説明

温風暖房機

【課題】換気不要のクリーンな温水暖房機の温風に加えて、暖房能力や騒音性能を損なうことなく新しい顧客満足度アップのための機能としてのマイナスイオンを付加した温風を実現できる。
【解決手段】循環液6と熱交換して温風を発生させる室内熱交換器3と送風ファン11を備えた風路9中にイオン電極13を設けた構成としたものである。マイナスイオンを発生させるためにはイオン電極のみ風路中に露出させればよく、さらにこのイオン電極が細く小さな部品であるので風路中の圧力損失にほとんど影響がなく送風風量を確保でき、すなわち換気不要のクリーンな温水暖房機の温風に加えて、暖房能力や騒音性能を損なうことなく新しい顧客満足度アップのための機能としてのマイナスイオンを付加した温風を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温水を使用して暖房を行う温風暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の温風暖房機は、例えば灯油やガスを燃焼させて得た温水を熱交換器に通水して送風空気と熱交換し室内を暖房するもの(特許文献1参照)がある。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来の、温風暖房機を示すものである。図5に示すように、室外機51の室外熱交換器52と、室内機53の室内熱交換器54は、温水配管55で連結されて循環経路を形成し、室外および室内の熱交換器52、54および温水配管55内部には温水が充填されている。この構成で室外機51で燃料の燃焼により加熱された温水は循環ポンプ56により循環経路を循環されると、室内機53には送風機57が備えてあり、この送風機57で送風した室内空気が室内熱交換器54を通過する際に熱交換して温風を発生させ、室内を暖房することが出来るものである。
【特許文献1】特開平11−14046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記これら従来の構成では、以下の課題を有している。
1.最近さまざまな健康被害や環境汚染の実態が社会問題となって情報開示されるなどの背景もあり、健康に対するユーザーの関心がますます高まっている。室内環境においても高い質を求められるようになっており、特許文献1のような単なる温風暖房機ではこれらユーザーの要求を十分に満足させることができず、より空気質を追求した機能を有する商品が求められている。
2.上記課題「1」を解決する手段として、風路中にフィルターを搭載し、このフィルターの機能を高めるという一般的な手段も考え得るが、送風経路の圧力損失が高まるため送風量の減少による暖房能力の低下や騒音のアップで商品性を損なう可能性がある。
【0005】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、温風暖房機の風路中にマイナスイオン発生装置のイオン電極を搭載することで、より高い室内空気質を求めるユーザーに対し有効な機能として温風にマイナスイオンを付加することを、暖房能力の低下や騒音値の上昇を生じることなく、基本性能を確保したまま実現した温風暖房機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の温風暖房機は、室内機と室外機を備えるとともに、この室内機と室外機を温水配管で連結して温水循環回路を構成し、室外機は温水配管に充填された循環液を所定の温度に昇温させる機能を有し、室内機は循環液の熱を放熱する熱交換器と熱交換器に送風して熱交換し温風を発生させる送風ファンと風路を備え、この室内機の風路中にマイナスイオン発生装置のイオン電極を搭載したことを特長とする構成としたものである。これによって、より高い室内空気質を求めるユーザーに対し有効な機能として温風にマイナスイオンを付加することを、暖房能力の低下や騒音値の上昇を生じることなく、基本性能を確保したまま実現することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の温風暖房機は、温水と熱交換して温風を発生させる熱交換器と送風機を設けた風路内にマイナスイオン発生装置のイオン電極を搭載しており、マイナスイオンを発生さ
せるためにはイオン電極のみ風路中に露出させればよく、さらにこのイオン電極が細く小さな部品であるので風路中の圧力損失にほとんど影響がなく送風風量を確保できる。すなわち暖房能力や騒音性能を損なうことなく新しい顧客満足度アップのための機能としてのマイナスイオンを付加した温風を送風可能な温風暖房機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、循環液と熱交換して温風を発生させる熱交換器と送風機を設けた風路内にマイナスイオン発生装置のイオン電極を搭載しており、マイナスイオンを発生させるためにはイオン電極のみ風路中に露出させればよく、さらにこのイオン電極が細く小さな部品であるので風路中の圧力損失にほとんど影響がなく送風風量を確保できる。すなわち換気不要のクリーンな温水暖房機の温風に加えて、暖房能力や騒音性能を損なうことなく新しい顧客満足度アップのための機能としてのマイナスイオンを付加した温風を送風可能な温風暖房機を提供することができる。
【0009】
