説明

湿度調節装置及び湿度調節システム

【課題】地下二重壁空間の湿度を低く維持することができ、低コストかつメンテナンスフリーの湿度調節装置を提供する。
【解決手段】排水を上方から下方に流通させる流路内に設置する湿度調節装置10において、流路の上方に向けて開口し、排水が流れ込む導入部18aと、該導入部18aの下方に連なるとともに閉塞された底部11bを備え、前記導入部18aに流れ込んだ排水が貯水される収容部18cと、該収容部18bの内外を開閉可能に設けられ、収容部18bの水位が所定以上となった際にのみ排水の水圧により開放され、該排水を流路の下方側に流す開閉部18dとを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下二重壁間の空間において外壁からの漏水や内壁の結露水を排出して湿度を調節する湿度調節装置、並びに、この湿度調節装置を用いた地下二重壁空間内の湿度調節システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地下建造物においては、周辺の地層に含まれる地下水がコンクリート壁に浸透するため地下室は多湿となる。特に地下水位の高い地域等の場合は、コンクリート壁にアスファルト被覆やシート防水を施すか、防水薬液注入等の対策が講じられているが、なお完全に漏水を防ぐことはできない。
また、地層の温度は年間を通じて一定であるため、夏季の高温多湿な外気や空調による地下室の温度との差によって、壁面に結露水が生ずるという不具合があった。
【0003】
そこで、この結露水の発生を防止し漏水を除去するために、コンクリート壁の内側に内壁を設けて外壁と内壁との二重壁とし、これら外壁と内壁との間の地下二重壁空間の下方に設けた排水孔から漏水や結露水などをさらに地下の湧水槽へ排除するとともに、空間が持つ断熱効果によって地下室内の温度差から生ずる結露現象を減少させることが行なわれている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ここで、規模の大きい図書館や学校においては膨大な量の書物を収容するために地下書庫を有している場合があり、湿度や温度に影響を受け易い紙資料の性質上、地下書庫内の湿度と温度を保存に適した環境に維持する必要がある。そこで、この地下書庫の構造においても上記二重壁構造が採用されており、湿度と温度の適切な管理が行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−279618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のように地下書庫における地下二重壁空間内の漏水や結露水を排水孔を介して湧水槽へ排除する構成の場合、長時間経過すると湧水槽内の貯水が蒸発・上昇し、排水孔を介して地下二重壁空間内に逆流してしまう。これによって、地下二重壁空間内の湿度が極端に上昇すると、僅かな隙間を介して地下書庫内に湿度の高い空気が侵入したり内壁を水滴が浸透することにより、地下書庫内の書物が湿気で傷んでしまうという問題があった。
なお、二重壁空間内に空調を設置して湿度管理を行なう方法も考えられるが、地下の二重空間内という場所の性質上メンテナンスの観点からその設置は困難であるとともにコストが増加してしまいうため好ましくない。
【0007】
この発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、地下二重壁空間内の湿度を低く維持することができ、低コストかつメンテナンスフリーの湿度調節装置及びこれを用いた地下二重壁空間内の湿度調節システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る湿度調節装置は、排水を上方から下方に流通させる流路内に設置する湿度調節装置であって、前記流路の上方に向けて開口し、前記排水が流れ込む導入部と、該導入部の下方に連なるとともに、閉塞された底部を備え、前記導入部に流れ込んだ前記排水が貯水される収容部と、該収容部の内外を開閉可能に設けられて、該収容部の水位が所定以上となった際にのみ前記排水の水圧により開放され、該排水を前記流路の下方側に流す開閉部とを備えることを特徴としている。
【0009】
このような特徴の湿度調節装置によれば、流路の上方からの排水を流路の下方に流すことを可能としつつ、流路の下方で生じた水蒸気が流路上方に逆流するのを防止して、流路上方の湿度の上昇を防止することができる。
また、駆動源を有しておらず、収容部の貯水による水圧を利用して開閉部を開閉させる構成のため、製造コストが低く、またメンテナンスに手間がかかることもない。
【0010】
また、本発明に係る湿度調節装置においては、前記導入部と前記収容部との間に設けられ、前記導入部と前記収容部とを隔てる絞り部を備えることを特徴としている。
【0011】
収容部の水圧が所定未満で開閉部が閉塞状態とされている際には、該収容部に貯水された排水自体が蒸発して水蒸気が発生する。この点、本発明においては、絞り部でもって収容部の水蒸気が導入部及び流路上方に向かうのを妨げることができる。したがって、収容部の貯水の蒸発による流路の上方の湿度の上昇を抑制することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る湿度調節装置においては、前記導入部の開口周縁と前記流路の壁面との間を閉塞するシール部材が設けられていることを特徴としている。
【0013】
