説明

測定装置および測定方法、並びにプログラム

【課題】測定スピードを飛躍的に向上する。
【解決手段】検索部53は、周波数方向の第1の間隔の測定点で測定された第1の測定値から、極大値または極小値である極値を検索する。測定制御部52は、測定部31を制御し、測定部31に、第1の測定値から検索された極値を含む周波数の範囲を第1の間隔に比較して狭い予め定められた第2の間隔の予め定められた数の測定点で測定させる。検索部53は、第2の間隔の測定点で測定された第2の測定値から極大値または極小値である極値を検索する。象限周波数測定ポイント追加部55は、第2の測定値から検索された極値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、第1の間隔に比較して狭い予め定められた第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定する。本発明はインピーダンスアナライザに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定装置および測定方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器や素子の開発の現場では、電気回路や素子などの電気的特性を測定する測定装置が用いられている。測定対象となる電気的特性には、周波数毎のインピーダンスや共振周波数などがある。
【0003】
従来、共振周波数と共振周波数におけるインピーダンスは次のように測定される。まず、掃引周波数の設定モードが選択される。選択された設定モードによってstart-stop,start-step,center-spanの値が設定される。start-stepに変換して、掃引点の設定値が算出される。
【0004】
図6は、START-STOP LOG分割で掃引設定を設定した場合の測定結果を示す図である。図6において、ステップ幅stepは、log10(stop)-log10(start)/(掃引点数-1)である。掃引点は、10の(log(start)+step*i)乗(i=0〜掃引点数-1)である。
【0005】
図6中において丸で囲った部分は、等価回路推定を行うに当たり、測定密度を増して測定したい周波数エリアを示している。このエリアの測定密度が低いと、前後の測定値から直線補間することになるが、直線で近似できない場合、等価回路推定を行う上で推定精度が悪くなってしまう。
【0006】
また、圧電共振子の減衰特性を測定する場合、減衰量の変化が急激である周波数の領域の測定の周波数ステップを小さくして測定ポイントを従来より増やす周波数特性測定装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−352162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、掃引設定をスタート点とステップ幅から自動的に設定すると一定のステップ幅で測定が行われてしまう。この方法では共振周波数やそのときの測定値を求めたい場合には、共振周波数付近の測定密度が足りなくなり、共振周波数付近をもう一度測定する必要性がでてくる。
【0009】
このため測定時間が長くなる。
【0010】
理想的には、共振点付近の測定密度のみ増したいが、手動で1ポイントごと掃引設定することは作業量が膨大になり実用上難しい。
【0011】
そこで、本発明は、前記課題を解決すること、すなわち、測定スピードを飛躍的に向上できる測定装置および測定方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明の測定装置の一側面は、測定対象の電気的特性を周波数に対して離散的に測定する測定装置であって、周波数方向の第1の間隔の測定点で測定された第1の測定値から、極大値または極小値である極値を検索する検索手段と、第1の測定値から検索された極値を含む周波数の範囲を第1の間隔に比較して狭い予め定められた第2の間隔の予め定められた数の測定点で測定する測定手段とを有し、検索手段は、第2の間隔の測定点で測定された第2の測定値から極大値または極小値である極値を検索し、第2の測定値から検索された極値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、第1の間隔に比較して狭い予め定められた第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定する設定手段をさらに有するものとされている。
【0013】
また、上述の構成に加えて、測定手段が、極値として極大値および極小値が検索された場合、極小値を含む周波数の範囲を第2の間隔の予め定められた数の測定点で測定し、検索手段が、極小値を含む周波数の範囲を測定して得られた第2の測定値から極小値を検索し、設定手段が、極小値を含む周波数の範囲を測定して得られた第2の測定値から検索された極小値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定し、さらに、測定手段が、極大値を含む周波数の範囲を第2の間隔の予め定められた数の測定点で測定し、検索手段が、極大値を含む周波数の範囲を測定して得られた第2の測定値から極大値を検索し、設定手段が、極大値を含む周波数の範囲を測定して得られた第2の測定値から検索された極大値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定するものとされている。
【0014】
また、本発明の測定方法の一側面は、測定対象の電気的特性を周波数に対して離散的に測定する測定方法であって、周波数方向の第1の間隔の測定点で測定された第1の測定値から、極大値または極小値である極値を検索する第1の検索ステップと、第1の測定値から検索された極値を含む周波数の範囲を第1の間隔に比較して狭い予め定められた第2の間隔の予め定められた数の測定点で測定する測定ステップと、第2の間隔の測定点で測定された第2の測定値から極大値または極小値である極値を検索する第2の検索ステップと、第2の測定値から検索された極値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、第1の間隔に比較して狭い予め定められた第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定する設定ステップとを含むものとされている。
