説明

湿潤原料供給装置および流動層乾燥設備

【課題】流動層乾燥装置に安定して湿潤原料を供給することができる湿潤原料供給装置および流動層乾燥設備を提供する。
【解決手段】流動層乾燥装置に乾燥対象の湿潤原料を供給する湿潤原料供給装置またはそれを有する流動層乾燥設備であって、鉛直方向上側から下側に向かって内側の面積が小さくなる形状であり、下側の端部に流動層乾燥装置と連通する開口が形成され、湿潤原料を貯留する貯留部と、下側の端部が開口に露出して貯留部の内部に配置され、貯留部に貯留された湿潤原料を開口から前記流動層乾燥装置に供給する搬送機構と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、褐炭等の湿潤原料を流動層乾燥装置に搬送する湿潤原料供給装置およびこれを有し、供給された湿潤原料を流動させながら乾燥させる流動層乾燥設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、石炭ガス化複合発電設備は、石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電と組み合わせることにより、従来型の石炭火力に比べてさらなる高効率化・高環境性を目指した発電設備である。この石炭ガス化複合発電設備は、資源量が豊富な石炭を利用可能であることも大きなメリットであり、適用炭種を拡大できることも知られている。
【0003】
このような石炭ガス化複合発電設備は、褐炭(湿潤原料)を燃料として用いた場合、ガス化炉内に持ち込まれる水分量が多く、この水分の蒸発潜熱のためガス化炉内温度が低下することで発電効率が低下してしまうため、流動層乾燥装置が設けられ、この流動層乾燥装置により石炭を乾燥して水分を除去してから粉砕して石炭ガス化炉に供給する必要がある。
【0004】
従来、このような褐炭等の湿潤原料を乾燥する流動層乾燥装置は、底部が多数の開孔を有する通気可能な分散板を設けた乾燥室と、乾燥室下部に位置するチャンバ室とを備えている。すなわち、この流動層乾燥装置は、流動化ガス(乾燥用気体)を風箱から多孔板を介して乾燥室に供給することによって被乾燥物を流動させつつ乾燥させている(特許文献1)。
【0005】
流動層乾燥装置に褐炭を供給する装置としては、内部に褐炭を貯留し、下部に開閉可能な機構を設けた供給ホッパがある。供給ホッパは、開閉可能な機構を開状態とし、内部に貯留した褐炭を自由落下させることで流動層乾燥装置に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−89243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、流動層乾燥装置に供給する材料は水分を多く含んだ湿潤原料である。そのため、供給ホッパでは、内壁に付着し、堆積することで、ブリッジが形成される恐れがある。供給ホッパの内部にブリッジが形成されてしまうと、褐炭の供給量が変化してしまい流動層乾燥装置への供給量が不均一となる。
【0008】
そこで、本発明は、流動層乾燥装置に安定して湿潤原料を供給することができる湿潤原料供給装置および流動層乾燥設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、流動層乾燥装置に乾燥対象の湿潤原料を供給する湿潤原料供給装置であって、鉛直方向上側から下側に向かって内側の面積が小さくなる形状であり、下側の端部に前記流動層乾燥装置と連通する開口が形成され、前記湿潤原料を貯留する貯留部と、下側の端部が前記開口に露出して前記貯留部の内部に配置され、前記貯留部に貯留された前記湿潤原料を前記開口から前記流動層乾燥装置に供給する搬送機構と、を有することを特徴とする。
【0010】
上記構成の湿潤原料供給装置は、貯留部内に貯留された湿潤原料にブリッジが形成されたり湿潤原料が詰まったりすることを抑制でき、湿潤原料を流動層乾燥装置に安定して供給することができる。
【0011】
ここで、前記搬送機構は、前記貯留部の内壁に沿って配置されたスクリューフィーダであることが好ましい。これにより、湿潤原料を好適に搬送することができる。
【0012】
前記貯留部の容器の中心を回転軸として、前記搬送機構と前記貯留部とを相対的に回転させる回転機構をさらに有することが好ましい。これにより、貯留部内に貯留された湿潤原料にブリッジが形成されたり湿潤原料が詰まったりすることをより好適に抑制できる。
【0013】
前記回転機構は、前記搬送機構を回転させることが好ましい。これにより、湿潤原料を流動層乾燥装置に分散して投入することができる。
【0014】