このような構成とすることにより、流路の上方及び下方が湿度調節装置によって気密に閉塞された状態となるため、流路の下方で発生した水蒸気が流路の上方に逆流するのをより確実に防止することができる。
【0014】
また、本発明に係る湿度調節装置において、前記開閉部は、前記収容部の内外を貫通する連通孔と、該連通孔を前記収容部の外側から閉塞するとともに、前記収容部に貯水された前記排水の水圧が及ぶ蓋部材と、前記排水の水圧に応じて前記蓋部材を開放状態に回動させる回動部とを備えることを特徴としている。
【0015】
このような構成とすることにより、収容部の水位が所定未満の状態においては、蓋部材が連通孔を閉塞して流路の下方の水蒸気が流路の上方に逆流するのを阻止しつつ、水位が所定以上となった場合には、蓋部材が内側から排水の水圧によって押圧されて回動し開放状態となり、排水を流路の下方に流すことができる。
【0016】
さらに、本発明に係る湿度調節装置においては、前記収容部の内部から外部へ向かっての前記連通孔の貫通方向が、水平方向から上方向までの間の範囲を向いていることを特徴としている。
【0017】
これにより、収容部の水位が低い状態においては、蓋部材が自重によって下方に回動して連通孔を閉塞した状態となる。したがって、流路の下方の水蒸気が流路の上方に逆流するのを確実に防止することができる。
【0018】
また、本発明に係る湿度調節装置においては、前記連通孔の下端が前記収容部の前記底部まで延びていることを特徴としている。
【0019】
このような構成とすることにより、収容部の貯水の水位による水圧を蓋部材に対して効率よく与えることができる。即ち、連通孔の下端が収容部の最下部まで延びていない場合に比べて、より低い水位でもって蓋部材を回動させることができるため、収容部の貯水量を常に少ない状態に維持することができ、該貯水による水蒸気の発生を抑制することができる。
【0020】
また、本発明に係る湿度調節装置は、排水を上方から下方に流通させる流路内に設置する湿度調節装置であって、上方が開放され下方が閉塞された有底円筒状をなす装置本体を備え、該装置本体の上部が、前記流路の上方に向けて開口して前記排水が流れ込む導入部とされ、前記装置本体の下部が、前記導入部に流れ込んで前記装置本体の底部に到った前記排水を貯水する収容部とされ、前記装置本体を外周側から径方向内側に向かって側面視くの字状に切り欠いて形成した切欠部を有し、該切欠部は、前記装置本体の外周側から該装置本体の径方向内側に向かうに従って漸次下方に向かって傾斜する第1傾斜板と、該第1傾斜板の下端から前記装置本体の外周側に向かって漸次下方に向かって傾斜する第2傾斜板とによって閉塞され、前記第2傾斜板をその板厚方向に貫通する連通孔が形成され、該連通孔を前記装置本体の外側から閉塞する蓋部材が設けられ、前記第2傾斜板の上方に、前記連通孔の貫通方向に直交する水平方向に沿った回転軸回りに前記蓋部材を回動させる回動部が設けられたことを特徴としている。
【0021】
このような特徴の湿度調節装置によれば、流路の上方からの排水を流路の下方に流すことを可能としつつ、流路の下方で生じた水蒸気が流路上方に逆流するのを防止して、流路上方の湿度の上昇を防止することができる。即ち、収容部の水位が低い状態においては、蓋部材により連通孔を閉塞して流路の下方の水蒸気が流路の上方に逆流するのを阻止しつつ、水位が所定以上となった場合には、蓋部材が内側から排水の水圧によって押圧されて回動し開放状態となり、排水を流路の下方に流すことができる。
【0022】
また、切欠部に設けらた第1傾斜板及び第2傾斜板によって収容部と導入部とが隔てられているため、収容部に貯水された排水が蒸発してその水蒸気が上昇する場合であっても、これら第1傾斜板及び第2傾斜板によって導入部への上昇が阻害される。したがって、収容部の貯水の蒸発による流路の上方の湿度の上昇を抑制することができる。
【0023】
さらに、収容部の水位が低い状態においては、蓋部材が自重によって該蓋部材が下方に回動して連通孔を閉塞した状態となるため、流路の下方の水蒸気が流路の上方に逆流するのを確実に防止することができる。
また、駆動源を有しておらず、収容部の貯水による水圧を利用して開閉部を開閉させる構成のため、低コスト化及び省メンテナンス化を図ることができる。
【0024】
また、本発明に係る湿度調節装置においては、前記流路が、地下室における内壁と外壁と間の地下二重壁空間と前記地下二重壁空間のさらに地下に設置された湧水槽との間を連通し、地下二重壁空間内の漏水及び結露水を湧水槽に導入する排水孔であることを特徴としている。
【0025】
このような特徴の湿度調節装置においては、地下二重壁空間と湧水槽との間の排水孔に設置することにより、地下二重壁空間の結露や漏水層を湧水槽に流し込むことを可能としつつ、湧水槽の貯水の蒸発による水蒸気が排水孔を介して地下二重壁空間に逆流するのを防止することができる。したがって、地下二重壁空間内の湿度を低く維持することが可能となる。
【0026】
本発明に係る湿度調節システムは、上記の湿度調節装置と、前記地下二重空間と、前記排水孔と、前記湧水槽とを備えることを特徴としている。
【0027】
