説明

測位のためのDGNSS補正

差分補正を用いた測位をサポートするための技法について説明する。一態様では、衛星についての差分補正は、(1)衛星についての擬似距離補正の不確実性を示すユーザ差分距離誤差(UDRE)と、(2)UDREについてのスケーリングファクタとすることができるUDRE成長率と、(3)スケーリングファクタを適用するために使用される時間単位とすることができるUDRE成長率の有効期限とを含むことができる。1つの設計では、端末は、差分補正情報を求める要求メッセージを送信することができ、応答メッセージを受信することができる。端末は、応答メッセージから、少なくとも1つの衛星の各々についての差分補正(たとえば、UDRE、UDRE成長率、およびUDRE成長率の有効期限)を取得することができる。端末は、各衛星についての差分補正に基づいてそれ自体についてのロケーション推定値を導出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条に基づく優先権の主張
本特許出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明確に組み込まれる、2009年11月17日に出願された「DGNSS Correction」と題する米国仮出願第61/115,471号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に通信に関し、より詳細には、測位をサポートするための技法に関する。
【0003】
端末、たとえば、セルラー電話のロケーションを知ることがしばしば望ましく、時々必要になる。「ロケーション」と「位置」という用語は同義であり、本明細書では互換的に使用される。たとえば、ロケーションサービス(LCS)クライアントは、端末のロケーションを知ることを望むことがあり、端末のロケーションを要求するためにロケーションセンターと通信することができる。ロケーションセンターと端末は、次いで、端末についてのロケーション推定値を取得するために、必要に応じて、メッセージを交換することができる。ロケーションセンターは、次いで、ロケーション推定値をLCSクライアントに戻すことができる。
【0004】
端末のロケーションは、全地球航法衛星システム(GNSS)中の十分な数の衛星についての擬似距離と衛星の既知のロケーションとに基づいて推定できる。衛星についての擬似距離は、衛星によって送信された信号に基づいて端末が判定することができる。擬似距離は、(i)電離層と対流圏とを通る衛星信号の伝搬遅延、(ii)衛星のロケーションと速度とを表すエフェメリスデータの誤差、(iii)衛星上のクロックドリフト、および/または(iv)選択的可用性(SA)と呼ばれるプロセスを介して衛星信号中に意図的に導入される擬似ランダム誤差など、様々なソースに起因する誤差を有し得る。擬似距離の誤差に照らして、端末についての信頼できるロケーション推定値を取得することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、端末についての信頼できるロケーション推定値を与えるための差分補正を用いた測位をサポートするための技法について説明する。一態様では、GNSS中の衛星についての差分補正は、端末が差分補正をより良く利用するのを助けるために、ユーザ差分距離誤差(UDRE)ならびにUDRE成長率およびUDRE成長率の有効期限(time of validity)を含むことができる。UDREは、衛星についての擬似距離補正の不確実性の推定値とすることができる。UDRE成長率は、UDREについてのスケーリングファクタとすることができる。UDRE成長率の有効期限は、スケーリングファクタを適用するために使用される時間単位とすることができる。
【0006】
1つの設計では、端末は、差分補正情報を求める要求メッセージを送信することができ、差分補正情報をもつ応答メッセージを受信することができる。端末は、応答メッセージから、少なくとも1つの衛星の各々についてのUDREと、UDRE成長率と、UDRE成長率の有効期限とを取得することができる。端末は、各衛星についてのUDREと、UDRE成長率と、UDRE成長率の有効期限とに基づいて、それ自体についてのロケーション推定値を導出することができる。1つの設計では、端末は、各衛星についてのUDREと、UDRE成長率と、UDRE成長率の有効期限とに基づいて、その衛星についての補正UDREを導出することができる。端末は、次いで、各衛星についての(元のUDREの代わりに)補正UDREに基づいてロケーション推定値を導出することができる。
【0007】
本開示の様々な態様および特徴について以下でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】測位をサポートする例示的な展開を示す図。
【図2】差分補正のための要求メッセージと提供メッセージとを示す図。
【図3】DGNSS援助提供メッセージを示す図。
【図4】測位を実行するためのプロセスを示す図。
【図5】測位をサポートするためのプロセスを示す図。
【図6】端末と他のネットワークエンティティとのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、測位とロケーションサービスとをサポートする例示的な展開を示す。端末110は、通信サービスを取得するためにワイヤレスネットワーク120中の基地局122と通信することができる。端末110は、固定でも移動でもよく、移動局(MS)、ユーザ機器(UE)、アクセス端末(AT)、加入者局、局(STA)などと呼ばれることもある。端末110は、セルラー電話、携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドデバイス、ワイヤレスデバイス、ラップトップコンピュータ、ワイヤレスモデム、コードレス電話、テレメトリデバイス、追跡デバイスなどとすることができる。
【0010】
基地局122は、そのカバレージ内の端末の無線通信をサポートすることができ、ノードB、進化型ノードB(eNB)、アクセスポイント、フェムトセルなどと呼ばれることもある。ワイヤレスネットワーク120は、Code Division Multiple Access(CDMA)1Xネットワーク、High Rate Packet Data(HRPD)ネットワーク、Wideband CDMA(WCDMA)ネットワーク、Global System for Mobile Communications(GSM(登録商標))ネットワーク、General Packet Radio Service(GPRS)ネットワーク、Long Term Evolution(LTE)ネットワーク、または何らかの他のワイヤレスネットワークとすることができる。GSM、WCDMAおよびGPRSは、Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)の一部である。LTEは、Evolved Packet System(EPS)の一部である。CDMA 1XおよびHRPDは、cdma2000の一部である。GSM、WCDMA、GPRSおよびLTEは、「3rd Generation Partnership Project」(3GPP)という名称の組織からの文書に記載されている。CDMA 1XおよびHRPDは、「3rd Generation Partnership Project 2」(3GPP2)という名称の組織からの文書に記載されている。ワイヤレスネットワーク120は、たとえば、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)またはワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)とすることもできる。