前記回転機構は、前記貯留部の前記開口に配置され、前記搬送機構と連結する回転部材を備え、前記貯留部の容器の中心を回転軸として前記回転部材を回転させることで、前記搬送機構を回転させることが好ましい。これにより、搬送機構を好適に回転させることができる。
【0015】
前記搬送機構は、下側の端部が、前記開口よりも下側に突出していることが好ましい。これにより、湿潤原料をより確実に流動層乾燥装置に分散して投入することができる。
【0016】
本発明の流動層乾燥設備は、上記のいずれかに記載の湿潤原料供給装置と、前記湿潤原料供給装置から供給された前記湿潤原料を乾燥可能な流動層乾燥装置と、を備えることを特徴とする。
【0017】
上記構成の流動層乾燥設備は、湿潤原料を流動層乾燥装置に安定して供給することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の湿潤原料供給装置および流動層乾燥設備によれば、湿潤原料を流動層乾燥装置に安定して供給することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本実施形態の流動層乾燥設備を適用した石炭ガス化複合発電システムの一実施形態を示す概略図である。
【図2】図2は、図1に示す湿潤原料供給装置を備える流動層乾燥設備の一実施形態を示す概略図である。
【図3】図3は、図2に示す湿潤原料供給装置の一実施形態を示す概略図である。
【図4】図4は、図3に示す湿潤原料供給装置の上面図である。
【図5】図5は、湿潤原料供給装置の他の実施形態を示す概略図である。
【図6】図6は、湿潤原料供給装置の他の実施形態を示す概略図である。
【図7】図7は、図6に示す湿潤原料供給装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための形態(以下、実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。本実施形態では、本発明に係る流動層乾燥設備を石炭ガス化複合発電システムに適用した例を説明するが、本発明の適用対象は石炭ガス化複合発電システムに限定されるものではない。例えば、流動層乾燥設備で乾燥した製品炭を用いた発電システムとして流動層乾燥設備で乾燥した製品炭をボイラ火炉に供給し、当該ボイラ火炉で発生した蒸気で蒸気タービンを駆動して発電機により出力を得る石炭焚きボイラによる発電システムに用いることもできる。また、本発明を石炭ガス化複合発電システムに適用する場合でも、その方式は問わない。また、本実施形態では、湿潤原料(被乾燥物)として褐炭を用いる場合で説明するが、水分含有量の高いものであればよく、亜瀝青炭等を含む低品位炭や、スラッジ等を用いることもできる。
【0021】
図1は、本実施形態の流動層乾燥設備を適用した石炭ガス化複合発電システムの一例を示す概略図である。図2は、図1に示す湿潤原料供給装置を備える流動層乾燥設備の一例を示す概略図である。
【0022】
図1に示すように、石炭ガス化複合発電(Integrated Coal Gasification Combined Cycle:IGCC)システム10は、燃料である褐炭132を乾燥させて製品炭140とする流動層乾燥設備100と、製品炭140を粉砕して微粉炭40とするミル210と、微粉炭40を処理してガス化ガス42に変換する石炭ガス化炉13と、前記ガス化ガス42を燃料として運転されるガスタービン(GT)14と、ガスタービン14からのタービン排ガス46を導入する排熱回収ボイラ(Heat Recovery Steam Generator:HRSG)16と、排熱回収ボイラ16で生成した蒸気48により運転される蒸気タービン(ST)18と、ガスタービン14および/または蒸気タービン18と連結された発電機(G)19と、を備える。また、石炭ガス化複合発電システム10は、蒸気タービン18から排出された蒸気を凝縮し排熱回収ボイラ16に戻す復水器34と、ガスタービン14と連結されガスタービン14と共に回転し、空気54を圧縮する圧縮機36と、空気を窒素(N)と酸素(O)とに分離し、分離した酸素を圧縮機36で圧縮された空気が流れる配管に供給し、窒素をミル20から石炭ガス化炉13に搬送される微粉炭40の搬送経路に供給する空気分離装置(ASU)38と、を備える。なお、圧縮機36が圧縮した空気54は、石炭ガス化炉13と燃焼器26とに供給される。
【0023】
