説明

温風発生装置

【課題】本発明は発電効率及び温風発生効率を高めて装置の小型化を図ることを課題とする。
【解決手段】温風発生装置10は、筐体20の内部に、燃料電池ユニット30と、燃料噴射ノズル部40と、電動モータ50と、送風ファン60と、放熱回流部70とが収納されている。燃料電池ユニット30は、複数枚の発電セルが所定間隔毎に配列された固体酸化物型燃料電池からなり、各発電セル間に燃料噴射ノズル部40から噴射された混合ガスが供給されて発電を行なう。燃料電池ユニット30の発電によって、送風ファン60の電動モータ50が回転駆動され、空気流が発生する。送風ファン60の回転により空気導入口24から酸素リッチな外気が放熱回流部70に導入されると共に、熱交換により温風となって温風吹き出し口28から吹き出される吹き出し流90と、放熱回流部70を介して暖められた外気が燃料電池ユニット30に供給される回流100とに分かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温風発生装置に係り、特に固体酸化物型燃料電池部の発電により温風を発生させるよう構成された温風発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の温風発生装置としては、例えば、AC100Vを電源とするドライヤが広く普及している。この種のドライヤは、電熱ヒータと電動ファンとを組み合わせた構成であり、電動ファンからの送風が電熱ヒータの熱により温風となって噴出し口から吐出されるように構成されている。この構成では、AC100Vのコンセントに接続される電源コードが必要であるので、屋外等のようにAC100Vのコンセントが無い場所で使用することができず、使用場所の制約が大きかった。
【0003】
また、特許文献1(段落0037、図4を参照)に記載されているように、AC100Vの代りに燃料電池を電源とする温風発生装置も開発されている。この温風発生装置では、ケーシング内に、燃料電池スタック、燃料供給手段、酸素供給手段、加熱手段、スチーム吹出手段、送風手段を備えた発電ユニットが収納された構成になっている。特許文献1に記載された送風手段は、燃料電池スタックを電源として駆動され、加熱手段の熱交換器に向けて送風し、スチーム吹出手段で水を蒸発させつつ送風口から、スチームを含んだ温風を吹き出すように設けられている。
また、特許文献2には、炭化水素を原燃料として燃焼を行うバーナと、当該バーナの燃焼空間に配置され、その燃焼熱により加熱・昇温すると共に、原燃料の一部を燃料に使用して発電を行う燃料電池と、燃料電池の上部に配置された熱交換器9とを備える暖房装置が開示されている。この特許文献2では、燃料電池として固体酸化物形燃料電池を用いており、バーナの燃焼熱と共に燃料電池の排熱を熱交換器9により暖房用熱源として排出するように構成されている。
【特許文献1】特開2006−19206号公報
【特許文献2】特開2003−257442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された燃料電池を有する温風発生装置では、送風手段からの送風が熱交換器で加熱されて送風口から吹き出す構成であるので、温風の発生効率を高めることが難しく、装置の小型化を図ることが難しいので、例えば、屋外などで使用するには適していないという問題があった。
また、上記特許文献2に記載された暖房装置では、バーナの燃焼熱と共に燃料電池の排熱から温風を発生させる仕組みになっているが、固体酸化物形燃料電池で余った熱を熱交換器で全て回収することが難しく、且つ装置の小型化を図ることが難しいので、例えば、屋外などで使用するには適していないという問題があった。
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決した温風発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
【0006】
本発明は、燃料を燃焼させた混合ガスを供給されて加熱される固体酸化物型燃料電池部と、前記固体酸化物型燃料電池部で得られる電力により駆動される電動モータと、前記電動モータにより回転駆動されて外気を導入すると共に、前記固体酸化物型燃料電池部から排出された前記混合ガスと前記外気とを混合させて送風する送風ファンと、前記送風ファンの回転により導入された外気の一部を前記固体酸化物型燃料電池部に回流させる回流発生部と、を備えることにより上記課題を解決するものである。
