湾曲面上における接触の検出
本明細書において開示する実施形態は、湾曲したマルチタッチ表面を有する入力デバイスに関する。開示する一実施形態は、タッチ・センサーを構成する湾曲幾何学的外形を有する接触感応入力デバイスを備えている。タッチ・センサーは、湾曲幾何学的外形内に一体化されたセンサー・エレメントのアレイを備えており、このセンサー・エレメントのアレイは、湾曲幾何学的外形の表面上において行われた接触の位置を検出するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 種々の入力デバイスによって、ユーザーはコンピューティングデバイス上においてグラフィカル・ユーザー・インターフェースと対話処理することができる。例えば、マルチタッチ・ディスプレイは、コンピューター・ディスプレイ上に配されたマルチタッチ・センサーを利用し、ユーザーは、自然な直感的ジェスチャーによって、グラフィカル・ユーザー・インターフェース上に表示されるコンテンツと対話処理することができる。マルチタッチ・ディスプレイは、容量性メカニズムおよび視覚に基づくメカニズムを含む種々のメカニズムによって接触を検出する。 しかしながら、使用環境によっては、マルチタッチ・ディスプレイが種々の問題を生ずることもある。例えば、デスクトップ・コンピューターと共に用いることができるような、垂直に向けられたマルチタッチ・ディスプレイでは、ユーザーが維持する腕の位置のために、ユーザーの疲労を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
[0002] また、コンピューター・マウスも、ディスプレイ上に表示されるカーソルがマウスの動きを追跡することによって、ユーザーがグラフィカル・ユーザー・インターフェースと対話処理することを可能にする。コンピューター・マウスは、長い時間期間にわたって快適に用いることができる。しかしながら、マウスに基づくグラフィカル・ユーザー・インターフェースがカーソルに基づく入力の枠組みを利用するので、グラフィカル・ユーザー・インターフェースとの自然な動きに基づく対話処理の機会は、接触に基づく入力システムよりも制限される。
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003] したがって、本明細書では、湾曲したマルチタッチ表面を有する入力デバイスに関する種々の実施形態を開示する。例えば、開示する一実施形態では、湾曲幾何学的外形を有する接触感応入力デバイスは、タッチ・センサーを備えており、このタッチ・センサーは、湾曲幾何学的外形の中に一体化されたセンサー・エレメントのアレイを備えている。センサー・エレメントのアレイは、湾曲幾何学的外形の表面上で行われた接触の位置を検出するように構成されている。
【0004】
[0004] この摘要は、詳細な説明において以下で更に説明する概念から選択したものを、簡略化した形態で紹介するために設けられている。この摘要は、特許請求する主題の主要な特徴や必須の特徴を特定することを意図するのではなく、特許請求する主題の範囲を限定するために用いられることを意図するのでもない。更に、特許請求する主題は、本開示のいずれの部分に記されている実施形態の内いずれかの欠点を解決するものにも、また全ての欠点を解決するものにも限定されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、タッチ・センサーを備えているマウスの一実施形態を示す。
【図2】図2は、図1の実施形態を保持しているユーザーを示す。
【図3】図3は、図2に示すように図1の実施形態を保持したときに、タッチ・センサーによって検出される信号の模式図を示す。
【図4】図4は、接触感応面を備えているマウスの一実施形態のブロック図を示す。
【図5】図5は、容量性接触感応メカニズムのセンサー・エレメントのレイアウトの一実施形態を示す。
【図6】図6は、容量性接触感応回路の構成の一実施形態を示す。
【図7】図7は、他の容量性接触感応回路の構成の一実施形態を示す。
【図8】図8は、他の容量性接触感応回路の構成の一実施形態を示す。
【図9】図9は、マルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の一実施形態を示す。
【図10】図10は、マルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の他の実施形態を示す。
【図11】図11は、マルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の他の実施形態を示す。
【図12】図12は、図9から図11の実施形態と共に用いるのに適した可展面(developable surface)を有するマウスの一実施形態を示す。
【図13】図13は、複雑な湾曲を有するマルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の一実施形態を示す。
【図14】図14は、複雑な湾曲を有するマルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の他の実施形態を示す。
【図15】図15は、複雑な湾曲を有するマルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の一実施形態を示す。
【図16】図16は、特定の機能にマッピングされている接触感応面の領域の境界を示す指示光を有するコンピューター・マウスの一実施形態を示す。
【図17】図17は、コンピューター・マウス上におけるタッチ・センサーの1つ又は複数の領域に特定の機能をマッピングするように構成されているコンピューター・マウスのカバーの一実施形態を示す。
【図18】図18は、機械式アクチュエーターの作動と関連付けられている、マウス上のタッチ・センサーの領域を検出する方法の一実施形態を示す。
【図19】図19は、機械式アクチュエーターの作動前において、コンピューター・マウスのタッチ・センサーによって検出された信号の一実施形態を示す。
【図20】図20は、機械式アクチュエーターの作動後において、コンピューター・マウスのタッチ・センサーによって検出された信号の一実施形態を示す。
【図21】図21は、共通電極アレイを共有する容量性タッチ・センサーおよび圧電式圧力センサーの実施形態を示す。
【図22】図22は、図21の線22−22に沿った、図21の実施形態の断面図を示す。
【図23】図23は、図21の実施形態によって接触位置および接触圧力を測定する方法の一実施形態を表す流れ図を示す。
【図24】図24は、容量性タッチ・センサーを動作させる方法の一実施形態を表す流れ図を示す。
【図25】図25は、タッチ・センサーを備えている入力デバイスの形成方法の他の実施形態を表す流れ図を示す。
【図26】図26は、マウスの非可展面上に配された容量性タッチ・センサーを備えているコンピューター・マウスの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0031] 本明細書では、湾曲したマルチタッチ表面を有する入力デバイスに関する実施形態を開示する。例えば、一部の実施形態は、コンピューティングデバイスの入力として用いるためのコンピューター・マウスの表面上における、位置に基づく入力の検出に関する。「位置に基づく接触入力」という用語は、タッチ・センサー上における検出位置および/また接触入力のエリアの変化、ならびにタッチ・センサーの特定領域における接触の存在および/または不在を伴うあらゆる接触入力を指し、ジェスチャー、接触エリアにおける変化等を含むこともできる。実施形態の中には、接触検出メカニズムが、時間的に重複する多数の接触(即ち、「マルチタッチ」)を検出することにより、マウス表面上において行われた多数の指によるジェスチャーの検出を可能にするように構成することができるものもある。更に、本明細書では、非平面上で用いることができるタッチ・センサーの構造に関する実施形態も開示する。非平面とは、コンピューター・マウスの湾曲表面を含むが、これに限定されるのではない。これらの実施形態については、以下で更に詳しく説明する。
【0007】
[0032] 図1は、タッチ・センサー102を備えているコンピューター・マウス100の一実施形態を示す。タッチ・センサー102は、コンピューター・マウス100の本体の前方部(即ち、通常の使用中ユーザーの指が接触するように構成されているマウスの部分)の形状で、湾曲した幾何学的外形上に広がっている。図示したタッチ・センサー102は、コンピューター・マウス100の上面の端から端までの曲面の実質的に全体にわたって広がっており、本体の内面、本体の外面に配置してもよく、および/または本体の中に組み込んでもよい。タッチ・センサー102は、タッチ・センサー102上における1つ又は複数の接触の位置を検出するように構成されている。このように、タッチ・センサー102は、当該センサー上における接触入力の動きを追跡することを可能にし、これによってジェスチャーに基づく接触入力の検出を可能にすることができる。尚、図1に示すタッチ・センサー102の具体的な構成および配置は、例示を目的として紹介するのであり、タッチ・センサーまたは複数のタッチ・センサーをコンピューター・マウス上の所望の場所であればどこにでも設けてもよいのであるから、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。例えば、実施形態の中には、タッチ・センサーがコンピューター・マウスの実質的に表面全体を覆ってもよい場合もある。他の実施形態では、実施形態によっては、タッチ・センサーがコンピューター・マウスの端から端までの湾曲の一部に沿って広がっていてもよい場合もある。更に別の実施形態では、コンピューター・マウスの表面上の異なる位置に、別々のタッチ・センサーを用いてもよい。更にまた他の実施形態では、コンピューター・マウス以外の入力デバイスが、接触感応能力を備え、湾曲幾何学的外形を有していてもよい。
【0008】
[0033] 図2は、図1のコンピューター・マウス100を掴んでいるユーザーを描写し、図3はコンピューター・マウス100に接触しているユーザーの指がタッチ・センサー102によって検出された結果生じた信号300を示す。図3において見ることができるように、タッチ・センサー102上にあるユーザーの指の各々の位置および面積は、タッチ・センサーによって検出される。したがって、適したレートでタッチ・センサー102からの出力を周期的にサンプリングすることによって、タッチ・センサー102上にあるユーザーの指の各々の動きを追跡することができる。次いで、このような動きを、認識されているタッチ・ジェスチャー(touch gesture)を定義する期待運動と比較すると、ユーザーがタッチ・ジェスチャー入力を行ったか否か判定することができる。図3はマルチタッチ・センサーの出力を示すが、他の実施形態では1回毎の接触を検出するように構成されているタッチ・センサーを利用してもよいことは言うまでもない。更に、他の実施形態では、タッチ・センサーは、接触至近(near-touch)(即ち、指がタッチ・センサーに近接しているが、直接接触せずに保持されている場合)を検出するように構成することもできる。これによって、「接触至近」状態を、付随するソフトウェアにおいて認識し実施することが可能になる。更に、接触/ホバリングの位置における信号の測定強度の差によって、および/または接触信号が容量性タッチ・センサーから検出される場合圧力センサーからの圧力信号の有無から、「接触至近」状態と「接触」状態との間の差を判断することもできる。
【0009】
[0034] 前述のように、図示したタッチ・センサー102は、単なる接触の有無ではなく、接触位置の検出(および面積も可能)を可能にすると言える。したがって、手および指の静止位置の検出を可能にすることに加えて、タッチ・センサー102は、タッチ・ジェスチャーの検出も可能にする。「ジェスチャー」という用語は、本明細書において用いられる場合、ある意図をシステムに伝える目的のための1本又は複数本の指の動きを意味することとする。種々のタイプのジェスチャーを利用することができる。例えば、実施形態によっては、一時的ジェスチャーおよび連続的ジェスチャーを認識できるものもある。一時的ジェスチャーは、そのジェスチャーの完了時に(例えば、動きを完了して指をタッチ・センサーから持ち上げたとき)ジェスチャーが認識されるように、最初から最後まで継続して(beginning-to-end fashion)実行されるジェスチャーを含むことができる。このような一時的ジェスチャーの一例に、リストのスクローリング、ブラウザ履歴全体のナビゲーション等を行わせるように構成されているフリック・ジェスチャー(flick gesture)(例えば、タッチ・センサーを横切る1本又は複数本の指の素早い直線的な動き)がある。また、一時的ジェスチャーは、多数の方向の動き、例えば、多数の線および/または曲線経路に沿った動きを含むことができる。例えば、ユーザーがエディターの挿入マーク(「∨」)を描いて、テキスト選択において現在のカーソル位置に、コピーしたテキストをペーストすることができる。尚、一時的ジェスチャーのこれらの例は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0010】
[0035] 一時的ジェスチャーに対して、連続的ジェスチャーは、ユーザーの意図を達成し終えるまで、1つ又は複数のパラメータを連続的に、そしてディスプレイ上にフィードバックしながら、ユーザーに指定させるジェスチャーを含む。連続的ジェスチャーの一例に「ピンチ」ジェスチャー(pinch gesture)があり、マルチタッチ・センサー上における2本の指の間における距離の変化を入力として用いて、操作されている写真または他のオブジェクトの対応するサイズ縮小を行う、コンピューティングデバイスが発する音のピッチを変化させる等とすることができる。同様に、「ストレッチ」ジェスチャー(stretch gesture)は、マルチタッチ・センサー上における2本の指の間の距離を広げるのであるが、写真または他のオブジェクトのサイズを対応して拡大させるために用いることができる。連続的ジェスチャーの他の例には、スクローリングの方向にリスト上で指をドラッグすることによってリストをスクローリングすること、オブジェクト上で2本の指の互いに対する向きを変化させることによってそのオブジェクトを回転させること等が含まれるが、これらに限定されるのではない。
【0011】
[0036] ジェスチャーが連続的、一時的、または他のジェスチャー・タイプのいずれであっても、図示したコンピューター・マウス100上にあるタッチ・センサー102は、手をコンピューター・マウス100から持ち上げてそれをキーボード、接触感応ディスプレイ、または他のこのような入力デバイスに動かす必要なく、ユーザーがジェスチャーに基づく入力を行うことができるという便益が得られる。
【0012】
[0037] コンピューター・マウス100は、接触入力を行うための接触感応ディスプレイの使用に比べて、種々の利点を提供することができる。これは、コンピューター・マウス100が、接触感応ディスプレイに伴う種々の問題を回避しつつ、接触感応入力デバイスの便益の多くを維持することができるからである。例えば、コンピューティングデバイス用のモニターとして用いられる接触感応ディスプレイは、多くの場合、ディスプレイの前に座っているユーザーに面するように構成された垂直配向表示画面を備えている。このような接触感応ディスプレイは、ユーザーの指と、接触感応ディスプレイ上で操作されているグラフィカル・オブジェクトとの間における直接的な対応付けが得られるという優位性が得られるが、このような接触感応ディスプレイとの対話処理には、マウスに基づく対話処理よりも遙かに大量の身体的作業(physical efforts)を伴うこともあり得る。例えば、垂直配向接触感応ディスプレイの使用を延長すると、接触入力を行うために用いられる腕に多大な疲労を生じさせる可能性がある。
【0013】
[0038] 対照的に、コンピューター・マウス100は、僅かな作業で、大きなスクリーン上の距離に渡って対話処理の中心(例えば、カーソル、ポインタ等)をユーザーが動かすことを可能にし、更に、手のコンピューター・マウス100との接触を維持しつつ、その中心において接触入力ジェスチャーを行うことを可能にする。更に、タッチ・センサーをコンピューター・マウスに追加することによって増大するコストは、タッチ・センサーをディスプレイ・デバイスに追加することによって増大するコストよりも少なく済ますことができる。何故なら、ディスプレイ・デバイスよりもマウスの方が、単純な製造プロセス(例えば、導電性インク印刷に対して、酸化インジウム錫の堆積)、および安価な材料を用いることができるからである。加えて、コンピューター・マウス用のタッチ・センサーは、ディスプレイ・デバイス用のタッチ・センサーよりも遙かに小さくすることができ、ディスプレイ・デバイス用のタッチ・センサーと比較して、コンピューター・マウス用のタッチ・センサーの製造コストを更に低下させるのに資することができる。
【0014】
[0039] 図4は、コンピューター・マウス100を含むがこれに限定されない、本明細書において記載する種々の実施形態の特徴を組み込んだコンピューター・マウス400の一実施形態のブロック図を示す。コンピューター・マウス400は、動き検出器402を備えている。動き検出器402は、マウス・パッド、テーブル等のような、追跡面上における動きをコンピューター・マウス400が追跡することを可能にする。図示した動き検出器402は、追跡面に向けて光を放出するように構成されている、レーザまたは発光ダイオードのような、光源404を含み、更に、追跡面から反射される光を受光して、動きの検出のために追跡面の画像を周期的に取り込むように構成されている画像センサー406を含む。
【0015】
[0040] 更に、コンピューター・マウス400は、コンピューター・マウス400の表面上に配置され、通常の使用中にユーザーの指と接触するタッチ・センサー410も備えている。実施形態の中には、コンピューター・マウス400が1つの容量性マルチタッチ・センサーを備えていればよい場合があり、一方他の実施形態では、コンピューター・マウス400が1つよりも多いタッチ・センサーを備えており、コンピューター・マウスの表面上における種々の位置に配置されているとよい場合もある。実施形態の中には、タッチ・センサー410が容量性タッチ・センサーを備えているとよい場合があり、一方他の実施形態では、タッチ・センサーが抵抗性タッチ・センサーまたは他の適したタッチ・センサーを備えているとよい場合もある。更に、実施形態の中には、タッチ・センサーが多数の時間的に重複した接触を検出するように構成することができるものもあり、一方他の実施形態では、タッチ・センサーが1回ずつの接触を検出するように構成すればよい場合もある。
【0016】