この石炭ガス化複合発電システム10は、流動層乾燥設備100で褐炭132を乾燥させて製品炭140を生成し、この製品炭140をミル20で粉砕した微粉炭40を石炭ガス化炉13でガス化し、生成ガスであるガス化ガス42を得る。石炭ガス化複合発電システム10は、ガス化ガス42をサイクロン22およびガス精製装置24で除塵およびガス精製した後、発電手段であるガスタービン14の燃焼器26に供給し、ここで燃焼して高温・高圧の燃焼ガス50を生成する。そして、石炭ガス化複合発電システム10は、この燃焼ガス50によってガスタービン14を駆動する。石炭ガス化複合発電システム10は、ガスタービン14が発電機19と連結されており、ガスタービン14を駆動することによって発電機19で電力を発生させる。ここで、ガスタービン14を駆動した後のタービン排ガス46は、まだ約500〜600℃の温度を持っている。石炭ガス化複合発電システム10は、タービン排ガス46を排熱回収ボイラ(HRSG)16に送り、排熱回収ボイラ(HRSG)16でタービン排ガス46の熱エネルギーを回収する。石炭ガス化複合発電システム10は、排熱回収ボイラ(HRSG)16で、タービン排ガス46から回収した熱エネルギーによって蒸気48を生成し、この蒸気48によって蒸気タービン18を駆動する。石炭ガス化複合発電システム10は、排熱回収ボイラ(HRSG)16でタービン排ガス46から熱エネルギーを回収したガスである排ガス52から、ガス浄化装置30でNOxおよびSOx分を除去した後、煙突32を介して大気中へ放出する。
【0024】
以下、図2を用いて、流動層乾燥設備100について説明する。図2に示すように、流動層乾燥設備100は、被乾燥物として湿潤原料の1つである水分含量が高い褐炭132を供給する湿潤原料供給装置101と、供給された褐炭132を乾燥させる流動層乾燥装置102と、流動層乾燥装置102から排出される発生蒸気134中の粉塵を除去する集塵装置105と、流動層乾燥装置102から抜き出された乾燥褐炭138を冷却して製品炭140とする冷却器110と、集塵装置105の下流側に介装され、発生蒸気134の熱を回収する熱回収システム111と、熱回収システム111で熱を回収された発生蒸気134を処理して排水142として排出する水処理部112と、集塵装置105から排出された発生蒸気134の一部を流動化蒸気136として流動層乾燥装置102に供給する循環装置114と、を備える。
【0025】
また、流動層乾燥設備100は、各部を接続する配管として、褐炭132を乾燥させる際に発生する発生蒸気134を流動層乾燥装置102の外部に排出し集塵装置105に案内する発生蒸気ラインLと、集塵装置105から粉塵が除去された発生蒸気134の一部を流動化蒸気(流動化ガス)136として流動層乾燥装置102内に供給するラインLと、集塵装置105で集塵された固形成分144を乾燥褐炭138が排出される配管に供給する分離ラインLと、乾燥褐炭138および固形成分144を冷却器110で冷却して生成した製品炭140を排出する製品ラインLと、を備える。
【0026】
湿潤原料供給装置101は、流動層乾燥装置102内に褐炭132を投入する。湿潤原料供給装置101については後述する。
【0027】
流動層乾燥装置102は、内部に褐炭132が投入される乾燥容器120と、乾燥容器120内部に設けられたガス分散板121とが設けられている。乾燥容器120は、ガス分散板121によって内部の空間が、鉛直方向下方側(図示下側)に位置するチャンバ室125と、鉛直方向上方側(図示上側)に位置する乾燥室126とに区分けされている。チャンバ室125には、ラインLから流動化蒸気136が導入され、また、ガス分散板121には、多数の貫通孔121aが形成されている。乾燥室126は、鉛直方向上側の面に湿潤原料供給装置101と発生蒸気ラインLとがそれぞれ連結されており、側面(湿潤原料供給装置101から遠い側面)に乾燥褐炭138を冷却器110に排出する配管と連結されている。
【0028】
流動層乾燥装置102は、湿潤原料供給装置101により褐炭132が乾燥容器120の乾燥室126内に投入され、チャンバ室125に流動化蒸気136が導入される。チャンバ室125内に導入された流動化蒸気136は、ガス分散板121の貫通孔121aを通過して乾燥室126内に流入する。乾燥室126内に流入した流動化蒸気136は、乾燥室126内に投入された褐炭132を吹き上げ、流動させる。これにより、流動層乾燥装置102は、乾燥室126内に、褐炭132が流動する流動層141が形成される。つまり、流動層乾燥装置102は、乾燥室126の鉛直方向下方側の部分に流動層141が形成され、鉛直方向上方側の部分にフリーボード部Fが形成される。このフリーボード部Fは、流動層141の褐炭132が乾燥されることにより発生蒸気134が発生する領域となる。なお、流動化蒸気136は、一定温度以上の蒸気であり、褐炭132を流動させつつ加熱することで、褐炭132を乾燥させる。
【0029】
流動層乾燥装置102は、流動層141の内部に設けられた加熱手段としての伝熱部材128と、伝熱部材128に過熱蒸気(高温ガス)Aを供給可能な過熱蒸気供給装置(高温ガス供給手段)129と、をさらに備える。
【0030】