前記固体酸化物型燃料電池部は、平板状に形成された電解質層の一面にカソード層が形成され、前記電解質層の他面にアノード層が形成されてなる複数枚のセルからなり、前記複数枚のセルを所定間隔毎に並列に配置することが望ましい。
【0007】
前記複数枚のセルは、前記アノード層同士が互いに対向するアノード空間を形成し、且つ前記カソード層同士が互いに対向するカソード空間を形成するように配置されることが望ましい。
【0008】
前記アノード空間は、前記燃料と酸素を含有する混合ガスが供給され、前記アノード層において触媒燃焼を発生させることが望ましい。
【0009】
前記アノード空間には、前記回流発生部からの外気の流入が遮断されるように、前記混合ガスの流入する方向に形成された隔壁が設けられ、前記カソード空間には、前記混合ガスの流入が遮断されるように、前記回流発生部からの外気の流入する方向に形成された隔壁が設けられていることが望ましい。
【0010】
前記回流発生部は、前記アノード空間を通過した前記混合ガスにより加熱されるように前記固体酸化物型燃料電池部の上部に配置されており、前記回流発生部で加熱された外気を、前記カソード空間に回流させることにより前記カソード層を予備加熱することが望ましい。
【0011】
前記回流発生部は、前記送風ファンの回転により外気が流入する流入口と、前記外気を前記固体酸化物型燃料電池部に向けて流出させる流出口と、該流出口から流出された外気を前記カソード空間に導くガイド部と、を有することが望ましい。
【0012】
前記固体酸化物型燃料電池部の上部に前記アノード空間を通過した前記混合ガスにより加熱される放熱部を設け、前記放熱部は、前記送風ファンの回転により送風された空気流の流れ方向に延在形成された複数のフィンを有し、前記複数のフィン間を通過する空気流を加熱することが望ましい。
【0013】
前記回流発生部により回流される空気は、前記カソード空間を通過する過程で加熱され後、前記送風ファンにより導入された外気と合流して前記複数のフィン間を通過する過程で加熱されることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回流発生部により送風ファンの回転により導入された外気の一部を固体酸化物型燃料電池部に回流させることにより、固体酸化物型燃料電池部に酸素リッチな空気を供給して発電効率を高められると共に、回流された空気流が固体酸化物型燃料電池部の排熱により加熱されるため、固体酸化物型燃料電池部で余った熱を温風として回収することができ、これにより、発電効率及び温風発生効率を高めて装置の小型化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明による温風発生装置の一実施例を模式的に示す概略構成図である。図1に示されるように、温風発生装置10は、例えば、屋外でも使用可能なコードレス型ヘアドライヤであり、筐体20の内部に、燃料電池ユニット30と、燃料噴射ノズル部40と、電動モータ50と、送風ファン60と、放熱回流部70とが収納されている。筐体20は、操作者が把持するグリップ部22と、後部に設けられた空気導入口24と、グリップ部22の上部に設けられた熱交換室26と、熱交換室26の前側に設けられた温風吹き出し口28とを有する。
グリップ部22には、水素またはブタン等の燃料が充填された燃料ボンベ80が収納されている。燃料ボンベ80は、中空円筒形状の金属製容器からなり、上端に燃料噴射ノズル部40の下部接続口42に接続される接続弁部82が設けられている。また、燃料ボンベ80は、簡単に交換することができるように分離可能に接続されており、燃料噴射ノズル部40に接続されることで接続弁部82が閉弁状態から開弁状態に切り替わるように構成されている。
【0017】
また、グリップ部22の外壁には、燃料噴射ノズル部40の燃料供給路を開または閉とする弁装置及び着火装置を操作する操作部(図1では見えない)が設けられている。
燃料電池ユニット30は、後述するように複数枚の発電セルが所定間隔毎に配列された固体酸化物型燃料電池からなり、各発電セル間に燃料噴射ノズル部40から噴射された混合ガスが供給されて加熱されることにより発電を行なう。
【0018】
