説明

湾曲板状体梱包体

【課題】薄く曲がり易い異形断面を有する湾曲した板状体の保管、輸送の効率を高めること、安定的に梱包し、保管、輸送時の変形、破損を防止することを目的とする。
【解決手段】湾曲板状体9の両側端部を一対の対向する側面保持部材2,4の保持凹部31,36に挿入して支持すると共に、湾曲板状体の重量が重い方の端部中央部97を補助支持部材5の支持凹部54に挿入して支持した湾曲板状体9を梱包した1セットの側面保持部材2,4及び補助支持部材5の上部に、他の湾曲板状体9を梱包した1セットの側面保持部材2,4及び補助支持部材5を、側面保持部材2,4の長手方向に所定の長さずらして積層する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネル等の異形断面を有する湾曲板状体を梱包し、輸送するための湾曲板状体梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、合成樹脂性のインストルメントパネル等の異形断面を有する湾曲した薄板状体を梱包し、輸送するため、該板状体の左右両端部を支持すると共に、複数の板状体を、下段の板状体の真上に上段の板状体が位置するように支持する保持材が用いられている。
【0003】
このような保持材として、台枠上に起立した左右一対の支持部材からなり、各支持部材は、中間幹部の前後部分に、板状体の左右両端部を支持する支持アームを上下に複数個備え、板状体の左右両端部を、左右の支持部材の支持アーム間に係合し、左右の支持部材の前後及び上下に複数個の板状体をラック状に保持する保持材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−341781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような保持材では、異形断面を有する湾曲した板状体を下段の板状体の真上に位置するように保持するため、上下に複数個の板状体を保持すると、高さが高くなり、保管、輸送の効率が悪かった。特に、所定の高さのコンテナに収納する場合には、コンテナへの収納数が少なくなり、この問題が顕著であった。
【0006】
又、薄く曲がり易い板状体を左右両端部のみで支持するため、梱包、輸送時に板状体が変形し易いという問題点があった。
【0007】
更に、板状体を左右両端部のみで支持するため、インストルメントパネル等の異形断面を有する板状体の対向する端部間に重量の軽重がある場合には、軽い側の端部が浮き上がってしまい、安定性がなく、輸送時に破損等に原因ともなるといった問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、異形断面を有する湾曲した薄板状体を複数個梱包する際に、積層高さを低くし、保管、輸送の効率を高めることを目的とする。
【0009】
又、本発明は、薄く変形しやすい異形断面を有する板状体の梱包、輸送時での変形を防止することを目的とする。
【0010】
更に、本発明は、対向する端部間に重量の軽重がある板状体を安定的に保持し、保管、輸送時の破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような課題を解決するために本願発明の梱包体は、湾曲板状体を複数段に段積みして梱包する梱包体であって、該梱包体は、少なくとも湾曲板状体の側端部を保持する保持部が形成された一対の長手方向を有する側面保持部材を複数備えて構成され、該側面保持部材には、長手方向に所定の長さずらして該側面保持部材を段積みするようにガイドすると共に係止するためのガイド係止手段が形成され、上段の側面保持部材は、該所定の長さずらして下段の側面保持部材に該ガイド係止手段を介して、係止されて段積みされるものである。これにより、梱包位置をずらすことにより梱包効率を上げることが出来る。又、ガイド係止手段により、確実に位置をずらして段積みすることが出来るので、作業効率も向上できる。
【0012】
好ましくは、上記一対の側面保持部材の間に配置され、湾曲板状体を支持する複数の補強支持部材を更に備え、該補強支持部材には、所定の長さずらして補強支持部材を段積みするようにガイドすると共に係止するための係止手段が形成され、上段の補強支持部材は、該所定の長さずらして下段の補強支持部材に該係止手段を介して、係止されて段積みされている。これにより、湾曲板状体が大きいものであっても、湾曲板状体を強固に支持することが出来る。
