説明

測定プローブにより薄層の厚さを測定する方法と装置

【課題】測定プローブにより薄層の厚さを測定する方法と装置を提供すること。
【解決手段】長手軸がハウジング(14)の長手軸(16)と平行またはその上にある少なくとも1つのセンサ要素(17)を保持するハウジング(14)を有する測定プローブ(11)により、薄層の厚さを測定する方法と装置。少なくとも測定過程中に、気体媒体が測定表面(28)で測定プローブ(11)の供給開口(21)に供給され、供給開口(21)に連結された少なくとも1つの連結経路(24)を介して、測定表面(28)に向いている、測定プローブ(11)の端面(29)に設けられた1つまたは複数の出口開口(26)に供給され、1つまたは複数の出口開口(26)から流出する、気体媒体の少なくとも1つのマス・フローが測定表面(28)に向いており、測定プローブ(11)は測定過程中に測定表面(28)に対して非接触の方法で保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブル部と、請求項6のプレアンブル部による、測定プローブにより薄層の厚さを測定する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許第4119903A1号は、層の厚さの測定が非破壊的に行われる、薄層の厚さを測定する方法と装置を開示している。この場合、渦電流原理に基づく測定をその後に行うため、カップ付属品により測定表面に配置されたセンサ要素が設けられている。別の方法では、検査される材料によって磁気誘導測定方法を使用することもできる。
【0003】
これらなどの触覚測定方法では、カップ付属品が測定表面上にある。これによって、測定表面からの規定の距離になる。これには、測定を行うため、特定の最小硬度を有するきれいな層を提供する必要がある。しかし、柔らかな表面、および湿気のあるまたは一部だけきれいにした層表面を備えた層を検査する必要がある、別の応用分野が知られている。
【特許文献1】ドイツ特許第4119903A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は測定表面に悪影響を与えない、測定プローブにより薄層の厚さを測定する方法と装置を提供する目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、この目的は請求項1の特徴を有する方法によって達成される。測定プローブは測定点で保持されて、測定表面と接触することなく、少なくとも測定過程中に測定プローブから流れる気体媒体により測定表面に対して浮遊している。これは非接触測定につながり、いかなる機械的変形もカップ付属品を備えた測定プローブとの接触によりコーティング内に案内されることなく、柔らかい層の厚さまたはコーティングを正確に測定することが可能になる。特にマイクロメートル範囲の厚さを有する層の場合は、これらの測定プローブが測定表面上に円滑に配置されていないと、小さな接触でさえも測定結果の悪化につながる可能性がある。さらにまた、このような非接触測定により、湿気のあるまたは湿った測定表面を検査することが可能になり、層の厚さを正確に記録することが可能になる。油または潤滑剤層の付着などの汚い測定表面も測定に影響を与えない。これは、少なくとも測定中に測定プローブへの供給開口を介して気体媒体を供給することによって達成され、この気体媒体は少なくとも連結経路を介して1つまたは複数の出口開口まで通過され、ここから噴出し、少なくとも1つの出口開口が、測定表面に向かっている、測定プローブの端面に設けられている。
【0006】
この方法に対する1つの好ましい改良点は、少なくとも1つの出口開口から噴出するマス・フローの圧力を、測定プローブの量の関数として設定し、それによって安定した動作点が測定表面に対する測定中に測定プローブに設定されることである。気体媒体が出口開口から既に流れている過程である、測定プローブが測定表面に近づいている間に、測定プローブが最初に反発される。測定プローブに対する特定の距離を越えると、反発は逆になり、真空圧が生成され、測定プローブを測定表面に移動させる。測定表面への距離がさらに小さくなると、反発が再び起こる。測定プローブと測定表面の間の距離がさらに小さくなった場合の、真空圧、すなわち吸引力と反発の間の直接移動は、安定した動作点を示している。この距離で、測定プローブは、測定表面に対して定位置に保持される、すなわちこれによって、正確な測定のための測定プローブのセンサ要素と測定表面の間の規定の距離になる。
【0007】