伝熱部材128は、流動層141の褐炭132中の水分を除去するものであり、過熱蒸気(例えば150℃の蒸気)Aが流通可能な第1蒸気流路(加熱ガス流路)Rを有している。従って、伝熱部材128の第1蒸気流路Rに150℃の過熱蒸気Aが供給されると、伝熱部材128は、高温の過熱蒸気Aの潜熱を利用して褐炭132を乾燥させる。この後、乾燥に利用された過熱蒸気Aは、例えば150℃の凝縮水Bとして流動層乾燥装置102の外部に排出される。
【0031】
すなわち、第1蒸気流路Rの内面では、過熱蒸気Aが凝縮して液体(水分)になるので、この際に放熱される凝縮潜熱を、褐炭132の乾燥の加熱に有効利用している。なお、高温の過熱蒸気Aは、相変化を伴う熱媒であればいずれでもよく、例えばフロンやペンタンやアンモニア等を例示することができる。また、伝熱部材128として熱媒体を用いる以外に電気ヒータ等を設置してもよい。なお、伝熱部材128によって褐炭132が乾燥される際に発生する発生蒸気134は、鉛直方向上方側(発生蒸気134の流れ方向の下流側)のフリーボード部Fへ流れる。過熱蒸気供給装置129は、加熱ラインLを介して、伝熱部材128の第1蒸気流路Rに過熱蒸気Aを供給している。
【0032】
流動層乾燥装置102において、流動層141の内部に設けられた伝熱部材128は、流動層141の褐炭132を加熱することにより、褐炭132を乾燥させる。褐炭132を乾燥させることにより発生した発生蒸気134は、流動層141からフリーボード部Fに流れ込む。そして、フリーボード部Fに流れ込んだ発生蒸気134は、発生蒸気ラインLにより流動層乾燥装置102の外部に排出される。
【0033】
集塵装置105は、サイクロン、ポーラスフィルタ、電気集塵機等であり、発生蒸気134中に含まれる粉塵(固形成分)を分離する。ここで、発生蒸気134は、褐炭132の微粉成分を含んでいる。集塵装置105は、発生蒸気134に含まれている褐炭132が乾燥し微粉化した固形成分144を集塵して分離する。集塵装置105は、分離した固形成分144を、分離ラインLに供給する。分離ラインLに供給された固形成分144は、通過して流動層乾燥装置102から抜き出された乾燥褐炭138に合流して混合される。
【0034】
冷却器110は、通過して流動層乾燥装置102から抜き出された乾燥褐炭138に固形成分144が混合された乾燥した粉体を冷却する。冷却器110は、冷却した粉体を製品炭140として製品ラインLから排出する。この製品炭140は、上述したように、石炭ガス化炉13に供給される。
【0035】
熱回収システム111は、発生蒸気134の熱を熱交換等で回収するシステムである。熱回収システム111は、この発生蒸気134に対して熱回収を行う。水処理部112は、熱回収システム111で熱回収された発生蒸気134を処理する処理装置である。水処理部112は、熱回収システム111で熱回収された発生蒸気134を処理し、排水142として流動層乾燥設備100の外部に排出する。
【0036】
また、循環装置114は、ラインLに介装されており、ラインLを流れる空気を所定方向に送る。具体的には、集塵装置105は、ラインLを流れる集塵された後の発生蒸気134の一部を流動層乾燥装置102内に送る。なお、流動層乾燥装置102内に送られる発生蒸気134は、褐炭132の流動層141を流動させる流動化蒸気136として利用される。なお、本実施形態の流動層乾燥設備100は、流動層141を流動化させる流動化媒体として、発生蒸気134の一部を再利用しているが、これに限定されず、例えば窒素、二酸化炭素またはこれらのガスを含む低酸素濃度の空気を用いてもよい。
【0037】
また、本実施形態の流動層乾燥設備100は、集塵装置105により集塵した後の発生蒸気134の一部を熱回収システム111で利用し、残りの部分を流動化蒸気として利用したが、これに限定されない。本実施形態の流動層乾燥設備100は、集塵装置105により集塵した後の発生蒸気134の熱を有効利用するようにしてもよい。
【0038】
この石炭ガス化複合発電システム10によれば、高い水分を有する褐炭132を用いてガス化する場合においても、効率的な流動層乾燥装置102により褐炭132を乾燥しているので、ガス化炉内温度を低下させる影響が少なく、ガス化効率が向上し、長期間に亙って安定して発電を行うことができる。
【0039】
次に図3および図4を用いて、湿潤原料供給装置101について説明する。ここで、図3は、図2に示す湿潤原料供給装置の一実施形態を示す概略図であり、図4は、図3に示す湿潤原料供給装置の上面図である。
【0040】