【0011】
端末110は、衛星150についての擬似距離を取得するために衛星150から信号を受信し、測定することができる。衛星は、米国のGlobal Positioning System(GPS)、ヨーロッパのGalileo System、ロシアのGLONASS System、日本のQuasi−Zenith Satellite System(QZSS)、中国のCompass/Beidou System、Indian Regional Navigational Satellite System(IRNSS)、何らかの他の衛星測位システム(SPS)、またはこれらのシステムの組合せの一部とすることができる。衛星の擬似距離および既知のロケーションは、端末110についてのロケーション推定値を導出するために使用できる。ロケーション推定値は、位置推定値、位置フィックスなどと呼ばれることもある。端末110はまた、基地局についてのタイミングおよび/または信号強度測定値を取得するためにワイヤレスネットワーク120内の基地局から信号を受信し、測定することができる。基地局のタイミングおよび/または信号強度測定値および既知のロケーションは、端末110についてのロケーション推定値を導出するために使用できる。一般に、ロケーション推定値は、衛星、基地局、スードライト、および/または他の送信機についての測定値に基づいて、および測位方法の1つまたは組合せを使用して導出できる。
【0012】
ロケーションセンター130は、端末についての測位とロケーションサービスとをサポートするためにワイヤレスネットワーク120と通信することができる。ロケーションサービスは、ロケーション情報に基づく、またはそれに関係するどんなサービスをも含むことができる。測位は、端末についての地理的ロケーション推定値または民間ロケーション推定値を判定するためのプロセスである。測位は、(i)緯度座標、経度座標、および場合によっては高度座標ならびに地理的ロケーション推定値の不確実性、または(ii)民間ロケーション推定値のストリートアドレスを与えることができる。測位は、速度および/または他の情報を与えることもできる。ロケーションセンター130は、セキュアユーザプレーンロケーション(SUPL)ロケーションプラットフォーム(SLP)、モバイル測位センター(MPC)、ゲートウェイモバイルロケーションセンター(GMLC)などとすることができる。
【0013】
基準局140は、衛星150からの信号を受信し、測定することができ、信号測定値に基づいて衛星についての擬似距離を判定することができる。基準局140は、基準局の既知のロケーションと、衛星によって送信されるエフェメリスデータを介して取得できる、衛星の既知のロケーションとに基づいて、衛星についての距離を計算することもできる。基準局140は、各衛星についての測定擬似距離と計算距離との間の差に基づいてその衛星についての擬似距離補正を判定することができる。基準局140は、基準局における受信機ハードウェアに関連する誤差、基準局の既知のロケーションの測量誤差など、様々なファクタに基づいて各衛星についてのUDREを判定することもできる。各衛星についてのUDREは、その衛星についての擬似距離補正の不確実性の推定値とすることができる。たとえば、計算擬似距離補正xおよびUDRE値yは、実際の擬似距離補正がx−yからx+yの範囲内にある確率が(1シグマの場合)68%であることを示すことができる。UDREは、ロケーション推定値を計算するために使用されるアルゴリズムに誤差成分として与えることができる。基準局140は、擬似距離補正と、UDREと、以下に説明する他の量とを含み得る、衛星についての差分補正を判定することができる。基準局140は、差分GNSS(DGNSS)をサポートするために差分補正を送信する(たとえば、ブロードキャストする)ことができる。代替または追加として、基準局140は、端末に差分補正を送信することができるロケーションセンター130および/またはワイヤレスネットワーク120に差分補正を送信することができる。
【0014】
端末110は、測位を改善するために差分補正を使用することができる。たとえば、端末110は、端末110によって受信される衛星150からの信号が、基準局140によって受信される同じ衛星150からの信号と同様の誤差を有することになると仮定することができる。したがって、端末110は、端末110によって計算された各衛星についての擬似距離を、基準局140によって計算されたその衛星についての擬似距離補正によって補正することができる。端末110についてのロケーション推定値は、十分な数の衛星、たとえば、4つ以上の衛星についての補正擬似距離に基づいて計算できる。各衛星についてのUDREは、端末110についてのロケーション推定値の不確実性を判定するために使用できる。
【0015】
一態様では、GNSS中の衛星についての差分補正(DGNSS補正と呼ばれることもある)は、端末がDGNSS補正をより良く利用するのを助けるために、UDREならびにUDRE成長率および有効期限を含むことができる。補正UDREは、UDREと、UDRE成長率と、有効期限とに基づいて導出できる。ロケーション推定値を導出するために(元のUDREの代わりに)補正UDREを使用することができる。
【0016】
1つの設計では、衛星についての補正UDREは、次のように判定できる。
【数1】

【0017】
ここで、cur_timeは現在の時間であり、ref_timeは、DGNSS補正が有効である基準時間であり、UDRE_growth_rateはUDRE成長率であり、time_of_validityはUDRE成長率の有効期限であり、corrected_UDREは、UDRE成長率と有効期限とを考慮に入れた補正UDREである。
【0018】
式(1)に示す設計では、UDRE成長率は、補正UDREを取得するために、所与の時間単位中にUDREをどのくらいスケーリングするかを示すことができる。有効期限は、UDRE成長率を適用するために使用される時間単位を示すことができる。式(1)では、UDREが時間とともに線形的に劣化すると仮定する。したがって、劣化量は、UDRE成長率と有効期限の2つのファクタによって与えられる。これらの2つのファクタは、所与の瞬間における劣化量を線形補間するために使用できる。劣化量は、他の方法で、たとえば、放物線関数または何らかの他の補間関数によってモデル化することもできる。使用のための選択した補間関数を用いて劣化量を判定するために、UDRE成長率および有効期限の代わりに、またはそれに加えて、他のファクタを使用することもできる。
【0019】
別の設計では、有効期限は、UDRE成長率が有効である持続時間を示すことができる。この設計では、補正UDREを式(1)に示すように計算することができるが、time_of_validityについて所定の値が用いられる。現在の時間が基準時間よりも有効期限だけ後である場合、UDRE成長率は無効であると見なせる。有効期限を他の方法で定義することもできる。明快のために、以下の説明では、式(1)に示すように定義された有効期限を仮定する。
【0020】
