説明

測定装置及びそれを用いた測定方法

【課題】使用済みデバイスが再度測定に使用されることを抑制することができる測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置は、被検物質を含む試料を保持するためのキャビティを有する測定デバイスを取付ける測定デバイス取付け部と、試料を測定デバイス取付け部に取付けられた測定デバイスのキャビティ内に吸入するための試料吸引手段と、キャビティに入射する光を出射する光源と、キャビティから出射する光を受光する受光器と、受光器による受光量に基づいて試料中に含まれる被検物質の濃度を出力する演算部と、測定デバイス取付け部に取付けられた測定デバイスの表面に対して測定デバイスの表面の光透過率を低下させる処理を施す光透過率変更手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中に含まれる被検物質を検出し、分析するための測定装置及びそれを用いた測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、臨床検査分野において使用される測定機器として、主に、大規模自動化機器およびPOCT(Point or Care Testingの略である。)機器がある。
上述の大規模自動化機器は、病院の中央臨床検査部門、または臨床検査受託業務を中心とする会社に設置されており、多数の患者の検体を多項目に亘り検査することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
大規模自動化機器として、例えば、(株)日立製作所製の7170型大型自動化機器がある。この(株)日立製作所製の7170型大型自動化機器は、最大36項目について毎時800テストの検査を完了することができる。従って、検査の効率化に大きく貢献しており、多くの被検者を抱える病院向きの検査装置である。
一方、上述のPOCT機器とは、病院の検査室や検査センターを除く医療現場で行われる臨床検査において用いられる機器を示し、在宅医療において用いられる機器も含まれる(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。
【0004】
このPOCT機器として、例えば、血糖センサ、妊娠診断薬、排卵検査薬、HbAlc・微量アルブミン測定装置(例えば、バイエル製DCA2000)等が挙げられる。これらのPOCT機器は、上述の大規模自動化機器に比較して汎用性には乏しいが、ある病態に特異的なマーカー物質にフォーカスして、このマーカー物質を簡易・迅速に測定することができる。このため、被験者のスクリーニングやモニタリングに効果的である。また、POCT機器は小型であるため、携帯性に優れ、低コストで導入することができる。さらに、POCT機器は操作性においても特に専門性を必要とせず、誰にでも容易に用いられる。
【0005】
現在、臨床検査における測定項目は多く存在するが、尿等の体液を検体とする場合の測定方式については、主に、光学式測定方式と、電気化学式測定方式の2つに大別される。上述の大規模自動化機器およびPOCT機器においても、光学式測定方式、または電気化学式測定方式を用いて測定が行われている。
近年、医療費の高騰や生活習慣病患者の増大が医療経済を圧迫しており、医療費削減や生活習慣病患者数の抑制が社会的課題となっている。これらの課題の抜本的な解決策の一つとして、根拠に基づいた医療(以下、EBMと記す。なお、EBMは、Evidence Based-Medicalの略である。)が検討されている。EBMを行うことにより、患者個々に応じて客観的に医療をマネジメントすることが可能となり、予防医療の実践により、特に生活習慣病患者数の抑制等に効果が生じるものと期待されている。
【0006】
EBMの確立および実践のためには、医療検査による検査情報は欠かせない。EBMにおける検査情報は、検査結果とそれに基づく患者へのソリューションとを含む。ここで、患者へのソリューションとは、食事管理等の生活習慣指導や薬物治療等を指す。すなわち、EBMにおける検査の位置付けは、医療を受ける者に対する「課題の設定」と「方針の決定」である。EBMにおいて、より安心、安全で、より充実したソリューションを提供するためには、医療を受けようとしている者に対して、課題を明確に提示する必要がある。従って、臨床検査において、互いに関係のある複数の検査項目について、それぞれの検査結果を簡易に、かつ迅速に知ることが重要である。
【0007】
上述のように、大規模自動化機器は汎用性を有し、病態への関連性の有無に関らず多くの項目を検査することができる。しかし、機器の構成が複雑であるため、専門知識を有する者以外は操作をすることが困難であり、さらに検査結果が得られるまでに時間がかかる、すなわち被験者に結果をフィードバックするために長時間を要するという問題がある。
また、POCT機器は、操作性に優れ、簡易かつ迅速に検査を行うことができる。しかし、特定の病態に関連するマーカーを専用とする測定機器であるため、複数の項目を検査することはできないという問題がある。
【0008】
これらの問題を解決するためのデバイスとして、試料液が流入するキャビティを備え、キャビティ内に試料の電気的特性を測定する電極構造と、抗体や酵素等の試薬とを有し、キャビティ内を光学的に測定可能なようにキャビティの壁が透明である生化学または臨床試験に使用されるデバイスが提案されている。
【特許文献1】特開平9−127126号公報
【特許文献2】特開平7−248310号公報
【特許文献3】特開平3−046566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような従来構成のキャビティ内に試料液を流入させて、それを光学的に測定するデバイスでは、一度測定に使用したデバイスが誤って再度測定に使用されると、正しい測定結果が得られない可能性がある。
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、一度測定に使用したデバイスに、特定の処理を施すことによって、使用済みデバイスが再度測定に使用されることを抑制することが可能な測定装置及びそれを用いた測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するため、本発明の測定装置は、
被検物質を含む試料を保持するためのキャビティを有する測定デバイスを取付ける測定デバイス取付け部と、
前記試料を前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの前記キャビティ内に吸入するための試料吸引手段と、
前記キャビティに入射する光を出射する光源と、
前記キャビティから出射する前記光を受光する受光器と、
前記受光器による受光量に基づいて前記試料中に含まれる前記被検物質の濃度を出力する演算部と、
前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの表面に対して前記測定デバイスの表面の光透過率を低下させる処理を施す光透過率変更手段と、
を備える。
【0011】
また、本発明は、被検物質を含む試料を保持するためのキャビティを有する測定デバイスが取付けられた測定装置の測定方法であって、
(A)前記試料を前記測定デバイスのキャビティ内に吸入する工程と、
(B)前記キャビティに光を入射させる工程と、
(C)前記キャビティから出射した前記光を受光する工程と、
(D)前記工程(C)において受光された量に基づいて前記試料中に含まれる前記被検物質の濃度を出力する工程と、
(E)前記工程(D)の後、前記測定デバイスの表面に対して前記測定デバイスの表面の光透過率を低下させる処理を施す工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一度測定に使用したデバイスの表面に対して前記測定デバイスの表面の光透過率を低下させる処理を施すことによって、使用済みデバイスが再度測定に使用されることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の測定装置は、被検物質を含む試料を保持するためのキャビティを有する測定デバイスを取付ける測定デバイス取付け部と、
前記試料を前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの前記キャビティ内に吸入するための試料吸引手段と、
前記キャビティに入射する光を出射する光源と、
前記キャビティから出射する前記光を受光する受光器と、
前記受光器による受光量に基づき前記試料中に含まれる前記被検物質の濃度を出力する演算部と、
前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの表面に対して前記測定デバイスの表面の光透過率を低下させる処理を施す光透過率変更手段と、
を備える。
【0014】
上記光透過率変更手段による光透過率を低下させる処理は、測定デバイスが使用済みであることを見分けるために行うものであり、一度測定に使用された測定デバイスに対して行われる。これにより、使用済みの測定デバイスが再度測定に使用されることを抑制することができる。
【0015】
本発明の測定装置は、さらに、受光器による受光量に基づいて、測定デバイス取付け部に取付けられた測定デバイスが使用可能であるか否かを判定する判定手段を備えることが好ましい。
このようにすると、測定デバイス取付け部に取付けられた測定デバイスが使用可能であるか否かを自動的に見分けることができるため、使用済みの測定デバイスが再度測定に使用されることをより確実に抑制することができる。
【0016】
本発明の測定装置は、さらに、上記の判定手段により測定デバイス取付け部に取付けられた測定デバイスが使用可能でないと判定された際に警報を報知する報知手段を備えることが好ましい。
このようにすると、測定デバイス取付け部に取付けられた測定デバイスが使用可能でないことを、警報によりユーザが容易に知ることができるので、使用済みの測定デバイスが再度測定に使用されることをさらに確実に抑制することができる。
報知手段としては、音による警報を報知するブザー、音声による警報を報知するスピーカ、メッセージを表示することにより警報を報知するディスプレイ等が挙げられる。
【0017】
ここで、光透過率変更手段は、測定デバイス取付け部に取付けられた測定デバイスの表面における光源と対向する部分または受光器と対向する位置に、上記の処理を施すことが好ましい。
光透過率変更手段は、測定デバイス表面の光透過率を低下させるために、測定デバイスの表面を切削する切削部材を備えるのが好ましい。切削部材としては、金属チップ等が挙げられる。金属チップは、鋭利な先端部を有することが好ましい。金属チップの材料としては、工具鋼や超硬合金等が挙げられる。
【0018】
光透過率変更手段は、測定デバイス表面の光透過率を低下させるために、測定デバイスの表面を研削する研削部材を備えるのが好ましい。測定デバイスの表面における光透過率を低下させることができる。研削部材としては、炭化珪素等の研削材料で形成された研削チップが挙げられる。
光透過率変更手段は、測定デバイス表面の光透過率を低下させるために、測定デバイスの表面を熱溶融する熱溶融部材を備えるのが好ましい。ここで、熱溶融部材は、例えば、測定デバイスの表面に押し当てられる金属チップと、この金属チップを加熱する発熱体とを有する。金属チップの材料としては、銅等の熱伝導性の高い金属材料が挙げられる。また、発熱体の材料としては、ニクロム線等が挙げられる。