測定プローブは、接触することなく、測定表面からのこの距離に効果的にとどまる。この安定した動作点は、測定プローブのマスの関数であり、測定プローブのマスは安定した動作点を設定するために、噴出する気体媒体の圧力の調節によって考慮される。
【0008】
一定のマス・フローが、測定点で供給開口に供給され、測定過程中に出口開口から噴出することが好ましい。
【0009】
これによって各測定に対して正確な距離を維持することが可能になり、それにより正確な測定が可能になる。
【0010】
気体媒体のマス・フローは、測定プローブが測定点に近づく前に、または近づいている間に測定プローブに加えられることが好ましい。これによって、測定プローブのセンサ要素と測定表面の間に接触がないことが保証される。
【0011】
さらに、測定プローブが測定表面から持ち上げられるのと同時に、または測定プローブが測定表面から持ち上げられた後に、気体媒体の供給が層の厚さの測定の終了後に遮断されることが好ましい。これにより、エネルギーが削減され、噴出する空気によって渦流が形成されるのを防ぐ。
【0012】
本発明によると、この目的は請求項6の特徴を有する測定プローブによって達成される。特に請求項1から5の一項に記載の方法を実施するためのこの測定プローブは、気体媒体の少なくとも1つの噴出するマス・フローを測定表面に供給する、測定表面に向かう、測定プローブの少なくとも1つの出口開口により、意図した測定点で測定表面に対した非接触測定を可能にするという利点を有する。少なくとも1つの出口開口は、少なくとも1つの連結経路を介してハウジング内の少なくとも1つの供給開口に連結されており、この出口開口を介して気体媒体が供給される。この配置により、測定プローブを測定表面の上に浮遊させて保持し、同時に薄層の厚さは、浮遊配置により、測定表面へのいかなる悪影響もなく測定される。
【0013】
測定プローブの1つの有利な改良点は、出口開口をハウジングの長手軸上に設け、センサ要素を出口開口に対して同心に配置することである。この改良点により、気体媒体のマス・フローを測定表面に対して中心に噴出させることが可能になり、それによって噴出する媒体が測定表面に沿って径方向に均一に離れるように流れる。これによって、ほぼ回転対称な測定プローブがその幾何形状と対称性を維持することができる簡単な設計が可能になる。
【0014】
出口開口の連結経路は、ハウジング内部に向いており、その長さは少なくともセンサ要素の高さに対応する第1の孔部を有することが好ましい。センサ要素の動作の方法が維持され、前の設計をこのような孔部の導入を除いて使用することができる。例えば、巻型を保持し、これを外部から仕切るつぼ形コアを使用することができる。この場合、つぼ形コアの内側極は孔部を備えており、内側極で噴出する磁界はこの孔部に影響されない。
【0015】
この第1の実施態様によると、センサ要素の第1の孔部は有利には、センサ要素に隣接しているまたはセンサ要素の外側に配置された横孔に、また少なくとも1つの供給開口に連結された環状経路または穿孔に連結されている。これにより、測定プローブを物理的に小型にすることができる簡単な設計を可能にする。
【0016】
センサ要素は、空気軸受により測定プローブのハウジング内に保持されることが好ましい。このような空気軸受により、傾斜や傾きが生じない、センサ要素とハウジングの間の配置を提供することが可能になり、それによって測定表面に対する測定に適した所要の距離を小さく保持することが可能なり、測定表面に対して定位置に保持するように測定プローブを設けることが可能になる。これにより、正確な測定を行うことができる。
【0017】
本発明の別の有利な改良点によると、センサ要素には気体媒体の別のマス・フローが供給される。センサ要素はしたがって、以下の文章で説明するように、別の要素と独立して独自のマス・フローで駆動され、それによって他の外部状態や別のマス・フローとは関係なく、薄層の厚さを測定するためにセンサ要素の正確な調節が可能になる。
【0018】
本発明の1つの有利な改良点によると、ハウジングの長手軸に配置された出口開口が、測定プローブの端表面上の、測定表面に向かう、カップの形の突起に設けられている。これは、測定表面への距離が出口開口にすぐ隣接して大きくなり、それによって真空圧になり、噴出するマス・フローの反発力を妨げることになるという利点を有する。
【0019】
