説明

温風暖房機の制御装置

【課題】サーモスイッチ関連部品や組立作業の費用を削減する。
【解決手段】空気吸込口及び温風吹出口を有する筐体内にバーナ19と熱交換器23を設け、このバーナを臨ませた燃焼室と、前記空気吸込口から吸入した空気を熱交換器で加熱し、温風吹出口から排出させる対流ファン28とを設けた温風暖房機に於いて、前記バーナはバーナの温度を検出する温度検出部30によって検出された温度により燃焼制御が行われ、電源投入の有無を検出する電源検出部37を設け、この電源検出部37が電源投入を検出したときで、かつ、前記温度検出部30の検出温度が所定温度以上のときには対流ファン28を所定時間作動させる制御部とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はガスや灯油を燃料とする温風暖房機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年この種の温風暖房機の制御装置では、制御手段としてマイクロコンピュータを用い、緻密な燃焼制御を行うようになってきた。また、熱交換器等にバイメタル式のサーモスイッチを設けて、運転停止時や運転停止後の再運転時に熱交換器等の残熱を検知して対流ファンの運転を行うことで、温風暖房機内部の過熱による故障や事故を防止していた。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】実開昭55−69257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この従来のものでは、販売価格の低下により、原価低減の必要にせまられている問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は上記課題を解決するため、請求項1では、空気吸込口及び温風吹出口を有する筐体内にバーナと熱交換器を設け、このバーナを臨ませた燃焼部と、前記空気吸込口から吸入した空気を熱交換器で加熱し、温風吹出口から排出させる対流ファンとを設けた温風暖房機に於いて、前記バーナはバーナの温度を検出する温度検出部によって検出された温度により燃焼制御が行われ、電源投入の有無を検出する電源検出部を設け、この電源検出部が電源投入を検出したときで、かつ、前記温度検出部の検出温度が所定温度以上のときには対流ファンを所定時間作動させる制御部とを備えたものである。
【0005】
また、請求項2では、空気吸込口及び温風吹出口を有する筐体内にバーナと熱交換器を設け、このバーナを臨ませた燃焼部と、前記空気吸込口から吸入した空気を熱交換器で加熱し、温風吹出口から排出させる対流ファンとを設けた温風暖房機に於いて、前記バーナはバーナの温度を検出する温度検出部によって検出された温度により燃焼制御が行われ、運転停止後の再運転時に前記温度検出部の検出温度が所定温度以下のときには所定時間A後に対流ファンの運転を開始し、温度検出部の検出温度が所定温度より大きいときには前記所定時間Aより短い所定時間B後に対流ファンの運転を開始させる制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明によれば、サーモスイッチを廃止することで、サーモスイッチと接続電線等のサーモスイッチ関連部品や組立作業の費用を削減でき、サーモスイッチの代わりとしてバーナの燃焼制御に使用使用している温度検知手段での検知温度によって、運転停止時や再運転時の対流ファンの運転制御を行うことで、温風暖房機内部の過熱による故障や事故を防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
1は温風暖房器の機器本体で、各種ボタンや表示部が設けられた天板2と、円形状の空気吸込口3と排気用孔(図示せず)とを形成した背面板4と、左右の側面板5、6と、底面の底板7と、温風吹出口8を設けた前パネル9と、前記底板7の底面の隅に設けた脚部10よりなり、置台11の上に置いて底板7と置台11との間にスペース12を形成させた状態で室内に設置するものである。
【0009】
13は断面略L字状のタンク用遮熱板で、該タンク用遮熱板13と背面板4と右側の側面板6とで着脱自在に収納されるカートリッジ式タンク14の収納スペースを形成し、そのカートリッジ式タンク14から供給される燃油を一定量貯めておく油受け皿15の上部に設けられているものである。
【0010】
16は燃焼部で、前記油受け皿15から燃料ポンプ17により送られた燃油を気化させ、それに燃焼用空気送風機18より送風された燃焼用空気を混合して燃焼させるバーナ19と、燃焼炎を囲み、燃焼により発生した高温の排気ガスを導く外筒20よりなり、バーナ19の開口部分をバーナ取付台21に固定し、更にそのバーナ取付台21に外筒20の一端を固定することにより一体化されているものである。
【0011】
22は熱交換器部で、燃焼部16と連通して外筒20により導かれた高温の排気ガスを内部の蛇行した排気ガス通路を通過させることにより、排気ガスの熱を送風されてくる空気に効率よく熱交換する熱交換器23と、該熱交換器23と燃焼部16の外筒20とをつなぐ中継熱交換器24と、背面板4に形成した排気用孔に排気パイプ取付金具25により一端を機器本体1の内側から固定された排気パイプ26の、もう一端を差し込んで接続して排気ガスを機器本体1から排気する接続受け部27とからなり、前記燃焼部16と一体化された状態で、機器本体1内に着脱自在に固定されるものである。
【0012】
28は対流ファンで、直径が背面板4の空気吸込口3の径より若干小さいプロペラファンと、それを回転させる送風用モータ(図示せず)よりなり、前記対流ファン28の中心が背面板4の空気吸込口3の中心と一致するようにして背面板4の外側に固定されるものである。
【0013】
29はユニット取付板で、底板7の上面に取り付けられ、一体化した燃焼部16と熱交換器部22とがその取付面に着脱自在に固定されている。
前記燃焼部16にはサーミスタセンサ等からなる温度検出部30を備え、この温度検出部30の検出値に応じて前記燃料ポンプ17や燃焼用空気送風機18が制御されると共に、停電復帰時や運転停止後の再運転時の対流ファン28の運転制御が行われるものである。
【0014】