電動モータ50は、燃料電池ユニット30の電源端子(+極、−極)とリード線を介して接続されており、燃料電池ユニット30で発電された電力により駆動される。そのため、電動モータ50は、燃料電池ユニット30において発電が行なわれると、同時に送風ファン60を回転駆動する。
【0019】
送風ファン60の回転により、空気導入口24から酸素リッチな外気が導入され、その空気流が熱交換室26に設置された放熱回流部70に至り、熱交換により温風となって温風吹き出し口28から吹き出される吹き出し流90と、放熱回流部70を介して暖められた外気が燃料電池ユニット30に供給される回流100とに分かれる。また、燃料電池ユニット30の前側には、回流100を各発電セル間に均等に供給されるようにガイドする複数の溝を有する回流ガイド部110が配置され、燃料電池ユニット30の後側には、燃料電池ユニット30を通過した回流100を吹き出し流90に合流させるように導く複数の溝を有する合流ガイド部120が配置されている。尚、回流ガイド部110、合流ガイド部120は、筐体20の内壁が空気流をガイドする構成とすることにより省略することができる。
このように、温風発生装置10は、放熱回流部70により送風ファン60からの空気流の一部を燃料電池ユニット30に回流させ、回流された空気流が燃料電池ユニット30の排熱により加熱されるため、燃料電池ユニット30で余った熱を温風として回収することができ、これにより、発電効率及び温風発生効率を高めて装置の小型化を図ることが可能になる。そして、燃料電池ユニット30で暖められた空気流が吹き出し流90に合流し、さらに燃料噴射ノズル部40から噴射された混合ガスが合流することで吹き出し流90の温度は効率よく上昇する。
【0020】
ここで、燃料電池ユニット30の構成について図2乃至図4を参照して説明する。図2は発電セルを示す斜視図である。図3は燃料電池ユニット30を示す縦断面図である。図4は燃料電池ユニット30を示す斜視図である。
【0021】
図2に示されるように、発電セル130は、平板状に形成された電解質層132と、電解質層132の一面(図2中、左側面)に形成されたカソード層(「空気極」とも呼ばれる)134と、電解質層の他面(図2中、右側面)に形成されたアノード層(「燃料極」とも呼ばれる)136とを積層した構成である。
【0022】
ここで、発電セル130による発電の原理について説明する。燃料噴射ノズル部40から噴射された混合ガスに含まれる水素または一酸化炭素は、アノード層136と電解質層132との界面で電子(e-)を放出すると同時に、カソード層134から電解質層132を移動してくるO-と反応して水分子(HO)または炭酸ガス(CO)を生成する。一方、水素などから放出された電子(e-)は、電動モータ50で電気的な仕事をした後、カソード層134に達する。カソード層134と電解質層132との界面では、空気中の酸素(O)がカソード層134に到達した電子(e-)と反応してO-イオンになる。このO-イオンは、電解質層132に取り込まれてアノード層136に移動する。
【0023】
従って、発電セル130では、水素または一酸化炭素が酸素と反応して水または炭酸ガスとなる反応を行なうことで、電子が電動モータ50を介してアノード層136からカソード層134へ移動するので、電流の流れはこの逆となり、カソード層134が正極、アノード層136が負極となる。
【0024】
電解質層132は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、これらにCe、Al等をドープしたジルコニア系セラミックス、SDC(サマリアドープドセリア)、SGC(ガドリアドープドセリア)等のセリア系セラミックス、LSGM(ランタンガレート)、酸化ビスマス系セラミックスなどの材料によって形成されている。
カソード層134は、例えば、ストロンチウム(Sr)等の周期律表第3族元素が添加されたランタンのマンガン(例えば、ランタンストロンチウムマンガナイト)、ガリウム又はコバルト酸化化合物(例えば、ランタンストロンチウムコバルタイト)等の材料によって形成されている。
アノード層136は、ニッケルと、イットリア安定化ジルコニア系、スカンジア安定化ジルコニア系、又は、セリア系(SDC、GDC、YDC等)セラミックとのサーメット、導電性酸化物を主成分(50重量%以上99重量%以下)とする焼結体(導電性酸化物とは、例えば、リチウムが固溶された酸化ニッケル等である)、これらのものに、白金族元素から成る金属、又は、その酸化物が1〜10重量%程度配合されたもの等の材料によって形成されている。
