説明

温風暖房機の制御装置

【課題】 燃焼火炎の状態が悪化していることを促す警告音報知を行った後、自然に燃焼火炎の状態が回復した場合でも、使用者に何の警告を行ったのかを容易に確認してもらうことのできる温風暖房機の制御装置を提供する。
【解決手段】 バーナ2とフレームロッド3との間に燃焼火炎を介して流れる炎電流を検知する炎電流検知手段4によって検知された炎電流値が、所定電流値未満となっている間は操作表示部5内に設けられた換気ランプ5aに換気を促す表示を継続させると共に、所定のタイミング毎に音報知手段6に換気を促す警告音を一定時間報知させ、この警告音報知の開始から所定時間が経過するまでは、炎電流値が所定電流値以上に回復しても前記換気ランプ5aに換気を促す表示を継続させる制御手段8とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油ファンヒーター等の温風暖房機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に石油ファンヒーター等の室内開放型温風暖房機は室内空気を燃焼用空気として用いるため、密閉した室内で長時間燃焼を継続すると室内の酸素濃度が低下していき、これに伴って燃焼火炎の状態が悪化していく、そして、このまま同じ状態で燃焼を継続していくと一酸化炭素が発生して人命に危害を与えるという事態が発生する可能性がある。
【0003】
そこで、この種の温風暖房機においては、燃焼火炎の状態と相関のある燃焼火炎を流れる電流値(以降、炎電流値と呼ぶ)を検知しており、この炎電流値が所定電流値未満になると、室内の酸素濃度が欠乏している状態として燃焼を停止させるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−26644号公報(第2頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の方法では、室内の酸素濃度が欠乏すると使用者の意志に反して燃焼を停止してしまうので、非常に使い勝手が悪い。そこで、上記酸欠異常電流値よりも高い酸欠警告電流値(例えば酸素濃度約19%と判定される炎電流値)を設定しておき、燃焼火炎を流れる炎電流値がこの酸欠警告電流値未満になった場合に、使用者に対して酸欠状態の警告表示を行い、それと同時に所定のタイミング毎に一定時間警告音(例えば8秒間のブザー音)によって報知するようになっている。
【0006】
この方法により、室内の酸素濃度が欠乏してきて炎電流値が酸欠警告電流値未満になると、通常、使用者は、まず温風暖房機からの警告音を聴いて何らかの警告が行われていることを知り、次に温風暖房機を見れば、酸欠状態を示す警告表示が行われていることが分かるので、これによって室内が酸欠状態になっていることを確認する。そして、使用者によって部屋の換気が行われて炎電流値が酸欠警告電流値以上に回復すれば、温風暖房機は酸欠状態の警告表示を停止し、燃焼を継続することが可能となる。
【0007】
一方、室内環境は刻一刻と変化しており、例えば、すきま風が入る等で、人の手を介さなくても、絶えず酸素濃度は自然に変化している。また、温風暖房機は酸素濃度を直接測定しているわけではなくて、酸素濃度と相関のある炎電流値によって間接的に測定しているため、その測定値は、気温,湿度,燃焼量といった炎電流値の変化要因の影響を少なからず受けてしまう。つまり、室内環境の変化によって、炎電流値が酸欠警告電流値未満となったとしても、その後、予期せぬタイミングで炎電流値が酸欠警告電流値以上に回復することが、人の手を介さなくても自然に起こり得る。
【0008】
そして、この炎電流値の自然回復が、炎電流値が酸欠警告電流値未満となっていることを促す警告音の報知開始直後であり、かつ警告音を聴いた使用者が温風暖房機を見るまでの間に起こった場合、使用者が温風暖房機を見たときには、すでに酸欠状態の警告表示が停止してしまっているため、使用者は換気の警告が行われたことを確認することができなくなってしまうという問題点があった。
【0009】
また、使用者の警告音を聴いてから温風暖房機を見るまでの時間が長くなると、炎電流値の自然回復の起こる機会を多く与えてしまうので、例えば、使用者が手の離せない状態のときには、換気の警告が行われたことを確認できる可能性が少なくなってしまうという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決するもので、炎電流値の自然回復が、炎電流値が酸欠警告電流値未満となっていることを促す警告音の報知開始直後であり、かつ警告音を聴いた使用者が温風暖房機を見るまでの間に起こった場合でも、使用者は換気の警告が行われたことを容易に確認することのできる温風暖房機の制御装置を提供することを目的としている。
【0011】