[0041] 次に、コンピューター・マウス400は、コンピューティングデバイスとの通信を可能にする入力/出力システム412を含む。適した入力/出力システムの例には、USBインターフェース414、および/またはBluetooth(登録商標)のような適したプロトコルによって情報のワイヤレス転送を可能にするワイヤレス通信システム416等が含まれるが、これらに限定されるのではない。
【0017】
[0042] 実施形態の中には、コンピューター・マウス400が、機械式アクチュエーター418のような、1つ又は複数の機械式ボタンを任意に備えているとよい場合もある。以下で更に詳しく説明するが、コンピューター・マウス400は、機械的作動と合わせて用いられる接触、ジェスチャー、手の姿勢等を、特定のマウス機能にマッピングするように構成することができる。マウス機能には、「右クリック」のような従来のマウス動作が含まれるが、これに限定されるのではない。図示した実施形態は1つの機械式アクチュエーターを含むが、他の実施形態では多数の機械式アクチュエーターを含んでもよいことは言うまでもない。例えば、一実施形態では、マウスが左および右の機械式ボタン(従来のマウスと同様)を含んでもよく、その場合、各ボタンが、そのボタンの表面において行われる接触入力を検出することができるタッチ・センサーを備えている。
【0018】
[0043] 更に別の実施形態では、他の検出およびフィードバック・メカニズムを、機械式アクチュエーターに加えて、またはその代わりに設けることもできる。例えば、フィードバック・メカニズムに関しては、選択された入力(例えば、右クリック機能に対応する接触入力)を検出したことに応答して、振動するようにマウスを構成することができる。更に、マウスが、右クリックまたは他のそのような入力を検出したときに「クリック」音を生成することができるように、マウスがオーディオ出力を含むこともできる。更に、選択された接触入力に応答して、マウスに接続されているコンピューティングデバイスからオーディオ・フィードバックをトリガするように構成されている信号を出力するように、コントローラーを構成することもできる。尚、これらのフィードバック・メカニズムは、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0019】
[0044] 同様に、検出メカニズムに関して、機械式アクチュエーターの代わりに、またはそれに加えて、マウスが、抵抗性圧力センサーのような、1つ又は複数の圧力センサー419を含むこともできる。ユーザーがマウス本体を押すと(例えば、「右クリック」入力を行うために)、圧力センサーが、例えば、マウス表面の僅かな変形を通じて、この押圧を検出することができる。これは、タッチ・センサーからの入力と共に、「右クリック」等のような異なる行為を区別するために用いることができる。
【0020】
[0045] 引き続き図4を見ていくと、実施形態の中には、コンピューター・マウス400が任意に1つ又は複数の光源を備えているとよい場合もある。これらは「光源1」420および「光源n」422として示されており、nは0以上の値を有する整数である。以下で更に詳しく説明するが、光源420、422は、タッチ・センサー410の特定の領域が特定の機能にマッピングされるとき、これらの領域の輪郭を定めるために用いることができる。例えば、コンピューター・マウス400がリストをスクロールするために用いられているとき、タッチ・センサー410の一部を、スクロール・ホイールの特定の機能を有することにマッピングすることができる。スクロール・ホイール機能にマッピングされたこのタッチ・センサー410の一部は、次に、対応する光源420、422を点灯させて、例えば、その領域の周囲を示すことによって、領域全体を照明することによって、または他のいずれかの適したやり方で、その領域を強調することによって、輪郭を定めることができる。
【0021】
[0046] 引き続き図4を見ていくと、コンピューター・マウス400は、メモリー432と、プロセッサー434によって代表される種々の論理コンポーネントとを有するコントローラー430を備えている。メモリー432は、コンピューター読み取り可能命令をその上に格納することができ、コンピューター読み取り可能命令は、コンピューター・マウス400の動作を可能にするために、プロセッサー434によって実行可能である。例えば、これらの命令は、動き検出器402、タッチ・センサー410、および機械式アクチュエーター418からの入力を受け取り、これらの信号を処理し、グラフィカル・ユーザー・インターフェースとの対話処理のために、対応する制御信号を光源420、422およびコンピューティングデバイスに供給するために実行可能にすることができる。
【0022】
[0047] 実施形態の中には、コンピューター・デバイス上で実行する従来のマウス・ドライバーが認識可能な制御信号を供給するために、命令がプロセッサー434によって実行可能とする場合もある。このように、コンピューター・マウス400は、旧来のマウス・ドライバーを実行するコンピューティングデバイスと合わせて用いることもでき、これによってコンピューター・マウス400に下位互換性を持たせることができる。更に具体的な例として、タッチ・センサー410の一部がスクロール・ホイール機能にマッピングされている場合、タッチ・センサー410のマッピングされた部分において受け取られたタッチ信号を従来のスクロール・ホイール信号に変換することができ、このスクロール・ホイール信号をコンピューティングデバイスに供給することができる。同様に、機械式アクチュエーター418および/または圧力センサー419の作動は、タッチ・センサー410からの信号によって、「左クリック」または「右クリック」(例えば、従来の左または右のマウス・ボタンの押下)であると判定されるが、これらを、従来のマウスによって供給されるような、従来の「左クリック」または「右クリック」信号に変換することもできる。尚、タッチ・センサー410、機械式アクチュエーター418および/または圧力センサー419からの信号の従来のマウス信号への変換のこれらの例は、例示の目的のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0023】
[0048] 容量性タッチ・センサー410は、容量によって接触を検出するのに適した構成であればいずれでも有することができる。図5は、容量性タッチ・センサー410に適した1つの構成500の一例を示す。容量性タッチ・センサー410は、一例を502で示す複数の行のセンサー・エレメントと、一例を504で示す複数の列のセンサー・エレメントとを備えており、これらが一緒になって複数の画素を形成する。各画素は、本体上の位置における接触を、その画素上で検出するように構成されている。センサー・エレメント502の行は、誘電体層によって、センサー・エレメント504の列から分離されている。第1複数のリード506が、センサー・エレメント502の行を電源および/または接地に(行の逆側の端部(図示せず)において)接続し、第2複数のリード508がセンサー・エレメント504の列を電源および/または設置(列の逆側の端部(図示せず)において)に接続する。図示した実施形態では、各センサー・エレメントは、その1つが510で示されており、矩形形状を有し、対向する角において同じ行または列の中にある隣接するセンサーと接続されている。しかしながら、センサー・エレメントは、図示した形状以外でも、適した形状であれば他のいずれでも有することができる。
【0024】
[0049] タッチ・センサー410によって接触を検出するためには、適した回路であればいずれでも用いることができる。人間の肉は、いくらか導電性があり、人間は通例彼らの周囲を通じて電気接地と相応に接触している。ユーザーの指から接地への容量は、通例約1000ピコファラッドである。ユーザーの指と接触したまたは近接するタッチ・センサー410の位置の測定容量に対するこの容量の効果は、種々の方法で測定することができる。例えば、実施形態の中には、図6に示すように、センサー・エレメント510から接地までの容量を測定できる場合がある。ユーザーがセンサー・エレメントに接近しこれと接触すると、そのセンサー・エレメントの接地への容量が増大する。行および列の容量の変化に関する情報によって、接触を、作用を受けた行と影響を受けた列との間の交点に対応するセンサーの領域にマッピングすることが可能になる。
【0025】
[0050] 他の実施形態では、図7に示すように、行センサー・エレメントと列センサー・エレメントとの間で測定することによって、容量を測定することもできる。ユーザーがセンサー・エレメント間の境界に接近すると、接地へのユーザーの容量がその位置において場を乱し、センサー・エレメント間で測定される容量が減少する。
【0026】
[0051] 更に別の実施形態では、図6について先に説明したように、容量の測定は、センサー・エレメントから接地まで測定することによって、しかし列の一部および/または行の一部を延長したセンサー・エレメントを用いて、行うことができる。これを図8に示す。このように、接触の位置は、行800の長さおよび/または列802の長さに沿って、一層正確に判定することができる。図示した実施形態では、各行800および各列802は接地に至る2つの接続を有するが、各行および/または各列が有する接地への接続は、適した数であればいずれでもよいことは言うまでもない。電源と接地との間において用いるセンサー・エレメントを少なくする程、所与のセンサー・サイズに対する、接触位置の判定を一層正確に行うことが可能になると考えられる。更に他の実施形態では、各センサー「画素」は、電源および接地へのそれ自体の接続によって、個々の容量回路を備えることができる。
【0027】
[0052] 手短に図5を再度参照すると、容量センサー・エレメント510は適した間隔であればいずれでも有することができる。例えば、実施形態の中には、センサー・エレメント510が、隣接するセンサー・エレメントの中心間で約1から5ミリメートルの間隔を有する場合がある。このサイズのセンサー・エレメントは十分に小さく、タッチ・センサーに接触する指は少なくとも2つのセンサー・エレメントの範囲内にある。これは、大人の人差し指が接触センサーに接触するとき非常に大まかに直径10mmの接触面積を有するからである。このようなセンサーを用いると、指が多数のセンサー・エレメントをカバーするときには一層正確な位置を内挿補間することができるので、実質的な分解能をセンサー・サイズよりも細かくすることができることが認められよう。他の実施形態では、センサー・エレメントの間隔は5mmよりも狭い場合もある。しかしながら、この場合、行および列の数が増大するので、タッチ・センサーのコストが上昇する可能性がある。同様に、実施形態の中には、センサー・エレメント間の間隔が5mmよりも広い場合もある。しかしながら、この場合、センサーは、指が1つのセンサー・エレメントに接触できる程に十分大きくすることができるが、指の位置を判定するのが困難となり、したがってセンサー分解能の低下を招く可能性がある。
【0028】
[0053] センサー・エレメント510には、適したセンサー・サイズおよび数であればいずれでも用いることができる。例えば、実施形態の中には、約100mm×50mmアレイのセンサー・エリアを用いてもよい場合がある。図6の実施形態では、m×n行を有するこのようなセンサーは、m+nに等しい数の列および行を有することができ、m+n回の容量測定によって、センサー全体の読み取り値を求めることができる。しかしながら、この実施形態では、ユーザーが多数の行および/または多数の列に一度に接触している場合、接触の位置に関して、多少の曖昧さが存在する可能性がある。例えば、ユーザーが行AおよびBならびに列2および3に接触している場合、ユーザーが位置(A,2)および(B,3)に接触しているのか、または位置(A,3)および(B,2)に接触しているのか判断することが難しい場合がある。図8のコンテキストで説明するが、センサー・エレメントの各行および/または各列において接地に至る多数の接続を用いることによって、この曖昧さをある程度克服することができる。
【0029】
[0054] 対照的に、そして再度図7を参照すると、1つのセンサー・エレメントから他のセンサー・エレメントへの容量が接触された場合、m×n回の測定を行うことができる。これは、各行から各列への容量を測定することができるからである。この場合、多数の列および/または多数の行にわたって接触が生じたとき、各接触位置を独立して解明することができる。
【0030】
[0055] m×n測定の実施形態を用いることは、状況によっては、m+n測定の実施形態を用いる場合よりも優位性を提供することができる。例えば、ユーザーが使用中にコンピューター・マウスを握っていると、多数の偶発的な接触が起こり得る。前述のm+n法で接触入力の正確な位置を判定する曖昧さのために、このような外部接触を無視する探索法は、m×n法と比較して、m+n法に合わせて練り上げる方が一層困難になる可能性がある。何故なら、m×nは各センサー・エレメントにおける容量を独立して解明することができるからである。
【0031】
[0057] 更に別の実施形態では、センサーがm+nおよびm×n検出方法双方を利用することもできる。例えば、m×n測定の方がより多くの詳細を提供するが、測定する回数が多いために、より多くのデバイス電力を消費する可能性がある。したがって、接触状態の変化が検出されるまで、m+n検出方法を用いてセンサーを読み取るとよい。次いで、m×n測定を実行し、変化した接触状態について更に詳細な情報を収集した後に、m+n測定を再開するとよい。これについては、図24のコンテキストで以下で更に詳細に説明する。
【0032】
[0058] タッチ・センサー410は、適した態様であればいずれでも、そして適した材料であればいずれでも製作することができる。例えば、接触感応ディスプレイ・デバイス用の従来の容量性タッチ・センサーは、酸化インジウム錫(ITO)のような透明な導体を、絶縁ガラスまたはプラスチック基板上に堆積して作ることができる。このようなセンサーは、例えば、基板の前面上に行を形成し、基板の背面上に列を形成することによって(またはその逆)、または列および行を構成するITOの単一層によって、金属またはITOジャンパーを用いて形成することができる。
【0033】
[0059] しかしながら、接触感応コンピューター・マウスまたはタッチ・センサーに合わせたこのような他の使用環境の場合、センサーを不透明にすればよい。更に、コンピューター・マウス用のタッチ・センサーは、接触感応ディスプレイに用いられるタッチ・センサーとは異なり、湾曲面を有する。したがって、コンピューター・マウス用の容量性タッチ・センサーは、他のプロセスによって製造すればよい。例えば、一実施形態では、湾曲容量性タッチ・センサーは、導電性インクを用いて、可撓性絶縁基板上にタッチ・センサーの列および行を印刷する(例えば、スクリーン印刷、インク・ジェット印刷、または他の適した印刷技法)ことによって、作ることができる。更に具体的な例として、銀ポリマーの厚膜をポリエステル基板上に印刷することができる。尚、この例は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0034】
[0060] 図9は、容量性マルチタッチ・センサーを有する湾曲した幾何学的外形の物体を形成する方法900の一実施形態を示す。コンピューター・マウスのコンテキストで示されているが、この概念は適した湾曲物体であれば他のいずれにも応用できることは言うまでもない。最初に、方法90は、902において、可撓性絶縁基板の第1側に第1組のセンサー・エレメントを形成するステップを含む。904に示すように、更に具体的な一実施形態では、この第1組のセンサー・エレメントは、厚膜のような可撓性基板上に導電性インクを印刷することによって形成することができる。同様に、接触トレースを形成することができる。次に、方法900は、906において、基板の第2側に第2組のセンサー・エレメントを形成するステップを含む。908に示すように、更に具体的な一実施形態では、第2組のセンサー・エレメントは、基板の第2側に導電性インクを印刷することによって形成し、これによってセンサーを形成することができる。接触トレースも、同様に形成することができる。次に、910に示すように、湾曲したマウス表面上でセンサーを折り曲げ、次いで912において示すように、マウス表面に固定し(例えば、接着材または他の適したメカニズムによって)、接触感応コンピューター・マウスを形成する。尚、センサーの電源、コントローラー等への電気接続はいずれも、適したやり方であればいずれでも作ることができることは言うまでもない。例えば、基板は、可撓性「テール」を含むことができ、ここにトレースを印刷し、他の回路に接続するために、マウス内部に導入することができる。
【0035】
[0061] 図10は、容量性マルチタッチ・センサーを有するコンピューター・マウスを形成する方法の他の実施形態を示す。方法10は、1002において、例えば、印刷によって基板の第1側上に第1組のセンサー・エレメント(およびトレース)を形成し、次いで、1004において、第1組のセンサー・エレメント上に誘電体層を形成するステップを含む。次に、方法1000は、1006において、誘電体層上に第2組のセンサー・エレメント(およびトレース)を形成して、センサーを形成するステップを含む。次いで、1008において、方法1000は、マウスの表面上でセンサーを折り曲げ、次いでセンサーをマウス表面に固定して、接触感応コンピューター・マウスを形成するステップを含む。
【0036】
[0062] 図11は、コンピューター・マウス用マルチタッチ・センサーを形成する方法1100の他の実施形態を示す。最初に、1102において、1つの層に第1および第2組のセンサー・エレメントを印刷し、第1組のセンサーにコネクターを形成する。次に、1104において、ジャンパーを形成する領域、即ち、第1組のセンサーのコネクターの上に、絶縁材料を堆積する。次に、1106において、導電性ジャンパーを絶縁材料上に堆積して、第2組のセンサーにコネクターを形成して、センサーを完成させる。このプロセスを図21に示す、以下で説明する。次いで、先に説明したように、センサーをコンピューター・マウスに固定することができる。尚、これらの実施形態は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0037】
[0063] 適した基板であればいずれでも、導電性インクを印刷する基板として用いることができる。適した基板の一例には、約0.003インチの厚さを有するポリエステル・シートを含む。他の実施形態では、他の適した可撓性絶縁材料であればいずれでも基板を作ることができ、適した厚さであれば他のいずれでも有することができる。同様に、導電性インクも、適した厚さであればいずれでも有することができる。具体的な一実施形態では、各センサー・エレメントを形成する導電性インクは、約0.001インチの厚さを有する。他の実施形態では、導電性インクは、適した厚さであれば他のいずれでも有することができる。
【0038】