【0015】
さらに、本発明のプログラムの一側面は、測定対象の電気的特性を周波数に対して離散的に測定するコンピュータに、周波数方向の第1の間隔の測定点で測定された第1の測定値から、極大値または極小値である極値を検索する第1の検索ステップと、第1の測定値から検索された極値を含む周波数の範囲を第1の間隔に比較して狭い予め定められた第2の間隔の予め定められた数の測定点で測定する測定ステップと、第2の間隔の測定点で測定された第2の測定値から極大値または極小値である極値を検索する第2の検索ステップと、第2の測定値から検索された極値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、第1の間隔に比較して狭い予め定められた第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定する設定ステップとを含む処理を行わせるものとされている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、測定スピードを向上できる測定装置および測定方法、並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】測定装置のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】制御部32の機能の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】測定点を説明する図である。
【図4】掃引設定の処理を説明するフローチャートである。
【図5】コンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【図6】測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態の測定装置について、図1〜図5を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、測定装置のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。測定装置11は、例えば、インピーダンスアナライザまたはLCRメータなどであり、専用の測定装置とされるか、または各種の機器に組み込まれ、測定の対象である被測定回路12の電気的特性を離散的な測定点(以下、測定ポイントとも称する。)により測定する。被測定回路12は、電気回路や素子などである。測定された測定点は、インピーダンスまたは電流値などの測定値と周波数とを示す。以下、測定値としてインピーダンスを例に説明する。
【0020】
測定装置11は、測定部31、制御部32、操作部33、表示部34、および記憶部35からなる。測定部31は、所定の周波数の電圧を被測定回路12に印加するか、所定の周波数の電流を被測定回路12に流すなどして、被測定回路12に接続される端子に流れる電流や端子間の電圧を取得する。制御部32は、専用の集積回路、マイクロコンピュータ、または組み込み型のマイクロプロセッサなどからなり、操作部33からの信号を基に、測定部31、制御部32、表示部34、および記憶部35を制御する。操作部33は、スイッチ、ダイヤル、タッチパネルの入力部などからなり、ユーザによって操作されると、その操作に応じた信号を制御部32に供給する。
【0021】
表示部34は、液晶表示装置または有機EL(electroluminescence)表示装置などからなり、制御部32の指示に応じて、各種の情報を表示する。記憶部35は、半導体メモリやハードディスクドライブなどからなり、制御部32から供給された各種の情報を記憶する。
【0022】
図2は、制御部32の機能の構成の一例を示すブロック図である。すなわち、制御部32は、設定取得部51、測定制御部52、検索部53、極値測定ポイント追加部54、および象限周波数測定ポイント追加部55を有する。
【0023】
設定取得部51は、ユーザの操作に応じた信号を操作部33から取得することで、測定の設定を取得する。
【0024】
測定制御部52は、測定部31を制御し、測定部31に、所定の周波数の電圧を被測定回路12に印加させるとともに、被測定回路12に接続される端子に流れる電流などを取得させ、これにより、測定の設定に応じた測定点の測定値を取得する。
【0025】
検索部53は、測定値から、極大値または極小値である極値を検索する。極値測定ポイント追加部54は、検索された極値を含む周波数の範囲に、予め定められたより狭い間隔(以下、スパンとも称する。)の予め定められた数の測定点を追加する。測定制御部52は、追加された測定点の測定値を取得する。検索部53は、極値を含む周波数の範囲に追加された、より狭い間隔の測定点の測定値から、極大値または極小値である極値を検索する。
【0026】
象限周波数測定ポイント追加部55は、より狭い間隔の測定点の測定値から検索された極値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲に、予め定められたより狭い間隔の予め定められた数の測定点を設定する。
【0027】
すなわち、検索部53が、測定値から、極大値または極小値である極値を検索すると、極値測定ポイント追加部54は、図3の、枠Aに囲まれている一点鎖線に示される、検索された極値を含む周波数の範囲に、予め定められたより狭い間隔の予め定められた数の測定点を追加する。
【0028】
そして、追加された測定点の測定値が取得され、検索部53が、極値を含む周波数の範囲に追加された、より狭い間隔の測定点の測定値から、極大値または極小値である極値を検索すると、象限周波数測定ポイント追加部55は、図3の枠Bに囲まれている一点鎖線および枠Cに囲まれている一点鎖線に示される、より狭い間隔の測定点の測定値から検索された極値の周波数の象限周波数(たとえば、極大値の1/√2の値、または極小値の√2倍の値)を含む周波数の範囲に、予め定められたより狭い間隔の予め定められた数の測定点を設定する。
