説明

温度制御装置及び破砕装置

超音波エネルギを用いて細胞、胞子及び組織サンプルを分解又は破砕させるように設計されたスタンドアロンのベンチトップ実験器具を開示する。破砕装置は、プログラミング可能であり、ユーザは、例えば、サンプル体積、超音波処理パワーレベル、破砕期間等の破砕プロトコルパラメータを制御でき、これにより、特定のターゲット毎に、プロトコルを最適化することができる。破砕プロトコルが入力されると、破砕装置は、入力された破砕プロトコルに基づいて、自動的にサンプルを破砕する。また、破砕装置は、熱交換サブアセンブリによる冷却機能を有し、動作の間、サンプルが最大設定温度を超えることを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、同じ発明者によって2004年12月2日に出願された米国仮特許出願番号第60/633,037号、発明の名称、「自動破砕装置」の優先権を主張する。米国仮特許出願番号第60/633,037号の全体は、参照により本願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、自動的にサンプルを破砕する方法、温度制御装置及び破砕装置に関する。特に、本発明は、超音波エネルギを用いてサンプルを自動的に破砕する方法、温度制御装置及び破砕装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の破砕法は、熱、化学薬品、機械的粉砕/爆砕又はこれらの組合せによって、細胞/胞子/組織の破砕を行う。
【0004】
化学薬品又は熱破砕のみを用いる手法では、多くの場合、ユーザが厳密に従わなくてはならない複数の手作業の工程が要求される。破砕に化学薬品が用いられる場合、破砕プロトコルでは、後の分析に支障がないように、破砕後に、化学添加物を中和する必要がある場合が多い。これにより、プロセスが複雑になり、時間及びコストが増加する。
【0005】
例えば、乳鉢及び乳棒を用いる機械的粉砕法も、生来的に手作業のプロセスであり、したがって、このようなプロセスの有効性及び再現性は、技術者の技術に依存する。また、各検査の後には、サンプル間で交差汚染が生じないように、全ての器具を洗浄する更なる工程が必要である。
【0006】
現在使用されている、機械的な破砕のために超音波エネルギを用いる装置では、超音波処理の間、振動子チップを液体サンプルに含浸させる必要があり、この場合も、各検査毎に完全な洗浄を行わなければ、サンプル間で交差汚染が生じる虞がある。また、この場合、振動子チップを液体サンプルに含浸させるために、液体サンプルは、開放環境に収容することが必要となる。このような開放環境は、飛沫化又は霧化による汚染の可能性を増加させる。
【0007】
他の機械的な分解法として、コンテナに、サンプルと共に堅いビーズ(例えば、ガラス又はステンレススチール球)を入れる、「ビーズ式粉砕機(Bead Beater)」と呼ばれる手法もある。この後、塗料ミキサと同様の手法で、設定された期間、コンテナを激しく震動させる。この手法は、原理的には、超音波エネルギを用いる機械的な粉砕と同様であるが、ここで用いられる周波数は低く、振幅は大きい。ここでは、各サンプル毎に新たなコンテナを用いれば、検査間の交差汚染は生じず、この他の場合は、各新たな検査毎に、コンテナを完全に洗浄する必要がある。なお、幾つかのサンプルについては、より高いレベルの攪拌が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、自動化され、効率的で、汚染の危険性が低い破砕装置及び破砕方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態は、超音波エネルギを用いて細胞、胞子及び組織サンプルを分解又は破砕するように設計されたスタンドアロンのベンチトップ実験器具を提供する。破砕装置は、プログラミング可能であり、ユーザは、例えば、サンプル体積、超音波処理パワーレベル、破砕期間等の破砕プロトコルパラメータを制御できる。このようなプログラミング可能な制御によって、特定のターゲット毎に、プロトコルを最適化することができる。破砕プロトコルが入力されると、破砕装置は、入力された破砕プロトコルに基づいて、自動的にサンプルを破砕する。また、破砕装置は、熱交換サブアセンブリによる冷却機能を有し、動作の間、サンプルが最大設定温度を超えることを防ぐことができる。ある種の破砕プロトコルの間、温度は、特定のサンプルを破壊する可能性のある温度まで上昇することがある。これらの場合、熱交換サブアセンブリを用いて、サンプルから熱を奪うことができる。