[0064] このようなセンサーにおける厚いポリマー導電性インク膜の電気的特性は、ガラス上のITOよりも低い面抵抗を有することができる。例えば、銀インクの厚膜は、更に低い面抵抗を有する(ITOが数十または数百オームであるのに対して、銀導電性インクでは〜40ミリオーム)。このため、センサーの列および行に沿ったRC遅延が減少することができ、したがってより長いトレース上でより速い測定が、少ない誤差で行うことが可能になる。更に、実施形態の中には、銀インクの代わりに、炭素導電性インクを用いることができる場合もある。炭素インクは、銀インクよりも安価であり、適した低抵抗を有することもできる。
【0039】
[0065] 図9から図11に示した方法は、マウスまたは他の物体の「可展面」に合わせてマルチタッチ・センサーを形成するのに適している。「可展面」という用語は、本明細書において用いる場合、歪み(例えば、圧縮および/または伸張)なく平面に平坦化することができる表面のことを言う。図12は、このような可展面を有するコンピューター・マウス1200の一実施形態例を示す。具体的には、可展面は、コンピューター・マウスの左縁端(図12におけるコンピューター・マウスの向きに言及する)から、マウスの軸に沿って、マウスが右ボタン縁端に向かって下方に湾曲し始める位置(破線1202で示す)まで広がっている。マウス1200のこの部分に取り付けられるタッチ・センサーは、通常の使用中にユーザーの指が接触する位置にあり、したがってユーザーの指が行うタッチ・ジェスチャーを検出することができる。
【0040】
[0066] 他の実施形態では、コンピューター・マウスが、複雑な湾曲がある非可展面上に配置されたタッチ・センサーを備えることもできる。図13は、非可展面上で用いるためのマルチタッチ・センサーを有するコンピューター・マウスを形成する方法1300の一実施形態を示す。この方法は、非可展面に取り付ける前に、センサーを折り曲げるステップを含む。方法1300は、1302において、折り曲げてはいけない基板の領域において、基板上に第1および第2組のセンサー・エレメントを形成するステップを含む。第1および第2組のセンサー・エレメントは、以上の方法900から1100のいずれにおいて説明したように、または適したやり方であれば他のいずれでも形成することができる。
【0041】
[0067] 次に、方法1300は、1304において、折り曲げるべき基板の領域において電気トレースを形成するステップを含む。このようなトレースは、例えば、折り曲げられる基板の領域によって空間的に分離されたセンサー・エレメントを接続するために形成することができる。次に、方法1300は、1306において、センサーを取り付けるべきマウス表面の複雑な湾曲と一致する形状に基板を折り曲げるステップと、次いで1308において、センサーをマウス表面に固定するステップとを含む。このように、製造中最初は平坦である基板を、非可展面に一致するように形作ることができる。次いで、可撓性プラスチック基板上の導電性ポリマー厚膜インクを用いて同様に印刷された可撓性「テール」によって、マウス内部に位置する印刷回路ボード上にある電子回路にセンサーを接続することができる。このようなテールは、ZIFまたは他の可撓性コネクターを用いて、印刷回路ボードに接続することができ、または単にそれをボード上のコンタクトに押圧することによって接続することができる。
【0042】
[0068] 尚、基板を折り曲げることに加えて、非可展面に合わせてそれを折り曲げるためまたはそれ以外でその形状に合わせるために、切断してもよいことは言うまでもない。しかしながら、使用環境によっては、折り曲げが切断よりも実用的であることもある。何故なら、電気接続は、切断領域と比較して、折り曲げ領域に維持するとよいからである。同様に、ポリマーの厚膜インクは、鋭い折り目(crease)があっても、剥離を生じないことまたは折り目を跨いで接触を維持できなくならないことが評価できることも言うまでもない。
【0043】
[0069] 図14は、コンピューター・マウスの非可展面上に配置された容量性マルチタッチ・センサーを有するコンピューター・マウスを形成する方法1400の他の実施形態を示す。方法1400は、1402において、コンピューター・マウスの表面上に直接第1組のセンサー・エレメントを形成するステップを含む。この第1組のセンサー・エレメントは、例えば、1404に示すように、コンピューター・マウスの表面上に導電性インクをパッド印刷(pad printing)することによって形成することができる。パッド印刷とは、可撓性パッド上に最初にパターンを印刷し、次いで可撓性パッドを他の表面に対して押圧し、パターンをその表面に転移させるプロセスである。実施形態の中には、1406に示すように、マウス本体の内面上に導電性インクを印刷するとよい場合もあり、一方他の実施形態では、1408に示すように、マウス本体の外面上に導電性インクを印刷するとよい場合もある。マウス本体の内面上に導電性インクを印刷する場合、マウス本体は、マウス本体に接触する指がセンサーによって検出可能となる効果を得るために、十分に薄くする(例えば、約0.5mm)とするとよい。
【0044】
[0070] 引き続き図14を見ていくと、方法1400は次に、1410において、第1組のセンサー・エレメント上に誘電体層を形成するステップと、次いで1412において、第1組のセンサー・エレメント上に第2組のセンサー・エレメントを形成するステップを備えている。他の実施形態では、第1および第2組のセンサー・エレメントは、それぞれ、マウス本体の内面および外面上に形成することもできる。
【0045】
[0071] 圧電インクを用いることによって、付加的におよび/または代替的に力を測定することができる。例えば、圧電インクの層を、異なる基板上に組み立てられたセンサーの行および列の間に挿入することができる。このような構成では、電流がセンサーの平面に対して垂直に流れることができる。他の例として、センサーの行および列を同じ基板上に組み立てるとき(行および列をマトリクス状に接続するジャンパーを用いて)、圧電インクの層をセンサーの上に積層することもできる。このような構成では、電流はセンサーの平面内を流れることができる。行および列間のインピーダンスは、抵抗および容量の並列組み合わせと考えられる。2つの分離した周波数において測定することによって、容量および抵抗を独立して測定することができる。これについては、図21から図23のコンテキストにおいて以下で更に詳細に説明する。
【0046】
[0072] 次に、方法1400は、1414において、第2組のセンサー・エレメント上に保護層を形成するステップを含む。このような保護層は、例えば、1416に示すように、第2組のセンサー・エレメント上に誘電体塗料を塗布することによって、または1418に示すように、第2組のセンサー・エレメント上に薄いプリモールド・シェルを取り付けることによって、または他の何らかの適したプロセスによって形成することができる。このように、容量性マルチタッチ・センサーは、マウス本体に後から固定される基板上ではなく、マウス本体上に直接形成することができる。このような実施形態に合わせた相互接続は、適したやり方であればいずれでも形成することができる。このセンサーに相互接続を形成するのに適した方法の一例には、一部の液晶ディスプレイにおいて用いられている「ゼブラ・ストライプ」と同様の、異方導電性を有する共形材料を用いて相互接続を形成するステップを含むことができる。
【0047】
[0073] 図15は、いわゆる「インモールド・デコレーション」プロセスによって、コンピューター・マウスの非可展面上に容量性マルチタッチ・センサーを形成する方法1500の他の実施形態を示す。方法1500は、1502において、「箔」を形成するステップと、1504において、この箔上に第1および第2組のセンサー・エレメントを印刷するステップとを含む。この箔は、箔上に印刷されているパターンが成形の間に被成形品目に転移されるように、マウス本体成形プロセスの間型の中に置かれるインサートである。つまり、方法1500は、次に1506において、この箔の上に第1および第2組のセンサー・エレメントを印刷したものを、型の中に挿入するステップと、1508において、型の中でマウス本体を成形することによって、パターンをマウス本体に転移させるステップとを含む。箔は、成形の間、被成形品目に組み込まれても、組み込まれなくてもよい。同様に、成形プロセスの間に、電気トレースをマウス本体上に形成することができる。
【0048】
[0074] 実施形態の中には、マウス表面上に印刷された導電性材料が、昇華する材料であるとよい場合がある。このような実施形態では、センサー・アレイをマウスの本体のバルク材料に昇華させることができ、これによってセンサー・アレイを直接マウス本体に組み込むことができる。
【0049】
[0075] 方法900、1000、1100、1300、1400、および1500のコンテキストにおいて以上で説明したセンサーは、容量を検知するように構成されている。これによって、センサーは、人の指がセンサー上の指定点に近接しているか否か検出することが可能になるが、指が押圧している力を直接検出しない。以下で更に詳細に説明するが、この力は、接触入力の接地面積(contact patch area)を測定することによって、間接的に測定することができる。この面積は、指の肉の平坦化のために、指で押下する力が大きい程広くなる。実施形態の中には、力の測定は、センサーを、力を電気容量に変換する変換器と積層することによって、得られるようにすることができるものもある。このような変換器の一例は、液晶材料のように、圧力に感応する誘電係数を有する材料である。尚、この圧力センサーの例は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0050】
[0076] 前述のように、接触感応面を有するマウスは、1つ又は複数の光源を備えることができ、特定の機能にマッピングされている接触感応面の領域の輪郭を定めるために、光源を選択的に照明することができる。例えば、図16は、スクロール・ホイールのような機能にマッピングされている領域1602を備えているコンピューター・マウス1600の一実施形態を示す。ユーザーは、例えば、領域1602に沿ってコンピューター・マウス1600の長軸に対して前後に指をはじくまたはドラッグすることによって、リストをスクロールすることができる。
【0051】
[0077] しかしながら、コンピューター・マウス1600は平坦で造作(feature)のない表面を有すると、アクティブになったときにその機能を示さないことがあるので、コンピューター・マウス1600は1つ又は複数の光源を備えるとよく、これらの光源は、領域1602がスクロール・ホイール機能にマッピングされているときに、この領域の輪郭を定めるように照明することができる。図示した実施形態では、領域1602の境界1604が照明されているが、他の実施形態では、適した方法であれば他のいずれによってこの領域を示してもよいことは言うまでもない。例えば、他の実施形態では、領域全体1602(単に領域の周囲だけでなく)を照明してもよい。スクロール・ホイール機能にマッピングされた領域のコンテキストで示したが、いずれかの特定的な機能にマッピングされたコンピューター・マウス1600のいずれの適した領域でも、光源によって同様に示すことができることは言うまでもない。
【0052】
[0078] 適したタイプの光源であればいずれでも、領域1602を照明するために用いることができる。例えば、実施形態の中には、1つ又は複数の光管(即ち、全内反射光導管)を用いて、マウス内部にある発光ダイオードまたは他の発光体から、マウス表面のタッチ・センサー上の位置に光を伝えることもできる。他の実施形態の中には、光源が電気泳動インクを含むとよい場合もある。更に他の実施形態では、光源は、タッチ・センサーの直下から光を放出するように構成することもできる。このような実施形態では、タッチ・センサーは、ITOのような透明導体を採用するとよい。透明導体は、ポリマーの厚い導電性インク膜とは異なり、光をセンサーに通過させる。あるいは、タッチ・センサーは、光が通過する領域を、いずれのトレースまたはセンサー・エレメントが邪魔にならないように残しておいて、光がセンサーを通過することを可能にするように製作することもできる。
【0053】
[0079] 図16に示した以外でも、適したやり方であれば他のいずれによってでも、特定の機能を示すことができる。例えば、実施形態の中には、特定の機能にマッピングされている特定の位置に区画を備えた、薄いプラスチップ製のスナップ・オン・カバー(snap-on cover)を設けるとよい場合がある。図17は、このようなマウス・カバー1700の一例を示し、カバー1700の中心に配置された区画1702が、スクロール・ホイール機能にマッピングされたマウスの領域に対応する。マウス・カバー1700は、コードを含むことができ、マウスがカバーを識別し、そのカバーに対して予め設定されているタッチ・センサーを参照することをマウスに可能にするために、そのコードをマウスによって読み取ることができる。このようなカバーには、例えば、ゲームまたは他のソフトウェアを供給し、タッチ・センサーをゲームまたは他のソフトウェアの機能に自動的にマッピングすることもできる。一実施形態では、コードは、マウスのタッチ・センサーによって読み取り可能な、1つ又は複数の導電性エレメント1704を備えている。他の実施形態では、このコードは、マウスにおける光検出器によって読み取ることができる光学読み取り可能コード(例えば、バー・コード)、または適したタイプのコードであれば他のいずれでも備えることができる。
【0054】
[0080] 尚、適した機能または複数の機能であれば他のいずれでも、マウスのタッチ・センサー上の特定の領域にマッピングできることは認められよう。例えば、先に説明したように、コンピューター・マウスのタッチ・センサーの右側を「右クリック」機能にマッピングすることができ、左側を「左」クリック機能にマッピングすることができる。更に、二次元パンニング機能を、スプレッドシートをナビゲートする間に使用するために、タッチ・センサーの正方形領域にマッピングすることもできる。加えて、ビデオ編集アプリケーションにおいてタイムライン全域で素早く動かすために、「スクラブ」(scrub)機能をタッチ・センサーの環状領域にマッピングすることができる。尚、これらの具体的な機能は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0055】
[0081] 領域と機能との関連付けは、ソフトウェアで任意に変更することができるので、特定のタッチ・センサー領域のマッピングをユーザーの好みまたは現在のタスクに適応させることもできる。例えば、コンピューティングデバイスの新米ユーザーが、従来のマウス上に多数のボタンがあると、混乱する可能性がある。したがって、このようなユーザーには、1つの機械式アクチュエーター(マウス本体全体が機械式ボタンとして動作するように)、およびタッチ・センサーも、最初は単純な一ボタン・マウスとして動作し、ユーザーの快適さおよび体験が増大するに連れて機能を増やしていくこともできる。
【0056】
[0082] このようなアクチュエーターを1つだけ有する機械式マウスでは、特定の機能を実行するための機械的作動に対する意図は、その機械的作動と関連のあるタッチ・センサーによって決定することができる。例えば、「左クリック」および「右クリック」機能を1つの機械式アクチュエーターによって呼び出す意図は、タッチ・センサーのそれぞれの右側および左側における接触入力の変化によって区別することができる。
【0057】
[0083] 図18は、タッチ・センサー入力によって左および右クリックを区別する方法1800の一実施形態を示す。方法1800は、最初に1802において、機械式アクチュエーターの作動を検出するステップを含む。次に、1804において、方法1800は、マウス上における指の接触面積の増大を検出するステップを含む。このような増大は、例えば、指がマウス本体上において接触を開始することによって、または以前に置いた指がマウス本体上で圧力を増したために生ずる可能性がある。ユーザーが指でマウスを押圧する圧力量をユーザーが増大させると、その指のタッチ・センサー上における接触面積が増大すると考えられる。図19および図20は、この概念を示す。最初に図19を参照すると、マウス・タッチ・センサーの左側における接触が、タッチ・センサー出力において1900で示されており、タッチ・センサーの右側における接触が、1902で示されている。次に図20を参照すると、ユーザーが「右クリック」入力を行おうとすると、ユーザーは右指でもっと多くの圧力をかけて、機械式アクチュエーターを作動させようとすることができる。この場合、右側の接触1902の接触面積が増大する。
【0058】
[0084] 引き続き図18を見ていくと、方法1800は次に、1806において、タッチ・センサー上の位置によって、マウス本体上における接触面積の増大に対応する指の位置を検出し、次いで1808において、その指が、特定の機能と関連付けられているマウス本体のエリア上に位置しているか否か判定するステップを含む。その接触が、特定の機能と関連付けられているマウス本体のエリアにおいて行われたのではない場合、方法1800は、1810において、機械式作動にデフォルト機能を割り当てるステップを含む。一方、特定的にマッピングされた機能と関連付けられたマウス本体のエリアにおいてその接触が行われたのであれば、方法1800は、1812において、そのエリアにマッピングされている特定の機能に、機械式作動を割り当てる。
【0059】
[0085] 前述のように、実施形態の中は、マウスの表面に対する接触入力の圧力を検出するように構成されている圧力センサーを備えているとよいことがある。このような接触圧力検知によって、コンピューター・マウスのコントローラーは、「左クリック」、「右クリック」、およびマウス上にある機械式ボタンによって作動させられる他のこのような「仮想ボタン」動作の作動に対応する圧力信号を検出することが可能になる。更に、接触圧力検知は、マウス表面上における偶発的な接触が所定の圧力閾値を満たさない場合このような入力を無視することによって、マウス表面上における「スクロール・ホイール」起動動作のような種々の動作を、偶発的な接触入力から区別するために用いることができる。尚、接触感応マウスにおける圧力センサーの使用についてのこれらの例は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0060】
[0086] 適した圧力センサー、または適した圧力センサーの構成であればいずれでも、マウスにおいて容量性マルチタッチ・センサーと共に用いることができる。例えば、実施形態の中には、容量製タッチ・センサーを有するマウスが2つの圧力センサーを備えているものあり、「左クリック」入力(即ち、左マウス・ボタンが機械式マウス上で一般に見られる位置)を検出するように構成されている位置に1つが配置され、「右クリック」入力を検出するように構成されている位置にもう1つが配置されている。