【0029】
次に、図4のフローチャートを参照して、掃引設定の処理を説明する。ステップS11において、設定取得部51は、ユーザの操作に応じた信号を操作部33から取得することで、測定密度を向上させたい極値の選択を設定する。ここで極値として選択されるのは、極大値であるか、極小値であるか、または極小値および極大値である。
【0030】
ステップS12において、設定取得部51は、ユーザの操作に応じた信号を操作部33から取得することで、高密度測定を行う際の極値付近のスパン(測定点の間隔)と測定ポイント数(測定点の数)を設定する。すなわち、設定取得部51は、選択した極値付近でどのぐらいのスパン間隔で何ポイント測定したいのかを設定する。ステップS13において、設定取得部51は、ユーザの操作に応じた信号を操作部33から取得することで、高密度測定を行う際の象限周波数付近のスパン(測定点の間隔)と測定ポイント数(測定点の数)を設定する。すなわち、設定取得部51は、象限周波数付近でどのぐらいのスパン間隔で何ポイント測定したいのかを設定する。
【0031】
ステップS14において、測定制御部52は、測定の設定に応じて測定部31を制御し、低密度のスパン間隔(測定点の間隔)でDUT(Device Under Test)である被測定回路12をZ−θ測定する(被測定回路12のインピーダンスと位相角とを測定する)。すなわち、低密度のスパン間隔で荒めに(粗め)に周波数特性が取得される。
【0032】
ステップS15において、検索部53は、ステップS14の測定の結果から、測定密度を向上させたい極値を検索する(低密度のスパン間隔で荒めに(粗め)に取得された周波数特性からステップS11で選択された極値となる測定ポイントを検索する)。すなわち、検索部53は、周波数方向の所定の間隔の測定点で測定された測定値から、極大値または極小値である極値を検索する。
【0033】
ステップS16において、極値測定ポイント追加部54は、検索された極値が極小値または極小値および極大値であるか、検索された極値が極大値であるか、または極値が検出さなかったかを判定する。ステップS16において、検索された極値が極大値であると判定された場合、手続はステップS17に進み、極値測定ポイント追加部54は、反共振周波数を取得する。
【0034】
ステップS18において、極値測定ポイント追加部54は、反共振周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS12の手続で設定したスパンより大きいか否かを判定する。ステップS18において、反共振周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS12の手続で設定したスパンより大きいと判定された場合、手続はステップS19に進み、極値測定ポイント追加部54は、反共振周波数となった測定ポイントの前後の周波数範囲でステップS12の手続で設定されたスパン間隔で掃引周波数を設定する。より具体的には、極値測定ポイント追加部54は、反共振周波数となる測定ポイントの1つ前の測定点にステップS12の手続で設定したスパン間隔の測定ポイントを新たに追加する。なおこの例の場合、この周波数範囲で設定されるポイントの数は、ステップS12の手続で設定された測定ポイント数内となる。
【0035】
ステップS20において、測定制御部52は、ステップS19の手続での測定の設定に応じて測定部31を制御し、変更した周波数範囲のみ再度測定する。すなわち、測定制御部52は、ステップS19の手続での測定の設定に応じて高密度の測定点の間隔(ステップS14での測定の間隔に比較して狭い間隔)で被測定回路12のインピーダンスと位相角とを測定する。
【0036】
ステップS21において、検索部53は、ステップS20の手続での測定結果から極大値を検索する。ステップS22において、検索部53は、反共振周波数とその時の測定値を取得し、手続はステップS23に進む。
【0037】
ステップS18において、反共振周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS12の手続で設定したスパンより大きくないと判定された場合、ステップS19〜ステップS22はスキップされて、手続はステップS23に進む。
【0038】
ステップS23において、象限周波数測定ポイント追加部55は、象限周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS13の手続で設定したスパンより大きいか否か(ステップS22の手続で取得された反共振周波数の時の測定値の1/√2の値が測定値となるときの周波数(象限周波数)をまたぐ前後の周波数範囲がステップS13の手続で設定したスパン間隔より大きいか否か)を判定する。ステップS23において、象限周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS13の手続で設定したスパンより大きいと判定された場合、手続はステップS24に進み、象限周波数測定ポイント追加部55は、象限周波数となった測定ポイントの前後の周波数範囲でステップS13の手続で設定されたスパン間隔で掃引周波数を設定し、掃引設定の処理は終了する。すなわち、ステップS24において、象限周波数測定ポイント追加部55は、象限周波数となる測定ポイントの1つ前の測定点にステップS13の手続で設定したスパン間隔の測定ポイントを新たに追加する。なおこの例の場合、この周波数範囲で設定されるポイントの数は、ステップS13の手続で設定された測定ポイント数内となる。
【0039】
ステップS23において、象限周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS13の手続で設定したスパンより大きくないと判定された場合、ステップS24はスキップされて、掃引設定の処理は終了する。
