説明

湿分を調整する改善された複合材料

本発明は、平面状担持材料、水溶性の吸湿剤および吸湿剤の存在で担持材料上に重合される、可塑剤を含有する吸水性ポリマーを含有する改善された湿分を調整する複合材料、その製造法ならびに湿分を調整するために該複合材料の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿分を調整する改善された複合材料、その製造法および湿分を調整するための該複合材料の使用に関する。
【0002】
更に、本発明の実施態様は、特許請求の範囲、明細書および実施例から確認することができる。前記した、次になお説明することができる、本発明の対象の特徴は、それぞれ記載された組合せで使用可能であるだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく別の組合せでも使用可能である。
【0003】
吸水性ポリマーは、殊に(共)重合された親水性モノマーからのポリマー、適当なグラフト主鎖上の1つ以上の親水性モノマーのグラフト(共)重合体、架橋されたセルロースエーテルまたは澱粉エーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分的に架橋されたポリアルキレンオキシドまたは水性液体中で膨潤可能な天然製品、例えばグアール誘導体である。かかるポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯及びその他の衛生用品を製造するための、水溶液を吸収する製品として使用されているが、しかし、農業園芸における保水剤としても使用されている。
【0004】
吸水性ポリマーを製造するための公知技術水準は、例えば専門的な論文"Modern Superabsorbent Polymer Technology", F.L. Buchholz und A.T. Graham, Wiley-VCH, 1998, 第69〜117頁に総括的に記載されている。
【0005】
WO 01/56625、欧州特許出願公開第1178149号明細書および米国特許第5962068号明細書には、吸水性ポリマーが担持材料上で重合されているような吸水性複合材料を製造する方法が記載されている。
【0006】
WO 00/64311には、吸水性ポリマーが担持材料上で重合された複合材料が開示されている。複合材料は、クッション中の湿分調整のために使用される。WO 2004/067826A1には、多層の繊維状平面形成物、殊に機能剤、例えば吸水性ポリマーを含有することができる、片側で網目被覆されたフリース材料が教示されている。
【0007】
特開平05−105705号公報は、担持材料および吸湿性塩からなる非潮解性の乾燥剤に関し、この場合この潮解性の塩は、吸水性ポリマーにより担持材料上に固着されている。
【0008】
整理番号DE10 2005 015536.7を有する古典的なドイツ特許出願には、少なくとも1つの平面状担持材料、少なくとも1つの吸水性の吸湿剤および水溶性の吸湿剤の存在で担持材料上に重合された少なくとも1つの吸水性ポリマーを含有する、湿分を調整する複合材料が記載されている。
【0009】
公知の湿分を調整する複合材料は、しばしば比較的剛性であり、吸水性ポリマーを含有する粒子は、比較的硬質である。前記の複合材料の後加工および使用の場合、前記の剛性によって困難が発生する可能性があり、複合材料の襞飾りを付ける能力は、被害を受ける。その上、多くの場合に蒸散と結合した不快な効果を回避させるために使用されるこの種の湿分を調整する複合材料と局部的に接触する場合には、通常の場合よりも大量の液体が蒸散によって発生され(例えば、このように装備された椅子のような家具または自動車の座席上に液体をこぼす場合)、望ましくない起伏が形成され、この起伏の再形成は、乾燥によって湿分を調整する複合材料の通常の乾燥よりも長く継続される。
【0010】
従って、本発明の課題は、良好な襞飾りを付ける能力を有する、湿分を調整する複合材料を提供することであった。
【0011】
本発明の課題は、
a)少なくとも1つの平面状担持材料、
b)少なくとも1つの水溶性の吸湿剤および
c)薬剤b)の存在で担持材料a)上に重合された少なくとも1つの吸水性ポリマーを含む、
但し、吸湿剤b)とポリマーc)との質量比は、0.01〜1の範囲内にあるものとする、湿分を調整する複合材料であって、ポリマーc)が可塑剤を含有することを特徴とする、湿分を調整する前記複合材料によって解決された。
【0012】
吸湿剤b)とポリマーc)との比は、特に0.8未満、有利に0.6未満、特に有利に0.5未満、殊に有利に0.4未満、および少なくとも0.05、有利に少なくとも0.1、特に有利に少なくとも0.15である。
【0013】
担持材料a)は、全く制限されない。好ましい担持材料は、WO 01/56625、第16頁第40行〜第20頁第27行に記載されているような織物および/またはフリースであるか、または例えばWO 2004/067826中に開示されているような織物およびフリースからなる混紡である。
【0014】
適当な担持材料a)は、例えば合成ポリマー繊維からなる織物またはフリースである。繊維は、全ての紡糸可能なポリマー材料、例えばポリオレフィン、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、例えばナイロン(登録商標)6またはナイロン(登録商標)6,6、ポリアクリレート、変性セルロース、例えば酢酸セルロースであることができる。更に、上記のポリマー材料の混合物が使用されてもよい。
【0015】
織物は、交叉した繊維、特に直角に交叉した繊維からの製品である。
【0016】
