説明

温泉水用ガスセパレータ−

【課題】 温泉水wの圧力を利用し、ガスを分離除去し、温泉水貯溜槽へ圧送できる温泉水用ガスセパレーターを提供すること。
【解決手段】 温泉水w通路2の途中に、温泉水で水駆動されるエゼクター4を有するバブル混合装置101Aと、バブル混合装置101Aからの温泉水Wを貯留し、分離されたガス圧力を利用して温泉水貯溜槽102へ温泉水wを圧送するとともに、タンク12に接続された自動排気弁23を介して余分なガスを放出する気液分離装置101Bとを備えた温泉水用ガスセパレーター101である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中から湧き出る温泉水に含まれるメタンガスなどを分離し排除することのできる温泉水用ガスセパレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
液体に含まれる気体を液体中から分離させる場合、液体に空気を混入させると、液体に含まれているガスが効果的に分離されることは知られている。混入させるべき空気の量が多ければ多いほど、液体とこれに含まれるガスは効率的に分離される。
【0003】
温泉水からガスを分離させるための公知技術としては、例えば特許文献1又は2などに開示されたものがある。
【0004】
特許文献1に開示された技術は、ガス含有液である温泉水を供給管から筒体内に噴出させ、筒体内の多孔分離板に急激に衝突させるものである。これによれば、多孔分離板に衝突した温泉水は多孔分離板との衝撃で扁平状に拡散され、分散され、さらに多孔分離板の多数の孔に絞られるように流れることにより、液体とガスに効果的に分離される。
【0005】
この処理の後も、温泉水は下方への自然落下によりさらに別の多孔分離板と衝突し、液体とガスの分離を促進される。
【0006】
こうして分離されたガスは多孔分離板の多数の孔を通じて上昇した後、筒体上部の排出管から筒体の外方へ排出されるのであり、またガスの分離された温泉水は、多孔分離板の下方へ落下した後、筒体の底部に貯溜され、筒体下部の排出管を通じて筒体の外方へ流出される。
【0007】
特許文献2に開示された技術は、湯槽内に複数のジャマ板及び単一の受け台を多段状に設け、これらジャマ板などの上方から給湯口を通じて温泉水を落下させるようにするものである。これによれば、温泉水は重力作用によりジャマ板のそれぞれに次々と落下していき、このときの落下の衝撃でそれに含まれるガスを分離され、或いは各ジャマ板上を流下する過程でそのガスが分離される。
【0008】
受け台を経た後の温泉水は自然流下により、湯槽内の一次槽から第1次区画室及び第2次区画室を経るように流れ、この過程でもそれに含まれるガスを比重差により分離されるのであり、こうしてガスの分離された温泉水は湯槽下部から湯槽外へ延出された水位置調節管を通じてその吐出口から流出される。一方、温泉水から分離されたガスは湯槽内を上昇してガス排出口から湯槽外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公平3−74121号公報
【特許文献2】実用新案登録第3150115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した特許文献1に開示された技術では、ガス分離除去手段である筒体内でのガス分離除去処理において温泉水が自然流下され、また特許文献2に開示された技術では、ガス分離除去手段である湯槽内でのガス分離除去処理において温泉水が自然流下されている。ガスが分離除去された後の温泉水は、高所の温泉水貯溜槽内へ移送する場合、自然流下した後の温泉水の保有エネルギーのみではこの移送が実現できないのであり、これを実現させるには新たなエネルギーの供給が必要となる。
【0011】
この新たなエネルギーの供給には、一般には、動力ポンプが使用される。しかし、動力ポンプを使用すると、設備費が高価となり、また動力ポンプの駆動源として電気モータが使用されるときは電力に起因して発生することのあるスパークが温泉水に含まれるメタンガスなどの可燃性ガスに対する引火源となり、爆発事故の生じる虞がある。