【0061】
[0087] 他の実施形態では、画素毎に圧力を検知できるように、圧力センサーが更に細かい分解能を有するように構成することもできる。画素毎(on a pixilated basis)に接触圧力を判定するためには、適した圧力センサーであればいずれでも用いることができる。例えば、実施形態の中には、圧電シート(即ち、圧電インクの層を備えているシート)をセンサー・アレイと共に用いて、接触圧力を検出することができる。このような圧電シートは、小さな導電性エレメントを散在させて備えている可撓性材料のシートである。このシートに対して圧力がかけられると、導電性エレメントの配列が変化する。これによって、シードの抵抗が、圧力を受けたエリアにおいて変化する。異なる電位を有する電極を備えているセンサー・アレイに対向して圧電シートを置くことによって、圧電シートの抵抗をセンサー・エレメント間で測定することができ、シートにかけられた圧力の大きさを検出することができる。尚、他の圧力感応可変抵抗材料も同様に用いることができることは言うまでもない。
【0062】
[0088] 実施形態の中には、容量性タッチ・センサーおよび抵抗性圧力センサー毎に、別々のセンサー・アレイを用いることもできる。例えば、圧電シートおよびセンサー・アレイを備えている抵抗性圧力センサーを、別のセンサー・アレイを有する容量性タッチ・センサーの上方または下方に配置することができる。他の実施形態では、容量性タッチ・センサーおよび抵抗性圧力センサーが共通のセンサー・アレイを共有することもできる。図21および図22は、共通の電極アレイを共有する容量性マルチタッチ・センサーおよび抵抗性圧力センサーの構造を示す。最初に図21を参照すると、2100において、行センサー・エレメント2103および列センサー・エレメント2104のアレイにおいて基板2102上にポリマー導電性厚膜を印刷することによって、センサー・アレイを形成する。2100に示すように、コネクター2106を最初に一方向(列方向として示されている)に印刷する。次に、2108に示すように、列コネクター2106上に誘電体材料2110を堆積し、次いで2112において、誘電体材料上に行コネクター2114を印刷して、センサー・アレイを完成する。最後に、2116において、センサー上に圧電シート2118を被着する。圧電シート2118は、図21では、基礎構造を図示するために、一部分解図で示されている。
【0063】
[0089] 図22に示すように、圧電シートは、隣接する行センサー・エレメント2103および列センサー・エレメント2104を、模式的に2200で示す、抵抗のある経路と接続する。隣接するセンサー・エレメント(m×n配列)の容量性結合が、2202において模式的に示されている。このように、各センサー・エレメントは、抵抗的および容量的双方で隣接するセンサー・エレメントに結合されている。したがって、異なる周波数において測定されたインピーダンス測定値から、抵抗値および容量値を計算することができる。このように、接触位置および接触圧力の測定を、同じ分解能で行うことができる。
【0064】
[0090] したがって、図23は、図21および図22の実施形態のような、1つのセンサー・アレイを利用する容量性マルチタッチ・センサーおよび抵抗性圧力センサーを備えているタッチ・センサーによって、接触位置および接触圧力を測定する方法2300の一実施形態を示す。方法2300は、2302において、第1インピーダンス測定値を得て、次いで2304において、異なる周波数において第2インピーダンス測定値を得るステップを含む。尚、このコンテキストにおける「インピーダンス測定値」という用語は、完全なセンサー読み取り値、即ち、センサー・アレイの画素毎のインピーダンス測定値を含むことは言うまでもない。
【0065】
[0091] 次に、2306において、行った2回の測定に基づいて、抵抗値および容量値を決定する。実施形態の中には、2308で示すように、これら2つの値を総測定インピーダンスの大きさから決定するとよい場合がある。容量性リアクタンスおよび抵抗の総測定インピーダンスの大きさに対する寄与は、以下の式で示され、ここで|Z|は総測定インピーダンスの大きさであり、Xcは容量性リアクタスである。
【0066】
[0092]
【0067】
【数1】
【0068】
ここで、
[0093]
【0069】
【数2】
【0070】
[0094] 2回のインピーダンス測定は、総インピーダンスの抵抗成分が双方の場合において一定であり、容量Cも一定である(即ち、指の圧力および位置が測定中実質的に変化しなかった)という仮定が許容されるように、十分に次回時間間隔で行うとよい。これらの過程により、総インピーダンスの変化は、2回の測定を行った周波数の関数となる。このように、CおよびRは2つの測定値によって決定することができる。
【0071】
[0095] 他の実施形態では、1210に示すように、無効容量および抵抗を、2つの測定インピーダンス間の位相角の差から決定することができる。これらの実施形態では、以下の関係を用いて、抵抗および容量性リアクタンスを決定することができる。
【0072】
[0096]
【0073】
【数3】
【0074】
[0097] 再度、R(即ち、接触圧力)およびC(即ち、接触位置)が一定であると仮定するために2回の測定が十分に短い時間間隔の間に行われたと仮定すると、測定された位相ずれは、無効容量の関数となり、したがって、測定が行われた周波数の関数となる。このように、RおよびCを位相ずれから決定することができる。
【0075】
[0098] 引き続き図23を見ていくと、方法2300は、次に2312において、決定された容量性リアクタンスから接触入力を検出し、それに応答して、接触入力にしたがってグラフィカル・ユーザー・インターフェースを操作するステップを含む。例えば、グラフィカル・ユーザー・インターフェース上に表示されている写真オブジェクト上にマウス制御カーソルがある間に検出された接触入力が「ピンチ」または「ストレッチ」ジェスチャーに対応する場合、写真オブジェクトのサイズを、検出された接触入力に応答して、変更することができる。
【0076】
[0099] 同様に、方法2300は、2314において、決定した抵抗から接触圧力を検出し、それに応答して、この圧力にしたがってグラフィカル・ユーザー・インターフェースを操作するステップを含む。例えば、検出された接触圧力がマウス本体の左前四分義の内部に位置し、所定の閾値圧力レベルを超過する場合、この特定の接触入力は、「左クリック」入力であると考えることができる。このため、応答してユーザー・インターフェース動作を行うことができる。更に具体的な一例として、マウス・カーソルがあるアイコン上に位置する場合、「左クリック」入力の検出が、アイコンによって表されるファイルを開かせ、そしてユーザー・インターフェース上に表示させることができる。
【0077】
[00100] 使用環境の中には、マウス本体への接触だけでなく、マウス本体上接触至近(near-touch)イベントも検出することが望ましい場合もある。これは、「接触至近」状態の検出が追加の機能を可能にするからである。アレイがタイル状ネットワークのダイアモンド形状の列および行のセンサー・エレメントを備えている、本明細書において図示したセンサー・アレイの実施形態では、m+n容量測定が、m×n容量測定よりも高い感度を接触至近にもたらすことができる。その理由は、m+n容量測定は、m×n測定が行うような、隣接する行および列センサー・エレメントの縁端間の容量測定の代わりに、センサー・エレメントから接地までの容量を測定するからである。したがって、各センサー・エレメントの容量は、m+n構成の方がm×n構成におけるよりも大きくなり、接触至近を検出する感度の上昇が可能になる。
【0078】
[00101] しかしながら、先に説明したように、m+n測定で得られる分解能は、m×n測定よりも低く、したがって、接触入力の位置に関して多少の曖昧さが生ずる可能性がある。特に、接触が少なくとも部分的に行および列センサー・エレメント双方をカバーしていないときに、その可能性がある。したがって、図24は、m×n測定方法の高い分解能にも配慮しつつ、m+n測定方法によって得られる接触至近感度の向上に備えて、容量性マルチタッチ・センサーを読み取る方法2400の一実施形態を示す流れ図を示す。方法2400は、2402において、m+n容量を測定し、その測定値から接触入力信号を判定するステップを含み、次いで2404において、この接触入力信号を以前の接触入力信号と比較し、2406において、接触入力信号間に何らかの変化が発生したか否か判断するステップを含む。変化が検出されない場合、方法2400は2402に戻り、他のm+n容量測定を行う。
【0079】
[00102] 一方、2406において、容量測定値間で接触状態の変化が起こったと判断した場合(例えば、新たな接触が検出された、現在の接触が動いたまたはなくなった等)、方法2400は2408に進み、m×n測定を行い、m+n測定から接触入力信号を決定する。次いで、方法2400は、接触状態の変化が再度検出されるまで更に別のm+n測定値が得られるように、2402に戻る。このように、接触至近状態に対する感度を、m×x測定値のみを使用する場合に対して、高めることができる。更に、m+n測定は、m×n測定よりも消費する電力が少なくて済む。したがって、方法2400は、電力を保存するのにも役立つことができ、したがってバッテリ給電式デバイスにおいてバッテリ寿命を改善することができる。
【0080】
[00103] 図25は、容量性マルチタッチ面を備えている、湾曲した非可展幾何学的外形を有する、マウスのような物体の製造方法2500の他の実施形態を示す。方法2500は、2502において、基板上に、マルチタッチ・センサーの複数の画素を定めるセンサー・エレメントのアレイを形成するステップを含み、次いで2504において、基板を真空形成して、入力デバイスの本体の湾曲幾何学的外形の表面に沿う有形プリフォーム(shaped preform)とする。適した基板材料の選択によって、真空形成プロセスは、前述のように基板において折り曲げおよび/または切断を全く用いることなく、基板および印刷アレイを、複雑な非可展形状に形成することを可能にする。適した基板材料の例には、ポリカーボネート、PET(ポリエチレン・テレフタレート)、およびABS(アクリロニトリル・ブチルジエン・スチレン)が含まれるが、これらに限定されるのではない。同様に、圧力センサーを前述のようにして含ませることができる。ここで、圧電インクを支持するのに適した材料の選択によって、圧力センサー構造を、タッチ・センサーと共に真空成形することが可能になるとよい。実施形態の中には、圧力センサーの形成が、プリフォームを形成する前または後に、前述のようにセンサー・エレメントのアレイと接触するように圧電シート(例えば、適した基板上に支持された圧電インク)を配置することを含むことができる場合もある。
【0081】
[00104] 次に、プリフォームを形成した後、方法2500は、2506において、プリフォームを湾曲幾何学的外形に固定するステップを含む。実施形態の中には、2508に示すように、このステップが、プリフォームを型の中に入れ、次いで成形可能な材料を型に入れてプリフォームを入力デバイスの本体内に鋳込むことを含むこともある。他の実施形態では、2510に示すように、入力デバイスの本体を作成した後に、プリフォームを入力デバイスの本体に固定することもできる。このように、センサー・アレイを複雑な、非可展面上に設けることができる。図26は、複雑な湾曲を有する非可展面上に形成されたセンサー・アレイ2602を備えたマウス2600の一例を示す。
【0082】
[00105] 尚、本明細書において開示した実施形態は、コンピューター・マウス以外の他の物体とでも用いることができることは言うまでもない。例えば、湾曲タッチ・センサーは、インタラクティブ・グローブ(interactive globe)、湾曲ディスプレイ、および/または他のこのような湾曲表面とでも用いることができる。更に、本明細書において開示した実施形態は、1つの設計によって種々の異なる機能のマウスを開発するプラットフォームを製造者に提供することができることも言うまでもない。例えば、異なるボタンや他の制御部品をマウス・ハードウェアによって実装する場合、新しいマウス設計毎に、新たな型および他の器具の設計ならびに製造が、新たなハードウェア設計のために必要となることもある。対照的に、マウス本体上にタッチ・センサーおよび/または圧力センサーを含ませることによって、新たな機能をマウス本体の特定の接触領域にマッピングすることが可能となり、これによって、1つのハードウェア設計を、新たな機能を実現するために用いることが可能になる。
【0083】
[00106] 例示のために、コンピューター・マウス、コンピューター・マウス機能、コンピューター・マウス製造方法、タッチ・センサー製造方法、および他の湾曲接触感応デバイスの種々の実施形態を開示したが、種々の変形が可能であることから、これらはあらゆる意味で限定であることを意図していない。本明細書において記載した特定のルーチンおよび方法は、イベント・ドリブン、割り込みドリブン、マルチ・タスキング、マルチ・スレッディングなどのような、あらゆる数の処理方策の内1つ又は複数の表すことができる。したがって、例示した種々の動作は、例示した順に、並列に実行することもでき、場合によっては省略することもできる。同様に、前述のプロセスのいずれであっても、その順序は、本明細書において記載した実施形態の特徴および/または結果を達成するために、必ずしも必要とされる訳ではなく、図示および説明を容易にするために提示したに過ぎない。
【0084】
[00107] 本開示の主題は、本明細書において開示した種々のプロセス、システムおよび構成、ならびに他の特徴、機能、動作、および/または特性のあらゆる新規で非自明なコンビネーションおよびサブコンビネーションを含み、更にはその均等物のいずれもおよび全てを含むものとする。
【背景技術】
【0001】
[0001] 種々の入力デバイスによって、ユーザーはコンピューティングデバイス上においてグラフィカル・ユーザー・インターフェースと対話処理することができる。例えば、マルチタッチ・ディスプレイは、コンピューター・ディスプレイ上に配されたマルチタッチ・センサーを利用し、ユーザーは、自然な直感的ジェスチャーによって、グラフィカル・ユーザー・インターフェース上に表示されるコンテンツと対話処理することができる。マルチタッチ・ディスプレイは、容量性メカニズムおよび視覚に基づくメカニズムを含む種々のメカニズムによって接触を検出する。 しかしながら、使用環境によっては、マルチタッチ・ディスプレイが種々の問題を生ずることもある。例えば、デスクトップ・コンピューターと共に用いることができるような、垂直に向けられたマルチタッチ・ディスプレイでは、ユーザーが維持する腕の位置のために、ユーザーの疲労を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
[0002] また、コンピューター・マウスも、ディスプレイ上に表示されるカーソルがマウスの動きを追跡することによって、ユーザーがグラフィカル・ユーザー・インターフェースと対話処理することを可能にする。コンピューター・マウスは、長い時間期間にわたって快適に用いることができる。しかしながら、マウスに基づくグラフィカル・ユーザー・インターフェースがカーソルに基づく入力の枠組みを利用するので、グラフィカル・ユーザー・インターフェースとの自然な動きに基づく対話処理の機会は、接触に基づく入力システムよりも制限される。
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003] したがって、本明細書では、湾曲したマルチタッチ表面を有する入力デバイスに関する種々の実施形態を開示する。例えば、開示する一実施形態では、湾曲幾何学的外形を有する接触感応入力デバイスは、タッチ・センサーを備えており、このタッチ・センサーは、湾曲幾何学的外形の中に一体化されたセンサー・エレメントのアレイを備えている。センサー・エレメントのアレイは、湾曲幾何学的外形の表面上で行われた接触の位置を検出するように構成されている。
【0004】
[0004] この摘要は、詳細な説明において以下で更に説明する概念から選択したものを、簡略化した形態で紹介するために設けられている。この摘要は、特許請求する主題の主要な特徴や必須の特徴を特定することを意図するのではなく、特許請求する主題の範囲を限定するために用いられることを意図するのでもない。更に、特許請求する主題は、本開示のいずれの部分に記されている実施形態の内いずれかの欠点を解決するものにも、また全ての欠点を解決するものにも限定されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、タッチ・センサーを備えているマウスの一実施形態を示す。
【図2】図2は、図1の実施形態を保持しているユーザーを示す。
【図3】図3は、図2に示すように図1の実施形態を保持したときに、タッチ・センサーによって検出される信号の模式図を示す。
【図4】図4は、接触感応面を備えているマウスの一実施形態のブロック図を示す。
【図5】図5は、容量性接触感応メカニズムのセンサー・エレメントのレイアウトの一実施形態を示す。
【図6】図6は、容量性接触感応回路の構成の一実施形態を示す。
【図7】図7は、他の容量性接触感応回路の構成の一実施形態を示す。
【図8】図8は、他の容量性接触感応回路の構成の一実施形態を示す。
【図9】図9は、マルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の一実施形態を示す。
【図10】図10は、マルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の他の実施形態を示す。
【図11】図11は、マルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の他の実施形態を示す。
【図12】図12は、図9から図11の実施形態と共に用いるのに適した可展面(developable surface)を有するマウスの一実施形態を示す。
【図13】図13は、複雑な湾曲を有するマルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の一実施形態を示す。
【図14】図14は、複雑な湾曲を有するマルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の他の実施形態を示す。
【図15】図15は、複雑な湾曲を有するマルチタッチ表面を有するコンピューター・マウスの製造方法の一実施形態を示す。
【図16】図16は、特定の機能にマッピングされている接触感応面の領域の境界を示す指示光を有するコンピューター・マウスの一実施形態を示す。
【図17】図17は、コンピューター・マウス上におけるタッチ・センサーの1つ又は複数の領域に特定の機能をマッピングするように構成されているコンピューター・マウスのカバーの一実施形態を示す。