1つの設計では、衛星についてのDGNSS補正を要求メッセージと応答メッセージのペアによって行うことができる。DGNSS補正を要求する要求メッセージを送信することができる。要求されたDGNSS補正を与えるために応答メッセージを戻すことができる。端末の測位をサポートする異なる測位プロトコルのために異なる要求および応答メッセージを定義することができる。これらの測位プロトコルは、(i)3GPPによって定義された無線リソースLCSプロトコル(RRLP)および無線リソース制御(RRC)と、(ii)3GPP2によって定義された(IS−801としても知られる)C.S0022とを含むことができる。RRLPおよびRRCは、3GPPネットワーク、たとえば、GSMネットワークおよびWCDMAネットワーク中の端末の測位をサポートする。IS−801は、3GPP2ネットワーク、たとえば、CDMA 1XネットワークおよびHRPDネットワーク中の端末の測位をサポートする。
【0021】
図2に、IS−801におけるDGNSS補正のための要求メッセージと提供メッセージのペアを示す。端末110は、DGNSSのための援助データを要求するDGNSS援助要求メッセージをロケーションセンター130に送信することができる。ロケーションセンター130は、DGNSS補正を含むことができる、要求されたDGNSS援助データを搬送するDGNSS援助提供メッセージを戻すことができる。端末110は、測位のためにDGNSS補正を使用することができる。
【0022】
図3に、IS−801においてDGNSS補正を送信するために使用できるDGNSS援助提供メッセージの設計を示す。DGNSS援助データはK個のパートに区分でき、ここで、Kは、たとえば、1〜16の範囲内の値とすることができる。DGNSS援助データの各パートは、DGNSS援助提供メッセージの異なるインスタンス中で送信できる。
【0023】
表1に、図3に示すDGNSS援助提供メッセージの設計を示す。表1の第1列において、シンボル「>」はメッセージのフィールドを示し、シンボル「>>」はフィールドのサブフィールドを示し、シンボル「>>>」はサブフィールドのパラメータまたは要素を示す。表1の第4(存在)列において、「M」は必須パラメータを示し、「O」は任意パラメータを示す。表1において、「基地局」という用語は、表に記載されている行為を実行することを担当するネットワークエンティティを総称的に指す。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0024】
[1]Radio Technical Commission for Maritime Services(RTCM)−SC104、RTCM Recommended Standards for Differential GNSS Service。
【0025】
図3および表1に示す設計では、DGNSS援助提供メッセージは、ヘッダとDGNSSデータレコードとを含む。ヘッダは、(i)DGNSS援助データのどのパートがメッセージ中で送信されているかを示すパート番号フィールドと、(ii)DGNSS援助データのパートの総数(K)を示すパート総数フィールドとを含む。
【0026】
DGNSSデータレコードは、(i)援助データが与えられているGNSS(たとえば、GPS、Galileo、GLONASSなど)を示すGNSS識別子フィールドと、(ii)DGNSS補正が有効である基準時間を示すDGNSS基準時間フィールドと、(iii)DGNSS基準時間のために使用される時間基準のタイプ(たとえば、端末時間基準、GPS基準など)を示す時間基準ソースフィールドと、(iv)1つまたは複数のGNSS信号のための1つまたは複数の信号レコードを含むDGNSS信号データレコードとを含む。各衛星は、異なる信号を異なる周波数で送信することができる。たとえば、GPS衛星は、L1 C/A信号と、L1C信号と、L2C信号と、L5信号とを送信することができる。各GNSS信号についてメッセージ中に1つの信号レコードを含めることができる。簡単のために、図3に、単一のGNSS信号のための単一の信号レコードを示す。
【0027】
各GNSS信号のための信号レコードは、(i)DGNSS補正が与えられたGNSS信号を示すGNSS信号識別子フィールドと、(ii)GNSS信号のために与えられたUDREに適用するためのスケーリングファクタを示すステータス/ヘルスフィールドと、(iii)GNSS信号を送信する1つまたは複数の衛星についての1つまたは複数の衛星レコードを含む差分補正レコードとを含む。
【0028】
各衛星についての衛星レコードは、(i)衛星を示すGNSS衛星ID番号フィールドと、(ii)擬似距離補正が適用可能であるエフェメリスデータを示すデータ発行(IOD)フィールドと、(iii)衛星についてのUDREを搬送するUDREフィールドと、(iv)衛星についてのUDRE成長率を搬送するUDRE成長率フィールドと、(v)衛星についてのUDRE成長率を適用するために使用される時間単位を搬送するUDRE成長率有効期限フィールドと、(vi)衛星についての擬似距離補正を搬送する擬似距離補正フィールドと、(vii)衛星についての擬似距離レート補正を搬送する擬似距離レート補正フィールドとを含む。
【0029】
DGNSS援助提供メッセージの様々なレコード、フィールド、要素、およびパラメータは、2009年4月17日付けの、公開されている、バージョン1.0の「Position Determination Service for cdma2000 Spread Spectrum Systems」と題する3GPP2 C.S0022−Bに記載されている。DGNSS援助提供メッセージは、異なる、より少数の、またはより多くのレコード、フィールド、要素、およびパラメータを含むこともできる。
【0030】
表2に、1つの設計による、衛星についてのUDRE成長率についての可能な値のセットを示す。表2の第2列中の指示は、式(1)中のUDRE_growth_rateパラメータのために使用できる。
【表2】

【0031】
表3に、1つの設計による、衛星についてのUDRE成長率の有効期限についての可能な値のセットを示す。表3の第2列中の指示は、式(1)中のtime_of_validityパラメータのために使用できる。
【表3】

【0032】
表2および表3は、UDRE成長率とUDRE成長率の有効期限との特定の設計を示す。これらのパラメータは、別の方法で、たとえば、より少数のまたはより多数の可能な値を用いたり、可能な値に異なる指示を用いたりなどして定義することもできる。
【0033】
DGNSS補正のための要求/提供メッセージペアは、端末において様々なGNSSシステム(たとえば、GPS、Galileo、GLONASSなど)のための差分補正機能を使用可能にすることができる。DGNSS補正は、UDREと、擬似距離補正と、擬似距離レート補正とを含むことができる。DGNSS補正は、端末がDGNSS補正を正しく、効率的に使用するのを助けることができるUDRE成長率とUDRE成長率の有効期限とを含むこともできる。UDRE成長率とUDRE成長率の有効期限とがなければ、端末は、DGNSS補正がどのくらいの間有効であるのかを知ることができない。したがって、端末は、DGNSS補正の有効性に関して確実な仮定を行わなければならないことがあり得る。端末が間違った仮定を行った場合、いくつかの欠点が生じることがあり得る。たとえば、端末は、DGNSS補正が長時間有効であると推測し、遅すぎる時間にDGNSS補正を使用することがあり、その場合、端末についてのロケーション推定値に過剰な誤差が生じることがある。あるいは、端末は、DGNSS補正が短時間有効であると推測し、新しいDGNSS補正を頻繁に要求することがあり、その場合、不要なトラフィックが生じることがある。これらの欠点は、UDRE成長率とUDRE成長率の有効期限とを端末に送信することによって回避できる。
