説明

温度制御式冷却ブロワを有する試験台

試験台は、負荷装置(2)と、負荷装置(2)を冷却するためのブロワ装置(9)とを有する。1つ又は複数の温度センサ(15〜19)の助けによって、負荷装置(2)内又は負荷装置上の温度を確認し、ブロワ装置(9)のブロワモータ(10)の速度を相応に調整することが可能である。例えば、負荷装置(2)内の温度が変化するにつれてブロワ速度を所定の範囲内で線形に変化させることができる。温度センサのうちの1つが、所定の限界値を超過したと判定した場合、ブロワは最大速度に設定される。更なる高温度限界値の超過に応じて、負荷装置(2)は停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供試体を試験するための試験台に関する。
【背景技術】
【0002】
このような試験台は、例えばエンジン試験台又は変速機試験台として知られており、例えば機能検査や機械的負荷試験の耐久検査の他に、消耗、排ガス、雑音、又は気候の検査に活用して研究及び開発に寄与するものである。これによりエンジン試験台は、異なる環境条件又は適用条件下での、完成車におけるエンジンの動作をシミュレーションする。試験台において、供試体は、負荷装置、例えば非同期機、永久磁石エンジン、水動力計、又は渦電流ブレーキに連結することができる。負荷装置は、エンジンが実際に動作する際にそれに抗して動作せねばならない負荷をシミュレーションする。負荷装置として使用される電気モータは、しばしば動力計とも称される。
【0003】
動作中、過熱を回避するために、このような動力計は大容量の冷却システムを必要とする。これによって、動力計が、供試体により供給される出力を完全に収容し除去せねばならないことに留意することが重要である。多数の冷却方法が知られており、これらの冷却方法の事例では、一次側には液状媒体、例えば水又は油が、二次側には空気が供給される。空気冷却式動力計は、高価で複雑な流体供給及び処理が必要ないという利点を有する。ところが、空気冷却の場合、冷却ブロワにより過度に高いレベルの雑音が生じるという欠点がある。
【0004】
通常、このような冷却ブロワは常に、あらゆる動作状態及び最大限に指定された吸気温度に対して動力計を十分に冷却することを確実にするようフル稼動で運転する。これによって発生する雑音レベルにより、試験台近傍で作業することがより困難になることがある。さらに、或る試験状態の場合に、より少なめの冷却容量でも十分であったとしても、冷却ブロワがフル稼動で動作しているとエネルギーを浪費する。
【0005】
動力計に供給される電流に応じてブロワモータの速度が変化する方法で、動力計が冷却ブロワによって冷却される試験台については、特開2006‐023244号から知られている。ところが、試験周期中に頻繁に供試体の速度が変動し、したがって動力計の速度又は負荷もそれぞれ変動することに起因して、動力計に供給される電流が必然的に頻繁に変化せねばならず、したがって、ブロワ速度が変化する。このことから生じるブロワモータの笛声雑音は、試験台職員により不快なものと知覚される。さらに、絶えず加速することでファンの耐久性が低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006‐023244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、技術の現状の上述の欠点を回避できる事例における試験台を指定する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載の試験台によって解決される。更に、このような試験台の動作手順が指定されている。従属請求項には本発明の実施形態が示されている。
【0009】
供試体を試験するための試験台は、互いから離間している2つの支持装置によって支持されて前記供試体に接続することのできる負荷軸と、固定子、及び、前記負荷軸上に配置され前記固定子内で回転することのできる回転子とを有する負荷装置を備える。さらに、ブロワモータと、ブロワモータの速度を変化させるための速度制御装置と、前記負荷装置を冷却するためのブロワ装置を備え、当該ブロワ装置はブロワモータ制御装置を有し、当該ブロワモータ制御装置は第1温度センサを有し、当該第1温度センサは、前記固定子の固定子巻線内に配置されて測定信号を生成する。この測定信号は、例えば測定温度に対して実質線形である。さらに、前記ブロワモータ制御装置が、前記ブロワモータの速度配分と、前記第1温度センサにより測定される温度配分との形式での制御条件に基づき、前記第1温度センサの前記測定信号に応じて、前記ブロワ装置の前記速度制御装置を連続的に作動させるための制御ユニットを有する。
【0010】