径方向に延びる支持リングが、測定プローブのハウジングに設けられることが好ましく、測定表面に向き、かつ、1つまたは複数の供給開口へ好ましくは1つの環状連結経路を介して連結された複数の出口開口を有する。このような支持リングは、測定表面に対して浮遊するように測定プローブを配置するために、マス・フローを別個に噴出させることができるという利点を有する。特に、大きいまたは重い測定プローブあるいは高感度の測定表面の場合、これにより特にセンサ要素と無関係に、安定した動作点に測定プローブを位置決めするためにエア・クッションを形成することが可能になる。この支持リングは、ハウジング内の空気軸受上のセンサ要素によって形成された、内部システムからの別個のマス・フローが供給された外部システムを形成することができる。
【0020】
測定プローブの一代替実施態様によると、複数の出口開口が設けられており、ハウジングの長手軸に対して同心に配置されている。これらの出口開口は、周面上に均一に分配されていることが好ましく、それによって安定した動作点を達成するために均一の出口流れが可能になる。これらのような出口開口は、マス・フローの出口の流れ方向が測定表面に対して直角に向いているように設計することができる。別の方法では、マス・フローの出口の方向を測定表面に対して90度以外の角度にすることが可能である。例として、出口開口のすべてを外縁部領域に対してある角度にすることができ、それによって出口方向からのマス・フローの出口方向と測定表面に衝突した後の径方向のマス・フローの出口流れ方向の間の角度は、90度より大きくなる。
【0021】
周面環状間隙は、測定プローブの一端部表面に設けられていることが好ましく、個別の出口開口を互いに連結させる。その結果、出口開口から噴出するマス・フローはまた、環状間隙の周面方向に移動させられ、それによってマス・フローに対する効果的な環状出口開口が得られる。
【0022】
測定プローブの端部表面に配置され、出口開口を互いに連結させる環状間隙は、出口開口の直径より広いことが好ましい。これは追加の渦流につながり、環状形状で噴出するマス・フローの形成を助ける。
【0023】
スライド・シューが、測定プローブのハウジングの下面に設けられており、気体媒体が少なくとも1つの供給開口を介して加えられる、測定プローブのハウジング内または上の1つまたは複数の連結経路と連通する環状間隙に連結された複数の出口開口を有することが好ましい。例として、これによって環状間隙に供給開口と連結経路を介してマス・フローを供給し、その後マス・フローを複数の出口開口に供給することが可能になる。別の方法では、2つ以上の連結経路を環状間隙まで通過させることができ、1つまたは複数の供給開口を介して気体媒体が供給される。
【0024】
環状間隙は同様に有利には、形成されていることが好ましいスライド・シューの下面に設けられている。この環状間隙は、ハウジング上に設けられた環状間隙と同様に形成されており、同じ利点を有する。
【0025】
スライド・シューがハウジングの1つの下面に設けられている場合、1つまたは複数の連結経路と連通する環状間隙をスライド・シュー内またはハウジング上のいずれかに設けることができる、またはそれぞれの場合に1つまたは複数の連結経路と連通する環状間隙をスライド・シューおよびハウジングに設けることができる。
【0026】
測定プローブの上記実施態様では両方とも、センサ要素は有利にはハウジング内に固定されている。
【0027】
本発明の一代替改良点によると、少なくとも1つのセンサ要素が、エア・クッションを介してハウジングに対して浮遊するように取り付けられている。これにより、マスが、動作点で保持され、ハウジング内に固定して配置されたセンサ要素の場合より少なくすることが可能になる。さらに加えて、測定表面に対するハウジングの位置決めの誤差は、センサ要素の浮遊する軸受によって自動的に補償することができる。
【0028】
この代替実施態様の1つの有利な成果によると、センサ要素はハウジング内部に突出した、より詳細には、ピンの形であり、空隙を備えたハウジング孔に案内されるガイド要素を有し、径方向周面窪みがガイド要素またはハウジング孔に設けられていることが好ましい。これにより、非接触空気軸受用のエア・クッションの形成を改良することが可能になる。
【0029】
好ましい実施態様は有利には、空隙と、浮遊するように取り付けられたセンサ要素の測定プローブ上の端面出口開口の間に環状間隙を有し、環状間隙の容量は空隙を通って流れるマス・フローより大きく、出口開口を離れるマス・フローより大きい。これは、この環状間隙内の真空圧につながり、これによりセンサ要素はハウジングに対して定位置に保持するように配置される。
【0030】
浮遊するように取り付けられたセンサ要素は、縁部で開口し、かつ、ハウジング孔と測定プローブの端面に向いている出口開口を有することが好ましい。これらは一方では、センサ要素とハウジング孔の間の下側ハウジング端部に空気軸受を支持し、もう一方では、センサ要素を測定表面に対して安定した均衡に保つため、エア・クッションを形成する。