【0034】
差分補正は、GPSに使用されており、差分GPS(DGPS)と呼ばれる。2000年より前は、選択的可用性(SA)と一般に呼ばれるプロセスを介して、GPS衛星によって送信される信号中に擬似ランダム誤差が意図的に導入されていた。DGPS補正は、SAをなくすために比較的迅速に(たとえば、更新の間の最大数十秒で)適用できる。DGPSによって補正される誤差は本質的に比較的高い周波数であった。現在、RTCM、3GPPおよび3GPP2は、差分補正がどのくらいの間有効であるかを示さないが、この情報は、最近の差分補正履歴に基づいてロケーションサーバ130によって容易に抽出できる。DGPS対応端末は、一般に、30〜60の秒のハードタイムアウトがあり、タイムアウトが発生したときはDGPS補正の使用を停止することになる。ハードタイムアウトは、2000年より前にSAが適用されていたときに適用可能である。しかしながら、2000年にSAが無効化され、大気、エフェメリスデータ誤差、およびクロックドリフトによる誤差源は、一般に、はるかによりゆっくり変化する。
【0035】
本開示は、差分補正のより良い使用を可能にするために、DGPSの誤差源が比較的ゆっくり変動する性質を利用し、差分補正の予想劣化レートを端末に伝達する。誤差源は、ゆっくり変動するが、GNSSシステムによっては著しく変動することがある。これらのGNSSシステムについての差分補正の劣化レートに関する情報が端末に役立つことがある。本明細書で説明するUDRE成長率およびUDRE成長率の有効期限により、測位プロトコルが差分補正の予想劣化レートを通信することが可能になり、したがって端末が適宜に重み付けするおよび/またはタイムアウトすることが可能になる。
【0036】
図4に、測位を実行するためのプロセス400の設計を示す。プロセス400は、端末、ロケーションセンター、または何らかの他のエンティティによって実行できる。差分補正情報を要求する要求メッセージを送信する(ブロック412)。差分補正情報を備える応答メッセージを受信する(ブロック414)。要求および応答メッセージは、IS−801、RRLP、RRC、または何らかの他のポジショニングプロトコルのためのものとすることができる。
【0037】
応答メッセージから、少なくとも1つの衛星の各々についてのUDREと、UDRE成長率と、UDRE成長率の有効期限とを取得する(ブロック416)。少なくとも1つの衛星は、GPS、Galileo、GLONASS、QZSS、Compass/Beidou、または何らかの他の衛星測位システム(SPS)のためのものとすることができる。少なくとも1つの衛星の各々についてのUDREと、UDRE成長率と、UDRE成長率の有効期限とに基づいて、端末についてのロケーション推定値を導出する(ブロック418)。
【0038】
1つの設計では、各衛星についてのUDRE成長率は、衛星についてのUDREについてのスケーリングファクタを示すことができる。各衛星についてのUDRE成長率の有効期限は、衛星についてのスケーリングファクタを適用するのに使用される時間単位を示すことができる。各衛星についての補正UDREは、たとえば、式(1)に示すように、衛星についてのUDREと、UDRE成長率と、UDRE成長率の有効期限とに基づいて導出できる。端末についてのロケーション推定値は、各衛星についての補正UDREに基づいて導出できる。
【0039】
1つの設計では、応答メッセージから各衛星についての擬似距離補正および擬似距離レート補正を取得することもできる。各衛星についての擬似距離は、衛星から受信した信号に基づいて判定できる。各衛星についての補正擬似距離は、各衛星についての擬似距離と、擬似距離補正と、擬似距離レート補正とに基づいて、たとえば、式(1)と同様とすることができる式に基づいて判定できる。端末についてのロケーション推定値は、各衛星についての補正擬似距離にさらに基づいて導出できる。
【0040】
図5に、測位をサポートするためのプロセス500の設計を示す。プロセス500は、ロケーションセンター、基地局、基準局、または何らかの他のエンティティによって実行できる。少なくとも1つの衛星の各々についてのUDREと、UDRE成長率と、UDRE成長率の有効期限とを判定する(ブロック512)。少なくとも1つの衛星の各々についてのUDREと、UDRE成長率と、UDRE成長率の有効期限とを測位の援助手段として与える(ブロック514)。ブロック514の1つの設計では、差分補正情報のための要求メッセージを受信することができる。各衛星についてのUDREと、UDRE成長率と、UDRE成長率の有効期限とを備える応答メッセージを送信することができる。
【0041】
1つの設計では、各衛星についての擬似距離は、局、たとえば、基準局において判定できる。各衛星についての距離は、(衛星についてのエフェメリスデータに基づいて判定できる)衛星の既知のロケーションと局の既知のロケーションとに基づいて計算できる。各衛星についての擬似距離補正は、衛星についての擬似距離と距離とに基づいて判定できる。各衛星についての擬似距離補正と擬似距離レート補正とを測位の援助手段として与えることもできる。
【0042】
図6に、図1の端末110、基地局122、ロケーションサーバ130、および基準局140の設計のブロック図を示す。簡単のために、図6に、端末110のための1つまたは複数のコントローラ/プロセッサ610、1つのメモリ612、および1つの送信機/受信機614と、基地局122のための1つまたは複数のコントローラ/プロセッサ620、1つのメモリ(Mem)622、1つの送信機/受信機624、および1つの通信(Comm)ユニット626と、ロケーションセンター130のための1つまたは複数のコントローラ/プロセッサ630、1つのメモリ632、および1つの通信ユニット634と、基準局140のための1つまたは複数のコントローラ/プロセッサ640、1つのメモリ642、1つの送信機/受信機644、および1つの通信ユニット646とを示す。一般に、各エンティティは、任意の数の処理ユニット(プロセッサ、コントローラなど)、メモリ、送信機、受信機、通信ユニットなどを含むことができる。端末110は、1つまたは複数のワイヤレスおよび/または有線ネットワークとの通信をサポートすることができる。端末110および基準局140は、たとえば、GPS、Galileo、GLONASSなど、1つまたは複数のGNSSから信号を受信し、処理することができる。
【0043】
