、79〜836mΩ/□のところに変曲点P2がある。したがって、センサコイル径が10mmφのときは、44mΩ/□以下のシート抵抗の導電性膜、もしくは79mΩ/□以上のシート抵抗を持つ導電性膜の測定に適している。また、センサコイル径50mmφ以上の場合は、79mΩ/□以下、もしくは836mΩ/□以上のシート抵抗の導電性膜の測定に適している。
【0038】
たとえば、LSI製造工程において、スパッタリング法により形成したAl膜やAu膜は、LSIの金属配線層や、金バンプメッキの下地層として用いられ、概ね12000Å(1200nm)以下の膜厚で使用されている。
【0039】
Al膜(比抵抗2.8μΩ・cm)では、センサコイル径10mmφのときは、3500Å(350nm)以下、もしくは6000Å(600nm)以上の導電性膜の測定に適している。また、センサコイル径50mmφ以上のときは、3500Å(350nm)以上、または300Å(30nm)以下の導電性膜の測定に適している。また、たとえば、Au膜(比抵抗3.0μΩ・cm)では、センサコイル径10mmφのときは、3750Å(375nm)以下、もしくは7000Å(700nm)以上の導電性膜の測定に適しており、センサコイル径50mmφ以上のときは、3750Å(375nm)以上、または350Å(35nm)以下の導電性膜の測定に適している。
【0040】
Al膜では、センサコイル径10mmφとすると、膜厚3500Å(350nm)以下になると、Al膜のシート抵抗が79mΩ/□以上となり、図3における点bと点cとの間で過電流損失が発生し、また、膜厚6000Å(600nm)以上になると、Al膜のシート抵抗が44mΩ/□以下となり、図3における点bと点aとの間で過電流損失が発生し、また、センサコイル径50mmφ以上とすると、膜厚300Å(30nm)以下になると、Al膜のシート抵抗が836mΩ/□以上となり、図3における点bと点cとの間で過電流損失が発生し、また、膜厚3500Å(350nm)以上になると、Al膜のシート抵抗が79mΩ/□以下になって、図3における点bと点aとの間で過電流損失が発生する。
【0041】
また、センサコイル径を大きくすると、センサコイルと導電性膜との間の距離を大きくすることができる。なぜならば、センサコイルによって発生する磁界の大きさは、コイルの断面積に比例するからである。これにより、センサコイルと導電性膜との間の距離のずれによる渦電流損失の誤差を受けにくくすることができる。このことも考慮してコイル径の選択を行うことが望ましい。
【0042】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る渦電流センサ1aの構成を示す図である。実施の形態1で前述した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付している。これらの構成要素の詳細な説明は省略する。
【0043】
実施の形態2では、センサコイル2a・2bは、導電性膜7に対して並列に並べて配置されている。交流信号源3は何れかのセンサコイル2a・2bに信号を供給できるようにスイッチSW1・SW2・SW3・SW4で切り替え可能としている。このとき、センサコイル2a・2b同士の共振による誤差を防ぐため、交流信号源3の周波数では、自己共振が起きないようにしなければならない。
【0044】
図5に示すように、移動機構(図示せず)により基板6を移動させ、基板6直下のセンサコイル2a・2bのいずれかを選択し交流信号を供給する。センサコイルに交流信号を加えると、導電性膜7に渦電流が流れ、渦電流の影響でセンサコイルに流れる電流が変化する。
【0045】
以上説明したように、実施の形態1及び2によれば、非接触で寄生容量の影響をおさえつつ高精度で幅広いシート抵抗範囲の導電性膜厚を測定することができる手段を提供することができる。これにより、LSI金属配線層やメッキ下地層に用いられる12000Å(1200nm)以下のAl、Auスパッタ薄膜を測定することができる。実施の形態1及び2の渦電流センサは、真空中やガラス越しでも設置可能であるため、スパッタリング、蒸着などの真空成膜装置のインラインモニターとして活用することができる。
【0046】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は渦電流センサに適用することができ、特に半導体ウエハ等の基板の表面に形成した導電性膜の膜厚等を検出するのに好適な渦電流センサに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態1に係る渦電流センサの構成を示す図である。
【図2】上記渦電流センサのセンサコイルに流れる電流の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。
【図3】上記センサコイルの渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。
【図4】上記センサコイルのコイル径を変化させた場合の渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。
【図5】実施の形態2に係る渦電流センサの構成を示す図である。
【図6】従来の渦電流センサの構成を示す図である。
【図7】上記渦電流センサの等価回路を示す図である。