【0019】
光透過率変更手段は、測定デバイス表面の光透過率を低下させるために、測定デバイスの表面を着色する着色手段を備えるのが好ましい。着色手段としては、例えば、測定デバイスの表面にインクを噴射するインク噴射手段や、測定デバイスの表面にインクを塗布する着色スタンプが挙げられる。
【0020】
また、本発明は、被検物質を含む試料を保持するためのキャビティを有する測定デバイスが取付けられた測定装置を用いた測定方法に関し、
(A)前記試料を前記測定デバイスのキャビティ内に吸入する工程と、
(B)前記キャビティに光を入射させる工程と、
(C)前記キャビティから出射した前記光を受光する工程と、
(D)前記工程(C)において受光された量に基づいて前記試料中に含まれる前記被検物質の濃度を出力する工程と、
(E)前記工程(D)の後、前記測定デバイスの表面に対して前記測定デバイスの表面の光透過率を低下させる処理を施す工程と、を含む。
【0021】
このようにすると、測定後に、測定に使用された測定デバイスの表面に光透過率を低下させる処理が施されるため、その測定デバイスが使用済みであることを見分けることができるようになるので、使用済みの測定デバイスが再度測定に使用されることを抑制することができる。
【0022】
また、本発明の測定方法は、さらに、前記工程(A)の前に、
(F)前記測定デバイスの前記キャビティに光を入射させる工程と、
(G)前記キャビティから出射した前記光を受光する工程と、
(H)前記工程(G)において受光された量に基づいて前記測定デバイスが使用可能であるか否かを判定する工程と、を含むのが好ましい。
【0023】
このようにすると、測定が行われる前に、前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスが使用可能であるか否かを自動的に見分けることができる。このため、使用済みの測定デバイスが再度測定に使用されることをより確実に抑制することができる。
試料としては、血清、血漿、血液、尿、間質液、リンパ液等の体液、培地の上清液等の液体の試料が挙げられる。また、上述の体液中の特定の成分と反応する試薬、例えば酵素、抗体、または色素等を体液と混合したものも試料とすることができる。これらの試料のうち、尿は非侵襲的に在宅での日常の健康管理を行うためには非常に有効的な試料であるため、試料が尿であることが好ましい。
被検物質としては、アルブミン、hCG、LH、CRP、IgG等が挙げられる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。ここでは、試料として尿を用い、ヒトアルブミンを被検物質とした場合を説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態の測定装置を図1〜図8を参照しながら説明する。図1は測定装置の斜視図、図2は測定デバイス側から見た測定装置の下面図、図3は測定デバイスの分解斜視図、図4は図2のX−X断面図、図5は図2のY−Y要部断面図、図6は図5の矢印Zの方向から見た要部正面図、図7は光透過率変更手段の正面図、図8は図7の矢印Aの方向から見た下面図である。
【0025】
図1および図2に示すように、測定装置の筐体は、上カバー1および下カバー8で構成される。上カバー1には、試料吸引中、測定中に測定内容または測定後に測定結果を表示するディスプレイ部2、測定開始ボタン3、試料排出ボタン4、測定デバイス5が挿入完了であることを示す表示ランプ6、および測定デバイス5が未使用であることを示す表示ランプ7が設けられている。上カバー1に嵌着された下カバー8は、測定デバイス5が挿入される時に測定デバイス5を案内するガイド部42、およびガイド部42により設けられたデバイス挿入口42aを有する。デバイス挿入口42aから測定デバイス5が筐体内に挿入され、所定の位置に測定デバイス5が保持されている。
【0026】
ここで、測定デバイス5について説明する。
図3に示すように、測定デバイス5は、試薬保持部32が固着された第1の部材31、および第2の部材33からなる。これらの部材により被検物質を含む試料を保持するためのキャビティ30が形成されている。
第1の部材31の断面形状は略コの字状であり、一方の端部は閉塞状態であり、他方の端部は開放状態である。第1の部材31は、底面31aと、底面31aの両側に設けられ底面31aにそれぞれ垂直な2つの側面31bおよび31cと、底面31a、側面31b、および側面31cのそれぞれに垂直な閉塞面31dとからなる。また、2つの対向する側面31bおよび側面31cの外面の所定位置には、それぞれ後述する2つの保持部材43の保持凸部43aがそれぞれ嵌まり込むための保持凹部31eが設けられている。測定デバイス5は、この保持凹部31eにより、後述の装置本体に着脱可能である。また、底面31aの内面の所定位置には、試料に含まれる被検物質に反応する試薬を保持する試薬保持部32が設けられている。
【0027】
ここで、第1の部材31の底面31a上に試薬保持部32を形成する方法について簡単に説明する。試薬の一例として、光学式分析測定のために一般的に用いられるヒトアルブミンに対する抗体の水溶液を用いた場合を示す。底面31aが水平になるように第1の部材31を配置する。その後、ヒトアルブミンに対する抗体の水溶液の一定量をマイクロシリンダ等を用いて底面31a上に滴下し、室温から30°C程度までの温度環境に静置して水分を蒸発させる。このようにして、ヒトアルブミンに対する抗体すなわち試薬を乾燥状態で担持する試薬保持部32を形成することができる。
【0028】
例えば、上記抗体の水溶液の濃度が8mg/dlの場合、滴下量を0.7mlとし、底面上において面積が5cm2の滴下領域に滴下すればよい。なお、塗布する試薬を含む水溶液の濃度および滴下量は、必要とする測定デバイスの特性、第1の部材31における試薬保持部32の位置、キャビティ30内の空間的な制限に応じて適切に設定すればよい。また、第1の部材31における試薬保持部32の位置や面積は、試料に対する試薬の溶解性や光学式測定位置等を考慮して適宜設定すればよい。
また、ヒトアルブミンに対する抗体は公知の方法により得ることができる。例えば、ヒトアルブミンを免疫したウサギの抗血清をプロテインAカラムクロマトグラフィーにより精製した後、透析チューブを用いて透析することにより、抗ヒトアルブミン抗体が得られる。
【0029】
試薬保持部32を有する第1の部材31の2つの側面31bおよび31c、ならびに閉塞面31dにおける、底面31a側とは反対側の端面に、平板状の第2の部材33を接合することにより、キャビティ30を有する中空四角柱状の測定デバイス5が形成される。第1の部材31および第2の部材33の材料には、例えばポリスチレンのような透明な材料が用いられる。また、ポリスチレン以外にも、光学的に透明な材料または可視光を実質的に吸収しない材料であればよく、例えば、石英、ガラス、ポリメタクリル酸メチル等を用いてもよい。
第1の部材31と第2の部材33とは、例えば、第1の部材31と第2の部材33との接合部分に、エポキシ樹脂等の接着剤を塗布して張り合わせた後、静置して乾燥させることにより、接合することができる。また、第1の部材31と第2の部材33とは、例えば、第1の部材31と第2の部材33との接合部分を周知の溶着機を用いて熱溶着または高周波溶着させて接合することができる。
【0030】
第2の部材33には、第1の部材31の閉塞面31dの近くに試料吸入のための吸入穴部33aが設けられている。従って、第1の部材31の底面31a、2つの側面31bおよび31c、閉塞面31d、ならびに第2の部材33で囲まれることによりキャビティ30が形成され、吸入穴部33aを通してキャビティ30内に試料が吸入されて保持される。
第2の部材33に設けられた吸入穴部33aの大きさは、後述の測定の際に測定デバイス5を試料中に浸漬した時、試料の表面張力や試料の吸入穴部33aに対する粘性抵抗等のため、試料が吸入穴部33aを通してキャビティ30内に流入しないような大きさに設定されている。また、吸入穴部33aは第2の部材33に配設されているが、これに限定されるものではなく、試薬保持部32に担持された試薬が試料に溶解し易い位置に吸引穴部を設定すればよい。
【0031】
次に、測定デバイス5が装着された測定装置本体の筐体内部の構成について説明する。
図4〜6に示すように、測定装置内部には、測定デバイス5を測定装置に保持するための保持部材43およびガイド部42と、被検物質を含む試料を測定デバイス5のキャビティ30内に吸引するための試料吸引手段54と、試料中の被検物質の濃度を光学的に測定するための光学手段59と、測定デバイス5の表面に透過率を低下させる処理を施すための光透過率変更手段61とが収納されている。これらは、フレーム基板41に取付けられている。フレーム基板41の下カバー8側の端部が、制御部400、モータ駆動部401および検出部402が取付けられた下カバー8の嵌め込み部8aに嵌め込まれている。また、フレーム基板41の上カバー1側の端部が、上カバー1の嵌め込み部(図示せず)に嵌め込まれている。上カバー1の端面と下カバー8の端面とを突き合せることにより、上カバー1と下カバー8が固定されている。このようにして、測定装置本体が形成される。
【0032】
デバイス挿入口42aより挿入された測定デバイス5は、フレーム基板41に固着されたガイド部42に案内され、ガイド部42に配された2つの保持部材43(図5および図6参照)により保持される。ガイド部42および保持部材43が、上記測定デバイス取付け部に相当する。この時、例えば、マイクロスイッチその他のスイッチを用いた挿入完了検知スイッチ(図示せず)が作動することによって、測定デバイス5が所定位置に挿入されたことを検知する。
【0033】
試料吸引手段54は、図4に示すように、測定デバイス5と気密性を有して連結するデバイス連結部材44と、シリンダ48と気密性を有して連結するシリンダ連結部材45と、デバイス連結部材44及びシリンダ連結部材45をフレーム基板41に気密性を有して固着するための固定金具46と、フレーム基板41に取付けられたシリンダ取付板47と、シリンダ取付板47に取付けられ、駆動軸50が固着されたピストン49を有するシリンダ48と、回転駆動軸51が固着されたピストン駆動モータ53とからなる。
【0034】
デバイス連結部材44は、ガイド部42の内側に設置されている。デバイス連結部材44は、柔軟性のある材料、例えば硬度の低いゴム等の材料からなり、測定デバイス5の開口部内面の断面に相似な外形形状を有し、かつテーパ状に形成された形状を有する。測定デバイス5がデバイス挿入口42aに挿入される際、測定デバイス5の開口部内面がデバイス連結部材44の外面に当接し、さらに測定デバイス5が保持部材43に保持される。このような状態において、デバイス連結部材44が微小に歪むことにより、デバイス連結部材44が測定デバイス5の開口部の内面全周に亘って密着する。
【0035】
デバイス連結部材44の測定デバイス5に当接する側とは反対側に、略中心部にシリンダ連結用穴部45aを有するシリンダ連結部材45が設けられている。シリンダ連結部材45には、デバイス連結部材44と同様の柔軟性のある材料、例えば硬度の低いゴム等の材料が用いられる。デバイス連結部材44はシリンダ連結部材45とともに固定金具46を介してねじ等の固着部材によってフレーム基板41に固着され、フレーム基板41とのこのような固着により気密性が保持される。