湿潤原料供給装置101は、乾燥容器120の上面に、鉛直方向に建った状態で配置されかつ流動層乾燥装置102に褐炭132を供給する装置であり、褐炭132を貯留する貯留部152と、貯留部152に貯留されている褐炭132を乾燥容器120内に投入する搬送機構154と、貯留部152と搬送機構154とを相対的に回転させる回転機構156と、を有する。
【0041】
貯留部152は、容器160と、支持部162と、を有する。容器160は、褐炭132を貯留する容器であり、内壁で囲われる領域の面積が鉛直方向下側に向かうに従って小さくなる漏斗形状である。また、容器160は、下面が開放されており開口となっている。つまり、容器160は、図3に示すように鉛直方向に平行な断面形状が上底と下底が開口となる台形であり、図4に示すように上面から見た形状が円形形状である。支持部162は、乾燥容器120または乾燥容器120に固定されている部材と容器160とを連結する部材である。支持部162は、容器160の外壁と連結しており、容器160を支持している。
【0042】
搬送機構154は、シャフト170と、スクリュ172と、駆動部174と、カバー176と、軸受186と、を有する。シャフト170は、容器160の内壁に沿って配置されており、鉛直方向下側の端部が容器160よりも下側に突出しており、鉛直方向上側の端部が容器160よりも上側に突出している。なお、シャフト170は、回転機構156の後述する回転部材182に形成された開口178に挿入されている。スクリュ172は、螺旋形状をしており、シャフト170に固定されてシャフト170と共に回転する。スクリュ172は、鉛直方向下側の端部が容器160よりも下側に突出しており、鉛直方向上側の端部が容器160の上側端部近傍まで配置されている。駆動部174は、シャフト170を回転させる駆動機構である。駆動部174は、モータ等の原動機と原動機の動力をシャフト170に伝達する伝達部材(ギヤ等)とで構成される。駆動部174は、シャフト170をシャフト170の軸周りに回転させることで、スクリュ172も回転させる。カバー176は、シャフト170とスクリュ172の容器160内に配置されている部分の外周のうち容器160の内壁と対面している部分を覆うように配置されている。つまり、シャフト170とスクリュ172が容器160内に配置されている部分は、カバー176と容器160の外壁により覆われている。カバー176は、褐炭132が通過可能な穴が多数形成されている。軸受186は、カバー176とシャフト170との連結部に配置されており、シャフト170を回転可能な状態でカバー176に固定している。
【0043】
回転機構156は、土台179と、固定部180と、回転部182と、駆動部184と、軸受186と、レール188と、を有する。土台179は、乾燥容器120に形成された開口120aの周りに配置された部材である。なお、土台179は、乾燥容器120の上面に配置されている。固定部180は、土台179の上に固定された部分である。固定部180は、内部に開口が形成されている。回転部182は、例えば板状の部材であって、固定部180の開口に配置されており、固定部180に対して容器160の中心を回転軸として回転可能の状態で、固定部180と係合している。例えば、固定部180と回転部182との間に軸受やレールを配置した構成とすることで、容器160の中心を回転軸として固定部180に対して回転部182を回転可能とすることができる。駆動部184は、回転部182と係合しており、回転部182を固定部180に対して回転させる。なお、駆動部184もモータ等の原動機と原動機の動力を回転部182に伝達する伝達部材(ギヤ等)とで構成される。軸受186は、容器160と回転部182との連結部、つまり、容器160の下端と回転部182の上面との間に配置されており、乾燥容器120に固定された容器160と回転部182とを相対的に回転可能な状態で連結する。レール188は、容器160の内壁へ、容器160の中心を回転軸とした円周上に配置されている。レール188は、カバー176の端部と連結されており、カバー176と容器160とが相対的に移動する際にカバー176の端部の位置を規制する。
【0044】
本実施形態の湿潤原料供給装置101は、搬送機構154の駆動部174でシャフト170を回転させ、スクリュ172を回転させることで、スクリュ172の近傍にある褐炭132を開口178から乾燥容器120に搬送し、供給する。また、湿潤原料供給装置101は、回転機構156の駆動部184で回転部182を固定部180に対して回転させ、回転部182にカバー176が固定されている搬送機構154と、貯留部152の容器160と、を容器160の中心を回転軸として相対的に回転させる。つまり、湿潤原料供給装置101の回転機構156は、図4に示すように、搬送機構154を容器160に対して矢印方向に回転させる。なお、回転機構156は、搬送機構154を容器160に対して矢印方向とは反対側の方向にも回転させることができる。
