説明

測位システムおよび測位方法

【課題】マルチパス受信の基地局が存在する場合でも、移動端末の位置計算の誤差を小さくし、精度良く移動端末の位置を算出することを課題とする。
【解決手段】測位システムの計算機10は、各基地局が移動端末から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を受信し、受信された受信時刻情報を用いて、移動端末の位置を算出する。そして、計算機10は、移動端末の位置と、各基地局の位置情報とを用いて、逆算受信時刻を逆算し、受信された受信時刻情報と逆算された逆算受信時刻との差分を用いて、各基地局を評価する。続いて、計算機10は、評価された各基地局の評価結果を用いて、各基地局のうち、移動端末の位置算出に利用される基地局を選択し、選択された基地局の受信時刻情報を用いて、移動端末の位置を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の基地局における電波の伝搬時間差から移動端末の位置を算出する測位システムおよび測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動端末の位置を測位する方式の1つとして、TDOA(Time Difference Of Arrival、到着時間差)方式がある。この方式は、位置が既知の複数の基地局における電波の伝搬時間差から移動端末の位置を算出する方式である。図12は、伝搬時間差に基づいて測位を行う無線測位システムの一例を示す図である。
【0003】
図12に示すように、この測位システムは、移動端末、複数の基地局および計算機を有し、各基地局と計算機が通信ケーブルで接続されている。ここで、この測位システムでは、基地局の座標が予め正確に分かっているものとする。
【0004】
各基地局は、移動端末(例えば、小型なタグ)から送信される測位パルスを受信して、受信時刻を測定し、測定した受信時刻の情報(以下、受信時刻情報)を計算機に送信する。計算機は、各基地局から送信される全ての受信時刻情報を基にして移動端末の位置を算出する装置である。例えば、計算機は、全ての基地局から受信した受信時間時間を用いて各基地局間の伝搬時間差を算出し、伝搬時間差と基地局の座標を元に位置計算を行う。
【0005】
なお、CDMAシステムを採用した移動通信システムにおける測位方法として、同一のPNオフセット値を含まない基地局の組み合わせを複数決定し、誤差関数を評価して、誤差関数が最小のものになるものを選択するという技術が知られている(特許文献1、2参照)。なお、上記したCDMAシステムを採用した移動通信システムの測位方法は、基地局が送信側であり、測位を行う側の移動端末が受信側であり、本発明にて扱うTDOAの測位システムの技術とは送受信の向きが逆である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−37862号公報
【特許文献2】特開平7−181242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記した測位システムの技術では、移動端末から基地局までの電波の伝搬路が最短の直線であることを前提としている。図13の例を用いて説明すると、移動端末(タグ)と基地局Aの関係である。一方、実際の利用環境においては、遮蔽物などの影響により反射・回折して受信(マルチパス受信)している基地局が存在する場合がある。図13の例を用いて説明すると、移動端末(タグ)と基地局Bの関係である。
【0008】
このため、上記した測位システムの技術では、各基地局から送信される全ての受信時刻情報を基にして移動端末の位置を算出するので、マルチパス受信した基地局の受信時刻情報が含まれる場合があり、移動端末の位置計算の誤差が大きくなって、精度良く移動端末の位置を算出することができないという課題があった。
【0009】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、移動端末の位置計算の誤差を小さくし、精度良く移動端末の位置を算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この測位システムは、各基地局が移動端末から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を受信し、受信された受信時刻情報を用いて、移動端末の位置を算出する。そして、測位システムは、移動端末の位置と、各基地局の位置情報とを用いて、受信時刻を逆算し(逆算受信時刻)、受信時刻情報と、算出された逆算受信時刻との差分を用いて、各基地局を評価する。続いて、測位システムは、評価された各基地局の評価結果を用いて、各基地局のうち、移動端末の位置算出に利用される基地局を選択し、選択された基地局の受信時刻情報を用いて、移動端末の位置を再度算出する。
【発明の効果】
【0011】
開示のシステムは、マルチパス受信の基地局が存在する場合でも、移動端末の位置計算の誤差を小さくし、精度良く移動端末の位置を算出するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1に係る計算機の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、基地局管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図3】図3は、逆算値と実測値との差分についてと、ばらつきについて説明するための図である。
【図4】図4は、基地局選択処理について説明するための図である。
