説明

測定装置、情報処理装置及び情報処理方法

【課題】 SASの診断において、簡易かつ安定した測定を実現するとともに、診断精度の向上を図ることを目的とする。
【解決手段】 被検体の状態を測定する測定装置であって、被検体の耳孔に挿入した場合に、該耳孔の内壁に嵌合する挿入部300Aと、挿入部300Aの一端に接続され、前記耳孔の径よりも大きい径を有する保持部300Bと、挿入部300Aに配され、該挿入部300Aが耳孔に挿入された状態で、被検体の顎の動きを検知する圧電センサ302と、保持部300Bに配され、被検体の姿勢を検知する加速度センサ301と、挿入部300Aに配され、被検体の音声を検知するマイクロフォン303と、加速度センサ301の信号と、圧電センサ302の信号と、マイクロフォン303の信号とを送信する送信部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の状態を測定するための測定装置及び、該測定装置における測定結果を処理する情報処理装置、ならびに情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、睡眠中に呼吸ができなくなる睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome、以下「SAS」と省略)と呼ばれる症状が知られている。このようなSASの患者の代表的な症状の一つとして、睡眠時の気道閉塞が挙げられる。
【0003】
図1は、睡眠時の気道の状態を示す図である。図1(A)は、正常な人の気道の状態を、図1(B)はSASの患者の気道の状態をそれぞれ示している。
【0004】
図1(B)に示すように、SASの患者の場合、睡眠中に舌101や軟口蓋102が気道側に落ち込むことで、気道103が閉塞される。
【0005】
SASの発症により気道が閉塞され一時的に無呼吸状態となると、睡眠中の体内の酸素が欠乏することとなる。その結果、睡眠不足、頭痛、無気力などの諸症状を引き起こすとともに、深刻な場合にあっては、脳死や心不全による死亡に至ることもある。このため、SASの発症を早期に発見することは、極めて重要である。
【0006】
一方で、従来より、SASの発症を検知するための種々の監視装置が提案されている。例えば、米国特許第5,275,159号では、図2に示すように、各部位に複数のセンサを配し(201〜206)、ワイヤ(207)を介して、各センサから読み取られた心拍数、呼吸、いびきの有無、血中酸素濃度、姿勢等のデータを本体(208)に送信し、本体(208)においてこれらのデータを処理し、SASか否かを診断する構成が提案されている。
【特許文献1】米国特許第5,275,159号明細書
【非特許文献1】Oksenberg et al, Journal of Sleep Research, Vol. 15, No. 3, pp. 307−320(4)
【非特許文献2】Lee et al, Laryngoscope, 2007 Jun; Vol.117, No. 6,pp.1102−1106
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の場合、被検体の各部位に様々なセンサが取り付けられ、複数の配線を介してデータを送信する構成となっており、測定中、被検体は不快な思いを強いられることとなる。よって、普段の状況とことなる状況下での測定となり、睡眠の深度が異なるため、確度の高い診断の妨げになる場合がある。また、被検体が寝返りをうつことでこれらの配線が引っ張られると、センサの取り付け位置がずれたり、センサが外れたりするなど、測定自体に支障をきたすといった問題もある。
【0008】
SASの確定診断には、こういった複数のセンサを使用した装置による精密測定が必要であるが、被検体への負荷が大きいため、なかなか検査そのものが実施されなく、治療の必要な方そのものを見つけ出すことができていなかった。そこで、精密測定の必要性を判断するためのスクリーニング装置として、被検体への負荷が無くSASの発症の可能性を検知できる装置が求められている。
【0009】
一方で、近年、睡眠時の気道の閉塞と開顎との因果関係が着目されている。例えば、上記非特許文献1及び2では、両者の因果関係が証明されている。このため、SASか否かを診断するにあたっては、顎の開閉状態を検知することは有効であり、診断精度の向上にもつながると考えられる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、SASの診断において、被検体への負荷がなくSASの発症の可能性を検知するスクリーニング装置を実現することにより、最終的にSASの治療が必要な方を検出する確度の向上を図ることを目的とする。また、SASの診断において、簡易かつ安定した測定を実現する本発明による装置の情報を加味することにより、診断精度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る測定装置は以下のような構成を備える。即ち、