【0013】
一実施態様として、前記ガイド係止手段は、前記側面保持部材の下面に形成された凹部と、該凹部に嵌合する、上面に形成された凸部で構成され、前記係止手段は、補強支持部材の下面に形成された凹部と、該凹部に嵌合する、上面に形成された凸部で構成されている。
【0014】
又、本発明の梱包体ユニットは、上記梱包体を複数並列させて構成させたものであり、湾曲板状体を複数段に段積みして梱包する梱包体を並列させた梱包体ユニットであって、上記に記載の何れかの湾曲板状体の梱包体を複数用い、上記梱包体を構成する側面保持部材には、前記所定の長さずらして段積みすることにより、ずらされた所定の長さ分の突出部位を支持するための支持部が形成され、該所定の長さずらして段積みされた上段の側面保持部材の所定長さ分の突出部位が、隣接する梱包体の一つ下段の側面保持部材の支持部に支持されている。段積みする場合に梱包体を所定長さずらす方向に、湾曲板状体の重心がある場合には、側面保持部材を段積みすることにより、梱包体が傾く可能性がある。この傾きを防ぐために、隣接する梱包体によって押さえつけることにより、安定した梱包体ユニットを得ることが出来る。
【0015】
好ましくは、少なくとも平行に設置された一対の壁部を有する外装ケース内に設置して用いられる上記梱包体ユニットであって、一の梱包体の最下段の側面保持部材及び他の梱包体の最上段の側面保持部材が、該一対の壁部に接触している。梱包体ユニットとして、安定化を図るために外装ケースの壁部を使用するものである。又、一実施態様として、前記他の梱包体の最下段の側面保持部材と一の壁部との間、及び前記一の梱包体の最上段と他の壁部との間に、それぞれ当接部材が設けられる。即ち、最下段及び最上段の側面保持部材と一対の壁部間に当接部材を嵌めて、側面保持部材の動きを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明によれば、薄板状体を複数個梱包する際に、積層高さを低くし、保管、輸送の効率を高めることが可能となった。
【0017】
又、板状体の梱包、輸送時での変形を防止することが可能となった。
【0018】
又、対向する端部間に重量の軽重がある板状体を安定的に保持し、保管、輸送時の破損を防止することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の湾曲板状体梱包体の一実施形態の分解斜視図
【図2】側面保持部材の積層状態側面図
【図3】補強支持部材の積層状態側面図
【図4】本発明の湾曲板状体梱包体の一実施形態の使用状態の平面図
【図5】本発明の湾曲板状体梱包体の一実施形態の使用状態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は本発明の湾曲板状体梱包体の一実施の形態の分解斜視図であり、図2は、湾曲板状体梱包体の側面保持部材の積層状態の側面図であり、図3は、湾曲板状体梱包体の補強支持部材の積層状態の側面図であり、図4は、湾曲板状体梱包体ユニットを用いて湾曲板状体を梱包した使用状態の平面図であり、図5は、複数の湾曲板状体梱包体ユニットを用いて複数の湾曲板状体を梱包した使用状態の側面図である。
【0021】
以下、本発明の被梱包物である異形断面を有する湾曲した薄板状体の一具体例として略への字状に湾曲したインストルメントパネルを例に説明するが、異形断面を有する湾曲した薄板状体はインストルメントパネルに限定されるものではない。
【0022】
梱包体ユニット1は、インストルメントパネル9が梱包されて段積みされた複数の梱包体10から構成されている。梱包体10はインストルメントパネル9の両側端部を保持する一対の側面保持部材2、4と、一対の側面保持部材2、4の間に配置され、1個のインストルメントパネル9を支持する補強支持部材5とがインストルメントパネル9を梱包して段積みされた構成となっている。即ち、1個のインストルメントパネル9を梱包する1セットの側面保持部材2、4と補強支持部材5を複数セット備えて梱包体10が構成されている。側面保持部材2、4は、一対でインストルメントパネル9の両側端部を支持して保持するための部材であり、側面保持部材2と側面保持部材4は、対称形状に形成されている。
【0023】