【0010】
本発明の破砕システムは、好ましくは、破砕すべき各サンプル毎に、使い捨ての、個別にキャップされたサンプルバイアルを使用し、検査間の交差汚染のリスクを最小化する。サンプルは、破砕プロトコルに応じて、機械的な攪拌媒体(例えば、ガラス球)、化学的破砕試薬(例えば、NaOH)、他の周知の破砕法と組み合わせてもよく、組み合わせずに単独で用いてもよい。サンプルを収容するサンプルバイアルは、破砕装置に挿入され、サンプルバイアルの底部は、超音波振動子の振動子チップに接触する。振動子チップは、サンプルには接触しない。サンプルバイアルは、破砕装置内のバイアルマウントに挿入される。熱ブロックは、サンプルバイアルの側壁に対して強く押し付けられる。各熱ブロックには、それぞれ熱電冷却器(Thermoelectric Cooler:TEC)及びヒートシンクが取り付けられる。超音波振動子は、サンプルバイアルの底部を介して、サンプルに超音波エネルギを伝達し、細胞/胞子/組織の分離を引き起こす。冷却機能が有効になると、TECは、熱ブロックを介してサンプルバイアルから熱を奪うことによって、サンプルを冷却する。好ましくは、補助ファンがTEC及びヒートシンクに亘って換気を行い、熱除去速度を維持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の好ましい実施の形態に基づく自動的な破砕装置10を示している。破砕装置10は、筺体20、主電源スイッチ30及び制御パネル40を備える。
【0012】
図2は、制御パネル40を更に詳細に示している。制御パネル40は、ユーザが様々な破砕プロトコルパラメータを入力するためのユーザインタフェースである。ディスプレイ42は、動作の間、入力パラメータと、フィードバック及び状態情報とを表示する。ディスプレイ42は、好ましくは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)である。これに代えて、周知の如何なる表示装置を使用してもよい。好ましくはないが、プリンタ、例えば、紙テーププリンタを用いてもよい。ユーザは、体積ボタン48、パワーボタン50、期間ボタン52及び冷却ボタン54のそれぞれを用いて、体積パラメータ、パワーパラメータ、期間パラメータ及び冷却パラメータを入力することができる。また、ユーザは、数値キーパッド46によって、体積、パワー、期間及び冷却パラメータに関連する数値を入力することができる。破砕装置10(図1)は、好ましくは、約1.0ml〜約3.0mlの範囲の体積のサンプルを破砕させるように構成されている。これに代えて、破砕装置10は、1.0ml未満又は3.0mlを超える体積のサンプルを処理できるように構成してもよい。体積パラメータは、好ましくは、0.1ml単位で入力できる。これに代えて、必要に応じて、より小さい又はより大きい単位で体積パラメータを指定できるようにしてもよい。また、更に他の実施の形態では、ユーザは、実際のワット数に対応するパワーの種類を選択できるようにしてもよい。
【0013】
好ましい実施の形態では、パワーパラメータは、5つの使用可能なパワー設定の1つによって設定される。パワー設定には、最低のパワーを「1」として、「1」〜「5」の番号が付されている。これに代えて、5個より多い又は少ないパワーレベルを設定できるようにしてもよい。パワーレベル設定は、ユーザの混乱を回避するために、例えば、「10ワット」等の実際のワット数の代わりに使用される。例えば、特定のワット数レベルを入力する場合、入力するワット数レベルは、電源が供給する電力なのか、超音波振動子によって供給されるパワーなのか、サンプルに吸収されるパワーなのかがユーザにとって不明瞭となる虞がある。なお、変形例として、破砕装置は、パワーパラメータについて実際のワット数を指定できるように構成してもよい。また、更に他の実施の形態では、ユーザは、実際のワット数が参照されるパワーの種類を指定できる。
P4
期間パラメータは、超音波エネルギがサンプルに印加される時間に対応し、これは、破砕時間とも呼ばれる。破砕時間は、好ましくは、分及び秒単位で入力される。
【0014】