【0040】
ステップS16において、検索された極値が極小値または極小値および極大値であると判定された場合、すなわち、極小値が発見されたか、または極小値と極大値が発見された場合、手続はステップS25に進み、極値測定ポイント追加部54は、共振周波数を取得する。
【0041】
ステップS26において、極値測定ポイント追加部54は、共振周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS12の手続で設定したスパンより大きいか否かを判定する。ステップS26において、共振周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS12の手続で設定したスパンより大きいと判定された場合、手続はステップS27に進み、極値測定ポイント追加部54は、共振周波数となった測定ポイントの前後の周波数範囲でステップS12の手続で設定されたスパン間隔で掃引周波数を設定する。この場合、極値測定ポイント追加部54は、共振周波数となる測定ポイントの1つ前の測定点にステップS12の手続で設定したスパン間隔の測定ポイントを新たに追加する。なおこの例の場合、この周波数範囲で設定されるポイントの数は、ステップS12の手続で設定された測定ポイント数内となる。
【0042】
ステップS28において、測定制御部52は、ステップS27の手続での測定の設定に応じて測定部31を制御し、変更した周波数範囲のみ再度測定する。すなわち、測定制御部52は、ステップS27の手続での測定の設定に応じて高密度の測定点の間隔(ステップS14での測定の間隔に比較して狭い間隔)で被測定回路12のインピーダンスと位相角とを測定する。
【0043】
ステップS29において、検索部53は、ステップS28の手続での測定結果から極小値を検索する。ステップS30において、検索部53は、共振周波数とその時の測定値を取得し、手続はステップS31に進む。
【0044】
ステップS26において、共振周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS12の手続で設定したスパンより大きくないと判定された場合、ステップS27〜ステップS30はスキップされて、手続はステップS31に進む。
【0045】
ステップS31において、象限周波数測定ポイント追加部55は、象限周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS13の手続で設定したスパンより大きいか否か(ステップS30の手続で取得された共振周波数の時の測定値の√2倍の値が測定値となるときの周波数(象限周波数)をまたぐ前後の周波数範囲がステップS13の手続で設定したスパン間隔より大きいか否か)を判定する。ステップS31において、象限周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS13の手続で設定したスパンより大きいと判定された場合、手続はステップS32に進み、象限周波数測定ポイント追加部55は、象限周波数となった測定ポイントの前後の周波数範囲でステップS13の手続で設定されたスパン間隔で掃引周波数を設定し、手続はステップS33に進む。すなわち、ステップS32において、象限周波数測定ポイント追加部55は、象限周波数となる測定ポイントの1つ前の測定点にステップS13の手続で設定したスパン間隔の測定ポイントを新たに追加する。なおこの例の場合、この周波数範囲で設定されるポイントの数は、ステップS13の手続で設定された測定ポイント数内となる。
【0046】
ステップS31において、象限周波数となった測定ポイントの前後の周波数幅がステップS13の手続で設定したスパンより大きくないと判定された場合、ステップS32はスキップされて、手続はステップS33に進む。
【0047】
ステップS33において、極値測定ポイント追加部54は、検索された極値が極小値および極大値であるか否かを判定する。ステップS33において、検索された極値が極小値および極大値であると判定された場合、手続はステップS18に進み、上述した手続が行われる。
【0048】
ステップS33において、検索された極値が極小値および極大値でないと判定された場合、掃引設定の処理は終了する。
【0049】
以上のように、良否判定に必要となる共振周波数または/および反共振周波数付近の測定密度、等価回路推定の推定精度に影響する象限周波数付近の測定密度を自動的に高くすることができるため、操作性が格段に向上し、それに伴い不要となる測定ポイントにおいて測定を行わないことになるので、測定スピードを飛躍的に向上させることができる。
【0050】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0051】
図5は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0052】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read Only Memory)202,RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。
【0053】
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部206、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部207、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部208、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部209、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動するドライブ210が接続されている。