このように、側面保持部材4は、側面保持部材2と対称形状に形成されているので、側面保持部材2と同一の構成部分には同一記号を付し、側面保持部材2を用いて側面保持部材2及び4について説明し、側面保持部材4についての詳細な説明は省略する。
【0024】
側面保持部材2は、側面視略への字状に形成され、前後端に、略長方体の前脚部21と後脚部22を備え、前脚部21と後脚部22は、夫々の底面23及び被梱包物の梱包時に外側となる外面20が同一平面上に形成され、側面視略への字状で所定の厚みを有する側壁部24で連結されている。側壁部24は、前脚部21と後脚部22の外面20と面一に前脚部21から前方傾斜部25が斜め上方に立ち上がり、前方傾斜部25に前脚部21と平行に中央水平部26が連続し、中央水平部26から後方傾斜部27が斜め下方に延び、後方傾斜部27が後脚部22に連続する形状に形成されている。
【0025】
前脚部21の上面211と下面210とは平行に形成され、後脚部22の上面221と下面220とは平行に形成されている。又、前脚部21の高さH21と後脚部22の高さH22とは同一である。前脚部21の先端は支持部213として、後述する隣の梱包体10の一つ上段の側面保持部材2、4の後脚部22のずれ長さ分の突出部位を支持する。
【0026】
そして、側壁部24の少なくとも一部から、上壁部が側壁部24と直行する方向且つ、被梱包物の梱包時に内側となる内面30から内方向に延設されている。詳しくは、前方傾斜部25の高さ方向の略中間部に前方傾斜部25の全長に亘って上壁部28が延設され、中央水平部26の上端部から上壁部28と連接する上壁部29が延設されている。
【0027】
側壁部24の上面及び下面は、側面保持部材2の積層時に嵌合可能なように、対応した形状に形成されると共に、図2に示すように、側面保持部材2の長手方向に所定のずれ長さL7のずれを有している。又、前脚部21の上面211の長手方向の長さL1は下面210の長さL2よりずれ長さL7分長く、後脚部22の上面221の長手方向の長さL3は下面220の長さL4より、ずれ長さL7分短く形成されている。
【0028】
前脚部21には、上方及び内方に開口し、被梱包物の前方角隅部たるインストルメントパネル9の前方側端部91を挿入するための保持凹部31が形成されている。又、前脚部21の上面211には、2個の結合凸部32、33が形成され、前脚部21の下面210には、側面保持部材2を重ねた際、夫々結合凸部32、33が挿入され、嵌合する結合凹部34、35が形成されている。このような結合凹部34、35と結合凹部34、35に嵌合する結合凸部32、33で、長手方向に所定の長さずらして側面保持部材2を段積みするようにガイドすると共に係止するためのガイド係止手段が形成されている。
【0029】
結合凹部34、35は、夫々結合凸部32、33の真下から、所定のずれ長さL7分、側面保持部材2の長手方向(図2において左右方向)の一方にずれて形成され、具体的には前方より(図2において右より)にずれて形成されている。
【0030】
後脚部22には、上方及び内方に開口し、被梱包物の後方角隅部たるインストルメントパネル9の後方側端部92を挿入するためのする保持凹部36が形成されている。又、後脚部22の上面221には、2個の結合凸部37、38が形成され、後脚部22の下面220には、側面保持部材2を重ねた際、夫々結合凸部37、38が挿入される結合凹部39、40が形成されている。
【0031】
結合凹部39、40は、夫々結合凸部37、38の真下から、所定のずれ長さL7分、側面保持部材2の長手方向(図2において左右方向)の一方にずれて形成され、具体的には前方より(図2において右より)にずれて形成されている。このような結合凹部39、40と結合凹部39、40に嵌合する結合凸部37、38で、長手方向に所定の長さずらして側面保持部材2を段積みするようにガイドすると共に係止するためのガイド係止手段が形成されている。
【0032】
そして、保持凹部49と前脚部21の保持凹部31及び後脚部22の保持凹部36によりインストルメントパネル9の側端部を保持する保持部が形成されている。
【0033】
側面保持部材2は、このような形状を有しているので、複数個の側面保持部材2を重ねた際に、上下段の側面保持部材2、2の夫々の前脚部21、後脚部22、側壁部24、上壁部28及び上壁部29の上下面同士が面接触し、下段の側面保持部材2の結合凸部32、33、37、38が夫々上段の側面保持部材2の結合凹部34、35、39、40に挿入、嵌合され、上段の側面保持部材2が下段の側面保持部材2より所定のずれ長さL7分後方(図2において左より)にずれて、積層後には互いにずれることがなく安定的、固定的に積層される。