通常、可能な体積、パワー、期間パラメータ値の様々な組合せによって、総合的な性能エンベロープが定まる。破砕装置10は、ユーザが、周知の、予め定義された組合せレベルの範囲を逸脱するパラメータを指定した破砕プロトコルを実行できないように構成される。このような制約条件によって、例えば、非常に小さい体積のサンプルに対して非常に高いパワーを印加するといった、潜在的に危険なパラメータの組合せによって動作が実行されることを防止できる。これによって、設備及び/又はサンプルが破損する可能性が低減される。予め定義された性能エンベロープから逸脱するパラメータ値が入力されると、ディスプレイ42にはエラーメッセージが表示され、ユーザは、1つ以上のパラメータ値を変更するように促される。なお、ここでは、体積パラメータ、パワーパラメータ、期間パラメータ及び冷却パラメータを用いる破砕装置10を説明しているが、これらより多い又は少ないパラメータを用いてもよい。
【0015】
許容可能な体積、パワー及び期間パラメータが設定されると、開始ボタン58が押され、破砕が開始される。ディスプレイ42は、ゼロへとカウントダウンされる経過時間と、設定された体積及びパワーパラメータとを表示する。また、停止ボタン60を押すことによっていつでも動作を中止することができる。
【0016】
破砕プロトコル及び対応するパラメータ値が未知であり、新たなプロトコルを開発する必要がある場合もある。新たなプロトコルを開発する場合、正確な破砕期間が未知であることがあり、この場合、ユーザは、手動でタイミングを制御しなければならない。ユーザは、パルスボタン56によって、設定された体積及びパワーレベルで、サンプルを手動で破砕させることができる。超音波エネルギは、パルスボタン56が押されている間、サンプルバイアルに印加され、ディスプレイ42は、経過したパルス時間を表示する。好ましい実施の形態では、内部センサが、サンプルの温度を継続的に監視する。パルスボタン56を押す時間が長すぎると、オーバーヒートが生じることがある。ここでは、好ましくは、温度閾値を設定し、温度が所定の温度閾値を超えた場合、超音波エネルギの印加が中止される。
【0017】
プリセットボタン44は、一般的に使用するプロトコルを保存し、一回のボタンの押圧操作でプロトコルを呼び出すために用いられる。好ましくは、A〜Eの5個のプリセットボタン44を設ける。これに代えて、5より多い又は少ないプリセットボタンを設けてもよい。
P5
破砕装置10は、サンプルを冷却する機能を有する。冷却パラメータは、好ましくは、サンプルを冷却するための特定の温度を設定するために用いられる。これに代えて、冷却パラメータは、ターゲット温度範囲を設定してもよい。或いは、冷却パラメータは、特定のターゲット温度を設定せず、オン又はオフのみを指定してもよい。このような冷却機能は、例えば、超音波処理による温度上昇がRNAを破損し、又は血液凝固の速度を遅延させる等、望ましくない結果を生じる虞があるプロトコルにおいて有用である。また、超音波処理の間にサンプルを冷却し、又は超音波処理の前にサンプルを予め冷却することによって、サンプル又はサンプルバイアルにオーバーヒートを生じさせることなく、より長い期間、破砕を行うことができる。
【0018】
また、制御パネル40は、アクセス用蓋62を備えている。ユーザは、アクセス用蓋62を介して、破砕プロトコルの実行のために、例えば、サンプルバイアル等のサンプルコンテナが載置されるバイアルマウント110(図5)と呼ばれるサンプル収容部分にアクセスできる。
【0019】
破砕装置10の内部の側面図を図3に示す。破砕装置10は、破砕エンジンコンパートメントと、電子回路コンパートメントの2つのコンパートメントを備える。破砕エンジンコンパートメントには、破砕エンジン100が配設されている。電子回路コンパートメントは、制御回路70、電源80及び電子回路冷却ファン90を備える。制御回路70は、接続72を介して、制御パネル40(図2)に連結されている。破砕装置10を破砕エンジンコンパートメントと電子回路コンパートメントとで構成することによって、熱分離及び流体/電子回路分離が実現される。この熱分離により、超音波処理の間に破砕エンジン100内で発生した熱が、電子回路コンパートメント内の制御回路70を加熱することが防がれ、及び制御回路70及び電源80で発生した熱が破砕エンジン100を加熱することが防がれる。また、熱分離及び流体/電子回路分離により、制御回路70内の敏感な電気部品を、例えば、サンプル、洗浄剤、TECの液化冷却剤等の流体から隔離することができる。