このように、前記固定子巻線内の温度を連続的に測定する前記第1温度センサは前記固定子巻線内に配置される。前記ブロワモータの速度は、対応する測定信号を基にして調整される。したがって、前記負荷装置が、或る試験手順において多くの電流を引き込むことで加熱され、この加熱が、前記第1温度センサによって前記固定子巻線内で直接検出される。前記第1温度センサは前記制御ユニットに測定信号を送り、その際、この前記制御ユニットは、前記負荷装置を通る冷却空気の処理能力がより高くなるように、前記ブロワモータの速度を増加させる。そうすると、許容できない前記負荷装置の加熱が抑えられる。
【0011】
その後、前記固定子巻線内で温度が再度減少すると前記第1温度センサはこのことも同様に通知し、その結果、前記制御ユニットは前記ブロワモータの速度を再度低下させることができる。
【0012】
冷却ブロワの構成によっては、前記固定子巻線内のあらゆる軽微な温度変化も、即座にブロワ速度の変化につながることのないように、対応する不感時間要素又は遅延要素を設けることもできる。負荷、つまり温度は減少せずに、所定の時間が経過したときにのみ、ブロワ速度の増加(又は対応する低減)を達成することができる。
【0013】
同様に、例えば複数の時差的な限界値又は閾値にそれぞれ備えておき、その超過又は不達の場合にブロワ速度がそれぞれ増加又は減少することも可能である。この場合、ブロワ速度は、線形にではなく徐々に、温度に追従する。速度変化が過度に短い時間間隔で実行されないことを防止するために、このことはヒステリシスを用いて支援することができる。
【0014】
温度変化とブロワ速度との間の線形コンテキストではなく、累進的又は累減的コンテキストを選択することが妥当であることもある。このことは、前記試験台におけるそれぞれの条件と、結果として生じる冷却可能性とによって決まる。
【0015】
前記ブロワモータ制御装置は更に、前記第2及び第3温度センサを有することができ、これらの前記各温度センサは、それぞれ、前記負荷軸を支持するための前記支持装置のうちの一方に配置されている。前記制御ユニットは、前記第2及び/又は第3温度センサが、それぞれの前記支持装置用に規定された支持注意限界値の超過を示す場合、前記ブロワ装置の前記速度制御装置を作動させてブロワモータの最大速度を調整し、前記第2及び/又は第3温度センサが、それぞれの前記支持装置用に規定された、前記支持注意限界値よりも大きい支持警戒限界値の超過を示す場合、前記負荷装置をオフするように構成されている。
【0016】
この実施形態の場合、前記負荷装置内に配置されている前記負荷軸の前記支持装置内又は前記支持装置上の温度をいずれの場合も監視する2つの更なる温度センサが対応して設けられる。2つの温度センサのうちの一方が第1閾値(支持注意閾値)の超過を判定した場合、前記制御ユニットにより、対応する信号が評価され、その際、このことにより、前記ブロワモータの速度が所定の最大値又は技術的最大値まで増加する。これにより、冷却ブロワは、この動作状態において最大冷却力を提供し、前記負荷装置全体を、つまり前記支持装置をも冷却する。
【0017】
一方、前記支持装置内の温度が更に増加した場合には、2つの温度センサのうちの一方、つまり前記第2又は第3温度センサが、所定の前記支持警戒限界値の超過を確認することができる。その際、制御ユニットは、前記負荷装置をオフするための、及び、前記負荷装置又は前記試験台全体の損傷を防止するための、対応する対策を開始する。前記支持警戒限界値の超過は、前記試験台に機能不全がある証拠である。
【0018】
前記温度センサは、前記支持装置の温度変化を極力確実に判定できるように、2つの前記支持装置内又は前記支持装置上に配置されるべきである。
【0019】
他の実施形態として、ブロワモータ制御装置は、少なくとも第4及び第5温度センサを有することができる。前記各温度センサは、前記固定子巻線内に配置され、限界値センサとして機能する。その際、前記制御ユニットは、前記第4温度センサが、前記固定子巻線の温度用に規定された前記固定子注意限界値の超過を示す場合、前記ブロワ装置の前記速度制御装置を作動させて前記ブロワモータの最大速度を調整し、前記第5温度センサが、前記固定子巻線の温度用に規定された前記固定子注意限界値よりも大きい前記固定子警戒限界値の超過を示す場合、前記負荷装置を停止するように構成される。
【0020】
従って、この実施形態の場合、前記固定子巻線内に、前記第1温度センサに加えて、限界値センサとして、更なる温度センサ、つまり、少なくとも前記第4及び第5温度センサが設けられる。前記各温度センサのうちの一方(前記第4温度センサ)は、前記固定子注意限界値の超過を即座に確認するように構成されている。この注意限界値は、その超過に応答して負荷装置が最大冷却力で冷却されねばならないように設定されている。従って、ブロワモータの速度は、可能な限り高い値に調整される。
【0021】
他方の温度センサ(前記第5温度センサ)は、前記固定子警戒限界値の超過を検出し、これにより負荷装置が停止されて、前記負荷装置又は前記試験台の損傷が防止される。
【0022】