【0054】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0055】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア211に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0056】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208に記憶することで、コンピュータにインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208に記憶することで、コンピュータにインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208にあらかじめ記憶しておくことで、コンピュータにあらかじめインストールしておくことができる。
【0057】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0058】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
11…測定装置、31…測定部、32…制御部、33…操作部、34…表示部、35…記憶部、51…設定取得部、52…測定制御部、53…検索部、54…極値測定ポイント追加部、55…象限周波数測定ポイント追加部、201…CPU、202…ROM、203…RAM、208…記憶部、211…リムーバブルメディア


【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の電気的特性を周波数に対して離散的に測定する測定装置において、
周波数方向の第1の間隔の測定点で測定された第1の測定値から、極大値または極小値である極値を検索する検索手段と、
前記第1の測定値から検索された前記極値を含む周波数の範囲を前記第1の間隔に比較して狭い予め定められた第2の間隔の予め定められた数の測定点で測定する測定手段と
を有し、
前記検索手段は、前記第2の間隔の前記測定点で測定された第2の測定値から極大値または極小値である極値を検索し、
前記第2の測定値から検索された前記極値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、前記第1の間隔に比較して狭い予め定められた第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定する設定手段をさらに有する
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置において、
前記測定手段は、前記極値として前記極大値および前記極小値が検索された場合、前記極小値を含む周波数の範囲を前記第2の間隔の予め定められた数の前記測定点で測定し、
前記検索手段は、前記極小値を含む周波数の範囲を測定して得られた前記第2の測定値から前記極小値を検索し、
前記設定手段は、前記極小値を含む周波数の範囲を測定して得られた前記第2の測定値から検索された前記極小値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、前記第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定し、
さらに、
前記測定手段は、前記極大値を含む周波数の範囲を前記第2の間隔の予め定められた数の前記測定点で測定し、
前記検索手段は、前記極大値を含む周波数の範囲を測定して得られた前記第2の測定値から前記極大値を検索し、
前記設定手段は、前記極大値を含む周波数の範囲を測定して得られた前記第2の測定値から検索された前記極大値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、前記第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定する
ことを特徴とする測定装置。
【請求項3】
測定対象の電気的特性を周波数に対して離散的に測定する測定方法において、
周波数方向の第1の間隔の測定点で測定された第1の測定値から、極大値または極小値である極値を検索する第1の検索ステップと、
前記第1の測定値から検索された前記極値を含む周波数の範囲を前記第1の間隔に比較して狭い予め定められた第2の間隔の予め定められた数の測定点で測定する測定ステップと、
前記第2の間隔の前記測定点で測定された第2の測定値から極大値または極小値である極値を検索する第2の検索ステップと、
前記第2の測定値から検索された前記極値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、前記第1の間隔に比較して狭い予め定められた第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定する設定ステップと
を含むことを特徴とする測定方法。
【請求項4】
測定対象の電気的特性を周波数に対して離散的に測定するコンピュータに、
周波数方向の第1の間隔の測定点で測定された第1の測定値から、極大値または極小値である極値を検索する第1の検索ステップと、
前記第1の測定値から検索された前記極値を含む周波数の範囲を前記第1の間隔に比較して狭い予め定められた第2の間隔の予め定められた数の測定点で測定する測定ステップと、
前記第2の間隔の前記測定点で測定された第2の測定値から極大値または極小値である極値を検索する第2の検索ステップと、
前記第2の測定値から検索された前記極値の周波数の象限周波数を含む周波数の範囲について、前記第1の間隔に比較して狭い予め定められた第3の間隔の予め定められた数の測定点を設定する設定ステップと
を含む処理を行わせるプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−40902(P2013−40902A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179742(P2011−179742)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】