カソード層134とアノード層136とは、共に多孔質体に形成される。これらの電極層は、多孔質体の開気孔率を、20%以上、好ましくは、30〜70%、特に、40〜50%とすることが好ましい。
【0025】
図3に示されるように、燃料電池ユニット30は、上記のように平板状に形成された複数枚の発電セル130を所定間隔毎に並列に配置した構成である。各発電セル130は、垂直状態に起立されており、燃料噴射ノズル部40からの火炎が進行しない消炎距離以下の間隔となるように配列されている。また、各発電セル130は、アノード層136同士が互いに対向するアノード空間140を形成し、且つカソード層134同士が互いに対向するカソード空間150を形成するように配置される。従って、アノード空間140とカソード空間150とは、側面からみると交互に配置される。
【0026】
図4に示されるように、燃料電池ユニット30は、アノード空間140の側方の両端を閉塞する垂直壁(隔壁)160と、カソード空間150の上方、下方の両端を閉塞する水平壁(隔壁)170とを有する。すなわち、アノード空間140は、混合ガスの流入する方向(垂直方向)に形成された垂直壁160により、放熱回流部70からの外気の流入が遮断される。また、カソード空間150は、放熱回流部70からの外気の流入する方向(水平方向)に形成された水平壁170により、混合ガスの流入が遮断される。
【0027】
従って、アノード空間140は、互いに対向するアノード層136と垂直壁160によって囲まれた空間であり、アノード空間140の上方及び下方には燃料噴射ノズル部40から噴射されたガスと酸素との混合ガスが通過するための開口が形成されている。
また、カソード空間150は、互いに対向するカソード層134と水平壁170によって囲まれた空間であり、カソード空間150の前方及び後方には放熱回流部70から回流する空気が通過するための開口が形成されている。
上記のように、アノード空間140は、垂直壁160により垂直方向の開口が閉塞されているため、放熱回流部70から回流された空気が流入できず、燃料と酸素を含有する混合ガスのみが供給されるように設けられている。アノード空間140は、混合ガスが供給されることで高温に加熱されるため、アノード層136において触媒燃焼を発生させる。
【0028】
また、カソード空間150は、水平壁170により水平方向の開口が閉塞されているため、燃料噴射ノズル部40から噴射されたガスと酸素との混合ガスが流入できず、放熱回流部70から回流された暖かい酸素リッチな空気(外気)のみが供給されるように設けられている。
【0029】
図5はアノード空間140に混合ガスを供給する燃料噴射ノズル部40の概略構成を示す縦断面図である。図5に示されるように、燃料噴射ノズル部40は、アノード空間140の下部開口に対向する位置に複数のガス供給通路42が設けられている。このガス供給通路42のガス噴射口44近傍には、絞り46が設けられている。さらに、絞り46の上方に空気を供給する空気供給孔48が設けられている。
燃料ボンベ80には、圧縮または液化された可燃性ガスが燃料として充填されているため、燃料噴射ノズル部40に設けられた弁装置が開弁されると、気化されたガスが各ガス供給通路42に供給される。その際、各ガス供給通路42に供給されたガスは、絞り46によって加速されてガス噴射口44から上方のアノード空間140に向けて噴射される。さらに、絞り46を通過する際のガスの流速によって生じた負圧により空気供給孔48から空気がガス噴射口44に吸引される。
【0030】
このように、ガス噴射口44の近傍において、可燃性ガスと空気との混合ガスに着火すると、ガス噴射口44から火炎180が噴射される。火炎180は、空気供給孔48から燃焼に必要な十分な酸素が供給されているので、すすが発生しない予混炎となる。予混炎の場合、青から青緑の明るい円錐状の内炎と弱い青紫色の外炎とが生じ、外炎の温度が1400°C〜1500°C位となる。そのため、ガス噴射口44からの火炎180によって、アノード空間140を囲むアノード層136の表面温度を1000°C付近まで加熱することが可能になる。
【0031】