被検体の状態を測定する測定装置であって、
被検体の耳孔に挿入した場合に、該耳孔の内壁に嵌合する挿入部材と、
前記挿入部材を、前記耳孔内において挿入方向の所定の位置に保持するために、前記挿入部材の一端に接続された、前記耳孔の径よりも大きい径を有する保持部材と、
前記挿入部材に配され、該挿入部材が前記耳孔に挿入された状態で、前記被検体の顎の動きを検知する第1の検知手段と、
前記保持部材に配され、前記被検体の姿勢を検知する第2の検知手段と、
前記挿入部材に配され、前記被検体の音声を検知する第3の検知手段と、
前記第1の検知手段が検知することにより得られた第1の信号と、前記第2の検知手段が検知することにより得られた第2の信号と、前記第3の検知手段が検知することにより得られた第3の信号とを送信する送信手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、SASの診断において、簡易かつ安定した測定を実現するとともに、診断精度の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
1.測定装置の外観構成及び状態監視システムのシステム構成
図3は、本発明の一実施形態に係る測定装置(イヤーピース)の外観構成、及び、該イヤピースを備える状態監視システムのシステム構成を示す図である。以下、図3を用いて、状態監視システムのシステム構成及びイヤーピースの外観構成について説明する。
【0015】
(1)状態監視システムのシステム構成
図3に示すように、状態監視システムは、被検体の耳孔に装着されるイヤーピース300と、イヤーピース300において取得された信号を受信し、格納処理/信号処理を行う情報処理装置310とを備える。なお、イヤーピース300と情報処理装置310との間の信号の送受信は、無線により行われるものとする。
【0016】
このような構成により、被検体が寝返りをうった場合でも、配線が引っかかることはない。このため、測定中に、被検体が不快な思いをしなくて済むこととなる。また、イヤーピース300が被検体に対して安定して装着された状態を維持できるため、安定した測定を行うことが可能となる。
【0017】
(2)測定装置の外観構成
次に測定装置(イヤーピース300)の外観構成について説明する。図3に示すように、イヤーピース300は、挿入部300Aと保持部300Bとに大別される。
【0018】
挿入部300Aは、耳孔に挿入された状態で顎の動きや息/いびきから伝わる振動を的確に検出するために、耳孔に挿入した際に該耳孔の内壁に嵌合するよう構成されている。
【0019】
保持部300Bは、イヤーピース300の挿入部300Aを耳孔に挿入した際に、挿入方向の適切な位置でイヤーピース300が保持されるように、挿入部300Aの端部側に、耳孔の径より大きい径で形成され、かつ、外耳にフィットする丸みのある形状により形成されている。
【0020】
イヤーピース300の挿入部300Aには、第1の検知手段である圧電センサ302と、第3の検知手段であるマイクロフォン303が配されている。また、保持部300Bには、第2の検知手段である加速度センサ301が配されている。
【0021】
圧電センサ302は、挿入部300Aが耳孔に挿入された際に、外耳道から顎関節に最も近接した位置において、耳孔の内壁と接触するように挿入部300Aに配置されているため、被検体の顎の動きを検知することができる。このように睡眠時の気道の閉塞と因果関係にある顎の動きを検知可能な構成とすることで、SASの診断精度を向上させることができる。
【0022】
マイクロフォン303は、挿入部300Aが耳孔に挿入された際に、耳孔の内壁に接触するように配置されているため、呼吸やいびきの際に発生する音声を検知することができる。このように、呼吸やいびきの際に発生する音声を耳の内部において検知する構成とすることにより、外部にマイクロフォンを設置した場合と比べ、呼吸やいびきの際に発生する音声以外の音声(ベッドとマイクとの接触などにより発生する音等)を排除することが可能となる。この結果、呼吸及びいびきの有無を正確に検知することが可能となる。
【0023】
加速度センサ301は被検体の頭部の動き(姿勢)を3次元で検知する。
【0024】
2.状態監視システムの機能構成
図4は状態監視システムの機能構成を示す図である。以下、図4を用いて状態監視システムの機能構成について説明する。
【0025】
(1)イヤーピース300の機能構成