【0012】
一方、上記した従来の技術を温泉水のガス分離除去手段として使用する場合に、ガスの分離除去された後の温泉水を、新たなエネルギーの供給を行うことなく、前記ガス分離除去手段から温泉水貯溜槽内へ移送するには、特許文献1における筒体や、特許文献2における湯槽を、温泉水貯溜槽よりも高い位置に設置し、ガスの除去された後の温泉水を筒体又は湯槽から温泉水貯溜槽内へ自然流下させるようにすることによってもよい。しかし、このようにするときは、強度の大きい架台を設置することが必要となる。
【0013】
また平成20年10月には温泉設備の安全対策に関する温泉法が改正されたため、その定める基準に対応したガス除去能力の得られるガス分離除去手段が要求される。
【0014】
本発明は上記のような実情に鑑みて創案されたものであり、即ち、ガスの分離除去された後の温泉水をガス分離除去手段よりも高所の温泉水貯溜槽内へ移送するさいに、前記ガス分離除去手段の出口側に達した温泉水が持つエネルギーを利用し、さらには従来よりもガス分離除去能力を大きくすることのできる温泉水用ガスセパレーターを提供することを目的とする。
【0015】
また上記温泉水用ガスセパレーターの一部としての使用に適する、温泉水用バブル混合装置や温泉水用気液分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明に係る温泉水用ガスセパレーターは、温泉水を駆動水として空気を取り込むエゼクターを形成されたバブル混合装置と、前記バブル混合装置に接続されたタンクと、前記タンク内に溜められたガス圧力が一定値以上のときに開弁するガス排出弁と、前記タンクの液出口に設けられた仕切弁とを有することを特徴とする。
【0017】
本願発明に係る温泉水用ガスセパレーターによれば、ポンプなどでバブル混合装置へ圧送された温泉水は、バブル混合装置のエゼクター内を圧送中に、圧力変動や流速変化により、該温泉水中に積極的に空気を取り入れることができ、空気を内包したバブルの混合されたバブル混合流体を生成させることから、温泉水は広い面積で空気と接触して、温泉水に含まれるメタンガスなどの天然ガスが効果的に温泉水から分離されバブル中に抱き込まれるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施例に係る温泉水用ガスセパレータを備えた温泉水汲上げ貯溜設備の系統説明図である。
【図2】温泉水用ガスセパレータの正面図である。
【図3】バブル混合装置の平面図である。
【図4】エゼクターを示しAは正面図でBは側面図でCはx1−x1部の断面図である。
【図5】気液分離装置の一部断面平面図である。
【図6】タンク12の他の実施例である。
【図7】気液分離装置の他の実施例である。
【図8】気液分離装置の他の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
図1には本実施例に係る温泉水用ガスセパレータの系統図が示され、図2には温泉水用ガスセパレータの構成図が示され、図3にはバブル混合装置101Aの平面視拡大図が示されている。
【0021】
図1において、100は地中深く掘削された温泉井戸であり、101は地上に設置された本実施例に係る温泉水用ガスセパレーターであり、102は温泉水貯溜槽である。
【0022】
温泉井戸100の内方下部には温泉井戸100内に湧いた温泉水wを汲み上げ圧送する水中ポンプ1が設けられている。温泉水w自体が自己噴出圧を有する場合は、水中ポンプ1は必ずしも必要は無い。
【0023】
温泉水用ガスセパレータ101は、バブル混合装置101Aと気液分離装置101Bとからなっている。
【0024】
バブル混合装置101Aは、一端の入口2aと他端の出口2bとを連通させる流体用通路2を備え、通路2を支持する架台h1を有している。通路2は入口2aを有する水導入管2Aと、水導入管2Aと連通された第1共通管2Bと、出口2bを有する第2共通管2Cとを複数の分岐通路2Dで並列状に連通させた構成とされている。ここに水導入管2A、第1共通管2B及び第2共通管2Cはその通路サイズを例えば呼び径50A程度であり、また分岐通路2Dはその通路サイズを例えば呼び径25A程度である。