また、例えば、使用者が手の離せない状態等で、警告音を聴いてから温風暖房機を見るまでの時間が長くなってしまうような場合でも、換気の警告が行われたことを確実に確認することのできる温風暖房機の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の温風暖房機の制御装置は、燃料を燃焼するバーナと、このバーナ近傍に配設したフレームロッドと、前記バーナと前記フレームロッドとの間に燃焼火炎を介して流れる炎電流を検知する炎電流検知手段と、使用者に換気を促す換気表示手段と、確認音や警告音等を発する音報知手段と、この音報知手段によって使用者に換気を促す警告音報知が開始されてからの時間をカウントする計時手段と、前記炎電流検知手段によって検知された炎電流値が所定電流値未満となっている間は、前記換気表示手段に換気を促す表示を継続させると共に、所定のタイミング毎に前記音報知手段に換気を促す警告音を一定時間報知させ、前記計時手段がカウントアップするまでは炎電流値が所定電流値以上に回復しても前記換気表示手段に換気を促す表示を継続させる制御手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、警告音報知の開始から所定時間が経過するまでは、炎電流値が所定電流値以上に回復しても前記換気表示手段に換気を促す表示を継続させるようにしているため、炎電流値の自然回復が、炎電流値が酸欠警告電流値未満となっていることを促す警告音の報知開始直後であり、かつ警告音を聴いた使用者が温風暖房機を見るまでの間に起こった場合でも、使用者は換気の警告が行われたことを容易に確認することができ、使用者に不安感を与えることがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態1を示す温風暖房機の制御装置のブロック図、図2は本発明の実施の形態1を示す温風暖房機の操作表示部の拡大図である。
【0016】
図において、1は温風暖房機の本体、2は熱源としてのバーナ、3はバーナ2の近傍に配設されたフレームロッド、4はバーナ2とフレームロッド3との間に燃焼火炎を介して流れる炎電流値Ifを検知する炎電流検知手段、5は温風暖房機の操作表示部で、この操作表示部5は炎電流検知手段4によって検知された炎電流値Ifの状態を示す換気ランプ5aを含むバーナ2の燃焼状態等を表示する表示器や各種設定を行う複数のスイッチから構成している。更に、6は操作表示部5の各種スイッチが押されたときに鳴らす確認音や温風暖房機の警告音等を発する音報知手段、7は音報知手段6による警告音の報知開始からの時間を計時する計時手段、8は炎電流検知手段4からの検知信号や操作表示部5における各種スイッチ操作に基づいて、予め記憶されたプログラムに従ってバーナ2での燃焼や操作表示部5の表示等、温風暖房機全体の制御を行う制御手段である。
【0017】
次に、上記実施の形態1の動作を図3に基づいて説明する。
【0018】
図3は本発明の実施の形態1を示す温風暖房機の制御動作のフローチャートである。
【0019】
図3において、温風暖房機の燃焼中は、常に炎電流検知手段4によって検知される炎電流値Ifが制御手段8に入力されており、制御手段8は入力された炎電流値Ifが予め設定された所定の酸欠警告電流値If1未満となった場合に(ステップ10)、操作表示部5の換気ランプ5aを点滅する(ステップ11)。更に、使用者に煩わしさを感じさせないような予め設定された所定のタイミング(例えば、換気ランプ5aを点滅開始してからすぐのタイミングと以降15分置きのタイミング)毎に(ステップ12)、音報知手段6により警告音報知を行うと共に(ステップ13)、この警告音報知の開始タイミングから計時手段7のカウントを開始する(ステップ14)。その後、炎電流値Ifが更に低下して予め設定された所定の酸欠異常電流値If2未満となった場合には(ステップ15)、換気ランプ5aを点灯し(ステップ16)、温風暖房機の燃焼動作を停止する(ステップ17)。また、一旦炎電流値Ifが酸欠警告電流知If1未満となった後、人為的、あるいは自然に酸欠警告電流値If1以上に回復した場合は(ステップ10)、前記計時手段7がカウントアップしている場合は(ステップ18)、換気ランプ5aを消灯し(ステップ20)、カウントアップしていない場合には(ステップ18)、カウントアップするまで(例えば30秒間)換気ランプ5aの点滅を継続する(ステップ19)。
【0020】
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、炎電流検知手段4によって検知された炎電流値Ifが酸欠警告電流値If1未満である場合、操作表示部5の換気ランプ5aを点滅させると共に、所定のタイミング毎に音報知手段6により警告音報知を行い、この警告音報知の開始から所定時間が経過するまでは、たとえ炎電流値Ifが酸欠警告電流値If1以上に回復しても換気ランプ5aの点滅を継続させるようにしているため、警告音報知を聴いた使用者が温風暖房機を見るまでの間に炎電流値Ifが酸欠警告電流値If1以上に回復したとしても、使用者は換気ランプ5aの点滅を見ることが可能で、換気の警告が行われたことを容易に確認することができる。
【0021】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2を図に基づいて説明する。
【0022】
図4は本発明の実施の形態2を示す温風暖房機の操作表示部の拡大図である。
【0023】
図4において、5bは温風暖房機の操作表示部5内に設けられ、同じく操作表示部5内に設けられた換気ランプ5aによる換気を促す表示を一旦停止させて、再度前記炎電流検知手段4による炎電流検知を開始させるための換気再検知スイッチである。また、温風暖房機の制御装置のブロック図に関しては、実施の形態1で示した図1の構成と同一なので、説明は省略する。