【0036】
ピストン49には駆動軸50が固着され、この駆動軸50の移動により、ピストン49がシリンダ48の長手方向にすなわちピストン49の端面49aに垂直な方向に摺動可能である。また、駆動軸50の内部には雌ねじ部50aが配設され、さらに、外周には雌ねじ部50aの中心軸に平行な方向にキー溝50bが設けられている。シリンダ48の一方の端には、シリンダ連結部材45のシリンダ連結用穴部45aの内径より少し大きい外径を有するパイプ状の突出部48aが設けられ、シリンダ連結用穴部45aに連結されている。シリンダ48の他方の端には、駆動軸50のキー溝50bに嵌まり込むようにシリンダ48の側板48bに突起部48cが設けられている。駆動軸50のキー溝50bとシリンダ48の側板48bに設けられた突起部48cとによって、駆動軸50は回転することなく直線移動する。駆動軸50の内部に設けられた雌ねじ部50aに螺合する雄ねじ部51aを有する回転駆動軸51の一方の端は、モータ取付板52を介してシリンダ取付板47に固定されている。これにより、フレーム基板41に取付け固定されたピストン駆動モータ53に回転駆動軸51の一方の端が間接的に固着されている。ピストン駆動モータ53の回転により回転駆動軸51が回転させられ、それに伴い、回転駆動軸51に設けられた雄ねじ部51aに螺合する駆動軸50の雌ねじ部50aが雌ねじ部50aの中心軸方向と平行な方向に直線移動する。
【0037】
光学手段59は、光源取付け部材57に取付けられた光源55、および受光器取付け部材58に取付けられた受光器56からなる。光源55および受光器56により、試料の被検物濃度を測定する。光源55は、測定デバイス5の平行な2つの面、例えば第1の部材31の底面31aおよび第2の部材33のうち、一方の面(例えば第1の部材31の底面31a)に入射する光を出射する。また、受光器56は、他方の面(例えば第2の部材33)を通して出射した光を受光する。光源取付け部材57および受光器取付け部材58は、それぞれフレーム基板41に固定されている。なお、上記では、光源取付け部材57および受光器取付け部材58はそれぞれ個別の部材としたが、両者を一体化してもよい。
【0038】
また、光源55から出射された光が受光器56に入射するように、ガイド部42において出射光の光路部分に出射光が通過する光通過穴42bが設けられている。光源55から出射された光は、測定デバイス5の第1の部材31、第2の部材33およびガイド部42に設けられた光通過穴42bを通って受光器56に到達し、受光器56によって光源55からの光を検知し、受光器56に入射した光源55からの光の光量に応じて受光器56が出力を発生する。
光源55には、例えば波長が650nmを有する光を出射する半導体レーザーが用いられる。また、それ以外に、ライトエミッティングダイオード(LED)を用いてもよい。
受光器56には、例えばフォトダイオードが用いられる。また、それ以外に、電荷結合型素子(CCD)、フォトマルチメータを用いてもよい。
【0039】
光透過率変更手段61は、図4および図7に示すように、アーム駆動ボス62、アーム駆動モータ取付板63、アーム駆動モータ64、動作アーム65、および金属チップ66からなる。アーム駆動モータ取付板63を介してフレーム基板41に固定されたアーム駆動モータ64の回転軸にアーム駆動ボス62が固着されている。弾性を有する材料からなる動作アーム65の一方の端にはアーム駆動ボス62が固着されている。動作アーム65の他方の端には、測定デバイス5の表面を切削することができる切削部材として金属チップ66が固着されている。金属チップ66は工具鋼または超硬合金等切削工具に用いられる材料からなり、その先端は鋭く尖った形状を有している。なお、金属チップ66は、動作アーム65の移動方向(矢印Bの方向)に対して切削工具と同様のすくい角が形成された形状を有してもよい。そして、動作アーム65の回動移動に伴い、金属チップ66の先端の移動軌跡が、光源55から出射されて受光器56で受光される光路の略中心部を通るように、金属チップ66は動作アーム65上に配設されている。
【0040】
また、図7に示すように、2点鎖線で表されている光源取付け部材57における測定デバイス5側の端面57aは、動作アーム65における金属チップ66の固着側とは反対側の平面を測定デバイス5側に押し付ける凸状のカム形状を有する。動作アーム65が矢印Bの方向に移動する際、金属チップ66が測定デバイス5の光源55に対向する表面近傍に達した時点において、光源取付け部材57のカム形状の端面57aに当接し始め、動作アーム65を測定デバイス5側へ押し付け始める。さらに、動作アーム65の回動が進行するに伴い、動作アーム65を測定デバイス5側へ押し付ける量が増加し、金属チップ66が測定デバイス5の表面に当接して金属チップ66による測定デバイス5の表面の切削が始まる。そして、光源55から出射されて受光器56で受光される光路の略中心部において、金属チップ66の先端が測定デバイス5の表面に対して最大の切り込み量となる。その後、動作アーム65への押圧が小さくなり、金属チップ66が測定デバイス5の表面から離脱し、動作アーム65の回動は停止する。この時、金属チップ66による測定デバイス5の表面の最大切り込みは1mm未満のごく小さな量となるようにカム形状は設定されている。そして、光源55から出射されて受光器56にて受光する光の光路上において、光源55に対向する測定デバイス5の表面における光の通過領域より少し大きい範囲に対して、測定デバイス5の表面に切削傷を設けるようなカム形状を有している。
【0041】
光透過率変更手段61は測定デバイス5に吸入された試料の測定終了までは作動せず、動作アーム65は受光器56が光源55から出射された光を受光する光路の妨げにならない所定の初期位置に保持されている。試料の測定終了後にアーム駆動モータ64が作動し、動作アーム65は回動を開始する。金属チップ66の先端は、光源55から出射されて受光器56にて受光する光の光路上において、光源55に対向する測定デバイス5の表面における光の入射部分を少なくとも通り過ぎるまで、動作アーム65を回動させた後、矢印Bの方向とは逆の方向に動作アーム65を回動させて初期位置に戻す。アーム駆動モータ64にはステップモータが用いられている。これにより、入力パルス数に応じて回動角度を決定することができるため、位置決めのためのエンコーダを必要とせず、動作アーム65の回動角度は簡単な構成によって容易に制御することができる。
動作アーム65を上記のように往復移動させることにより、動作アーム65に設けられた金属チップ66が、測定デバイス5の光源55に対向する表面における光の入射部分に、光透過率を低下させる処理を施す。すなわち、金属チップ66により、測定デバイス5の光源55に対向する表面において、光源55から出射され受光器56で受光される光が通過する領域の少なくとも一部に光透過率低下処理痕である切削傷を作る。
【0042】
また、上記のように、測定装置は、筐体内部に、制御部400、モータ駆動部401、および検出部402を備える。
制御部400は、計時用のタイマーを有する。また、制御部400は、光学手段59の光源55、モータ駆動部401およびディスプレイ部2と、それぞれ電気信号授受のために結線(図示せず)されている。これにより、光源55およびモータ駆動部401のそれぞれに対してシーケンス制御することができる。例えば、モータ駆動部401への指令および「試料吸引中」または「測定中」等のディスプレイ部2への表示指令を出力する。
モータ駆動部401は、試料吸引手段54におけるピストン駆動モータ53および光透過率変更手段61におけるアーム駆動モータ64と、それぞれ結線(図示せず)される。これにより、モータ駆動部401は、制御部400からの信号を受け、ピストン駆動モータ53およびアーム駆動モータ64のそれぞれに作動開始または停止の命令を指令する。
【0043】
検出部402は、記憶部(図示せず)および測定比較部(図示せず)を有する。記憶部には、例えば測定デバイス5が使用可能か否かを判定する光強度の判定基準値、および光強度とヒトアルブミン濃度との関係を表す検量線が記憶されている。測定比較部は、例えば、光学手段59の受光器56からの光強度の出力を受け、記憶部に記憶された判定基準値との比較により測定デバイス5が使用可能か否かを判定する。また、測定比較部は、記憶部に記憶された検量線を参照することにより受光器56からの光強度をヒトアルブミン濃度に換算する。検知部402は、上記演算部および上記判定手段に相当する。この時、ヒトアルブミン濃度の換算値の経時変化を記憶部に保存するのが好ましい。このようにして得られたヒトアルブミン濃度をディスプレイ部2に表示するように指令を出す。ディスプレイ部2にヒトアルブミン濃度を表示することにより、ヒトアルブミン濃度測定を完了させ、制御部400に測定完了の指示を出力して制御部400から光源55へ光の出射指令を停止させる。
【0044】
以下に、上記測定デバイス5および測定装置本体を用いた測定方法を説明する。
(1)測定デバイスの測定装置への挿入工程
まず、ユーザが測定装置の測定デバイス取付け部に測定デバイス5を取付けることにより、測定装置本体に測定デバイス5を挿入する。測定デバイス5の測定装置本体への挿入が完了すると、挿入完了検知スイッチが作動し、上カバー1に設けられた表示ランプ6が点灯し、測定デバイス5が挿入完了したことを告知する。
【0045】
(2)測定デバイスの使用状態の判定工程
挿入完了検知スイッチが作動すると、光学手段59の光源55が、測定デバイス取付け部に取付けられた測定デバイスの壁面を介してキャビティに光を入射させる。これは、上記の工程(F)に相当する。そして、キャビティから測定デバイス5の壁面を介して出射した光を受光器56にて受光する。これは、上記の工程(G)に相当する。受光器56にて検知された光強度すなわち光量が検出部402の記憶部に記憶されている判定基準値と比較される。そして、光量が判定基準値を超えれば未使用であると判定され、光量が判定基準値以下であれば使用済みと判定される。これは、上記の工程(H)に相当する。使用済みと判定された場合、上カバー1に設けられたディスプレイ部2に、例えば「使用済みの測定デバイスです。測定デバイスを交換してください。」のように表示されると同時に、次のステップに進むことができないように、すなわち測定装置が作動しないように制御される。一方、受光器56にて検知された光量が判定基準値を超える場合、その時に受光器56が検知した光量すなわち光強度を検出部402の記憶部が記憶し、光源55からの光出射を停止し、測定準備が完了する。ディスプレイ部2は、上記報知手段に相当する。
【0046】
(3)試料の測定デバイス内への吸入工程