【図5】図5は、実施例1に係る基地局の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、実施例1に係る移動端末の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、実施例1に係る計算機の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、実施例2に係る計算機の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、実施例3に係る計算機の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、過去データによる重み付け計算処理について説明するための図である。
【図11】図11は、測位プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図12】図12は、従来の測位システムを説明するための図である。
【図13】図13は、従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る測位システムおよび測位方法の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
以下の実施例では、実施例1に係る測位システムにおける計算機、基地局、移動端末の構成および処理の流れを順に説明し、最後に実施例1による効果を説明する。なお、以下に示す各実施例では、受信時間を精度よく測定するために、UWB(ウルトラワイドバンド)と呼ばれる超広帯域な無線通信技術を用いており、中でも、非常に短い時間幅のインパルス波を使った通信を採用している。
【0015】
[計算機の構成]
まず最初に、図1を用いて、計算機10の構成を説明する。図1は、実施例1に係る計算機の構成を示すブロック図である。図2は、基地局管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図3は、逆算値と実測値との差分についてと、ばらつきについて説明するための図である。図4は、基地局選択処理について説明するための図である。
【0016】
図1に示すように、この計算機10は、通信部11、制御部12、記憶部13を有し、通信ケーブルを介して基地局20と接続される。以下にこれらの各部の処理を説明する。
【0017】
通信部11は、接続される基地局20との間でやり取りする各種情報に関する通信を制御する。具体的には、通信部11は、各基地局20が移動端末30から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を各基地局20から受信する。
【0018】
記憶部13は、制御部12による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納するが、特に、基地局管理テーブル13aを有する。この基地局管理テーブル13aは、各基地局20の位置や、各基地局20がインパルス電波を受信した受信時刻の実測値、後述する逆算値計算部12cによって逆算された逆算値を管理するテーブルである。
【0019】
具体的には、基地局管理テーブル13aは、図2に例示するように、基地局20を一意に識別する基地局識別情報と、基地局の位置(座標)と、受信時間の実測値と、受信時間の逆算値とを対応付けて記憶する。
【0020】
制御部12は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行するが、特に、実測値受信部12a、第一位置算出部12b、逆算値計算部12c、基地局評価部12d、基地局選択部12e、第二位置算出部12fを有する。
【0021】
実測値受信部12aは、各基地局20が移動端末30から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を受信する。具体的には、実測値受信部12aは、各基地局20から受信時刻情報を受信し、実測値RTnとして基地局管理テーブル13aに記憶させる。
【0022】
第一位置算出部12bは、受信された受信時刻情報を用いて、移動端末30の位置を算出する。具体的には、第一位置算出部12bは、基地局管理テーブル13aから各基地局20の実測値を用いて、移動端末30の位置を算出し、算出された位置算出結果を逆算値計算部12cに通知する。
【0023】
逆算値計算部12cは、算出された移動端末30の位置算出結果と、各基地局20の位置情報とを用いて、受信時刻を逆算する。具体的には、逆算値計算部12cは、第一位置算出部12bから移動端末30の位置算出結果を受信すると、基地局管理テーブル13aから各基地局20の位置(座標)を読み出す。そして、逆算値計算部12cは、位置算出結果および各基地局20の位置(座標)から受信時刻を逆算し、その逆算値RTCnを基地局管理テーブル13aに記憶させる。
【0024】
基地局評価部12dは、受信時刻の実測値と受信時刻の逆算値との差分を用いて、各基地局を評価する。具体的には、基地局評価部12dは、基地局管理テーブル13aから各基地局20についての実測値および逆算値を読み出す(図3の左図参照)。
【0025】
そして、基地局評価部12dは、各基地局のうちいずれか一つの基地局を基準局として選択(図3の例では、基地局「0」を基準局として選択)する。ここで、基準局の選択方法として、受信時刻が早い順に基地局を選択するようにしてもよい。ここでは、i番目の基地局を基準局とした場合の例について説明する。
【0026】
図3に示すように、基地局評価部12dは、基準局の実測値および逆算値を同一とする(基準局の受信時刻RTiと逆算受信時刻RTCi間の差分をどちらかから差し引く)。基準局以外の基地局の評価情報として、受信時刻RTnと逆算受信時刻RTCn間の差分から、基準局の受信時刻RTiと逆算受信時刻RTCi間の差分(RTi−RTCi)を差し引いて、それぞれ算出する(図3の右図参照)。さらに、基準局以外の基地局の評価情報(受信時刻および逆算受信時刻の差分)の平均(以下、「ばらつき」という)を評価結果として算出する。そして、基地局評価部12dは、全ての基地局を基準局として、ばらつきをそれぞれ算出し、基地局選択部12eに通知する。