【0020】
破砕装置10の分解図を図4に示す。筺体20(図1)は、好ましくは、側板22、24と、トップカバー26と、底面26とを備える。各側板22、24には、好ましくは、通気のための通気口が開設されている。側板22、24のうちの少なくとも1つには補助TECファン95が取り付けられている。補助TECファン95は、冷却のために、筺体20に開設された通気口から取り入れた空気を破砕エンジン100に吹きつける。トップカバー26は、制御パネル40と、開口27とを備える。破砕エンジン100の上部は、開口27を介して突出しており、ユーザは、アクセス用蓋62を介してアクセスすることができる。図4に示す筺体20は、4つの部品から構成されているが、筺体20は、幾つの部品から構成してもよい。
【0021】
破砕エンジン100の分解図を図5に示す。破砕エンジン100は、バイアルネスト180、バイアルマウント110、熱ブロック120、122、熱電冷却器(TEC)130、ヒートシンク140、142、超音波振動子150、圧縮ばね160及び振動子マウント170を備える。バイアルネスト180は、リリースラッチ(図示せず)及びアクセス用蓋62を備える。リリースラッチ及びアクセス用蓋62を含むバイアルネスト180の上部は、トップカバー26(図4)の開口27(図4)を介して、上に突出している。
【0022】
バイアルマウント110は、サンプルバイアル200を保持するように構成されている。アクセス用蓋62を開くと、バイアルネスト180のアクセス用開口182を介して、バイアルマウント110にアクセスすることができる。サンプルバイアル200は、アクセス用開口182を介して、バイアルマウント110に取り付けられ、又は取り外される。
【0023】
超音波振動子150の底部は、圧縮ばね160に連結されている。振動子マウント170は、超音波振動子150及び圧縮ばね160を保持し、互いに適切な位置まで、軸方向に案内する。振動子マウント170は、バイアルマウント110の底面に取り付けられる。これにより、超音波振動子150は、バイアルマウント110に対して適切に配置される。バイアルマウント110は、好ましくは、底面に開口(図示せず)が開設され、これにより、超音波振動子150の振動子チップ152は、開口を貫通し、バイアルマウント110内に載置されたサンプルバイアル200の底面に接触する。
【0024】
サンプルバイアル200は、バイアルマウント110に載置される。アクセス用蓋62を閉じると、サンプルバイアル200の底部が振動子チップ152に対して押し付けられる。振動子チップ152は、調整された圧縮ばね160の付勢力によって、サンプルバイアル200の底部に対して所定の力を加える。超音波振動子150からサンプルバイアル200内のサンプルへの超音波エネルギの効率的な伝達は、振動子チップ152とサンプルバイアル200の底部との間で、所定の力に基づく接触を維持することに部分的に依存している。また、破砕プロトコルでは、パワーパラメータが重要な変数であるため、適切な所定の力を維持することにより、所定の破砕プロトコルが適切に実行される。
【0025】
圧縮ばね160は、好ましくは、振動子チップ152のサンプルバイアル200の底部に対する力を実質的に一定に維持するが、界面の加熱及び機械的移動に起因する僅かな位置の変化のために、破砕処理の間のこの界面における結合は、変化する。このドリフトを補償し、設定された入力パワーレベルを維持するために、超音波振動子150を制御するフィードバックループ回路を制御回路70に組み込むことが好ましい。フィードバック回路は、好ましくは、超音波振動子150に供給された電圧及び電流を測定し、実時間で、好ましくは、10ミリ秒毎に振動子チップ152に伝送されたパワーを算出する。そして、制御回路70は、超音波振動子150の電圧制御装置の内部の電源電圧を調整し、駆動電圧を超音波振動子150に対応するように変更する。そして、超音波振動子150のインピーダンス及び駆動電圧レベルによって、流れる電流が決定する。
【0026】