次に、ユーザが、例えば便器内に設けられた受尿容器または紙コップ等の運搬可能な容器内に採取された尿に、本発明の測定装置の測定本体に挿入された測定デバイス5のうち少なくとも吸入穴部33aが浸かるように測定デバイス5を浸漬する。そして、上カバー1に設けられた測定開始ボタン3を押すと、制御部400から試料吸引手段54が作動するように出力され、吸入穴部33aを通して測定デバイス5のキャビティ30内に尿が吸入される。これは、上記の工程(A)に相当する。キャビティ30内に吸入された尿中に、試薬保持部32に乾燥状態で担持された試薬が浸漬すると、試薬である抗ヒトアルブミン抗体が溶解し始め、尿中の抗原であるヒトアルブミンと抗ヒトアルブミン抗体との免疫反応が進行する。タイマーからの信号により、試料吸引手段54の作動開始から所定時間経過したことを制御部400が検知すると、尿の吸入を停止するように制御部400は試料吸引手段54のピストン駆動モータ53に作動停止の指令を出力し、ピストン駆動モータ53が作動を停止する。上述のように、試料吸引手段54が停止している状態では、吸入穴部33aを通して試料がキャビティ30内に流入しないように吸入穴部33aの大きさが設定されている。このため、採取された尿に測定デバイス5を浸漬するだけでは、試料は測定デバイス5のキャビティ30内に殆ど流入することがなく、シリンダ48のピストン49の移動量に応じて試料がキャビティ30内に吸入される。
【0047】
なお、ピストン49の移動量は、ピストン駆動モータ53の回転数と、回転駆動軸51の雄ねじ部51aのピッチすなわち駆動軸50の雌ねじ部50aのピッチとによって決まる。このため、ピストン駆動モータ53にステップモータを使用すると、所定量の試料を吸入するためのピストン49の移動距離は容易に制御することができる。
【0048】
(4)測定装置を用いた試料の測定工程
キャビティ30内への尿の吸入が完了すると、制御部400に内蔵されたタイマーによって計時が開始される。キャビティ30内への尿の吸入完了、すなわちタイマーによる計時開始から所定時間(例えば、2分)経過した後、光学手段59の光源55に対し制御部400は光出射の指令を出力する。光源55から出射された光は、光源55に対向する測定デバイス5の壁面(例えば、第1の部材31の底面31a)を透過して、キャビティ30内の尿に入射する。これは、上記の工程(B)に相当する。そして、キャビティ内の尿中を通過した光は、さらに光学手段59の受光器56に対向する測定デバイス5の壁面(例えば、第2の部材33)を透過して、受光器56に受光される。これは、上記の工程(C)に相当する。この時、制御部400のタイマーの計時により、光源55の光出射開始から所定時間の間(例えば、3分間)、光源55が作動するように、制御部400は光源55に光出射の指令を出す。すなわち、受光器56には所定時間の間(例えば、3分間)、光源55からの出射光を受光する。なお、上記において、光源55の作動に制限時間を設ける代わりに、受光器56の受光時間の方に制限時間を設けてもよい。
そして、検出部402において記憶部に記憶されている検量線を参照し、受光器56が受光した光量の基づいて、光強度から被検物質の濃度であるヒトアルブミン濃度を算出する。これは、上記の工程(D)に相当する。そして、上カバー1に設けられたディスプレイ部2に測定結果としてヒトアルブミン濃度を表示することにより、測定が終了する。
【0049】
この時、測定されたヒトアルブミン濃度は、タイマーにより計時された時刻とともに、検出部402の記憶部に保存されることが好ましい。また、測定の結果として得られたヒトアルブミン濃度は、SDカード等の取り外し可能な記憶媒体に保存できるようにすることが好ましい。このように保存された記憶媒体を分析専門業者に持参もしくは郵送することによって、容易に分析を依頼することができる。また、本発明の測定装置が送信器を備え、測定されたヒトアルブミン濃度を送信器を用いて病院内の分析関連部門または分析関連業者等に送信することができるようにするのが好ましく、測定から分析までの所要時間を短縮することができ、迅速に対処することができる。さらに、本発明の測定装置が受信器を備え、分析関連部門または分析関連業者等から発信された分析結果を受信することができるようにするのが好ましく、分析結果を迅速に担当医または患者にフィードバックすることができ、迅速な対処が可能となる。
【0050】
(5)測定デバイス表面の光透過率を低下させる処理工程
ヒトアルブミン濃度が表示され、測定が終了した後、制御部400が光透過率変更手段61におけるアーム駆動モータ64に作動の指令を出力することにより、アーム駆動モータ64が作動を開始する。それに伴い動作アーム65は回動を開始し、上述したように、光透過率変更手段61が、測定デバイス5の表面に光透過率低下処理痕である切削傷を形成する。これは、上記の工程(E)に相当する。
【0051】
(6)試料の測定デバイスからの排出工程
その後、ユーザが上カバー1に配設された試料排出ボタン4を押すことにより、便器または所定の収容容器へ、測定デバイス5のキャビティ30内に吸入されている試料(尿)を排出させる。ユーザが試料排出ボタン4を押すと、制御部400から試料吸引手段54に試料排出動作の指令が出力され、ピストン駆動モータ53が試料吸入動作時とは逆の方向に回転し、ピストン49をシリンダ48における突出部48a側の方向へ作動させる。このようにして、測定デバイス5を構成する第2の部材33の吸入穴部33aを通してキャビティ30内にある試料を押し出すことができる。
【0052】
(7)測定デバイスの測定装置からの離脱工程
その後、装置本体から測定デバイス5を離脱させ、キャビティ30内に残余した試料を滴下または測定デバイス5の開口部を下に向ける等の方法により、試料を廃棄処理すると同時に、測定デバイス5も廃棄する。
この時、使用した測定デバイス5を廃棄し忘れた場合、その使用済みの測定デバイス5を誤って再度使用する可能性がある。しかし、本発明によれば、上述のように、測定終了後、光透過率変更手段61によって光源55から受光器56に到る光路上において測定デバイス5の表面に切削傷が設けられる。そのため、使用済みの測定デバイス5を誤って再度使用した時、測定デバイス5の挿入直後の光源55の出射光に対し、測定デバイス5の表面に設けられた切削傷により、その出射光は乱反射または散乱等の作用を受ける。そして、受光器56にて検知された光強度、すなわち光量が検出部402の記憶部に記憶されている判定基準値よりも小さくなり、測定デバイス5が使用済みと判定される。このように判定されると、上カバー1に設けられたディスプレイ部2に「使用済みの測定デバイスです。測定デバイスを交換してください」等の表示がなされると同時に、次のステップに進むことができなくなる。従って、使用済みの測定デバイス5を誤って再度測定に使用することを抑制することができる。
【0053】
なお、光学手段59により出射された光が透過する測定デバイス5の2つの対向する壁面(例えば、第1の部材31の底面31aおよび第2の部材33)を規定するために、キャビティ30を形成する4つの壁面において隣り合う壁面の幅が異なるようにして、外形断面が矩形になるように形成した中空矩形柱状の測定デバイス5とすることが好ましい。また、これ以外に、測定デバイスを構成する4つの壁面のうち少なくとも1つの壁面にキー溝を設け、そのキー溝に嵌り込む突起部をガイド部に設けることによって、測定デバイス5の挿入位置を規定し、光学手段59による光が透過する測定デバイス5の壁面を規定するようにしてもよい。
【0054】
上記では、試料吸引手段54を作動させる時間によりキャビティ30内に吸入される試料量を制御するようにしたが、試料吸入量の制御方法はこれに限定されない。例えば、図9に示すような、試料の液面高さを検知するための液面検知手段を設けて、所定量の試料を吸入するようにしてもよい。図9は液面検知手段の断面図である。
【0055】
液面検知手段80は、フレーム基板41に取付けられた検知用光源取付け部材82と、測定デバイス5の側面に対向するように、検知用光源取付け部材82に取付けられた液面検知用光源81と、フレーム基板41に取付けられた検知用受光器取付け部材84と、液面検知用光源81に対向するように、検知用受光器取付け部材84に取付けられ、液面検知用光源81から出射された光を受光する液面検知用受光器83とからなる。
試料吸引手段54により、測定デバイス5のキャビティ30内に試料が吸入され、試料が液面検知用光源81から出射された光の光路部分に達すると、試料により光の透過率が変化し、液面検知用受光器83が受光する光量が変化する。このようにして、試料の所定量が測定デバイス5のキャビティ30内に吸入されたことを検知することができる。
【0056】
この構成によれば、試料の所定量が測定デバイス5のキャビティ30内に吸入されたことを、試料と非接触で検知することができるため好ましい。なお、上記のような液面検知手段80を設ける場合、液面検知用光源81と液面検知用受光器83との間における光路上において、ガイド部42および保持部材43には、それぞれ液面検知用光源81側に穴部85および86、液面検知用受光器83側に穴部87および88が設けられている。
液面を検知する方法としては、上記以外にも、図示しないが、測定デバイスの内壁において、絶縁材料の上に、小さな間隙を有する導電体のパターンを形成し、小さな間隙を試料が覆って導通状態となることにより液面を検知する方法等、その他の周知技術を用いてもよい。ピストン駆動モータとして回転型モータの代わりに、リニアモータを利用してもよい。この場合、駆動軸およびピストン駆動軸には、それぞれねじ部を設ける必要はない。
【0057】
また、上記測定装置において、ガイド部42および保持部材43により測定デバイス取付け部を構成したが、図10および11に示すような測定デバイス取付け部を構成してもよい。図10は測定デバイス取付け部の他の一例を示す要部断面図、および図11は図10の矢印Cの方向から見た側面図である。
図10および11に示す測定デバイス取付け部は、ガイド部91と、鋼球92および93と、押え板94および95とからなる。ガイド部91は、測定デバイス96と接する壁面91aおよび91bに、テーパ穴部91cおよび91dを有する。測定デバイス96は、テーパ穴部91cおよび91dと対向する位置に凹部97aおよび97bが設けられている。そして、テーパ穴部91cおよび91dならびに凹部97aおよび97b内に、壁面91aおよび91bの厚さならびにテーパ穴部91cおよび91dの小さい方の穴径よりも大きな外径を有する鋼球92および93が設置されている。ガイド部91および鋼球92および93の外側には、弾性を有する材料からなる押え板94および95が設けられている。
テーパ穴部91cおよび91dならびに凹部97aおよび97bに、鋼球92および93が嵌まり込み、さらに押え板94および95により鋼球92および93が外側から押圧されることによって、測定デバイス96が測定装置の挿入口に確実に保持される。
【0058】
また、本実施の形態の測定装置において、試料吸引手段54以外に、図12および図13に示す試料吸引手段を用いてもよい。図12は試料吸引手段の他の例を示す要部断面図、および図13は図12の矢印Dの方向から見た上面図である。
なお、図12は、試料吸引手段の駆動部を示すものであり、試料吸引手段54における駆動軸50を直線移動させるための駆動部(試料吸引手段54における突出部48a、シリンダ連結用穴部45a、デバイス連結部材44、シリンダ連結部材45、および固定金具46以外の部分)と異なる。従って、駆動部以外の部分の説明は省略する。
図12および図13に示すように、シリンダ取付板101を介してフレーム基板(図示せず)に取付けられたシリンダ102の内部にはピストン103が配設されている。ピストン103には、キー溝104aが設けられた駆動軸104が固着されている。駆動軸104が移動する際、駆動軸104に設けられたキー溝104aが、シリンダ102の側板102aに設けられた突起部102bに沿って移動する。これにより、上述した試料吸引手段54の場合と同様に、ピストン103がシリンダ102の長手方向に摺動することが可能である。