このような特徴の湿度調節システムによれば、上記のような湿度調節装置を備えているため、地下二重壁空間内の湿度を低くすることができ、地下室内の湿度や温度を例えば紙資料の保存に適した環境に維持することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の湿度調節装置によれば、収容部の水位が所定以上となった際に水圧により開閉部が開放されて排水が流れる構成とすることで、流路の下方から上方に向かって水蒸気が逆流するのを防止して、流路の上方側の空間の湿度を低く抑えることができる。また、特別な駆動源を有していないため、低コスト化及び省メンテナンス化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】湿度調節装置を有する湿度調節システムの概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る湿度調節装置の側面図である。
【図3】第1実施形態に係る湿度調節装置の正面図である。
【図4】第1実施形態に係る湿度調節装置の平面図である。
【図5】第1実施形態に係る湿度調節装置の開閉部の開閉を説明する図である。
【図6】第2実施形態に係る湿度調節装置の側面図である。
【図7】第3実施形態に係る湿度調節装置の側面図である。
【図8】第4実施形態に係る湿度調節装置の側面図である。
【図9】第5実施形態に係る湿度調節装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の湿度調節システム及び湿度調節装置を実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態においては、湿度調節システムを図書館の地下書庫に適用した例について説明する。
【0031】
湿度調節システム100は、図1に示すように、書物や紙資料が保管された地下書庫Rの周壁となる内壁1と、該内壁1から所定距離離間して設置され地層Sと直接的に接触する外壁2と、内壁1と外壁2との間の空間である地下二重壁空間3と、該地下二重壁空間3の床面4の下方に設けられた湧水槽5と、床面4に形成され地下二重壁空間3と湧水槽5とを連通する排水孔(流路)6と、該排水孔6に設けられた湿度調節装置10とを有している。
【0032】
なお、本実施形態においては、上記地下二重壁空間3は、内壁1に連なる天井壁7の上方全域にも延びている。また、上記排水孔6は、鉛直方向に沿って形成されており、本実施形態においては、その水平面に沿った断面形状が円形とされている。さらに、上記湧水槽5には、排水孔6及び湿度調節装置10を介して流れ込んだ地下二重壁空間3内の漏水や結露水が貯水されている。
【0033】
第1実施形態の湿度調節装置10は、図2〜図4に示すように、装置本体11と、第1傾斜板12と、第2傾斜板13と、蓋部材14と、回動部材15と、本体支持部材16と、支持バー17とから概略構成されている。
【0034】
装置本体11は、鉛直方向に沿う軸線Oを中心とした有底円筒状の部材の一部を外周側から切り欠いた形状をなしている。
より詳細には、装置本体11は、一定の厚みを有するプラスチック製のパイプを所定の長さに切断して形成した円筒体11aと、該円筒体11aの下方端部が閉塞されて形成された底部11bとを備え、上記円筒体11aの外周側から側面視くの字状に切り欠くことによって切欠部11cが形成されている。なお、装置本体11の外径、即ち円筒体11aの直径は、上記地下二重壁空間3の床面4に形成された排水孔6の内径よりも小さく形成されており、これにより、湿度調節装置10が排水孔6に挿入可能とされている。
【0035】
この切欠部11cは、外周側から径方向内側に向かうに従って漸次下方に傾斜する平面によって切断されて、側面視くの字の上部の傾斜辺を構成する切断面である上部切欠面11dと、外周側から径方向内側に向かうに従って漸次上方に傾斜する平面によって切断されて、側面視くの字の下部の傾斜辺を構成する切断面である下部切欠面11eとから構成されており、該切欠部11cにより装置本体11の内外が連通状態とされている。
なお、上部切欠面11d及び下部切欠面11eの水平面に対する傾斜角度は、下部切欠面11eの方が上部切欠面11dよりも大きく形成されている。
【0036】
第1傾斜板12は、例えばプラスチック等から形成された板状の部材であって、上記切欠部11cのうち側面視くの字の上部の傾斜辺を閉塞するように、その外縁が上記上部切欠面11dに接触するようにして固定されている。これにより、第1傾斜板12は、上部切欠面11dと同様に上装置本体11の外側から径方向内側に向かうに従って漸次下方に向かって傾斜している。
また、このように固定された状態において、該第1傾斜板12の外縁部は、切欠部11cのくの字の屈曲部に位置する部分が水平方向に沿った直線状とされている。一方、該第1傾斜板12の外縁部のうち他の部分は、装置本体11の円筒体11aの外周面に沿った円弧状とされ、装置本体11の円筒体11aの外周面のなす円筒領域内に収まるように配置されている。
【0037】
第2傾斜板13は、上記第1傾斜板12と同じく、例えばプラスチック等から形成された板状の部材であって、切欠部11cのうち側面視くの字の下部の傾斜辺を閉塞するように、その外縁が下部切欠面11eに接触するようにして固定されている。これにより、第2傾斜板13は、下部切欠面11eと同様に上装置本体11の外側から径方向内側に向かうに従って漸次上方に向かって傾斜している。
また、このように固定された状態において、該第2傾斜板13の外縁部は、切欠部11cのくの字の屈曲部に位置する部分が、第1傾斜板12と同様に水平方向に沿った直線状とされ、第1傾斜板12の直線状の外縁部と隙間なく液密に固定されている。このようにして装置本体11の切欠部11cの内外が第1傾斜板12及び第2傾斜板13によって閉塞された状態となる。一方、該第2傾斜板13の外縁部のうち、上記直線状の部分以外のの部分は、装置本体11の円筒体11aの外周面に沿った円弧状とされ、装置本体11の円筒体11aの外周面のなす円筒領域内に収まるように配置されている。