【0031】
ハウジング内側の端部に、ガイド要素は円錐形、球状形、または円錐台形の端部を有することが好ましい。有効な円形面積は、測定表面の方向にセンサ要素に供給される圧力に対する基準面積である。出口開口から流出するマス・フローは、センサ要素を測定表面に対して浮遊させるように配置するために、センサ要素に作用するリセット力(resetting force)を管理する。
【0032】
測定プローブの好ましい一実施態様によると、外縁部領域が、測定表面に向いている、ハウジングまたはスライド・シューの端部表面に設けられており、端部表面と測定表面の間の距離が外側に向かって大きくなるように設計されている。このような外縁部領域は、二次または三次関数での、直線、丸みを帯びた領域または曲線によって形成することができる。この外縁部領域は、1つまたは複数の出口開口からのマス・フローの出口流れの力を妨げる真空圧を生じさせるように使用され、安定した均衡の増加につながることが好ましい。
【0033】
本発明の別の有利な実施態様によると、渦電流ブレーキを有することが好ましく、自由アームに測定プローブが保持されているロッカが、測定表面上の測定点にセンサ要素を位置決めするように設けられている。これにより、測定プローブを測定表面に対して円滑にかつあらゆるジャークなしで位置決めすることが可能になり、同時に測定プローブを安定した動作点に自動的に位置決めすることが可能である。
【0034】
本発明と、そのさらなる有利な実施形態および成果を、図面で示した例を参照して以下の文章でより詳細に記載および説明する。説明および図面で分かる特徴は、本発明によると、それ自体で個別に、またはこれらの1つまたは複数のあらゆる所望の組合せで使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、薄層の厚さを測定し、測定データを評価するための、装置13に連結線12を介して連結された測定プローブ11を示している。測定プローブ11は別の方法では、固定器具または手持ち式器具の形で、この装置13の一部であってもよい。この測定プローブ11は、非破壊層厚さ測定と非接触層厚さ測定のために使用される。
【0036】
測定プローブ11は、より詳細には円筒形であるハウジング14を有する。少なくとも1つのセンサ要素17が、ハウジング14の長手軸16に配置されている。このセンサ要素17は、図1に示す例示的な実施形態では、ハウジング14にしっかりと連結されている。
【0037】
センサ要素17は、例えば磁石を備えた一次コイルと二次コイルによって形成されるか、あるいは仕切られていない双極子の形をしている。少なくとも1つのコイルを有するつぼ形コア18が、例示的な実施形態では内側極19に設けられている。このようなセンサ要素17により、磁石誘導過程に基づく測定が可能になる。磁石誘導測定過程は、スチールまたは鉄などの金属基材上のクロム、銅、亜鉛などの非鉄金属層の測定だけでなく、スチールまたは鉄などの金属基材上の塗料、ラッカー、プラスチック層の測定に適している。例として、測定範囲は、好ましくは300ヘルツ未満の周波数を使用して、最大1800μmの層厚さである。
【0038】
別の方法では、少なくとも1つのセンサ要素17はコイルを備えている。このようなセンサ要素17は、渦電流方法を使用することを可能にする、すなわち、これにより無線周波数交流界で、塗料、ラッカー、プラスチックなどの非鉄金属、アルミニウム、真鍮またはステンレス鋼上の非導電層、あるいは他の陽極酸化層の厚さを測定することが可能になる。測定範囲は同様に、最大1800μmの層厚さである。
【0039】
測定プローブ11は、ハウジング14に供給開口21を有し、これに連結部22がはめ込まれている。これは、より詳細には図示されていないが可撓性管を有し、これを介して気体媒体が、より詳細には図示されていない供給源から供給開口21に供給される。空気が、より詳細には、塵のない形で、および/または油が取り除かれた状態で、気体媒体として使用されることが好ましい。別の方法では、他の非爆発性気体を使用することもできる。供給開口21は、連結経路24を介して、測定表面28に対して配置された、測定プローブ11、より詳細にはセンサ要素17の端面29に設けられた出口開口26に連結されている。供給開口21に連結された連結経路24は、第1の孔部33に気体媒体のマス・フローが供給されるように、横孔32内に合流する環状経路31の形をしている。この第1の孔部33は、センサ要素17またはハウジング14の長手軸16に配置され、マス・フローを、内側極19を介して測定プローブ11から中心に噴出させる。第1の孔部33は、ノズルの形をしており、出口開口26に合流するテーパ34を下側領域に有する。マス・フローは、出口開口26から噴出し、測定表面28に沿ってその径方向に離れるように流れる。