はじめにイヤーピース300の機能構成について説明する。301〜303は、それぞれ加速度センサ、圧電センサ、マイクロフォンである。なお、加速度センサ301、圧電センサ302、マイクロフォン303の詳細については、図3を用いて説明済みであるため、ここでは説明は省略する。
【0026】
401は電源部であり、加速度センサ301、圧電センサ302、マイクロフォン303、並びに送信部402に電源を供給する。
【0027】
402は送信部であり、加速度センサ301、圧電センサ302、マイクロフォン303と接続されている。送信部402は、加速度センサ301が検知することにより得られた信号(第2の信号)と、圧電センサ302が検知することにより得られた信号(第1の信号)と、マイクロフォン303が検知することにより得られた信号(第3の信号)とを、同期して情報処理装置310に無線送信する。
【0028】
(2)情報処理装置310の機能構成
次に、情報処理装置310の機能構成について説明する。411は受信部であり、送信部402より送信された各種信号を受信する。
【0029】
412は姿勢演算部であり、受信部411において受信した第2の信号に基づいて、被検体の姿勢が、仰向けであるのか、うつ伏せまたは横向きであるのかを判断する。また、判断結果を、“姿勢データ”として、時刻情報と対応付けてデータ格納部416に格納する。なお、送信部402からはほぼリアルタイムで受信部411に送信しても良いし、イヤーピース300に記憶部(不図示)を設けておいて、一旦当該記憶部に“姿勢データ”を時刻情報と対応付けて記憶しておき、所定量の姿勢データが記憶された場合にまとめて送信部402から受信部411に送信するようにしても良い。
【0030】
413は顎開閉検出部であり、受信部411において受信した第1の信号に基づいて、被検体の顎が開状態にあるのか、閉状態にあるのかを判断する。また、判断結果を、“顎開閉データ”として、時刻情報と対応付けてデータ格納部416に格納する。
【0031】
414は呼吸・いびき検出部であり、受信部411において受信した第3の信号に基づいて、被検体の呼吸の有無、及びいびきの有無を判断する。また、判断結果を、“呼吸・いびきデータ”として、時刻情報と対応付けてデータ格納部416に格納する。
【0032】
420はCPUであり、情報処理装置310全体を制御する。415はメモリであり、後述する測定アプリケーション421及び診断アプリケーション422が格納されている。測定アプリケーション421及び診断アプリケーション422はCPU420によって実行され、これにより後述する測定処理および診断処理を実現する。
【0033】
417はユーザが各種指示を入力する際に用いる入力部である。418は各種データを表示する表示部であり、LCD等の表示装置である。419はクロック部であり、受信した第1乃至第3の信号と対応付けられる時刻情報を提供する。
【0034】
3.情報処理装置における測定処理の流れ
次に、情報処理装置310における測定処理の流れについて説明する。測定アプリケーション421では、イヤーピース300より送信される第1乃至第3の信号に対して、所定の処理を施し、データ格納部に格納する測定処理を統括する。
【0035】
図5は、測定アプリケーション421における測定処理の流れを示すフローチャートである。測定アプリケーション421が実行開始されると、ステップS501では、CPU420が、入力部417を介してユーザより測定開始の指示を受信する。
【0036】
ステップS502では、CPU420が受信部411に対して、受信開始の指示を送信することにより、受信部411では信号(第1乃至第3の信号)の受信を開始する。これにより、イヤーピース300に配された各センサにおいて検知され、送信部402より送信された第1乃至第3の信号が、受信部411において受信される。なお、イヤーピース300の電源部401は情報処理装置310と別個に設けられており、電源部401がONされると、情報処理装置310の稼働状況に係わらず各センサが動作を開始し、信号が発信されるように構成されているものとする。
【0037】
ステップS503では、姿勢演算部412が第2の信号を処理し姿勢データを生成した後、該姿勢データを時刻情報と対応付けてデータ格納部416に格納する。また、顎開閉検出部413が第1の信号を処理し顎開閉データを生成した後、該顎開閉データを時刻情報と対応付けてデータ格納部416に格納する。更に、呼吸・いびき検出部414が第3の信号を処理し呼吸・いびきデータを生成した後、該呼吸・いびきデータを時刻情報と対応付けてデータ格納部416に格納する。
【0038】
ステップS504では、CPU420が、入力部417を介してユーザより測定終了の指示を受信したか否かを判断する。ステップS504において測定終了の指示を受信していないと判断した場合には、ステップS502に戻る。
