説明

温水暖房システム

【課題】温水暖房システムにおいて、熱動弁が設けられていない低温端末機を用いる場合であっても、浴室暖房乾燥機との同時運転を適切に行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】本発明の温水暖房システムは、温水を熱源として利用する低温端末機と、温水を熱源として利用する浴室暖房乾燥機と、前記低温端末機と前記浴室暖房乾燥機の両方に温水を供給する熱源機を備える。その温水暖房システムでは、前記浴室暖房乾燥機の温水の要求温度が前記低温端末機の温水の要求温度より高く設定されている。その温水暖房システムでは、前記低温端末機の運転中に前記浴室暖房乾燥機が暖房運転を開始した場合には、前記熱源機が前記浴室暖房乾燥機の要求温度まで加熱された温水を供給し、前記低温端末機の運転中に前記浴室暖房乾燥機が乾燥運転を開始した場合には、前記熱源機が前記低温端末機の要求温度まで加熱された温水を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
温水を熱源として利用する端末機と、端末機に温水を供給する熱源機を備える温水暖房システムが知られている。このような温水暖房システムでは、単一の熱源機から各種の端末機に温水を供給することによって、安全性が高く効率のよいセントラルヒーティングを実現している。
【0003】
上記のような温水暖房システムで使用する端末機では、温水の要求温度がそれぞれ異なっている。例えば床暖房機やパネルラジエータなど、比較的低温の温水を用いて暖房を行う端末機では、温水の要求温度は40℃程度である。他方、浴室暖房乾燥機やファンコンベクタなどの比較的高温の温水を用いて暖房を行う端末機では、温水の要求温度は80℃程度である。このように端末機によって温水の要求温度は異なっているので、熱源機における温水の温度管理は重要である。
【0004】
特許文献1−3には、1つの熱源機で2つ以上の端末機の温水制御を行うものにおいて、要求温度の高い端末機に合わせて熱源機が供給する温水温度を制御し、要求温度の低い端末機ではその温水回路の熱動弁を間欠的に開閉制御することで、各端末機の同時運転を適切に行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−60333号公報
【特許文献2】特開2003−21343号公報
【特許文献3】特開平6−323557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
寒冷地では、低温端末機であるパネルラジエータが従来から普及しており、昼夜、就寝中を問わず24時間連続で使用されるのが一般的である。このため、多くの家屋にはすでにパネルラジエータが設置されている。パネルラジエータが設置されている家屋に、新たに浴室暖房乾燥機を導入する場合には、既存のパネルラジエータはそのまま流用して、それぞれの端末機に対応可能な熱源機を新たに設置することになる。
【0007】
既存のパネルラジエータには温水の間欠制御を行うための熱動弁がないタイプのものも多く、このタイプのパネルラジエータについては特許文献1−3の技術のような温水の間欠制御を行うことができない。このタイプのパネルラジエータと浴室暖房乾燥機を同時に運転すると、浴室暖房乾燥機が運転している間は、パネルラジエータに適温の温水を供給することができず、使用者の快適さを損なってしまう。熱動弁が設けられていないパネルラジエータを用いる場合であっても、浴室暖房乾燥機との同時運転を適切に行うことが可能な技術が期待されている。
【0008】