【0025】
各分岐通路2Dは、その長さ方向上の離間した2位置に分岐通路2Dを開閉するための一対の開閉弁3a、3bを設けられると共に、これら一対の開閉弁3a、3bの間部分に温泉水wを駆動水として使用されるエゼクター4が形成されている。
【0026】
図4にはエゼクター4の正面図A、側面図B及び断面図Cが示されている。各エゼクター4は、水入口4a、ノズル4b、空気混合空間部4c、大気吸引口4d及び流体出口4eを備えている。ここに、ノズル4bの通路径は例えば7mm〜8mm程度である。水入口4aはその対応する分岐通路2Dの上流側に連通され、流体出口4eはその対応する分岐通路2Dの下流側に連通される。水入口4aの口径は流体出口4eの口径よりも大きく、また水入口4aとノズル4bとの間は通路断面積が漸減するようなテーパ状通路a1であり、また流体出口4eと空気混合空間部4cとの間は通路断面積が漸増するようなテーパ状通路a2となっている。空気混合空間部4cはノズル4bよりも大きな径の第1空間部b1とこの第1空間部b1よりも大きな径の第2空間部b2とをこの順にノズル4b中心線に沿ってノズル4bと同心に形成される。大気吸引口4dは第1空間部b1と連通し、第1空間部b1の径と略同一である。そして、c1は入口側外周部4fに形成された結合用雄ネジであり、c2は出口側外周部4gに形成された結合用雄ネジであり、c3は大気吸引口4d箇所に形成された接続用雌ネジであり、さらにd1はエゼクター4本体の長さ中央外周部4hに形成された六角部である。
【0027】
図1に戻り、各エゼクター4の大気吸引口4dからは空気通路5aが延設されており、これら空気通路5aのそれぞれは両端が外気に開放された空気吸引用共通管5bに連通されている。
【0028】
水導入管2Aの途中には通路2を開閉するための仕切弁6が設けられると共に、仕切弁6よりも第1共通管2B側の水導入管2A箇所には管内の圧力を表示するための圧力計7が設けられ、また圧力計7と仕切弁6との間に水導入管2A内の水を排出するための排水弁8が設けられ、図5には気液分離装置101Bの平面視一部断面図が示されている。気液分離装置101Bは、タンク12と、これに装設された流体流入路13、液流出路14及びガス排出手段15を備えるほか、タンク12を支持した架台h2を有している。
【0029】
タンク12は、例えば直径が250mm〜300mm程度で高さが500mm〜1000mm程度の内部密閉空間を有している。また内部密閉空間の上部の圧力を測定するための圧力計16や、内部密閉空間を目視するための覗き窓17を備えることもできる。
【0030】
流体流入路13は流体入口e1からタンク12へ流体を流入させる通路であって、その通路サイズは例えば呼び径が50A程度である。流体流入路13は、タンク12の側面箇所を経てタンク12内へ導かれ続いて図5Bに示すようにタンク12内を立ち上がり状に導かれ、タンク12内の上位置に開放端32が開口されている。
【0031】
液流出路14はタンク12の内方から外方へ液体が流出するためのものであって、その通路サイズは例えば呼び径が40A程度である。液流出路14は、流体流入路13のタンク12内開放箇所よりも低い底面箇所を経てタンク12外へ導かれており、タンク12外の他端が液出口e2である。タンク12外側の液流出路14上でその長手方向へ離間した2位置のうち上流側位置には、下流側へ向かう液流を規制するための逆止弁19を、そして下流側位置にはここを開閉するための仕切弁20が設けられ、また液流出路14の最下位置にはこれの内方の水を排出するための排水弁21が設けられている。
【0032】
ガス排出手段15は流体通路22と複数の公知の自動排気弁23とガス通路24からなっている。流体通路22はタンク12外側で分岐し、流体通路22a、22bの各2系統設けられている。また、流体通路22は、タンク12の上壁からタンク12内に導入され、流体流入路13のタンク12内の開放位置より低い位置に開放端e3が延設されている。各系統の流体通路22の上端は、タンク12の頂面に対し例えば150mm程度低い位置に到達するまで上方へ延出されている。