言うまでもなく、用語「第4」及び「第5」温度センサは無作為に選択されたものである。重要なことは、これらの2つの温度センサのうちの一方が前記固定子注意限界値を監視するという観点で構成されており、他方の温度センサは前記固定子警戒限界値の超過を監視するものであるということである。
【0023】
前記第4及び第5温度センサは、他の実施形態として、前記第2及び第3温度センサに加えて設けることができる。従って、専門語「第1温度センサ」、「第2温度センサ」等は単に、いずれの場合も温度センサに明白な名称を提供するという目的の役に立つ。しかし、これを通して順序づけが決まるものではない。前記試験台には、前記第2及び第3温度センサが設けられなくとも、前記第1、第4、及び第5温度センサを容易に装備することができる。したがって、これらの用語も、温度センサを列挙するように働くものではない。
【0024】
技術の現状によって既に上述したように、前記負荷装置はそれぞれ、動力計とすることができ、あるいは、動力計を有することができる。
【0025】
前記第1、第2、及び/又は第3温度センサは、それぞれ、白金温度センサ、特にPt100温度センサであることができる。PT100センサは、温度の影響下での白金の抵抗変化に基づく温度センサである。これらのセンサは堅牢であり、高精度を特徴としている。このようなセンサの抵抗曲線はほぼ線形である。
【0026】
前記第4及び/又は第5温度センサは、それぞれ、非線形抵抗曲線を含むPTC温度センサ、特にPTCトリプル温度センサであることができる。PTCトリプルセンサは、例えばDIN44082で規格化されており、電気機器を熱的過負荷から保護するように機能する。PTCトリプルセンサは特に、予設定されている限界値の超過を確認するものであり、それに応じて、測定センサの抵抗が激しく変化する。
【0027】
前記第4及び第5温度センサに加えて、前記固定子巻線内に少なくとも1つの更なる温度センサを設けることができる。このことは、妥当であると思われる場合には前記第4及び第5温度センサに加えて更なる温度センサをも前記固定子巻線内に配置できるということを意味する。
【0028】
前記第4及び第5温度センサの場合のように、更なる温度センサも、非線形抵抗曲線を含むPTC温度センサ、特にPTCトリプル温度センサであることができる。
【0029】
前記ブロワ装置の前記速度制御装置を作動させるための前記制御条件は、前記ブロワモータの速度と、前記第1温度センサによって測定される温度との間に線形コンテキストを含む範囲に規定される。この場合、前記ブロワモータの速度と、前記第1温度センサにより測定される温度との直接的配分がある。
【0030】
特に、予め決まっている低温度限界と、予め決まっている高温度限界との間の線形コンテキストを規定することができる。動力計温度が、低温度限界よりも低い限りにおいて、前記ブロワモータは、予め設定されている最小速度で回転する。動力計の温度が、低温度限界と高温度限界との間の範囲内を移動する際、ブロワ速度は相応に線形に適合されている。高温度限界を超えると、ブロワ速度は最大速度に設定される。
【0031】
前記PTC温度センサ、特にPTCセンサは、前記固定子巻線の周縁部に均一に分布するように配置することができる。そうすると、前記固定子巻線全体の温度を確実に監視することができる。
【0032】
前記速度制御装置は、前記ブロワモータへの供給電流をそれぞれ調整又は提供するための周波数変換器を有することができる。特に供給電流は、三相電流として供給される。
【0033】
前記ブロワモータの速度を制御するための方法が、上で指定されている前記試験台の動作に備える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明における試験台の基本構成を示す。
【図2】図2は、本発明における動力計の温度監視の構成を示す。
【図3】図3は、本発明におけるブロワ制御の基本構成を示す。
【図4】図4は、本発明におけるブロワ速度を制御するための特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のこれらの及び更なる利点及び特徴を、以下で、添付の図を用いて、より詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明に関連するという条件で、試験台の構成を概略的に示している。
【0037】
試験台は供試体1を試験するように働き、供試体は、図示する例では燃焼機関によって形成されている。供試体1は試験台の構成要素ではない。そうではなく、供試体が収容されていることのみを試験台の一部として考慮すべきである。ただし、試験台は図1に詳細には示されていない。
【0038】
負荷装置として機能する動力計2が、供試体1と同軸に設けられる。供試体1及び動力計2は、図示しない基部(土台、台板等)上で支持される。
【0039】