【0040】
出口開口26は、カップの形の突起36に設けられており、出口開口26と測定表面28の間の距離がその表面に沿って大きくなり、それによって出口開口26に隣接して真空圧領域が作り出される。
【0041】
噴出し、測定表面28に向けられたマス・フローの圧力が、ハウジング14に対して浮遊するように配置されている、または中心空気軸受を有するセンサ要素17と測定表面28の間の距離を調節するのに使用され、それによって測定表面28に衝突するマス・フローにより得られる、一方では離れて流れるマス・フローと、他方ではそのマス・フローのリセット力の結果、測定プローブ11の重量から得られるマスとそれに作用する真空圧の間に均衡が作られる。
【0042】
測定表面28からの規定の距離での層の厚さの非接触測定は、安定した動作点で行うことができる。その結果、油状のまたはグリース状の表面などの汚い表面と、湿ったまたは濡れた表面は、層厚さの測定には悪影響はない。さらに、測定表面28の機械的変形なく記録を柔らかいコーティング上に行うこともできる。まだ完全に硬化されていない層を同様に測定することができる。
【0043】
支持リング38が、好ましくは内部システムを囲むセンサ要素17のための別の外部システムとして、ハウジング14の下側ハウジング縁部に設けられており、中心または外縁部領域に、測定表面28に向かって支持リング38の下面に配置されている出口開口52を有する。気体媒体のマス・フローは、供給開口51を介して支持リング38に供給され、連結経路24の形をしている環状間隙を介して、周面上に均一に分配されることが好ましい複数の出口開口52に供給される。例として、1つの供給開口51はマス・フローを環状間隙を介して複数の出口開口52に供給するのに十分である。増加したマス・フローが必要である場合、気体媒体を1つまたは複数の連結経路24に供給するために、複数の供給開口51を設けることもできる。
【0044】
外部システムと内部システムの間の分離により、測定表面28の上に浮遊するように測定プローブ11を外部システムによって保持することが可能であり、センサ要素17がこれと別に自己保持測定位置を取ることが可能になり、この位置では測定表面に対する距離は外部システムの支持リング38の下面の場合よりかなり小さい。その結果、磁界は内側極19を介して展開することなく測定物体の測定表面まで通過され、それによって測定精度を大きくするために優れた解像度につながる。内側極19の孔部33、26を介したマス・フローの中心での供給はこの場合、磁界に影響を与えないか、またはそれに無視できる程度にのみ影響を与える。
【0045】
測定表面28に向いた支持リング38の外縁部領域39は、測定表面28への距離が外側に向かって大きくなるように設計されている。これにより、安定した動作点をとることを助けるのに使用することができる真空圧を生じることが可能になる。
【0046】
より詳細には図示されていない、図1に示すものに対する代替実施形態は、第1の孔部33に加えて、または第1の孔部33の代替形態として、ハウジング14とセンサ要素17の間の外縁部領域、またはセンサ要素17の外縁部領域に平行に延びる1つまたは複数の孔部を有し、それによってさらに測定表面28に向いている出口開口26は環状経路31を介してマス・フローが供給される。
【0047】
同様により詳細に図示されていない、図1に示すものに対する代替実施形態は、センサ要素17を浮遊する方法で取り付ける代わりに、ハウジング14に対してセンサ要素17の固定配置を行うことによって提供することができ、自己保持方法で最適な測定距離をとるために連結部22での供給開口21を介したマス・フローの供給と、供給開口51の供給はその後互いに一致させられ、センサ要素17はこれに接触することなく測定表面28に対して保持される。
【0048】