本発明は上記課題を解決する。本発明では、低温端末機と浴室暖房乾燥機を備える温水暖房システムにおいて、熱動弁が設けられていない低温端末機を用いる場合であっても、浴室暖房乾燥機との同時運転を適切に行うことが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、温水を熱源として利用する低温端末機と、温水を熱源として利用する浴室暖房乾燥機と、前記低温端末機と前記浴室暖房乾燥機の両方に温水を供給する熱源機を備える温水暖房システムとして具現化される。その温水暖房システムでは、前記浴室暖房乾燥機の温水の要求温度が前記低温端末機の温水の要求温度より高く設定されている。その温水暖房システムでは、前記低温端末機の運転中に前記浴室暖房乾燥機が暖房運転を開始した場合には、前記熱源機が前記浴室暖房乾燥機の要求温度まで加熱された温水を供給し、前記低温端末機の運転中に前記浴室暖房乾燥機が乾燥運転を開始した場合には、前記熱源機が前記低温端末機の要求温度まで加熱された温水を供給する。
【0010】
通常は、浴室暖房乾燥機における暖房運転は、使用者の入浴に先立ち、冷えた浴室を暖めるために行われるので、比較的短時間しか行われない。これに対して、浴室暖房乾燥機における乾燥運転は、入浴後の濡れた浴室を乾燥させたり、洗濯物などを浴室に干して乾燥させるために行われるので、長時間にわたって行われる。上記の温水暖房システムでは、低温端末機の運転中に浴室暖房乾燥機が暖房運転を開始すると、熱源機は浴室暖房乾燥機の要求温度を優先して、その要求温度まで加熱された温水を供給する。また、低温端末機の運転中に浴室暖房乾燥機が乾燥運転を開始すると、熱源機は低温端末機の要求温度を優先して、その要求温度まで加熱された温水を供給する。従って、乾燥運転の際には浴室暖房乾燥機には要求温度よりも低い温度の温水が供給されることになる。しかしながら、浴室の乾燥運転は長時間行うものであり、温水の温度が要求温度に満たなくても、乾燥性能には大きな影響を及ぼさない。また、一般的に、浴室の乾燥運転時は浴室が無人となっており、温水の温度が要求温度より低くても使用者に不快感を与えるおそれがない。このため、浴室暖房乾燥機が乾燥運転を行う際に、低温端末機の要求温度を優先しても、使用者に不便を強いることがない。
【0011】
上記の温水暖房システムでは、低温端末機のみが運転している期間だけでなく、長時間にわたる浴室暖房乾燥機の乾燥運転中も、低温端末機に適温の温水を供給し続けることができる。熱動弁が設けられていない低温端末機を使用する場合であっても、使用者の快適さを損なうことなく、低温端末機と浴室暖房乾燥機の同時運転を適切に行うことができる。
【0012】
上記の温水暖房システムは、前記低温端末機がパネルラジエータである場合に、特に効果を発揮する。
【0013】
寒冷地では、従来からパネルラジエータが広く一般に普及しているが、温水の間欠制御が可能な熱動弁を備えていないタイプのものも多い。上記の温水暖房システムによれば、熱動弁を備えていない既存のパネルラジエータに、新たに導入される浴室暖房乾燥機を組み合わせて使用する場合でも、パネルラジエータと浴室暖房乾燥機を適切に同時運転することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低温端末機と浴室暖房乾燥機を備える温水暖房システムにおいて、熱動弁が設けられていない低温端末機を用いる場合であっても、浴室暖房乾燥機との同時運転を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の温水暖房システム10の構成を模式的に示す図。
【図2】実施例2の温水暖房システム60の構成を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に説明する実施例の主要な特徴を以下に列記する。
(特徴1)温水暖房システムが利用する温水は不凍液である。
(特徴2)浴室暖房乾燥機の温水の要求温度は80℃である。
(特徴3)パネルラジエータの温水の要求温度は使用者が任意に設定することができる。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明に係る実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例に係る温水暖房システム10を示している。温水暖房システム10は、熱源機12、床暖房機14、パネルラジエータ16、浴室暖房乾燥機18、床暖リモコン20、温水リモコン22、浴暖リモコン24などを備えている。