【0038】
この第2傾斜板13には、その板厚方向、即ち、下部切欠面11eに沿った平面の法線方向に貫通する連通孔13aが形成されており、この連通孔13aは、装置本体11の内部から見て斜め上方を向いている。本実施形態においては、連通孔13aは、水平面に沿った平行な2辺と該2辺に対してそれぞれ垂直をなす二辺とで構成された矩形状をなしている。
【0039】
蓋部材14は、通常時において第2傾斜板13を閉塞する板状をなす部材であって、例えばシリコンゴム等の弾性材料からなる第1蓋材14aと、プラスチック等のある程度の剛性のある材質からなる第2蓋材14bとが積層接着されることにより構成されている。そして、この蓋部材14は、第1蓋材14aが連通孔13aを閉塞するともに第2蓋材14b側が装置本体11の外側を向くようにして配置されている。
【0040】
回動部材15は、上記蓋部材14を開閉可能とするヒンジであって、上記連通孔13aの貫通方向に直交する水平方向に沿って、即ち、上記第1傾斜板12と第2傾斜板13との直線状の接続箇所に沿って延びる回転軸15aを有している。そして、この回転軸15aには、該回転軸15aの延在方向に沿って延びる矩形状の第1板材15b及び第2板材15cがそれぞれ回動自在に取り付けられており、第1板材15bが第1傾斜板12に外側からねじ止めにより固定され、第2板材15cが蓋部材14の上端部に外側から接着により固定されている。このようにして、連通孔13a及び蓋部材14の上方に配置された回動部材15によって、蓋部材14が回転軸15a回りに回動可能に固定されているのである。
【0041】
本体支持部材16は、軸線Oを中心とした円筒状の部材であって、その軸線O方向の長さは装置本体11よりも十分に短く形成され、外径が地下二重壁空間3の床面4に形成された排水孔6よりも小さく形成され、内径が装置本体11の外径、即ち円筒体11aの外径と略同一に形成されている。また、本体支持部材16の内周側には、径方向内側に向かって突出して軸線Oを中心とした環状をなす環状リブ16aが形成されている。
また、この本体支持部材16の上端側には、軸線Oを挟んで互いに反対側に対向するように一対の延在部16b,16bが形成されている。また、この延在部16bには径方向に沿って貫通する挿通孔16cがそれぞれ形成されている。
【0042】
この本体支持部材16は、装置本体11の上方から該装置本体11に外嵌されて、に上記環状リブ16aが装置本体11の上端の開口縁部11fに当接する。これによって、本体支持部材16は、その下方に装置本体11が延びるようにして該装置本体11を支持している。
また、本体支持部材16の外周側には、例えばゴム等からなる軸線Oを中心とした環状のシール部材16dが設けられている。
【0043】
支持バー17は、金属製のバーであって、上記本体支持部材16の延在部16b,16bに形成された計2つの挿通孔16cを挿通するようにして本体支持部材16の直径に沿って配置されている。また、この支持バー17の両端部は屈曲されている。なお、支持バー17の屈曲した状態における両端部の距離は、排水孔6の直径よりも十分に大きなものとされている。
【0044】
以上のような構成からなる湿度調節装置10は、装置本体11の底部11b側から排水孔6内に挿入され、これにより、装置本体11及び本体支持部材16が排水孔6内に配置された状態となる。そして、湿度調節装置10の上部に配置された支持バー17の両端部が地下二重壁空間3の床面4上に載置され、これにより湿度調節装置10が排水孔6から落下せずに支持された状態となる。また、この際、シール部材16dが排水孔6の壁面に接触する。
【0045】
そして、このように配置された状態においては、装置本体11の上端開口側が地下二重壁空間3内の漏水や結露水等の排水が流れ込む導入部18aとされ、装置本体11の底部11b側が上記導入部18aに流れ込んだ排水が貯水される収容部18bとされる。
また、これら導入部18aと収容部18bとの間に位置し、装置本体11の切欠部11cに第1傾斜板12及び第2傾斜板13が配設されることによって、排水の流路が絞られる部分が、第導入部18aと収容部18bを隔てる絞り部18cとされている。
さらに、第2傾斜板13の連通孔13a、蓋部材14及び回動部材15で、収容部18bの内外を開閉可能とする開閉部18dとされている。
【0046】
次に、本実施形態に係る湿度調節装置10及び湿度調節システム100の作用について説明する。
図1に示すように、湿度調節システム100においては、内壁1と外壁2との二重壁構造として地下二重壁空間3を形成することで、該地下二重壁空間3の断熱効果によって地層Sと地下書庫Rとの温度差から生じる結露現象が減少させられる。また、地下二重壁空間3に生じた結露水や漏水は床面4に滴下し、排水孔6を流下して湧水槽5に導かれる。
【0047】
この結露水や漏水等の排水は、排水孔6を流下する際に湿度調節装置10を通過することになる。排水孔6に到達した排水は、まず、湿度調節装置10の導入部18aに流れ込み、重力に従って下方に流れ、絞り部18cを通過して収容部18bに移動する。この収容部18bにおいては、底部11bにより下方が閉塞されているため、図5(a)に示すように、収容部18bに到った排水が順次貯水されることになる。
【0048】