フリースは、結合が一般に繊維の固有の付着力によって与えられている繊維からの織られていない製品である。特に、フリースは、例えば針状に交叉させるか、噛み合わすか、または鋭い水流または空気流による渦動させることによって機械的に固着される。フリースは、接着的または凝集的に固着されてもよい。接着的に固着されたフリースは、例えば繊維を液状結合剤で接着するかまたは製造の際にフリースに添加される結合繊維を溶融することによって得ることができる。凝集的に固着されたフリースは、例えば繊維を適当な化学薬品で溶解しかつ圧力を使用することによって得ることができる。
【0017】
担持材料は、有利に20〜800g/m2、特に50〜600g/m2、特に有利に100〜500g/m2の単位面積当たりの質量を有する。
【0018】
吸湿剤b)は、水蒸気を吸収する状態にある物質、即ち空気からの水蒸気を吸湿剤上に凝縮し、この場合この吸湿剤b)の含水量は、上昇する。吸湿剤b)は、例えば無機塩、例えば塩化ナトリウム、硝酸鉛、硫酸亜鉛、過塩素酸ナトリウム、酸化クロムまたは塩化リチウム、または少なくとも部分結晶性の有機化合物、例えば水溶性ポリアクリル酸である。有利に吸湿剤b)は、吸湿性の無機塩である。殊に好ましいのは、塩化ナトリウムである。
【0019】
特に好ましい吸湿剤b)は、20℃で飽和水溶液により平衡状態で95%未満、特に90%未満、有利に85%未満、特に有利に80%未満および少なくとも40%、特に少なくとも45%、有利に少なくとも50%、特に有利に少なくとも55%、殊に有利に少なくとも60%の相対湿度が生じるような化合物である。相対湿度は、水蒸気の部分圧と水蒸気圧とからの商に100%を掛けたものである。
【0020】
特に、吸湿剤b)は、重合された吸水性ポリマー中に分布して存在する。
【0021】
本発明による湿分を調整する複合材料を例えばクッションに使用する場合、90%を上廻る相対湿度は、不快であると感じられる。それというのも、高い空気湿度の場合には、汗の形成が助長されるからである。しかし、40%を下廻る相対湿度も好ましくはない。それというのも、このように低い相対湿度は、座り心地をもはや高めないからである。
【0022】
本発明による湿分を調整する複合材料は、i)少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー、ii)少なくとも1つの水溶性の吸湿剤、iii)架橋剤、iv)場合によってはi)に記載のモノマーと共重合可能な1つ以上のエチレン系不飽和モノマーおよび/またはアリル系不飽和モノマーおよびv)場合によっては担持材料上に施こされかつ重合される1つ以上の水溶性ポリマーを含有するモノマー溶液を重合することによって得ることができ、但し、吸湿剤ii)とモノマーi)との質量比は、0.01〜1の範囲内にあるものとし、この場合この本発明による湿分を調整する複合材料は、モノマー溶液に付加的に可塑剤が添加されることによって特徴付けられる。
【0023】
吸湿剤ii)とモノマーi)との質量比は、特に最大、殊に0.8未満、有利に最大、殊に0.6未満、特に有利に最大、殊に0.5未満、殊に有利に最大、殊に0.4未満、および少なくとも0.05、有利に少なくとも0.1、特に有利に少なくとも0.15である。
【0024】
好適なモノマーi)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸、またはこれらの誘導体、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルである。好ましいのは、酸基を含有するモノマーi)である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸である。殊に好ましくは、アクリル酸である。
【0025】
このモノマーi)、特にアクリル酸は、好ましくは0.025質量%までのヒドロキノン半エーテルを含有する。好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)および/またはトコフェロールである。
【0026】
トコフェロールは、次の式
【化1】

[式中、R1は、水素またはメチルであり、R2は、水素またはメチルであり、R3は、水素またはメチルであり、かつR4は、水素または1〜20個の炭素原子を有する酸基である]で示される化合物である。
【0027】
好ましいR4の基は、アセチル、アスコルビル、スクシニル、ニコチニルおよび生理学的に認容性の別のカルボン酸である。カルボン酸は、モノ−、ジ−又はトリカルボン酸であってよい。
【0028】
好ましくは、R1=R2=R3=メチルであるアルファトコフェロール、特にラセミ体アルファトコフェロールである。R4は、特に好ましくは水素またはアセチルである。特に好ましくは、RRR−アルファトコフェロールである。
【0029】
このモノマー溶液は、アクリル酸に対して好ましくは多くとも130質量ppm、特に好ましくは多くとも70質量ppm、特に少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、とりわけ好ましくは約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、その際、アクリル酸塩はアクリル酸として考慮し算出した。例えば、このモノマー溶液の製造のために、相応のヒドロキノン半エーテル含量を有するアクリル酸を使用することができる。
【0030】
本発明による方法に使用可能な吸湿剤ii)は、既に吸湿剤b)として記載された。
【0031】