【0027】
「ばらつき」の算出処理について詳しく説明すると、基地局評価部12dは、基準局の逆算値RTCiと受信時刻RTi間の差分をオフセットΔ(=RTCi−RTi)としてセットする。その後、基地局評価部12dは、基準局以外の基地局の逆算値と実測値の差分として、RTCn−RTn−Δを算出し、その二乗値を計算する。その後、基地局評価部12dは、ばらつきとして、二乗平均値を計算する。
【0028】
このように、基準局以外の受信時刻の差分を計算し、ばらつきを算出することで、マルチパス受信の有無を判定する。つまり、マルチパス受信がない理想的な状況であれば、実測値と逆算値の差分が各基地局20の受信精度(受信ばらつき)程度のはずである。したがって、このばらつきが必要以上に大きい場合には、マルチパス受信が含まれていると判定することができる。
【0029】
基地局選択部12eは、評価された各基地局の評価結果を用いて、各基地局のうち、移動端末の位置算出に利用される基地局を選択する。具体的には、基地局選択部12eは、基地局評価部12dから各基地局20を基準局として計算された各ばらつきを受信し、各ばらつきが所定の範囲内であるかそれぞれ判定する。
【0030】
この結果、基地局選択部12eは、ばらつきが所定の範囲内であった基準局の基地局を選択し、選択結果を第二位置算出部12fに通知する。つまり、基地局選択部12eでは、図4に示すように、判定結果により、マルチパス受信した基地局がある場合には、その基地局からの受信時刻を移動端末の位置計算に利用しないように除外し、計算に利用する基地局のみを選択している。
【0031】
第二位置算出部12fは、選択された基地局の受信時刻情報を用いて、移動端末の位置を算出する。具体的には、第二位置算出部12fは、基地局選択部12eから選択結果を受信し、選択された基地局の実測値を基地局管理テーブル13aから読み出す。そして、第二位置算出部12fは、読み出された受信時刻の実測値を用いて、移動端末30の位置を算出する。
【0032】
[基地局の構成]
次に、図5を用いて、基地局20の構成を説明する。図5は、実施例1に係る基地局20の構成を示すブロック図である。図5に示すように、この基地局20は、パルス検出部21、相関器22、PN系列発生部23、タイマ24、受信時刻保持部25、PPMデータ復調部26、MPU27を有し、通信ケーブルを介して計算機10と接続される。以下にこれらの各部の処理を説明する。
【0033】
パルス検出部21は、アンテナを利用して、測位、データ通信に用いる複数のパルスからなるパルス列を受信した場合に、受信したパルス毎に受信時刻を測定し、測定した受信時刻と測定完了パルスを相関器22に出力する。相関器22は、PN系列発生部23において発生するPN系列と測定完了パルスとの相関演算を行い、タイミング同期をとる。
【0034】
PN系列発生部23は、各移動端末で利用されるものと同じPN系列を発生させる。例えばリードソロモン符号などのPN(PseudoNoise,疑似雑音)系列が用いられる。タイマ24は、基地局装置20に固有の時刻を計時する。そして、タイマ24は、パルス検出部からの要求に応じて、現在時刻を提供する。受信時刻保持部25は、相関器22によってタイミング同期時の所定の位置(例えば1番最初)の測定完了パルスにおける受信時刻を保持し、MPU27に通知する。
【0035】
PPMデータ復調部26は、タイミング同期に用いられたPN系列に基づいて、パルス列からパルス位置復調して受信データを生成する。そして、PPMデータ復調部26は、得られた受信データをMPU27へ出力する。
【0036】
MPU27は、PPMデータ復調部26から受信した受信データおよび受信時刻保持部25から受信した受信時刻を通信ケーブルを介して計算機10に送信する。
【0037】
[移動端末の構成]
次に、図6を用いて、移動端末30の構成を説明する。図6は、実施例1に係る移動端末30の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この移動端末30は、MPU31、PN系例発生部32、PPMデータ変調部33、インパルス生成部34を有している。以下にこれらの各部の処理を説明する。
【0038】
MPU31は、移動端末装置30全体の処理を制御するとともに、測位時に、基地局装置へ送信する送信データをPPMデータ変調部33へ出力する。
【0039】
PN系例発生部32は、各移動端末に固有のPN系列を発生させる。PPMデータ変調部33は、このPN系列によって送信データをパルス位置変調する。
【0040】
インパルス生成部34は、例えばステップリカバリダイオードを有しており、PPMデータ変調部33から出力されるパルス波のタイミングでごく短時間のインパルスを生成する。そして、インパルス生成部34は、生成したインパルスを基地局20へ出力する。
【0041】
[計算機による処理]
次に、図7を用いて、実施例1に係る計算機10による処理を説明する。図7は、実施例1に係る計算機10の処理動作を示すフローチャートである。
【0042】
図7に示すように、計算機10は、各基地局20から受信時刻情報(実測値)を受信し(ステップS101)、各基地局20の受信時刻情報を用いて、移動端末30の位置を算出する(ステップS102)。
【0043】
続いて、計算機10は、位置算出結果および各基地局20の位置(座標)から受信時刻を逆算する(ステップS103)。その後、計算機10は、i番目の基地局を基準局とし、基準局の実測値と逆算値の差分をオフセットΔとしてセットする(ステップS104)。
【0044】
そして、計算機10は、各基地局(基準局以外の基地局)について、実測値と逆算値との差分から更にオフセットΔを引いたものの二乗値をそれぞれ計算し(ステップS105)、計算されたそれぞれの値の平均を、「ばらつき」として計算する(ステップS106)。