【図8】上記渦電流センサのセンサコイルに流れる電流の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。
【図9】上記センサコイルの渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示すグラフである。
【図10】従来の他の渦電流センサの構成を示す図である。
【図11】上記渦電流センサの交流信号源の発振周波数を変化させたときの、渦電流損失量の導電膜シート抵抗依存性を示す図である。
【図12】交流信号源の発振周波数を高くしたときの、センサコイルに生じる寄生容量を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 渦電流センサ
2a センサコイル(第1センサコイル)
2b センサコイル(第2センサコイル)
3 交流信号源(信号源)
4 交流電流計(電流計)
5 膜厚算出部
6 基板(基体)
7 導電性膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性膜または基体に形成された導電性膜に対向して配置された第1センサコイル及び第2センサコイルと、
前記導電性膜に渦電流を生じさせるための交流信号を前記第1及び前記第2センサコイルのいずれかに選択的に供給する信号源と、
前記導電性膜に生じた渦電流に応じて前記第1及び前記第2センサコイルのいずれかに流れる電流値を検出する電流計とを備え、
前記第1センサコイルの径と前記第2センサコイルの径とは、前記導電性膜の種類に応じて互いに異なっていることを特徴とする渦電流センサ。
【請求項2】
前記第1センサコイル及び前記第2センサコイルは、前記導電性膜に直列に配置されている請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項3】
前記第1センサコイル及び前記第2センサコイルは、前記導電性膜に並列に配置されている請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項4】
前記信号源によって供給される前記交流信号の周波数は、前記第1及び前記第2センサコイルの自己共振を防止する値に選択される請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項5】
前記第1センサコイルの径及び前記第2センサコイルの径は、前記導電性膜のとり得るシート抵抗の値の範囲内において、渦電流損失が最大値をとらないように選択される請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項6】
前記電流計によって検出された電流値に基づいて渦電流損失を計測し、前記渦電流損失に基づいて前記導電性膜の膜厚を算出する膜厚算出部をさらに備える請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項1】
導電性膜または基体に形成された導電性膜に対向して配置された第1センサコイル及び第2センサコイルと、
前記導電性膜に渦電流を生じさせるための交流信号を前記第1及び前記第2センサコイルのいずれかに選択的に供給する信号源と、
前記導電性膜に生じた渦電流に応じて前記第1及び前記第2センサコイルのいずれかに流れる電流値を検出する電流計とを備え、
前記第1センサコイルの径と前記第2センサコイルの径とは、前記導電性膜の種類に応じて互いに異なっていることを特徴とする渦電流センサ。
【請求項2】
前記第1センサコイル及び前記第2センサコイルは、前記導電性膜に直列に配置されている請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項3】
前記第1センサコイル及び前記第2センサコイルは、前記導電性膜に並列に配置されている請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項4】
前記信号源によって供給される前記交流信号の周波数は、前記第1及び前記第2センサコイルの自己共振を防止する値に選択される請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項5】
前記第1センサコイルの径及び前記第2センサコイルの径は、前記導電性膜のとり得るシート抵抗の値の範囲内において、渦電流損失が最大値をとらないように選択される請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項6】
前記電流計によって検出された電流値に基づいて渦電流損失を計測し、前記渦電流損失に基づいて前記導電性膜の膜厚を算出する膜厚算出部をさらに備える請求項1記載の渦電流センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−333439(P2007−333439A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162892(P2006−162892)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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