【0018】
熱源機12はガスの燃焼により温水(本実施例では不凍液を用いる)を加熱して床暖房機14、パネルラジエータ16、浴室暖房乾燥機18などの端末機に温水を循環させる。熱源機12は内部に貯湯槽、バーナ、ポンプ、コントローラ等を備えている。熱源機12はポンプの駆動によって貯湯槽に貯えられた温水をバーナに送って目標温度まで加熱し、加熱された温水を各端末機へ送り出す。
【0019】
熱源機12は温水往き配管26を介して温水往きヘッダ28に温水を供給する。温水往きヘッダ28には、温水往き配管30、32、34を介して、床暖房機14、パネルラジエータ16、浴室暖房乾燥機18がそれぞれ接続されている。
【0020】
床暖房機14からの温水戻り配管36、パネルラジエータ16からの温水戻り配管38、浴室暖房乾燥機18からの温水戻り配管40は、それぞれ温水戻りヘッダ42に接続している。各端末機で放熱して低温となった温水は、温水戻りヘッダ42から温水戻り配管44を介して熱源機12の貯湯槽に戻される。
【0021】
床暖房機14は、床材の直下に敷設された伝熱配管を備えており、伝熱配管に温水を流通させることで床を暖める。使用者は床暖リモコン20を操作することで、床暖房機14の暖房運転の開始および終了や、ホットダッシュ運転の要否を指示する。ホットダッシュ運転では、暖房運転の開始時に通常の暖房運転時よりも高温の温水を所定時間(例えば30分間)流通させて、床を速やかに暖める。床暖リモコン20は信号線46を介して熱源機12のコントローラと通信可能であり、床暖房機14の暖房運転の開始および終了や、温水の要求温度を熱源機12に送信する。本実施例では、通常の暖房運転における床暖房機14の温水の要求温度は40℃であり、ホットダッシュ運転における床暖房機14の温水の要求温度は80℃である。
【0022】
パネルラジエータ16は、部屋の窓下に設置されており、輻射熱と自然対流により室内を暖める。使用者は温水リモコン22を操作することで、パネルラジエータ16の暖房運転の開始および終了を指示する。温水リモコン22は信号線48を介して熱源機12のコントローラと通信可能であり、パネルラジエータ16の暖房運転の開始および終了や、温水の要求温度を熱源機12に送信する。本実施例では、パネルラジエータ16の温水の要求温度は、使用者が温水リモコン22で設定する。温水リモコン22では、温水の要求温度を40℃から80℃までの範囲で5℃刻みに設定することができる。本実施例では、パネルラジエータ16および温水リモコン22は、従来から住宅に設置されている既存のものであり、パネルラジエータ16には熱動弁が設けられていない。
【0023】
浴室暖房乾燥機18は、浴室に設置されており、内部にファンや伝熱配管を備えている。浴室暖房乾燥機18は、ファンを駆動して浴室の空気を吸い込み、伝熱配管を流れる温水と熱交換させて、再び浴室に送り出すことで、浴室の暖房や乾燥を行う。使用者は浴暖リモコン24を操作することで、浴室暖房乾燥機18の暖房運転や乾燥運転の開始および終了を指示する。浴暖リモコン24は信号線50を介して熱源機12のコントローラと通信可能であり、浴室暖房乾燥機18の暖房運転や乾燥運転の開始および終了や、温水の要求温度を熱源機12に送信する。本実施例では、浴室暖房乾燥機18の温水の要求温度は80℃である。
【0024】
床暖房機14、パネルラジエータ16および浴室暖房乾燥機18のうち、何れか1つの端末機みが運転し、それ以外の端末機が運転していない場合には、熱源機12は、運転している端末機からの要求温度を目標温度として温水を加熱し、目標温度まで加熱された温水を送り出す。例えば床暖房機14のみが運転しており、床暖房機14において通常の暖房運転を行う場合には、熱源機12は40℃に加熱された温水を温水往き配管26に送り出す。浴室暖房乾燥機18のみが運転している場合には、熱源機12は80℃に加熱された温水を温水往き配管26に送り出す。
【0025】
寒冷地などでは、パネルラジエータ16を連続運転し、床暖房機14や浴室暖房乾燥機18は必要に応じてその都度運転させる場合が多い。以下ではパネルラジエータ16の運転中に、床暖房機14や浴室暖房乾燥機18の運転が開始された場合の動作について説明する。