原則に従って、動力計2は、例えば非同期機又は永久モータの電気モータに対応しており、それ自体知られている。動力計は負荷軸3を有し、この負荷軸3上に回転子4が設けられ、この回転子4は、動力計2の内側に設けられている固定子5内で回転可能であるように配置される。とりわけ、固定子5は、それ自体知られている固定子巻線によって形成されている。負荷軸3は、モータ軸1aと同軸に配置されており、このモータ軸1aに、自動調整式の連結器6を介して、既知の方法で連結されている。
【0040】
負荷軸3は、2つの支持装置7、8内で支持されている。支持装置7、8は、動力計2のハウジング上で支持することができるので、支持力を、ハウジングを介して土台へと下方に伝えることができる。
【0041】
動力計2の上方に、ブロワ装置9が配置される。ブロワ装置9は動力計2を冷却するように機能する。この為に、ブロワ装置9は、送風機11を駆動するブロワモータ10を有する。送風機11は空気ダクト12内に配置されている。空気ダクト12の空気吸入口に、空気フィルタ13を設けることができる。
【0042】
動作中、ブロワモータ10によって作動する送風機11は、空気フィルタ13を介して空気を吸い込み、この空気を動力計2を通して運搬する。その際、空気は、ハウジング内に設けられた冷却溝を介して、又は更なる空気ダクトを介して、例えば動力計2の反対側に、適切な方法で再度排出される。
【0043】
この時点までに記載した構成要素は事実上知られており、多くの試験台において見ることができる。さらに、更なる装置、例えば、試験台、測定装置、排気排出装置、媒体供給及び排出装置、空気調節装置等を較正するための較正装置が利用可能である。一方、これらの装置は本発明にとって重要ではないので、詳細には図示していない。
【0044】
ブロワ装置9は更に、ブロワモータ10に電流を供給してブロワモータ10の速度を調整するための周波数変換器14を有する。したがって、周波数変換器14は、速度制御装置として機能するとともに、三相交流電流に備える。周波数変換器14の作動に応じて、ブロワモータ10の速度を変化させることができる。
【0045】
さらに、ブロワ装置9は、複数の構成要素によって形成されるブロワモータ制御装置を有する。
【0046】
例えば、固定子巻線内に、Pt100センサである第1温度センサ15が配置される。
【0047】
2つの支持装置7、8上に、これもPt100センサである、支持装置内の温度を監視する第2温度センサ16及び第3温度センサ17が配置される。
【0048】
最終的に、固定子5の巻線内に、PTCトリプルセンサである第4温度センサ18及び第5温度センサ19も配置される。
【0049】
図1に示すように、温度センサの測定信号が、線によって共通の制御ユニット20に送られる。制御ユニット20は、温度センサの信号を評価し、対応する制御信号を制御線21を介して周波数変換器14に送信して、ブロワモータ10の速度を所望の方法で調整する。
【0050】
第1温度センサ15は、固定子5内の或る場所の温度を確認し、動力計2内の実際の温度を介して、対応する測定信号を連続的に又は周期的に供給する。測定信号の助けによって、制御ユニット20は、周波数変換器14の対応する制御値を計算し、周波数変換器14は、所望されるブロワモータ10の速度を調整する。
【0051】
第2温度センサ16及び第3温度センサ17は、支持装置7、8内の温度を監視する。支持装置7、8のうちの一方内が第1限界値(支持注意限界値)を超過した場合、第2又は第3温度センサ16、17によって、あるいは測定信号を評価する制御ユニット20によってそれぞれ、このことが判定され、その結果、制御ユニット20は周波数変換器14を作動させて、ブロワモータ10が最大限に可能な速度で動作して可能な限り高い冷却力に達するようにする。
【0052】
一方、第2又は第3温度センサ16、17が更なる高めの限界値(支持警戒限界値)の超過を示す場合、制御ユニット20は、動力計2又は試験台全体を停止する。
【0053】
したがって、第2及び第3温度センサ16、17は、少なくとも、2つの限界値の超過を判定することができる。
【0054】
これに反して、第4及び第5温度センサ18、19は、それぞれ単一の限界値の超過のみを確認する。これによって、温度センサ18、19のうちの一方、例えば第4温度センサ18は、この第4温度センサが固定子注意限界値の超過を確認し、その結果、制御ユニットが、ブロワを最大出力で動作させる制御信号を送るように構成されている。
【0055】
他方の温度センサ、例えば第5温度センサ19は、高めの限界値、つまりそれを上回ると設備を損傷することのあるであろういわゆる固定子警戒限界値の超過を確認する。従って、固定子警戒限界値が目前である場合、あるいはこれを超過した場合、制御ユニット20は、装置又は少なくとも動力計2をオフする。
【0056】
図2は、異なる方法でのブロワ制御の基本構成、特に温度センサの配置を再び示す。
【0057】
図3では、上述のブロワ制御の切替原理を示す。
【0058】
図4は、第1温度センサ15からの測定信号を基にした、ブロワ速度の制御の特性曲線を示す。