吸水性ポリマーは、架橋されており、即ち重合は、ポリマー網状組織中にラジカル的に重合導入されていてよい、少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物("架橋剤")の存在で実施され、したがって製造されたポリマーは、勿論重合導入された形で架橋剤の相応する含量を有する。適当な架橋剤iii)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、例えば欧州特許出願公開第530438号明細書に記載されているもの、ジ−およびトリアクリレート、例えば欧州特許出願公開第547847号明細書、欧州特許出願公開第559476号明細書、欧州特許出願公開第632068号明細書、WO 93/21237、WO 03/104299、WO 03/104300、WO 03/104301およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10331450号明細書に記載されているもの、アクリレート基と共に他のエチレン系不飽和基を含有する混合アクリレート、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10331456号明細書および整理番号10355401.7を有する古典的なドイツ連邦共和国特許出願に記載されているもの、または架橋剤混合物、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第19543368号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10646484号明細書、WO 90/15830およびWO 02/32962に記載されているものである。
【0032】
適当な架橋剤iii)は、殊にN,N′−メチレンビスアクリルアミドおよびN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、不飽和モノカルボン酸またはポリカルボン酸とポリオールとのエステル、例えばジアクリレートまたはトリアクリレート、例えばブタンジオールジアクリレートまたはエチレンジアクリレート、またはブタンジオールジメタクリレートまたはエチレングリコールジメタクリレートならびにトリメチロールプロパントリアクリレートおよびアリル化合物、たとえばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、燐酸のアリルエステルならびに例えば、欧州特許出願公開第343427号明細書中に記載されているようなビニルホスホン酸誘導体である。更に、適当な架橋剤iii)は、ペンタエリトリトールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルおよびペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテルおよびグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールを基礎とするポリアリルエーテルならびにそのエトキシル化された変形である。本発明による方法において、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートは、使用可能であり、その際、使用されたポリエチレングリコールは、300〜1000の分子量を有する。
【0033】
しかし、特に有利な架橋剤iii)は、3〜20箇所エトキシル化されたグリセリン、3〜20箇所エトキシル化されたトリメチロールエタン、3〜20箇所エトキシル化されたトリメチロールエタンのジアクリレートおよびトリアクリレート、殊に2〜6箇所エトキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、3箇所プロポキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、ならびに混合して3箇所エトキシル化またはプロポキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、15箇所エトキシル化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、ならびに少なくとも40箇所エトキシル化されたグリセリン、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパンのジアクリレートおよびトリアクリレートである。
【0034】
殊に好ましい架橋剤iii)は、例えばWO 03/104301に記載されているような、アクリル酸またはメタクリル酸でジアクリレートまたはトリアクリレートにエステル化された、複数箇所エトキシル化されたおよび/またはプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10箇所エトキシル化されたグリセリンのジアクリレートおよび/またはトリアクリレートが特に有利である。殊に好ましくは、1〜5箇所エトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのジアクリレートまたはトリアクリレートである。3〜5箇所エトキシル化および/またはプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレートが最も有利である。これは、吸水性ポリマー中の特に小さい残留物含量(一般的には10ppm未満)を示し、かつこれを用いて製造された吸水性ポリマーの水性抽出物は、同じ温度の水と比べてほとんど変わらない表面張力(一般的には少なくとも0.068N/m)を有する。
【0035】
架橋剤は、モノマー溶液にモノマーi)100質量部に対して例えば0.5〜5.5質量部の通常の量で添加される。しかし、本方法の特に好ましい実施態様において、架橋剤は、それぞれモノマーi)100質量部に対して少なくとも6質量部、特に少なくとも7質量部、殊に有利に少なくとも8質量部、特に有利に少なくとも9質量部の量で添加される。モノマー中の架橋剤の含量の上限は、あまり重要でなく、一般に含量は、最大25質量部、特に最大20質量部、特に有利に最大18質量部に調節される。適当な架橋剤含量の例は、モノマーi)100質量部に対して少なくとも10質量部、少なくとも10.5質量部、少なくとも11質量部、少なくとも11.5質量部、少なくとも12質量部、少なくとも12.5質量部、少なくとも13質量部である。