燃料噴射ノズル部40のガス噴射口44は、アノード空間140の下方に配置されているので、燃料噴射ノズル部40の着火装置(図示せず)によりガス噴射口44から噴射された混合ガスに着火されると、火炎180による高温ガスが下方開口からアノード空間140に供給されて上方開口へ排出される。また、火炎180の周辺の空気も加熱されて膨張するため、アノード空間140には火炎180の周辺の空気も下方から供給されて上方へ排出される。従って、アノード空間140においては、燃焼ガスと加熱された空気との混合ガス190が供給されて高温に加熱され、アノード層136において触媒燃焼を発生させることができる。これにより、水素または一酸化炭素がアノード層136の表面に吸着されて電解質層132を通過した酸素(O)が反応しやすい状態となる。
【0032】
このように、燃料電池ユニット30の下方には、上記のような燃料噴射ノズル部40が設けられているため、燃料電池ユニット30を駆動するときは、燃料ボンベ80から供給されたガスが燃料噴射ノズル部40のガス噴射口44で燃焼され、その際に発生した高温の混合ガスがアノード空間140の両側を囲むアノード層136に供給される。そのため、アノード層136は、発電可能な温度まで直接的に加熱される。これにより、発電セル130において、効率良く発電が行なわれる。燃料電池ユニット30の発電により得られた電力によって、電動モータ50が回転駆動されるため、電動モータ50に駆動された送風ファン60によって空気流が発生する。
【0033】
送風ファン60の回転により空気導入口24から酸素リッチな外気が導入されると共に、その空気流が放熱回流部70において、熱交換により温風となって温風吹き出し口28から吹き出される吹き出し流90と、放熱回流部70を介して暖められた外気が燃料電池ユニット30に供給される回流100とに分かれる。そのため、カソード空間150を形成するカソード層134には、放熱回流部70を介して暖められた酸素リッチな外気が供給される。これにより、カソード層134では、酸素リッチな外気が供給されると共に、回流100による予備加熱によって温度が上昇した状態に保持されるため、温度の低い外気を供給する場合のように発電セル130の温度低下を招かないで済み、発電セル130における発電効率がより一層高められる。
【0034】
ここで、放熱回流部70の構成について図6乃至図10を参照して説明する。図6は放熱回流部70の流入側からみた背面図である。図7は放熱回流部70の流出側からみた正面図である。図8は図6中A−A線に沿う縦断面図である。図9は図6中B−B線に沿う縦断面図である。図10は図9中C−C線に沿う縦断面図である。
【0035】
図6乃至図8に示されるように、放熱回流部70は、例えば、アルミ合金などの熱伝導率の高い金属材料によって一体成型されており、吹き出し流90が流れる放熱部200と、回流100が流れる回流部210とを有する。放熱部200は、放熱回流部70の中央部分に設けられ、回流部210は放熱部200の左右両側に設けられている。
放熱部200は、吹き出し流90の流れ方向に延在形成された複数の放熱用フィン202を有し、各フィン間には吹き出し用空気流路204が形成されている。放熱部200の流入側端面には、吹き出し用空気流路204に連通する縦長形状の流入側開口部205が設けられている。また、放熱部200の吹き出し側端面には、吹き出し用空気流路204に連通する縦長形状の吹き出し側開口部206が設けられている。さらに、吹き出し用空気流路204の下部には、燃料電池ユニット30の上端に対向する第1下部開口207と、燃料電池ユニット30のカソード空間150を通過した回流100が吹き出し流90に合流するための第2下部開口208とが設けられている。
【0036】
図9に示されるように、回流部210には、放熱用フィン202と平行に延在形成された回流流路212が設けられている。この回流流路212は、放熱回流部70の流入側端面に送風ファン60から送風された酸素リッチな外気が供給される外気流入口214を有し、放熱回流部70の下部に回流流路212を通過した外気を下方に排出する下部流出口216を有する。また、回流流路212の吹き出し側には、下方に向けて傾斜した内壁218が設けられており、回流流路212に流入した外気は、内壁218に沿って下方への流れに流れ方向が変換される。下部流出口216は、燃料電池ユニット30の前側に開口する位置に設けられているため、回流流路212の下部流出口216から下方に流出した外気の流れは、回流ガイド部110を介してカソード空間150に流入する回流100となる。
【0037】
