説明

測光センサ装置

【課題】感度の低下が懸念される波長の信号感度を上げ、測定感度を向上すること。
【解決手段】測定対象物を透過した透過光を受光する複数の受光素子を2次元に配置してなる測光センサ部52と、上記測光センサ部52の上記測定対象物側に配置され、上記受光素子各々に入射する光を分光するため互いに異なる色波長を持つ複数の色フィルタを備える色フィルタ部51と、上記測光センサ部52の各受光素子からの信号を順次読み出す読出部53と、を有し、上記色フィルタ部51において、光源1の出力が低い色波長を持つ色フィルタである短波長側色フィルタ51Sは、その他の色波長を持つ色フィルタよりも広面積を占めるように構成した測光センサ装置5を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を測定対象物である血液等の液体に透過させ、その色波長ごとの光量の差を測ることで、その成分量を同定する手法による分析機における測光センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、血液分析機において血液中の各成分量を測定する方法として比色法が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示の自動分析装置では、成分を測定するための試薬と血清とを測光セル内に入れて反応させた液体に、白色光を通過させ、その透過光を測光センサ装置に入射させる。該測光センサ装置において、入射された上記透過光をグレーティングにより分光し、必要な波長の光に対する分散角の位置にフォトセンサアレイを配置している。そして、このフォトセンサアレイの各フォトセンサの信号値を読み出すことで、成分量を測定することができる。
【特許文献1】特開昭59−100862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような方法では、グレーティングの分散角により、波長分解能が決まってしまうため、特定の波長に対して、分散角を変えるという手段を取ることができない。血液成分分析に際し、近紫外域光での測定は重要であるが、光源のスペクトル特性により、近紫外域の光量は低く、フォトセンサの感度も低いため、その波長域での感度を上げることは困難であった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、感度の低下が懸念される波長の信号感度を上げることができ、測定感度を向上することができる測光センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の測光センサ装置の一態様は、光源からの光を測定対象物である液体に透過させ、その色波長ごとの光量の差を測ることで、その成分量を同定する手法による分析機における測光センサ装置であって、
上記測定対象物を透過した透過光を受光する複数の受光素子を2次元に配置してなる測光センサ部と、
上記測光センサ部の上記測定対象物側に配置され、上記受光素子各々に入射する光を分光するため互いに異なる色波長を持つ複数の色フィルタを備える色フィルタ部と、
上記測光センサ部の各受光素子からの信号を順次読み出す読出部と、
を有し、
上記色フィルタ部において、上記光源の出力が低い色波長を持つ色フィルタは、その他の色波長を持つ色フィルタよりも広面積を占めるように構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、感度の低下が懸念される波長の信号感度を上げることができ、測定感度を向上することができる測光センサ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0009】
図1(A)は、本発明の一実施形態に係る測光センサ装置を適用した血液分析機の構成を示す図である。
【0010】
この血液分析機は、光源からの光を測定対象物である液体に透過させ、その色波長ごとの光量の差を測ることで、その成分量を同定する手法による分析機であり、光源1、集光部2、測光セル3、集光部4、本一実施形態に係る測光センサ装置5及び図示しない制御部から構成される。ここで、測定対象物の液体は、成分を測定するための試薬と血清とを測光セル3に入れて反応させた反応液31である。
【0011】
光源1としては、例えばハロゲンランプが使用され、該光源1からの光は、集光部2を介して、測光セル3に集光される。この集光した光は、測光セル3内の反応液31を透過することで、反応液31中の特定物質により、特定波長の光が吸収される。この変化を定量化することにより、反応液31中の特定物質の量を同定することができる。そのため、測光セル3を透過した光は、集光部4を介して、測光センサ装置5に導光される。
【0012】
測光センサ装置5は、色フィルタ部51、測光センサ部52及び読出部53からなり、上記集光部4で集光された上記透過光以外の光が入らないように遮光されていることが好ましい。測光センサ部52は、複数の受光素子(図示せず)が2次元に配置されて構成されており、上記測光セル3を透過した透過光を受光する。色フィルタ部51は、上記測光センサ部52の上記測光セル3側に配置され、上記測光センサ部52の受光素子各々に入射する光を分光するため互いに異なる色波長を持つ複数の色フィルタを備える。読出部53は、上記測光センサ部52の各受光素子からの信号を順次読み出す。
【0013】
なお、上記測光センサ装置5の読出部53によって読み出された信号は、図示しない制御部に供給され、成分量が演算される。
【0014】
図1(B)は、色フィルタ部51における複数の色フィルタの配置を示す図である。
上記のようにして測光センサ装置5に導かれた透過光は、通常、測光センサ部52に到達した時点でスポット光が円形を示すため、本実施形態に於いては、色フィルタ部51においては、数の色フィルタを同心円状に配置している。なお、図1(B)では、図面の簡略化のため、3種類の色波長分の色フィルタしか示していないが、実際には、例えば13種類の色波長分の色フィルタが同心円上に配置される。
【0015】
