説明

測位装置

【課題】アンテナの大型化を抑える、且つ、表示パネルへの外光の写り込みを抑えて表示パネルの視認性を向上させた測位装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、本体に対して着脱自在に構成した庇部材11にGPS信号を受信するためのアンテナ10を設けている。このため、受信部3と、アンテナ10との距離が抑えられ、その結果、伝送損失を抑えることができる。また、ナビゲーション装置1本体を大型化することなく、十分な利得が得られるアンテナの有効面積を確保することができる。また、庇部材11や、側壁部材12によって、表示パネル6aに照射される外光が抑えられ、表示パネルの視認性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、GPS(Global Positioning System)を利用して現在位置を測位し、測位結果を表示する測位装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Positioning System)を利用して現在位置を測位する測位装置が実用化されている。この種の測位装置は、周知のように、少なくとも3機のGPS衛星から発信されたGPS信号を受信し、これらのGPS信号を用いて自機(受信機)の位置を測位している。GPS衛星は、衛星の軌道情報であるアルマナックデータ、および衛星の詳細軌道情報と信号の発信時刻を示すエフェメリスデータをGPS信号に重畳して電波で発信している。測位装置は、GPS信号を受信した3機のGPS衛星について本体との距離を算出し、ここで算出した距離を用いた三角交差法により本体の位置(現在位置)を測位する。この測位装置は、目的地までの移動経路を案内するナビゲーション装置等に適用されている。
【0003】
また、GPS信号を受信するためのアンテナを本体と別体に構成し、本体とアンテナとをケーブルで接続していた。例えば、車両に搭載するナビゲーション装置では、フロントガラス等に、フィルムアンテナを装着し、このアンテナと装置本体とをケーブルで接続していた。フィルムアンテナについては、特許文献1、2等で提案されている。
【特許文献1】特表2005−538661号公報
【特許文献2】特開2003−280815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、測位装置本体とアンテナとを接続するケーブルが長くなるにつれて、伝送損失が大きくなることから、その分だけアンテナの利得を大きくする必要がある。すなわち、アンテナの有効面積を大きくする必要がある。言い換えれば、本体と別体に構成するアンテナを小型化するには、測位装置本体とアンテナとを接続するケーブルを短くする必要があり、その結果アンテナの取り付け位置が制約される(アンテナを本体近くに設けなければならない。)。
【0005】
なお、アンテナを測位装置本体に内蔵することも提案されているが、装置本体にアンテナを収納するスペースが必要になることから、装置本体の大型化を招くという問題がある。
【0006】
また、一般的なナビゲーション装置では、目的地までの移動経路を案内するために、表示部において、現在位置や、目的地までの移動経路を地図上に表示することが行われているが、表示パネルへの外光の写り込みによって、ユーザの視認性を低下させるという問題もある。
【0007】
この発明の目的は、アンテナの大型化を抑える、且つ、表示パネルへの外光の写り込みを抑えて表示パネルの視認性を向上させた測位装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の測位装置は、上記課題を解決し、その目的を達するために、以下のように構成している。
【0009】
受信部が、複数のGPS衛星から送出されているGPS信号を受信する。測位部が、前記受信部で受信されたGPS信号を用いて、装置本体の現在位置を測位する。そして、表示部が、前記測位部で測位された装置本体の現在位置を表示パネルに表示する。
【0010】
また、庇部材が、前記表示パネルの上方に取り付けられている。この庇部材は、表示パネルの横方向に延びる平板であり、前記表示部の前記表示パネルの前方に突出させて取り付けている。さらに、この庇部材には、前記受信部がGPS信号を受信するためのアンテナが設けられている。
【0011】
このように、GPS信号を受信するためのアンテナを、庇部材に設けたので、本体とアンテナとの距離が抑えられるので、アンテナの大型化を抑えることができる。また、この庇部材によって、表示パネルへの外光の写り込みが抑えられるので、表示パネルに表示されている画像の視認性の向上が図れる。また、アンテナを装置本体に内蔵する構成でないので、装置本体が大型化することもない。
【0012】
なお、庇部材は、遮光性が高い部材で構成するのが好ましい。
【0013】
また、前記表示部の表示パネルの少なくとも一方の側部に、前記表示パネルの前方に突出させ、前記表示パネルの縦方向に延びる平板の側壁部材を取り付け、表示パネルへの外光の写り込みを一層抑えるようにしてもよい。この側壁部材も、遮光性が高い部材で構成するのが好ましい。
【0014】