【0039】
一方、ステップS504において、測定終了の指示を受信したと判断した場合には、測定処理を終了する。
【0040】
4.データ格納部に格納されたデータの説明
次に、データ格納部416に格納された姿勢データ、顎開閉データ、及び呼吸・いびきデータの詳細について説明する。
【0041】
図6Aは、データ格納部416に格納された姿勢データの一例を示す図である。図6Aにおいて、横軸は時刻情報を表わし、縦軸は仰向け状態かそれ以外の状態であるかを表わしている。
【0042】
図6Bは、データ格納部416に格納された顎開閉データの一例を示す図である。図6Bにおいて、横軸は時刻情報を表わし、縦軸は顎が開状態にあるのか閉状態にあるのかを表わしている。
【0043】
図6Cは、データ格納部416に格納された呼吸・いびきデータの一例を示す図である。図6Cにおいて、横軸は時刻情報を表わし、縦軸は呼吸なしの状態、呼吸ありの状態、いびきありの状態をそれぞれ表わしている。
【0044】
5.情報処理装置における診断処理の流れ
次に、情報処理装置310における診断処理の流れについて説明する。診断アプリケーション422では、データ格納部416に格納された各データを色分けして表示するとともに、各データに基づいて、舌または軟口蓋の落ち込みに起因する気道閉塞を原因とするSASが発症したか否かを診断する診断処理を統括する。
【0045】
図7は、診断アプリケーション422における診断処理の流れを示すフローチャートである。ステップS701では、データ格納部416に格納された姿勢データに基づいて、仰向け姿勢の時間帯を抽出する。図6Aに示す姿勢データの場合、22:00PMから23:00PM、7:00AMから9:00AMまでの時間帯が仰向け姿勢の時間帯として抽出される。
【0046】
ステップS702では、データ格納部416に格納された顎開閉データに基づいて、被検体の顎が開いた状態の時間帯を抽出する。図6Bに示す顎開閉データの場合、0:00AMから3:00AM、8:00AMから9:00AMまでの時間帯が顎が開いた状態の時間帯として抽出される。
【0047】
ステップS703では、ステップS701で抽出された時間帯と、ステップS702で抽出された時間帯とが、互いに重複するか否かを判定する。ステップS703において重複すると判定された場合には、ステップS704に進み、当該重複する時間帯に黄色を割り当てる。
【0048】
一方、ステップS703において重複しないと判定された場合には、ステップS705に進み、当該重複しない時間帯に青色を割り当てる。
【0049】
ステップS706では、データ格納部416に格納された呼吸・いびきデータに基づいて、被検体の呼吸が停止した時間帯があるか否かを判断する。
【0050】
ステップS706において、呼吸が停止した時間帯がないと判断された場合には、ステップS707に進む。ステップS707では、呼吸・いびきデータに基づいて、いびき有りの時間帯を抽出する。図6Cに示す呼吸・いびきデータの場合、8:00AMから9:00AMまでの時間帯が、いびき有りの時間帯として抽出される。
【0051】
また、ステップS708では、ステップS707において抽出された時間帯に濃い黄色を割り当てる。更に、ステップS709では、SASでないと診断する。
【0052】
一方、ステップS706において、呼吸が停止した時間帯があると判断された場合には、ステップS710に進む。ステップS710では、呼吸が停止した時間帯に赤色を割り当てる。図6Cに示す呼吸・いびきデータの場合、2:00AMから3:00AMまでの間に頻発しているそれぞれの時間帯が、呼吸が停止した時間帯として抽出される。
【0053】
ステップS711では、呼吸が停止した時間帯の発生頻度を計算し、所定の発生頻度以上か否かを判定する。
【0054】
ステップS711において、所定の発生頻度以上でないと判定された場合には、ステップS709に進み、SASでないと診断する。
【0055】
一方、ステップS711において、所定の発生頻度以上であると判定された場合には、ステップS712に進む。
【0056】
ステップS712では、呼吸が停止した時間帯の被検体の姿勢が仰向けであって、かつ顎が開状態にあるか否かを、姿勢データおよび顎開閉データに基づいて判断する。
【0057】
ステップS712において、呼吸が停止した時間帯の被検体の姿勢が仰向けであって、かつ顎が開状態にあると判断された場合には、ステップS713に進む。ステップS713では、舌または軟口蓋の落ち込みに起因する気道閉塞が原因のSASであると診断する。
【0058】
一方、ステップS712において、呼吸が停止した時間帯の被検体の姿勢が仰向けでない、あるいは顎が開状態でないと判断された場合には、ステップS714に進む。ステップS714では、舌または軟口蓋の落ち込みに起因する気道閉塞以外が原因のSASであると診断する。