【0024】
次に、上記実施の形態2の動作を図5に基づいて説明する。
【0025】
図5は本発明の実施の形態2を示す温風暖房機の制御動作のフローチャートである。
【0026】
図5において、温風暖房機の燃焼中は、常に炎電流検知手段4によって検知される炎電流値Ifが制御手段8に入力されており、制御手段8は入力された炎電流値Ifが予め設定された所定の酸欠警告電流値If1未満となった場合に(ステップ10)、操作表示部5の換気ランプ5aを点滅すると共に(ステップ11)、使用者に煩わしさを感じさせないような予め設定された所定のタイミング(例えば、換気ランプ5aを点滅開始してからすぐのタイミングと以降15分置きのタイミング)毎に(ステップ12)、音報知手段6により警告音報知を行う(ステップ13)。その後、炎電流値Ifが更に低下して予め設定された所定の酸欠異常電流値If2未満となった場合には(ステップ15)、換気ランプ5aを点灯し(ステップ16)、温風暖房機の燃焼動作を停止する(ステップ17)。また、一旦炎電流値Ifが酸欠警告電流知If1未満となった後、人為的、あるいは自然に酸欠警告電流値If1以上に回復した場合は(ステップ10)、換気再検知スイッチ5bが押されるまでは(ステップ22)、換気ランプ5aの点滅を継続し(ステップ23)、換気再検知スイッチ5bが押されると(ステップ22)、換気ランプ5bを消灯する(ステップ24)。尚、ステップ21は、換気ランプ5aの点滅中のみ換気再検知スイッチ5bの操作(ステップ22)を受け付けるために設けた判別処理である。
【0027】
以上のように、本発明の実施の形態2によれば、炎電流検知手段4によって検知された炎電流値Ifが酸欠警告電流値If1未満である場合、操作表示部5の換気ランプ5aを点滅させると共に、所定のタイミング毎に音報知手段6により警告音報知を行い、一旦換気ランプ5aが点滅を開始すると、たとえ炎電流値Ifが酸欠警告電流値If1以上に回復しても、換気再検知スイッチ5bが押されるまでは、換気ランプ5aの点滅を継続するようにしている。つまり、一旦換気ランプが点滅を開始すると、使用者は換気ランプ5aの点滅を見て、意識的に換気再検知スイッチ5bを押さない限り、換気ランプ5aを消灯させることができないので、警告音報知を聴いた使用者は絶対に換気ランプ5aの点滅を見ることになり、換気の警告が行われたことを必ず確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1を示す温風暖房機の制御装置のブロック図。
【図2】本発明の実施の形態1を示す温風暖房機の操作表示部の拡大図。
【図3】本発明の実施の形態1を示す温風暖房機の制御動作のフローチャート。
【図4】本発明の実施の形態2を示す温風暖房機の操作表示部の拡大図。
【図5】本発明の実施の形態2を示す温風暖房機の制御動作のフローチャート。
【符号の説明】
【0029】
1 本体
2 バーナ
3 フレームロッド
4 炎電流検知手段
5 操作表示部
5a 換気ランプ
5a 換気再検知スイッチ
6 音報知手段
7 計時手段
8 制御手段
F 燃焼火炎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼するバーナと、このバーナ近傍に配設したフレームロッドと、前記バーナと前記フレームロッドとの間に燃焼火炎を介して流れる炎電流を検知する炎電流検知手段と、使用者に換気を促す換気表示手段と、確認音や警告音等を発する音報知手段と、この音報知手段によって使用者に換気を促す警告音報知が開始されてからの時間をカウントする計時手段と、前記炎電流検知手段によって検知された炎電流値が所定電流値未満となっている間は、前記換気表示手段に換気を促す表示を継続させると共に、所定のタイミング毎に前記音報知手段に換気を促す警告音を一定時間報知させ、前記計時手段がカウントアップするまでは炎電流値が所定電流値以上に回復しても前記換気表示手段に換気を促す表示を継続させる制御手段とを備えたことを特徴とする温風暖房機の制御装置。
【請求項2】
燃料を燃焼するバーナと、このバーナ近傍に配設したフレームロッドと、前記バーナと前記フレームロッドとの間に燃焼火炎を介して流れる炎電流を検知する炎電流検知手段と、使用者に換気を促す換気表示手段と、この換気表示手段による換気を促す表示を一旦停止させて、再度前記炎電流検知手段による炎電流検知を開始させるための換気再検知スイッチと、確認音や警告音等を発する音報知手段と、前記炎電流検知手段によって検知された炎電流値が所定電流値未満となっている間は、前記換気表示手段に換気を促す表示を継続させると共に、所定のタイミング毎に前記音報知手段に換気を促す警告音を一定時間報知させ、前記換気再検知スイッチが操作されるまでは、炎電流値が所定電流値以上に回復しても前記換気表示手段に換気を促す表示を継続させる制御手段とを備えたことを特徴とする温風暖房機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−90675(P2006−90675A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279434(P2004−279434)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】