また、庇部材や、側壁部材については、本体に対して着脱自在に構成してもよい。さらに、この場合には、庇部材を本体に装着したときに、アンテナと受信部とが電気的に接続されるように構成し、ユーザの使い勝手の低下を防止するのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、アンテナの大型化を抑え、且つ、表示パネルへの外光の写り込みを抑えて表示パネルの視認性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明にかかる測位装置を適用したナビゲーション装置について説明する。
【0017】
図1は、ナビゲーション装置の主要部の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、制御部2と、受信部3と、表示制御部4と、地図データベース5(以下、地図DBと言う。)と、表示部6と、アンテナ10と、を備えている。このナビゲーション装置1は、ユーザに対して目的地までの経路案内等を行う装置である。制御部2は、本体各部の動作を制御するとともに、装置本体の現在位置を測位する演算等を行う。受信部3は、GPS衛星から発信されたGPS信号の受信処理を行う。GPS信号は、アンテナ10で受信され、受信部3に入力される。制御部2は、受信部3で受信処理されたGPS信号を用いて、装置本体の位置を測位する演算を行う。
【0018】
地図DB5は、地図データを記憶している。表示部6は、液晶やプラズマ等の表示パネル6aを有している。表示制御部4は、表示部6の表示パネル6aにおける画像表示を制御する。例えば、制御部2で測位された装置本体の現在位置を、その周辺の地図画像に重ねた画像や、現在位置から、設定されている目的地までの移動経路を地図画像に重ねた画像を、表示パネル6aに表示する。表示制御部4は、地図DB5に記憶している地図データから地図画像を得る。地図DB5が記憶している地図データは、ユーザが必要に応じて更新することができる。
【0019】
このナビゲーション装置1における測位処理は、公知であるので、ここでは、簡単に説明しておく。ナビゲーション装置1は、受信部3において、少なくとも3機のGPS衛星から発信されたGPS信号を受信する。GPS信号には、衛星の軌道情報であるアルマナックデータや、衛星の詳細軌道情報と信号の発信時刻を示すエフェメリスデータ等が含まれている。制御部2は、GPS信号を受信したGPS衛星毎に、装置本体との距離を算出する。そして、制御部2は、各GPS衛星が今回受信したGPS信号を発信したときの位置、および今回算出した各GPS衛星との距離を用いた三角交差法により本体の位置(緯度、軽度)を演算し、これを測位結果(ナビゲーション装置1本体の現在位置)とする。
【0020】
図2は、このナビゲーション装置の外観を示す概略図である。図2(A)は、正面図であり、図2(B)は側面図である。図2に示すようにナビゲーション装置1本体は、前面に表示パネル6aが配置されている。また、表示パネル6aの上方には、庇部材11が取り付けられており、表示パネル6aの両側部には、それぞれ、側壁部材12が取り付けられている。庇部材11、および側壁部材12は、平板である。庇部材11、および側壁部材12は、図示するように、表示パネル6aの前方に突出させて取り付けている。すなわち、表示パネル6aは、庇部材11、および側壁部材12によって、3方が囲まれている。
【0021】
また、庇部材11、および側壁部材12は、ナビゲーション装置1本体に対して着脱自在に構成されている。図3は、庇部材を示す図である。庇部材11は、図3に示すように、外形形状が凸形状である。庇部材11は、突起している部分11a(以下、突起部11aと言う。)を利用して、ナビゲーション装置1本体に取り付けられる。また、庇部材11は、上面にアンテナ10が設けられている。このアンテナ10は、庇部材11の上面に貼付したフィルムアンテナであってもよいし、この庇部材11に一体的に形成したアンテナであってもよい。庇部材11の幅は、ナビゲーション装置1本体の幅と略同じである。さらに、アンテナ10の接続電極11bが突起部11aに形成されている。また、側壁部材12は、図4に示すように、略3角形状であるが、1辺に突起部12aを有する形状である。側壁部材12は、突起部12aを利用して、ナビゲーション装置1本体に取り付けられる。突起部12aが設けられている辺は、ナビゲーション装置1本体の高さと略同じである。庇部材11、および側壁部材12は、比較的遮光性の高い部材で構成されている。
【0022】
図5は、庇部材、および側壁部材を取り外したナビゲーション装置本体の正面図である。図5に示すように、ナビゲーション装置1本体の表示パネル6aの上方には、凹部21が形成されている。この凹部21は、庇部材11の突起部11aと略同じ形状である。庇部材11は、突起部11aを凹部21に嵌挿することにより、ナビゲーション装置1本体に取り付けられる。また、凹部21には、嵌挿された突起部11aに形成されている接続電極11bと電機的に接続される接続電極21bが形成されている。この接続電極21bは、アンテナ10を受信部3に電気的に接続する電極である。すなわち、庇部材11をナビゲーション装置1本体に取り付けることにより、庇部材11に設けられているアンテナ10と、受信部3と、が電気的に接続される。
【0023】