第2の発明は、前記風路は、少なくとも前記イオン電極の対向する部分を金属で構成したことを特長とする請求項1記載の温風暖房機とすることにより、風路が複雑な形状であるために樹脂で構成されても、イオン電極から発生させたマイナスイオンが樹脂に帯電することを防いで確実に温風の吹出口からマイナスイオンを室内に吹き出すことができる温風暖房機を提供することができる。
【0010】
第3の発明は、前記風路は、少なくとも前記イオン電極の対向する部分の表面を帯電防止剤でコーティングしたことを特長とする請求項1記載の温風暖房機とすることにより、風路が複雑な形状であるために樹脂で構成されても、イオン電極から発生させたマイナスイオンが樹脂に帯電することを防いで確実に温風の吹出口からマイナスイオンを室内に吹き出すことができる温風暖房機を提供することができる。
【0011】
第4の発明は、風路に固定したイオン金具に前記マイナスイオン発生装置を固定する固定手段を設けるとともに、このイオン金具上にマイナスイオン発生装置のアース部に接触させるアース爪を設け、この固定手段による固定が不完全であってもアースが確保できるように構成したことを特長とする請求項1から3記載の温風暖房機とすることにより、生産時には風路に固定したイオン金具にマイナスイオン発生装置を固定する固定手段を設けて例えばビスで締結し帯電防止を図るが、メンテナンス時にこのビスを締結し忘れた場合でもイオン金具上にマイナスイオン発生装置のアース部に接触させるアース爪を設けてあるので、アースの経路が確保でき確実に温風の吹出口からマイナスイオンを室内に吹き出すことができる温風暖房機を提供することができる。
【0012】
第5の発明は、前記イオン金具は、バネ性の金属材料を使用した請求項4記載の温風暖房機とすることにより、第4の発明で記述したアース爪のバネ性が十分得られるので、アース爪を確実にマイナスイオン発生装置のアース部に接触させてアースの経路が確保でき、確実に温風の吹出口からマイナスイオンを室内に吹き出すことができる温風暖房機を提供することができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における温風暖房機のシステム構成図、図2は室内機の構造図、図3および図4はマイナスイオン発生装置周辺の要部構成図である。
【0015】
図1、図2、図3、図4において、1は室内機本体、2は室外機本体で、室内機1の内
部には室内熱交換器3、室外機2の内部には室外熱交換器4を搭載しており、室内熱交換器3と室外熱交換器4は温水配管5で連通されて温水循環経路を形成している。室内熱交換器3と室外熱交換器4および温水配管5内部には不凍液などの循環液6が充填されており、室外機2内部にこの循環液6を循環する循環ポンプ7を備え、室外熱交換器4の下方には熱源8を備えている。室内機1の内部の室内熱交換器3前後には風路9を設け、風路9の内部には送風モーター10で駆動される送風ファン11を備えるとともにマイナスイオン発生装置12のイオン電極13の放電部を風路9内に露出して配置している。そして風路9の少なくともイオン電極13の対向する部分たとえばファンケースや吹出口の対向する部分を金属で構成している。マイナスイオン発生装置12は風路9に固定したイオン金具14に固定されているが、具体的にはイオン金具14上設けた固定手段15にマイナスイオン発生装置12の固定部16を通し、アース部17をイオン金具14とビス18で締結して固定している。さらにイオン金具14にはマイナスイオン発生装置12のアース部17に接触させるアース爪19を設け、ビス18による固定が不完全あるいはビス18の締め忘れがあってもアース経路が確保できるように構成してある。室内機1の外郭には運転スイッチ20を含む各種操作スイッチを配置した操作部21を備えるとともに、この操作部21の信号を元に各機能部品を動作制御させる制御器22を本体内部に備えて構成している。
【0016】
以上のように構成された温風暖房機について、以下その動作、作用を説明する。
【0017】
まず、室内機1の電源プラグ(図示せず)を家庭のコンセント(図示せず)に差込み室内機1の操作部21内にある運転スイッチ20を押すと、制御器22は室外機2の循環ポンプ7を起動して循環液6を循環開始するとともに、熱源8たとえば灯油を燃料とするバーナーを動作させ室外熱交換器4を通過する循環液6を加熱する。すると循環液6は循環ポンプ7によって循環しているので、温水循環経路内に充填された循環液6はほぼ均一に温度が上がっていく。このとき室外熱交換器4の出口近傍には配管上に湯温サーミスター23が設けてあって循環液6の温度を常に検知して循環液の温度情報を制御器22に送信しており、所定の温度に達したら制御器22は送風モーター10を起動して送風ファン11を回転することで風路9内に空気流を発生させ、この空気流が室内熱交換器3を通過する際に循環液6と熱交換して温風となり、この温風を室内機1の吹出口から吹き出して室内を暖房する。このとき風路9内にはイオン電極13を備えており、マイナスイオン発生装置12によってイオン電極13先端から放電されマイナスイオンの超微粒子が温風にのって室内機1の吹出口から室内へ供給される。ところでマイナスイオン発生装置12は上述のようにイオン金具14にビス18で固定されているが、市場でメンテナンス時にこのビス18を締結し忘れた場合でもイオン金具14上にマイナスイオン発生装置12のアース部17に接触させるアース爪19を設けてあるのでアースの経路が確保でき、帯電を起さずに確実に室内機1の吹出口からマイナスイオンを温風とともに室内に供給ことができる。