【0026】
パネルラジエータ16を運転中に床暖房機14の通常運転が開始された場合、熱源機12は、パネルラジエータ16の要求温度を優先する。すなわち、温水リモコン22で設定された要求温度まで温水を加熱し、その温水を温水往き配管26に送り出す。この場合、パネルラジエータ16で高い要求温度(例えば60℃)が設定されている場合には、床暖房機14には要求温度である40℃を超える温度の温水が供給されることになる。しかしながら、パネルラジエータ16で高い要求温度が設定されているときは、それだけ外気温が低く、家屋全体が冷え込んでいること、および、床暖房機14による暖房の場合、温水の温度が要求温度と一致していなくても、体感温度に与える影響がそれほど大きくないことから、使用者の快適さを損なうことなく、床暖房機14とパネルラジエータ16の同時運転を行うことができる。
【0027】
パネルラジエータ16を運転中に床暖房機14のホットダッシュ運転が開始された場合、熱源機12は、床暖房機14の要求温度を優先する。すなわち、ホットダッシュ運転の際の床暖房機14の要求温度である80℃まで温水を加熱し、その温水を温水往き配管26に送り出す。この場合、パネルラジエータ16には要求温度を超える温水が供給されるが、通常ホットダッシュ運転は短時間で終了するため、パネルラジエータ16に高温の温水が供給されても、使用者の快適さを大きく損なうことなく、床暖房機14とパネルラジエータ16の同時運転を行うことができる。
【0028】
パネルラジエータ16を運転中に浴室暖房乾燥機18の暖房運転が開始された場合には、熱源機12は浴室暖房乾燥機18の要求温度を優先する。すなわち、暖房運転の要求温度である80℃まで温水を加熱し、その温水を温水往き配管26に送り出す。この場合も、パネルラジエータ16には要求温度を超える温度の温水が供給されるが、通常は、浴室暖房乾燥機18の暖房運転は短時間で終了するため、パネルラジエータ16に高温の温水が供給されても、使用者の快適さを大きく損なうことなく、床暖房機14とパネルラジエータ16の同時運転を行うことができる。
【0029】
パネルラジエータ16を運転中に浴室暖房乾燥機18の乾燥運転が開始された場合には、熱源機12はパネルラジエータ16の要求温度を優先する。すなわち、温水リモコン22で設定された要求温度まで温水を加熱し、その温水を温水往き配管26に送り出す。この場合、浴室暖房乾燥機18には要求温度を下回る温度の温水が供給される。しかしながら、浴室の乾燥運転は長時間行うものであり、温水の温度が要求温度に満たなくても、乾燥性能には大きな影響を及ぼさない。また、一般的に、浴室の乾燥運転時は浴室が無人となっており、温水の温度が要求温度より低くても使用者に不快感を与えるおそれがない。このため、浴室暖房乾燥機18が乾燥運転を行う際に、パネルラジエータ16の要求温度を優先しても、使用者に不便を強いることがない。
【0030】
以上の様に、本実施例の温水暖房システム10によれば、パネルラジエータ16と浴室暖房乾燥機18が同時に運転する場合、浴室暖房乾燥機18が暖房運転を行う場合は、熱源機12が浴室暖房乾燥機18の要求温度である80℃の温水を供給し、浴室暖房乾燥機18が乾燥運転を行う場合は、熱源機12がパネルラジエータ16の要求温度の温水を供給する。このように熱源機12が供給する温水の温度を制御することによって、熱動弁が設けられていないパネルラジエータ16を用いる場合であっても、浴室暖房乾燥機18との同時運転を適切に行うことができる。
【実施例2】
【0031】
図2は本実施例の温水暖房システム60を示している。以下では第1実施例の温水暖房システム10と同様の構成については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。温水暖房システム60は、熱源機62、床暖房機14、パネルラジエータ16、浴室暖房乾燥機18、床暖リモコン20、温水リモコン22、浴暖リモコン24などを備えている。