【0034】
尚、上記実施の形態では、結合突起を、側面保持部材2の前脚部21及び後脚部22の上面211、221に夫々2個づつ形成しており、又、図面において、結合凸部32、33、37、38は、前脚部21又は後脚部22の上面211、221端部に形成され、結合凹部34、35、39、40は下方及び側方に開口した形状で示されているが、結合凸部の形成数、設置場所は特に限定されず、同様に結合凸部が挿入される結合凹部も結合凸部の形成数、設置場所に対応させて形成すればよい。例えば、結合凸部が側面保持部材2の上面の中央部に設けられている場合には、下方にのみ開口する結合凹部を形成することが出来る。
【0035】
そして、図2によく示すように、側面保持部材2を上下に積層することにより、上段及び下段夫々の側壁部24、前脚部21、上壁部28、29及び後脚部22により、梱包時に内側となる内面30側には、インストルメントパネル9の側端部が収納される保持凹部49が形成される。又、ガイド係止手段により、側面保持部材2は、前記所定の長さずらして段積みされ、上段の側面保持部材2は、下段の側面保持部材2からずらされた所定の長さL7分の突出部位が形成される。
【0036】
補強支持部材5は、梱包する異形断面を有する湾曲した薄板状体の前後の重量バランスが異なる場合に、一例として、前端部より後端部の重量が重い場合に、軽量な前端部が上方へ浮き上がることを防止するための部材であり、略長方体状であり、上面51又は内側面にはインストルメントパネル9の前後端のいずれか重い端部の一部、具体的には前端部より重量が重い後端部の後端中央部97が挿入されて支持される支持凹部54が形成されている。又、補強支持部材5の上面51には、結合凸部56が形成され、支持部材5の下面52には、結合凸部56が挿入され、嵌合する形状の結合凹部57が形成されている。尚、梱包体10は、補強支持部材5を備えずに構成することとしてもよい。
【0037】
結合凹部57は、結合凸部56の真下から、側面保持部材2、4の前方水平部21の上面の長手方向の長さL1が下面の長さL2より長い分の長さと等しい分、即ち所定のずれ長さL7分前方より(図3において右より)に形成されている。このような結合凹部57と結合凹部57に嵌合する結合凸部56で、所定の長さずらして補強支持部材5を段積みするようにガイドすると共に係止するための係止手段が形成されている。
【0038】
補強支持部材5は、このような形状を有しているので、複数個の補強支持部材5,5を重ねた際に、下段の補強支持部材5の上面51と上段の補強支持部材5の下面52が面接触し、下段の結合突起56が上段の結合凹部57に挿入され、上段の補強支持部材5が下段の補強支持部材5より後方(図3において左より)に所定のずれ長さL7分ずれて、安定的、固定的に積層される。
【0039】
側面保持部材2、4、補強支持部材5及び後述する当接部材7は、所要の緩衝性と機械的強度を備えることを条件に任意の材料、方法で形成することが出来るが、成形型及び軽量性の観点から、その材料は発泡樹脂が好ましく、より好ましくは、熱可塑性樹脂であり、その方法として、熱可塑性樹脂を用いた型内発泡成形とすることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、これらに限定されるものではないが、ポリスチレン系樹脂、例えば、ポリプロピレン係樹脂、ポリエチレン係樹脂等のポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリスチレンとポリエチレンとを含む複合樹脂を用いることが好ましい。発泡体の倍率は、被梱包物の重量や形状等を勘案して適宜設定することが出来が、緩衝性がよく、軽量で経済的である点から、30〜50倍(0.033g/L〜0.025g/L)程度が好ましい。尚、非発泡樹脂を用いて真空成形や射出成形によって形成することも出来る。
【0040】