【図18】図18は、機械式アクチュエーターの作動と関連付けられている、マウス上のタッチ・センサーの領域を検出する方法の一実施形態を示す。
【図19】図19は、機械式アクチュエーターの作動前において、コンピューター・マウスのタッチ・センサーによって検出された信号の一実施形態を示す。
【図20】図20は、機械式アクチュエーターの作動後において、コンピューター・マウスのタッチ・センサーによって検出された信号の一実施形態を示す。
【図21】図21は、共通電極アレイを共有する容量性タッチ・センサーおよび圧電式圧力センサーの実施形態を示す。
【図22】図22は、図21の線22−22に沿った、図21の実施形態の断面図を示す。
【図23】図23は、図21の実施形態によって接触位置および接触圧力を測定する方法の一実施形態を表す流れ図を示す。
【図24】図24は、容量性タッチ・センサーを動作させる方法の一実施形態を表す流れ図を示す。
【図25】図25は、タッチ・センサーを備えている入力デバイスの形成方法の他の実施形態を表す流れ図を示す。
【図26】図26は、マウスの非可展面上に配された容量性タッチ・センサーを備えているコンピューター・マウスの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0031] 本明細書では、湾曲したマルチタッチ表面を有する入力デバイスに関する実施形態を開示する。例えば、一部の実施形態は、コンピューティングデバイスの入力として用いるためのコンピューター・マウスの表面上における、位置に基づく入力の検出に関する。「位置に基づく接触入力」という用語は、タッチ・センサー上における検出位置および/また接触入力のエリアの変化、ならびにタッチ・センサーの特定領域における接触の存在および/または不在を伴うあらゆる接触入力を指し、ジェスチャー、接触エリアにおける変化等を含むこともできる。実施形態の中には、接触検出メカニズムが、時間的に重複する多数の接触(即ち、「マルチタッチ」)を検出することにより、マウス表面上において行われた多数の指によるジェスチャーの検出を可能にするように構成することができるものもある。更に、本明細書では、非平面上で用いることができるタッチ・センサーの構造に関する実施形態も開示する。非平面とは、コンピューター・マウスの湾曲表面を含むが、これに限定されるのではない。これらの実施形態については、以下で更に詳しく説明する。
【0007】
[0032] 図1は、タッチ・センサー102を備えているコンピューター・マウス100の一実施形態を示す。タッチ・センサー102は、コンピューター・マウス100の本体の前方部(即ち、通常の使用中ユーザーの指が接触するように構成されているマウスの部分)の形状で、湾曲した幾何学的外形上に広がっている。図示したタッチ・センサー102は、コンピューター・マウス100の上面の端から端までの曲面の実質的に全体にわたって広がっており、本体の内面、本体の外面に配置してもよく、および/または本体の中に組み込んでもよい。タッチ・センサー102は、タッチ・センサー102上における1つ又は複数の接触の位置を検出するように構成されている。このように、タッチ・センサー102は、当該センサー上における接触入力の動きを追跡することを可能にし、これによってジェスチャーに基づく接触入力の検出を可能にすることができる。尚、図1に示すタッチ・センサー102の具体的な構成および配置は、例示を目的として紹介するのであり、タッチ・センサーまたは複数のタッチ・センサーをコンピューター・マウス上の所望の場所であればどこにでも設けてもよいのであるから、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。例えば、実施形態の中には、タッチ・センサーがコンピューター・マウスの実質的に表面全体を覆ってもよい場合もある。他の実施形態では、実施形態によっては、タッチ・センサーがコンピューター・マウスの端から端までの湾曲の一部に沿って広がっていてもよい場合もある。更に別の実施形態では、コンピューター・マウスの表面上の異なる位置に、別々のタッチ・センサーを用いてもよい。更にまた他の実施形態では、コンピューター・マウス以外の入力デバイスが、接触感応能力を備え、湾曲幾何学的外形を有していてもよい。
【0008】
[0033] 図2は、図1のコンピューター・マウス100を掴んでいるユーザーを描写し、図3はコンピューター・マウス100に接触しているユーザーの指がタッチ・センサー102によって検出された結果生じた信号300を示す。図3において見ることができるように、タッチ・センサー102上にあるユーザーの指の各々の位置および面積は、タッチ・センサーによって検出される。したがって、適したレートでタッチ・センサー102からの出力を周期的にサンプリングすることによって、タッチ・センサー102上にあるユーザーの指の各々の動きを追跡することができる。次いで、このような動きを、認識されているタッチ・ジェスチャー(touch gesture)を定義する期待運動と比較すると、ユーザーがタッチ・ジェスチャー入力を行ったか否か判定することができる。図3はマルチタッチ・センサーの出力を示すが、他の実施形態では1回毎の接触を検出するように構成されているタッチ・センサーを利用してもよいことは言うまでもない。更に、他の実施形態では、タッチ・センサーは、接触至近(near-touch)(即ち、指がタッチ・センサーに近接しているが、直接接触せずに保持されている場合)を検出するように構成することもできる。これによって、「接触至近」状態を、付随するソフトウェアにおいて認識し実施することが可能になる。更に、接触/ホバリングの位置における信号の測定強度の差によって、および/または接触信号が容量性タッチ・センサーから検出される場合圧力センサーからの圧力信号の有無から、「接触至近」状態と「接触」状態との間の差を判断することもできる。
【0009】
[0034] 前述のように、図示したタッチ・センサー102は、単なる接触の有無ではなく、接触位置の検出(および面積も可能)を可能にすると言える。したがって、手および指の静止位置の検出を可能にすることに加えて、タッチ・センサー102は、タッチ・ジェスチャーの検出も可能にする。「ジェスチャー」という用語は、本明細書において用いられる場合、ある意図をシステムに伝える目的のための1本又は複数本の指の動きを意味することとする。種々のタイプのジェスチャーを利用することができる。例えば、実施形態によっては、一時的ジェスチャーおよび連続的ジェスチャーを認識できるものもある。一時的ジェスチャーは、そのジェスチャーの完了時に(例えば、動きを完了して指をタッチ・センサーから持ち上げたとき)ジェスチャーが認識されるように、最初から最後まで継続して(beginning-to-end fashion)実行されるジェスチャーを含むことができる。このような一時的ジェスチャーの一例に、リストのスクローリング、ブラウザ履歴全体のナビゲーション等を行わせるように構成されているフリック・ジェスチャー(flick gesture)(例えば、タッチ・センサーを横切る1本又は複数本の指の素早い直線的な動き)がある。また、一時的ジェスチャーは、多数の方向の動き、例えば、多数の線および/または曲線経路に沿った動きを含むことができる。例えば、ユーザーがエディターの挿入マーク(「∨」)を描いて、テキスト選択において現在のカーソル位置に、コピーしたテキストをペーストすることができる。尚、一時的ジェスチャーのこれらの例は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0010】
[0035] 一時的ジェスチャーに対して、連続的ジェスチャーは、ユーザーの意図を達成し終えるまで、1つ又は複数のパラメータを連続的に、そしてディスプレイ上にフィードバックしながら、ユーザーに指定させるジェスチャーを含む。連続的ジェスチャーの一例に「ピンチ」ジェスチャー(pinch gesture)があり、マルチタッチ・センサー上における2本の指の間における距離の変化を入力として用いて、操作されている写真または他のオブジェクトの対応するサイズ縮小を行う、コンピューティングデバイスが発する音のピッチを変化させる等とすることができる。同様に、「ストレッチ」ジェスチャー(stretch gesture)は、マルチタッチ・センサー上における2本の指の間の距離を広げるのであるが、写真または他のオブジェクトのサイズを対応して拡大させるために用いることができる。連続的ジェスチャーの他の例には、スクローリングの方向にリスト上で指をドラッグすることによってリストをスクローリングすること、オブジェクト上で2本の指の互いに対する向きを変化させることによってそのオブジェクトを回転させること等が含まれるが、これらに限定されるのではない。
【0011】
[0036] ジェスチャーが連続的、一時的、または他のジェスチャー・タイプのいずれであっても、図示したコンピューター・マウス100上にあるタッチ・センサー102は、手をコンピューター・マウス100から持ち上げてそれをキーボード、接触感応ディスプレイ、または他のこのような入力デバイスに動かす必要なく、ユーザーがジェスチャーに基づく入力を行うことができるという便益が得られる。
【0012】
[0037] コンピューター・マウス100は、接触入力を行うための接触感応ディスプレイの使用に比べて、種々の利点を提供することができる。これは、コンピューター・マウス100が、接触感応ディスプレイに伴う種々の問題を回避しつつ、接触感応入力デバイスの便益の多くを維持することができるからである。例えば、コンピューティングデバイス用のモニターとして用いられる接触感応ディスプレイは、多くの場合、ディスプレイの前に座っているユーザーに面するように構成された垂直配向表示画面を備えている。このような接触感応ディスプレイは、ユーザーの指と、接触感応ディスプレイ上で操作されているグラフィカル・オブジェクトとの間における直接的な対応付けが得られるという優位性が得られるが、このような接触感応ディスプレイとの対話処理には、マウスに基づく対話処理よりも遙かに大量の身体的作業(physical efforts)を伴うこともあり得る。例えば、垂直配向接触感応ディスプレイの使用を延長すると、接触入力を行うために用いられる腕に多大な疲労を生じさせる可能性がある。
【0013】
[0038] 対照的に、コンピューター・マウス100は、僅かな作業で、大きなスクリーン上の距離に渡って対話処理の中心(例えば、カーソル、ポインタ等)をユーザーが動かすことを可能にし、更に、手のコンピューター・マウス100との接触を維持しつつ、その中心において接触入力ジェスチャーを行うことを可能にする。更に、タッチ・センサーをコンピューター・マウスに追加することによって増大するコストは、タッチ・センサーをディスプレイ・デバイスに追加することによって増大するコストよりも少なく済ますことができる。何故なら、ディスプレイ・デバイスよりもマウスの方が、単純な製造プロセス(例えば、導電性インク印刷に対して、酸化インジウム錫の堆積)、および安価な材料を用いることができるからである。加えて、コンピューター・マウス用のタッチ・センサーは、ディスプレイ・デバイス用のタッチ・センサーよりも遙かに小さくすることができ、ディスプレイ・デバイス用のタッチ・センサーと比較して、コンピューター・マウス用のタッチ・センサーの製造コストを更に低下させるのに資することができる。
【0014】
[0039] 図4は、コンピューター・マウス100を含むがこれに限定されない、本明細書において記載する種々の実施形態の特徴を組み込んだコンピューター・マウス400の一実施形態のブロック図を示す。コンピューター・マウス400は、動き検出器402を備えている。動き検出器402は、マウス・パッド、テーブル等のような、追跡面上における動きをコンピューター・マウス400が追跡することを可能にする。図示した動き検出器402は、追跡面に向けて光を放出するように構成されている、レーザまたは発光ダイオードのような、光源404を含み、更に、追跡面から反射される光を受光して、動きの検出のために追跡面の画像を周期的に取り込むように構成されている画像センサー406を含む。
【0015】
[0040] 更に、コンピューター・マウス400は、コンピューター・マウス400の表面上に配置され、通常の使用中にユーザーの指と接触するタッチ・センサー410も備えている。実施形態の中には、コンピューター・マウス400が1つの容量性マルチタッチ・センサーを備えていればよい場合があり、一方他の実施形態では、コンピューター・マウス400が1つよりも多いタッチ・センサーを備えており、コンピューター・マウスの表面上における種々の位置に配置されているとよい場合もある。実施形態の中には、タッチ・センサー410が容量性タッチ・センサーを備えているとよい場合があり、一方他の実施形態では、タッチ・センサーが抵抗性タッチ・センサーまたは他の適したタッチ・センサーを備えているとよい場合もある。更に、実施形態の中には、タッチ・センサーが多数の時間的に重複した接触を検出するように構成することができるものもあり、一方他の実施形態では、タッチ・センサーが1回ずつの接触を検出するように構成すればよい場合もある。
【0016】
[0041] 次に、コンピューター・マウス400は、コンピューティングデバイスとの通信を可能にする入力/出力システム412を含む。適した入力/出力システムの例には、USBインターフェース414、および/またはBluetooth(登録商標)のような適したプロトコルによって情報のワイヤレス転送を可能にするワイヤレス通信システム416等が含まれるが、これらに限定されるのではない。
【0017】
[0042] 実施形態の中には、コンピューター・マウス400が、機械式アクチュエーター418のような、1つ又は複数の機械式ボタンを任意に備えているとよい場合もある。以下で更に詳しく説明するが、コンピューター・マウス400は、機械的作動と合わせて用いられる接触、ジェスチャー、手の姿勢等を、特定のマウス機能にマッピングするように構成することができる。マウス機能には、「右クリック」のような従来のマウス動作が含まれるが、これに限定されるのではない。図示した実施形態は1つの機械式アクチュエーターを含むが、他の実施形態では多数の機械式アクチュエーターを含んでもよいことは言うまでもない。例えば、一実施形態では、マウスが左および右の機械式ボタン(従来のマウスと同様)を含んでもよく、その場合、各ボタンが、そのボタンの表面において行われる接触入力を検出することができるタッチ・センサーを備えている。
【0018】
[0043] 更に別の実施形態では、他の検出およびフィードバック・メカニズムを、機械式アクチュエーターに加えて、またはその代わりに設けることもできる。例えば、フィードバック・メカニズムに関しては、選択された入力(例えば、右クリック機能に対応する接触入力)を検出したことに応答して、振動するようにマウスを構成することができる。更に、マウスが、右クリックまたは他のそのような入力を検出したときに「クリック」音を生成することができるように、マウスがオーディオ出力を含むこともできる。更に、選択された接触入力に応答して、マウスに接続されているコンピューティングデバイスからオーディオ・フィードバックをトリガするように構成されている信号を出力するように、コントローラーを構成することもできる。尚、これらのフィードバック・メカニズムは、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0019】
[0044] 同様に、検出メカニズムに関して、機械式アクチュエーターの代わりに、またはそれに加えて、マウスが、抵抗性圧力センサーのような、1つ又は複数の圧力センサー419を含むこともできる。ユーザーがマウス本体を押すと(例えば、「右クリック」入力を行うために)、圧力センサーが、例えば、マウス表面の僅かな変形を通じて、この押圧を検出することができる。これは、タッチ・センサーからの入力と共に、「右クリック」等のような異なる行為を区別するために用いることができる。
【0020】
[0045] 引き続き図4を見ていくと、実施形態の中には、コンピューター・マウス400が任意に1つ又は複数の光源を備えているとよい場合もある。これらは「光源1」420および「光源n」422として示されており、nは0以上の値を有する整数である。以下で更に詳しく説明するが、光源420、422は、タッチ・センサー410の特定の領域が特定の機能にマッピングされるとき、これらの領域の輪郭を定めるために用いることができる。例えば、コンピューター・マウス400がリストをスクロールするために用いられているとき、タッチ・センサー410の一部を、スクロール・ホイールの特定の機能を有することにマッピングすることができる。スクロール・ホイール機能にマッピングされたこのタッチ・センサー410の一部は、次に、対応する光源420、422を点灯させて、例えば、その領域の周囲を示すことによって、領域全体を照明することによって、または他のいずれかの適したやり方で、その領域を強調することによって、輪郭を定めることができる。
【0021】
[0046] 引き続き図4を見ていくと、コンピューター・マウス400は、メモリー432と、プロセッサー434によって代表される種々の論理コンポーネントとを有するコントローラー430を備えている。メモリー432は、コンピューター読み取り可能命令をその上に格納することができ、コンピューター読み取り可能命令は、コンピューター・マウス400の動作を可能にするために、プロセッサー434によって実行可能である。例えば、これらの命令は、動き検出器402、タッチ・センサー410、および機械式アクチュエーター418からの入力を受け取り、これらの信号を処理し、グラフィカル・ユーザー・インターフェースとの対話処理のために、対応する制御信号を光源420、422およびコンピューティングデバイスに供給するために実行可能にすることができる。
【0022】
[0047] 実施形態の中には、コンピューター・デバイス上で実行する従来のマウス・ドライバーが認識可能な制御信号を供給するために、命令がプロセッサー434によって実行可能とする場合もある。このように、コンピューター・マウス400は、旧来のマウス・ドライバーを実行するコンピューティングデバイスと合わせて用いることもでき、これによってコンピューター・マウス400に下位互換性を持たせることができる。更に具体的な例として、タッチ・センサー410の一部がスクロール・ホイール機能にマッピングされている場合、タッチ・センサー410のマッピングされた部分において受け取られたタッチ信号を従来のスクロール・ホイール信号に変換することができ、このスクロール・ホイール信号をコンピューティングデバイスに供給することができる。同様に、機械式アクチュエーター418および/または圧力センサー419の作動は、タッチ・センサー410からの信号によって、「左クリック」または「右クリック」(例えば、従来の左または右のマウス・ボタンの押下)であると判定されるが、これらを、従来のマウスによって供給されるような、従来の「左クリック」または「右クリック」信号に変換することもできる。尚、タッチ・センサー410、機械式アクチュエーター418および/または圧力センサー419からの信号の従来のマウス信号への変換のこれらの例は、例示の目的のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0023】