このように収容部18bに排水が貯水された状態においては、該収容部18bの開口、即ち、第2傾斜板13の連通孔13aを閉塞する蓋部材14に水圧Fが及ぶことになる。この水圧Fは、連通孔13aの下端からの水位に比例して大きくなる。
ここで、開閉部18dを構成する蓋部材14は、回動部材15により回動自在とされており、通常時は自重によって下方に回動した状態にあり連通孔13aを閉塞している。ところが、排水の貯水量が多くなり蓋部材14に及ぶ水圧Fが該蓋部材14の自重により下方へ回動する力を超えると、蓋部材14が上方に向かって回動することになる。このようにして水位が所定以上となった際にのみ、図5(b)に示すように、開閉部18dとしての蓋部材14が開放状態となることで収容部18bの内外が連通状態となり、該収容部18b内の排水が外部に放出されるのである。
【0049】
そして、排水が収容部18bの外部に排出されて収容部18bの水位が低くなると、蓋部材14に及ぶ水圧が小さくなるため、蓋部材14は再び自重によって下方に向かって回動し、連通孔13aを閉塞する。
【0050】
以上のようにして、本実施形態の湿度調節装置10によれば、収容部18bの水位が所定以上となった際に通常時は閉塞状態とされている開閉部18dが開放状態となることにより、排水孔6の上方からの排水を排水孔6の下方の湧水槽5に流すことを可能となる。また、収容部18bの水位が所定未満の場合には開閉部18dが閉塞状態にあるため、湧水槽5で生じた水蒸気が排水孔6上方に逆流するのを防止して、排水孔6の上方の空間である地下二重壁空間3の湿度の上昇を防止することができる。
また、動力を有する駆動源を有しておらず、収容部18bの貯水による水圧を利用して開閉部18dを開閉させる構成のため、製造コストが低く、またメンテナンスに手間がかかることもない。
【0051】
さらに、装置本体11をくの字に切り欠いた切欠部11cを閉塞することにより、導入部18a及び収容部18bを隔てる絞り部18cが形成されているため、収容部18bに貯水されている排水が蒸発して水蒸気が発生した際であっても、該絞り部18cでもって収容部18bの水蒸気が導入部18aに逆流するのを妨げることができる。したがって、収容部18bの貯水の蒸発による地下二重壁空間3の湿度の上昇を抑制することができる。
【0052】
なお、このように装置本体11を切り欠いて形成した切欠部11cに開閉部18dを設けたことにより、装置本体11の円筒体11aの外周面のなす円筒領域内に開閉部18dが収まるため、開閉部18dの存在が湿度調節装置10を排水孔6に取り付ける際の妨げることはない。
【0053】
また、湿度調節装置10を排水孔6に設置した状態においては、シール部材16dが排水孔6の壁面に接触して、湿度調節装置10と排水孔6とのクリアランスを覆って、地下二重壁空間3と湧水槽5を気密に閉塞した状態となるため、湧水槽5で生じた水蒸気が地下二重壁空間3に逆流するのをより確実に防止することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、連通孔13aが、収容部18bの内部から見て斜め上方を向いており、これにより、該連通孔13aを収容部18bの外側から閉塞する蓋部材14が自重による下方に回動する力によって連通孔13aを閉塞した状態とすることができる。したがって、収容部18bの水位の低い状態において、湧水槽5の水蒸気が地下二重壁空間3に逆流するのを確実に防止することができる。
【0055】
また、蓋部材14の重量を適宜変更することにより、収容部18bが任意の水位に達した際に開閉部18dを開放状態とすることができるため、収容部18bの貯水の量を容易に調整することが可能となる。
【0056】
さらに、蓋部材14における通孔孔13aを直接的に閉塞する第1蓋材14aがシリコンゴム等の弾性材料からなるため、連通孔13aを気密液密に閉塞して、湧水槽5の水蒸気が地下二重壁空間3に逆流するのを、より一層確実に防止することができる。
【0057】
そして、このような湿度調節装置10を用いた湿度調節システム100によれば、地下二重壁空間3内の湿度を低くすることができ、地下書庫の湿度や温度を例えば紙資料の保存に適した環境に維持することができる。
【0058】
次に、第2実施形態の湿度調節装置20について図6を用いて説明する。なお、図6においては図2と同様の構成要素には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
第2実施形態の湿度調節装置10は、図6に示すように、装置本体21と、第1傾斜板12と、第2傾斜板23と、蓋部材14と、回動部材15と、本体支持部材16と、支持バー17とから概略構成されている。
【0059】
第2実施形態の装置本体21は、鉛直方向に沿う軸線Oを中心とした有底円筒状の部材の一部を外周側から切り欠いた形状をなしている。
より詳細には、装置本体21は、一定の厚みを有するプラスチック製のパイプを所定の長さに切断して形成した円筒体21aと、該円筒体21aの下方端部が閉塞されて形成された底部21bとを備え、上記円筒体21aの外周側から底部11bにかけて側面視くの字状に切り欠くことによって切欠部21cが形成されている。なお、装置本体21の外径、即ち円筒体21aの直径は、上記地下二重壁空間3の床面4に形成された排水孔6の内径よりも小さく形成されており、これにより、装置本体21が排水孔6に挿入可能とされている。
【0060】