【0032】
熱源機62はガスの燃焼により温水(本実施例では不凍液を用いる)を加熱して床暖房機14、パネルラジエータ16、浴室暖房乾燥機18などの端末機に温水を循環させる。熱源機62は内部に貯湯槽、バーナ、ポンプ、コントローラ等を備えている。熱源機62はポンプの駆動によって貯湯槽に貯えられた温水をバーナに送って目標温度まで加熱し、加熱された温水を各端末機へ送り出す。
【0033】
熱源機62は低温往き配管64を介して低温往きヘッダ66に温水を供給する。低温往きヘッダ66には、温水往き配管30、32を介して、床暖房機14、パネルラジエータ16がそれぞれ接続されている。低温往きヘッダ66には温水往き配管32に対応する熱動弁が設けられている。低温往きヘッダ66の熱動弁は、熱源機62のコントローラによって開閉を制御される。
【0034】
熱源機62は高温往き配管68を介して高温往きヘッダ70に温水を供給する。高温往きヘッダ70には、温水往き配管34を介して、浴室暖房乾燥機18が接続されている。
【0035】
床暖房機14からの温水戻り配管36、パネルラジエータ16からの温水戻り配管38、浴室暖房乾燥機18からの温水戻り配管40は、それぞれ温水戻りヘッダ72に接続している。各端末機で放熱して低温となった温水は、温水戻りヘッダ72から温水戻り配管74を介して熱源機62の貯湯槽に戻される。
【0036】
床暖房機14、パネルラジエータ16および浴室暖房乾燥機18のうち、何れか1つの端末機みが運転し、それ以外の端末機が運転していない場合には、熱源機62は、運転している端末機からの要求温度を目標温度として温水を加熱し、目標温度に加熱された温水を送り出す。
【0037】
パネルラジエータ16を運転中に床暖房機14の通常運転が開始された場合、熱源機62は、パネルラジエータ16の要求温度を優先する。すなわち、温水リモコン22で設定された要求温度まで温水を加熱し、その温水を低温往き配管64に送り出す。この場合、パネルラジエータ16で高い要求温度(例えば60℃)が設定されている場合には、床暖房機14には要求温度である40℃を超える温度の温水が供給されることになる。しかしながら、パネルラジエータ16で高い要求温度が設定されているときは、それだけ外気温が低く、家屋全体が冷え込んでいること、および、床暖房機14による暖房の場合、温水の温度が要求温度と一致していなくても、体感温度に与える影響がそれほど大きくないことから、使用者の快適さを損なうことなく、床暖房機14とパネルラジエータ16の同時運転を行うことができる。
【0038】
パネルラジエータ16を運転中に床暖房機14のホットダッシュ運転が開始された場合、熱源機62は、床暖房機14の要求温度を優先する。すなわち、ホットダッシュ運転の際の床暖房機14の要求温度である80℃まで温水を加熱し、その温水を低温往き配管64に送り出す。この場合、熱源機12は低温往きヘッダ66の熱動弁の開閉を繰り返すことで、パネルラジエータ16に供給される温水を間欠制御する。例えば、パネルラジエータ16の要求温度が40℃の場合には、熱動弁を10分間開き、その後に10分間閉じるサイクルを繰り返し行う。また、パネルラジエータ16の要求温度が60℃の場合には、熱動弁を15分間開き、その後に5分間閉じるサイクルを繰り返し行う。これにより、使用者の快適さを損なうことなく、床暖房機14とパネルラジエータ16を同時運転することができる。
【0039】
パネルラジエータ16を運転中に浴室暖房乾燥機18の暖房運転が開始された場合には、熱源機62は浴室暖房乾燥機18の要求温度を優先する。すなわち、暖房運転の要求温度である80℃まで温水を加熱し、その温水を低温往き配管64と高温往き配管68に送り出す。この場合、熱源機62は低温往きヘッダ66の熱動弁の開閉を繰り返すことで、パネルラジエータ16に供給される温水を間欠制御する。例えば、パネルラジエータ16の要求温度が40℃の場合には、熱動弁を10分間開き、その後に10分間閉じるサイクルを繰り返し行う。また、パネルラジエータ16の要求温度が60℃の場合には、熱動弁を15分間開き、その後に5分間閉じるサイクルを繰り返し行う。これにより、使用者の快適さを損なうことなく、パネルラジエータ16と浴室暖房乾燥機18を同時運転することができる。