[0048] 容量性タッチ・センサー410は、容量によって接触を検出するのに適した構成であればいずれでも有することができる。図5は、容量性タッチ・センサー410に適した1つの構成500の一例を示す。容量性タッチ・センサー410は、一例を502で示す複数の行のセンサー・エレメントと、一例を504で示す複数の列のセンサー・エレメントとを備えており、これらが一緒になって複数の画素を形成する。各画素は、本体上の位置における接触を、その画素上で検出するように構成されている。センサー・エレメント502の行は、誘電体層によって、センサー・エレメント504の列から分離されている。第1複数のリード506が、センサー・エレメント502の行を電源および/または接地に(行の逆側の端部(図示せず)において)接続し、第2複数のリード508がセンサー・エレメント504の列を電源および/または設置(列の逆側の端部(図示せず)において)に接続する。図示した実施形態では、各センサー・エレメントは、その1つが510で示されており、矩形形状を有し、対向する角において同じ行または列の中にある隣接するセンサーと接続されている。しかしながら、センサー・エレメントは、図示した形状以外でも、適した形状であれば他のいずれでも有することができる。
【0024】
[0049] タッチ・センサー410によって接触を検出するためには、適した回路であればいずれでも用いることができる。人間の肉は、いくらか導電性があり、人間は通例彼らの周囲を通じて電気接地と相応に接触している。ユーザーの指から接地への容量は、通例約1000ピコファラッドである。ユーザーの指と接触したまたは近接するタッチ・センサー410の位置の測定容量に対するこの容量の効果は、種々の方法で測定することができる。例えば、実施形態の中には、図6に示すように、センサー・エレメント510から接地までの容量を測定できる場合がある。ユーザーがセンサー・エレメントに接近しこれと接触すると、そのセンサー・エレメントの接地への容量が増大する。行および列の容量の変化に関する情報によって、接触を、作用を受けた行と影響を受けた列との間の交点に対応するセンサーの領域にマッピングすることが可能になる。
【0025】
[0050] 他の実施形態では、図7に示すように、行センサー・エレメントと列センサー・エレメントとの間で測定することによって、容量を測定することもできる。ユーザーがセンサー・エレメント間の境界に接近すると、接地へのユーザーの容量がその位置において場を乱し、センサー・エレメント間で測定される容量が減少する。
【0026】
[0051] 更に別の実施形態では、図6について先に説明したように、容量の測定は、センサー・エレメントから接地まで測定することによって、しかし列の一部および/または行の一部を延長したセンサー・エレメントを用いて、行うことができる。これを図8に示す。このように、接触の位置は、行800の長さおよび/または列802の長さに沿って、一層正確に判定することができる。図示した実施形態では、各行800および各列802は接地に至る2つの接続を有するが、各行および/または各列が有する接地への接続は、適した数であればいずれでもよいことは言うまでもない。電源と接地との間において用いるセンサー・エレメントを少なくする程、所与のセンサー・サイズに対する、接触位置の判定を一層正確に行うことが可能になると考えられる。更に他の実施形態では、各センサー「画素」は、電源および接地へのそれ自体の接続によって、個々の容量回路を備えることができる。
【0027】
[0052] 手短に図5を再度参照すると、容量センサー・エレメント510は適した間隔であればいずれでも有することができる。例えば、実施形態の中には、センサー・エレメント510が、隣接するセンサー・エレメントの中心間で約1から5ミリメートルの間隔を有する場合がある。このサイズのセンサー・エレメントは十分に小さく、タッチ・センサーに接触する指は少なくとも2つのセンサー・エレメントの範囲内にある。これは、大人の人差し指が接触センサーに接触するとき非常に大まかに直径10mmの接触面積を有するからである。このようなセンサーを用いると、指が多数のセンサー・エレメントをカバーするときには一層正確な位置を内挿補間することができるので、実質的な分解能をセンサー・サイズよりも細かくすることができることが認められよう。他の実施形態では、センサー・エレメントの間隔は5mmよりも狭い場合もある。しかしながら、この場合、行および列の数が増大するので、タッチ・センサーのコストが上昇する可能性がある。同様に、実施形態の中には、センサー・エレメント間の間隔が5mmよりも広い場合もある。しかしながら、この場合、センサーは、指が1つのセンサー・エレメントに接触できる程に十分大きくすることができるが、指の位置を判定するのが困難となり、したがってセンサー分解能の低下を招く可能性がある。
【0028】
[0053] センサー・エレメント510には、適したセンサー・サイズおよび数であればいずれでも用いることができる。例えば、実施形態の中には、約100mm×50mmアレイのセンサー・エリアを用いてもよい場合がある。図6の実施形態では、m×n行を有するこのようなセンサーは、m+nに等しい数の列および行を有することができ、m+n回の容量測定によって、センサー全体の読み取り値を求めることができる。しかしながら、この実施形態では、ユーザーが多数の行および/または多数の列に一度に接触している場合、接触の位置に関して、多少の曖昧さが存在する可能性がある。例えば、ユーザーが行AおよびBならびに列2および3に接触している場合、ユーザーが位置(A,2)および(B,3)に接触しているのか、または位置(A,3)および(B,2)に接触しているのか判断することが難しい場合がある。図8のコンテキストで説明するが、センサー・エレメントの各行および/または各列において接地に至る多数の接続を用いることによって、この曖昧さをある程度克服することができる。
【0029】
[0054] 対照的に、そして再度図7を参照すると、1つのセンサー・エレメントから他のセンサー・エレメントへの容量が接触された場合、m×n回の測定を行うことができる。これは、各行から各列への容量を測定することができるからである。この場合、多数の列および/または多数の行にわたって接触が生じたとき、各接触位置を独立して解明することができる。
【0030】
[0055] m×n測定の実施形態を用いることは、状況によっては、m+n測定の実施形態を用いる場合よりも優位性を提供することができる。例えば、ユーザーが使用中にコンピューター・マウスを握っていると、多数の偶発的な接触が起こり得る。前述のm+n法で接触入力の正確な位置を判定する曖昧さのために、このような外部接触を無視する探索法は、m×n法と比較して、m+n法に合わせて練り上げる方が一層困難になる可能性がある。何故なら、m×nは各センサー・エレメントにおける容量を独立して解明することができるからである。
【0031】
[0057] 更に別の実施形態では、センサーがm+nおよびm×n検出方法双方を利用することもできる。例えば、m×n測定の方がより多くの詳細を提供するが、測定する回数が多いために、より多くのデバイス電力を消費する可能性がある。したがって、接触状態の変化が検出されるまで、m+n検出方法を用いてセンサーを読み取るとよい。次いで、m×n測定を実行し、変化した接触状態について更に詳細な情報を収集した後に、m+n測定を再開するとよい。これについては、図24のコンテキストで以下で更に詳細に説明する。
【0032】
[0058] タッチ・センサー410は、適した態様であればいずれでも、そして適した材料であればいずれでも製作することができる。例えば、接触感応ディスプレイ・デバイス用の従来の容量性タッチ・センサーは、酸化インジウム錫(ITO)のような透明な導体を、絶縁ガラスまたはプラスチック基板上に堆積して作ることができる。このようなセンサーは、例えば、基板の前面上に行を形成し、基板の背面上に列を形成することによって(またはその逆)、または列および行を構成するITOの単一層によって、金属またはITOジャンパーを用いて形成することができる。
【0033】
[0059] しかしながら、接触感応コンピューター・マウスまたはタッチ・センサーに合わせたこのような他の使用環境の場合、センサーを不透明にすればよい。更に、コンピューター・マウス用のタッチ・センサーは、接触感応ディスプレイに用いられるタッチ・センサーとは異なり、湾曲面を有する。したがって、コンピューター・マウス用の容量性タッチ・センサーは、他のプロセスによって製造すればよい。例えば、一実施形態では、湾曲容量性タッチ・センサーは、導電性インクを用いて、可撓性絶縁基板上にタッチ・センサーの列および行を印刷する(例えば、スクリーン印刷、インク・ジェット印刷、または他の適した印刷技法)ことによって、作ることができる。更に具体的な例として、銀ポリマーの厚膜をポリエステル基板上に印刷することができる。尚、この例は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0034】
[0060] 図9は、容量性マルチタッチ・センサーを有する湾曲した幾何学的外形の物体を形成する方法900の一実施形態を示す。コンピューター・マウスのコンテキストで示されているが、この概念は適した湾曲物体であれば他のいずれにも応用できることは言うまでもない。最初に、方法90は、902において、可撓性絶縁基板の第1側に第1組のセンサー・エレメントを形成するステップを含む。904に示すように、更に具体的な一実施形態では、この第1組のセンサー・エレメントは、厚膜のような可撓性基板上に導電性インクを印刷することによって形成することができる。同様に、接触トレースを形成することができる。次に、方法900は、906において、基板の第2側に第2組のセンサー・エレメントを形成するステップを含む。908に示すように、更に具体的な一実施形態では、第2組のセンサー・エレメントは、基板の第2側に導電性インクを印刷することによって形成し、これによってセンサーを形成することができる。接触トレースも、同様に形成することができる。次に、910に示すように、湾曲したマウス表面上でセンサーを折り曲げ、次いで912において示すように、マウス表面に固定し(例えば、接着材または他の適したメカニズムによって)、接触感応コンピューター・マウスを形成する。尚、センサーの電源、コントローラー等への電気接続はいずれも、適したやり方であればいずれでも作ることができることは言うまでもない。例えば、基板は、可撓性「テール」を含むことができ、ここにトレースを印刷し、他の回路に接続するために、マウス内部に導入することができる。
【0035】
[0061] 図10は、容量性マルチタッチ・センサーを有するコンピューター・マウスを形成する方法の他の実施形態を示す。方法10は、1002において、例えば、印刷によって基板の第1側上に第1組のセンサー・エレメント(およびトレース)を形成し、次いで、1004において、第1組のセンサー・エレメント上に誘電体層を形成するステップを含む。次に、方法1000は、1006において、誘電体層上に第2組のセンサー・エレメント(およびトレース)を形成して、センサーを形成するステップを含む。次いで、1008において、方法1000は、マウスの表面上でセンサーを折り曲げ、次いでセンサーをマウス表面に固定して、接触感応コンピューター・マウスを形成するステップを含む。
【0036】
[0062] 図11は、コンピューター・マウス用マルチタッチ・センサーを形成する方法1100の他の実施形態を示す。最初に、1102において、1つの層に第1および第2組のセンサー・エレメントを印刷し、第1組のセンサーにコネクターを形成する。次に、1104において、ジャンパーを形成する領域、即ち、第1組のセンサーのコネクターの上に、絶縁材料を堆積する。次に、1106において、導電性ジャンパーを絶縁材料上に堆積して、第2組のセンサーにコネクターを形成して、センサーを完成させる。このプロセスを図21に示す、以下で説明する。次いで、先に説明したように、センサーをコンピューター・マウスに固定することができる。尚、これらの実施形態は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0037】
[0063] 適した基板であればいずれでも、導電性インクを印刷する基板として用いることができる。適した基板の一例には、約0.003インチの厚さを有するポリエステル・シートを含む。他の実施形態では、他の適した可撓性絶縁材料であればいずれでも基板を作ることができ、適した厚さであれば他のいずれでも有することができる。同様に、導電性インクも、適した厚さであればいずれでも有することができる。具体的な一実施形態では、各センサー・エレメントを形成する導電性インクは、約0.001インチの厚さを有する。他の実施形態では、導電性インクは、適した厚さであれば他のいずれでも有することができる。
【0038】
[0064] このようなセンサーにおける厚いポリマー導電性インク膜の電気的特性は、ガラス上のITOよりも低い面抵抗を有することができる。例えば、銀インクの厚膜は、更に低い面抵抗を有する(ITOが数十または数百オームであるのに対して、銀導電性インクでは〜40ミリオーム)。このため、センサーの列および行に沿ったRC遅延が減少することができ、したがってより長いトレース上でより速い測定が、少ない誤差で行うことが可能になる。更に、実施形態の中には、銀インクの代わりに、炭素導電性インクを用いることができる場合もある。炭素インクは、銀インクよりも安価であり、適した低抵抗を有することもできる。
【0039】
[0065] 図9から図11に示した方法は、マウスまたは他の物体の「可展面」に合わせてマルチタッチ・センサーを形成するのに適している。「可展面」という用語は、本明細書において用いる場合、歪み(例えば、圧縮および/または伸張)なく平面に平坦化することができる表面のことを言う。図12は、このような可展面を有するコンピューター・マウス1200の一実施形態例を示す。具体的には、可展面は、コンピューター・マウスの左縁端(図12におけるコンピューター・マウスの向きに言及する)から、マウスの軸に沿って、マウスが右ボタン縁端に向かって下方に湾曲し始める位置(破線1202で示す)まで広がっている。マウス1200のこの部分に取り付けられるタッチ・センサーは、通常の使用中にユーザーの指が接触する位置にあり、したがってユーザーの指が行うタッチ・ジェスチャーを検出することができる。
【0040】
[0066] 他の実施形態では、コンピューター・マウスが、複雑な湾曲がある非可展面上に配置されたタッチ・センサーを備えることもできる。図13は、非可展面上で用いるためのマルチタッチ・センサーを有するコンピューター・マウスを形成する方法1300の一実施形態を示す。この方法は、非可展面に取り付ける前に、センサーを折り曲げるステップを含む。方法1300は、1302において、折り曲げてはいけない基板の領域において、基板上に第1および第2組のセンサー・エレメントを形成するステップを含む。第1および第2組のセンサー・エレメントは、以上の方法900から1100のいずれにおいて説明したように、または適したやり方であれば他のいずれでも形成することができる。
【0041】
[0067] 次に、方法1300は、1304において、折り曲げるべき基板の領域において電気トレースを形成するステップを含む。このようなトレースは、例えば、折り曲げられる基板の領域によって空間的に分離されたセンサー・エレメントを接続するために形成することができる。次に、方法1300は、1306において、センサーを取り付けるべきマウス表面の複雑な湾曲と一致する形状に基板を折り曲げるステップと、次いで1308において、センサーをマウス表面に固定するステップとを含む。このように、製造中最初は平坦である基板を、非可展面に一致するように形作ることができる。次いで、可撓性プラスチック基板上の導電性ポリマー厚膜インクを用いて同様に印刷された可撓性「テール」によって、マウス内部に位置する印刷回路ボード上にある電子回路にセンサーを接続することができる。このようなテールは、ZIFまたは他の可撓性コネクターを用いて、印刷回路ボードに接続することができ、または単にそれをボード上のコンタクトに押圧することによって接続することができる。
【0042】
[0068] 尚、基板を折り曲げることに加えて、非可展面に合わせてそれを折り曲げるためまたはそれ以外でその形状に合わせるために、切断してもよいことは言うまでもない。しかしながら、使用環境によっては、折り曲げが切断よりも実用的であることもある。何故なら、電気接続は、切断領域と比較して、折り曲げ領域に維持するとよいからである。同様に、ポリマーの厚膜インクは、鋭い折り目(crease)があっても、剥離を生じないことまたは折り目を跨いで接触を維持できなくならないことが評価できることも言うまでもない。
【0043】
[0069] 図14は、コンピューター・マウスの非可展面上に配置された容量性マルチタッチ・センサーを有するコンピューター・マウスを形成する方法1400の他の実施形態を示す。方法1400は、1402において、コンピューター・マウスの表面上に直接第1組のセンサー・エレメントを形成するステップを含む。この第1組のセンサー・エレメントは、例えば、1404に示すように、コンピューター・マウスの表面上に導電性インクをパッド印刷(pad printing)することによって形成することができる。パッド印刷とは、可撓性パッド上に最初にパターンを印刷し、次いで可撓性パッドを他の表面に対して押圧し、パターンをその表面に転移させるプロセスである。実施形態の中には、1406に示すように、マウス本体の内面上に導電性インクを印刷するとよい場合もあり、一方他の実施形態では、1408に示すように、マウス本体の外面上に導電性インクを印刷するとよい場合もある。マウス本体の内面上に導電性インクを印刷する場合、マウス本体は、マウス本体に接触する指がセンサーによって検出可能となる効果を得るために、十分に薄くする(例えば、約0.5mm)とするとよい。
【0044】
[0070] 引き続き図14を見ていくと、方法1400は次に、1410において、第1組のセンサー・エレメント上に誘電体層を形成するステップと、次いで1412において、第1組のセンサー・エレメント上に第2組のセンサー・エレメントを形成するステップを備えている。他の実施形態では、第1および第2組のセンサー・エレメントは、それぞれ、マウス本体の内面および外面上に形成することもできる。
【0045】