この切欠部21cは、外周側から径方向内側に向かうに従って漸次下方に傾斜する平面によって切断されて、側面視くの字の上部の傾斜辺を構成する切断面である上部切欠面21dと、底部21bの外周側から径方向内側に向かうに従って漸次上方に傾斜する平面によって切断されて、側面視くの字の下部の傾斜辺を構成する切断面である下部切欠面21eとから構成されており、該切欠部21cにより装置本体21の内外が連通状態とされている。
なお、上部切欠面21d及び下部切欠面21eの水平面に対する傾斜角度は、下部切欠面21eの方が上部切欠面よりも大きく形成されている。
【0061】
第2傾斜板23は、例えばプラスチック等から形成された板状の部材であって、切欠部21cのうち側面視くの字の下部の傾斜辺を閉塞するように、その外縁が下部切欠面21eに接触するようにして固定されている。これにより、第2傾斜板23は、下部切欠面21eと同様に、上装置本体11の外側から径方向内側に向かうに従って漸次下方に向かって傾斜している。
【0062】
また、このように固定された状態において、該第2傾斜板23の外縁部は、切欠部21cのくの字の屈曲部に位置する部分が、水平方向に沿った直線状とされ、第1傾斜板12の直線状の外縁部と隙間なく液密に固定されている。このようにして装置本体11の切欠部21cの内外が第1傾斜板12及び第2傾斜板23によって閉塞された状態となる。一方、該第2傾斜板23の外縁部のうち、径方向外側に位置する部分は、水平方向に沿った直線状をなして円筒体21aの外周面よりも径方向内側において底部21bに接触しており、その他の部分は、装置本体21の円筒体21aの外周面に沿った円弧状とされ、装置本体21の円筒体21aの外周面のなす円筒領域内に収まるように配置されている。
【0063】
この第2傾斜板23には、その板厚方向、即ち、下部切欠面21eに沿った平面の法線方向に貫通する連通孔23aが形成されており、この連通孔23aは、装置本体21の内部から見て斜め上方を向いている。本実施形態の連通孔23aは、第2傾斜板23下端部が切り欠かれることにより、第2傾斜板23の略中央部から装置本体21の底部21bまで延びるように形成されている。
【0064】
この第2実施形態の湿度調節装置20においては、第1実施形態の湿度調節装置10に比べて、少ない貯水量でもって開閉部18dを開放状態とすることができる。即ち、蓋部材14に及ぶ水圧は、該蓋部材14の下端部からの水位により決定されるが、本実施形態の湿度調節装置20では、連通孔23aが装置本体21の底部21bまで延びているため、排水が収容部18bに貯水されると蓋部材14に対して即座に水圧を及ぼすことができる。
【0065】
つまり、収容部18bの貯水の水位による水圧を蓋部材14に対して効率よく与えることができるため、より低い水位でもって蓋部材14を回動させることができる。したがって、収容部18bの貯水量を常に少ない状態に維持することができ、該貯水による水蒸気の発生を抑制し、地下二重壁空間3内の湿度をより効果的に抑制することができる。
【0066】
次に、第3実施形態の湿度調節装置30について図7を用いて説明する。なお、図7においては図2と同様の構成要素には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
第2実施形態の湿度調節装置10は、図6に示すように、装置本体31と、水平板32と、鉛直板33と、蓋部材14と、回動部材15と、本体支持部材16と、支持バー17とから概略構成されている。
【0067】
第3実施形態の装置本体31は、鉛直方向に沿う軸線Oを中心とした有底円筒状の部材の一部を外周側から切り欠いた形状をなしている。
より詳細には、装置本体31は、一定の厚みを有するプラスチック製のパイプを所定の長さに切断して形成した円筒体31aと、該円筒体31aの下方端部が閉塞されて形成された底部31bとを備え、上記円筒体21aの外周側から底部21bにかけて水平方向及び鉛直方向に沿って逆L字状に切り欠くことによって切欠部31cが形成されている。なお、装置本体31の外径、即ち円筒体31aの直径は、上記地下二重壁空間3の床面4に形成された排水孔6の内径よりも小さく形成されており、これにより、装置本体31が排水孔6に挿入可能とされている。
【0068】
この切欠部31cは、外周側から水平方向に沿って平面によって切断されて、側面視逆L字の上部の短辺を構成する切断面である水平切欠面31dと、底部31bから鉛直方向に延びる平面よって切断されて、側面視逆L字の上下に延びる長辺を構成する切断面である鉛直切欠面31eとから構成されており、該切欠部31cにより装置本体31の内外が連通状態とされている。
【0069】
水平板32は、例えばプラスチック等から形成された板状の部材であって、その外縁が水平切欠面31dに接触するようにして水平面に沿って固定されている。また鉛直板33は、例えばプラスチック等から形成された板状の部材であって、その外縁が鉛直切欠面31eに接触するようにして固定されている。このようにして、水平板32及び鉛直板33によって切欠部31cが閉塞されている。
【0070】
また、鉛直板33にはその中央に矩形の連通孔33aが形成されており、該連通孔33aを閉塞するようにして、第1実施形態と同様の蓋部材14が、水平板32に取り付けられた回動部材15を介して設けられている。なお、この連通孔33aは、収容部18bの内部から見て水平方向を向くように形成されている。したがって、連通孔33aが閉塞状態とされた通常時においては、蓋部材14は鉛直方向に沿って配置されることになる。
【0071】