図4に示すように、特性曲線は、温度t1を下回る範囲を有し、この場合は、ブロワ速度は最小レベルvminで一定に保持される。
【0059】
t1〜t2の間の温度範囲では、ブロワ速度は、温度t2に応答して最大速度vmaxに達するまで、線形的で連続的に増加する。
【0060】
温度t2を超えると最大速度vmaxが維持される。
【0061】
図4に示す温度t1とt2との間の線形コンテキストではなく、異なる特性曲線の進行、例えば、累進的、累減的、又は段階的な進行を選択することもできる。
【0062】
第4及び第5温度センサ18、19は非線形の跳躍特性を有し、この跳躍特性が温度限界値の超過判定の条件とする。例えば、これらの温度センサのうちの少なくとも一方を、閾値検出器を備えた測定増幅器の入力部に接続することができる。閾値又は限界値はそれぞれ、装置にとって適切な所定の温度値、例えば固定子注意限界値に設定される。閾値検出器の出力信号は、周波数変換器14のディジタル入力部を始動させる。この入力部は、周波数変換器14に、ブロワモータを最大速度で動作させる。測定値増幅器及び閾値検出器は、制御ユニット20内に配置することができる。
【0063】
支持警戒限界値又は固定子警戒限界値の超過に応じて動力計2のオフが開始されるべきである場合、制御ユニット20は、図示しない切替ユニットを介してこのことを達成することができる。
【0064】
第4及び第5温度センサ18、19は、固定子5の周縁部のどこにでも、例えば互いに対して同じ距離で配置することができる。2つ以上のPTCセンサを使用することは、安全上の理由に基づいており、固定子巻線内の温度分布の概観を得るという目的を果たす。
【0065】
固定子5の巻線内に、2つのPTCセンサ(第4及び第5温度センサ18、19)よりも多いPTCセンサを配置し、温度監視を改良することも容易に可能である。それぞれの限界値の超過を、これらのPTCセンサのうちの1つのみが示した場合、制御値20は設定されている対策を講じ、特に、ブロワ速度を最大値まで増加させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試体(1)を試験するための試験台であって、
互いに離間している2つの支持装置(7、8)によって支持されて前記供試体(1)に接続することのできる負荷軸(3)、固定子(5)、及び前記負荷軸(3)上に配置され前記固定子(5)内で回転することのできる回転子(4)を有する負荷装置(2)と、
ブロワモータ(10)及び前記ブロワモータ(10)の速度を変化させるための速度制御装置(14)を有し、前記負荷装置(2)を冷却するためのブロワ装置(9)とを備え、
前記ブロワ装置がブロワモータ制御装置を有し、
前記ブロワモータ制御装置が第1温度センサ(15)を有し、当該第1温度センサが、前記固定子(5)の固定子巻線内に配置されて測定信号を生成し、
さらに、前記ブロワモータ制御装置が、
前記ブロワモータ(10)の速度配分と前記第1温度センサ(15)により測定される温度配分との形式の制御条件に基づき、前記第1温度センサ(15)の前記測定信号に応じて、前記ブロワ装置(19)の前記速度制御装置(14)を作動させるための制御ユニット(20)を有する、試験台。
【請求項2】
前記ブロワモータ制御装置が、第2及び第3温度センサ(16、17)を有し、当該各温度センサが、それぞれ、前記支持装置(7、8)のうちのいずれか一方に配置されており、
前記制御ユニット(20)が、
前記第2温度センサ(16)及び/又は前記第3温度センサ(17)が、前記それぞれの支持装置(7、8)用に規定された支持注意限界値の超過を示す場合、前記ブロワ装置(9)の前記速度制御装置(14)を作動させて前記ブロワモータ(10)の最大速度を調整し、
前記第2温度センサ(16)及び/又は前記第3温度センサ(17)が、前記それぞれの加熱装置(7、8)用に規定された前記支持注意限界値よりも大きい支持警戒限界値の超過を示す場合、前記負荷装置(2)を停止するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の試験台。
【請求項3】
前記ブロワモータ制御装置が、少なくとも第4及び第5温度センサ(18、19)を有し、当該各温度センサが、前記固定子巻線内に配置され、限界値センサとして機能し、
前記制御ユニット(20)が、
前記第4温度センサ(18)が、前記固定子巻線の温度用に規定された固定子注意限界値の超過を示す場合、前記ブロワ装置(9)の前記速度制御装置(14)を作動させて前記ブロワモータ(10)の最大速度を調整し、
前記第5温度センサ(19)が、前記固定子巻線の温度用に規定された前記固定子注意限界値よりも大きい固定子警戒限界値の超過を示す場合、前記負荷装置(2)を停止するように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の試験台。
【請求項4】
前記負荷装置(2)が動力計であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の試験台。