[0071] 圧電インクを用いることによって、付加的におよび/または代替的に力を測定することができる。例えば、圧電インクの層を、異なる基板上に組み立てられたセンサーの行および列の間に挿入することができる。このような構成では、電流がセンサーの平面に対して垂直に流れることができる。他の例として、センサーの行および列を同じ基板上に組み立てるとき(行および列をマトリクス状に接続するジャンパーを用いて)、圧電インクの層をセンサーの上に積層することもできる。このような構成では、電流はセンサーの平面内を流れることができる。行および列間のインピーダンスは、抵抗および容量の並列組み合わせと考えられる。2つの分離した周波数において測定することによって、容量および抵抗を独立して測定することができる。これについては、図21から図23のコンテキストにおいて以下で更に詳細に説明する。
【0046】
[0072] 次に、方法1400は、1414において、第2組のセンサー・エレメント上に保護層を形成するステップを含む。このような保護層は、例えば、1416に示すように、第2組のセンサー・エレメント上に誘電体塗料を塗布することによって、または1418に示すように、第2組のセンサー・エレメント上に薄いプリモールド・シェルを取り付けることによって、または他の何らかの適したプロセスによって形成することができる。このように、容量性マルチタッチ・センサーは、マウス本体に後から固定される基板上ではなく、マウス本体上に直接形成することができる。このような実施形態に合わせた相互接続は、適したやり方であればいずれでも形成することができる。このセンサーに相互接続を形成するのに適した方法の一例には、一部の液晶ディスプレイにおいて用いられている「ゼブラ・ストライプ」と同様の、異方導電性を有する共形材料を用いて相互接続を形成するステップを含むことができる。
【0047】
[0073] 図15は、いわゆる「インモールド・デコレーション」プロセスによって、コンピューター・マウスの非可展面上に容量性マルチタッチ・センサーを形成する方法1500の他の実施形態を示す。方法1500は、1502において、「箔」を形成するステップと、1504において、この箔上に第1および第2組のセンサー・エレメントを印刷するステップとを含む。この箔は、箔上に印刷されているパターンが成形の間に被成形品目に転移されるように、マウス本体成形プロセスの間型の中に置かれるインサートである。つまり、方法1500は、次に1506において、この箔の上に第1および第2組のセンサー・エレメントを印刷したものを、型の中に挿入するステップと、1508において、型の中でマウス本体を成形することによって、パターンをマウス本体に転移させるステップとを含む。箔は、成形の間、被成形品目に組み込まれても、組み込まれなくてもよい。同様に、成形プロセスの間に、電気トレースをマウス本体上に形成することができる。
【0048】
[0074] 実施形態の中には、マウス表面上に印刷された導電性材料が、昇華する材料であるとよい場合がある。このような実施形態では、センサー・アレイをマウスの本体のバルク材料に昇華させることができ、これによってセンサー・アレイを直接マウス本体に組み込むことができる。
【0049】
[0075] 方法900、1000、1100、1300、1400、および1500のコンテキストにおいて以上で説明したセンサーは、容量を検知するように構成されている。これによって、センサーは、人の指がセンサー上の指定点に近接しているか否か検出することが可能になるが、指が押圧している力を直接検出しない。以下で更に詳細に説明するが、この力は、接触入力の接地面積(contact patch area)を測定することによって、間接的に測定することができる。この面積は、指の肉の平坦化のために、指で押下する力が大きい程広くなる。実施形態の中には、力の測定は、センサーを、力を電気容量に変換する変換器と積層することによって、得られるようにすることができるものもある。このような変換器の一例は、液晶材料のように、圧力に感応する誘電係数を有する材料である。尚、この圧力センサーの例は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0050】
[0076] 前述のように、接触感応面を有するマウスは、1つ又は複数の光源を備えることができ、特定の機能にマッピングされている接触感応面の領域の輪郭を定めるために、光源を選択的に照明することができる。例えば、図16は、スクロール・ホイールのような機能にマッピングされている領域1602を備えているコンピューター・マウス1600の一実施形態を示す。ユーザーは、例えば、領域1602に沿ってコンピューター・マウス1600の長軸に対して前後に指をはじくまたはドラッグすることによって、リストをスクロールすることができる。
【0051】
[0077] しかしながら、コンピューター・マウス1600は平坦で造作(feature)のない表面を有すると、アクティブになったときにその機能を示さないことがあるので、コンピューター・マウス1600は1つ又は複数の光源を備えるとよく、これらの光源は、領域1602がスクロール・ホイール機能にマッピングされているときに、この領域の輪郭を定めるように照明することができる。図示した実施形態では、領域1602の境界1604が照明されているが、他の実施形態では、適した方法であれば他のいずれによってこの領域を示してもよいことは言うまでもない。例えば、他の実施形態では、領域全体1602(単に領域の周囲だけでなく)を照明してもよい。スクロール・ホイール機能にマッピングされた領域のコンテキストで示したが、いずれかの特定的な機能にマッピングされたコンピューター・マウス1600のいずれの適した領域でも、光源によって同様に示すことができることは言うまでもない。
【0052】
[0078] 適したタイプの光源であればいずれでも、領域1602を照明するために用いることができる。例えば、実施形態の中には、1つ又は複数の光管(即ち、全内反射光導管)を用いて、マウス内部にある発光ダイオードまたは他の発光体から、マウス表面のタッチ・センサー上の位置に光を伝えることもできる。他の実施形態の中には、光源が電気泳動インクを含むとよい場合もある。更に他の実施形態では、光源は、タッチ・センサーの直下から光を放出するように構成することもできる。このような実施形態では、タッチ・センサーは、ITOのような透明導体を採用するとよい。透明導体は、ポリマーの厚い導電性インク膜とは異なり、光をセンサーに通過させる。あるいは、タッチ・センサーは、光が通過する領域を、いずれのトレースまたはセンサー・エレメントが邪魔にならないように残しておいて、光がセンサーを通過することを可能にするように製作することもできる。
【0053】
[0079] 図16に示した以外でも、適したやり方であれば他のいずれによってでも、特定の機能を示すことができる。例えば、実施形態の中には、特定の機能にマッピングされている特定の位置に区画を備えた、薄いプラスチップ製のスナップ・オン・カバー(snap-on cover)を設けるとよい場合がある。図17は、このようなマウス・カバー1700の一例を示し、カバー1700の中心に配置された区画1702が、スクロール・ホイール機能にマッピングされたマウスの領域に対応する。マウス・カバー1700は、コードを含むことができ、マウスがカバーを識別し、そのカバーに対して予め設定されているタッチ・センサーを参照することをマウスに可能にするために、そのコードをマウスによって読み取ることができる。このようなカバーには、例えば、ゲームまたは他のソフトウェアを供給し、タッチ・センサーをゲームまたは他のソフトウェアの機能に自動的にマッピングすることもできる。一実施形態では、コードは、マウスのタッチ・センサーによって読み取り可能な、1つ又は複数の導電性エレメント1704を備えている。他の実施形態では、このコードは、マウスにおける光検出器によって読み取ることができる光学読み取り可能コード(例えば、バー・コード)、または適したタイプのコードであれば他のいずれでも備えることができる。
【0054】
[0080] 尚、適した機能または複数の機能であれば他のいずれでも、マウスのタッチ・センサー上の特定の領域にマッピングできることは認められよう。例えば、先に説明したように、コンピューター・マウスのタッチ・センサーの右側を「右クリック」機能にマッピングすることができ、左側を「左」クリック機能にマッピングすることができる。更に、二次元パンニング機能を、スプレッドシートをナビゲートする間に使用するために、タッチ・センサーの正方形領域にマッピングすることもできる。加えて、ビデオ編集アプリケーションにおいてタイムライン全域で素早く動かすために、「スクラブ」(scrub)機能をタッチ・センサーの環状領域にマッピングすることができる。尚、これらの具体的な機能は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0055】
[0081] 領域と機能との関連付けは、ソフトウェアで任意に変更することができるので、特定のタッチ・センサー領域のマッピングをユーザーの好みまたは現在のタスクに適応させることもできる。例えば、コンピューティングデバイスの新米ユーザーが、従来のマウス上に多数のボタンがあると、混乱する可能性がある。したがって、このようなユーザーには、1つの機械式アクチュエーター(マウス本体全体が機械式ボタンとして動作するように)、およびタッチ・センサーも、最初は単純な一ボタン・マウスとして動作し、ユーザーの快適さおよび体験が増大するに連れて機能を増やしていくこともできる。
【0056】
[0082] このようなアクチュエーターを1つだけ有する機械式マウスでは、特定の機能を実行するための機械的作動に対する意図は、その機械的作動と関連のあるタッチ・センサーによって決定することができる。例えば、「左クリック」および「右クリック」機能を1つの機械式アクチュエーターによって呼び出す意図は、タッチ・センサーのそれぞれの右側および左側における接触入力の変化によって区別することができる。
【0057】
[0083] 図18は、タッチ・センサー入力によって左および右クリックを区別する方法1800の一実施形態を示す。方法1800は、最初に1802において、機械式アクチュエーターの作動を検出するステップを含む。次に、1804において、方法1800は、マウス上における指の接触面積の増大を検出するステップを含む。このような増大は、例えば、指がマウス本体上において接触を開始することによって、または以前に置いた指がマウス本体上で圧力を増したために生ずる可能性がある。ユーザーが指でマウスを押圧する圧力量をユーザーが増大させると、その指のタッチ・センサー上における接触面積が増大すると考えられる。図19および図20は、この概念を示す。最初に図19を参照すると、マウス・タッチ・センサーの左側における接触が、タッチ・センサー出力において1900で示されており、タッチ・センサーの右側における接触が、1902で示されている。次に図20を参照すると、ユーザーが「右クリック」入力を行おうとすると、ユーザーは右指でもっと多くの圧力をかけて、機械式アクチュエーターを作動させようとすることができる。この場合、右側の接触1902の接触面積が増大する。
【0058】
[0084] 引き続き図18を見ていくと、方法1800は次に、1806において、タッチ・センサー上の位置によって、マウス本体上における接触面積の増大に対応する指の位置を検出し、次いで1808において、その指が、特定の機能と関連付けられているマウス本体のエリア上に位置しているか否か判定するステップを含む。その接触が、特定の機能と関連付けられているマウス本体のエリアにおいて行われたのではない場合、方法1800は、1810において、機械式作動にデフォルト機能を割り当てるステップを含む。一方、特定的にマッピングされた機能と関連付けられたマウス本体のエリアにおいてその接触が行われたのであれば、方法1800は、1812において、そのエリアにマッピングされている特定の機能に、機械式作動を割り当てる。
【0059】
[0085] 前述のように、実施形態の中は、マウスの表面に対する接触入力の圧力を検出するように構成されている圧力センサーを備えているとよいことがある。このような接触圧力検知によって、コンピューター・マウスのコントローラーは、「左クリック」、「右クリック」、およびマウス上にある機械式ボタンによって作動させられる他のこのような「仮想ボタン」動作の作動に対応する圧力信号を検出することが可能になる。更に、接触圧力検知は、マウス表面上における偶発的な接触が所定の圧力閾値を満たさない場合このような入力を無視することによって、マウス表面上における「スクロール・ホイール」起動動作のような種々の動作を、偶発的な接触入力から区別するために用いることができる。尚、接触感応マウスにおける圧力センサーの使用についてのこれらの例は、例示のために紹介したのであって、限定であることは全く意図していないことは言うまでもない。
【0060】
[0086] 適した圧力センサー、または適した圧力センサーの構成であればいずれでも、マウスにおいて容量性マルチタッチ・センサーと共に用いることができる。例えば、実施形態の中には、容量製タッチ・センサーを有するマウスが2つの圧力センサーを備えているものあり、「左クリック」入力(即ち、左マウス・ボタンが機械式マウス上で一般に見られる位置)を検出するように構成されている位置に1つが配置され、「右クリック」入力を検出するように構成されている位置にもう1つが配置されている。
【0061】
[0087] 他の実施形態では、画素毎に圧力を検知できるように、圧力センサーが更に細かい分解能を有するように構成することもできる。画素毎(on a pixilated basis)に接触圧力を判定するためには、適した圧力センサーであればいずれでも用いることができる。例えば、実施形態の中には、圧電シート(即ち、圧電インクの層を備えているシート)をセンサー・アレイと共に用いて、接触圧力を検出することができる。このような圧電シートは、小さな導電性エレメントを散在させて備えている可撓性材料のシートである。このシートに対して圧力がかけられると、導電性エレメントの配列が変化する。これによって、シードの抵抗が、圧力を受けたエリアにおいて変化する。異なる電位を有する電極を備えているセンサー・アレイに対向して圧電シートを置くことによって、圧電シートの抵抗をセンサー・エレメント間で測定することができ、シートにかけられた圧力の大きさを検出することができる。尚、他の圧力感応可変抵抗材料も同様に用いることができることは言うまでもない。
【0062】
[0088] 実施形態の中には、容量性タッチ・センサーおよび抵抗性圧力センサー毎に、別々のセンサー・アレイを用いることもできる。例えば、圧電シートおよびセンサー・アレイを備えている抵抗性圧力センサーを、別のセンサー・アレイを有する容量性タッチ・センサーの上方または下方に配置することができる。他の実施形態では、容量性タッチ・センサーおよび抵抗性圧力センサーが共通のセンサー・アレイを共有することもできる。図21および図22は、共通の電極アレイを共有する容量性マルチタッチ・センサーおよび抵抗性圧力センサーの構造を示す。最初に図21を参照すると、2100において、行センサー・エレメント2103および列センサー・エレメント2104のアレイにおいて基板2102上にポリマー導電性厚膜を印刷することによって、センサー・アレイを形成する。2100に示すように、コネクター2106を最初に一方向(列方向として示されている)に印刷する。次に、2108に示すように、列コネクター2106上に誘電体材料2110を堆積し、次いで2112において、誘電体材料上に行コネクター2114を印刷して、センサー・アレイを完成する。最後に、2116において、センサー上に圧電シート2118を被着する。圧電シート2118は、図21では、基礎構造を図示するために、一部分解図で示されている。
【0063】
[0089] 図22に示すように、圧電シートは、隣接する行センサー・エレメント2103および列センサー・エレメント2104を、模式的に2200で示す、抵抗のある経路と接続する。隣接するセンサー・エレメント(m×n配列)の容量性結合が、2202において模式的に示されている。このように、各センサー・エレメントは、抵抗的および容量的双方で隣接するセンサー・エレメントに結合されている。したがって、異なる周波数において測定されたインピーダンス測定値から、抵抗値および容量値を計算することができる。このように、接触位置および接触圧力の測定を、同じ分解能で行うことができる。
【0064】
[0090] したがって、図23は、図21および図22の実施形態のような、1つのセンサー・アレイを利用する容量性マルチタッチ・センサーおよび抵抗性圧力センサーを備えているタッチ・センサーによって、接触位置および接触圧力を測定する方法2300の一実施形態を示す。方法2300は、2302において、第1インピーダンス測定値を得て、次いで2304において、異なる周波数において第2インピーダンス測定値を得るステップを含む。尚、このコンテキストにおける「インピーダンス測定値」という用語は、完全なセンサー読み取り値、即ち、センサー・アレイの画素毎のインピーダンス測定値を含むことは言うまでもない。
【0065】
[0091] 次に、2306において、行った2回の測定に基づいて、抵抗値および容量値を決定する。実施形態の中には、2308で示すように、これら2つの値を総測定インピーダンスの大きさから決定するとよい場合がある。容量性リアクタンスおよび抵抗の総測定インピーダンスの大きさに対する寄与は、以下の式で示され、ここで|Z|は総測定インピーダンスの大きさであり、Xcは容量性リアクタスである。
【0066】
[0092]
【0067】
【数1】
【0068】
ここで、
[0093]
【0069】
【数2】
【0070】
[0094] 2回のインピーダンス測定は、総インピーダンスの抵抗成分が双方の場合において一定であり、容量Cも一定である(即ち、指の圧力および位置が測定中実質的に変化しなかった)という仮定が許容されるように、十分に次回時間間隔で行うとよい。これらの過程により、総インピーダンスの変化は、2回の測定を行った周波数の関数となる。このように、CおよびRは2つの測定値によって決定することができる。
【0071】
[0095] 他の実施形態では、1210に示すように、無効容量および抵抗を、2つの測定インピーダンス間の位相角の差から決定することができる。これらの実施形態では、以下の関係を用いて、抵抗および容量性リアクタンスを決定することができる。
【0072】
[0096]
【0073】
【数3】
【0074】
[0097] 再度、R(即ち、接触圧力)およびC(即ち、接触位置)が一定であると仮定するために2回の測定が十分に短い時間間隔の間に行われたと仮定すると、測定された位相ずれは、無効容量の関数となり、したがって、測定が行われた周波数の関数となる。このように、RおよびCを位相ずれから決定することができる。
【0075】