【0033】
自動排気弁23は各枝通路22a、22bの上端に1個ずつ固定されている。それぞれの自動排気弁23は、予め定めた圧力以上のときに開弁し、それ以下のときに閉弁する。
【0034】
ガス通路24は各自動排気弁23の排気口からさらに延出され、タンク12位置の地上3m以上の高さまで到達しガス出口e4で大気に開放されている。
【0035】
タンク12の基準レベルf1より低い位置から管31が設けられ、タンク12の外側で立ち上がっている。管31には、圧力計16が設けられ、タンク内圧力を計測できるようになっている。また、管31の上側先端には、タンク12内の圧力が想定以上に上昇した場合に内部圧を逃がす安全弁30が取付けられている。この安全弁30は、温泉水用ガスセパレータ101の定常運転時には、タンク12内の圧力は想定内であるので開放されない。
【0036】
図1に戻り、温泉水貯溜槽102は、ガスを分離除去された比較的多量の温泉水wを貯溜するものであり、これに貯溜された温泉水wが必要に応じて浴槽へ供給される構成となっている。
【0037】
水中ポンプ1とバブル混合装置101Aの入口2aとは第1接続管路25で結合されており、この管路25の途中にはこの管路25を開閉するための仕切弁26と、バブル混合装置101A側から水中ポンプ1側へ流体が逆流するのを規制する逆止弁27とが設けられている。
【0038】
またバブル混合装置101Aの出口2bと気液分離装置101Bの流体入口e1とは第2接続管路28で結合されており、さらに気液分離装置101Bの液出口e2とこれよりも高所に及ぶ温泉水貯溜槽102とはこの温泉水貯溜槽102の上部内方で開口され第3接続管路29で接続されている。
【0039】
次に上記した温泉水汲上げ貯溜設備の使用例及び各部の作動について説明する。
通水予定経路上の開閉弁3a、3b、仕切弁6、20及び開閉弁26を開放操作した後、水中ポンプ1を始動操作して作動状態とする。
【0040】
分岐通路2Dの開閉弁3a、3bは、通水量の多少によって、開放される弁の個数を増減させる。
【0041】
これにより水中ポンプ1は温泉井戸100内に湧き出て溜まっている温泉水wを汲み上げバブル混合装置101A側へ圧送する。水中ポンプ1による水量、圧力は一定である。この温泉水wはメタンガスなどの可燃性ガスなどを含有した天然ガスが混合した状態となっている。
【0042】
水中ポンプ1の作動状態の下で、仕切弁6の開度を調整操作することにより、圧力計7の示度を例えば0.39MPa程度とする。この圧力により水量が決まり、200L/min程度となる。この圧力、水量は一定である。各エゼクター4のノズル4bは、図4に示す通り中央部が小径となっており、流量が一定のとき温泉水wの流れを絞ることによって、流れの断面積を狭くし流速が増加させるジェットノズルとして機能する。これにより、空気混合空間部4c内が負圧状態となる。空気混合空間部4c内の負圧は空気吸引用共通管5b、空気通路5a及び大気吸引口4dを通じて大気を空気混合空間部4c内に導入する。このように導入された大気(空気)はノズル4bからの温泉水wの噴射流に引かれてテーパ状通路a2内に導かれ、ここで温泉水wの圧力変動や流速変化により温泉水wと激しく混合されることにより、空気を内包したバブルが温泉水w中に多数混合された状態のバブル混合流体が連続的に生成される。この空気混合流体は自身の保有エネルギーで下流側の分岐通路2Dや第2共通管2C内へ圧送される。作動状態のエゼクター4におけるノズル4bからの温泉水wの噴射流が十分な大きさの速度に達せず空気混合流体が効率的に得られない場合には一部のエゼクター4をその対応する一対の開閉弁3a、3bを閉操作し不使用状態とすることにより、各ノズル4bからの温泉水wの噴射速度を十分な大きさとする。逆にエゼクター4を通過する温泉水wの流量が多く第1共通管2B内の圧力が大きいときは、新たに通水させる分岐通路2Dの数を増大させるべく、その対応する開閉弁3a、3bを開操作して作動状態のエゼクター4の数を増加させる。