【0045】
その後、計算機10は、全ての基地局を基準局としたかを判定し(ステップS107)、全ての基地局を基準局としていない場合には(ステップS107否定)、次の基地局(i+1番目の基地局)を基準局として、ばらつきを計算する処理を繰り返す(ステップS104〜S107)。
【0046】
一方、計算機10は、全ての基地局を基準局としいる場合には(ステップS107肯定)、各基地局20を基準局として計算された各ばらつきが所定の範囲内であるかそれぞれ判定する(ステップS108)。
【0047】
そして、計算機10は、ばらつきが所定の範囲内であった基準局の基地局のみを選択し(ステップS109)、選択された基地局の受信時刻(実測値)を用いて、移動端末の位置を算出する(ステップS110)。
【0048】
[実施例1の効果]
上述してきたように、実施例1にかかる測位システムの計算機10は、各基地局20が移動端末30から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を受信し、受信された受信時刻情報を用いて、移動端末30の位置を算出する。そして、計算機10は、移動端末30の位置と、各基地局20の位置情報とを用いて、逆算受信時刻を計算し、受信された受信時刻情報と計算された逆算受信時刻との差分を用いて、各基地局20を評価する。続いて、計算機10は、評価された各基地局の評価結果を用いて、各基地局20のうち、移動端末の位置算出に利用される基地局20を選択し、選択された基地局20の受信時刻情報を用いて、移動端末30の位置を算出する。この結果、実施例1にかかる測位システムでは、受信された受信時刻情報と逆算された逆算受信時刻との差分を用いて、マルチパス等の問題がある基地局であるか判定し、マルチパス等の問題がある基地局の受信時刻を移動端末30の位置計算に利用しないように除外し、問題のない基地局の受信時刻のみを移動端末の位置算出処理に利用するので、マルチパス受信の基地局が存在する場合でも、移動端末の位置計算の誤差を小さくし、精度良く移動端末の位置を算出することが可能である。
【0049】
また、実施例1によれば、計算機10は、各基地局のうち一つの基地局を基準局として順次設定し、基準局の受信時刻情報と逆算受信時刻情報との差分を差し引いて、基準局以外の基地局の受信時刻情報と逆算受信時刻情報との差分をそれぞれ算出する。そして、計算機10は、基準局以外の基地局の受信時刻情報と逆算受信時刻情報との差分の平均を「ばらつき」として算出し、ばらつきが所定の閾値以下であるか判定し、ばらつきが所定の閾値以下である場合には、基準局20を移動端末30の位置算出に利用できる基地局として選択する。この結果、実施例1にかかる測位システムでは、受信された受信時刻情報と逆算された逆算受信時刻との差分を用いて、マルチパス等の問題がある基地局であるか判定し、マルチパス等の問題がある基地局の受信時刻を移動端末30の位置計算に利用しないように除外し、問題のない基地局の受信時刻のみを移動端末の位置算出処理に利用することができる。このため、マルチパス受信の基地局が存在する場合でも、移動端末の位置計算の誤差を小さくし、精度良く移動端末の位置を算出することが可能である。
【実施例2】
【0050】
ところで、本発明の測位システムの計算機では、移動端末の位置算出を行う前に、基地局同士の受信時刻差である伝搬時間差が所定の閾値よりも大きい場合には、その基地局の受信時刻を移動端末の位置計算に利用しないように事前に除外してもよい。
【0051】
そこで、以下の実施例2では、移動端末の位置算出を行う前に、基地局同士の受信時刻差である伝搬時間差が、最大伝搬時間差を超えて判定し、最大伝搬時間差を超えている場合には、その基地局の受信時刻を移動端末の位置計算に利用しないように除外する場合として、図8を用いて、実施例2における計算機10aの処理について説明する。図8は、実施例2に係る計算機の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0052】
実施例2に係る計算機10aの処理手順は、図7に示した実施例1にかかる計算機10の処理手順と比較して、移動端末の位置算出を行う前に、基地局同士の受信時刻差である伝搬時間差が、最大伝搬時間差を超えるかを判定し、最大伝搬時間差を超えている場合には、その基地局の受信時刻を移動端末の位置計算に利用しないように除外する点が相違する。
【0053】
すなわち、図8に示すように、計算機10aは、移動端末の位置算出を行う前に、各基地局の位置座標P〜Pから基地局iと基地局jの最大時刻差Tmax ijを算出する(ステップS201)。基地局iと基地局jの最大伝搬時間差Tmax ijは、基地局iおよび基地局jの座標から決まる。
【0054】
そして、計算機10aは、各基地局から受信時刻(実測値)を受信する(ステップS202)。その後、計算機10aは、測位計算に利用する実測値の受信時刻差を受信時刻から計算し、最大時刻差を超えているかどうか比較して判断する(ステップS203)。
【0055】
その結果、計算機10aは、受信時刻差が最大時刻差を超えている場合には、測位計算利用データから除外する(ステップS204)。こうすることで、明らかに異常な実測値となっている基地局の受信時刻を移動端末の位置計算に利用しないように除外できる。なお、その後の処理については、図7に示した実施例1にかかる計算機10の処理手順と同様である(ステップS205〜S212)。
【0056】
このように、上記の実施例2にかかる測位システムの計算機10aでは、各基地局20の位置から基地局同士の最大時刻差を算出し受信された各基地局20の受信時刻情報を用いて、基地局同士の受信時刻差を計算し、受信時刻差が算出された最大時刻差を超えているか判定する。そして、計算機10aは、受信時刻差が最大時刻差を超えていると判定された場合には、受信時刻差にかかる基地局についての受信時刻情報を移動端末30の位置計算に利用しないように除外する。このため、実施例2にかかる測位システムでは、明らかに異常な実測値となっている基地局の受信時刻を移動端末の位置計算に利用しないように除外することができ、移動端末30の位置計算の誤差をさらに小さくし、より精度良く移動端末の位置を算出することが可能である。