【0059】
以上のように、診断処理が実行されることにより、呼吸が停止している時間帯には、赤色が割り当てられ、呼吸は停止していないが仰向けで顎が開き、いびきをかいている時間帯には、濃い黄色が割り当てられることとなる。また、呼吸は正常で仰向けで顎が開いているが、いびきをかいていない時間帯には、黄色が割り当てられることとなる。更に、仰向け以外の姿勢の時間帯または顎が閉じている時間帯には青色が割り当てられることとなる。このように色で識別された表示を用いることによって、瞬時に睡眠時の各時間帯における被検体の状態を理解することができるようになる。
【0060】
6.表示部における表示例
図8は、診断アプリケーション422により診断処理が行われ、各時間帯に色が割り当てられた後のデータの表示例を示す図である。
【0061】
図8に示すように、呼吸が停止している2:00AMから3:00AMの時間帯は、赤色で示される。また、仰向けで顎が開き、いびきをかいている8:00AMから9:00AMの時間帯は、濃い黄色で示される。
【0062】
更に、仰向けで顎が開いているが、いびきをかいていない0:00AMから2:00AMの時間帯及び6:00AMから8:00AMの時間帯は、黄色で示される。更に、仰向け以外の姿勢の状態または顎が閉じている21:00PMから0:00AM、3:00AMから6:00AMの時間帯は、青色で示される。
【0063】
7.本実施形態の使用例
次に、本実施形態に係る測定装置(イヤーピース)の使用例について図9を参照して説明する。図9は本実施形態に係る測定装置(イヤーピース)の使用例を示す図である。
【0064】
ユーザである被検体901はイヤーピース300を耳孔に挿入し、情報処理装置310を起動させ、そのまま就寝する。情報処理装置310では、睡眠中の被検者に挿入されたイヤーピース300から送信された信号を受信し続け、測定処理を行う。イヤーピース300は、耳の中に納まっており、配線なども無いため、被検体901が動いてもずれたり落下したりすることがない。このため、安定した測定を行うことができる。更に、被検体901も安心して睡眠をとることができる。
【0065】
また、被検体901が動いても、イヤーピース300は耳の中に挿入されているため、マイクロフォンが外部のまくら902やベッドなどと接触することはなく、それによる音声を排除することができる。
【0066】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、気道閉塞を原因とするSASの発生を診断するにあたり、イヤーピースに加速度センサと、圧電センサと、マイクロフォンとを配し、それぞれが検知した信号を情報処理装置に無線送信する構成とした。
【0067】
そして、イヤーピースより無線送信された信号に基づいて、被検体の姿勢(仰向けか否か)、顎の開閉状態、いびき・呼吸の有無を判断し、判断結果に基づいて、舌または軟口蓋の落ち込みに起因する気道閉塞を原因とするSASであるか否かを診断する構成とした。
【0068】
この結果、SASの診断において、簡易かつ安定した測定を実現するとともに、診断精度の向上を図ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】睡眠時の気道の状態を示す図である。
【図2】SASの発症を検知するための従来の監視装置の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る測定装置(イヤーピース)の外観構成、及び、該イヤピースを備える状態監視システムのシステム構成を示す図である。
【図4】状態監視システムの機能構成を示す図である。
【図5】測定アプリケーション421における測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図6A】データ格納部416に格納された姿勢データの一例を示す図である。
【図6B】データ格納部416に格納された顎開閉データの一例を示す図である。
【図6C】データ格納部416に格納されたいびき・呼吸データの一例を示す図である。
【図7】診断アプリケーション422における診断処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】診断アプリケーション422により診断処理が行われ、各時間帯に色が割り当てられた後のデータの表示例を示す図である。
【図9】本実施形態に係る測定装置(イヤーピース)の使用例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の状態を測定する測定装置であって、
被検体の耳孔に挿入した場合に、該耳孔の内壁に嵌合する挿入部材と、