【0045】
以上より、湿潤原料供給装置101は、搬送機構154のスクリュ172を回転させつつ、回転機構156の回転部182を回転させることで、スクリュ172を容器160の中心を回転軸として回転させつつ、シャフト170を中心とした方向にも回転させることができる。これにより、回転軸を容器160の中心とした周方向において、スクリュ172の先端の向きを変化させつつ、褐炭132を乾燥容器120内に供給することができる。このように、褐炭132を供給する向き、つまり、乾燥容器120内に散布する向きを回転させることで、褐炭132を広範囲に均一に散布することができる。このように、褐炭132を広範囲に均一に散布することで、つまり乾燥容器120内の一箇所に褐炭132が集中して投下されないようにすることで、流動層乾燥装置102の一部に負荷が集中することを抑制でき、流動層乾燥装置102で褐炭132を効率よく乾燥させることができる。
【0046】
また、湿潤原料供給装置101は、回転機構156で容器160と搬送機構154とを相対的に回転させることで、容器160内の褐炭132を移動させることができ、容器160内の一部に褐炭132が固まりブリッジが形成されることを抑制できる。
【0047】
また、湿潤原料供給装置101は、スクリュ172の周りにカバー176を配置することで、スクリュ172の近傍にある褐炭132がスクリュ172から離れることを抑制することができ、容器160内の褐炭132をスクリュ172で好適に乾燥容器120内に供給することができる。なお、上記効果を得ることができるため、搬送機構154は、カバー176を設けることが好ましいが設けない構成としてもよい。また、カバー176は、回転方向の前側の面は、設けない構成とすることが好ましい。これにより、搬送機構154のスクリュ172に好適に褐炭132を供給することができる。
【0048】
また、湿潤原料供給装置101は、回転する搬送機構154のカバー176をレール188で案内することで、貯留部152に対して搬送機構154を好適に回転させることができる。
【0049】
なお、上記実施形態の流動層乾燥装置102は、流動化蒸気136で褐炭132を流動化しつつ、伝熱部材128で褐炭132を加熱することで、褐炭132をより短時間で、好適に乾燥させることができるがこれに限定されない。流動層乾燥装置102は、伝熱部材128を設けない構成としてもよい。
【0050】
なお、湿潤原料供給装置101は、褐炭132を搬送する搬送機構154と貯留部152の褐炭132を貯留する容器160とを、容器160の中心を回転軸として相対的に回転させる構成であればよく、回転機構の構成は、上記実施形態に限定されない。
【0051】
図5を用いて湿潤原料供給装置の他の実施形態を説明する。ここで、図5は、湿潤原料供給装置の他の実施形態を示す概略図である。なお、図5に示す湿潤原料供給装置201は、回転機構206の構成を除いて、他の構成は、図3および図4に示す湿潤原料供給装置101と同様である。
【0052】
湿潤原料供給装置201は、貯留部152と搬送機構154と回転機構206とを有する。なお、貯留部152と搬送機構154とは上述した湿潤原料供給装置101と同様の構成であるので、説明を省略する。本実施形態の貯留部152の容器160は、湿潤原料供給装置101の容器160よりも鉛直方向下側に配置されており、一部が開口120aと接触し、支持されている。つまり、本実施形態では、開口120aが図3の支持部162と同様の機能を備える。
【0053】
回転機構206は、土台209と、土台支持部212と、固定部180と、回転部182と、駆動部184と、軸受186と、レール188と、を有する。固定部180と、回転部182と、駆動部184と、軸受186と、レール188と、は、図3の回転機構156の各部と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0054】
土台209は、乾燥容器120の内部に配置されており、乾燥容器120に形成された開口120aの鉛直方向下側に配置されている。土台209は、開口120aに対応する開口が形成されている。土台支持部212は、乾燥容器120の内部に配置されており、土台209および乾燥容器120の内壁に連結している。土台支持部212は、乾燥容器120と土台209とを連結することで、土台209を支持する。回転機構206は、土台209の鉛直方向上側かつ乾燥容器120の鉛直方向下側の領域、つまり、土台209と土台支持部212と乾燥容器120とで囲われた領域に、固定部180と、回転部182と、駆動部184と、軸受186と、が配置されている。
【0055】