【実施例3】
【0057】
ところで、本発明の測位システムの計算機では、直前の移動端末の位置算出結果を利用して、移動端末の位置を算出してもよい。
【0058】
そこで、以下の実施例3では、直前の移動端末の位置算出結果が正しいか判定し、直前の移動端末の位置算出結果が正しいと判定された場合には、その直前の移動端末の位置算出結果を利用して、移動端末の位置を算出する場合として、図9を用いて、実施例3における計算機10bの処理について説明する。図9は、実施例3に係る計算機の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0059】
実施例3に係る計算機10bの処理手順は、図7に示した実施例1にかかる計算機10の処理手順と比較して、直前の移動端末の位置算出結果を利用して、移動端末の位置を算出する点が相違する。つまり、実施例3に係る計算機10bでは、測位する電波の送信間隔が移動端末の移動速度よりも十分速いならば、2回の測位の前後で移動量が無視できる。その結果、前後の伝搬時間差も変化がほとんどないということになる。この仮定に基づいて、直前の受信結果と比較を行う。ただし、直前の結果が位置算出結果で正しいと判定した場合のデータのみを利用する。
【0060】
すなわち、図9に示すように、計算機10bは、移動端末の位置算出を行う前に、直前の位置算出結果が正しい(例えば、マルチパス受信の基地局がない、または、マルチパス受信の基地局を除外できた)か判定する(ステップS301)。判定は,例えば、実施例1のばらつきを計算するステップを応用する。基地局選択後の測位結果に対しても、同様の逆算、ばらつきを求めるステップを行い、ばらつきが所定の範囲内であれば正しいと判定する。その結果、計算機10bは、直前の位置算出結果が正しくないと判定した場合には(ステップS301否定)、直前の移動端末の位置算出結果を保存せずに(ステップS311)、処理を終了する。
【0061】
一方、計算機10bは、直前の位置算出結果が正しいと判定した場合には(ステップS301肯定)、直前の測位計算に利用するよう選択した各基地局の受信時刻(実測値)を保存し(ステップS302)、次の受信時刻が測位計算可能になるまで待つ(ステップS303)。そして、計算機10bは、次回の受信時刻が揃って、測位計算が可能となった段階で、i番目の基地局を基準局とし(ステップS304)、現在の受信時刻と保存された受信時刻の差分の絶対値を計算し(ステップS305)、その和(差分和)を求める(ステップS306)。
【0062】
その後、計算機10bは、全ての基地局で計算できたかを判定し(ステップS307)、全ての基地局で計算していない場合には(ステップS307否定)、基準局となる基地局を順に変更しながら上記の処理を繰り返す(ステップS304〜S307)。
【0063】
また、計算機10bは、全ての基地局で計算できた場合には(ステップS307肯定)、差分和が最小となる基地局を正しい基準局と設定する(ステップS308)。このときの各基地局における差分の絶対値が所定の範囲内であれば、移動端末の位置算出処理に利用し、そうでない基地局を計算から除外してその基地局の受信時刻を利用不可にする(ステップS309)。なお、判定に利用する範囲値は、送信間隔や移動速度をもとに適宜設定される。
【0064】
その後、計算機10bは、移動端末の位置算出処理に利用される基地局の受信時刻を用いて、移動端末の位置を算出する(ステップS310)。
【0065】
このように、上記の実施例3にかかる測位システムの計算機10bは、選択された前記移動端末の位置算出に利用される基地局の受信時刻情報を前回の受信時刻情報として保存し、受信された現在の受信時刻情報と、保存された前回の受信時刻情報との差分を各基地局について計算する。そして、計算機10bは、計算された差分が所定の閾値以下であるか各基地局について判定し差分が所定の閾値以内である場合には、差分の基準局を移動端末の位置算出に利用される基地局として選択する。このため、実施例3にかかる測位システムでは、前後の伝搬時間差も変化がほとんどない場合には、移動端末30の位置計算の誤差をさらに小さくし、より精度良く移動端末の位置を算出することが可能である。
【実施例4】
【0066】
ところで、本発明の測位システムの計算機では、過去の正しいと判断される受信時刻データを用いて、測位計算時に重み付けを行うようにしてもよい。
【0067】
そこで、以下の実施例4では、過去の正しいと判断される受信時刻データを用いて, 測位計算時に重み付けを行う場合として、図10を用いて、実施例4における計算機10cの処理について説明する。図10は、過去データによる重み付け計算処理について説明するための図である。
【0068】
実施例4にかかる計算機10cでは、図10に例示するように、過去のマルチパス受信でない複数の受信時刻から、時間の受信時刻を近似直線により受信時刻を推測する。これは、移動端末の送信間隔が分かっていれば算出できる。計算機10cは、その推定値と実測値の差分をとり、その逆数を基地局重み係数とする。
【0069】
そして、計算機10cは、移動端末の位置算出処理として、2つの基地局の伝搬時間差毎に方程式をたて、その連立方程式を最小二乗法により解く。計算機10cは、移動端末の位置算出処理時には、伝搬時間差毎に対応した方程式に重み係数を付ける必要がある。そこで、方程式の重み係数は、伝搬時間差を計算した2つの基地局重み係数の二乗平均値とする。なお、方程式の重み係数は、二乗平均でなく、2基地局重み係数のうち大きい方とするなど別の決め方でもよい。