サンプルバイアル200がバイアルマウント110内に配置されると、2つのスプリング付の熱ブロック120、122が、サンプルバイアル200の側面を押し付ける。これにより、各熱ブロック120、122の第1の表面は、サンプルバイアル200に接触し、熱輸送のための熱接触を実現する。各熱ブロック120、122の第2の表面は、好ましくは、熱電冷却器(TEC)130に接触している。斜視図の角度のために図5には示していないが、ヒートシンク142の背面側には、第1のTEC130と同様の手法で第2のTECが取り付けられる。TEC130及び第2のTEC(図示せず)は、好ましくは、それぞれヒートシンク140及びヒートシンク142の背面に取り付けられる。各TECの「熱い」側面は、ヒートシンク140、142に取り付けられる。冷却機能が有効にされると、TECは、通電され、一方の側が(周囲温度より低い温度に)冷却され、反対の側が周囲温度より熱くなる。熱ブロック120、122に取り付けられた各TECの冷たい側面は、超音波エネルギ超音波処理の適用の間にサンプルから発生する熱を奪う。補助TECファン95(図4)は、ヒートシンク140、142を冷却し、TECに亘って、適切な動作に必要な温度勾配を維持する。
【0027】
熱ブロック120、122の少なくとも一方には、温度を監視するための温度センサ(図示せず)を取り付けることが好ましい。この温度は、サンプルバイアル200及びサンプルバイアル200内のサンプルの温度に直接関連する。温度を所定の範囲内に維持することによって、破砕プロトコル能力が向上する。更に、温度の測定及び破砕装置10の冷却機能を用いる拡張は、様々な安全対策機能のために用いられる。破砕装置10は、オーバーヒートの可能性を感知した場合、超音波処理プロセスは、自動的に停止され、又はパワーが低減される。冷却パラメータが予めオンにされていない場合、TECは、この時点で有効になり、サンプルバイアル200及びサンプルバイアル200内のサンプルを安全な温度範囲に戻るまで急速に冷却する。
【0028】
破砕装置10の通常動作の間、サンプルは、ある程度加熱されることが予想され、この加熱によって、破砕が促進することも多い。これらの温度は、バイアルの破壊又はターゲットの破損のリスクが生じる程高くなくても、ユーザが破砕装置からサンプルバイアル200を取り除き及び取り扱う際に、ユーザを驚かせ(例えば、バイアルを落下させ、不注意によってこぼす)又はユーザに軽い火傷を負わせる虞がある。このようなリスクを最小化するために、破砕装置10は、ソレノイド安全保護装置184を備え、ソレノイド安全保護装置184は、リリースラッチをディスエーブルにし、サンプルバイアル200が安全温度に冷却される前に、ユーザがアクセス用蓋62を開き、サンプルバイアル200に触れることを防止する。破砕プロトコルの完了の後に、TECを暫く有効にし、サンプルバイアル200及びサンプルを急速に「安全」温度に冷却することによって、ソレノイド安全保護装置184がアクセス用蓋62を解放する期間を短くすることができる。
P8
バチルス属の細菌(Bacillus globigii:以下、BGという。)バクテリア胞子を用いて、破砕の有効性を検証した。10cfu/mlの濃度のBGの3mlのサンプルに240mgのガラスビーズ(直径150〜212μm)を混入し、パワーレベル2で10分間超音波処理した後、PCR増幅した結果、適切な破砕が行われていることがわかった。パワーレベル2は、好ましくは、サンプルに直接8ワットを伝達するパワーと同等である。
【0029】
破砕エンジン100は、好ましくは、独立した組立体として設計される。このため、破砕エンジン100は、他の器具構成にも、殆ど又は全く変更することなく使用できる。このような代替の器具構成には、例えば、破砕エンジン組立体をマルチステーションシステムに組み込む構成又は破砕エンジン組立体を他の装置と共に単一の器具に統合する構成が含まれる。
【0030】
本発明の構成及び動作原理を明瞭に説明するために、様々な詳細を含む特定の実施例を用いて本発明を説明した。このような特定の実施例の説明及びその詳細は、特許請求の範囲を制限するものではない。本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、例示的に選択された実施例を変更できることは、当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に基づく自動破砕装置の斜視図である。
【図2】破砕装置の制御パネルの平面図である。
【図3】破砕装置の内部の側面図である。
【図4】破砕装置の分解図である。
【図5】破砕エンジンの分解図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波エネルギを用いてサンプルを破砕する間、温度を制御する温度制御装置において、