図2は、図1に示す本発明の一代替実施形態の略断面図を示している。図3は平面図を示している。この実施形態では、センサ要素17は同様にハウジング14に固定して設けられている。ハウジング14の長手軸16で中心に噴出するマス・フローの代わりに、複数の出口開口26が別の方法でハウジングの長手軸16に対して同心に設けられており、気体媒体がおおよそ、より詳細には理想的には環状の形で噴出するようになっている。少なくとも1つの供給開口21がハウジング14に設けられており、連結経路24を介した環状間隙42へのマス・フローを担っている。例示的な実施形態によると、この環状間隙42は、ハウジング14内にねじ込まれた、接着結合された、クリップ止めまたはラッチ止めされた、あるいはハウジング14の下面に直接一体化されたスライド・シュー41に設けることができる。複数の出口開口26がスライド・シュー41に設けられ、好ましくは、図4に例として示すように周面上に均一に分配されている。これらの出口開口26は、環状経路40を通して供給される。気体媒体を測定プローブ11により均一に供給するために、図2に示す例示的な実施形態は、第1の連結経路24から別に延びる第2の連結経路24を備えた第2の供給開口21を有する。出口開口26は、出口開口26の直径と同じ寸法である、またはこれより大きいことが好ましい環状間隙40内に開口している。これは、追加の渦流につながる。同時に、これにより環状エア・クッションまたは空気出口の形成を助けることが可能になる。
【0049】
スライド・シュー41は支持リング38と同様の外縁部領域を有することが好ましい。
【0050】
開口部43はハウジング・カバー内に設けられており、これを通して連結線12がセンサ要素17と装置13の間でハウジング14から通過される。
【0051】
この実施形態は、センサ要素17がハウジング14の別の収納領域に設けられており、それによって連結線12を簡単な形で通過させることが可能になるという利点を有する。
【0052】
図5および6は、測定プローブ11の一代替実施形態を示している。この実施形態では、センサ要素17はハウジング14に対して空気軸受の上に浮遊するように配置されている。センサ要素17は、ハウジング内部に突出し、ハウジング孔46内に案内されるガイド要素44を有する。センサ要素17は、ガイド要素44の下端部に配置されている。空隙が、ガイド要素44とハウジング孔46の間に形成され、それによってハウジング14に対するセンサ要素17の摩擦のない移動が可能になる。出口開口26が、センサ要素17に隣接して設けられており、縁部と環状経路48に開口しているスロットの形をしている。この環状経路48は、ガイド要素44とハウジング孔46の間の空隙を介して気体媒体が供給され、これと共に、連結経路24を形成する。空隙と比べて環状経路48の容積の増加、および出口開口26の断面の減少はこの領域内の真空圧につながり、これによってセンサ要素17がハウジング14内に保持される。同時に、測定表面28に衝突するマス・フローが、センサ要素17の端面29上にリセット力を作り出し、それによってこのセンサ要素17は測定表面28に対して浮遊するように保持される。
【0053】
センサ要素17上の、縁部に開口する出口開口26は別の方法では、縁部で開口するまたは閉塞する孔の形であってもよい。出口開口26の数、位置合わせ、幾何形状はすべて、センサ要素17が測定表面28に対して安定した動作点をとることができるように、所要のマス・フローに一致させる。
【0054】
図7は、図5および6に示すものに対する一代替実施形態を示している。この実施形態では、センサ要素17は同様に、ハウジング14に対して浮遊する形で移動させることができる、または取り付けられているように保持されている。供給開口21は、第1の部分の環状経路31によって形成された連結経路24に気体媒体を供給し、そこから複数の孔部33が分岐し、出口開口26につながる。これらの出口開口26は好ましくは均一な距離で内側センサ要素17を囲み、このセンサ要素17はハウジング14の長手軸16に配置されている。
【0055】
2つの環状経路49は、互いに平行にセンサ要素17に設けられるが、供給開口21の直径に基本的に対応する距離だけ分離され、それによって気体媒体は両方の環状経路49に供給され、均衡が形成される。
【0056】
支持リング38と同様に、同じ効果および利点を達成するために、センサ要素17は外縁部領域39を有する。
【0057】
上記の特徴はすべてそれぞれそれ自体が本発明に重要であり、必要に応じて互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による第1の実施形態の略断面図である。
【図2】図1に示すものの代替実施形態の略断面図である。
【図3】図2に示す実施形態の略平面図である。
【図4】図2に示す実施形態の略下面図である。
【図5】本発明による別の実施形態の略断面図である。
【図6】図5に示す実施形態の下面図である。
【図7】本発明の別の代替実施形態の略断面図である。
【符号の説明】
【0059】