前記挿入部材を、前記耳孔内における挿入方向の所定の位置に保持するために、前記挿入部材の一端に接続された、前記耳孔の径よりも大きい径を有する保持部材と、
前記挿入部材に配され、該挿入部材が前記耳孔に挿入された状態で、前記被検体の顎の動きを検知する第1の検知手段と、
前記保持部材に配され、前記被検体の姿勢を検知する第2の検知手段と、
前記挿入部材に配され、前記被検体の音声を検知する第3の検知手段と、
前記第1の検知手段が検知することにより得られた第1の信号と、前記第2の検知手段が検知することにより得られた第2の信号と、前記第3の検知手段が検知することにより得られた第3の信号とを送信する送信手段と
を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記第1の検知手段は圧電センサであり、前記第2の検知手段は加速度センサであり、前記第3の検知手段はマイクロフォンであることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された測定装置の送信手段により送信された第1乃至第3の信号を受信する受信手段と、
前記第1乃至第3の信号を、時刻情報と対応付けて格納する格納手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
前記受信手段により受信された前記第2の信号に基づいて、前記被検体の姿勢が、仰向けの状態であるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記受信手段により受信された前記第1の信号に基づいて、前記被検体の顎が開いている状態か否かを判定する第2の判定手段と、
前記受信手段により受信された前記第3の信号に基づいて、前記被検体の呼吸及びいびきの有無を判定する第3の判定手段と
を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記格納手段に格納された前記第1乃至第3の信号を、前記第1乃至第3の判定手段におけるそれぞれの判定結果に応じて時間帯ごとに色分けして表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の判定手段により仰向けの状態であると判定された時間帯であって、前記第2の判定手段により顎が開いていると判定され、かつ前記第3の判定手段により呼吸が無いと判定された時間帯が、所定の頻度以上あった場合に、前記被検体を、舌または軟口蓋の落ち込みに起因する気道閉塞が原因の睡眠時無呼吸症候群であると診断する診断手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載された測定装置の送信手段により送信された第1乃至第3の信号を受信する受信工程と、
前記第1乃至第3の信号を、時刻情報と対応付けて格納する格納工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
前記受信工程において受信された前記第2の信号に基づいて、前記被検体の姿勢が、仰向けの状態であるか否かを判定する第1の判定工程と、
前記受信工程において受信された前記第1の信号に基づいて、前記被検体の顎が開いている状態か否かを判定する第2の判定工程と、
前記受信工程において受信された前記第3の信号に基づいて、前記被検体の呼吸の有無を判定する第3の判定工程と
を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記格納工程において格納された前記第1乃至第3の信号を、前記第1乃至第3の判定工程におけるそれぞれの判定結果に応じて時間帯ごとに色分けして表示する表示工程を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記第1の判定工程において仰向けの状態であると判定された時間帯であって、前記第2の判定工程において顎が開いていると判定され、かつ前記第3の判定工程において呼吸が無いと判定された時間帯が、所定の頻度以上あった場合に、前記被検体を、舌または軟口蓋の落ち込みに起因する気道閉塞が原因の睡眠時無呼吸症候群であると診断する診断工程を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに請求項7乃至10のいずれか1項に記載の情報処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】
コンピュータに請求項7乃至10のいずれか1項に記載の情報処理方法を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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