【0036】
モノマーi)と共重合可能なエチレン系不飽和モノマーiv)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトン酸アミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレートおよびジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0037】
水溶性ポリマーv)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、澱粉誘導体、ポリグリコールまたはポリアクリル酸、有利にポリビニルアルコールおよび澱粉が使用されてよい。
【0038】
吸湿性ポリマー、例えば可溶性ポリアクリル酸は、吸湿剤ii)として使用されてもよいし、水溶性ポリマーv)として使用されてもよい。
【0039】
モノマー溶液に通常のグラフト重合触媒、例えば鉄塩を添加した場合には、ポリマーは、グラフト主鎖として重合に使用され、重合性モノマーは、このポリマー上にグラフトされる。グラフト重合触媒の使用を省略した場合には、ポリマーは、重合を十分に不変のまま乗り越え、かつ吸湿剤として作用する。
【0040】
好ましいモノマーi)の酸基は、通常、部分的に、特に25〜95モル%、有利には40〜90モル%、特に有利には50〜80モル%、殊に有利に60〜80モル%中和されており、この場合には、通常の中和剤、特にアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩ならびにこれらの混合物が使用されてよい。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用してもよい。ナトリウムおよびカリウムは、アルカリ金属として特に好ましく、しかしながら殊に好ましいのは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムならびにこれらの混合物である。通常、中和は、中和剤を水溶液として、溶融物としてかまたは好ましくは固体として混入することによって達成される。例えば、50質量%を明らかに下廻る含水量を有する水酸化ナトリウムは、23℃を上廻る融点を有するワックス状の塊として存在していてよい。この場合には、温度を高めて個々の物質または溶融物として計量供給することが可能である。
【0041】
モノマー水溶液は、担持材料上に施こされ、特に噴霧される。適当な担持材料は、既に担持材料a)として上記された。
【0042】
引続き、モノマー溶液は、担持材料上で重合され、複合材料は、乾燥される。重合は、特にUV線によりおよび/または熱的に誘発される。通常、この種の重合反応の場合のように、重合反応の開始を促進または制御するために開始剤を使用することができ、この場合には、通常、それぞれ公知の開始剤または開始剤系の使用が可能である。
【0043】
ポリマーc)は、少なくとも1つの可塑剤を含有し、この可塑剤は、重合前にモノマー溶液に添加され、かつポリマー中に残留する。"可塑剤"は、本発明に関連して、使用される量でポリマーc)のガラス転移温度を低下させる物質である。一般に、可塑剤は、使用すべき量でポリマーのガラス転移温度を少なくとも2℃、特に少なくとも4℃、特に有利に少なくとも6℃、殊に有利に少なくとも10℃だけ低下させる。例えば、可塑剤は、ポリマーのガラス転移温度を少なくとも20℃または少なくとも30℃だけ低下させる量で添加される。ガラス転移温度は、ポリマーの公知の性質であり、方法ASTM E1356-03 "Standard Test Method for Assignment of the GLass Transition Temperatures by Differential Scanning Calorimetry"または等価の規格ISO 11357-2の記載により測定されうる。
【0044】
通常の可塑剤は、室温で液状であり、また、ポリマーのための溶剤または分散剤である。ポリマーがUV線によってモノマーから製造される場合には、UV光に対して十分に安定で、その上、UV光により誘発される重合を損なわない可塑剤を選択することができる。特に、可塑剤は、親水性であり、水と無制限に混合可能である。適当な可塑剤は、例えばアルコール、ポリアルコール、例えばグリセリンおよびソルビット、グリコールおよびエチレングリコール、例えばポリアルキレングリコールのモノエーテルまたはジエーテル、ポリアルキレングリコールのモノエステルまたはジエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、混合されたポリエチレングリコールまたはプロピレングリコール、グリコラート、グリセロール、ソルビタンエステル、クエン酸エステルおよび酒石酸エステルまたはイミダゾリンに由来する両性界面活性剤である。好ましい可塑剤は、ポリアルコール、例えばグリセリンおよびソルビット、ポリエチレングリコールおよびその混合物である。特に好ましいのは、グリセリンである。
【0045】
可塑剤としては、炭化水素および炭化水素混合物、例えば白油、殊に変性された白油または液状パラフィンである。
【0046】
可塑剤は、通常、ガラス転移温度の望ましい低下の達成に十分である量で添加される。可塑剤の典型的な含量は、モノマーi)100質量部に対して可塑剤5〜50質量部、有利に8〜40質量部、殊に10〜30質量部である。
【0047】
本発明による複合剤は、とりわけ殊にマットレスおよびクッション中、例えば自動車の座席中の湿分調整のために好適である。
【0048】