このように、湿潤原料供給装置201は、乾燥容器120の内部に回転機構206を設けた構成である。このように、乾燥容器120の内部に回転機構206を設けても上記と同様に回転機構206で搬送機構154と容器160とを相対的に回転させることで、上記効果を得ることができる。
【0056】
なお、湿潤原料供給装置201は、土台209と土台支持部212と乾燥容器120とで囲われた領域に、シール空気を供給する構成または当該領域をシールした空間とすることが好ましい。これにより、回転機構206が配置された領域に褐炭132が侵入することを抑制できる。
【0057】
次に、図6および図7を用いて湿潤原料供給装置の他の実施形態を説明する。ここで、図6は、湿潤原料供給装置の他の実施形態を示す概略図であり、図7は、図6に示す湿潤原料供給装置の上面図である。
【0058】
湿潤原料供給装置301は、貯留部302と、搬送機構154と、回転機構306と、を有する。なお、搬送機構154は、上述した湿潤原料供給装置101の搬送機構154と同様の構成である。
【0059】
貯留部302は、容器160と、蓋308とを有する。容器160は、褐炭132を貯留する容器であり、上述した貯留部152の容器160と同様の構成である。蓋308は、容器160の鉛直方向下側の端面に固定された板状の部材であり、容器160の開口を塞いでいる。蓋308は、開口308aが形成されており、開口308aに搬送機構154のシャフト170およびスクリュ172が挿入されている。
【0060】
回転機構306は、テーブル310とホッパ入口312と駆動部314と軸受316とを有する。テーブル310は、容器160の鉛直方向上側の端部に配置されており、容器160の鉛直方向上側の開口を塞いでいる。また、テーブル310は、搬送機構154を固定している。ホッパ入口312は、褐炭132を容器160内に投入する投入口であり、テーブル310の一部に形成されている。駆動部314は、テーブル310と係合しており、テーブル310を回転させる。なお、駆動部314は、モータ318とモータ318の動力をテーブル310に伝達するギヤ等の伝達部材320とで構成される。駆動部314は、モータ318の駆動力を伝達要素320でテーブル310に伝達することで、テーブル310を、矢印方向に回転させる。軸受316は、容器160とテーブル310との連結部、つまり、容器160の上端とテーブル310の上面との間に配置されており、乾燥容器120に固定された容器160とテーブル310とを相対的に回転可能な状態で連結する。
【0061】
湿潤原料供給装置301は、回転機構306の駆動部314でテーブル310を回転させることで、搬送機構154を図6中矢印方向に回転させることができる。このように、回転機構306を容器160の鉛直方向上側の面に設けた構成としても、上述した湿潤原料供給装置101と同様に搬送機構154と容器160とを容器160の中心を回転軸として相対的に回転させることができる。これにより、湿潤原料供給装置301も湿潤原料供給装置101と同様の効果を得ることができる。
【0062】
なお、湿潤原料供給装置は、上記実施形態のように、貯留部152の容器160を固定し、搬送機構154を回転させることで褐炭132を投入する向きを回転させ、褐炭132を分散して投入することができる。このため、湿潤原料供給装置は、貯留部152の容器160を固定し、搬送機構154を回転させることが好ましいが、これに限定されない。湿潤原料供給装置は、例えば貯留部152の容器160を回転させ、搬送機構154を固定した構成としてもよい。このように、容器160を回転させる構成としても、容器160と搬送機構154とを相対的に回転させることができ、容器160内に貯留した褐炭132を移動させつつ、流動層乾燥装置102への褐炭132の投入を行うことができる。これにより、容器160内の一部に褐炭132が固まりブリッジが形成されることを抑制できる。これにより、流動層乾燥装置102への褐炭132の投入をより安定して行うことができる。
【0063】
また、上記実施形態では、容器内への配置が簡単であり、容器内の褐炭をより好適に搬送できるため、搬送機構としてスクリュをシャフトで回転させて褐炭を搬送するスクリューフィーダを用いたがこれに限定されない。搬送機構としては、褐炭を搬送できる各種搬送機構を用いることができる。
【0064】
また、湿潤原料供給装置は、上記実施形態のように、搬送機構の下側の端部が容器の鉛直方向下側の端部よりも下側に突出していることが好ましい。これにより、搬送機構で搬送する褐炭をより確実に流動層乾燥装置に投入することができる。なお、湿潤原料供給装置は、搬送機構の下側の端部が容器の鉛直方向下側の端部よりも鉛直方向下側に突出していることが好ましいが、少なくとも搬送機構の下側の端部が容器の鉛直方向下側の端部に露出していれば、つまり、搬送機構が容器の開口まで延在して配置されていればよい。
