説明

温水暖房システム

【課題】どのような場所に熱交換ユニットを設置したとしても、操作性を損なうことのない温水暖房システムを提供すること。
【解決手段】本発明の温水暖房システムは、冷媒が大気より熱を吸熱するヒートポンプユニット10と、ヒートポンプユニット10で高温となった冷媒と湯水とを熱交換して高温水を生成する熱交換ユニット20とを備え、熱交換ユニット20の外郭に設置された操作部2を着脱可能な構成としたことにより、熱交換ユニット20自体を狭小なスペースに設置したとしても、操作部2を着脱可能に構成しているので、別途操作部を切り離してヒートポンプユニット等の操作を行うことができるため、非常に使用性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房用温水循環回路を介して暖房端末に温水を供給する温水暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の温水暖房システムは、屋外に冷媒が大気から熱を吸熱するヒートポンプユニットを設置し、屋内に高温冷媒と湯水とが熱交換を行う熱交換ユニットと、生成した高温水を貯える貯湯タンクとを設置するように構成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように構成された温水暖房システムにおいて、熱交換ユニットの外郭を構成する筐体前部には、ヒートポンプユニット等を操作するための操作部が設けられており、前記操作部を操作することによって、前記ヒートポンプユニット等を操作し、暖房設定温度等を変更することが可能に構成されている。
【特許文献1】国際公開第2005/106346号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱交換ユニットを屋内に設置するために、熱交換ユニットを据え付けた箇所に、スペースの余裕があるとは限らず、例えば、物置や階段下などの狭小スペースに設置した場合には、スペースに余裕がないため、熱交換ユニットを据え付けるスペースがあったとしても、その場所に人が入って熱交換ユニットの前部に設けられた操作部を操作することが困難であるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、どのような場所に熱交換ユニットを設置したとしても、操作性を損なうことのない温水暖房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の温水暖房システムは、冷媒が大気より熱を吸熱するヒートポンプユニットと、前記ヒートポンプユニットで高温となった冷媒と湯水とを熱交換して高温水を生成する熱交換ユニットとを備え、前記熱交換ユニットの外郭に設置された操作部を着脱可能な構成としたことにより、熱交換ユニット自体を狭小なスペースに設置したとしても、操作部を着脱可能に構成しているので、別途操作部を切り離してヒートポンプユニット等の操作を行うことができるため、非常に使用性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、どのような場所に熱交換ユニットを設置したとしても、操作性を損なうことのない温水暖房システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明の温水暖房システムは、冷媒が大気より熱を吸熱するヒートポンプユニットと、前記ヒートポンプユニットで高温となった冷媒と湯水とを熱交換して高温水を生成する熱交換ユニットとを備え、前記熱交換ユニットの外郭に設置された操作部を着脱可能な構成としたことにより、熱交換ユニット自体を狭小なスペースに設置したとしても、操作部を着脱可能に構成しているので、別途操作部を切り離してヒートポンプユニット等の操
作を行うことができるため、非常に使用性を向上させることができる。
【0009】
第2の発明の温水暖房システムは、特に第1の発明において、前記操作部を無線で操作する装置としたことにより、熱交換ユニットと操作部とを接続する接続線が不要になるため、接続線を引き回すための施工が不要になる他、外観を損なうこともない。
【0010】
第3の発明の温水暖房システムは、特に第1または第2の発明において、前記熱交換ユニットの前記操作部を取り外した箇所に、化粧用グリルなどの別部品の取り付けが可能な構成としたことにより、熱交換ユニットから操作部を取り外した状態であっても外観を損なうことはなく、美観性を向上させることができる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における温水暖房システムの構成図である。図1において、本実施の形態の温水暖房システムは、冷凍サイクルを有するヒートポンプユニット10、冷媒と水とが熱交換を行うプレート型の熱交換器を有する熱交換ユニット20、内部に温水が流れて居住空間を暖める温水暖房端末30を有している。
【0013】
熱交換ユニット20と温水暖房端末30は室内に設置され、ヒートポンプユニット10は室外に設置されており、室内と室外とは冷媒配管で接続されている。そのため、低外気温度の状況下においても冷媒配管が凍結しにくく、特に外気温度が低くなる寒冷地などにおいては、水配管が屋外に設置されるヒートポンプ給湯機などに比べて暖房装置に適している。
【0014】
ヒートポンプユニット10には、空気と冷媒とで熱交換を行う蒸発器11、冷媒を高温高圧冷媒に圧縮する圧縮機12、熱交換ユニット20の水冷媒熱交換器21で放熱した後の冷媒を減圧する減圧装置13が配設されており、水冷媒熱交換器21と減圧装置13と蒸発器11と圧縮機12とを順次冷媒配管にて環状に接続して冷凍サイクルを構成している。なお冷凍サイクル内の流れる冷媒には、R410Aや二酸化炭素などを用いる。