【0070】
このように、上記の実施例4にかかる測位システムの計算機10cは、過去の複数の受信時刻情報を用いて、現在の推測受信時刻を推測し、受信された現在の受信時刻情報と、推測された推測受信時刻との差分を算出し、差分の逆数を重み係数として計算する。そして、計算機10cは、計算された重み係数を利用して、移動端末30の位置を算出する。このため、実施例4にかかる測位システムでは、過去の受信時刻データを用いて、測位計算時に重み付けを行う結果、移動端末30の位置計算の誤差をさらに小さくし、より精度良く移動端末の位置を算出することが可能である。
【実施例5】
【0071】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例5として他の実施例を説明する。
【0072】
(1)基地局選択
上記の実施例1では、基準局を設定して各基準局のばらつきを算出し、ばらつきに基づいて、位置算出に利用される基地局を選択する場合を説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、計算機は、基地局選択処理として、受信時刻の実測値と受信時刻の逆算値との差分が所定の閾値以内であるか判定し、所定閾値以上であれば、受信時刻を移動端末の位置計算に利用しないように除外し、所定閾値以内であれば、移動端末の位置算出処理に利用する基地局として選択するようにしてもよい。
【0073】
このように、実施例5にかかる測位システムの計算機では、受信時刻の実測値と受信時刻の逆算値との差分を用いて、マルチパス等の問題がある基地局を簡易に判定し、マルチパス受信の基地局が存在する場合でも、移動端末の位置計算の誤差を小さくし、精度良く移動端末の位置を算出することが可能である。
【0074】
(2)システム構成等
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、基地局評価部12dおよび基地局選択部12eを統合してもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0075】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0076】
(3)プログラム
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図11を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図11は、即位プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0077】
同図に示すように、計算機としてのコンピュータ600は、HDD610、RAM620、ROM630およびCPU640をバス650で接続して構成される。
【0078】
そして、ROM630には、上記の実施例と同様の機能を発揮する測位プログラム、つまり、図11に示すように、実測値受信プログラム631、第一位置算出プログラム632、逆算値計算プログラム633、基地局評価プログラム634、基地局選択プログラム635および第二位置算出プログラム636が予め記憶されている。なお、プログラム631〜636については、図1に示した計算機10の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。
【0079】
そして、CPU640が、これらのプログラム631〜636をROM630から読み出して実行することで、図11に示すように、各プログラム631〜636は、実測値受信プロセス641、第一位置算出プロセス642、逆算値計算プロセス643、基地局評価プロセス644、基地局選択プロセス645および第二位置算出プロセス646として機能するようになる。各プロセス641〜646は、図1に示した実測値受信部12a、第一位置算出部12b、逆算値計算部12c、基地局評価部12d、基地局選択部12e、第二位置算出部12fにそれぞれ対応する。
【0080】
そして、CPU640は、基地局管理テーブル621をRAM620に格納し、RAM620に格納された基地局管理テーブル621に基づいて処理を実行する。
【0081】
以上の実施例1〜5を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0082】
(付記1)各基地局が移動端末から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を受信する受信時刻受信部と、
前記受信時刻受信部によって受信された受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第一位置算出部と、
前記第一位置算出部によって算出された前記移動端末の位置と、前記各基地局の位置情報とを用いて、逆算受信時刻を逆算する受信時刻逆算部と、
前記受信時刻受信部によって受信された前記受信時刻情報と、前記受信時刻逆算部によって逆算された前記逆算受信時刻との差分を用いて、前記各基地局を評価する基地局評価部と、
前記基地局評価部によって評価された各基地局の評価結果を用いて、前記各基地局のうち、前記移動端末の位置算出に利用される基地局を選択する基地局選択部と、
前記基地局選択部によって選択された前記基地局の受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第二位置算出部と、
を備えることを特徴とする測位システム。
【0083】
(付記2)前記基地局評価部は、各基地局のうち一つの基地局を基準局として順次設定し、基準局以外の基地局の評価情報として、基準局以外の基地局の受信時刻情報と逆算受信時刻情報間の差分から、当該基準局の受信時刻情報と逆算受信時刻情報間の差分を差し引いたものを、それぞれ算出し、当該基準局以外の基地局の評価情報の平均を評価結果として算出し、