次に、梱包体10を用いたインストルメントパネル9の梱包方法を説明する。側面保持部材2の保持凹部31にインストルメントパネル9の前方側端部91を挿入すると共に、側面保持部材2の保持凹部36にインストルメントパネル9の後方側端部92を挿入し、側面保持部材2の上壁部28、29上にインストルメントパネル9の側端中央部93を載置してインストルメントパネル9の一側端部を支持する。そして、同様にインストルメントパネル9の他端部を側面保持部材4に支持させる。側面保持部材2と側面保持部材4は、インストルメントパネル9を挟んで対向している。更に、補強支持部材5の支持凹部54にインストルメントパネル9の後端中央部97を挿入し、支持させる。このようにして、インストルメントパネル9を3箇所で支持して、梱包する。このように1セットの側面保持部材2、4及び補強支持部材5のみを用いてインストルメントパネル9を梱包する場合には、インストルメントパネル9の上方部分は、側面視で保持部材2、4から上方に突出している。
【0041】
このように保持部材2、4及び補強支持部材5で構成される梱包体を用いて湾曲した板状体を保持するので、対向する端部間に重量の軽重がある板状体を安定的に保持し、保管、輸送時の破損を防止することが可能となると共に、梱包、輸送時での変形を防止することが可能となっている。
【0042】
複数の薄板状体9を上下に積層して梱包させる場合には、インストルメントパネル9を梱包した1セットの側面保持部材2、4及び補強支持部材5を複数積層した梱包体10を用いる。具体的には、下段の側面保持部材2、4の上面と上段の側面保持部材2、4の下面を面接触させると共に、下段の結合凸部32、33、37、38を上段の結合凹部34、35、39、40に挿入して嵌合させ、更に、下段の支持部材5の上面51と上段の支持部材5の下面52を面接触させると共に、下段の結合凸部56を上段の結合凹部57に挿入して嵌合させる。このように複数個の側面保持部材2、4及び補強支持部材5を積層することにより、複数個のインストルメントパネル9を梱包する梱包体10が形成される。
【0043】
この時、インストルメントパネル9の両側端部は、上段及び下段の側面保持部材2、4により形成された保持凹部49に挿入され、インストルメントパネル9の上方部分が側面視で保持部材2、4から上方に突出することなく、完全に被覆される。
【0044】
このように、インストルメントパネル9を梱包した1セットの側面保持部材2、4及び補強支持部材5を複数個積層すると、上段の側面保持部材2、4及び補強支持部材5は下段の側面保持部材2、4及び補強支持部材5より側面保持部材2、4の長手方向に所定のずれ長さL7分後方(図5において左より)にずれて、安定的、固定的に積層され、梱包体10は階段状に積層される。
【0045】
そして、上段の側面保持部材2、4及び補強支持部材5と下段の側面保持部材2、4及び補強支持部材5は前後(図5において左右)にずれて積層されるので、梱包体10を用いることで、下段のインストルメントパネル9は、上段のインストルメントパネル9に一部挿入されて積層されることとなるので、積層高さを低くすることが出来る。
【0046】
積層された最上段のインストルメントパネル9の上方部分は、側面視で最上段の側面保持部材2、4から上方に突出することになるので、最上段のインストルメントパネル9を梱包する側面保持部材2、4の上に更にインストルメントパネル9を梱包していない側面保持部材2、4を積層して、蓋74として使用することが好ましい。このようにすることで、側面保持部材2、4と別部材の蓋の製造、使用が不要となり、コストの低廉化、作業の効率化を図りながら、最上段のインストルメントパネル9を保護することが出来る。
【0047】
複数のインストルメントパネル9を前後方向に並列して梱包させる場合には、図4及び図5によく示すように、側面保持部材2、2同士、側面保持部材4、4同士を夫々の前端面と後端面を対向させて連接させる。又、前脚部21の先端の支持部213は、隣接する梱包体10(図5において右側の梱包体10)の一つ上段の側面保持部材2、4の後脚部22のずれ長さ分の突出部位を支持する。
【0048】
更に、複数のインストルメントパネル9を並列させると共に積層して梱包し、少なくとも平行に設置された一対の壁部を有する外装ケースとしてのコンテナ8に収納する場合には、図4及び図5に示すように、一の梱包体10(図5では右端の梱包体10)の最下段の側面保持部材2、4及び他の梱包体10(図5では左端の梱包体10)の最上段の側面保持部材2、4が、一対の対向する壁部に接触するように設置することが好ましい。
【0049】