本発明による複合材料を含有するクッションまたはマットレスは、相対空気湿度を心地よいように制御しかつ過度な発汗を阻止することにより、座り心地または横たわり心地を高めます。同時に、本発明による複合材料は、吸収された湿分を不使用の段階で最適に再び放出しかつ急速に再現することができる。本発明による複合材料は、前記の秤量される特性プロフィールのためにこれまでに達成されなかった座り心地または横たわり心地を可能にする。
【0049】
方法:
湿分吸収の測定
複合材料を23℃の温度および50%の相対空気湿度で60分間、平衡調節のための空調箱中に貯蔵する。引続き、相対空気湿度を90%に上昇させ、複合材料を30℃で90分間維持する(吸収段階)。その後に、相対空気湿度を40%に減少させ、試験体を40℃で100分間、維持する(脱着段階)。
【0050】
吸収/脱着による平衡変化を連続的に測定し、施こされた物質gに対する質量増加量として測定する(吸水性ポリマーおよび/または塩)。質量増加の基準点は、60分間の平衡調節後の質量である。
【0051】
実施例
実施例1
70g/m2の単位面積当たりの質量を有するフリース上にモノマー溶液を噴霧し、UV線により2分間、硬化させた。引続き、90℃で5分間向流乾燥機中で乾燥させた。
【0052】
このモノマー溶液は、37.5質量%のナトリウムアクリレート水溶液19599g(全モノマー溶液中のナトリウムアクリレート24.5質量%に相当する)、アクリル酸435g(8.5質量%)、架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート900g(400の平均分子量を有するポリエチレングリコールのジアクリレート)(3質量%)、開始剤としての2−ヒドロキシ−1−[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン66g(0.22質量%)、グリセリン1500g(5質量%)および25質量%の塩化ナトリウム水溶液7500g(NaCl6.25質量%)を含有していた。
【0053】
モノマー溶液の量を、重合された吸水性ポリマーでのポリエチレンテレフタレートフリースの負荷量が160g/m2であるように選択した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの平面状担持材料、
b)少なくとも1つの水溶性の吸湿剤および
c)薬剤b)の存在で担持材料a)上に重合された少なくとも1つの吸水性ポリマーを含む、
但し、吸湿剤b)とポリマーc)との質量比は、0.01〜1の範囲内にあるものとする、湿分を調整する複合材料において、ポリマーc)が付加的に可塑剤を含有することを特徴とする、湿分を調整する前記複合材料。
【請求項2】
担持材料a)が織物および/またはフリースである、請求項1記載の複合材料。
【請求項3】
相対湿度が吸湿剤b)の過飽和水溶液により平衡状態で20℃で少なくとも40%である、請求項1または2記載の複合材料。
【請求項4】
吸湿剤b)が無機塩である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項5】
ポリマーc)が酸基を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項6】
酸基が少なくとも25モル%中和されている、請求項5記載の複合材料。
【請求項7】
i)少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー、
ii)少なくとも1つの水溶性の吸湿剤、
iii)架橋剤、
iv)場合によってはi)に記載のモノマーと共重合可能な1つ以上のエチレン系不飽和モノマーおよび/またはアリル系不飽和モノマーおよび
v)場合によっては1つ以上の水溶性ポリマーを含有するモノマー溶液を担持材料上に施こしかつ重合する、但し、吸湿剤ii)とモノマーi)との質量比は、0.01〜1の範囲内にあるものとし、ことにより湿分を調整する複合材料を製造する方法において、モノマー溶液に付加的に可塑剤を添加することを特徴とする、湿分を調整する前記複合材料の製造法。
【請求項8】
モノマーi)は、酸基を含有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
酸基は少なくとも25モル%中和される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
相対湿度は、吸湿剤ii)の過飽和水溶液により平衡状態で20℃で少なくとも40%である、請求項7から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
吸湿剤ii)は、無機塩である、請求項7から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
担持材料は、織物および/またはフリースである、請求項7から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
湿分を調整するための請求項1から6までのいずれか1項に記載の複合材料の使用。
【請求項14】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の複合材料を含有するクッションまたはマットレス。

【公表番号】特表2009−506226(P2009−506226A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527430(P2008−527430)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065170
【国際公開番号】WO2007/023086
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】