前記基地局選択部は、前記基地局評価部によって算出された前記評価情報の平均が所定の閾値以下であるか判定し、当該評価情報の平均が所定の閾値以下である場合には、当該評価情報の平均の基準局を前記移動端末の位置算出に利用される基地局として選択することを特徴とする付記1に記載の測位システム。
【0084】
(付記3)前記各基地局の位置から基地局同士の最大時刻差を算出する最大時刻差算出部と、
前記受信時刻受信部によって受信された各基地局の受信時刻情報を用いて、前記基地局同士の受信時刻差を計算し、当該受信時刻差が前記最大時刻差算出部によって算出された前記最大時刻差を超えているか判定する最大時刻差判定部と、
前記最大時刻差判定部によって前記受信時刻差が前記最大時刻差を超えていると判定された場合には、当該受信時刻差の基地局を前記移動端末の位置計算に利用しないように除外する基地局除外部と、
をさらに備えることを特徴とする付記1または2に記載の測位システム。
【0085】
(付記4)前記基地局選択部によって選択された前記移動端末の位置算出に利用される基地局の受信時刻情報を前回の受信時刻情報として保存する受信時刻情報保存部と、
前記受信時刻受信部によって受信された現在の受信時刻情報と、前記受信時刻情報保存部によって保存された前記前回の受信時刻情報との差分を各基地局について計算する差分計算部とをさらに備え、
前記差分計算部によって計算された前記差分が所定の閾値以下であるか各基地局について判定し、当該差分が所定の閾値以内である場合には、当該差分の基準局を前記移動端末の位置算出に利用される基地局として選択することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の測位システム。
【0086】
(付記5)過去の複数の受信時刻情報を用いて、現在の推測受信時刻を推測する受信時刻推測部と、
前記受信時刻受信部によって受信された現在の受信時刻情報と、前記受信時刻推測部によって推測された前記推測受信時刻との差分を算出し、当該差分の逆数を重み係数として計算する重み係数計算部とをさらに備え、
前記第二位置算出部は、前記重み係数計算部によって計算された前記重み係数を利用して、前記移動端末の位置を算出することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の測位システム。
【0087】
(付記6)各基地局が移動端末から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を受信する受信時刻受信ステップと、
前記受信時刻受信ステップによって受信された受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第一位置算出ステップと、
前記第一位置算出ステップによって算出された前記移動端末の位置と、前記各基地局の位置情報とを用いて、逆算受信時刻を逆算する受信時刻逆算ステップと、
前記受信時刻受信ステップによって受信された前記受信時刻情報と、前記受信時刻逆算ステップによって逆算された前記逆算受信時刻との差分を用いて、前記各基地局を評価する基地局評価ステップと、
前記基地局評価ステップによって評価された各基地局の評価結果を用いて、前記各基地局のうち、前記移動端末の位置算出に利用される基地局を選択する基地局選択ステップと、
前記基地局選択ステップによって選択された前記基地局の受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第二位置算出ステップと、
を含んだことを特徴とする測位方法。
【0088】
(付記7)各基地局が移動端末から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を受信する受信時刻受信手順と、
前記受信時刻受信手順によって受信された受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第一位置算出手順と、
前記第一位置算出手順によって算出された前記移動端末の位置と、前記各基地局の位置情報とを用いて、逆算受信時刻を逆算する受信時刻逆算手順と、
前記受信時刻受信手順によって受信された前記受信時刻情報と、前記受信時刻逆算ステップによって逆算された前記逆算受信時刻との差分を用いて、前記各基地局を評価する基地局評価手順と、
前記基地局評価手順によって評価された各基地局の評価結果を用いて、前記各基地局のうち、前記移動端末の位置算出に利用される基地局を選択する基地局選択手順と、
前記基地局選択手順によって選択された前記基地局の受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第二位置算出手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする測位プログラム。
【0089】
(付記8)各基地局が移動端末から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を受信する受信時刻受信部と、
前記受信時刻受信部によって受信された受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第一位置算出部と、
前記第一位置算出部によって算出された前記移動端末の位置と、前記各基地局の位置情報とを用いて、逆算受信時刻を逆算する受信時刻逆算部と、
前記受信時刻受信部によって受信された前記受信時刻情報と、前記受信時刻逆算部によって逆算された前記逆算受信時刻との差分を用いて、前記各基地局を評価する基地局評価部と、
前記基地局評価部によって評価された各基地局の評価結果を用いて、前記各基地局のうち、前記移動端末の位置算出に利用される基地局を選択する基地局選択部と、
前記基地局選択部によって選択された前記基地局の受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第二位置算出部と、