この第3実施形態の湿度調節装置30においても、収容部18bの水位が所定未満の場合には、蓋部材14が下方に向かって回動して連通孔33aを閉塞した状態とされている。そして、収容部18bに貯水されることにより水位が上昇した際には、蓋部材14に水圧が及び、開閉部18dが開放状態とされる。したがって、排水を下方に流すことを可能としつつも、湧水槽5で生じた水蒸気が排水孔6上方に逆流するのを防止して、排水孔6の上方の空間である地下二重壁空間3の湿度の上昇を防止することができる。
【0072】
次に、第4実施形態の湿度調節装置40について図8を用いて説明する。なお、図8においては図2と同様の構成要素には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
第4実施形態の湿度調節装置40は、図8に示すように、装置本体41と、L字板42と、水平板43と、蓋部材14と、回動部材15と、本体支持部材16と、支持バー17とから概略構成されている。
【0073】
第4実施形態の装置本体41は、鉛直方向に沿う軸線Oを中心とした有底円筒状の部材の一部を外周側から切り欠いた形状をなしている。
より詳細には、装置本体41は、一定の厚みを有するプラスチック製のパイプを所定の長さに切断して形成した円筒体41aと、該円筒体41aの下方端部が閉塞されて形成された底部21bとを備え、上記円筒体41aの外周側から側面視略コの字状に切り欠くことによって切欠部41cが形成されている。なお、装置本体41の外径、即ち円筒体41aの直径は、上記地下二重壁空間3の床面4に形成された排水孔6の内径よりも小さく形成されており、これにより、装置本体41が排水孔6に挿入可能とされている。
【0074】
この切欠部41cは、側面視逆L字状を構成する切断面であるL字切欠面41dと、外周側から水平面よって切断されてL字切欠面41dの下端部に接続する切断面である水平切欠面41eとから構成されており、該切欠部41cにより装置本体41の内外が連通状態とされている。
【0075】
L字板42は、例えばプラスチック等から形成された板状の部材であって、その外縁がL字切欠面41dに接触するように構成されている。また水平板43は、例えばプラスチック等から形成された板状の部材であって、その外縁が水平切欠面31dに接触するようにして固定されている。このようにして、L字板42及び水平板43によって切欠部41cが閉塞されている。
【0076】
また、水平板43にはその中央に矩形の連通孔43aが形成されており、該連通孔43aを閉塞するようにして、第1実施形態と同様の蓋部材14が、L字板42に取り付けられた回動部材15を介して設けられている。なお、この連通孔43aは、収容部18bの内部から見て上方向を向くように形成されている。したがって、連通孔43aが閉塞状態とされた通常時においては、蓋部材14は水平方向に沿って配置されることになる。
【0077】
この第4実施形態の湿度調節装置40においても、収容部18bの水位が所定未満の場合には、開閉部18dとしての蓋部材14が連通孔43aを閉塞した状態とされている。そして、収容部18bに貯水されることにより水位が上昇した際には、蓋部材14に水圧が及び、開閉部18dが開放状態とされる。したがって、排水を下方に流すことを可能としつつも、湧水槽5で生じた水蒸気が排水孔6上方に逆流するのを防止して、排水孔6の上方の空間である地下二重壁空間3の湿度の上昇を防止することができる。
【0078】
次に、第5実施形態の湿度調節装置50について図9を用いて説明する。なお、図9においては図2と同様の構成要素には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
第5実施形態の湿度調節装置50は、図9に示すように、装置本体51と、蓋部材14と、回動部材15と、本体支持部材16と、支持バー17とから概略構成されている。
【0079】
第5実施形態の装置本体51は、鉛直方向に沿う軸線Oを中心とした略有底円筒状をなしている。
より詳細には、装置本体51は、一定の厚みを有するプラスチック製のパイプの下端側を軸線Oに対して斜めに切断して形成した円筒体51aと、該円筒体51aの傾斜する下端部を該傾斜に沿って閉塞する傾斜底部51bとを備えている。
また、装置本体51には、傾斜底部51bから見て水平方向に当たる円筒体51aの外周面が貫通されることにより連通孔53aが形成されている。
【0080】
そして、この連通孔53aを閉塞するようにして、第1実施形態と同様の蓋部材14が、円筒体51aの外周面に固定された回動部材15を介して設けられている。
【0081】
この第5実施形態の湿度調節装置50においても、下方が傾斜底部51bによって閉塞されて排水が貯水される収容部18bの水位が所定未満の場合には、蓋部材14が下方に向かって回動して連通孔53aを閉塞した状態とされている。そして、収容部18bに貯水されることにより水位が上昇した際には、蓋部材14に水圧が及び、開閉部18dが開放状態とされる。したがって、排水を下方に流すことを可能としつつも、湧水槽5で生じた水蒸気が排水孔6上方に逆流するのを防止して、排水孔6の上方の空間である地下二重壁空間3の湿度の上昇を防止することができる。
【0082】