31はプリント基板等によって形成された制御部で、入力側に運転スイッチ32等のスイッチ類を備えた操作部33と前記温度検出部30と室温センサ34等のセンサ類が接続され、出力側には前記燃料ポンプ17と燃焼用空気送風機18と対流ファン28を駆動する対流モータ35と運転状態をランプ類等によって表示する表示部36が接続されている。
37は前記制御部31に備えた電源検出部で、停電復帰時や電源プラグ(図示せず)の挿入時に電源の有無を確認するものである。
【0015】
次にこの温風暖房器の燃焼動作について説明する。
まず、天板2に設けられた運転スイッチ32を押すと運転動作に入り、バーナ19のヒータに通電して温度を上昇させ、バーナ19に備えた温度検出部30の温度が予め設定している温度まで上昇すると、燃料ポンプ17より燃油がバーナ19へ供給されると共に、燃焼用空気送風機18より燃焼用空気がバーナ19へ供給され、それによりバーナ19内で燃油と燃焼用空気とが予混合されて混合気となり、バーナ19の上部で外筒20内に位置する炎孔部(図示せず)から吹き出すその混合気を着火して燃焼が開始される。
【0016】
燃焼が開始されると同時に対流ファン28が動作し、対流ファン28による送風空気が機器本体1背面から背面板4の空気吸込口3を通過して、熱交換器23にて熱交換した後に、前パネル9の温風吹出口8より温風として吹き出す。
【0017】
次に図4のフローチャートによって停電後の復帰の作動について説明する。
ST1にて運転時に停電の発生、または電源プラグが抜ければ、温風暖房機は消火し全ての動きを停止する。(ST2)
ST3にて停電が復帰又は、電源プラグセットによって再通電が電源検出部37によって検知されれば、ST4に進み温度検出部30にて燃焼部の温度Tが読み込まれる。
【0018】
次に、ST5にて燃焼部温度Tが150℃より大きいかを判断し、150℃より大きい場合にはST6に進み、停電直後であり温風暖房機内に過熱状態であるとの事で、表示部36に停電を表示するエラー表示等を行い、タイマXスタート、対流ファン28スタート、燃焼用空気送風機18スタートを行い、ST7にてタイマXが6分経過したかを判断し、6分の経過によって温風暖房機内の過熱は十分に解消されるので、ST8にて対流ファン28停止、燃焼用空気送風機18停止し、ST10にて運転の全停止を行う。
また、ST5にてTが150℃より低かった場合には温風暖房機内の冷却の必要は無いとの判断から、ST9にて表示部36に時計セットの表示を行い、ST10にて運転の全停止を行う。
【0019】
次に図5のフローチャートによって再点火の作動について説明する。
ST11にて運転スイッチ32の押圧され、ST12にて燃焼部の点火動作が開始され、ST13にてタイマYスタートし、温度検出部30にて燃焼部の温度Tが読み込まれる。
【0020】
次に、ST14にて燃焼部温度Tが130℃より大きいかを判断し、130℃より大きい場合にはST15に進み、温風暖房機内に残熱が有るので、短めの30秒の遅延動作の後にST17にて対流ファン28の運転を開始し、温風吹出口8より温風を吹き出すものである。
【0021】
一方、ST14にて燃焼部温度Tが130℃以下の場合にはST16に進み、温風暖房機内の残熱が少ないので、通常にの60秒の遅延動作の後にST17にて対流ファン28の運転を開始し、温風吹出口8より温風を吹き出し、ST18にて通常運転を継続するものである。
【0022】
このように、熱交換器等に取り付けられていたサーモスイッチを廃止して、その代用として燃焼部16の温度制御に使用する温度検出部30で検出するバーナ19の温度を使用することで、サーモスイッチと接続電線等のサーモスイッチ関連部品や組立作業の費用を削減できるものである。
また、サーモスイッチの代わりとしてバーナの燃焼制御に使用使用している温度検知手段での検知温度によって、運転停止時や再運転時の対流ファンの運転制御を行うことで、温風暖房機内部の過熱による故障や事故を防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施例を付した温風暖房機を示す斜視図。
【図2】同機器本体内の内部を示す正面図。
【図3】同制御装置の概略図。
【図4】同停電時のフローチャート図。
【図5】同再点火時のフローチャート図。
【符号の説明】
【0024】
19 バーナ
28 対流ファン
30 温度検出部
31 制御部
37 電源検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸込口及び温風吹出口を有する筐体内にバーナと熱交換器を設け、このバーナを臨ませた燃焼部と、前記空気吸込口から吸入した空気を熱交換器で加熱し、温風吹出口から排出させる対流ファンとを設けた温風暖房機に於いて、前記バーナはバーナの温度を検出する温度検出部によって検出された温度により燃焼制御が行われ、電源投入の有無を検出する電源検出部を設け、この電源検出部が電源投入を検出したときで、かつ、前記温度検出部の検出温度が所定温度以上のときには対流ファンを所定時間作動させる制御部とを備えたことを特徴とする温風暖房機の制御装置。
【請求項2】
空気吸込口及び温風吹出口を有する筐体内にバーナと熱交換器を設け、このバーナを臨ませた燃焼部と、前記空気吸込口から吸入した空気を熱交換器で加熱し、温風吹出口から排出させる対流ファンとを設けた温風暖房機に於いて、前記バーナはバーナの温度を検出する温度検出部によって検出された温度により燃焼制御が行われ、運転停止後の再運転時に前記温度検出部の検出温度が所定温度以下のときには所定時間A後に対流ファンの運転を開始し、温度検出部の検出温度が所定温度より大きいときには前記所定時間Aより短い所定時間B後に対流ファンの運転を開始させる制御部とを備えたことを特徴とする温風暖房機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−275358(P2006−275358A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93379(P2005−93379)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】