[0098] 引き続き図23を見ていくと、方法2300は、次に2312において、決定された容量性リアクタンスから接触入力を検出し、それに応答して、接触入力にしたがってグラフィカル・ユーザー・インターフェースを操作するステップを含む。例えば、グラフィカル・ユーザー・インターフェース上に表示されている写真オブジェクト上にマウス制御カーソルがある間に検出された接触入力が「ピンチ」または「ストレッチ」ジェスチャーに対応する場合、写真オブジェクトのサイズを、検出された接触入力に応答して、変更することができる。
【0076】
[0099] 同様に、方法2300は、2314において、決定した抵抗から接触圧力を検出し、それに応答して、この圧力にしたがってグラフィカル・ユーザー・インターフェースを操作するステップを含む。例えば、検出された接触圧力がマウス本体の左前四分義の内部に位置し、所定の閾値圧力レベルを超過する場合、この特定の接触入力は、「左クリック」入力であると考えることができる。このため、応答してユーザー・インターフェース動作を行うことができる。更に具体的な一例として、マウス・カーソルがあるアイコン上に位置する場合、「左クリック」入力の検出が、アイコンによって表されるファイルを開かせ、そしてユーザー・インターフェース上に表示させることができる。
【0077】
[00100] 使用環境の中には、マウス本体への接触だけでなく、マウス本体上接触至近(near-touch)イベントも検出することが望ましい場合もある。これは、「接触至近」状態の検出が追加の機能を可能にするからである。アレイがタイル状ネットワークのダイアモンド形状の列および行のセンサー・エレメントを備えている、本明細書において図示したセンサー・アレイの実施形態では、m+n容量測定が、m×n容量測定よりも高い感度を接触至近にもたらすことができる。その理由は、m+n容量測定は、m×n測定が行うような、隣接する行および列センサー・エレメントの縁端間の容量測定の代わりに、センサー・エレメントから接地までの容量を測定するからである。したがって、各センサー・エレメントの容量は、m+n構成の方がm×n構成におけるよりも大きくなり、接触至近を検出する感度の上昇が可能になる。
【0078】
[00101] しかしながら、先に説明したように、m+n測定で得られる分解能は、m×n測定よりも低く、したがって、接触入力の位置に関して多少の曖昧さが生ずる可能性がある。特に、接触が少なくとも部分的に行および列センサー・エレメント双方をカバーしていないときに、その可能性がある。したがって、図24は、m×n測定方法の高い分解能にも配慮しつつ、m+n測定方法によって得られる接触至近感度の向上に備えて、容量性マルチタッチ・センサーを読み取る方法2400の一実施形態を示す流れ図を示す。方法2400は、2402において、m+n容量を測定し、その測定値から接触入力信号を判定するステップを含み、次いで2404において、この接触入力信号を以前の接触入力信号と比較し、2406において、接触入力信号間に何らかの変化が発生したか否か判断するステップを含む。変化が検出されない場合、方法2400は2402に戻り、他のm+n容量測定を行う。
【0079】
[00102] 一方、2406において、容量測定値間で接触状態の変化が起こったと判断した場合(例えば、新たな接触が検出された、現在の接触が動いたまたはなくなった等)、方法2400は2408に進み、m×n測定を行い、m+n測定から接触入力信号を決定する。次いで、方法2400は、接触状態の変化が再度検出されるまで更に別のm+n測定値が得られるように、2402に戻る。このように、接触至近状態に対する感度を、m×x測定値のみを使用する場合に対して、高めることができる。更に、m+n測定は、m×n測定よりも消費する電力が少なくて済む。したがって、方法2400は、電力を保存するのにも役立つことができ、したがってバッテリ給電式デバイスにおいてバッテリ寿命を改善することができる。
【0080】
[00103] 図25は、容量性マルチタッチ面を備えている、湾曲した非可展幾何学的外形を有する、マウスのような物体の製造方法2500の他の実施形態を示す。方法2500は、2502において、基板上に、マルチタッチ・センサーの複数の画素を定めるセンサー・エレメントのアレイを形成するステップを含み、次いで2504において、基板を真空形成して、入力デバイスの本体の湾曲幾何学的外形の表面に沿う有形プリフォーム(shaped preform)とする。適した基板材料の選択によって、真空形成プロセスは、前述のように基板において折り曲げおよび/または切断を全く用いることなく、基板および印刷アレイを、複雑な非可展形状に形成することを可能にする。適した基板材料の例には、ポリカーボネート、PET(ポリエチレン・テレフタレート)、およびABS(アクリロニトリル・ブチルジエン・スチレン)が含まれるが、これらに限定されるのではない。同様に、圧力センサーを前述のようにして含ませることができる。ここで、圧電インクを支持するのに適した材料の選択によって、圧力センサー構造を、タッチ・センサーと共に真空成形することが可能になるとよい。実施形態の中には、圧力センサーの形成が、プリフォームを形成する前または後に、前述のようにセンサー・エレメントのアレイと接触するように圧電シート(例えば、適した基板上に支持された圧電インク)を配置することを含むことができる場合もある。
【0081】
[00104] 次に、プリフォームを形成した後、方法2500は、2506において、プリフォームを湾曲幾何学的外形に固定するステップを含む。実施形態の中には、2508に示すように、このステップが、プリフォームを型の中に入れ、次いで成形可能な材料を型に入れてプリフォームを入力デバイスの本体内に鋳込むことを含むこともある。他の実施形態では、2510に示すように、入力デバイスの本体を作成した後に、プリフォームを入力デバイスの本体に固定することもできる。このように、センサー・アレイを複雑な、非可展面上に設けることができる。図26は、複雑な湾曲を有する非可展面上に形成されたセンサー・アレイ2602を備えたマウス2600の一例を示す。
【0082】
[00105] 尚、本明細書において開示した実施形態は、コンピューター・マウス以外の他の物体とでも用いることができることは言うまでもない。例えば、湾曲タッチ・センサーは、インタラクティブ・グローブ(interactive globe)、湾曲ディスプレイ、および/または他のこのような湾曲表面とでも用いることができる。更に、本明細書において開示した実施形態は、1つの設計によって種々の異なる機能のマウスを開発するプラットフォームを製造者に提供することができることも言うまでもない。例えば、異なるボタンや他の制御部品をマウス・ハードウェアによって実装する場合、新しいマウス設計毎に、新たな型および他の器具の設計ならびに製造が、新たなハードウェア設計のために必要となることもある。対照的に、マウス本体上にタッチ・センサーおよび/または圧力センサーを含ませることによって、新たな機能をマウス本体の特定の接触領域にマッピングすることが可能となり、これによって、1つのハードウェア設計を、新たな機能を実現するために用いることが可能になる。
【0083】
[00106] 例示のために、コンピューター・マウス、コンピューター・マウス機能、コンピューター・マウス製造方法、タッチ・センサー製造方法、および他の湾曲接触感応デバイスの種々の実施形態を開示したが、種々の変形が可能であることから、これらはあらゆる意味で限定であることを意図していない。本明細書において記載した特定のルーチンおよび方法は、イベント・ドリブン、割り込みドリブン、マルチ・タスキング、マルチ・スレッディングなどのような、あらゆる数の処理方策の内1つ又は複数の表すことができる。したがって、例示した種々の動作は、例示した順に、並列に実行することもでき、場合によっては省略することもできる。同様に、前述のプロセスのいずれであっても、その順序は、本明細書において記載した実施形態の特徴および/または結果を達成するために、必ずしも必要とされる訳ではなく、図示および説明を容易にするために提示したに過ぎない。
【0084】
[00107] 本開示の主題は、本明細書において開示した種々のプロセス、システムおよび構成、ならびに他の特徴、機能、動作、および/または特性のあらゆる新規で非自明なコンビネーションおよびサブコンビネーションを含み、更にはその均等物のいずれもおよび全てを含むものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイス用の接触感応入力デバイス(100)であって、
タッチ・センサー(410)を備えている湾曲幾何学的外形(102)を備えており、前記タッチ・センサー(410)が、前記湾曲幾何学的外形(102)に一体化されたセンサー・エレメント(500)のアレイを備えており、前記湾曲幾何学的外形(102)の表面上において行われる接触の位置を検出するように構成されている、接触感応入力デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記入力デバイスがコンピューター・マウスであり、前記湾曲幾何学的外形が前記マウスの本体を構成する、接触感応デバイス。
【請求項3】
請求項2記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記タッチ・センサーが、前記センサー・エレメントのアレイが配置されている可撓性基板を備えており、この可撓性基板が前記マウスの本体の外面に結合されている、接触感応入力デバイス。
【請求項4】
請求項3記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・エレメントが、第1組のセンサー・エレメントを備えており、第2組のセンサー・エレメントとは逆側の前記基板の面上に配置されている、接触感応入力デバイス。
【請求項5】
請求項3記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・エレメントが、第1組のセンサー・エレメントと第2組のセンサー・エレメントとを備えており、これらが前記基板の同じ側に配置され誘電体層によって分離されている、接触感応入力デバイス。
【請求項6】
請求項3記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・エレメントが、第1組のセンサー・エレメントと第2組のセンサー・エレメントとを備えており、これらが前記基板の同じ側に同じ層内に配置されており、前記第1組のセンサー・エレメントのコネクターと前記第2組のセンサー・エレメントのコネクターとの間に絶縁材料が配されている、接触感応入力デバイス。
【請求項7】
請求項2記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・エレメントが、前記マウス本体の表面上に印刷されている、接触感応入力デバイス。
【請求項8】
請求項2記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・エレメントが前記マウスの本体の非可展面に結合されており、前記センサー・エレメントのアレイが、前記非可展面に一致するように成形された真空形成基板上に形成されている、接触感応入力デバイス。
【請求項9】
請求項2記載の接触感応入力デバイスであって、特定の機能にマッピングされている前記マウス本体の表面の領域を照明するように構成されている1つ又は複数の光源を備えている、接触感応入力デバイス。
【請求項10】
請求項1記載の接触感応入力デバイスであって、更に、圧力センサーを備えている、接触感応入力デバイス。
【請求項11】
請求項10記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記圧力センサーが、前記センサー・アレイと接触した圧電シートを備えている、接触感応入力デバイス。
【請求項12】
請求項10記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・アレイが第1センサー・アレイであり、前記圧力センサーが、第2センサー・アレイと、この第2センサー・アレイと接触した圧電シートとを備えている、接触感応入力デバイス。
【請求項13】
請求項10記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記タッチ・センサーが容量性タッチ・センサーであり、更に、前記タッチ・センサーおよび前記圧力センサーと電気的に通信するコントローラを備えており、このコントローラが、前記タッチ・センサーからの接触入力と、前記圧力センサーからの信号による前記タッチ・センサーからの接触至近入力とを区別するように構成されている、接触感応入力デバイス。
【請求項14】
請求項10記載の接触感応入力デバイスであって、更に、前記タッチ・センサーおよび前記圧力センサーと電気的に通信するコントローラを備えており、このコントローラが、前記圧力センサーからの圧力信号によって仮想ボタンの作動を検出するように構成されている、接触感応入力デバイス。
【請求項15】
請求項1記載の接触感応入力デバイスであって、更に、前記タッチ・センサーと電気的に通信するコントローラを備えており、このコントローラが、選択された接触入力に応答して、オーディオ・フィードバックをトリガするように構成されている信号を出力するように構成されている、接触感応入力デバイス。
【請求項1】
コンピューティングデバイス用の接触感応入力デバイス(100)であって、
タッチ・センサー(410)を備えている湾曲幾何学的外形(102)を備えており、前記タッチ・センサー(410)が、前記湾曲幾何学的外形(102)に一体化されたセンサー・エレメント(500)のアレイを備えており、前記湾曲幾何学的外形(102)の表面上において行われる接触の位置を検出するように構成されている、接触感応入力デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記入力デバイスがコンピューター・マウスであり、前記湾曲幾何学的外形が前記マウスの本体を構成する、接触感応デバイス。
【請求項3】
請求項2記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記タッチ・センサーが、前記センサー・エレメントのアレイが配置されている可撓性基板を備えており、この可撓性基板が前記マウスの本体の外面に結合されている、接触感応入力デバイス。
【請求項4】
請求項3記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・エレメントが、第1組のセンサー・エレメントを備えており、第2組のセンサー・エレメントとは逆側の前記基板の面上に配置されている、接触感応入力デバイス。
【請求項5】
請求項3記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・エレメントが、第1組のセンサー・エレメントと第2組のセンサー・エレメントとを備えており、これらが前記基板の同じ側に配置され誘電体層によって分離されている、接触感応入力デバイス。
【請求項6】
請求項3記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・エレメントが、第1組のセンサー・エレメントと第2組のセンサー・エレメントとを備えており、これらが前記基板の同じ側に同じ層内に配置されており、前記第1組のセンサー・エレメントのコネクターと前記第2組のセンサー・エレメントのコネクターとの間に絶縁材料が配されている、接触感応入力デバイス。
【請求項7】
請求項2記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・エレメントが、前記マウス本体の表面上に印刷されている、接触感応入力デバイス。
【請求項8】
請求項2記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・エレメントが前記マウスの本体の非可展面に結合されており、前記センサー・エレメントのアレイが、前記非可展面に一致するように成形された真空形成基板上に形成されている、接触感応入力デバイス。
【請求項9】
請求項2記載の接触感応入力デバイスであって、特定の機能にマッピングされている前記マウス本体の表面の領域を照明するように構成されている1つ又は複数の光源を備えている、接触感応入力デバイス。
【請求項10】
請求項1記載の接触感応入力デバイスであって、更に、圧力センサーを備えている、接触感応入力デバイス。
【請求項11】
請求項10記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記圧力センサーが、前記センサー・アレイと接触した圧電シートを備えている、接触感応入力デバイス。
【請求項12】
請求項10記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記センサー・アレイが第1センサー・アレイであり、前記圧力センサーが、第2センサー・アレイと、この第2センサー・アレイと接触した圧電シートとを備えている、接触感応入力デバイス。
【請求項13】
請求項10記載の接触感応入力デバイスにおいて、前記タッチ・センサーが容量性タッチ・センサーであり、更に、前記タッチ・センサーおよび前記圧力センサーと電気的に通信するコントローラを備えており、このコントローラが、前記タッチ・センサーからの接触入力と、前記圧力センサーからの信号による前記タッチ・センサーからの接触至近入力とを区別するように構成されている、接触感応入力デバイス。
【請求項14】
請求項10記載の接触感応入力デバイスであって、更に、前記タッチ・センサーおよび前記圧力センサーと電気的に通信するコントローラを備えており、このコントローラが、前記圧力センサーからの圧力信号によって仮想ボタンの作動を検出するように構成されている、接触感応入力デバイス。
【請求項15】
請求項1記載の接触感応入力デバイスであって、更に、前記タッチ・センサーと電気的に通信するコントローラを備えており、このコントローラが、選択された接触入力に応答して、オーディオ・フィードバックをトリガするように構成されている信号を出力するように構成されている、接触感応入力デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2012−522317(P2012−522317A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503524(P2012−503524)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028720
【国際公開番号】WO2010/117664
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028720
【国際公開番号】WO2010/117664
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)
【Fターム(参考)】
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