また、ナビゲーション装置1本体の表示パネル6aの両側部には、それぞれ凹部22が形成されている。この凹部22は、側壁部材12の突起部12aと略同じ形状である。側壁部材12は、突起部12aを凹部22に嵌挿することにより、ナビゲーション装置1本体に取り付けられる。
【0024】
このように、この実施形態のナビゲーション装置1は、本体に対して着脱自在に構成した庇部材11にGPS信号を受信するためのアンテナ10を設けているので、受信部3と、アンテナ10との距離が抑えられ、その結果、アンテナ10で受信したGPS信号の伝送損失を抑えることができ、その結果、アンテナ10の大型化が抑えられる。また、アンテナ10を、ナビゲーション装置1本体に内蔵する構成でないので、ナビゲーション装置1本体を大型化することなく、十分な利得が得られるアンテナの有効面積を確保することができる。すなわち、十分な利得が得られるアンテナの有効面積に応じて、庇部材11の表面積(すなわち、庇部材11の大きさ)を決めることができる。また、庇部材11や、側壁部材12によって、表示パネル6aに照射される外光が抑えられるので、その結果、表示パネル6aにおける外光の写り込みが抑制でき、表示パネル6aに表示されている画像の視認性を向上させることができる。
【0025】
また、このナビゲーション装置1では、庇部材11、および2枚の側壁部材12が、本体に対して個別に着脱できるので、表示パネル6aを右方向から見るときには、右側の側壁部材12をナビゲーション装置1本体から外し、反対に表示パネル6aを左方向から見るときには、左側の側壁部材12をナビゲーション装置1本体から外すことによって、表示パネル6aに表示されている画像を見るユーザの視野角を確保することができる。
【0026】
また、庇部材11、および2枚の側壁部材12を、ナビゲーション装置1本体から取り外すことにより、持ち運びにも便利である。
【0027】
また、庇部材11をナビゲーション装置1本体に装着するだけで、アンテナ10と受信部3とを電気的に接続できる。すなわち、ユーザは、アンテナ10と受信部3とを電気的に接続する作業を行う必要がない。したがって、ユーザの使い勝手を低下させることもない。
【0028】
なお、上記実施形態では、庇部材11、および2枚の側壁部材12を、個別の部材で構成したが、これらは一体化されたものであってもよい。また、上記実施形態では、この発明にかかる測位装置を、ナビゲーション装置1に適用して説明したが、これに限らず、他の装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ナビゲーション装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置の外観を示す概略図である。
【図3】庇部材を示す図である。
【図4】側壁部材を示す図である。
【図5】庇部材、および側壁部材を取り外したナビゲーション装置本体の正面図である。
【符号の説明】
【0030】
1−ナビゲーション装置
2−制御部
3−受信部
4−表示制御部
5−地図データベース(地図DB)
6−表示部6
10−アンテナ
11−庇部材
11a−突起部
11b−接続電極
12−側壁部材
12a−突起部
21、22−凹部
21b−接続電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のGPS衛星から送出されているGPS信号を受信する受信部と、
前記受信部で受信されたGPS信号を用いて、装置本体の現在位置を測位する測位部と、
前記測位部で測位された装置本体の現在位置を表示パネルに表示する表示部と、を備えた測位装置において、
前記表示部の表示パネルの前方に突出させ、且つ前記表示パネルの上方に取り付けた、前記表示パネルの横方向に延びる平板の庇部材を備え、
前記庇部材には、前記受信部がGPS信号を受信するためのアンテナが設けられている、測位装置。
【請求項2】
前記表示部の表示パネルの少なくとも一方の側部に、前記表示パネルの前方に突出させ、前記表示パネルの縦方向に延びる平板の側壁部材を取り付けた、請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記表示部には、前記表示パネルの上方に凹部が形成されており、
前記庇部材には、その端部に、前記表示部の前記凹部に嵌挿して、前記表示部に取り付ける突起部が形成されている、請求項1または2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記表示部の前記凹部、および前記庇部材の前記突起部には、それぞれ電極が形成されており、
前記庇部材の前記突起部を、前記表示部の前記凹部に嵌挿したときに、この庇部材に設けられているアンテナと、前記受信部と、が前記電極によって、電気的に接続される、請求項3に記載の測位装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−89309(P2009−89309A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259651(P2007−259651)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】