また、第2実施形態と同様に、連通孔53aが装置本体11の最下方に位置する傾斜底部51bまで延びているため、収容部18bの貯水の水位による水圧を蓋部材14に対して効率よく与えることができ、より低い水位でもって蓋部材14を回動させることができる。したがって、収容部18bの貯水量を常に少ない状態に維持することができ、該貯水による水蒸気の発生を抑制し、地下二重壁空間3内の湿度をより効果的に抑制することができる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、開閉部18dの回動部材15に、蓋部材14の回動を付勢するコイルバネ等の弾性部材が設けられていてもよい。これにより蓋部材14を、連通孔13a,23a,33a,43a,53aを閉塞する方向あるいは開放する方向に付勢することにより、任意の水圧でもって開閉部18dが開放状態となるように調整することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 内壁
2 外壁
3 地下二重壁空間
4 床面
5 湧水槽
6 排水孔
7 天井壁
10 湿度調節装置
11 装置本体
11a 円筒体
11b 底部
11c 切欠部
11d 上部切欠面
11e 下部切欠面
12 第1傾斜板
13 第2傾斜板
13a 連通孔
14 蓋部材
15 回動部材
16d シール部材
18a 導入部
18b 収容部
18c 絞り部
18d 開閉部
20 湿度調節装置
21 装置本体
21a 円筒体
21b 底部
21c 切欠部
21d 上部切欠面
21e 下部切欠面
23 第2傾斜板
23a 連通孔
30 湿度調節装置
31 装置本体
31a 円筒体
31b 底部
31c 切欠部
31d 水平切欠面
31e 鉛直切欠面
32 水平板
33 鉛直板
33a 連通孔
40 湿度調節装置
41 装置本体
41a 円筒体
41b 底部
41c 切欠部
41d L字切欠面
41e 水平切欠面
42 L字板
43 水平板
43a 連通孔
50 湿度調節装置
51 装置本体
51a 円筒体
51b 傾斜底部(底部)
53a 連通孔
100 湿度調節システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水を上方から下方に流通させる流路内に設置する湿度調節装置であって、
前記流路の上方に向けて開口し、前記排水が流れ込む導入部と、
該導入部の下方に連なるとともに、閉塞された底部を備え、前記導入部に流れ込んだ前記排水が貯水される収容部と、
該収容部の内外を開閉可能に設けられて、該収容部の水位が所定以上となった際にのみ前記排水の水圧により開放され、該排水を前記流路の下方側に流す開閉部とを備えることを特徴とする湿度調節装置。
【請求項2】
前記導入部と前記収容部との間に設けられ、前記導入部と前記収容部とを隔てる絞り部を備えることを特徴とする請求項1に記載の湿度調節装置。
【請求項3】
前記導入部の開口縁部と前記流路の壁面との間を閉塞するシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の湿度調節装置。
【請求項4】
前記開閉部は、
前記収容部の内外を貫通する連通孔と、
該連通孔を前記収容部の外側から閉塞するとともに、前記収容部に貯水された前記排水の水圧が及ぶ蓋部材と、
前記排水の水圧に応じて前記蓋部材を開放状態に回動させる回動部とを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の湿度調節装置。
【請求項5】
前記収容部の内側から外側へ向かっての前記連通孔の貫通方向が、水平方向から上方向までの間の範囲を向いていることを特徴とする請求項4に記載の湿度調節装置。
【請求項6】
前記連通孔の下端が前記収容部の前記底部まで延びていることを特徴とする請求項4又は5に記載の湿度調節装置。
【請求項7】
排水を上方から下方に流通させる流路内に設置する湿度調節装置であって、
上方が開放され下方が閉塞された有底円筒状をなす装置本体を備え、
該装置本体の上部が、前記流路の上方に向けて開口して前記排水が流れ込む導入部とされ、
前記装置本体の下部が、前記導入部に流れ込んで前記装置本体の底部に到った前記排水を貯水する収容部とされ、
前記装置本体を外周側から径方向内側に向かって側面視くの字状に切り欠いて形成した切欠部を有し、
該切欠部は、前記装置本体の外周側から該装置本体の径方向内側に向かうに従って漸次下方に向かって傾斜する第1傾斜板と、該第1傾斜板の下端から前記装置本体の外周側に向かって漸次下方に向かって傾斜する第2傾斜板とによって閉塞され、
前記第2傾斜板をその板厚方向に貫通する連通孔が形成され、
該連通孔を前記装置本体の外側から閉塞する蓋部材が設けられ、
前記第2傾斜板の上方に、前記連通孔の貫通方向に直交する水平方向に沿った回転軸回りに前記蓋部材を回動させる回動部が設けられたことを特徴とする湿度調節装置。
【請求項8】
前記流路が、地下室における内壁と外壁と間の地下二重壁空間と、前記地下二重壁空間のさらに地下に設置された湧水槽との間を連通し、地下二重壁空間内の漏水及び結露水を湧水槽に導入する排水孔であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の湿度調節装置。
【請求項9】
請求項8に記載の湿度調節装置と、前記地下二重空間と、前記排水孔と、前記湧水槽とを備えることを特徴とする湿度調節システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−203626(P2010−203626A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46552(P2009−46552)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000101938)イカリ消毒株式会社 (33)
【Fターム(参考)】