ダウンリンク上では、基地局122は、そのカバレージエリア内の端末にトラフィックデータと、シグナリング(たとえば、応答メッセージ)と、パイロットとを送信することができる。これらの様々なタイプの情報は、(1つまたは複数の)プロセッサ620によって処理され、送信機624によって調整され、ダウンリンク上で送信され得る。端末110において、基地局122からのダウンリンク信号は、様々なタイプの情報を取得するために、受信機614によって受信し調整し、(1つまたは複数の)プロセッサ610によってさらに処理できる。(1つまたは複数の)プロセッサ610は、図4のプロセス400および/または本明細書で説明する技法の他のプロセスを実行することができる。メモリ612は、端末110のプログラムコードおよびデータを記憶することができる。アップリンク上では、端末110は、基地局122にトラフィックデータと、シグナリング(たとえば、要求メッセージ)と、パイロットとを送信することができる。これらの様々なタイプの情報は、(1つまたは複数の)プロセッサ610によって処理され、送信機614によって調整され、アップリンク上で送信され得る。基地局122において、端末110からのアップリンク信号は、端末110からの様々なタイプの情報を取得するために、受信機624によって受信され、調整され、さらに(1つまたは複数の)プロセッサ620によって処理され得る。メモリ622は、基地局122のプログラムコードおよびデータを記憶することができる。基地局122は、通信ユニット626を介して他のネットワークエンティティと通信することができる。
【0044】
端末110は、衛星から信号を受信し、処理することもできる。衛星信号は、衛星についての擬似距離を取得するために、受信機614によって受信され、(1つまたは複数の)プロセッサ610によって処理され得る。(1つまたは複数の)プロセッサ610は、衛星についての差分補正情報を受信することもでき、擬似距離と差分補正情報とに基づいて端末110についてのロケーション推定値を計算することができる。(1つまたは複数の)プロセッサ610は、端末110についてのロケーション推定値を計算することができるロケーションセンター130に擬似距離および/または衛星測定値を与えることもできる。
【0045】
ロケーションセンター130内で、(1つまたは複数の)プロセッサ630は、端末についての測位とロケーションサービスとをサポートするための処理を実行することができる。たとえば、(1つまたは複数の)プロセッサ630は、図4のプロセス400、図5のプロセス500、および/または本明細書で説明する技法の他のプロセスを実行することができる。(1つまたは複数の)プロセッサ630は、端末110についてのロケーション推定値を計算したり、ロケーション情報をLCSクライアントに与えたりなどすることもできる。メモリ632は、ロケーションセンター130のプログラムコードおよびデータを記憶することができる。通信ユニット634は、ロケーションセンター130が端末110および/または他のネットワークエンティティと通信できるようにすることができる。
【0046】
基準局140内で、(1つまたは複数の)プロセッサ640は、端末についての測位をサポートするための処理を実行することができる。衛星信号は、衛星についての擬似距離を取得するために、受信機644によって受信され、(1つまたは複数の)プロセッサ640によって処理され得る。(1つまたは複数の)プロセッサ640は、衛星についての擬似距離補正、UDRE、および/または他の補正を計算することができる。(1つまたは複数の)プロセッサ640は、図5のプロセス500および/または本明細書で説明する技法の他のプロセスを実行することができる。メモリ642は、基準局140のプログラムコードおよびデータを記憶することができる。通信ユニット646は、基準局140が端末110、衛星ベースオーグメンテーションシステム(SBAS)、および/または他のネットワークエンティティと通信できるようにすることができる。いくつかの独立しているが互換性のあるSBASが存在し、米国のWide Area Augmentation System(WAAS)、European Geostationary Navigation Overlay Service(EGNOS)、日本のMulti−functional Satellite Augmentation System(MSAS)、インドのGPS Aided Geo Augmented Navigation System(GAGAN)が含まれる。このGNSSは少数の衛星と空中でのそれらの分布のためにスタンドアロン測位システムではないが、これらのSBASからの(GPS様)レンジング信号は単一のGNSSに属すると見なすことができる。
【0047】
情報および信号は様々な異なる技術および技法のいずれかを使用して表すことができることを、当業者は理解されよう。たとえば、上記の説明全体にわたって言及されるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁界または磁性粒子、光場または光学粒子、あるいはそれらの任意の組合せによって表すことができる。
【0048】
さらに、本明細書の開示に関連して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組合せとして実装できることを、当業者は諒解されよう。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップを、上記では概してそれらの機能に関して説明した。そのような機能をハードウェアとして実装するか、ソフトウェアとして実装するかは、特定の適用例および全体的なシステムに課される設計制約に依存する。当業者は、説明した機能を特定の適用例ごとに様々な方法で実装することができるが、そのような実装の決定は、本開示の範囲からの逸脱を生じるものと解釈すべきではない。
【0049】
本明細書の開示に関連して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、コントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートまたはトランジスタロジック、個別ハードウェア構成要素、あるいは本明細書に記載の機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せを用いて実装または実行できる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサとすることができるが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態マシンとすることができる。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のそのような構成として実装することもできる。
【0050】
本明細書の開示に関連して説明された方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接実施するか、処理ユニットによって実行されるソフトウェアモジュールで実施するか、またはその2つの組合せで実施することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、または当技術分野で知られている他の形態の記憶媒体に存在してよい。例示的な記憶媒体は、処理ユニットが記憶媒体から情報を読むことができ、記憶媒体に情報を書き込むことができるように処理ユニットに結合される。代替として、記憶媒体は処理ユニットと一体とすることができる。処理ユニットおよび記憶媒体はASIC中に常駐することができる。ASICは、ユーザ端末内に常駐することができる。代替として、処理ユニットおよび記憶媒体は、ユーザ端末中に個別構成要素として常駐することもできる。
【0051】