【0015】
図2は、熱交換ユニット20の構成を示す構成図である。図2に示すように、熱交換ユニット20には、冷媒と水とが熱交換を行うプレート型の水冷媒熱交換器21、水冷媒熱交換器21で暖められた温水を温水暖房端末30に送るためのポンプ22、管内の圧力を下げることを目的とする圧力逃がし弁23、閉回路内に噛み込んだエアー逃がしを目的とする空気抜き弁24、閉回路内の温水往き・戻りが流れているかを判断する流量計(フロースイッチ)25、閉回路内の水圧を正常に保ち、破裂を防止することを目的とする膨張タンク26が配設されており、ポンプ22が駆動することによって、温水暖房端末30内の湯水が流れて水冷媒熱交換器21で、水と冷媒との間で熱交換がなされる。
【0016】
温水暖房端末30は、パネルヒーターや床暖房パネルなどを指し、熱交換器31を有して、熱交換器31内に水冷媒熱交換器21で暖められた温水を流すことによって、居室内を暖める構成となっている。
【0017】
以上のように構成された温水暖房システムにおいて、以下、熱交換ユニット20の筐体構成について説明する。
【0018】
図3は、熱交換ユニット本体20の外郭を構成する筐体前部の略中央部に、操作部であるヒートポンプユニットや熱交換ユニット内の機器をコントロールするための操作装置2
が取り付けられている。特に略中央部に設けることによって、操作装置2を熱交換ユニット20からどちらの方向に引っ張り出しても、熱交換ユニット20の内部に有する制御基盤(図示せず)と操作装置2とを接続する通信線3が筐体前部の略中央部から出てくるために、非常に通信線の引き回しがしやすいという利点がある。
【0019】
なお、本実施の形態では、操作装置2と熱交換ユニット20とが通信線3によって接続された形態として説明するが、操作装置2と熱交換ユニット20とが無線にて接続された構成であってもよい。この場合には、操作装置2と熱交換ユニット20とを接続する通信線3が無くなるため、通信線3の引き回しが不要となり、非常に施工性が向上する。
【0020】
このように、操作装置2を熱交換ユニット20から着脱可能に構成するので、熱交換ユニット20をどのような場所(例えば、階段下や物置)に設置しても、操作装置2を取り外して、操作しやすい箇所まで引き伸ばしてくることができ、熱交換ユニット20の設置場所を考慮せずとも、温水暖房システムを使用することができる。
【0021】
図4は、操作装置2と熱交換ユニット20とを接続する通信線を廃止し、無線で接続した図である。そして、図4に示すように、操作装置2を取り外した箇所には、操作装置2と同じ大きさ、もしくは操作装置2を熱交換ユニット20に取り付けていたビス穴が隠れるくらいの大きさの化粧グリル5を取り付けることで、非常に美観性を損なうことがなく、屋内に設置してもインテリア性を保つことができる。
【0022】
図5は、化粧グリル5を熱交換ユニット20に取り付けた状態の正面図を示し、図6は、図5のA−A断面図を示すものである。図6に示すように、化粧グリル5の背面側には、筐体前部に操作装置2を取り付け固定していた締結用ビスのビス穴にちょうど嵌め込まれる形状の突起形状6を設けている。この突起形状6を化粧グリル5の背面側に取り付けることによって、筐体前部にある操作装置2の締結用ビスのビス穴に、突起形状6を嵌め込んで固定することができ、非常に施工性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明にかかる温水暖房システムは、熱交換ユニット本体の美観性を向上させつつ、外郭に設置、収納した操作装置を着脱可能な構成とすることで、限られた狭小スペースに据え付けても通常設置と同等の操作性能を確保することができるので、製品外郭に操作装置を配置した各種機器、装置の本体構成等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における温水暖房システムの構成図
【図2】同熱交換ユニットの構成図
【図3】同熱交換ユニットの斜視図
【図4】同熱交換ユニットの斜視図
【図5】同熱交換ユニットの化粧グリル取付け正面図
【図6】図5のA−A断面図
【符号の説明】
【0025】
2 操作装置
3 通信線
5 化粧用グリル
6 突起形状
10 ヒートポンプユニット
11 蒸発器
12 圧縮機
13 減圧装置
20 熱交換ユニット
21 水冷媒熱交換器
22 ポンプ
23 圧力逃がし弁
24 空気抜き弁
25 流量計(フロースイッチ)
26 膨張タンク
30 温水暖房装置
31 熱交換器(暖房側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が大気より熱を吸熱するヒートポンプユニットと、前記ヒートポンプユニットで高温となった冷媒と湯水とを熱交換して高温水を生成する熱交換ユニットとを備え、前記熱交換ユニットの外郭に設置された操作部を着脱可能な構成としたことを特徴とする温水暖房システム。
【請求項2】
前記操作部を無線で操作する装置としたことを特徴とする請求項1に記載の温水暖房システム。
【請求項3】
前記熱交換ユニットの前記操作部を取り外した箇所に、化粧用グリルなどの別部品の取り付けが可能な構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の温水暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−25357(P2010−25357A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183483(P2008−183483)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】