しかもこのアース爪19はバネ製を持っており、マイナスイオン発生装置12を取り付ける際にアース爪19を多少押えても復元し、さらに確実にマイナスイオン発生装置12のアース部17に接触してアース経路を確保でき室内機1の吹出口からマイナスイオンを温風とともに室内に供給ことができる。また、風路9中にあるファンケースや吹出口は比較的複雑な形状であるため樹脂で成型されることが多いが、マイナスイオンの粒子が通過する部分に樹脂部品があると樹脂部品にマイナスイオン粒子が帯電して室内機1の吹出口から外へマイナスイオンが出てこない現象が生じる。この現象は樹脂の帯電が次第に進んでくるといずれ飽和するため、しばらく連続運転するうちに解消されてマイナスイオン粒子が供給されるようになる。しかし、運転時間が浅い生産工程でマイナスイオンの発生確認をするのは不可能で、市場でも運転初期にはマイナスイオンがなかなか出始めないということが問題になる。そこでここでは風路9の少なくともイオン電極13の対向する部分たとえばファンケースや吹出口の対向する部分を金属で構成しているのでマイナスイオン粒子は樹脂に触れることなく機体外へ放出され運転初期からマイナスイオンを発生させ
ることができる。
【0018】
(実施の形態2)
図1、図2、図3、図4において、実施の形態1と異なる部分のみ説明すると、風路9の少なくともイオン電極13の対向する部分たとえばファンケースや吹出口の対向する部分を帯電防止剤でコーティングしてある。
【0019】
以上のように構成された温風暖房機について、以下その動作、作用を実施の形態1と異なる部分のみ説明する。
【0020】
風路9中にあるファンケースや吹出口は比較的複雑な形状であるため樹脂で成型されることが多いが、マイナスイオンの粒子が通過する部分に樹脂部品があると樹脂部品にマイナスイオン粒子が帯電して室内機1の吹出口から外へマイナスイオンが出てこない現象が生じる。この現象は樹脂の帯電が次第に進んでくるといずれ飽和するため、しばらく連続運転するうちに解消されてマイナスイオン粒子が供給されるようになる。しかし、運転時間が浅い生産工程でマイナスイオンの発生確認をするのは不可能で、市場でも運転初期にはマイナスイオンがなかなか出始めないということが問題になる。そこでここでは風路9の少なくともイオン電極13の対向する部分たとえばファンケースや吹出口の対向する部分の表面を帯電防止剤でコーティングしているのでマイナスイオン粒子は樹脂に触れることなく機体外へ放出され運転初期からマイナスイオンを発生させることができる。
【0021】
なお、本実施例では室外機の熱源の燃料を灯油としたが、燃料はガスでも良く、また室外機は電気温水器やヒートポンプ式の給湯機でも可能で、本実施例によって限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明にかかる温風暖房機は、循環液と熱交換して温風を発生させる熱交換器と送風機を設けた風路内にマイナスイオン発生装置のイオン電極を搭載しており、マイナスイオンを発生させるためにはイオン電極のみ風路中に露出させればよく、さらにこのイオン電極が細く小さな部品であるので風路中の圧力損失にほとんど影響がなく送風風量を確保できる。すなわち換気不要のクリーンな温水暖房機の温風に加えて、暖房能力や騒音性能を損なうことなく新しい顧客満足度アップのための機能としてのマイナスイオンを付加した温風を実現できる温風暖房機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1における温風暖房機のシステム構成図
【図2】本発明の実施の形態1における室内機の構造図
【図3】本発明の実施の形態1におけるマイナスイオン発生装置周辺の要部構成部品図
【図4】本発明の実施の形態1におけるマイナスイオン発生装置周辺の要部構成組み立て図
【図5】従来の輻射暖房機の構成図
【符号の説明】
【0024】
1 室内機
2 室外機
3 室内熱交換器
5 温水配管
6 循環液
9 風路
11 送風ファン
12 マイナスイオン発生装置
13 イオン電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と室外機を備えるとともに、この室内機と室外機を温水配管で連結して温水循環回路を構成し、室外機は温水配管に充填された循環液を所定の温度に昇温させる機能を有し、室内機は循環液の熱を放熱する熱交換器と熱交換器に送風して熱交換し温風を発生させる送風ファンと風路を備え、この室内機の風路中にマイナスイオン発生装置のイオン電極を搭載したことを特長とする温風暖房機。
【請求項2】
前記風路は、少なくとも前記イオン電極の対向する部分を金属で構成したことを特長とする請求項1記載の温風暖房機。
【請求項3】
前記風路は、少なくとも前記イオン電極の対向する部分の表面を帯電防止剤でコーティングしたことを特長とする請求項1記載の温風暖房機。
【請求項4】
風路に固定したイオン金具に前記マイナスイオン発生装置を固定する固定手段を設けるとともに、このイオン金具上にマイナスイオン発生装置のアース部に接触させるアース爪を設け、この固定手段による固定が不完全であってもアースが確保できるように構成したことを特長とする請求項1から3記載の温風暖房機。
【請求項5】
前記イオン金具は、バネ性の金属材料を使用した請求項4記載の温風暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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