ここで、測光センサ部52が受光する円形のスポット光は、その中央部は光強度が強く、周辺部にいくに従って弱くなる。また、通常、分析する項目により、測定する波長が異なっている。一方、ハロゲンランプを光源1とした場合、短波長(350nm付近)では、長波長域に比べて出力が低下する。このことから、本一実施形態では、上記スポット光のうちで光強度の強い中央部分には、上記複数の色フィルタのうち短波長側の波長を持つ短波長側色フィルタ51Sを配置し、周辺部には長波長側の波長を持つ長波長側色フィルタ51Lを配置することで、感度の低下が懸念される波長の受光量を補償することができる。
【0016】
また、測光センサ部52は受光素子を2次元に配置したもの(2次元センサアレイ)であるから、色フィルタ部51の各色フィルタの大きさによって、特定波長の受光面積を変えることができる。よって、本一実施形態では、短波長側色フィルタ51Sの面積を大きくして短波長の光が当たる部分を大きくし、長波長側色フィルタ51Lに行くに従って徐々に面積を小さくしていくことによって、長波長の光が当たる部分を小さくすることで、短波長部の感度を向上させることができる。
【0017】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0018】
例えば、上記一実施形態では、短波長側色フィルタ51Sを中央部に且つ広面積に配置したが、どの色波長を持つ色フィルタをどこに配置するか、及びどのような面積とするかは、光源1の種類や分析する項目によって決定されるものである。
【0019】
また、分析機を上記特許文献1に開示されているように、複数の測光セル3を順次搬送する機構を持つ自動分析装置としても構わない。
【0020】
更に、上記一実施形態は血液成分を分析する血液分析機に適用した例を説明したが、本発明は、他の測定対象物の成分を比色法によって分析するどのような分析機にも適用可能である。
【0021】
(付記)
前記の具体的実施形態から、以下のような構成の発明を抽出することができる。
【0022】
(1) 光源からの光を測定対象物である液体に透過させ、その色波長ごとの光量の差を測ることで、その成分量を同定する手法による分析機における測光センサ装置であって、
上記測定対象物を透過した透過光を受光する複数の受光素子を2次元に配置してなる測光センサ部と、
上記測光センサ部の上記測定対象物側に配置され、上記受光素子各々に入射する光を分光するため互いに異なる色波長を持つ複数の色フィルタを備える色フィルタ部と、
上記測光センサ部の各受光素子からの信号を順次読み出す読出部と、
を有し、
上記色フィルタ部において、上記光源の出力が低い色波長を持つ色フィルタは、その他の色波長を持つ色フィルタよりも広面積を占めるように構成していることを特徴とする測光センサ装置。
【0023】
(対応する実施形態との対応)
一実施形態に於いて、例えば、光源1が上記光源に、測光セル3内の反応液31が上記測定対象物である液体に、測光センサ装置5が上記測光センサ装置に、測光センサ部52が上記測光センサ部に、色フィルタ部51が上記色フィルタ部に、読出部53が上記読出部に、短波長側色フィルタ51Sが上記光源の出力が低い色波長を持つ色フィルタに、長波長側色フィルタ51Lが上記その他の色波長を持つ色フィルタに、それぞれ対応する。
【0024】
(作用効果)
この(1)に記載の測光センサ装置によれば、感度の低下が懸念される波長の信号感度を上げることができ、測定感度を向上することができる。
【0025】
(2) 上記色フィルタ部において、上記光源の出力が低い色波長を持つ色フィルタを上記色フィルタ部の中央部に配置してあることを特徴とする(1)に記載の測光センサ。
【0026】
(実施形態との対応)
一実施形態に於いて、例えば、短波長側色フィルタ51Sが上記光源の出力が低い色波長を持つ色フィルタに対応する。
【0027】
(作用効果)
この(2)に記載の測光センサ装置によれば、光スポットの光量が強い中央部分に、感度の低下が懸念される波長を配置することができ、測定感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1(A)は、本発明の一実施形態に係る測光センサ装置を適用した血液分析機の構成を示す図であり、図1(B)は、色フィルタ部における複数の色フィルタの配置を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1…光源、 2…集光部、 3…測光セル、 31…反応液、 4…集光部、 5…測光センサ装置、 51…色フィルタ部、 51S…短波長側色フィルタ、 51L…長波長側色フィルタ、 52…測光センサ部、 53…読出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を測定対象物である液体に透過させ、その色波長ごとの光量の差を測ることで、その成分量を同定する手法による分析機における測光センサ装置であって、
上記測定対象物を透過した透過光を受光する複数の受光素子を2次元に配置してなる測光センサ部と、
上記測光センサ部の上記測定対象物側に配置され、上記受光素子各々に入射する光を分光するため互いに異なる色波長を持つ複数の色フィルタを備える色フィルタ部と、
上記測光センサ部の各受光素子からの信号を順次読み出す読出部と、
を有し、
上記色フィルタ部において、上記光源の出力が低い色波長を持つ色フィルタは、その他の色波長を持つ色フィルタよりも広面積を占めるように構成していることを特徴とする測光センサ装置。
【請求項2】
上記色フィルタ部において、上記光源の出力が低い色波長を持つ色フィルタを上記色フィルタ部の中央部に配置してあることを特徴とする請求項1に記載の測光センサ装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−145177(P2010−145177A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321237(P2008−321237)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】