【0065】
また、湿潤原料供給装置は、上記実施形態のように、容器160と搬送機構154とを相対的に回転させることで、流動層乾燥装置102への褐炭132の投入をより安定して行うことができる。このため、湿潤原料供給装置は、貯留部152の容器160と搬送機構154とを相対的に回転させることが好ましいが、これに限定されない。湿潤原料供給装置は、容器160内に搬送機構154を配置した構成とすることで、具体的には褐炭132を貯留する領域から褐炭132を流動層乾燥装置102へ投入する位置まで延在する搬送機構154を設けることで、相対的に回転させなくても、容器160内に貯留した褐炭132を好適に流動層乾燥装置102に投入することができる。つまり、搬送機構154により、ホッパ等の貯留機構に蓄えられた褐炭132、つまり湿潤原料を強制的に搬送することができる。これにより、容器160内で褐炭132がつまったり、ブリッジを形成したりすることを抑制でき、褐炭132を安定して投入することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 石炭ガス化複合発電システム
100 流動層乾燥設備
101、201、301 湿潤原料供給装置
102 流動層乾燥装置
105 集塵装置
110 冷却器
111 熱回収システム
120 乾燥容器
125 チャンバ室
126 乾燥室
128 伝熱部材
129 過熱蒸気供給装置
132 褐炭
134 発生蒸気
136 流動化蒸気
138 乾燥褐炭
140 製品炭
141 流動層
152、302 貯留部
154 搬送機構
156、206、306 回転機構
160 容器
162 支持部
170 シャフト
172 スクリュ
174 駆動部
175、186、316 軸受
176 カバー
178 開口
179 土台
180 固定部
182 回転部
184、314 駆動部
188 レール
212 土台支持部
308 蓋
310 テーブル
312 ホッパ入口
320 伝達部材
A 過熱蒸気
B 凝縮水
F フリーボード部
発生蒸気ライン
ライン
分離ライン
製品ライン
加熱ライン
第1蒸気流路(加熱ガス流路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動層乾燥装置に乾燥対象の湿潤原料を供給する湿潤原料供給装置であって、
鉛直方向上側から下側に向かって内側の面積が小さくなる形状であり、下側の端部に前記流動層乾燥装置と連通する開口が形成され、前記湿潤原料を貯留する貯留部と、
下側の端部が前記開口に露出して前記貯留部の内部に配置され、前記貯留部に貯留された前記湿潤原料を前記開口から前記流動層乾燥装置に供給する搬送機構と、を有することを特徴とする湿潤原料供給装置。
【請求項2】
前記搬送機構は、前記貯留部の内壁に沿って配置されたスクリューフィーダであることを特徴とする請求項1に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項3】
前記貯留部の容器の中心を回転軸として、前記搬送機構と前記貯留部とを相対的に回転させる回転機構をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項4】
前記回転機構は、前記搬送機構を回転させることを特徴とする請求項3に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項5】
前記回転機構は、前記貯留部の前記開口に配置され、前記搬送機構と連結する回転部材を備え、前記貯留部の前記容器の中心を回転軸として前記回転部材を回転させることで、前記搬送機構を回転させることを特徴とする請求項4に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項6】
前記搬送機構は、下側の端部が前記開口よりも鉛直方向下側に突出していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の湿潤原料供給装置と、
前記湿潤原料供給装置から供給された前記湿潤原料を乾燥可能な流動層乾燥装置と、を備えることを特徴とする流動層乾燥設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−215315(P2012−215315A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79344(P2011−79344)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】