本明細書に記載の位置判定技法は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)などの様々なワイヤレス通信ネットワークに関連して実装できる。「ネットワーク」および「システム」という用語は、しばしば互換的に使用される。WWANは、CDMA(符号分割多元接続)ネットワーク、TDMA(時間分割多元接続)ネットワーク、FDMA(周波数分割多元接続)ネットワーク、OFDMA(直交周波数分割多元接続)ネットワーク、SC−FDMA(シングルキャリア周波数分割多元接続)ネットワーク、Long Term Evolution(LTE)などとすることができる。CDMAネットワークは、cdma2000、広帯域CDMA(W−CDMA)などの1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)を実装することができる。cdma2000は、IS−95標準、IS−2000標準、およびIS−856標準を含む。TDMAネットワークは、Global System for Mobile Communications(GSM)、Digital Advanced Mobile Phone System(D−AMPS)、または何らかの他のRATを実装することができる。GSMおよびW−CDMAは、「3rd Generation Partnership Project」(3GPP)という名称の組織からの文書に記載されている。cdma2000は、「3rd Generation Partnership Project 2」(3GPP2)という名称の組織からの文書に記載されている。3GPPおよび3GPP2の文書は公に入手可能である。WLANは、IEEE802.11xネットワークでよく、WPANは、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、IEEE802.15xネットワーク、または他の何らかのタイプのネットワークであってもよい。これらの技術は、WWAN、WLANおよび/またはWPANの任意の組合せに関連して実装することもできる。
【0052】
衛星測位システム(SPS)は、一般に、送信機からの受信信号に少なくとも部分的に基づいて地球上または地球上空のその送信機のロケーションをエンティティが判定できるように配置された送信機のシステムを含む。そのような送信機は、一般に、チップのセット数の反復擬似ランダム雑音(PN)コードでマークされた信号を送信し、地上ベースの制御局、ユーザ機器および/または宇宙ビークル上に配置できる。特定の例では、そのような送信機は地球周回軌道衛星ビークル(SV)上に配置できる。たとえば、Global Positioning System(GPS)、Galileo、GLONASSまたはCompassなどの全地球航法衛星システム(GNSS)のコンスタレーション中のSVは、(たとえば、GPSの場合のように衛星ごとに異なるPNコードを使用することによって、またはGLONASSの場合のように異なる周波数上で同じコードを使用することによって)コンスタレーション中の他のSVによって送信されるPNコードとは区別可能なPNコードでマークされた信号を送信することができる。いくつかの態様によれば、本明細書で提示した技法は、SPSについての全地球システム(たとえば、GNSS)に限定されない。たとえば、本明細書に記載する技法は、日本のQuasi−Zenith Satellite System(QZSS)、インドのIndian Regional Navigational Satellite System(IRNSS)、中国のBeidouなどの様々な地域システム、および/または1つまたは複数の全地球および/または地域ナビゲーション衛星システムに関連付けるか、または場合によってはそれらのシステムとともに使用することが可能な、様々なオーグメンテーションシステム(たとえば、Satellite Based Augmentation System(SBAS))に適用するか、または場合によってはこれらのシステムとともに使用することが可能である。限定ではなく例として、SBASは、たとえば、Wide Area Augmentation System(WAAS)、European Geostationary Navigation Overlay Service(EGNOS)、Multi−functional Satellite Augmentation System(MSAS)、GPS Aided Geo Augmented NavigationまたはGPSおよびGeo Augmented Navigation System(GAGAN)など、完全性情報、差分補正などを与える(1つまたは複数の)オーグメンテーションシステムを含むことができる。したがって、本明細書で使用するSPSは、1つまたは複数の全地球および/または地域ナビゲーション衛星システムおよび/またはオーグメンテーションシステムの任意の組合せを含むことができ、SPS信号は、SPS信号、SPS様信号、および/またはそのような1つまたは複数のSPSに関連する他の信号を含むことができる。
【0053】
移動局(MS)は、セルラーまたは他のワイヤレス通信デバイス、パーソナル通信システム(PCS)デバイス、パーソナルナビゲーションデバイス(PND)、個人情報マネージャ(PIM)、携帯情報端末(PDA)、ラップトップまたはワイヤレス通信および/またはナビゲーション信号を受信することが可能な他の適切なモバイルデバイスなどのデバイスを指す。「移動局」という用語は、衛星信号受信、援助データ受信、および/または位置に関係する処理が当該デバイスで発生するかパーソナルナビゲーションデバイス(PND)で発生するかにかかわらず、短距離ワイヤレス、赤外線、有線接続、または他の接続などによってPNDと通信するデバイスを含むこともできる。また、「移動局」は、インターネット、WiFi、または他のネットワークなどを介してサーバとの通信が可能で、衛星信号受信、援助データ受信、および/または位置に関係する処理が当該デバイスで発生するか、サーバで発生するか、またはネットワークに関連する別のデバイスで発生するかにかかわらず、ワイヤレス通信デバイス、コンピュータ、ラップトップなどを含むすべてのデバイスを含むことができる。上記の任意の動作可能な組合せを「移動局」と見なすこともできる。
【0054】
本明細書で説明する方法は、適用例に応じて様々な手段によって実装できる。たとえば、これらの方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せで実装できる。ハードウェアを含む実装の場合、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明する機能を実行するように設計された他の電子ユニット、またはそれらの組合せの中で実装できる。
【0055】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアを含む実装の場合、本方法は、本明細書で説明する機能を実行するモジュール(たとえば、手順、機能など)を用いて実装できる。命令を有形に実施するいずれの機械可読媒体も、本明細書で説明する方法の実装において使用できる。たとえば、ソフトウェアコードは、メモリに記憶し、プロセッサユニットによって実行できる。メモリは、プロセッサユニット内またはプロセッサユニットの外部に実装できる。本明細書で使用する「メモリ」という用語は、長期メモリ、短期メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、または他のメモリのいずれかのタイプを指し、メモリの特定のタイプまたはメモリの数、あるいはメモリが記憶される媒体のタイプに限定されない。