【0043】
こうしてバブル混合装置101Aで生成された温泉水wは、第2接続管路28を経て気液分離装置101Bの流体入口e1に到達し、流体流入路13を経てタンク12内に送られる。この時点では自動排気弁23は、タンク12内の内圧が低い状態であるので、閉鎖された状態となっている。タンク12内に達した後の温泉水wは、タンク12内が比較的広い密閉空間であることから、その流速が低下して滞留するようになり、またタンク12内が低圧であるため、液流出路14からの流出が少なく、タンク12内に蓄積されるようになる。そしてタンク12内は、ガス状成分(天然ガスや空気など)が比重差により温泉水wから分離され上昇することから、ガス状成分と温泉水wが上下2層状に状態変化される。一方では、タンク12内の温泉水wは液流出路14に進入するが温泉水貯留槽102には到達できない。このような現象が進行することにより、温泉水wの水面はタンク12内で上昇し、タンク12内のガス圧力は増加する。この水面が基準レベルf1に到達し、タンク12内のガス圧力がさらに増加すると、自動排気弁23は自動的に開弁されてガスを放出する。この開弁によりタンク12内のガス圧力が減少すると、自動排気弁23は閉弁する。バブル混合装置101Aからは定常的に温泉水wが供給されており、一方、温泉水貯溜槽102内への送出しも、タンク12内のガス圧力を利用して開始される。タンク12の基準レベルf1より上の空間は、自動排気弁23に設定された圧力に対応した圧力に安定的に維持される。タンク12の基準レベルf1より上部空間の保有エネルギーにより、タンク12内の温泉水wは液流出路14及び第3接続管路29を経て温泉水貯溜槽102内に圧送される。
【0044】
この定常状態においてタンク12内の温泉水wのレベルはほぼ基準レベルf1に維持され、温泉水貯溜槽102への圧送が継続される。またタンク12内には、温泉水wとガス状成分とが常に接触した状態を形成するため、温泉水w中のガス分離除去をより効果的に行わせる。ガス排出手段15により外気側に排出される可燃性ガスなどのガス状成分は気液分離装置101B位置の地上3m以上に放散されるため、ガス状成分の燃焼や爆発などの要因が抑制される。
【0045】
上記のような設備の定常性は、温泉水用ガスセパレータ101の導入時に、仕切弁20の開度を変更操作することによりタンク12内の圧力を調整して初期設定する。仕切弁20の開度を増大させると、タンク12内からの温泉水wの流出を増大させ、タンク12内の圧力が低下し、またガス排気手段15によるガス排気時のガス速度が低下してその排気流量が減少する。またエゼクター4の流体出口4e内の圧力とタンク12内の圧力との差が増大するためにエゼクター4による大気吸引量が増大するものとなる。一方、仕切り弁20の開度を減少させたときは、それを増大させたときと反対の作用となる。また、基準レベルf1は、仕切弁20を閉めると上昇し、仕切弁20を開けると下がった位置に設定される。
【0046】
仕切弁20の開度は、タンク12内の圧力や、エゼクター4における大気吸引作用や、タンク12内からのガス状成分の排出作用や、ガスの分離除去された温泉水wの気液分離装置101Bから温泉水貯溜層102までの圧送作用などが継続されるように、その大きさを設定されるのである。
【0047】
図6は、タンク12内における流体流入路13の開放端32の実施例を示す図であり、図6Aは、水平方向に温泉水wを散水する開放端32aが設けられる例を示している。また、図6Bは、水平方向のみならず、上方向にも散水する開放端32bが設けられる例を示している。また、図6Cは、上方向にも散水する開放端32cとして、その上部にパンチング(多孔)敷き板32dを設置し、温泉水wを開放端32cから吹上げられ、敷き板に衝突させ、またにパンチング敷き板32dを通過し落下するときに再度さらにパンチング敷き板32dに衝突させて気液分離の効率を向上させた例である。
図6Dは、上方向のみ散水する開放端32eが設けられる例を示している。
【0048】