a.破砕させるサンプルを収容するサンプルコンテナと、
b.上記サンプルコンテナに接触し、上記サンプルに超音波エネルギを供給する超音波発生器と、
c.上記サンプルコンテナに連結され、超音波エネルギの印加の間、該サンプルコンテナ内で生成された熱が伝導される熱交換サブアセンブリとを備える温度制御装置。
【請求項2】
上記超音波発生器は、超音波ホーンを備えることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項3】
上記超音波ホーンは、上記サンプルコンテナの第1の表面に接触するように配置された振動子チップを備えることを特徴とする請求項2記載の温度制御装置。
【請求項4】
上記超音波ホーンに連結され、上記振動子チップによって上記サンプルコンテナの第1の表面に対して、所定の力が維持されるように調整された圧縮スプリングを更に備える請求項3記載の温度制御装置。
【請求項5】
上記サンプルコンテナは、密封され、上記振動子チップは、サンプルコンテナの外側表面に接触し、該サンプルコンテナ内に密封された環境が実現されていることを特徴とする請求項3記載の温度制御装置。
【請求項6】
上記熱交換サブアセンブリは、上記サンプルコンテナに接触するように押し付けられる少なくとも1つのスプリング付勢熱ブロックを備えることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項7】
上記熱交換サブアセンブリは、少なくとも1つの熱ブロックと、上記サンプルコンテナとの間に取り付けられた熱電冷却器を備えることを特徴とする請求項5記載の温度制御装置。
【請求項8】
上記超音波エネルギは、上記サンプル内の細胞、胞子又は組織を破砕することを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
【請求項9】
上記超音波発生器に接続され、印加される超音波エネルギのパワー及び期間を制御する可変プログラミング回路を更に備える請求項1記載の温度制御装置。
【請求項10】
上記少なくとも1つの熱ブロックに接続された温度センサを更に備える請求項9記載の温度制御装置。
【請求項11】
上記可変プログラミング回路は、上記温度センサに接続され、温度情報を受信し、該可変プログラミング回路は、該温度情報に応じて、上記超音波発生器に制御信号を供給することを特徴とする請求項10記載の温度制御装置。
【請求項12】
上記可変プログラミング回路に接続され、動作パラメータを入力するために用いられるユーザインタフェースを更に備えることを特徴とする請求項9記載の温度制御装置。
【請求項13】
上記動作パラメータは、上記サンプルの体積、上記印加される超音波エネルギのパワーレベル、及び上記超音波エネルギが印加される期間であることを特徴とする請求項12記載の温度制御装置。
【請求項14】
超音波エネルギを用いてサンプルを破砕する破砕装置において、
a.破砕させるサンプルを収容するサンプルコンテナと、
b.上記サンプルコンテナに接触し、上記サンプルに超音波エネルギを供給する超音波発生器と、
c.上記サンプルコンテナに/から熱輸送を行う熱交換サブアセンブリと、
d.適用される破砕プロトコルに基づいて、上記超音波発生器に制御信号を提供する可変プログラミング回路とを備える破砕装置。
【請求項15】
上記超音波発生器は、超音波ホーンを備えることを特徴とする請求項14記載の破砕装置。
【請求項16】
上記超音波ホーンは、上記サンプルコンテナの第1の表面に接触するように配置された振動子チップを備えることを特徴とする請求項15記載の破砕装置。
【請求項17】
上記超音波ホーンに連結され、上記振動子チップによって上記サンプルコンテナの第1の表面に対して、所定の力が維持されるように調整された圧縮スプリングを更に備える請求項16記載の破砕装置。
【請求項18】
上記サンプルコンテナは、密封され、上記振動子チップは、サンプルコンテナの外側表面に接触し、該サンプルコンテナ内に密封された環境が実現されていることを特徴とする請求項16記載の破砕装置。
【請求項19】
上記熱交換サブアセンブリは、上記サンプルコンテナに接触するように押し付けられる少なくとも1つのスプリング付勢熱ブロックを備えることを特徴とする請求項14記載の破砕装置。
【請求項20】