【0056】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアで実装する場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶できる。例としては、データ構造で符号化されたコンピュータ可読媒体およびコンピュータプログラムで符号化されたコンピュータ可読媒体がある。たとえば、製造品はコンピュータプログラム製品を備えることができる。コンピュータプログラム製品はコンピュータ可読媒体を備えることができる。コンピュータ可読媒体は物理的コンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体とすることができる。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、半導体ストレージ、または他のストレージデバイス、あるいは命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用でき、(汎用または専用の)コンピュータ/プロセッサによってアクセスできる任意の他の媒体を備えることができる。本明細書で使用するディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)およびブルーレイディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、通常、データをレーザで光学的に再生する。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含めるべきである。
【0057】
コンピュータ可読媒体上での記憶に加えて、命令および/またはデータを通信装置中に含まれる伝送媒体上の信号として与えることができる。たとえば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含むことができる。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、特許請求の範囲で概説する機能を実装させるように構成される。すなわち、通信装置は、開示の機能を実行するための情報を示す信号をもつ伝送媒体を含む。最初に、通信装置中に含まれる伝送媒体は、開示の機能を実行するための情報の第1の部分を含むことができ、次に、通信装置中に含まれる伝送媒体は、開示の機能を実行するための情報の第2の部分を含むことができる。
【0058】
本開示の前述の説明は、いかなる当業者でも本開示を作成または使用することができるように提供される。本開示への様々な修正が当業者には容易に理解されるであろうが、本明細書で定義した一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の変形形態に適用できる。したがって、本開示は、本明細書で説明する例および設計に限定されるものではなく、本明細書で開示する原理および新規の特徴に合致する最も広い範囲を与えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの衛星の各々についてのユーザ差分距離誤差(UDRE)とUDRE成長率とを取得することと、
前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とに基づいて端末についてのロケーション推定値を導出することと
を備える、測位を実行する方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの衛星の各々についてのUDRE成長率の有効期限を取得することをさらに備え、前記ロケーション推定値が、各衛星についてのUDRE成長率の前記有効期限にさらに基づいて導出される
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各衛星についての前記UDRE成長率が、前記衛星についての前記UDREについてのスケーリングファクタを示し、各衛星についてのUDRE成長率の前記有効期限が、前記衛星についての前記スケーリングファクタを適用するために使用される時間単位を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ロケーション推定値を前記導出することが、
前記衛星についての前記UDREと、前記UDRE成長率と、UDRE成長率の前記有効期限とに基づいて、前記少なくとも1つの衛星の各々についての補正UDREを判定することと、
各衛星についての前記補正UDREに基づいて前記ロケーション推定値を導出することと
を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの衛星の各々についての擬似距離補正を取得することをさらに備え、前記ロケーション推定値が、各衛星についての前記擬似距離補正にさらに基づいて導出される
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ロケーション推定値を前記導出することが、
前記少なくとも1つの衛星の各々についての擬似距離を判定することと、
前記衛星についての前記擬似距離と前記擬似距離補正とに基づいて各衛星についての補正擬似距離を判定することと、
各衛星についての前記補正擬似距離にさらに基づいて前記ロケーション推定値を導出することとを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
差分補正情報を要求する要求メッセージを送信することと、
前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とを備える応答メッセージを受信することと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記要求メッセージおよび前記応答メッセージが、IS−801、または無線リソースLCSプロトコル(RRLP)、または無線リソース制御(RRC)のためのものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの衛星が、Global Positioning System(GPS)、Galileo System、GLONASS System、Quasi−Zenith Satellite System(QZSS)、Compass/Beidou System、または全地球航法衛星システム(GNSS)に属する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの衛星の各々についてのユーザ差分距離誤差(UDRE)とUDRE成長率とを取得するための手段と、
前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とに基づいて端末についてのロケーション推定値を導出するための手段と
を備える、測位を実行するための装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの衛星の各々についてのUDRE成長率の有効期限を取得するための手段をさらに備え、前記ロケーション推定値が、各衛星についてのUDRE成長率の前記有効期限にさらに基づいて導出される