を備えることを特徴とする計算機。
【符号の説明】
【0090】
10、10a、10b、10c 計算機
11 通信部
12 制御部
12a 実測値受信部
12b 第一位置算出部
12c 逆算値計算部
12d 基地局評価部
12e 基地局選択部
12f 第二位置算出部
13 記憶部
13a 基地局管理テーブル
20 基地局
21 パルス検出部
22 相関器
23 PN系列発生部
24 タイマ
25 受信時刻保持部
26 PPMデータ復調部
27 MPU
30 移動端末
31 MPU
32 PN系例発生部
33 PPMデータ変調部
34 インパルス生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各基地局が移動端末から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を受信する受信時刻受信部と、
前記受信時刻受信部によって受信された受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第一位置算出部と、
前記第一位置算出部によって算出された前記移動端末の位置と、前記各基地局の位置情報とを用いて、逆算受信時刻を逆算する受信時刻逆算部と、
前記受信時刻受信部によって受信された前記受信時刻情報と、前記受信時刻逆算部によって逆算された前記逆算受信時刻との差分を用いて、前記各基地局を評価する基地局評価部と、
前記基地局評価部によって評価された各基地局の評価結果を用いて、前記各基地局のうち、前記移動端末の位置算出に利用される基地局を選択する基地局選択部と、
前記基地局選択部によって選択された前記基地局の受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第二位置算出部と、
を備えることを特徴とする測位システム。
【請求項2】
前記基地局評価部は、各基地局のうち一つの基地局を基準局として順次設定し、基準局以外の基地局の評価情報として、基準局以外の基地局の受信時刻情報と逆算受信時刻情報間の差分から、当該基準局の受信時刻情報と逆算受信時刻情報間の差分を差し引いたものを、それぞれ算出し、当該基準局以外の基地局の評価情報の平均を評価結果として算出し、
前記基地局選択部は、前記基地局評価部によって算出された前記評価情報の平均が所定の閾値以下であるか判定し、当該評価情報の平均が所定の閾値以下である場合には、当該評価情報の平均の基準局を前記移動端末の位置算出に利用される基地局として選択することを特徴とする請求項1に記載の測位システム。
【請求項3】
前記各基地局の位置から基地局同士の最大時刻差を算出する最大時刻差算出部と、
前記受信時刻受信部によって受信された各基地局の受信時刻情報を用いて、前記基地局同士の受信時刻差を計算し、当該受信時刻差が前記最大時刻差算出部によって算出された前記最大時刻差を超えているか判定する最大時刻差判定部と、
前記最大時刻差判定部によって前記受信時刻差が前記最大時刻差を超えていると判定された場合には、当該受信時刻差の基地局を前記移動端末の位置計算に利用しないように除外する基地局除外部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の測位システム。
【請求項4】
前記基地局選択部によって選択された前記移動端末の位置算出に利用される基地局の受信時刻情報を前回の受信時刻情報として保存する受信時刻情報保存部と、
前記受信時刻受信部によって受信された現在の受信時刻情報と、前記受信時刻情報保存部によって保存された前記前回の受信時刻情報との差分を各基地局について計算する差分計算部とをさらに備え、
前記差分計算部によって計算された前記差分が所定の閾値以下であるか各基地局について判定し、当該差分が所定の閾値以内である場合には、当該差分の基準局を前記移動端末の位置算出に利用される基地局として選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の測位システム。
【請求項5】
各基地局が移動端末から電波を受信した受信時刻に関する情報である受信時刻情報を受信する受信時刻受信ステップと、
前記受信時刻受信ステップによって受信された受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第一位置算出ステップと、
前記第一位置算出ステップによって算出された前記移動端末の位置と、前記各基地局の位置情報とを用いて、逆算受信時刻を逆算する受信時刻逆算ステップと、
前記受信時刻受信ステップによって受信された前記受信時刻情報と、前記受信時刻逆算ステップによって逆算された前記逆算受信時刻との差分を用いて、前記各基地局を評価する基地局評価ステップと、
前記基地局評価ステップによって評価された各基地局の評価結果を用いて、前記各基地局のうち、前記移動端末の位置算出に利用される基地局を選択する基地局選択ステップと、
前記基地局選択ステップによって選択された前記基地局の受信時刻情報を用いて、前記移動端末の位置を算出する第二位置算出ステップと、
を含んだことを特徴とする測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−216814(P2010−216814A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60528(P2009−60528)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、総務省、「UWBインテリジェント測位センサーネットワークの研究開発と医療・ホーム・オフィスへの応用」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【Fターム(参考)】