11 測定プローブ、13 装置、14 ハウジング、17 センサ要素、18 つぼ形コア、19 内側極、21 供給開口、22 連結部、24 連結経路、26 出口開口、28 測定表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸がハウジング(14)の長手軸(16)と平行またはその上にある少なくとも1つのセンサ要素(17)を保持するハウジング(14)を有する測定プローブ(11)により、薄層の厚さを測定する方法であって、少なくとも測定過程中に、気体媒体が測定表面(28)で前記測定プローブ(11)の供給開口(21)に供給され、前記供給開口(21)に連結された少なくとも1つの連結経路(24)を介して、前記測定表面(28)に向き、かつ、前記測定プローブ(11)の端面(29)に設けられた1つまたは複数の出口開口(26)に供給され、1つまたは複数の出口開口(26)から流出する、前記気体媒体の少なくとも1つのマス・フローが前記測定表面(28)に向けられ、前記測定プローブ(11)は前記測定過程中に前記測定表面(28)に対して非接触の方法で保持されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記噴出するマス・フローの圧力は、前記測定プローブ(11)の安定した動作点に設定され、動作点は前記測定プローブ(11)のマスと、前記測定表面(28)上に噴出する前記マス・フローのリセット力の関数であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一定したマス・フローが、前記供給開口(21)に供給され、前記測定過程中に前記出口開口(26)から噴出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記気体材料のマス・フローは、前記測定プローブが測定表面(28)に接近する前に、または接近している間に、前記測定プローブ(11)に加えられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記気体媒体の供給は、測定が行われた後、前記測定プローブ(11)が前記測定表面(28)から持ち上げられると同時に、または前記測定プローブ(11)が前記測定表面(28)から持ち上げられた後に遮断されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
長手軸がハウジング(14)の長手軸(16)上に、またはこれと平行にある少なくとも1つのセンサ要素(17)を保持するハウジング(14)を有する、薄層の厚さを測定する装置用の測定プローブであって、前記測定プローブ(11)は、気体媒体を供給する連結部(22)がはめ込まれた供給開口(21)を有し、前記測定表面(28)に向き、かつ前記測定プローブ(11)の端面(29)に設けられる少なくとも1つの出口開口(26)を有し、かつ少なくとも1つの供給開口(21)を1つまたは複数の出口開口(26)に連結させる少なくとも1つの連結経路(24)を有することを特徴とする測定プローブ。
【請求項7】
前記出口開口(26)は、前記ハウジング(14)の前記長手軸(16)に設けられ、前記センサ要素(17)は、前記出口開口(26)に対して同心に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の測定プローブ。
【請求項8】
前記連結経路(24)は、前記出口開口(26)から前記ハウジング内部に向いており、長さが少なくとも前記センサ要素(17)の高さに対応する第1の孔部(33)を有することを特徴とする請求項7に記載の測定プローブ。
【請求項9】
前記第1の孔部(33)は横孔(32)に開口し、連結経路(24)を形成するために環状経路(31)に連結されており、または前記第1の孔部(33)は前記供給開口(21)内に開口する穿孔に連結されていることを特徴とする請求項8に記載の測定プローブ。
【請求項10】
前記センサ要素(17)は、中心空気軸受により長手方向に移動させられるように、前記ハウジング(14)内に配置されていることを特徴とする請求項6から9の一項に記載の測定プローブ。
【請求項11】
前記センサ要素(17)は、気体媒体の別個のマス・フローが供給されることを特徴とする請求項6に記載の測定プローブ。
【請求項12】
前記出口開口(26)は、前記センサ要素(17)の一端面(29)でカップの形の突起(36)に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の測定プローブ。