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ロケーション推定値を導出するための前記手段が、
前記衛星についての前記UDREと、前記UDRE成長率と、UDRE成長率の前記有効期限とに基づいて、前記少なくとも1つの衛星の各々についての補正UDREを判定するための手段と、
各衛星についての前記補正UDREに基づいて前記ロケーション推定値を導出するための手段と
を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの衛星の各々についての擬似距離補正を取得するための手段をさらに備え、前記ロケーション推定値が、各衛星についての前記擬似距離補正にさらに基づいて導出される
請求項10に記載の装置。
【請求項14】
差分補正情報を要求する要求メッセージを送信するための手段と、
前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とを備える応答メッセージを受信するための手段と
をさらに備える、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの衛星の各々についてのユーザ差分距離誤差(UDRE)とUDRE成長率とを取得し、前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とに基づいて端末についてのロケーション推定値を導出するように構成された少なくとも1つの処理ユニット
を備える、測位を実行するための装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの処理ユニットが、前記少なくとも1つの衛星の各々についてのUDRE成長率の有効期限を取得し、各衛星についてのUDRE成長率の前記有効期限にさらに基づいて前記ロケーション推定値を導出するように構成された、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの処理ユニットが、前記衛星についての前記UDREと、前記UDRE成長率と、UDRE成長率の前記有効期限とに基づいて、前記少なくとも1つの衛星の各々についての補正UDREを判定し、各衛星についての前記補正UDREに基づいて前記ロケーション推定値を導出するように構成された、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの処理ユニットが、前記少なくとも1つの衛星の各々についての擬似距離補正を取得し、各衛星についての前記擬似距離補正にさらに基づいて前記ロケーション推定値を導出するように構成された、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの処理ユニットが、差分補正情報を要求する要求メッセージを送信し、前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とを備える応答メッセージを受信するように構成された、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つのコンピュータに、少なくとも1つの衛星の各々についてのユーザ差分距離誤差(UDRE)とUDRE成長率とを取得させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに、前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とに基づいて端末についてのロケーション推定値を導出させるためのコードと
を備えるコンピュータ可読媒体
を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項21】
少なくとも1つの衛星の各々についてのユーザ差分距離誤差(UDRE)とUDRE成長率とを判定することと、
測位の援助手段として、前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とを与えることと
を備える、測位をサポートする方法。
【請求項22】
測位の援助手段として、前記少なくとも1つの衛星の各々についてのUDRE成長率の有効期限を与えること
をさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
局において前記少なくとも1つの衛星の各々についての擬似距離を判定することと、
前記衛星の既知のロケーションと前記局の既知のロケーションとに基づいて各衛星についての距離を計算することと、
前記衛星についての前記擬似距離と前記距離とに基づいて各衛星についての擬似距離補正を判定することと、
測位の援助手段として、前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記擬似距離補正を与えることと
をさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
差分補正情報のための要求メッセージを受信することと、
前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とを備える応答メッセージを送信することと
をさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つの衛星の各々についてのユーザ差分距離誤差(UDRE)とUDRE成長率とを判定するための手段と、
測位の援助手段として、前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とを与えるための手段と
を備える、測位をサポートするための装置。
【請求項26】
測位の援助手段として、前記少なくとも1つの衛星の各々についてのUDRE成長率の有効期限を与えるための手段
をさらに備える、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
局において前記少なくとも1つの衛星の各々についての擬似距離を判定するための手段と、
前記衛星の既知のロケーションと前記局の既知のロケーションとに基づいて各衛星についての距離を計算するための手段と、
前記衛星についての前記擬似距離と前記距離とに基づいて各衛星についての擬似距離補正を判定するための手段と、
測位の援助手段として、前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記擬似距離補正を与えるための手段と
をさらに備える、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
差分補正情報のための要求メッセージを受信するための手段と、
前記少なくとも1つの衛星の各々についての前記UDREと前記UDRE成長率とを備える応答メッセージを送信するための手段と
をさらに備える、請求項25に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−509463(P2012−509463A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536580(P2011−536580)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/064700
【国際公開番号】WO2010/057149
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】