図11は燃料電池ユニット30のアノード空間140を通過した混合ガス190の流れを示す縦断面図である。図12は吹き出し用空気流路204における空気の流れを説明するための縦断面図である。
【0038】
図11及び図12に示されるように、燃料電池ユニット30のアノード空間140を通過した混合ガス190は、放熱回流部70の下面側に開口する第1下部開口207より吹き出し用空気流路204に流入して放熱部200を直接的に加熱する。そのため、放熱用フィン202の表面積を通過する吹き出し流90は、混合ガス190によって加熱された放熱部200の熱を放熱用フィン202の表面から奪うと共に、燃料電池ユニット30から排出された高温の混合ガス190が混合されることによって効率良く温度上昇される。
【0039】
図13は回流流路212における空気の流れを説明するための縦断面図である。図13に示されるように、送風ファン60の回転により発生した酸素リッチな外気の一部が放熱部200の両側に配置された回流部210の外気流入口214に供給される。そのため、回流流路212を通過した外気は、内壁218に沿って下部流出口216より下方に流出する。下部流出口216の下方には、回流ガイド部110が設けられているので、下部流出口216から排出された外気は、回流ガイド部110の傾斜壁に沿って流れ方向を燃料電池ユニット30の前側に向かう流れに変換される。これにより、回流流路212を通過した外気は、燃料電池ユニット30のカソード空間150に流入する。
【0040】
そのため、カソード空間150を形成するカソード層134では、前述した通り、酸素リッチな外気から酸素を取り込み、電解質層132との界面に多量のO-を供給することができる。これにより、発電セル130の発電効率を高めることが可能になる。
【0041】
さらに、回流流路212では、混合ガス190によって加熱された放熱部200の熱が伝導するため、回流流路212を流れる外気が回流流路212の内壁からの輻射熱により加熱された外気(暖気)を回流100とすることが可能になる。そのため、カソード空間150を形成するカソード層134を加熱することができ、外気供給によりカソード層134の温度低下を防止して、温度による発電効率も高めることができ、酸素リッチと加熱との相乗効果による発電効率アップを実現することができる。
【0042】
そして、カソード空間150を通過した回流100の空気は、合流ガイド部120により上方に向かう流れに流れ方向を変換され、第2下部開口208から吹き出し用空気流路204に流入して吹き出し流90と合流する。これにより、吹き出し流90は、合流した回流100によって加熱された後、さらに放熱用フィン202の表面積によって加熱されながら高温の混合ガス190が下方から合流して温風吹き出し口28からより高温の空気流として吹き出される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
上記実施例では、本発明をコードレス型ヘアドライヤに適用した構成を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、温風を発生させる暖房装置や衣類や布団などを乾燥させる乾燥機などにも適用できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による温風発生装置の一実施例を模式的に示す概略構成図である。
【図2】発電セルを示す斜視図である。
【図3】燃料電池ユニット30を示す縦断面図である。
【図4】燃料電池ユニット30を示す斜視図である。
【図5】アノード空間140に混合ガスを供給する燃料噴射ノズル部40の概略構成を示す縦断面図である。
【図6】放熱回流部70の流入側からみた背面図である。
【図7】放熱回流部70の流出側からみた正面図である。
【図8】図6中A−A線に沿う縦断面図である。
【図9】図6中B−B線に沿う縦断面図である。
【図10】図9中C−C線に沿う縦断面図である。
【図11】燃料電池ユニット30のアノード空間140を通過した混合ガス190の流れを示す縦断面図である。
【図12】吹き出し用空気流路204における空気の流れを説明するための縦断面図である。
【図13】回流流路212における空気の流れを説明するための縦断面図である。
【符号の説明】
【0045】
10 温風発生装置
20 筐体
24 空気導入口
28 温風吹き出し口
30 燃料電池ユニット
40 噴射ノズル部