【0059】
駆動軸104の外周部にはラックギア104bが形成され、ピストン103側と反対側の端面にはスイッチ押圧板105が固着されている。スイッチ押圧板105は始点検出スイッチ106または終点検出スイッチ107を押圧し、駆動軸104すなわちピストン103の移動距離を規定する。駆動軸104のラックギア104bと噛み合うピニオンギア108、ピニオンギア108と同軸に連結されたウォームホイールギア109が設けられ、ウォームホイールギア109が回動軸110の周りに回動自在に回動するように構成されている。ウォームホイールギア109はピストン駆動モータ111に固着されたウォームギア112と噛み合う。
【0060】
従って、試料吸入時には、試料吸入の指令をピストン駆動モータ111が受け、回転を開始すると、その回転はウォームギア112、ウォームホイールギア109およびピニオンギア108に伝えられ、ピニオンギア108と噛み合うラックギア104bによって駆動軸104が直線移動する。そして、スイッチ押圧板105が終点検出スイッチ107を押圧し、駆動軸104すなわちピストン103は移動を停止し、試料の吸入を終了する。一方、試料排出時には、試料排出の指令によってピストン駆動モータ111は吸入時とは逆方向に回転してピストン103を吸入時とは反対方向に移動させる。そして、スイッチ押圧板105が始点検出スイッチ106を押圧し、ピストン駆動モータ111の回転を停止させ、ピストン103を初期位置に停止させる。
このような構成においては、ピストン駆動モータ111には、例えば周知の直流モータ等の安価なモータが用いられる。また、試料吸引手段は、上述のようにシリンダを用いた構成以外に、例えば、図示しないが、電磁弁、逆止弁および回転型ポンプを用いた構成としてもよい。
【0061】
また、本実施の形態の測定装置において、光透過率変更手段61以外に、図14に示すような光透過率変更手段を用いてもよい。図14は、光透過率変更手段の他の例を示す側面図である。
図14に示すように、回動軸121の周りを回動可能であり、かつ外周部にウォームホイールギア122aが形成された駆動アーム122に動作アーム123が固着されている。動作アーム123の一方の端部側には先端が鋭角に尖った金属チップ124が固着されている。駆動アーム122に形成されたウォームホイールギア122aは、アーム駆動モータ125の回転軸に固着されたウォームギア126と噛み合っている。また、駆動アーム122の両側の端面122bまたは122cが押圧可能な位置に、それぞれ待機位置検出スイッチ127および回動終端位置検出スイッチ128が設けられている。
【0062】
測定デバイス5に吸入された試料の測定が終了するまで、駆動アーム122の端面122bが待機位置検出スイッチ127を押圧する位置で駆動アームが停止した状態となる。試料の測定が終了すると、アーム駆動モータ125が回転し始め、ウォームギア126と噛み合う駆動アーム122に形成されたウォームホイールギア122aによって、駆動アーム122に固着された動作アーム123が回動する。
上述の光透過率変更手段61の場合と同様に、動作アーム123の回動によって、動作アーム123に固着された金属チップ124が、測定デバイス5(図示せず)に光透過率低下処理痕である切削傷を形成した後、回動終端位置検出スイッチ128によって動作アーム123の回動を停止する。その後、アーム駆動モータ125を逆方向に回転させ、待機位置検出スイッチ127によってアーム駆動モータ125を停止させて、光透過率変更手段の動作を完了する。このような構成においては、アーム駆動モータ125には、例えば周知の直流モータ等の安価なモータが用いられる。
【0063】
本実施の形態では、試料として尿、被検物質としてヒトアルブミンを用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、光学式測定に適した試料および被検物質であれば、上記の測定に適用することができる。
本実施の形態では、光学式測定のための試薬を測定デバイス5の内壁面の上に塗布して乾燥させることにより試薬保持部32を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ガラス繊維または濾紙等からなる多孔性の担体に試薬の溶液を含浸させた後、乾燥または凍結乾燥させることによって担体に試薬を担持させ、試薬を担持した担体を測定デバイス5の第1の部材31における底面31aに貼付して試薬保持部32を形成してもよい。
【0064】
本実施の形態では、測定デバイス5の形状を中空四角柱状としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
光透過率変更手段61を、光源55に対向する測定デバイス5の壁面(例えば、底面31a)側に配設したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光透過率変更手段61を受光器56に対向する測定デバイス5の壁面(例えば、第2の部材33)側に配設し、その表面に光透過率低下処理痕である切削傷を形成してもよい。この場合、動作アーム65における金属チップ66の固着部を含む平面を測定デバイス5側に押し付ける凸状のカム形状を、受光器取付け部材58における測定デバイス5側の端面に設ければよい。
【0065】
以上のように、本実施の形態によれば、測定デバイスのキャビティ内に吸入された試料の被検物質量を光学手段によって測定した後、光透過率変更手段に設けられた金属チップによって、測定デバイスの壁面において光学手段による光が透過する部分の少なくとも一部に切削傷を形成する。そのため、一度測定に使用された測定デバイスは切削傷を有するので、一度使用した測定デバイスをユーザが誤って再度測定に使用しようとした場合、試料を吸入する前に光学手段が光透過率低下処理痕である切削傷があることを検出する。そして、測定にそのような使用済み測定デバイスを使用しないように告知し、使用済み測定デバイスの誤使用を防止することができる。
【0066】
(実施の形態2)
本実施の形態の測定装置を、図15〜図19を参照しながら説明する。図15は光透過率変更手段の要部側面図、図16は図15に示す矢印Eの方向から見た光透過率変更手段の要部正面図、図17は研削チップの形状の一例を示す側面図、図18は研削チップの形状の他の一例を示す斜視図、および図19は研削チップの形状のさらに他の例を示す斜視図である。なお、図15〜図19において、実施の形態1の図4および図14と同じ部分には、図4および図14と同じ符号を用いた。
【0067】
本実施の形態における測定装置は、光透過率変更手段61および光源取付け部材57の代わりに、光透過率変更手段130および光源取付け部材144を用いた以外、実施の形態1の測定装置と同じ構成である。従って、本実施の形態では、光透過率変更手段130および光源取付け部材144について説明し、その他の構成の説明は省略する。
図15および図16に示すように、光学変更手段130は、アーム駆動取付板63、アーム駆動モータ64、アーム駆動ボス131、支持アーム132、動作アーム133、磁石部140、磁石取付け部材141、研削部134、支点軸137、座屈ピン138、および圧縮ばね13からなる。アーム駆動モータ取付板63を介してフレーム基板(図示せず)に固定されたアーム駆動モータ64の回転軸に、アーム駆動ボス131が固着されている。アーム駆動ボス131には支持アーム132が固着され、アーム駆動モータ64の回動に伴ってアーム駆動ボス131とともに回動する。支持アーム132には両側の側面にそれぞれ略コの字状の支点部132aおよび132bが設けられている。支持アーム132のアーム駆動ボス131側の端部には、略直角に折り曲げられたストッパ部132cが形成されている。動作アーム133には、その両側の側面の一部に、支持アーム132に配設された支点部132aおよび132bの内側に嵌り込むように略コの字状に折り曲げられた、回動支点部133aおよび133bがそれぞれ形成されている。
【0068】
支持アーム132のストッパ部132cの端面が当接する側の端部に、測定デバイス5の表面を研削することができる研削部材として研削部134が取付けられている。研削部134は、研削モータ135と炭化珪素等の研削材料で形成された研削チップ136とからなり、研削モータ135の回転軸に研削チップ136が固着されている。なお、動作アーム133の回動移動に伴い研削チップ136の先端の移動軌跡が光源55から出射されて受光器56で受光される光路の略中心部を通るような位置に、研削チップ136が動作アーム133上に配設されている点は、上述の実施の形態1と同じである。
【0069】
支持アーム132の2つの支点部132aおよび132bの内側に動作アーム133の2つの回動支点部133aおよび133bが嵌め込まれ、支点部132aおよび132bならびに回動支点部133aおよび133bに設けられた軸挿入穴に支点軸137が挿入されている。これにより、支点軸137の周りを動作アーム133が回動可能である。支点軸137における支点部132aおよび132bの外側には、支点軸137が軸挿入穴から抜けないように、EリングまたはCリング等が配されている。動作アーム133の研削部134が配設された側と反対側の端部と、支持アーム132のストッパ部132cと反対側の端部との間には、支持アーム132に連設された座屈防止ピン138に沿って圧縮ばね139が配設されている。圧縮ばね139により、支持アーム132と動作アーム133とを離間させようとする力が働いている。しかし、支持アーム132のストッパ部132cの端面が動作アーム133に当接して、それ以上の回動は生じない。
【0070】
圧縮ばね139の近傍において支持アーム132に磁石部140が磁石取付け部材141によって取付けられている。磁石部140は磁性材料で作製された磁石コア142とその周りに巻かれた巻線143からなる。巻線143に電流を供給すると、磁石コア142に磁力が発生し、磁石部140が動作アーム133を吸着するように働く。これにより、動作アーム133を反時計方向に回動させ、動作アーム133の端部に配設された研削部134の研削チップ136の先端を測定デバイス(図示せず)に当接させる。
本実施の形態では、上記のように、磁石部140によって測定デバイス5の表面に研削チップ136を当接させる動作を行わせるため、図15において2点鎖線で示す光源取付け部材144は、実施の形態1の光源取付け部材57の端面57aに形成されたカム形状を有する必要がない。光源取付け部材144は動作アーム133の回動動作を妨げないような位置に配設される。なお、本実施の形態の光学手段は、光源取付け部材57の代わりに光源取付け部材144を用いた以外は、実施の形態1の光学手段と同じ構成である。
【0071】
次に、本実施の形態における測定装置の動作について説明する。
光透過率変更手段による光透過率を低下させる処理を施す工程以外は、上記実施の形態1における(1)〜(4)、(6)および(7)の工程と同じであるため、光透過率変更手段130による光透過率を低下させる処理を施す工程以外の工程の説明は省略する。但し、使用する測定デバイスが未使用かどうかを判定するため、および試料からヒトアルブミン濃度を測定するための光学手段には、本実施の形態の光源取付け部材144を有する光学手段を用いる。