上記熱交換サブアセンブリは、少なくとも1つの熱ブロックと、上記サンプルコンテナとの間に取り付けられた熱電冷却器を備えることを特徴とする請求項19記載の破砕装置。
【請求項21】
上記超音波エネルギは、上記サンプル内の細胞、胞子又は組織を破砕させることを特徴とする請求項14記載の破砕装置。
【請求項22】
上記破砕プロトコルは、上記超音波エネルギのパワーレベル、上記超音波エネルギが印加される期間又は上記サンプルコンテナ内に収容されるサンプルの体積を特定することを特徴とする請求項14記載の破砕装置。
【請求項23】
上記可変プログラミング回路に接続され、上記破砕プロトコルを入力するために用いられるユーザインタフェースを更に備えることを特徴とする請求項22記載の破砕装置。
【請求項24】
上記少なくとも1つの熱ブロックに接続された温度センサを更に備える請求項14記載の破砕装置。
【請求項25】
上記可変プログラミング回路は、上記温度センサに接続され、温度情報を受信し、該可変プログラミング回路は、該温度情報に応じて、上記超音波発生器に制御信号を供給することを特徴とする請求項24記載の破砕装置。
【請求項26】
超音波エネルギを用いてサンプルを破砕する破砕装置において、
a.密封された環境内に収容されたサンプルと、
b.上記密封された環境の外側表面に接触するように配置され、該外側表面を介してサンプルに供給される超音波エネルギを生成する超音波ホーンと、
c.上記密封された環境に連結され、該密封された環境に/から熱輸送を行う熱交換サブアセンブリとを備える破砕装置。
【請求項27】
上記超音波ホーンは、上記密封された環境の外側表面に接触するように配置された振動子チップを備えることを特徴とする請求項26記載の破砕装置。
【請求項28】
上記超音波ホーンに連結され、上記振動子チップによって上記密封された環境の外側表面に対して、所定の力が維持されるように調整された圧縮スプリングを更に備えることを特徴とする請求項27記載の破砕装置。
【請求項29】
上記密封された環境は、キャップを備えるバイアルを含むことを特徴とする請求項26記載の破砕装置。
【請求項30】
上記熱交換サブアセンブリは、上記サンプルコンテナに接触するように押し付けられる少なくとも1つのスプリング付勢熱ブロックを備えることを特徴とする請求項26記載の破砕装置。
【請求項31】
上記熱交換サブアセンブリは、少なくとも1つの熱ブロックと、上記密封された環境との間に取り付けられた熱電冷却器を備えることを特徴とする請求項30記載の破砕装置。
【請求項32】
上記超音波エネルギは、上記サンプル内の細胞、胞子又は組織を破砕することを特徴とする請求項26記載の破砕装置。
【請求項33】
上記超音波発生器に接続され、印加される超音波エネルギのパワー及び期間を制御する可変プログラミング回路を更に備える請求項26記載の破砕装置。
【請求項34】
上記少なくとも1つの熱ブロックに接続された温度センサを更に備える請求項33記載の破砕装置。
【請求項35】
上記可変プログラミング回路は、上記温度センサに接続され、温度情報を受信し、該可変プログラミング回路は、該温度情報に応じて、上記超音波発生器に制御信号を供給することを特徴とする請求項34記載の破砕装置。
【請求項36】
上記可変プログラミング回路に接続され、動作パラメータを入力するために用いられるユーザインタフェースを更に備えることを特徴とする請求項33記載の破砕装置。
【請求項37】
上記動作パラメータは、上記サンプルの体積、上記印加される超音波エネルギのパワーレベル、及び上記超音波エネルギが印加される期間であることを特徴とする請求項36記載の破砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−521607(P2008−521607A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544504(P2007−544504)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/043458
【国際公開番号】WO2006/060566
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(507077503)マイクロフルイディク システムズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】