44 ガス噴射口
46 絞り
48 空気供給孔
50 電動モータ
60 送風ファン
70 放熱回流部
80 燃料ボンベ
90 吹き出し流
100 回流
110 回流ガイド部
120 合流ガイド部
130 発電セル
132 電解質層
134 カソード層
136 アノード層
140 アノード空間
150 カソード空間
160 垂直壁
170 水平壁
180 火炎
190 混合ガス
200 放熱部
202 放熱用フィン
204 吹き出し用空気流路
207 第1下部開口
208 第2下部開口
210 回流部
212 回流流路
216 下部流出口
218 内壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させた混合ガスを供給されて加熱される固体酸化物型燃料電池部と、
前記固体酸化物型燃料電池部で得られる電力により駆動される電動モータと、
前記電動モータにより回転駆動されて外気を導入すると共に、前記固体酸化物型燃料電池部から排出された前記混合ガスと前記外気とを混合させて送風する送風ファンと、
前記送風ファンの回転により導入された外気の一部を前記固体酸化物型燃料電池部に回流させる回流発生部と、
を備えたことを特徴とする温風発生装置。
【請求項2】
前記固体酸化物型燃料電池部は、
平板状に形成された電解質層の一面にカソード層が形成され、前記電解質層の他面にアノード層が形成されてなる複数枚のセルからなり、前記複数枚のセルを所定間隔毎に並列に配置したことを特徴とする請求項1に記載の温風発生装置。
【請求項3】
前記複数枚のセルは、前記アノード層同士が互いに対向するアノード空間を形成し、且つ前記カソード層同士が互いに対向するカソード空間を形成するように配置されることを特徴とする請求項2に記載の温風発生装置。
【請求項4】
前記アノード空間は、前記燃料と酸素を含有する混合ガスが供給され、前記アノード層において触媒燃焼を発生させることを特徴とする請求項3に記載の温風発生装置。
【請求項5】
前記アノード空間には、前記回流発生部からの外気の流入が遮断されるように、前記混合ガスの流入する方向に形成された隔壁が設けられ、
前記カソード空間には、前記混合ガスの流入が遮断されるように、前記回流発生部からの外気の流入する方向に形成された隔壁が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の温風発生装置。
【請求項6】
前記回流発生部は、前記アノード空間を通過した前記混合ガスにより加熱されるように前記固体酸化物型燃料電池部の上部に配置されており、
前記回流発生部で加熱された外気を、前記カソード空間に回流させることにより前記カソード層を予備加熱することを特徴とする請求項3に記載の温風発生装置。
【請求項7】
前記回流発生部は、
前記送風ファンの回転により外気が流入する流入口と、
前記外気を前記固体酸化物型燃料電池部に向けて流出させる流出口と、
該流出口から流出された外気を前記カソード空間に導くガイド部と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の温風発生装置。
【請求項8】
前記固体酸化物型燃料電池部の上部に前記アノード空間を通過した前記混合ガスにより加熱される放熱部を設け、
前記放熱部は、前記送風ファンの回転により送風された空気流の流れ方向に延在形成された複数のフィンを有し、前記複数のフィン間を通過する空気流を加熱することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の温風発生装置。
【請求項9】
前記回流発生部により回流される空気は、前記カソード空間を通過する過程で加熱され後、前記送風ファンにより導入された外気と合流して前記複数のフィン間を通過する過程で加熱されることを特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載の温風発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−21081(P2009−21081A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182434(P2007−182434)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】