【0072】
測定が終了した後、制御部(図示せず)が光透過率変更手段130におけるアーム駆動モータ64に作動の指令を出力することにより、アーム駆動モータ64が作動し、アーム駆動ボス131および支持アーム132とともに動作アーム133は回動を開始する。そして、動作アーム133に配設された研削部134の研削チップ136が、測定デバイス5の光源55に対向する表面における、光学手段145の光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の一方の周縁近傍に達した時点において、制御部からの指令に応じて、モータ駆動部(図示せず)から動作アーム133に配設された研削部134の研削モータ135へ指令を出力し、研削モータ135に固着された研削チップ136を高速回転させる。
【0073】
その後、支持アーム132に取付けられた磁石部140の巻線143に電流が供給され、磁石コア142が圧縮ばね139の押圧力に抗して動作アーム133を吸着し、動作アーム133を測定デバイス5側へ押し付け、研削モータ135によって高速回転している研削チップ136が測定デバイス5の表面に当接する。さらに、高速回転している研削チップ136が測定デバイス5の表面を当接しながら動作アーム133が回動する。そして、研削チップ136が、測定デバイス5の表面における、光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の他方の周縁近傍に達した時点において、磁石部140の巻線143への電流供給が停止され、研削チップ136の先端が圧縮ばね139の押圧力により測定デバイス5の表面から離脱する。その後、研削モータ135の回転が停止し、動作アーム133の回動が停止する。
【0074】
この時、研削チップ136による測定デバイス5の表面の研削量(切込み深さ)は非常に小さな量となるように設定される。測定デバイス5の光源55と対向する表面における、光源55から出射されて受光器56にて受光する光の通過領域より少し大きい範囲において、測定デバイス5の表面に光透過率低下処理痕である研削傷が形成される。
動作アーム133の回動が停止した後、アーム駆動モータ64に逆回転の指令が出され、研削チップ136が測定デバイス5の表面から離脱した状態のまま動作アーム133を初期位置に戻して、その回動動作を停止する。
【0075】
従って、測定デバイス5の光源55と対向する表面において、光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の一方の周縁近傍から他方の周縁近傍に亘って高速回転する研削チップ136が、測定デバイス5の表面を研削しながら移動することにより、光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の少なくとも一部に研削傷が形成されるため、試料の測定に用いられた測定デバイス5は光透過率低下処理痕である研削傷を有する。従って、測定に使用した測定デバイス5を誤って再度測定に使用しようとする場合、使用済みと判定され、測定に使用することができなくなり、測定デバイス5の誤使用を防止することができる。
【0076】
なお、上記では、図17に示すように、半卵型形状の研削チップ136を用いたが、研削チップの形状はこれに限定されない。
例えば、図18に示すように円柱形状の研削チップ151、または図19に示すように円錐台形状の研削チップ152を用いてもよい。円柱形状の研削チップ151または円錐台形状の研削チップ152を用いる場合は、研削チップ151または研削チップ152は測定デバイス5の表面に面状に当接する。このため、研削チップ151または研削チップ152の軸中心が光源55から出射されて受光器56で受光される光路の略中心部と一致する位置において、研削チップ151または研削チップ152を測定デバイス5の表面に当接させればよい。また、研削チップ151または研削チップ152が測定デバイス5の表面に当接した状態で動作アーム133を回動させる必要がない。
【0077】
すなわち、光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の中心部に研削チップ151または研削チップ152の中心が略一致する時点において、動作アーム133の回動を停止し、研削モータ135によって研削チップ151または研削チップ152を高速回転させる。その後、支持アーム132に取付けられた磁石部140の巻線143に電流を供給して、磁石コア142を動作アーム133に吸着させる。これにより、動作アーム133を測定デバイス5側へ押し付け、研削モータ135によって高速回転している研削チップ151または研削チップ152を測定デバイス5の表面に当接させる。短時間の間、高速回転中の研削チップ151または研削チップ152を測定デバイス5の表面に当接させた状態にする。その後、磁石部140の巻線143への電流供給を停止させ、研削チップ151または研削チップ152の先端を測定デバイス5の表面から離脱させ、研削モータ135の回転を停止させる。その後、アーム駆動モータ64に逆回転の指令が出され、研削チップ151または研削チップ152を測定デバイス5の表面から離脱した状態のまま動作アーム133を初期位置に戻して、その回動を停止する。
【0078】
上記のようにして、測定デバイス5の光源55に対向する表面において、光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の少なくとも一部に研削傷を形成することにより、測定デバイス5の誤使用を防止することができる。
なお、実施の形態1の光透過率変更手段61の場合と同様に、アーム駆動モータ64には、例えばステップモータが用いられる。この場合、位置決めのためのエンコーダを必要とせず、動作アーム133の回動角度が簡単な構成によって容易に制御することができる。
【0079】
本実施の形態の測定装置において、図15の光透過率変更手段130の駆動部を図20および図21に示す構成としてもよい。図20は光透過率変更手段の他の一例を示す要部側面図、図21は図20に示す矢印Fの方向から見た要部正面図である。
図20および21に示す光透過率変更手段では、ウォームギア126およびウォームホイールギア122aにより支持アーム132を駆動する駆動部を構成する。駆動部以外の部分については、上記の図15に示す光透過率変更手段と同じであるため、詳細な説明は省略する。
図20および図21に示すように、支持板161に連設された回動軸162の周りを回動可能であり、かつ外周部にウォームホイールギア122aが形成された駆動アーム163に、支持アーム132が固着されている。駆動アーム163に形成されたウォームホイールギア122aは、アーム駆動モータ125の回転軸に固着されたウォームギア126と噛み合っている。また、図14と同様に、駆動アーム163の両側の端面163bおよび163cが押圧可能な位置に、それぞれ待機位置検出スイッチ127および回動終端位置検出スイッチ128が設けられている。
【0080】
測定デバイス5に吸入された試料の測定が終了するまで、駆動アーム163の端面163bが待機位置検出スイッチ127を押圧する位置に駆動アーム163が停止した状態にある。試料の測定が終了すると、アーム駆動モータ125が回転し始め、ウォームギア126と噛み合う駆動アーム163に形成されたウォームホイールギア122aによって、駆動アーム163に固着された支持アーム132が回動する。
上記の光透過率変更手段130と同様に、支持アーム132の回動によって、動作アーム133に連結された研削チップ136が測定デバイス5(図示せず)に研削傷を形成する。その後、回動終端位置検出スイッチ128によって動作アーム123の回動を停止する。そして、アーム駆動モータ125を逆方向に回転させ、待機位置検出スイッチ127によってアーム駆動モータ125を停止させて、動作アーム133を初期位置に停止させ、光透過率変更手段の動作を完了する。なお、アーム駆動モータ125には、周知の直流モータ等の安価なモータを用いることができる。
【0081】
上記では、光透過率変更手段130を、測定デバイス5の光源55に対向する側の壁面(例えば、底面31a)に配設したが、光透過率変更手段130を、測定デバイス5の受光器56に対向する側の壁面(例えば、第2の部材33)に配設し、その表面に光透過率低下処理痕である研削傷を形成してもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、測定デバイスのキャビティ内に吸入された試料の被検物質量を光学手段によって測定した後、光透過率変更手段に設けられた金属チップによって、測定デバイスの壁面において光学手段による光が透過する部分の少なくとも一部に研削傷を形成する。そのため、一度測定に使用された測定デバイスは研削傷を有するので、一度使用した測定デバイスをユーザが誤って再度測定に使用しようとした場合、試料を吸入する前に光学手段が光透過率低下処理痕である研削傷があることを検出する。そして、測定にそのような使用済み測定デバイスを使用しないように告知し、使用済み測定デバイスの誤使用を防止することができる。
【0082】
(実施の形態3)
本実施の形態における測定装置を、図22および図23を参照しながら説明する。図22は光透過率変更手段の側面図である。図23は図22の矢印Gの方向から見た正面図である。なお、図22および図23では、上記の実施の形態2の図15および図16と同じ部分には、図15および図16と同じ符号を用いた。
本実施の形態の測定装置は、光透過率変更手段130の代わりに光透過率変更手段180を用いた以外、実施の形態2の測定装置と同じである。従って、本実施の形態では、光透過率変更手段180について説明し、その他の構成の説明は省略する。
【0083】
図22および図23に示すように、光透過率変更手段180は、アーム駆動モータ取付板63、アーム駆動モータ64、アーム駆動ボス131、支持アーム132、ストッパ部132c、支点軸137、圧縮ばね139、磁石部140、支持アーム132に支点軸137の周りを回動可能に連結された動作アーム181、および動作アーム181における支持アーム132のストッパ部132cの端面が当接する側の端部に取付けられ、測定デバイス5の表面を熱溶融することが可能な熱溶融部182からなる。
アーム駆動モータ取付板63を介してフレーム基板(図示せず)に固定されたアーク駆動モータ64の回転軸にアーム駆動ボス131が固着されている。アーム駆動ボス131の一方の端部にはストッパ部132cが配され、アーム駆動ボス131の他方の端部には磁石部140が配されている。支持アーム132と動作アーム181との間には圧縮ばね139が配設され、圧縮ばね139の押圧力により支持アーム132に対して動作アーム181を離間させようとする一方、必要以上の回動(離間)を規制するため、支持アーム132のストッパ部132cの端面が動作アーム181に当接する。
【0084】