【請求項13】
径方向に延びる支持リング(38)が前記ハウジング(14)に設けられ、前記測定表面(28)に向いており、好ましくは1つの環状連結経路(24)を介して1つまたは複数の供給開口(21)に連結された複数の出口開口(26)を有することを特徴とする請求項6に記載の測定プローブ。
【請求項14】
前記ハウジング(14)の前記長手軸(16)に対して同心に配置された複数の出口開口(26)が、前記測定プローブ(11)の一端面(29)に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の測定プローブ。
【請求項15】
周面環状間隙(40)が、前記測定プローブ(11)の一端面(29)に設けられており、前記個別の出口開口(26)を互いに連結させることを特徴とする請求項14に記載の測定プローブ。
【請求項16】
前記環状間隙(40)は、前記出口開口(26)の直径より広いことを特徴とする請求項15に記載の測定プローブ。
【請求項17】
スライド・シュー(41)が前記ハウジング(14)の下面に設けられ、環状間隙(42)により互いに連結された複数の出口開口(26)を有し、前記環状間隙(42)は1つまたは複数の連結経路(24)に連通しており、これに対して前記気体媒体が少なくとも1つの供給開口(21)を介して加えられることを特徴とする請求項6に記載の測定プローブ。
【請求項18】
前記スライド・シュー(41)が、前記測定表面(28)に向かっている端面(29)に、前記出口開口(26)を連結させる環状間隙(40)を有することを特徴とする請求項17に記載の測定プローブ。
【請求項19】
前記少なくとも1つのセンサ要素(17)は、前記ハウジング(14)に固定して配置されていることを特徴とする請求項14に記載の測定プローブ。
【請求項20】
前記センサ要素(17)は、気体媒体のクッションにより、前記ハウジング(14)に対して浮遊するように取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の測定プローブ。
【請求項21】
前記センサ要素(17)は、前記ハウジング内部に突出し、気体媒体用の間隙を備えたハウジング孔(46)内に案内されるガイド要素(44)を有することを特徴とする請求項20に記載の測定プローブ。
【請求項22】
環状間隙(48)は、間隙と、浮遊するように取り付けられた前記センサ要素(17)の前記測定プローブ(11)の前記端面出口開口(24)の間に形成され、前記環状間隙(48)の容積は、前記空隙を通して流れる前記マス・フローより大きく、前記出口開口(28)から離れる前記マス・フローより大きいように設計されていることを特徴とする請求項20に記載の測定プローブ。
【請求項23】
前記縁部に開口しており、前記端面(29)および前記ハウジング孔(46)に向いている出口開口(24)は、浮遊することができるように取り付けられている前記センサ要素(17)に設けられていることを特徴とする請求項20に記載の測定プローブ。
【請求項24】
前記ガイド要素(44)は、前記ハウジング内側のその端部に円錐形、球状形、または円錐台形の端部を有することを特徴とする請求項20に記載の測定プローブ。
【請求項25】
前記測定表面(28)からの距離が外側に向けて大きくなる外縁部領域(39)が、前記測定表面(28)に向いており、前記ハウジング(14)または前記スライド・シュー(41)、または前記ハウジング(14)、前記スライド・シュー(41)の端面(29)に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の測定プローブ。
【請求項26】
渦電流ブレーキを有し、その自由アームに前記測定プローブ(11)が保持されているロッカが、前記測定表面(28)上の測定点に前記センサ要素(17)を位置決めするように設けられていることを特徴とする請求項6に記載の測定プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−309935(P2007−309935A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129002(P2007−129002)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(500062047)インモビリーエンゲゼルシャフト・ヘルムート・フィッシャー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニイ・カーゲー (7)
【Fターム(参考)】