図7には他の構成による気液分離装置101Cが示されている。図5に示した気液分離装置101Bと同一の構成には、同一の符号を付してある。気液分離装置101Bとの相違は、ガス排出手段15の敷設に関する点である。
【0049】
気液分離装置101Cのガス排出手段15は、複数の流体通路22と複数の自動排気弁23とガス通路24からなっている。流体通路22は4系統設けられており、密閉タンク12の高さ略中央位置の側面壁の、縦中心線回りの90度間隔位置のそれぞれの箇所から独立した1系統が延設されている。各系統の流体通路22は、タンク12の側面壁の高さ略中央位置に開放端e3を開口し、タンク12半径方向外側へ延出され、続いて2つの枝通路22a、22bに分岐され側面壁に沿った横方向へ延出され続いて上端がタンク12の頂面に対し例えば150mm程度低い位置に到達するまで上方へ延出されている。開放端e3の開口位置は、基準レベルf1と関連している。
【0050】
自動排気弁23は各枝通路22a、22bの上端に1個ずつ固定されている。タンク12内の温泉水w水位が上昇し、タンク12内の圧力が上昇して基準レベルf1以上になろうとするとき、自動排気弁23は当該高まった圧力により開弁する。また、自動排気弁23は、タンク12内圧力が低下すると閉弁され、密閉タンク12内での液状成分の表面をほぼ基準レベルf1に維持する。
【0051】
上記実施例においては、バブル混合装置101Aと気液分離装置101B(或いは101C)を水平方向に並べて配置したが、温泉水用ガスセパレータ101全体の省スペースを図るために、バブル混合装置101Aの四辺で包囲されたスペースに気液分離装置101B(或いは101C)を積み重ねて設置しても良い。
【0052】
図8には他の構成による気液分離装置101Dが示されている。図5或いは図7に示した気液分離装置101B、101Cと同一の構成には、同一の符号を付してある。気液分離装置101Dは、気液分離装置101Cのガス排出手段15に対して変更を加えたものであり、複数の自動排気弁23に至る複数の流体通路22の経路中にバルブ33を設け、かつバルブ33と自動排気弁23との間に水抜き用のホース34を設けている。自動排気弁23が配置される高さは、タンク12の高さよりも高い。ホース34からは、配管35を経由してドレイン36へ連結されており、自動排気弁23に溜まった水が廃棄される。また、バルブ33が設けられているのは、自動排気弁23を交換する際に、流体通路22を止めるためである。
【符号の説明】
【0053】
2 通路
2D 分岐通路
2a 入口
2b 出口
3a 開閉弁
3b 開閉弁
4 エゼクター
4a 水入口
4e 流体出口
12 タンク
13 流体流入路
14 液流出路
15 ガス排出手段
22 流体通路
23 自動排気弁
24 ガス通路
28 第2接続管路
101A バブル混合装置
101B 気液分離装置
102 温泉水貯溜槽
e1 流体入口
e2 液出口
e3 開放端
e4 ガス出口
w 温泉水


【特許請求の範囲】
【請求項1】
温泉水を駆動水として空気を取り込むエゼクターを形成されたバブル混合装置と、前記バブル混合装置に接続されたタンクと、前記タンク内に溜められたガス圧力が一定値以上のときに開弁するガス排出弁と、前記タンクの液出口に設けられた仕切弁とを有することを特徴とする温泉水用ガスセパレーター。
【請求項2】
前記バブル混合装置は、並列接続された複数の分岐通路を有し、それぞれの分岐通路に前記エゼクターが形成されていることを特徴とする請求項1の温泉水用ガスセパレーター。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−11135(P2011−11135A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156811(P2009−156811)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000133939)テラル株式会社 (48)
【出願人】(509186535)株式会社日本ディガー (1)
【Fターム(参考)】