熱溶融部182は、銅等の熱伝導性の高い金属材料で作製された熱溶融部材として熱溶融チップ183、その周囲に巻かれたニクロム線等からなる発熱体184、発熱体184により加熱された熱溶融チップ183を断熱する断熱部材185、および取付け部材186からなる。断熱部材185は熱溶融チップ183の周りに巻かれるような状態で配設されている。熱溶融チップ183が、断熱部材185を介して、取付け部材186によって動作アーム181にねじ締結等の締結手段を用いて固定されている。動作アーム181の回動移動にともなう熱溶融チップ183の先端の移動軌跡が、光源55から出射されて受光器56で受光される光路の略中心部に位置するように、熱溶融チップ183が動作アーム181上に配設されている。
【0085】
次に、本実施の形態の測定装置の動作について説明する。
なお、光透過率変更手段180による光透過率を低下させる処理を施す工程以外は、上記実施の形態1における(1)〜(4)、(6)および(7)の工程と同じであるため、光透過率変更手段180による光透過率を低下させる処理を施す工程以外の工程の説明は省略する。
ディスプレイ部2に試料の被検物質量であるヒトアルブミン濃度を表示して測定を終了した後、制御部(図示せず)が光透過率変更手段180における熱溶融部182の発熱体184に電流供給の指令と、アーム駆動モータ64に作動の指令とを出力する。これにより、発熱体184が熱溶融チップ183を加熱するとともに、アーム駆動モータ64が作動し、アーム駆動ボス131および支持アーム132とともに動作アーム181が回動を開始する。そして、動作アーム181に配設された熱溶融チップ183の先端が、測定デバイス5の光源55に対向する表面において、光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の略中心部に達した時点において、制御部からの指令に応じて、モータ駆動部(図示せず)から動作アーム181の回動を停止させる。その後、支持アーム132に取付けられた磁石部140の巻線143に電流が供給され、磁石コア142が圧縮ばね139の圧縮力に抗して動作アーム181を吸着する。動作アーム181を測定デバイス5側へ押し付け、発熱体184により高温になった熱溶融チップ183の先端が測定デバイス5の表面に当接する。
【0086】
この時、熱溶融チップ183の先端が測定デバイス5の表面に当接する力は非常に小さくなるように設定される。測定デバイス5の光源55に対向する表面において、光源55から出射されて受光器56にて受光する光が通過する領域内に熱溶融傷が形成される。熱溶融チップ183の先端が測定デバイス5の表面に短時間当接した後、磁石部140の巻線143への電流の供給を停止する。そして、研削チップ136の先端が圧縮ばね139の押圧力により測定デバイス5の表面から離脱するとともに、発熱体184への電流の供給を停止する。その後、アーム駆動モータ64に逆回転の指令が出され、熱溶融チップ183の先端が測定デバイス5の表面から離脱した状態で動作アーム181を初期位置に戻して、回動を停止する。
【0087】
上記のように、測定デバイス5の光源55に対向する表面において、光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の略中心部に、高温の熱溶融チップ183が測定デバイス5の表面に当接して、熱溶融するため、光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の少なくとも一部に熱溶融傷が形成され、試料の測定に供された測定デバイス5は光透過率低下処理痕である熱溶融傷を有することになる。そのため、測定に使用した測定デバイス5をユーザが誤って再度測定に使用しようとした場合、使用済みと判定されて、測定に使用することができなくなり、測定デバイス5の誤使用を防止することができる。
【0088】
また、上記では、支持アーム132とともに動作アーム181を回動するための駆動部として、アーム駆動ボス131がアーム駆動モータに直結された構成としたが、実施の形態2の光透過率変更手段における駆動部の他の一例の場合と同様に、回動軸162の周りを回動可能であり、かつ外周部にウォームホイールギア122aが形成された駆動アーム163と、ウォームギア126が回転軸に固着されたアーム駆動モータ125とによって構成された駆動部としてもよい。すなわち、実施の形態2の光透過率変更手段における駆動部の他の一例における研削部134を搭載した動作アーム133の代りに、熱溶融部182を搭載した動作アーム181を用いた構成としたものである。その他の構成および動作は上記実施の形態2の光透過率変更手段における駆動部の他の一例と同じであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0089】
なお、上記では、光透過率変更手段180を、測定デバイス5の光源55に対向する側の壁面(例えば、底面31a)に配設したが、測定デバイス5の受光器56に対向する側の壁面(例えば、第2の部材33)に配設し、その表面に光透過率低下処理痕である熱溶融傷を形成してもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、測定デバイスのキャビティ内に吸入された試料の被検物質量を光学手段によって測定した後、光透過率変更手段に設けられた熱溶融チップによって、測定デバイスの壁面において光学手段による光が透過する部分の少なくとも一部に熱溶融傷を形成する。このように、一度測定に使用された測定デバイスは熱溶融傷を有するため、一度使用した測定デバイスをユーザが誤って再度測定に使用する場合、試料を吸入する前に光学手段が熱溶融傷があることを検出する。そして、測定にそのような使用済み測定デバイスを使用することができないように告知し、使用済み測定デバイスの誤使用を防止することができる。
【0090】
(実施の形態4)
本実施の形態の測定装置を図24および25を参照しながら説明する。図24は光透過率変更手段の側面図、および図25は図24のH−H断面図である。なお、図24では、上記実施の形態1の図4と同じ部分には、図4と同じ符号を用いた。
本実施の形態の測定装置は、光透過率変更手段61および光源取付け部材57の代わりに、光透過率変更手段200および光源取付け部材144を用いた以外、実施の形態1と同じである。従って、本実施の形態では、光透過率変更手段200および光源取付け部材144について説明し、その他の構成の説明は省略する。
【0091】
図24に示すように、光透過率変更手段200は、アーム駆動ボス62、アーム駆動モータ取付板63、アーク駆動モータ64、動作アーム201、およびインク噴射手段202からなる。アーム駆動ボス62が、アーム駆動モータ取付板63を介してフレーム基板41(図示せず)に固定されたアーム駆動モータ64の回転軸に固着されている。さらに、アーム駆動ボス62には動作アーム201の一方の端部が固着され、動作アーム201の他方の端部には、光学手段145の光源55から出射された光の一部を遮るために測定デバイス5の表面の一部を着色する着色手段としてインク噴射手段202が固定されている。
【0092】
インク噴射手段202は、噴射チップ203、噴射チップ取付板204、チューブ205、インク噴射ポンプ206、およびインクタンク207からなる。図25に示すように、略L字状に曲げられた噴射チップ203は、動作アーム201に設けられたチップ挿入穴201aを貫通し、噴射チップ取付板204によって動作アーム201に固定されている。噴射チップ203の端部に、可撓性を有する材料からなるチューブ205の一方の端部が連結されている。動作アーム201の長穴部201bには、噴射チップ203とチューブ205との連結部分、およびチューブ205の一部が嵌り込んでいる。チューブ205の他方の端部には、インク噴射ポンプ206に連結され、インク噴射ポンプ206はインクタンク207に連結されている。噴射チップ203の先端部の中心における動作アーム201の回動移動に伴う移動軌跡が、測定デバイス5の光源55に対向する表面において、光源55から出射されて受光器56で受光される光路の略中心部を通る位置になるように、噴射チップ203が動作アーム201上に配設されている。
【0093】
次に、本実施の形態の測定装置の動作について説明する。
光透過率変更手段200による光透過率を低下させる処理を施す工程以外は、上記実施の形態1における(1)〜(4)、(6)および(7)の工程と同じであるため、光透過率変更手段200による光透過率を低下させる処理を施す工程以外の工程の説明は省略する。
ディスプレイ部2に試料の被検物質量であるヒトアルブミン濃度を表示して測定を終了した後、制御部(図示せず)が光透過率変更手段200におけるアーム駆動モータ64に作動の指令を出力し、アーム駆動モータ64が作動し、アーム駆動ボス62とともに動作アーム201は回動を開始する。
【0094】
そして、動作アーム201に配設された噴射チップ203の先端の中心が、測定デバイス5の光源55に対向する表面において、光学手段145の光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の略中心部に達した時点において、制御部からの指令に応じてモータ駆動部(図示せず)から動作アーム201の回動を停止させる。その後、測定デバイス5の表面に対向する噴射チップ203の先端からインク噴射ポンプ206により少量のインクが霧状に噴射される。そして、測定デバイスの光源55に対向する表面における、光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の少なくとも一部にインクが塗布され、測定デバイス5の表面に光透過率低下処理痕である着色痕を生じる。なお、インクタンク207内のインクは、例えば黒色等の濃色が好ましく、光の透過率を低下させるようなインクであることが好ましい。
【0095】
インク噴射ポンプ206により噴射チップ203の先端から噴射されたインクが測定デバイス5の表面に塗布された後、アーム駆動モータ64に逆回転の指令が出され、動作アーム201を初期位置に戻して、その回動動作を停止する。
インクを噴射することによって、測定デバイス5の表面にインクが塗布されるため、インクを噴射する噴射チップ203の先端部と測定デバイス5の表面との間には、隙間を設けた状態を維持すればよく、噴射チップ203の先端部を測定デバイス5の表面に近づける動作を行う必要がない。このため、本実施の形態における光源取付け部材は、実施の形態1の光源取付け部材57の端面57aに形成されたカム形状を有する必要がなく、実施の形態2における光源取付け部材144と同じような形状を有し、かつ動作アーム201の回動動作を妨げないような位置に光源取付け部材144が配設されていればよい。従って、本実施の形態における光学手段には、実施の形態2における光学手段145を用いればよい。
【0096】
上記のように、測定デバイス5の光源55に対向する表面において、光学手段145の光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の少なくとも一部がインクにより着色される。これにより、光源55から出射されて受光器56で受光される光が通過する領域の少なくとも一部に光の透過率が低下した領域が生じ、試料の測定に用いられた測定デバイス5は光透過率低下処理痕である着色痕を有する。これにより、測定に使用した測定デバイス5をユーザが誤って再度測定に使用する場合、使用済みと判定されるため、測定済み測定デバイス5の誤使用を防止することができる。
また、動作アーム201を作動させる駆動部には、実施の形態1における駆動方法の他の一例と同様に、ウォームギアおよびウォームホイールギアを用いればよい。すなわち、動作アーム123および金属チップ124の代わりに、動作アーム201およびインク噴射手段202を用いればよい。