【0040】
パネルラジエータ16を運転中に浴室暖房乾燥機18の乾燥運転が開始された場合には、熱源機62はパネルラジエータ16の要求温度を優先する。すなわち、温水リモコン22で設定された要求温度まで温水を加熱し、その温水を温水往き配管26に送り出す。この場合、浴室暖房乾燥機18には要求温度を下回る温度の温水が供給される。しかしながら、浴室の乾燥運転は長時間行うものであり、温水の温度が要求温度に満たなくても、乾燥性能には大きな影響を及ぼさない。また、一般的に、浴室の乾燥運転時は浴室が無人となっており、温水の温度が要求温度より低くても使用者に不快感を与えるおそれがない。このため、浴室暖房乾燥機18が乾燥運転を行う際に、パネルラジエータ16の要求温度を優先しても、使用者に不便を強いることがない。
【0041】
以上の様に、本実施例の温水暖房システム60によれば、パネルラジエータ16と浴室暖房乾燥機18が同時に運転する場合、浴室暖房乾燥機18が暖房運転を行う場合は、熱源機62が浴室暖房乾燥機18の要求温度である80℃の温水を供給し、浴室暖房乾燥機18が乾燥運転を行う場合は、熱源機62がパネルラジエータ16の要求温度の温水を供給する。このように温水の温度を制御することによって、パネルラジエータ16と浴室暖房乾燥機18との同時運転を適切に行うことができる。
【0042】
なお上記の実施例では、熱源機62がパネルラジエータ16の要求温度よりも高温の温水を送り出す際に、低温往きヘッダ66の熱動弁を間欠的に開閉することによって、パネルラジエータ16に供給される熱量を調整する場合について説明した。このような構成とする代わりに、例えば低温往きヘッダ66にパネルラジエータ16に供給される温水の流量を調整する流量調整弁を設けておいて、熱源機62がパネルラジエータ16の要求温度よりも高温の温水を送り出す際に、流量調整弁によってパネルラジエータ16に供給される温水の流量を減少させることによって、パネルラジエータ16に供給される熱量を調整することもできる。
【0043】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0044】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0045】
10,60 温水暖房システム
12,62 熱源機
14 床暖房機
16 パネルラジエータ
18 浴室暖房乾燥機
20 床暖リモコン
22 温水リモコン
24 浴暖リモコン
26,30,32,34 温水往き配管
28 温水往きヘッダ
36,38,40,44,74 温水戻り配管
42,72 温水戻りヘッダ
46,48,50 信号線
64 低温往き配管
66 低温往きヘッダ
68 高温往き配管
70 高温往きヘッダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を熱源として利用する低温端末機と、温水を熱源として利用する浴室暖房乾燥機と、前記低温端末機と前記浴室暖房乾燥機の両方に温水を供給する熱源機を備える温水暖房システムであって、
前記浴室暖房乾燥機の温水の要求温度は、前記低温端末機の温水の要求温度より高く設定されており、
前記低温端末機の運転中に前記浴室暖房乾燥機が暖房運転を開始した場合には、前記熱源機が前記浴室暖房乾燥機の要求温度まで加熱された温水を供給し、
前記低温端末機の運転中に前記浴室暖房乾燥機が乾燥運転を開始した場合には、前記熱源機が前記低温端末機の要求温度まで加熱された温水を供給することを特徴とする温水暖房システム。
【請求項2】
前記低温端末機がパネルラジエータであることを特徴とする請求項1の温水暖房システム。

【図1】
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【図2】
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