【請求項5】
前記第1温度センサ(15)、前記第2温度センサ(16)、及び/又は前記第3温度センサ(17)が、それぞれ、白金温度センサ、特にPt100温度センサであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の試験台。
【請求項6】
前記第4温度センサ(18)及び/又は前記第5温度センサ(19)が、それぞれ、非線形抵抗曲線を含むPTC温度センサ、特にPTCトリプル温度センサであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の試験台。
【請求項7】
前記第4温度センサ(18)及び前記第5温度センサ(19)に加えて、前記固定子巻線内に少なくとも1つの追加温度センサが設けられていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の試験台。
【請求項8】
前記追加温度センサが、非線形抵抗曲線を含むPTC温度センサ、特にPTCトリプル温度センサであることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の試験台。
【請求項9】
前記ブロワモータ(10)の前記速度制御装置(14)を作動させるための前記制御条件が、前記ブロワモータ(10)の速度と、前記第1温度センサ(15)によって測定される温度との間の線形コンテキストを含む範囲内に規定されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の試験台。
【請求項10】
予め決まっている低温度限界(t1)と、予め決まっている高温度限界(t2)との間に前記線形コンテキストが与えられることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の試験台。
【請求項11】
前記PTC温度センサ、特に前記PTCセンサが、前記固定子巻線の周縁部に均一に分布するように配置されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の試験台。
【請求項12】
前記速度制御装置(14)が、前記ブロワモータ(10)の供給電流を調整するための周波数変換器を有することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の試験台。
【請求項13】
先行する請求項のいずれかに記載の試験台の負荷装置(2)を冷却するための、ブロワ装置(9)内のブロワモータ(10)の速度を制御するための方法であって、
前記ブロワモータ制御装置の前記制御ユニット(20)が、
前記ブロワモータ(10)の速度配分と前記第1温度センサ(15)により測定される温度配分との形式の制御条件に基づき、前記第1温度センサ(15)の前記測定信号に応じて、前記ブロワ装置(19)の前記速度制御装置(14)を連続的に作動させる制御方法。
【請求項14】
前記制御ユニットが、
前記第2温度センサ(16)及び/又は前記第3温度センサ(17)が、前記それぞれの支持装置(7、8)用に規定された、支持注意限界値の超過を示す場合、前記ブロワ装置(9)の前記速度制御装置(14)を作動させて前記ブロワモータ(10)の最大速度を調整し、
前記第2温度センサ(16)及び/又は前記第3温度センサ(17)が、前記それぞれの支持装置(7、8)用に規定された前記支持注意限界値よりも大きい支持警戒限界値の超過を示す場合、前記負荷装置(2)を停止する請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記制御ユニットが、
前記第4温度センサ(18)が、前記固定子巻線の温度用に規定された固定子注意限界値の超過を示す場合、前記ブロワ装置(9)の前記速度制御装置(14)を作動させて前記ブロワモータ(10)の最大速度を調整すること、
前記第5温度センサ(19)が、前記固定子巻線の温度用に規定された、前記固定子注意限界値よりも大きい固定子警戒限界値の超過を示す場合、前記負荷装置(2)を停止する請求項13又は14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−528301(P2012−528301A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512229(P2012−512229)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002794
【国際公開番号】WO2010/142366
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511286643)ホリバ ヨーロッパ ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】