【0097】
なお、本実施の形態では、インクを噴射することによって、測定デバイスの表面を着色する例を示したが、着色の方法はこれに限定されない。例えば、着色手段として着色スタンプを用い、インクを測定デバイス5の表面の一部にスタンプすることにより着色痕を設けてもよい。
また、上記では、光透過率変更手段200を、測定デバイス5の光源55に対向する側の壁面(例えば、底面31a)に配設したが、測定デバイス5の受光器56に対向する側の壁面(例えば、第2の部材33)に配設し、その表面に光透過率処理痕である着色痕を設けてもよい。
【0098】
以上のように、本実施の形態によれば、測定デバイスのキャビティ内に吸入された試料の被検物質量を光学手段によって測定した後、光透過率変更手段に設けられたインク噴射手段によって、測定デバイスの壁面において光学手段による光が透過する部分の少なくとも一部領域に着色痕を形成する。そのため、一度測定に使用された測定デバイスは光透過率低下処理痕である着色痕を有するので、一度使用した測定デバイスをユーザが誤って再度使用する場合、試料を吸入する前に光学手段が測定デバイスに光透過率低下処理痕である着色痕があることを検出する。そして、測定にそのような使用済み測定デバイスを使用することができないように告知し、使用済み測定デバイスの誤使用を防止することができる。
【0099】
上記実施の形態1〜4の測定装置において、試料の被検物質の濃度の測定が終了し、試料を測定デバイスから排出した後、測定デバイスを装置本体から離脱させるための取り出しボタンを装置本体に設けてもよい。取り出しボタンを操作することにより、上記光透過率変更手段による光透過率低下処理を行うとともに、測定デバイスを装置本体から強制的に離脱させるようにしてもよい。
本発明は、上記実施の形態1〜4の測定装置の構成に限定されるものではなく、本発明の構成要件を満たし、かつ上記の本発明の効果が得られればよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明によれば、一度測定に使用したデバイスに処理を施すことによって、使用済みデバイスが再度測定に使用されることを抑制することが可能な測定装置及びそれを用いた測定方法を提供することができる。そのため、本発明の測定装置は、医療及び医療関連の検査分野で、特に尿検体を測定する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態1における測定装置の斜視図である。
【図2】図1の測定デバイス側から見た下面図である。
【図3】図1の測定デバイスの分解斜視図である。
【図4】図2のX−X断面図である。
【図5】図2のY−Y要部断面図である。
【図6】図5の矢印Zの方向から見た要部正面図である。
【図7】図4の測定装置の光透過率変更手段の正面図である。
【図8】図7のA方向から見た下面図である。
【図9】測定装置が液面検知手段を備えた場合を示す要部断面図である。
【図10】測定装置における測定デバイス取付け部の他の例を示す断面図である。
【図11】図10の矢印Cの方向から見た正面図である。
【図12】測定装置における試料吸引手段の他の例を示す断面図である。
【図13】図12の矢印Dの方向から見た正面図である。
【図14】測定装置における光透過率変更手段の他の例を示す側面図である。
【図15】本発明の実施の形態2の測定装置における光透過率変更手段の側面図である。
【図16】図15の矢印Eの方向から見た正面図である。
【図17】図15の測定装置における研削チップの形状の一例を示す側面図である。
【図18】研削チップの他の例を示す斜視図である。
【図19】研削チップのさらに他の例を示す斜視図である。
【図20】測定装置における光透過率変更手段の他の例を示す要部側面図である。
【図21】図20の矢印Fの方向から見た正面図である。
【図22】本発明の実施の形態3の測定装置における光透過率変更手段の側面図である。
【図23】図22の矢印Gの方向から見た正面図である。
【図24】本発明の実施の形態4の測定装置における光透過率変更手段の側面図である。
【図25】図24のH−H断面図である。
【符号の説明】
【0102】
1 上カバー
2 ディスプレイ部
3 測定開始ボタン
4 試料排出ボタン
5,96 測定デバイス
6,7 表示ランプ
8 下カバー
8a 嵌め込み部
30 キャビティ
31 第1の部材
31a 底面
31b,31c,91a,91b 壁面
31d 閉塞面
31e 保持凹部
32 試薬保持部
33 第2の部材
33a 吸入穴部
41 フレーム基板
42,91 ガイド部
42a デバイス挿入口
42b 光通過穴
43 保持部材
43a 保持凸部
44 デバイス連結部材
45 シリンダ連結部材
45a シリンダ連結用穴部
46 固定金具
47,101 シリンダ取付板
48,102 シリンダ
48a 突出部
48b,102a 側板
48c,102b 突起部
49,103 ピストン
49a,57a,122b,122c,163b,163c 端面
50,104 駆動軸
50a 雌ねじ部
50b,104a キー溝
51 回転駆動軸
51a 雄ねじ部
52 モータ取付板
53,111 ピストン駆動モータ
54 試料吸引手段
55 光源
56 受光器
57,144 光源取付け部材
58 受光器取付け部材
59,145 光学手段
61,130,180,200 光透過率変更手段
62,131 アーム駆動ボス
63 アーム駆動モータ取付板
64,125 アーム駆動モータ
65,123,133,181,201 動作アーム
66,124 金属チップ
80 液面検知手段
81 液面検知用光源
82 検知用光源取付け部材
83 液面検知用受光器
84 検知用受光器取付け部材
85,86,87,88 穴部
91c,91d テーパ穴部
92,93 鋼球
94,95 押え板
104b ラックギア
105 スイッチ押圧板
106 始点検出スイッチ
107 終点検出スイッチ
108 ピニオンギア
109,122a ウォームホイールギア
110,121,162 回動軸
112,126 ウォームギア
122,163 駆動アーム
127 待機位置検出スイッチ
128 回動終端位置検出スイッチ
132 支持アーム
132a,132b 支点部
132c ストッパ部
133a,133b 回動支点部
134 研削部
135 研削モータ
136,151,152 研削チップ
137 支点軸
138 座屈防止ピン
139 圧縮ばね
140 磁石部
141 磁石取付け部材
142 磁石コア
143 巻線
161 支持板
182 熱溶融部
183 熱溶融チップ
184 発熱体
185 断熱部材
186 取付け部材
201a チップ挿入穴
201b 長穴部
202 インク噴射手段
203 噴射チップ
204 噴射チップ取付板
205 チューブ
206 インク噴射ポンプ
207 インクタンク
400 制御部
401 モータ駆動部
402 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物質を含む試料を保持するためのキャビティを有する測定デバイスを取付ける測定デバイス取付け部と、
前記試料を前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの前記キャビティ内に吸入するための試料吸引手段と、
前記キャビティに入射する光を出射する光源と、
前記キャビティから出射する前記光を受光する受光器と、
前記受光器による受光量に基づいて前記試料中に含まれる前記被検物質の濃度を出力する演算部と、
前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの表面に対して前記測定デバイスの表面の光透過率を低下させる処理を施す光透過率変更手段と、
を備える、測定装置。
【請求項2】
さらに、前記受光器による前記受光量に基づいて前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスが使用可能であるか否かを判定する判定手段を備える、請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
さらに、前記判定手段により前記測定デバイスが使用可能でないと判定された際に警報を報知する報知手段を備える、請求項2記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定デバイスの表面は、前記光源と対向する部分または前記受光器と対向する部分に位置する、請求項1〜3のいずれかに記載の測定装置。
【請求項5】
前記光透過率変更手段が、前記測定デバイスの表面を切削する切削部材を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
前記光透過率変更手段が、前記測定デバイスの表面を研削する研削部材を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項7】
前記光透過率変更手段が、前記測定デバイスの表面を熱溶融する熱溶融部材を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項8】
前記熱溶融部材が、前記測定デバイスの表面に押し当てられる金属チップと、前記金属チップを加熱する発熱体とを有する、請求項7記載の測定装置。
【請求項9】
前記光透過率変更手段が、前記測定デバイスの表面を着色する着色手段を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項10】
前記着色手段が、前記測定デバイスの表面にインクを噴射するインク噴射手段を有する、請求項9記載の測定装置。
【請求項11】
前記着色手段が、前記測定デバイスの表面にインクを塗布する着色スタンプを有する、請求項9記載の測定装置。
【請求項12】
被検物質を含む試料を保持するためのキャビティを有する測定デバイスが取付けられた測定装置を用いた測定方法であって、
(A)前記試料を前記測定デバイスのキャビティ内に吸入する工程と、
(B)前記キャビティに光を入射させる工程と、
(C)前記キャビティから出射した前記光を受光する工程と、
(D)前記工程(C)において受光された量に基づいて前記試料中に含まれる前記被検物質の濃度を出力する工程と、
(E)前記工程(C)の後、前記測定デバイスの表面に対して前記測定デバイスの表面の光透過率を低下させる処理を施す工程と、
を含む、測定方法。
【請求項13】
さらに、前記工程(A)の前に、
(F)前記測定デバイスの前記キャビティに光を入射させる工程と、
(G)前記キャビティから出射した前記光を受光する工程と、
(H)前記工程(G)において受光された量に基づいて前記測定デバイスが使用可能であるか否かを判定する工程と、
を含む、請求項12記載の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−96249(P2008−96249A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277574(P2006−277574)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】