又、蓋として使用する側面保持部材2、4、具体的には、コンテナ8の壁部に接触しない最下段の側面保持部材とコンテナ8の壁部との間及び最下段の側面保持部材2、4、具体的には、コンテナ8の壁部に接触しない最上段の側面保持部材とコンテナ8の壁部との間に、長方体形状の当接部材7を設置し、インストルメントパネル9を梱包した梱包体1のずれを防止することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のような本発明によれば、異形断面を有する湾曲した板状体の梱包、保管、輸送時に省スペース化を図ることが出来、保管、輸送の効率を高めることが出来、輸送、保管時の変形、破損を防止することが出来るので、各種部品等の輸送に好適に利用することが出来、又、各種物品の組み立て産業においても好適に利用することが出来る。
【符号の説明】
【0051】
1 梱包体ユニット
10 梱包体
2 側面保持部材
21 前脚部
213 支持部
22 後脚部
24 側壁部
28 上壁部
29 上壁部
31 保持凹部
32 結合凸部
33 結合凸部
34 結合凹部
35 結合凹部
36 保持凹部
37 結合凸部
38 結合凸部
39 結合凹部
40 結合凹部
4 側面保持部材
5 補強支持部材
54 支持凹部
56 結合凸部
57 結合凹部
7 当接部材
9 インストルメントパネル
L7 所定のずれ長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲板状体を複数段に段積みして梱包する梱包体であって、
該梱包体は、少なくとも湾曲板状体の側端部を保持する保持部が形成された一対の長手方向を有する側面保持部材を複数備えて構成され、
該側面保持部材には、長手方向に所定の長さずらして該側面保持部材を段積みするようにガイドすると共に係止するためのガイド係止手段が形成され、
上段の側面保持部材は、該所定の長さずらして下段の側面保持部材に該ガイド係止手段を介して、係止されて段積みされていることを特徴とする湾曲板状体の梱包体。
【請求項2】
上記一対の側面保持部材の間に配置され、湾曲板状体を支持する複数の補強支持部材を更に備え、
該補強支持部材には、所定の長さずらして補強支持部材を段積みするようにガイドすると共に係止するための係止手段が形成され、
上段の補強支持部材は、該所定の長さずらして下段の補強支持部材に該係止手段を介して、係止されて段積みされていることを特徴とする請求項1に記載の湾曲板状体の梱包体。
【請求項3】
前記ガイド係止手段は、前記側面保持部材の下面に形成された凹部と、該凹部に嵌合する、上面に形成された凸部で構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の湾曲板状体の梱包体。
【請求項4】
前記係止手段は、補強支持部材の下面に形成された凹部と、該凹部に嵌合する、上面に形成された凸部で構成されたことを特徴とする請求項2に記載の湾曲板状体の梱包体。
【請求項5】
湾曲板状体を複数段に段積みして梱包する梱包体を並列させた梱包体ユニットであって、上記請求項1から4のうちいずれか1項に記載の湾曲板状体の梱包体を複数用い、
上記梱包体を構成する側面保持部材には、前記所定の長さずらして段積みすることにより、ずらされた所定の長さ分の突出部位を支持するための支持部が形成され、
該所定の長さずらして段積みされた上段の側面保持部材の所定長さ分の突出部位が、隣接する梱包体の一つ下段の側面保持部材の支持部に支持されていることを特徴とする梱包体ユニット。
【請求項6】
少なくとも平行に設置された一対の壁部を有する外装ケース内に設置して用いられる上記梱包体ユニットであって、
一の梱包体の最下段の側面保持部材及び他の梱包体の最上段の側面保持部材が、該一対の壁部に接触していることを特徴とする請求項5に記載の梱包体ユニット。
【請求項7】
前記他の梱包体の最下段の側面保持部材と一の壁部との間、及び前記一の梱包体の最上段と他の壁部との間に、それぞれ当接部材が設けられることを特徴とする請求項6に記載の梱包体ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−213367(P2011−213367A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81761(P2010−81761)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】